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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091502
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、硬化物および成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20250612BHJP
【FI】
C08G73/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206723
(22)【出願日】2023-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕司
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043PA13
4J043PA15
4J043QB26
4J043RA34
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA122
4J043UA132
4J043UB012
4J043UB152
4J043VA022
4J043VA062
4J043WA01
4J043WA16
4J043XA08
4J043XB27
4J043ZA11
4J043ZA12
4J043ZA60
4J043ZB02
4J043ZB47
4J043ZB51
4J043ZB58
(57)【要約】
【課題】得られる硬化物の耐熱性を向上できる熱硬化性樹脂組成物、耐熱性が向上した硬化物および上記硬化物を含む成形体を提供する。
【解決手段】無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)と、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)と、を含む、熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)と、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)と、を含む、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記モノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物を含む、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化1】
(前記式(1)中、Xは下記式(2)または(3)で示される構造を表す。)
【化2】
(前記式(3)中、Yは単結合または2価の有機基である。)
【請求項3】
前記モノマー(A)の分子量が200以上900以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記モノマー(A)が、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される一種または二種以上を含む、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂組成物中の前記モノマー(A)の含有量が、前記樹脂(B)の含有量を100質量部としたとき、1質量部以上150質量部以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
粉体状である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
液状である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
一液系樹脂組成物または二液系樹脂組成物である、請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記樹脂(B)がアニリン樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂からなる群より選択される一種または二種以上を含む、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂(B)がアニリンホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記樹脂(B)のポリスチレン換算の質量平均分子量が500以上20,000以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂組成物中の前記樹脂(B)の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、10質量%以上99質量%以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
前記熱硬化性樹脂組成物の、以下の(方法1)による抽出残量が、前記熱硬化性樹脂組成物の溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、1.0質量%以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(方法1)
前記熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得る。
次いで、ソックスレー抽出法により、前記硬化物5gをアセトン100gを用いて6時間煮沸することにより、未反応分を抽出する。煮沸後、アセトンを除去し、残渣を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥を行う。その後、残渣を秤量し、以下の式(A)に基づいて抽出残量を算出する。
抽出残量(質量%)=(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g)-残渣の質量(g))/(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g))×100・・・式(A)
【請求項14】
前記熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより得られる硬化物について、JIS K 7120:1987に準拠して、流入ガス:窒素、測定温度範囲:25℃~500℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定される10%質量減少温度が370℃以上である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項16】
請求項15に記載の硬化物を含む、成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、硬化物および成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
成形用材料としては、例えばフェノール樹脂組成物がある。
【0003】
フェノール樹脂組成物に関する技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が挙げられる。
特許文献1には、耐熱性、柔軟性、耐磨耗性に優れる摩擦材を製造するのに好適な熱硬化性樹脂組成物と摩擦材を提供することを目的として、ビスフェノール(a)と、トリアジン(b)と、アルデヒド類(c)と、フェノール(d)を必須の構成成分として得られたノボラック型フェノール樹脂(e1)とを反応して得られるトリアジン変性レゾール型フェノール樹脂(1)、または、フェノール(d)と、トリアジン(b)と、アルデヒド類(c)と、ビスフェノール(a)を必須の構成成分として得られたノボラック型フェノール樹脂(e2)とを反応して得られるトリアジン変性レゾール型フェノール樹脂(2)を含有する熱硬化型樹脂組成物であり、ビスフェノール(a)とフェノール(d)の使用量〔ビスフェノール(a)/フェノール(d)〕がモル換算で0.4~1.0であることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-142142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、得られる硬化物の耐熱性を向上できる熱硬化性樹脂組成物、耐熱性が向上した硬化物および上記硬化物を含む成形体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、無水カルボン酸環を2つ有するモノマーと、アミノ基を2つ以上含む樹脂と、を含むことにより、得られる硬化物の耐熱性を向上できることを見出して、本発明を完成させた。
【0007】
本発明によれば、以下に示す熱硬化性樹脂組成物、硬化物および成形体が提供される。
【0008】
[1]
無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)と、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)と、を含む、熱硬化性樹脂組成物。
[2]
上記モノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物を含む、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化1】
(上記式(1)中、Xは下記式(2)または(3)で示される構造を表す。)
【化2】
(上記式(3)中、Yは単結合または2価の有機基である。)
[3]
上記モノマー(A)の分子量が200以上900以下である、上記[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]
上記モノマー(A)が、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される一種または二種以上を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]
上記熱硬化性樹脂組成物中の上記モノマー(A)の含有量が、上記樹脂(B)の含有量を100質量部としたとき、1質量部以上150質量部以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]
粉体状である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7]
液状である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]
一液系樹脂組成物または二液系樹脂組成物である、上記[7]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9]
上記樹脂(B)がアニリン樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂からなる群より選択される一種または二種以上を含む、上記[1]~[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[10]
上記樹脂(B)がアニリンホルムアルデヒド樹脂を含む、上記[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[11]
上記樹脂(B)のポリスチレン換算の質量平均分子量が500以上20,000以下である、上記[1]~[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[12]
上記熱硬化性樹脂組成物中の上記樹脂(B)の含有量が、上記熱硬化性樹脂組成物の溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、10質量%以上99質量%以下である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[13]
上記熱硬化性樹脂組成物の、以下の(方法1)による抽出残量が、上記熱硬化性樹脂組成物の溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、1.0質量%以下である、上記[1]~[12]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(方法1)
上記熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得る。
次いで、ソックスレー抽出法により、上記硬化物をアセトン100gを用いて6時間煮沸することにより、未反応分を抽出する。煮沸後、アセトンを除去し、残渣を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥を行う。その後、残渣を秤量し、以下の式(A)に基づいて抽出残量を算出する。
抽出残量(質量%)=(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g)-残渣の質量(g))/(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g))×100・・・式(A)
[14]
上記熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより得られる硬化物について、JIS K 7120:1987に準拠して、流入ガス:窒素、測定温度範囲:25℃~500℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定される10%質量減少温度が370℃以上である、上記[1]~[13]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[15]
上記[1]~[14]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
[16]
上記[15]に記載の硬化物を含む、成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、得られる硬化物の耐熱性を向上できる熱硬化性樹脂組成物、耐熱性が向上した硬化物および上記硬化物を用いた成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
【0011】
<熱硬化性樹脂組成物>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)と、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)と、を含む。
【0012】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、得られる硬化物の耐熱性を向上できる熱硬化性樹脂組成物、耐熱性が向上した硬化物および上記硬化物を用いた成形体を提供することができる。これは、無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)と、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)とが架橋し、耐熱性が向上したポリイミド樹脂が生成しているためと考えられる。無水カルボン酸はそれ自体が耐熱性に優れ、かつ無水カルボン酸環を2つ含むモノマーとアミノ基を2つ以上含む樹脂とが架橋することにより網目状構造を有するポリイミド樹脂となることにより、耐熱性が向上すると考えられる。
【0013】
[無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A)(以下、モノマー(A)とも呼称する。)を含む。
本実施形態のモノマー(A)は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは下記式(1)で示される化合物を含む。
【0014】
【化3】
【0015】
上記式(1)中、Xは下記式(2)または(3)で示される構造を表す。
【0016】
【化4】
【0017】
上記式(3)中、Yは単結合または2価の有機基である。
【0018】
上記2価の有機基は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは炭素数1以上20以下の炭化水素基、-O-、-CO-、-SO-、-S-、-SO-、-CONH-、-COO-、-OCO-、-C(CF-、-COO-Z-OCO-および-O-Ph-C(CH-Ph-O-からなる群より選択される一種または二種以上を含み、より好ましくは-CO-を含む。上記Zは、好ましくは-C-、-(CH-および-CH-CH(-O-C(=O)-CH)-CH-からなる群より選択される一種または二種以上を含む。上記nは好ましくは1以上30以下の整数である。上記2価の有機基は、少なくとも一つの水素原子が置換基に置換されていてもよい。上記置換基は、好ましくはヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボキシ基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、アルキル基、ビニル基、アリール基およびハロゲノ基からなる群より選択される一種または二種以上を含む。
【0019】
本実施形態のモノマー(A)の分子量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは200以上、より好ましくは210以上であり、そして、好ましくは900以下、より好ましくは850以下、さらに好ましくは800以下、さらに好ましくは750以下、さらに好ましくは700以下、さらに好ましくは650以下、さらに好ましくは600以下、さらに好ましくは550以下、さらに好ましくは500以下、さらに好ましくは450以下、さらに好ましくは400以下、さらに好ましくは350以下である。
本実施形態のモノマー(A)の分子量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは200以上900以下、より好ましくは200以上850以下、さらに好ましくは200以上800以下、さらに好ましくは200以上750以下、さらに好ましくは200以上700以下、さらに好ましくは200以上650以下、さらに好ましくは210以上600以下、さらに好ましくは210以上550以下、さらに好ましくは210以上500以下、さらに好ましくは210以上450以下、さらに好ましくは210以上400以下、さらに好ましくは210以上350以下である。
【0020】
本実施形態のモノマー(A)は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,2-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、4,4’-ビフタル酸無水物、3,4’-ビフタル酸無水物およびナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される一種または二種以上を含み、より好ましくは無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される一種または二種以上を含む。
【0021】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中のモノマー(A)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)の含有量を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは25質量部以上であり、そして、好ましくは150質量部以下、より好ましくは140質量部以下、さらに好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下、さらに好ましくは110質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中のモノマー(A)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)の含有量を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上150質量部以下、より好ましくは5質量部以上140質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上130質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上120質量部以下、さらに好ましくは20質量部以上110質量部以下、さらに好ましくは25質量部以上100質量部以下、さらに好ましくは25質量部以上90質量部以下である。
【0022】
[アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、アミノ基を2つ以上含む樹脂(B)(以下、樹脂(B)とも呼称する。)を含む。
本実施形態の樹脂(B)は、例えば、アミノ化合物とアルデヒド類との重縮合により得られる重合体等が挙げられ、具体的にはアミノ化合物とホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂(アミノホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。
本実施形態の樹脂(B)は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくはアニリン樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂からなる群より選択される一種または二種以上を含み、より好ましくはアニリン樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される一種または二種以上を含み、さらに好ましくはアニリン樹脂を含む。
【0023】
アニリン樹脂としては、例えば、アニリンとアルデヒド類との重縮合により得られる重合体等が挙げられ、具体的にはアニリンとホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂(アニリンホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとアルデヒド類との重縮合により得られる重合体等が挙げられ、具体的にはメラミンとホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂(メラミンホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。
尿素樹脂としては、例えば、尿素(ユリア)とアルデヒド類との重縮合により得られる重合体等が挙げられ、具体的には尿素(ユリア)とホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂(ユリアホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の樹脂(B)は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくはアニリンホルムアルデヒド樹脂を含む。
【0024】
本実施形態の樹脂(B)に含まれるアミノ基の個数(以下、アミノ基の平均含有数とも記載する)は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であり、そして、上限値は高ければ高いほど好ましいが、例えば、1000以下であってもよく、500以下であってもよく、100以下であってもよく、50以下であってもよく、40以下であってもよく、30以下であってもよい。
本実施形態の樹脂(B)に含まれるアミノ基の個数は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは2以上1000以下、より好ましくは3以上1000以下、さらに好ましくは4以上500以下、さらに好ましくは5以上100以下、さらに好ましくは6以上50以下、さらに好ましくは8以上40以下、さらに好ましくは10以上30以下である。
【0025】
本実施形態の樹脂(B)のポリスチレン換算の質量平均分子量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上、さらに好ましくは800以上、さらに好ましくは900以上、さらに好ましくは1,000以上、さらに好ましくは1,100以上、さらに好ましくは1,200以上、さらに好ましくは1,300以上、さらに好ましくは1,400以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは18,000以下、さらに好ましくは15,000以下、さらに好ましくは12,000以下、さらに好ましくは10,000以下、さらに好ましくは8,000以下、さらに好ましくは5,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
本実施形態の樹脂(B)のポリスチレン換算の質量平均分子量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは500以上20,000以下、より好ましくは600以上20,000以下、さらに好ましくは700以上18,000以下、さらに好ましくは800以上18,000以下、さらに好ましくは900以上15,000以下、さらに好ましくは1,000以上12,000以下、さらに好ましくは1,100以上10,000以下、さらに好ましくは1,200以上8,000以下、さらに好ましくは1,300以上5,000以下、さらに好ましくは1,400以上3,000以下である。
【0026】
本実施形態の樹脂(B)の質量平均分子量を測定するための方法は、具体的にはGPC測定法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)を挙げることができ、より具体的には以下の<GPC測定条件>に基づいて樹脂(B)の質量平均分子量を測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することが挙げられる。
<GPC測定条件>
GPC装置は、ポンプ、インジェクター、ガードカラム、カラムおよび検出器から構成される。測定には、溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を用いる。ポンプの流速は、例えば、0.5ml/分とする。ガードカラムには市販のガードカラム(例えば、東ソー(株)製TSK GUARDCOLUMN HR-L:径6.0mm、管長40mm)、カラムには、例えば、市販のポリスチレンジェルカラム(東ソー(株)製TSK-GEL GMHHR-L:径7.8mm、管長30mm)を複数本直列接続させる。検出器には示差屈折率計(RI検出器。例えば、WATERS社製示差屈折率(RI)検出器W2414)を用いる。試料には、濃度3~4mg/mlに調整した樹脂(B)のTHF溶液を用意し、これを約50~150μlインジェクターより注入して測定を行う。試料の解析にあたっては、単分散ポリスチレン標準試料により作成した検量線を用いる。
【0027】
本実施形態の樹脂(B)の融点は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは63℃以上、さらに好ましくは65℃以上、さらに好ましくは68℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
本実施形態の樹脂(B)の融点は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは63℃以上140℃以下、さらに好ましくは65℃以上130℃以下、さらに好ましくは68℃以上120℃以下、さらに好ましくは70℃以上110℃以下である。
【0028】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中の樹脂(B)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、上記熱硬化性樹脂組成物のうち後述する溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中の樹脂(B)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、上記熱硬化性樹脂組成物のうち後述する溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上99質量%以下、より好ましくは15質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは35質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上93質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上93質量%以下である。
【0029】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中のモノマー(A)および樹脂(B)の合計含有量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、上記熱硬化性樹脂組成物のうち後述する溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、そして、上限値は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
【0030】
[物性]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の、以下の(方法1)による抽出残量は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、上記熱硬化性樹脂組成物の溶媒を除く成分全体の量を100質量%としたとき、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.9質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、そして、上記抽出残量の下限値は特に限定されないが、例えば、0.0質量%以上である。
【0031】
(方法1)
上記熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得る。
次いで、ソックスレー抽出法により、上記硬化物5gをアセトン100gを用いて6時間煮沸することにより、未反応分を抽出する。煮沸後、アセトンを除去し、残渣を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥を行う。その後、残渣を秤量し、以下の式(A)に基づいて抽出残量を算出する。
抽出残量(質量%)=(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g)-残渣の質量(g))/(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g))×100・・・式(A)
【0032】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより得られる硬化物について、JIS K 7120:1987に準拠して、流入ガス:窒素、測定温度範囲:25℃~500℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定される10%質量減少温度は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは370℃以上、より好ましくは400℃以上、さらに好ましくは430℃以上、さらに好ましくは460℃以上、さらに好ましくは490℃以上、さらに好ましくは500℃以上であり、そして、上記10%質量減少温度の上限値は特に限定されず、高温であるほど好ましいが、例えば、1000℃以下であってもよく、900℃以下であってもよく、800℃以下であってもよく、700℃以下であってもよく、600℃以下であってもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の上記10%質量減少温度は、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは370℃以上1000℃以下、より好ましくは400℃以上1000℃以下、さらに好ましくは430℃以上900℃以下、さらに好ましくは460℃以上800℃以下、さらに好ましくは490℃以上700℃以下、さらに好ましくは500℃以上600℃以下である。
【0033】
[形状]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の硬化ムラを抑制し、得られる硬化物の耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは粉体状または液状である。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が液状である場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化ムラを抑制する観点から、好ましくは一液系樹脂組成物または二液系樹脂組成物であり、熱硬化性樹脂組成物の硬化の進行を制御する観点から、より好ましくは二液系樹脂組成物である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が二液系樹脂組成物である場合、モノマー(A)を含む樹脂組成物1と、樹脂(B)を含む樹脂組成物2との組み合わせであることを意味する。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が二液系樹脂組成物である場合、使用前に上記樹脂組成物1と上記樹脂組成物2とを混合して使用することができる。
【0034】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が粉体状の場合、上述した各成分を混錬した後、粉砕することによって得ることができる。混練方法としては、例えば、ニーダー、混錬機、ロール等の機械式混錬機等を用いた方法が挙げられる。粉砕方法としては、ロッドミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、サイクロンミル、ローラーミル、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕装置;および高圧ホモジナイザーおよびビーズミル等の湿式粉砕装置等を用いた方法が挙げられる。混練方法および粉砕方法としては、上記具体例のうち、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が液状の場合、上述した各成分を上述した混練方法によって混錬した後、溶媒を加えて上記溶媒に溶解させることにより得ることができる。また、上述した各成分を上述した混練方法によって混錬し、上述した粉砕方法によって粉砕した後に、溶媒を加えて上記溶媒に溶解、分散させることによっても得ることができる。
【0036】
溶媒は、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セロソルブ、カルビトール、アニソールおよびN-メチルピロリドンからなる群より選択される一種または二種以上を含む。
【0037】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が液状の場合、溶媒の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、得られる硬化物の耐熱性および作業性をより向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
【0038】
<硬化物>
本実施形態の硬化物は、上述した本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物である。
本実施形態の硬化物の製造方法は、例えば、上述した本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を加熱する方法が挙げられる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を加熱する際の加熱温度、加熱時間等の条件は、熱硬化性樹脂組成物の配合などにより適宜調整することができる。
【0039】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の加熱温度は、硬化物の耐熱性および機械的強度の性能バランスを向上できる観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、硬化物の製造効率の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。
【0040】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の加熱時間は、硬化物の耐熱性および機械的強度の性能バランスを向上できる観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、さらに好ましくは300秒以上であり、硬化物の製造効率の観点から、好ましくは24時間以下、より好ましくは15時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
【0041】
<成形体>
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
成形体を得るための成形方法は、例えば、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形等が挙げられる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を成形する際の成形温度、成形時間等の条件については、成形方法、成形装置、あるいは、熱硬化性樹脂組成物の配合などにより適宜調整することができる。
【0042】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の成形温度は、成形体の製造効率の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、成形体の耐熱性および機械的強度の性能バランスを向上できる観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。
【0043】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の成形時間は、成形体の耐熱性および機械的強度の性能バランスを向上できる観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、さらに好ましくは300秒以上であり、成形体の製造効率の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。
【0044】
<用途>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、ブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の摩擦材;樹脂シート、樹脂基板等の基板材料;電子部品を封止するための封止材;砥石等の研磨剤;3Dプリンターなどの印刷用材料;電極材料、耐火材料などに用いられる炭素材などに用いることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
【0047】
<実施例、比較例>
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
各実施例および各比較例の熱硬化性樹脂組成物を、表1に示す配合(質量部)に従い各成分を均一に混合することによって得た。
表1中の各成分の詳細は下記のとおりである。
【0048】
(無水カルボン酸環を2つ含むモノマー(A))
モノマーA1:無水ピロメリット酸(東京化成工業社製)
モノマーA2:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業社製)
モノマーA3:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業社製)
【0049】
(アミノ基を2つ以上含む樹脂(B))
樹脂B1:アニリンホルムアルデヒド樹脂(住友ベークライト社製、質量平均分子量:1500、アミノ基の平均含有数:15、融点:75℃)
樹脂B2:アニリンホルムアルデヒド樹脂(住友ベークライト社製、質量平均分子量:2500、アミノ基の平均含有数:25、融点:106℃)
【0050】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂1:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、製品名:PR-50099)
【0051】
<評価>
各実施例および各比較例の熱硬化性樹脂組成物の各物性について、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0052】
(質量平均分子量)
各実施例および各比較例に用いた樹脂(B)の質量平均分子量は、以下の<GPC測定条件>に基づいたGPC測定法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)により測定した。
<GPC測定条件>
GPC装置は、ポンプ、インジェクター、ガードカラム、カラムおよび検出器から構成される。測定には、溶媒として、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。ポンプの流速は、0.5ml/分とした。ガードカラムには市販のガードカラム(東ソー(株)製TSK GUARDCOLUMN HR-L:径6.0mm、管長40mm)、カラムには市販のポリスチレンジェルカラム(東ソー(株)製TSK-GEL GMHHR-L:径7.8mm、管長30mm)を複数本直列接続させた。検出器には示差屈折率計(RI検出器。WATERS社製示差屈折率(RI)検出器W2414)を用いた。試料には、濃度3~4mg/mlに調整した樹脂(B)のTHF溶液を用意し、これを約50~150μlインジェクターより注入して測定を行った。試料の解析にあたっては、単分散ポリスチレン標準試料により作成した検量線を用いた。
【0053】
(10%質量減少開始温度)
各実施例および各比較例の熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得た。
次いで、熱重量・示差熱分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、STA7200RV)に、得られた上記硬化物5mgをセットした。その後、上記硬化物について、JIS K 7120:1987に準拠して、流入ガス:窒素、測定温度範囲:25℃~500℃、昇温速度:10℃/分の条件で熱重量・示差熱測定を行った。このとき、セットした上記硬化物の質量に対し、10%の質量減少が生じた温度を読み取り、10%質量減少開始温度とした。
【0054】
(抽出残量)
各実施例および各比較例の熱硬化性樹脂組成物を280℃で1時間加熱することにより、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を得た。
次いで、ソックスレー抽出法により、上記硬化物5gをアセトン100gを用いて6時間煮沸することにより、未反応分を抽出した。煮沸後、アセトンを除去し、残渣を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥を行った。その後、残渣を秤量し、以下の式(A)に基づいて抽出残量を算出した。
抽出残量(質量%)=(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g)-残渣の質量(g))/(煮沸前の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の質量(g))×100・・・式(A)
【0055】
【表1】
【0056】
各実施例では、各比較例に対して耐熱性が向上していることが示された。