(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009173
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】シフトレバー装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/04 20060101AFI20250110BHJP
B60K 20/02 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B60K20/04 Z
B60K20/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111989
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】寺田 敬仁
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA03
3D040AB01
3D040AC07
3D040AC15
3D040AD02
3D040AD04
3D040AD08
(57)【要約】
【課題】シフトレバー装置本体部と車体固定用のブラケットとを簡単に組付け可能にする。
【解決手段】変速機操作用のレバー16を有する本体ユニット11と本体ユニット11と車体とを固定する下部ブラケット12とを有するシフトレバー装置10であって、下部ブラケット12には、本体ユニット11の上部ブラケット15を載置して本体ユニット11を固定位置に向かって前方にスライド可能な台座面25が設けられるとともに、本体ユニット11の固定位置よりも更なる前方への移動を規制するストッパ38が設けられ、固定位置において上部ブラケット15の鍔部31と下部ブラケット12のガイド35とによって下部ブラケット12と上部ブラケット15との上下左右方向の相対移動を規制し、ピン32によって下部ブラケット12と上部ブラケット15の前後方向の相対移動を規制して、本体ユニット11と下部ブラケット12とを固定する構造にした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機を操作するシフトレバーを有する本体部と、前記本体部と車体とを固定する第1ブラケットと、を有するシフトレバー装置であって、
前記第1ブラケットには、前記本体部を載置して当該本体部を固定位置に向かって所定の前後方向にスライド可能なスライド面が設けられるとともに、前記本体部の前記固定位置よりも更なる前記所定の前後方向への移動を規制するストッパが設けられ、
前記固定位置において前記第1ブラケットと前記本体部との左右方向及び上下方向の相対移動を規制する支持部と、
前記固定位置において前記第1ブラケットと前記本体部との前後方向の移動を規制する固定部と、を備えた
ことを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項2】
前記本体部は第2ブラケットを含んで構成され、
前記第1ブラケットは、前記第2ブラケットの左右側面を支持する一対の側壁を備え、
前記第2ブラケットの前記左右側面には、左右方向外方に突出する突出部が夫々設けられ、
前記支持部は、前記第1ブラケットの前記側壁に設けられ、前記固定位置において前記突出部を支持して前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとの左右方向及び上下方向の相対移動を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載のシフトレバー装置。
【請求項3】
前記第2ブラケットの左右の前記突出部の少なくともいずれか一方には、前記本体部の前記固定位置への移動方向先方側に向かって左右の前記突出部の間の左右幅が狭くなるように傾斜し、前記第1ブラケットに対する前記本体部の前記固定位置への移動に伴って前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの左右方向相対位置を規定する第1斜面部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【請求項4】
前記第1ブラケットの左右の前記側壁の少なくともいずれか一方には、前記本体部の前記固定位置への移動方向先方側に向かって前記一対の側壁の左右方向間隔が狭くなるように傾斜し、前記第1ブラケットに対する前記本体部の前記固定位置への移動に伴って前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの左右方向相対位置を規定する第2斜面部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【請求項5】
前記突出部及び前記支持部は、上下方向に対向する一対の上下対向面と、左右方向に対向する一対の左右対向面と、を有し、
前記一対の上下対向面のいずれ一方に、他方に向かって突出して接する第1凸部と、
前記一対の左右対向面のいずれ一方に、他方に向かって突出して接する第2凸部と、を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【請求項6】
前記第1ブラケットのスライド面に、前記第2ブラケットに向かって突出し、前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの固定位置において前記第2ブラケットに係止して前記第2ブラケットを前記固定位置に保持する保持部を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【請求項7】
前記固定部は、
前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットが前記固定位置に位置した状態で前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを貫通する穴部と、
前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの前記穴部に挿入されるピンと、によって構成される
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【請求項8】
前記突出部及び前記支持部は、前記第2ブラケットの前後方向の中間位置より前記固定位置への移動方向先方側に配置され、
前記固定部は、前記第2ブラケットの前後方向の中間位置より前記固定位置への移動方向後方側に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のシフトレバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に使用される変速用のシフトレバー装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に備えたシフトレバー装置の多くは、基台としてのブラケットを使用して車体に固定されている。シフトレバー装置本体部と固定用のブラケットを別体にすることにより、各種車両の車体に合わせてブラケットを各種用意しておくことで、シフトレバー装置本体部を共通化することができる。
【0003】
特許文献1には、車体に固定したブラケットに、シフターアッセンブリ(シフトレバー装置本体部)を固定する構造のシフトレバー装置が開示されている。
このシフトレバー装置では、シフターアッセンブリのハウジングの前端部に設けられたフランジをブラケットのタブに引っ掛けて、ハウジングの後端部とブラケットとをピンで留めることにより、ハウジングとブラケットとを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シフトレバー装置本体部と固定用のブラケットが別体に構成されているシフトレバー装置は、シフトレバー装置本体部に固定用のブラケットを固定して、シフトレバー装置のアッセンブリが完成される。そして生産性を向上させるために、シフトレバー装置本体部を用意した後に、ロボット等の工作機械によってシフトレバー装置本体部と固定用ブラケッットとを自動的に組み付けることが要求されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のような構造のシフトレバー装置では、シフトレバー装置本体部のハウジングのフランジを、車両側となるブラケットのタブに引っ掛けた後に、当該引っ掛けた箇所を支点としてシフトレバー装置本体を回転移動させ、ハウジングのピン穴とブラケットのピン穴とを合わせる作業が必要となる。工作機械によってこのような円運動をさせることとピン穴の位置決めを行うために、工作機械の構成や作動制御が複雑化するといった問題点があった。また、シフトレバー装置本体部と固定用のブラケットとを組み付ける作業を作業者が行う場合でも、移動や位置決め作業が煩わしいといった問題点がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シフトレバー装置本体部と車体固定用のブラケットとを容易に組付け可能になる構造のシフトレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のシフトレバー装置は、変速機を操作するシフトレバーを有する本体部と、前記本体部と車体とを固定する第1ブラケットと、を有するシフトレバー装置であって、前記第1ブラケットには、前記本体部を載置して当該本体部を固定位置に向かって所定の前後方向にスライド可能なスライド面が設けられるとともに、前記本体部の前記固定位置よりも更なる前記所定の前後方向への移動を規制するストッパが設けられ、前記第1ブラケットと前記本体部との左右方向及び上下方向の相対移動を規制する支持部と、前記固定位置において前記第1ブラケットと前記本体部との前後方向の移動を規制する固定部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、前記本体部は第2ブラケットを含んで構成され、前記第1ブラケットは、前記第2ブラケットの左右側面を支持する一対の側壁を備え、前記第2ブラケットの前記左右側面には、左右方向外方に突出する突出部が夫々設けられ、前記支持部は、前記第1ブラケットの前記側壁に設けられ、前記固定位置において前記突出部を支持して前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとの左右方向及び上下方向の相対移動を規制するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記第2ブラケットの左右の前記突出部の少なくともいずれか一方には、前記本体部の前記固定位置への移動方向先方側に向かって左右の前記突出部の間の左右幅が狭くなるように傾斜し、前記第1ブラケットに対する前記本体部の前記固定位置への移動に伴って前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの左右方向相対位置を規定する第1斜面部を有するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記第1ブラケットの左右の前記側壁の少なくともいずれか一方には、前記本体部の前記固定位置への移動方向先方側に向かって前記一対の側壁の左右方向間隔が狭くなるように傾斜し、前記第1ブラケットに対する前記本体部の前記固定位置への移動に伴って前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの左右方向相対位置を規定する第2斜面部を有するとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記突出部及び前記支持部には、上下方向に対向する一対の上下対向面と、左右方向に対向する一対の左右対向面と、を有し、前記一対の上下対向面のいずれ一方に、他方に向かって突出して接する第1凸部と、前記一対の左右対向面のいずれ一方に、他方に向かって突出して接する第2凸部と、を備えるとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記第1ブラケットのスライド面に、前記第2ブラケットに向かって突出し、前記第1ブラケットに対する前記第2ブラケットの固定位置において前記第2ブラケットに係止して前記第2ブラケットを前記固定位置に保持する保持部を備えるとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記固定部は、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットが前記固定位置に位置した状態で前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを貫通する穴部と、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの前記穴部に挿入されるピンと、によって構成されるとよい。
【0015】
また、好ましくは、前記突出部及び前記支持部は、前記第2ブラケットの前後方向の中間位置より前記固定位置の移動方向先方側に配置され、前記固定部は、前記第2ブラケットの前後方向の中間位置より前記固定位置への移動方向後方側に配置されるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1ブラケットのスライド面に本体部を載置して本体部を所定の前後方向にスライドしてストッパによって規制されるまで移動し、支持部によって第1ブラケットと本体部との左右方向及び上下方向の相対移動が規制するともに、固定部によって第1ブラケットと本体部との前後方向の相対移動が規制することで、本体部と第1ブラケットとが固定位置で固定される。
したがって、第1ブラケットと本体部とを簡単な相対移動で組み付けることが可能になる。これにより、作業者によって第1ブラケットと本体部とを容易に組み付けることができ、ロボット等の工作機械により第1ブラケットと本体部とを組み付ける場合には移動制御が容易になり、シフトレバー装置の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のシフトレバー装置の車両への取付状態の一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のシフトレバー装置と下部ブラケットとの組み付け要領を示す斜視図である。
【
図3】シフトレバー装置と下部ブラケットとの組み付け要領を示す前後方向縦断面面である。
【
図5】シフトレバー装置の左右方向縦断面図である。
【
図6】シフトレバー装置の前側支持部の構造を示す部分拡大左右方向縦断面図である。
【
図7】シフトレバー装置の前後方向縦断面図である。
【
図8】シフトレバー装置の外れ止め部の構造を示す部分拡大前後方向縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のシフトレバー装置10の車両への取付状態の一例を示す斜視図である。
シフトレバー装置10は、本体ユニット11(本体部)と、車体1への固定用の下部ブラケット12(第1ブラケット)と、を有している。
【0020】
本体ユニット11は、上部ブラケット15(第2ブラケット)と、上部ブラケット15に揺動可能に支持された変速機操作用のレバー16(シフトレバー)を有している。レバー16は図示しない変速機とケーブルを介して接続されており、レバー16の操作により変速機における変速が可能になっている。なお、本体ユニット11は、レバー16の揺動位置を検出するセンサ等の図示しない各種機器を備えてユニット化して構成してもよい。
【0021】
なお、以下の説明では、非操作時におけるレバーの延びる方向を上下方向、レバーの移動方向を前後方向とし、車両に取り付けた際の車両方向を使用してシフトレバー装置10の構造を説明するが、シフトレバー装置10の車両への取り付け方向はこれに限定するものではない。
【0022】
下部ブラケット12は、本体ユニット11の上部ブラケット15を載置する台座部20と、台座部20の四隅部から下方に延びて、車体1に固定する足部21を有している。
【0023】
図2は、本実施形態のシフトレバー装置10における本体ユニット11と下部ブラケット12との組み付け要領を示す斜視図である。
図3は、本体ユニット11と下部ブラケット12との組み付け要領を示す前後方向縦断面面である。
図2、3に示すように、下部ブラケット12の上面には、前後左右方向に延びる略矩形状の平面である台座面25(スライド面))が設けられている。なお、台座面25については、平面以外でもレール形状や格子状であってもよく、後述する上部ブラケット15を置いてスライド可能であればよい。また、下部ブラケット12の上部には、台座面25の左右側端部から上方に突出し前後方向に延びる一対の側壁部26が設けられている。側壁部26は、上部ブラケット15の左右側面を支持する。
【0024】
上部ブラケット15の下面30は、下部ブラケット12の台座面25と略同一の形状である。上部ブラケット15の下面30が、下部ブラケット12の台座面25上に載置される。
【0025】
上部ブラケット15の下端部は、左右方向外方に例えば数mm~数cm程度突出し前後方向に延びる板状の鍔部31(突出部)が左右夫々に形成されている。
【0026】
下部ブラケット12の側壁部26の前部には、台座面25より上方に鍔部31の上下方向の厚さ分の間隔をおいて配置され、側壁部26から左右方向内側に突出したガイド35(支持部)が夫々備えられている。ガイド35の下面と台座面25との上下方向間隔は、上部ブラケット15の鍔部31が略隙間なく挿入可能に配置されている。
【0027】
下部ブラケット12の台座面25の前端部には、台座面25から上方に突出したストッパ38が備えられている。ストッパ38は、下部ブラケット12に対し本体ユニット11を固定位置に前後位置合わせをした際に、上部ブラケット15の前下端部が当接して本体ユニット11の前方(移動方向先方側)への移動を規制する。なお、本実施形態では、ストッパ38は台座面25の前端部の左右端部付近に2か所設けられている。
【0028】
下部ブラケット12の一対の側壁部26の後部には、左右方向に貫通して穴部33(固定部)が夫々設けられている。また、上部ブラケット15には、下部ブラケット12に対し本体ユニット11を固定位置に配置した際に、2個の穴部33と同軸上に貫通する穴部34(固定部)が備えられている。穴部33及び穴部34はスプリングピン等のピン32を挿入可能である。ピン32については、スプリングピン以外にも中実のシャフトや中空のシャフト等のピンでもよい。なお、穴部33、穴部34及びピン32が、本体ユニット11と下部ブラケット12との固定位置において下部ブラケット12と上部ブラケット15との前後方向の移動を規制する本願発明の固定部に該当する。
【0029】
本体ユニット11と下部ブラケット12とを組み付ける手順について、
図2、3を用いて説明する。
【0030】
始めに、
図2(A)及び
図3(A)に示すように、下部ブラケット12の後方に本体ユニット11を位置させる。このとき、下部ブラケット12の台座面25に対し上部ブラケット15の下面30の上下位置を合わせる。また、下部ブラケット12の一対の側壁部26の間に上部ブラケット15の下面30の左右位置を合わせる。
【0031】
そして、下部ブラケット12に対して本体ユニット11を、上部ブラケット15の前下端部がストッパ38に当接するまで前方(所定の前後方向)にスライドさせ、
図2(B)及び
図3(B)に示すように、下部ブラケット12と本体ユニット11との前後位置を固定位置に合わせる。このとき、下部ブラケット12におけるガイド35と台座面25との隙間に上部ブラケット15の鍔部31が挿入され、下部ブラケット12に対し本体ユニット11の上部ブラケット15の前部が支持される。
【0032】
そして、一対の側壁部26の穴部33と上部ブラケット15の穴部34にピン32を挿入することで、上部ブラケット15の後部と下部ブラケット12とが支持され、本体ユニット11と下部ブラケット12とが固定される。なお、この本体ユニット11と下部ブラケット12とを組み付ける際に、本体ユニット11、下部ブラケット12、ピン32の支持及び移動については、ロボットが使用されることが想定されている。
【0033】
図4~8を用いてシフトレバー装置10の各部の詳細について説明する。
【0034】
図4は、シフトレバー装置10の上面図である。
図5は、シフトレバー装置10の左右方向縦断面図である。
図6は、シフトレバー装置10の前側支持部の構造を示す部分拡大左右方向縦断面図である。
図7は、シフトレバー装置10の前後方向縦断面図である。
図8は、シフトレバー装置10の外れ止め部の構造を示す部分拡大前後方向縦断面図である。なお、
図4は、下部ブラケット12に対して本体ユニット11を前方にスライドしている途中での状態を示している。
図5は、下部ブラケット12に対して本体ユニット11を前方にスライド完了して固定位置に位置させた状態において、
図4中に記載したA-A部の断面図である。
図6は、
図5中に記載したC部の拡大図である。
図7は、下部ブラケット12に対して本体ユニット11を前方にスライド完了した状態において、
図4中に記載したB-B部の断面図である。
図8は、
図7中に記載したD部の拡大図である。
【0035】
図4に示すように、本実施形態の下部ブラケット12における一対の側壁部26の左右間隔は、前部に対して後部が広くなっている。これに伴い上部ブラケット15の下面30も、前部の左右幅に対して後部の左右幅が大きくなっている。本実施形態では、上部ブラケット15の右側の鍔部31の前後方向中間部では、右端面が前方(移動方向先方側)に向かって左側(左右方向内側)に傾斜した傾斜面40(第1斜面部)を有している。また、傾斜面40に合わせて右側の側壁部26にも前方に向かって左側に傾斜した傾斜面41(第2斜面部)を有している。
【0036】
上部ブラケット15及び下部ブラケット12は、例えば樹脂のように、比較的強度が高くわずかに弾性を有する部材で形成されている。
【0037】
このように、下部ブラケット12の一対の側壁部26の後方側の間隔が、上部ブラケット15の前端部より左右幅が広くなっているので、下部ブラケット12に本体ユニット11を組み付ける際に、下部ブラケット12の後方で本体ユニット11の左右方向の位置決め精度を高くする必要がない。そして、下部ブラケット12の一対の側壁部26の間を前方に本体ユニット11を移動させることで、鍔部31の傾斜面40が側壁部26の傾斜面41に接触して本体ユニット11を左方に移動させ、下部ブラケット12に対する本体ユニット11の左右方向相対位置の位置決めが容易になる。
【0038】
また、
図3に示すように、下部ブラケット12の台座面25の前端部に、下部ブラケット12に対して本体ユニット11の前方への移動を規制するストッパ38を備えているので、下部ブラケット12に対する本体ユニット11の前後方向の位置決めを容易にかつ正確に行うことができる。
【0039】
図5、6に示すように、下部ブラケット12に本体ユニット11を固定した際に、ガイド35の下面と鍔部31の上面とは微小な隙間を保って対向するように設定されているとともに、上部ブラケット15における鍔部31の上側の左右の側壁部53とガイド35の左右内側の端面とは微小な隙間を保って対向するように設定されている。
【0040】
このように、下部ブラケット12は、ガイド35と台座面25とによって上部ブラケット15の鍔部31を上下に挟み込むように支持する構造になっているので、上部ブラケット15の前部において上部ブラケット15と下部ブラケット12との上下方向の移動を規制することができる。また、上部ブラケット15の左右の側壁部53とガイド35の左右内側の端面とが接触するように構成されていることで、上部ブラケット15と下部ブラケット12との左右方向の移動が規制される。なお、上部ブラケット15の後部では、ピン32によって上部ブラケット15と下部ブラケット12とが支持されており、上部ブラケット15と下部ブラケット12との前後方向の移動が規制されているものの、当該支持部ではピン32を中心として互いに揺動可能な構成である。しかしながら、上部ブラケット15の前部において、鍔部31とガイド35によって上下左右方向に移動不能に支持されるので、上部ブラケット15と下部ブラケット12とが前後左右上下方向のいずれの方向にも移動不能に強固に固定することが可能になる。
【0041】
また、上部ブラケット15の前部(前後方向中間位置より固定位置への移動方向先方側)において鍔部31とガイド35によって下部ブラケット12と上下左右方向に移動不能に支持され、上部ブラケット15の後部(前後方向中間位置より固定位置への移動方向後方側)においてピン32によって下部ブラケット12と少なくとも前後方向に移動不能に支持されるので、上部ブラケット15は前後方向に離間した2か所の位置で下部ブラケット12と支持あるいは固定される。したがって、シフトレバー装置10を車体1へ固定した後に、レバー16等の操作により本体ユニット11に前後方向にモーメント荷重が作用した際に、支持位置及び固定位置に作用する荷重を低減させることができる。
【0042】
更に、ガイド35の下面には、下方に突出した第1凸部50が備えられている。また、上部ブラケット15の左右の側壁部53の鍔部31の上方には、ガイド35に向かって左右外方に突出する第2凸部55を有している。なお、第1凸部50及び第2凸部55は。前後方向に延びるように形成されている。
【0043】
このように、ガイド35と鍔部31との接触部である一対の上下対向面に弾性を有する第1凸部50を備えることで、ガイド35と鍔部31との上下方向のガタつきが抑えられる。また、ガイド35と鍔部31付近の側壁部53との接触部である一対の左右対向面に弾性を有する第2凸部55を有することで、ガイド35と鍔部31付近の側壁部53との左右方向のガタつきが抑えられる。これにより、下部ブラケット12と上部ブラケット15の前部において、上下方向及び左右方向のがたつきを抑えることができる。
【0044】
図2、7、8に示すように、下部ブラケット12の台座面25の前後方向略中央部には、上方に突出した爪部60(保持部)が備えられている。爪部60は、例えば台座面25を後方側を除いてコの字状に切り欠いて、前方側を上方に折り曲げて前端部を数mm上方に突出させるようにして形成される。
【0045】
なお、上部ブラケット15は、下部ブラケット12の爪部60に対応する前後位置において、左右方向に延びる板状部材61の下端が上部ブラケット15の最下端になっている。下部ブラケット12に対し上部ブラケット15を固定位置に位置させたときに、上部ブラケット15の板状部材61の下端部の後端が爪部60の前端部に係止されるように、爪部60の前後位置が設定されている。
【0046】
このような構成により、下部ブラケット12に対し上部ブラケット15を前方にスライドさせて固定位置に位置させることで、上部ブラケット15の板状部材61と爪部60とが係止され、下部ブラケット12に対する本体ユニット11の後方への移動が妨げられる。
【0047】
したがって、下部ブラケット12と本体ユニット11とを固定位置に位置合わせした後に、下部ブラケット12に対して本体ユニット11が後方へ移動することが抑制されて位置合わせした状態が保持されるので、穴部33、34へのピン32の挿入を容易にすることができる。
【0048】
以上のように本実施形態では、下部ブラケット12の台座面25に本体ユニット11の上部ブラケット15を載置して本体ユニット11をストッパ38に当接するまで前方にスライドして固定位置に移動することで、鍔部31とガイド35によって上部ブラケット15と下部ブラケット12との左右方向及び上下方向の相対移動が規制され、ピン32を穴部33及び穴部34に挿入することで上部ブラケット15と下部ブラケット12との前後方向の相対移動が規制され、本体ユニット11と下部ブラケット12とを固定することができる。
【0049】
これにより、本体ユニット11と下部ブラケット12とを簡単な相対移動で組み付けることが可能になる。ロボット等の工作機械により本体ユニット11と下部ブラケット12とを組み付ける場合に移動制御が容易になり、シフトレバー装置10の生産性を向上させることができる。また、本体ユニット11と下部ブラケット12とを作業者が組み付ける場合でも容易に組み付けが可能になる。
【0050】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、シフトレバー装置10の各種部品の構造については適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態では、上部ブラケット15の右側の鍔部31に傾斜面40と、下部ブラケット12の右側の側壁部26に傾斜面41を備えているが、左側にあるいは左右両方に設けてもよい。また、傾斜面40及び傾斜面41のうちいずれか一方のみ設けてもよい。
本発明は、各種構造の本体ユニットを有するシフトレバー装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0051】
10 シフトレバー装置
11 本体ユニット(本体部)
12 下部ブラケット(第1ブラケット)
15 上部ブラケット(第2ブラケット)
16 レバー(シフトレバー)
25 台座面(スライド面)
26 側壁部
31 鍔部(突出部)
33、34 穴部(固定部)
35 ガイド(支持部)
32 ピン(固定部)
38 ストッパ
40 傾斜面(第1斜面部)
41 傾斜面(第2斜面部)
50 第1凸部
55 第2凸部
60 爪部(保持部)