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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009190
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112026
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】福島 志保
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA01
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB15
5E316DD17
5E316DD24
5E316EE31
5E316FF03
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG27
5E316HH26
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】第1シード層と第3絶縁層との密着性の向上、および、線間ショートの発生の効果的な防止、を行う。
【解決手段】コア基板CSと、第1ビルドアップ部BU1と、第2ビルドアップ部BU2と、第3ビルドアップ部BU3と、第4ビルドアップ部BU4と、を有する配線基板であって、第3絶縁層は、上面と、上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層は、シード層とシード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、シード層は、第1層と第1層上に形成される第2層とを有しており、第3絶縁層に近い方から順に第1層、第2層、電解めっき層で構成されており、第3導体層の断面において、第1層の幅は第2層の幅より大きく、電解めっき層の幅は第1層の幅より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、
前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、
前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、
前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、
前記第3導体層に含まれる配線の最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下であり、
前記第3絶縁層は、上面と、前記上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と前記下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、
前記第3導体層は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、
前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、前記第3絶縁層に近い方から順に前記第1層、前記第2層、前記電解めっき層で構成されており、
前記第3導体層の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記コア基板がガラスコアである。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線のアスペクト比は2以上4以下である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面である。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板において、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層のそれぞれは無機粒子を含んでおり、前記第3絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径は、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さい。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部を構成する第3絶縁層の体積と前記第4ビルドアップ部を構成する第4絶縁層の体積とは、略等しい。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部における第3導体が占める体積と前記第4ビルドアップ部における第4導体が占める体積とは、略等しい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビルドアップ部を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、図4に示すように、表面が粗化された絶縁層52上に導体回路53が形成されているプリント配線板51を開示している。導体回路53は、絶縁層52表面の粗化面に追従して形成される無電解めっき膜(シード層)54と、無電解めっき膜54上に形成される電解めっき膜55とによって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-214828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、図4に示すように、無電解めっき膜54の幅D4は高さ方向に同じ幅となっている。無電解めっき膜54と絶縁層52との密着性を高めるためには、無電解めっき膜54の幅D4を大きくする必要がある。しかし、無電解めっき膜54の幅D4を大きくしすぎると、隣接する導体回路との間で線間ショートが発生しやすくなる。そのため、絶縁層52との密着性が高く、かつ、隣接する導体回路との線間ショートの発生ない無電解めっき膜54を設計することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、前記第3導体層に含まれる配線の最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下であり、前記第3絶縁層は、上面と、前記上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と前記下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、前記第3導体層は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、前記第3絶縁層に近い方から順に前記第1層、前記第2層、前記電解めっき層で構成されており、前記第3導体層の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を模式的に示す断面図である。
図3A】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3B】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3C】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3D】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3E】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3F】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3G】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3H】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3I】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4】従来のプリント配線板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図4に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0008】
図1は、本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を説明するための断面図である。図1において、CSは、例えば図中上側の第1面CS1および下側の第2面CS2を有するコア基板である。BU1は、コア基板CSの第1面CS1上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11を含む第1ビルドアップ部である。BU2は、コア基板CSの第2面CS2上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21を含む第2ビルドアップ部である。BU3は、第1ビルドアップ部BU1上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層32及び複数の第3導体層31を含む第3ビルドアップ部である。BU4は、第2ビルドアップ部BU2上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41を含む第4ビルドアップ部である。本実施形態では、上記構成の配線基板1の第3ビルドアップ部BU3上に、チップ1およびチップ2が搭載されている。
【0009】
図1に示す本発明に係る配線基板においては、コア基板CSとしてガラスコアを用いることが好ましい。コア基板としてガラスコアを用いると、他の材料のコア基板を用いた配線基板と比べて、高密度配線が形成し易くなる。ガラスコアとしては、従来から知られているいずれの材料をも使用できる。例えば、耐熱性と耐衝撃性に優れ、熱膨張係数がシリコンに近い、ホウ珪酸ガラスを用いることができる。
【0010】
本実施形態に係る配線基板の特徴は、第3ビルドアップ部BU3の構造にある。すなわち、本実施形態に係る配線基板では、第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、第3導体層に含まれる配線の最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下であり、第3絶縁層は、上面と、上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層は、シード層とシード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、シード層は、第1層と第1層上に形成される第2層とを有しており、第3絶縁層に近い方から順に第1層、第2層、電解めっき層で構成されており、第3導体層の断面において、第1層の幅は第2層の幅より大きく、電解めっき層の幅は第1層の幅より大きい。
【0011】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3が、上記構成を備えることで、第3ビルドアップ部BU3において、第3絶縁層との密着性が高く、かつ、隣接する第3導体層との線間ショートの発生ないシード層を形成することができる。
【0012】
図2は、本実施形態に係る配線基板における第3ビルドアップ部BU3の各層の一実施形態における特徴部分を説明するための模式図である。図2において、説明の対象となる層L1の構成は、層L1以外の層と同じ構成となっている。説明の対象となる層L1の上下に連続して層L1以外の層が形成されている。
【0013】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における各層が、図2に示す構成を含んでいる。図2において、第3導体層31は、シード層38とシード層38上に形成される電解めっき層31dによって形成されている。シード層38は、第1層38-1と第1層38-1上に形成される第2層38-2とを有している。第3絶縁層32に近い方から順に第1層38-1、第2層38-2、電解めっき層31dで構成されている。第3導体層31の断面において、第1層38-1の幅D2は第2層38-2の幅D3より大きい。電解めっき層31dの幅D1は第1層38-2の幅D2より大きい。
【0014】
本実施形態に係る配線基板では、図2に示す中間体において、第1層38-1の幅D2は第2層38-2の幅D3より大きいことで、第1シード層38-1と第3絶縁層32との密着性を向上することができる。また、電解めっき層31dの幅D1は第1層38-2の幅D2より大きいことで、隣接する第3導体層31のシード層と対象となる図2のシード層38との距離を大きくすることができ、線間ショートの発生を効果的に防止することができる。
【0015】
図2の実施形態では、樹脂からなる第3絶縁層32を示している。好ましい態様として、第3絶縁層32は、樹脂と無機粒子とを含むこともできる。また、好ましい態様として、第1絶縁層、第2絶縁層、及び、第3絶縁層のそれぞれは無機粒子を含んでおり、第3絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径は、第1絶縁層及び第2絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さい。さらに、図2に基づく説明では、第3導体層31の断面におけるD1-D3の大きさの関係を特定しているが、ビア導体とシード層との関係も同様の関係とすることができる。
【0016】
<本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について>
第1ビルドアップ部BU1、第2ビルドアップ部BU2、および、第4ビルドアップ部BU4については、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11の形成、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21の形成、および、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41の形成を、従来から公知の方法で行うことができる。ここでは、それらの詳細については説明を省いている。
【0017】
図3A図3Iを参照にして、本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について説明する。
【0018】
まず、図3Aに示すように、下層L2上に、対象となる層L1の樹脂からなる第3絶縁層32を形成するとともに、第3絶縁層32の上面32aに保護膜36を形成する。樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれらの複合樹脂を用いることが好ましい。保護膜36としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムなどを用いることが好ましい。
【0019】
次に、図3Bに示されるように、保護膜36の上からレーザ光が照射される。レーザ光は保護膜36と第3絶縁層32とを同時に貫通する。これにより、下層L2の第3導体層31上にビア導体形成用のビア開口37が形成される。レーザ光は、例えばUVレーザ光、COレーザ光である。ビア開口37により下層の第3導体層31が露出される。ビア開口37が形成される時、第3絶縁層32の上面32aは保護膜36で覆われている。そのため、ビア開口37が形成される時、樹脂が飛散しても、第3絶縁層32の上面32aへの樹脂の付着が抑制される。
【0020】
次に、図3Cに示されるように、第3絶縁層32の上面32aを保護膜36で覆った状態で、ビア開口37内に対しドライプロセス(プラズマ)でデスミア処理を行う。これにより、ビア開口37の内壁面37aは粗化されるが、第3絶縁層32の上面32aは粗化されない。デスミア処理は、例えばフルオロカーボン系ガスを含む反応性イオンエッチング(RIE)により行うことができる。
【0021】
次に、図3Dに示されるように、第3絶縁層32の上面32aから保護膜36が除去される。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aを荒らすことは行われない。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aが、Arスパッタリングによるドライエッチングにより、クリーニングされる。
【0022】
次に、図3Eに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上にシード層38が形成される。シード層38はスパッタによって形成される。シード層38の形成はドライプロセスで行われる。シード層38はビア開口37から露出する下層の第3導体層31の上面とビア開口37の内壁面37aにも形成される。本実施形態では、シード層38は、銅とケイ素とアルミニウムを含む合金をスパッタすることにより形成される第1層38-1と、その上に銅をスパッタすることで形成される第2層38-2と、で構成されている。
【0023】
次に、図3Fに示されるように、シード層38上にめっきレジスト40が形成される。めっきレジスト40は、導体パッド31aと配線31bとからなる第3導体層31を形成するための開口を有する。
【0024】
次に、図3Gに示されるように、めっきレジスト40から露出するシード層38上に電解めっき層31dが形成される。電解めっき層31dはビア開口37を充填する。電解めっき層31dは、めっきレジスト40の高さより高く形成される。すなわち、例えば、図3Gに示されるように、電解めっき層31dが、めっきレジスト40の上面よりも外側に、上面が凸球面状を有するように形成される。
【0025】
次に、図3Hに示されるように、電解めっき層31d、及び、めっきレジスト40の上側の一部が、研磨によって除去される。研磨は、電解めっき層31dの厚さが求められる所望の厚さとなるまで行われる。研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により実施される。
【0026】
その後、めっきレジスト40およびその下層のシード層38が除去される。これにより、図3Iに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上のシード層38と電解めっき層31dによって、配線31bが形成される。ビア開口37内のシード層38と電解めっき層31dによって、ビア開口37内にビア導体39と、その上に導体パッド31aが形成される。以上のようにして、図3Iに示されるように、本発明の一実施形態に係る配線基板が得られる。
【0027】
上述した図2に示すように、幅D2を有する第1層38-1および幅D3を有する第2層38-2の形成は、スパッタによる成膜後、シード層38をエッチングして除去する際、エッチング液の温度や濃度などのエッチング条件を制御することで行うことができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3において、シード層38および電解めっき層31dを形成する際、図2に示すように、幅D1を有する電解めっき層31d、幅D2を有する第1層38-1および幅D3を有する第2層38-2を形成している。そのため、第1シード層38-1と第3絶縁層32との密着性の向上、および、線間ショート発生の効果的な防止、を実施することができる。
【0029】
以下、本発明に係る配線基板において、好適な実施形態について説明する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31に含まれる配線31bは、アスペクト比が2以上4以下となるように形成されていることが好ましい。このように、第3ビルドアップ部BU3が、比較的高いアスペクト比を有する配線31bを有していることにより、表層部に比較的高密度の配線31bを有する配線基板が実現され得る。配線基板の表層部において搬送される電気信号に対応した、より適切な配線が提供される。
【0031】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面であることが好ましい。第3導体層31に含まれる配線の上面を研磨面とすることで、第3導体層31の上面は粗さが比較的小さく平坦であり、よって、第3導体層31は比較的均一な厚さとされている。
【0032】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3絶縁層32が樹脂と無機粒子とで構成されている場合、第3絶縁層32に含まれる無機粒子の最大粒径が、第1絶縁層12及び第2絶縁層22に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さいことが好ましい。比較的高密度に形成される配線31bに接する第3絶縁層32に無機粒子が含まれる場合に、隣り合う配線31b、31b間に粒径の比較的大きい無機粒子が位置すると、無機粒子の表面を介するマイグレーションにより配線31b、31b間の短絡が発生する場合がある。従って、第3絶縁層32に含まれ得る無機粒子の最大の粒径が比較的小さいことで、配線31b、31bにおける短絡の虞が低減することができる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3ビルドアップ部BU3を構成する第3絶縁層32の体積と第4ビルドアップ部BU4を構成する第4絶縁層42の体積とは、略等しいことが好ましい。また、第3ビルドアップ部BU3における導体が占める体積と第4ビルドアップ部BU4における導体が占める体積とは、略等しいことが好ましい。これらの条件を満たすことで、配線基板1の反りを低減させることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 配線基板
11 第1導体層
12 第1絶縁層
21 第2導体層
22 第2絶縁層
31 第3導体層
31a 導体パッド
31b 配線
31d 電解めっき層
32 第3絶縁層
32a 上面
36 保護膜
37 ビア開口
37a 内壁面
38 シード層
38-1 第1層
38-2 第2層
39 ビア導体
40 めっきレジスト
41 第4導体層
42 第4絶縁層
BU1 第1ビルドアップ部
BU2 第2ビルドアップ部
BU3 第3ビルドアップ部
BU4 第4ビルドアップ部
CS コア基板
CS1 第1面
CS2 第2面
L1 対象となる層
L2 下層
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4