(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091917
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】ゲートドライバ回路、それを用いたモータ駆動装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
H02M 1/00 20070101AFI20250612BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20250612BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20250612BHJP
【FI】
H02M1/00 E
H02M1/08 A
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207469
(22)【出願日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】菅本 裕樹
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB05
5H740BB09
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH03
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM00
5H740MM01
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770GA01
5H770GA06
5H770HA03X
5H770LA06Y
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】回路面積の増加を抑えつつ、異常検出が可能なゲートドライバ回路を提供する。
【解決手段】ハイサイドセンサ280は、インバータ回路110を構成するハイサイドトランジスタMHの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとハイサイド検出信号HDETをアサートする。ハイサイドドライバ220は、ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成される。制御回路210は、制御信号S
CTRLがハイサイドトランジスタMHのオンを指示するとき、ハイサイドドライバ220にハイ電圧を発生させるとともに、ハイサイド検出信号HDETのアサートに応答して、ハイサイドドライバ220の駆動能力を変化させる。制御回路210は、ハイサイド検出信号HDETのアサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ回路を構成するハイサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとハイサイド検出信号をアサートするハイサイドセンサと、
前記ハイサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたハイサイドドライバと、
制御信号が前記ハイサイドトランジスタのオンを指示するとき、前記ハイサイドドライバに前記ハイ電圧を発生させるとともに、前記ハイサイド検出信号のアサートに応答して、前記ハイサイドドライバの駆動能力を変化させる制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記ハイサイド検出信号の前記アサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する、ゲートドライバ回路。
【請求項2】
前記ハイサイドセンサは、前記ハイサイドトランジスタのドレインソース間電圧を監視する、請求項1に記載のゲートドライバ回路。
【請求項3】
前記ハイサイドセンサは、前記ハイサイドトランジスタのゲートソース間電圧を監視する、請求項1に記載のゲートドライバ回路。
【請求項4】
前記所定時間は、正常時の前記ハイサイドトランジスタのターンオン時間より長い、請求項1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記ハイサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定する、請求項1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【請求項6】
前記インバータ回路を構成するローサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとローサイド検出信号をアサートするローサイドセンサと、
前記ローサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたローサイドドライバと、
をさらに備え、
前記制御回路は、前記制御信号が前記ローサイドトランジスタのオンを指示するとき、前記ローサイドトランジスタに前記ハイ電圧を発生させるとともに、前記ローサイド検出信号のアサートに応答して、前記ローサイドドライバの駆動能力を変化させ、
前記制御回路は、前記ローサイド検出信号の前記アサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する、請求項1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【請求項7】
前記制御回路は、前記ローサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定する、請求項6に記載のゲートドライバ回路。
【請求項8】
ひとつの半導体基板に一体集積化された、請求項1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【請求項9】
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むインバータ回路と、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタを駆動する請求項1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項10】
モータと、
前記モータを駆動する請求項9に記載のモータ駆動装置と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲートドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モータドライバ回路は、ブリッジ回路と、ブリッジ回路を駆動するゲートドライバ回路を備える。ブリッジ回路は、ハーフブリッジ回路、Hブリッジ回路、三相ブリッジ回路(以下、ブリッジ回路と総称する)などであり、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを備える。
【0003】
ゲートドライバ回路は、ハイサイドトランジスタを駆動するハイサイドドライバ、ローサイドトランジスタを駆動するローサイドドライバを備える。ハイサイドトランジスタやローサイドトランジスタのゲート電圧を急峻に変化させると、フライホイルダイオードの逆回復電流に起因する貫通電流や、リンギングが発生する。
【0004】
貫通電流やリンギングを抑制するために、ハイサイドドライバおよびローサイドドライバは、駆動能力(電流供給能力)が制御可能(切り替え可能)に構成される。ゲートドライバ回路は、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタそれぞれのゲートドレイン間電圧および/またはゲートソース間電圧をしきい値電圧と比較するセンサ群を備える。そして、センサ群の出力の変化に応答して、ハイサイドトランジスタやローサイドトランジスタの駆動能力を、ハイサイドトランジスタやローサイドトランジスタのオン/オフの程度に応じて変化させていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
[概要]
ゲートドライバ回路において、ブリッジ回路の出力端子の天絡や地絡などの異常を検出したい場合、駆動能力の制御のためのセンサ群とは別に、異常検出用のセンサ群を設ける必要があった。これにより回路面積が増大し、および/または消費電力が増加していた。
【0007】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものあり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、回路面積の増加を抑えつつ、異常検出が可能なゲートドライバ回路の提供にある。
【0008】
本開示のある態様のゲートドライバ回路は、インバータ回路を構成するハイサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとハイサイド検出信号をアサートするハイサイドセンサと、ハイサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたハイサイドドライバと、制御信号がハイサイドトランジスタのオンを指示するとき、ハイサイドドライバにハイ電圧を発生させるとともに、ハイサイド検出信号のアサートに応答して、ハイサイドドライバの駆動能力を変化させる制御回路と、を備える。制御回路は、ハイサイド検出信号のアサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する。
【0009】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、本開示の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るゲートドライバ回路を備えるスイッチング回路の回路図である。
【
図2】
図2は、
図1のスイッチング回路の正常状態における動作を説明する波形図である。
【
図3】
図3は、
図1のスイッチング回路の異常状態における動作を説明する波形図である。
【
図4】
図4は、
図1のスイッチング回路の正常状態における動作を説明する波形図である。
【
図5】
図5は、
図1のスイッチング回路の異常状態における動作を説明する波形図である。
【
図6】
図6は、
図1のスイッチング回路における異常検出の変形例を説明する図である。
【
図7】
図7は、ハイサイドセンサの構成例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係るゲートドライバ回路を備えるスイッチング回路の回路図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係るゲートドライバ回路を備えるスイッチング回路の回路図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係るスイッチング回路を備えるモータ駆動装置の回路図である。
【0011】
[詳細な説明]
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後で提示するより詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0013】
一実施形態に係るゲートドライバ回路は、インバータ回路を構成するハイサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとハイサイド検出信号をアサートするハイサイドセンサと、ハイサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたハイサイドドライバと、制御信号がハイサイドトランジスタのオンを指示するとき、ハイサイドドライバにハイ電圧を発生させるとともに、ハイサイド検出信号のアサートに応答して、ハイサイドドライバの駆動能力を変化させる制御回路と、を備える。制御回路は、ハイサイド検出信号のアサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する。
【0014】
この態様によると、ひとつのセンサを、ハイサイドドライバの駆動能力の制御と、異常検出の両方で兼用でき、回路面積の増加を抑えつつ、異常検出機能を追加できる。
【0015】
一実施形態において、ハイサイドセンサは、ハイサイドトランジスタのドレインソース間電圧を監視してもよい。
【0016】
一実施形態において、ハイサイドセンサは、ハイサイドトランジスタのゲートソース間電圧を監視してもよい。
【0017】
一実施形態において、所定時間は、正常時のハイサイドトランジスタのターンオン時間より長くてもよい。
【0018】
一実施形態において、制御回路は、ハイサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定してもよい。
【0019】
一実施形態において、ゲートドライバ回路は、インバータ回路を構成するローサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとローサイド検出信号をアサートするローサイドセンサと、ローサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたローサイドドライバと、をさらに備えてもよい。制御回路は、制御信号がローサイドトランジスタのオンを指示するとき、ローサイドトランジスタにハイ電圧を発生させるとともに、ローサイド検出信号のアサートに応答して、ローサイドドライバの駆動能力を変化させ、制御回路は、ローサイド検出信号のアサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定してもよい。
【0020】
一実施形態において、制御回路は、ローサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定してもよい。
【0021】
一実施形態において、ゲートドライバ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
【0022】
一実施形態に係るモータ駆動装置は、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むインバータ回路と、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを駆動する上述のいずれかのゲートドライバ回路と、を備えてもよい。
【0023】
一実施形態に係る電子機器は、モータと、モータを駆動する上述のモータ駆動装置と、を備えてもよい。
【0024】
(実施形態)
以下、好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
図1は、実施形態に係るゲートドライバ回路200を備えるスイッチング回路100の回路図である。スイッチング回路100は、ブリッジ回路110およびゲートドライバ回路200を備える。ここでは、スイッチング回路100の一相分の構成のみを示すが、スイッチング回路100は、三相であってもよいし、Hブリッジ回路であってもよい。
【0028】
ブリッジ回路110は、電源ライン(入力ライン)102と出力端子(出力ライン)104の間に設けられる上アーム112と、出力ライン104と接地ライン106の間に設けられる下アーム114を備える。上アーム112は、並列に接続されるハイサイドトランジスタMHとフライホイルダイオード(還流ダイオード)DHを含む。下アーム114は、並列に接続されるローサイドトランジスタMLとフライホイルダイオードDLを含む。本実施形態において、ハイサイドトランジスタMHおよびローサイドトランジスタMLは、NチャンネルMOSFETであり、それぞれのボディダイオードが、フライホイルダイオードDH,DLを兼ねている。プリケーションによっては、ローサイドトランジスタMLと接地ライン106の間に、電流検出用のシャント抵抗が挿入される場合もある。
【0029】
ゲートドライバ回路200は、制御信号SCTRLにもとづいて、ブリッジ回路110のハイサイドトランジスタMHおよびローサイドトランジスタMLを制御する。制御信号SCTRLは、3つの状態φ1~φ3を取り得る。
【0030】
第1状態φ1は、ハイサイドトランジスタMHがオン、ローサイドトランジスタMLがオフであるハイ出力状態(VOUT=VIN)を指示する状態である。
【0031】
第2状態φ2は、ハイサイドトランジスタMHがオフ、ローサイドトランジスタMLがオンであるロー出力状態(VOUT=0V)を指示する状態である。
【0032】
第3状態φ3は、ハイサイドトランジスタMHがオフ、ローサイドトランジスタMLがオフであるハイインピーダンス状態(VOUT=HiZ)を指示する状態である。
【0033】
ゲートドライバ回路200は、制御回路210、ハイサイドドライバ220、ローサイドドライバ260、ハイサイドセンサ280、ローサイドセンサ290を備え、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。
【0034】
ゲートドライバ回路200のハイサイドゲートピンHGは、ハイサイドトランジスタMHのゲートと接続され、ローサイドゲートピンLGは、ローサイドトランジスタMLのゲートと接続される。接地ピンGNDは、ローサイドトランジスタMLのソースと接続される。スイッチングピンSWは、出力ライン104と接続される。ブートストラップピンBSTとスイッチングピンSWの間には、ブートストラップキャパシタCBSTが外付けされる。
【0035】
ブートストラップライン202は、ブートストラップピンBSTと接続され、スイッチングライン204は、スイッチングピンSWと接続され、接地ライン206はGNDピンと接続されている。ブートストラップライン202には、整流素子208を介して定電圧VREGが印加される。整流素子208とブートストラップキャパシタCBSTはブートストラップ回路を形成しており、ブリッジ回路110のスイッチング動作を利用して、ブートストラップライン202に、スイッチングライン204の電圧(スイッチング電圧)VOUTよりも所定電圧ΔVだけ高いブートストラップ電圧VBSTを発生させる。整流素子208の順方向電圧をVfとするとき、ΔV=VREG-Vfとなる。
【0036】
制御回路210は、制御信号SCTRLが第1状態φ1であるとき、ハイサイドトランジスタMHがオン、ローサイドトランジスタMLがオフとなり、制御信号SCTRLが第2状態φ2であるとき、ハイサイドトランジスタMHがオフ、ローサイドトランジスタMLがオンとなるように、制御信号SCTRLが第3状態φ3であるとき、ハイサイドトランジスタMHがオフ、ローサイドトランジスタMLがオフとなるように、ハイサイド制御信号HCTRLおよびローサイド制御信号LCTRLを生成する。
【0037】
ハイサイドドライバ220は、ハイサイド制御信号HCTRLに応じてハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGを制御する。ハイサイドドライバ220の上側電源ノード221は、ブートストラップライン202と接続され、ブートストラップ電圧VBSTが供給される。下側電源ノード222は、スイッチングライン204と接続され、スイッチング電圧VOUTが供給される。ハイサイドドライバ220は、ハイサイド制御信号HCTRLに応じて、ハイ電圧VBST,ロー電圧VOUTの一方を、ハイサイドゲートピンHGに発生する。
【0038】
ハイサイドドライバ220は、駆動能力が制御可能に構成される。ハイサイドドライバ220は、電流駆動型あるいは電圧駆動型で構成される。電流駆動型のハイサイドドライバの場合、その駆動能力は、ハイサイドトランジスタMHのゲートにソースする電流量、あるいはゲートからシンクする電流量と把握することができる。電圧駆動型のハイサイドドライバの場合、その駆動能力は、出力インピーダンスと把握することができる。要するに、ハイサイドドライバ220は、ハイサイドゲートピンHGに発生するゲート電圧VHGの傾き(スルーレート)を切り替え可能に構成されている。
【0039】
ローサイドドライバ260は、ローサイド制御信号LCTRLに応じて、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGを制御する。ローサイドドライバ260の上側電源ノード261には電源電圧VDDが供給され、ローサイドドライバ260の下側電源ノード262には接地電圧が供給される。
【0040】
ローサイドドライバ260もハイサイドドライバ220と同様に、駆動能力が制御可能に構成され、ローサイドゲートピンLGに発生するゲート電圧VLGの傾きを切り替え可能に構成されている。
【0041】
ハイサイドセンサ280は、ハイサイドトランジスタMHの2つのノード間の電圧を、所定のしきい値レベルVTH(H)と比較する。ハイサイドセンサ280は、2つのノードの電位差がしきい値レベルVTH(H)とクロスすると、ハイサイド検出信号HDETをアサート(たとえばハイ)する。本実施形態では、ハイサイドセンサ280は、ハイサイドトランジスタMHのターンオンシーケンスにおいて、ハイサイドトランジスタMHのドレインソース間の電圧VDS(H)を、しきい値レベルVTH(H)と比較し、VDS(H)<VTH(H)となると、ハイサイド検出信号HDETをアサートする。
【0042】
制御回路210は、制御信号SCTRLが第1状態φ1であるとき、つまりハイサイドトランジスタMHのオンを指示するとき、ハイサイドドライバ220にハイ電圧VBSTを発生させる。そして、ハイサイド検出信号HDETのアサートに応答して、ハイサイドドライバ220の駆動能力、つまりゲート電圧VHGの上昇速度を変化させる。
【0043】
ローサイドセンサ290は、ローサイドトランジスタMLの2つのノード間の電圧を、所定のしきい値レベルVTH(L)と比較する。ハイサイドセンサ280は、2つのノードの電位差がしきい値レベルVTH(L)とクロスすると、ローサイド検出信号LDETをアサートする。本実施形態では、ローサイドセンサ290は、ローサイドトランジスタMLのターンオンシーケンスにおいて、ローサイドトランジスタMLのドレインソース間の電圧VDS(L)を、しきい値レベルVTH(L)と比較し、VDS(L)<VTH(L)となると、ローサイド検出信号LDETをアサートする。
【0044】
制御回路210は、制御信号SCTRLが第2状態φ2であるとき、つまりローサイドトランジスタMLのオンを指示するとき、ローサイドドライバ260にハイ電圧VDDを発生させる。そして、ローサイド検出信号LDETのアサートに応答して、ローサイドドライバ260の駆動能力、つまりゲート電圧VLGの上昇速度を変化させる。
【0045】
制御回路210は、制御信号SCTRLが第1状態φ1であるとき、つまりハイサイドトランジスタMHのターンオン期間において、ハイサイド検出信号HDETのアサートが、所定時間τH内に発生しないとき、異常と判定する。この異常は、たとえば出力ライン104の地絡によって発生しうる。制御回路210は異常を検出するとエラー信号ERRをアサートする。所定時間τHは、正常時のハイサイドトランジスタMHのターンオン時間より長く定めることができる。たとえば、所定時間τHはターンオン時間の1倍~10倍とすることができ、ターンオン時間が500nsである場合、所定時間τHは、500ns~5μsの範囲で定めることができる。
【0046】
また制御回路210は、制御信号SCTRLが第2状態φ2であるとき、つまりローサイドトランジスタMLのターンオン期間において、ローサイド検出信号LDETのアサートが、所定時間τL内に発生しないとき、異常と判定する。この異常は、たとえば出力ライン104の天絡によって発生しうる。制御回路210は異常を検出するとエラー信号ERRをアサートする。
【0047】
制御回路210は、ロジック回路212と、タイマー回路214を備える。ロジック回路212は、タイマー回路214を利用して、所定時間τHを計測し、計測している期間、ハイサイド検出信号HDETがアサートされないときに、異常と判定する。同様にロジック回路212は、タイマー回路214を利用して、所定時間τLを計測し、計測している期間、ローサイド検出信号LDETがアサートされないときに、異常と判定する。
【0048】
以上がスイッチング回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0049】
図2は、
図1のスイッチング回路100の正常状態における動作を説明する波形図である。ここではロー出力からハイ出力への遷移を説明する。
【0050】
時刻t0より前において、制御信号SCTRLは第2状態φ2を指示しており、ハイサイド制御信号HCTRLはロー、ローサイド制御信号LCTRLはハイである。
【0051】
時刻t0に、制御信号SCTRLが第1状態φ1に変化する。制御回路210は、ローサイド制御信号LCTRLをローに切り替える。これによりローサイドドライバ260は、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGを低下させる。時刻t1に、図示しないセンサによってローサイドトランジスタMLのオフが検出されると、制御回路210は、ハイサイド制御信号HCTRLをハイに切り替える。
【0052】
ハイサイドドライバ220は、ハイサイド制御信号HCTRLがハイのとき、ハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGを上昇させる。はじめはハイサイドドライバ220の駆動能力は相対的に低く設定される。ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間電圧VGS(H)がMOSFETのゲートしきい値を越えると、ハイサイドトランジスタMHがターンオンする。ハイサイドトランジスタMHがターンオンし、出力電圧VOUTが上昇し始める。
【0053】
出力電圧VOUTの上昇により、ハイサイドトランジスタMHのドレインソース間電圧VDS(H)は低下していく。そして、時刻t2にドレインソース間電圧VDS(H)がしきい値レベルVTH(H)より小さくなると、ハイサイド検出信号HDETがアサートされる。ハイサイド検出信号HDETのアサートに応答して、ハイサイドドライバ220の駆動能力が高められる。その結果、ハイサイドゲート電圧VHGの上昇速度が速くなり、出力電圧VOUTの上昇速度も速くなる。
【0054】
以上がスイッチング回路100の正常状態の動作である。続いて、出力ライン104が地絡している異常状態の動作を説明する。
【0055】
図3は、
図1のスイッチング回路100の異常状態における動作を説明する波形図である。時刻t
1までは
図2と同じである。
【0056】
時刻t1にハイサイドドライバ220は、ハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGを上昇させる。はじめはハイサイドドライバ220の駆動能力は相対的に低く設定される。ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間電圧VGS(H)がMOSFETのゲートしきい値を越えると、ハイサイドトランジスタMHがターンオンする。ハイサイドトランジスタMHがターンオンし、出力電圧VOUTが上昇し始める。
【0057】
ところが、出力ライン104が地絡していると、出力電圧VOUTは上昇することができず、0V付近に留まる。そのため、ハイサイドトランジスタMHのドレインソース間電圧VDS(H)はしきい値レベルVTH(H)より小さくならず、ハイサイド検出信号HDETはネゲートし続ける。
【0058】
時刻t1から所定時間τHの間、ハイサイド検出信号HDETがアサートされないため、制御回路210は異常と判定し、エラー信号ERRをアサートする。
【0059】
このようにスイッチング回路100によれば出力ライン104の地絡を検出できる。
【0060】
続いてハイ出力からロー出力への遷移を説明する。
【0061】
図4は、
図1のスイッチング回路100の正常状態における動作を説明する波形図である。
【0062】
時刻t0より前において、制御信号SCTRLは第1状態φ1を指示しており、ハイサイド制御信号HCTRLはハイ、ローサイド制御信号LCTRLはローである。
【0063】
時刻t0に、制御信号SCTRLが第2状態φ2に変化する。制御回路210は、ハイサイド制御信号HCTRLをローに切り替える。これによりハイサイドドライバ220は、ハイサイドトランジスタMHのゲート電圧VHGを低下させる。時刻t1に、図示しないセンサによってハイサイドトランジスタMHのオフが検出されると、制御回路210は、ローサイド制御信号LCTRLをハイに切り替える。
【0064】
ローサイドドライバ260は、ローサイド制御信号LCTRLがハイのとき、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGを上昇させる。はじめはローサイドドライバ260の駆動能力は相対的に低く設定される。ローサイドトランジスタMLのゲートソース間電圧VGS(L)がMOSFETのゲートしきい値を越えると、ローサイドトランジスタMLがターンオンし、出力電圧VOUTが低下し始める。
【0065】
出力電圧VOUTの低下により、ローサイドトランジスタMLのドレインソース間電圧VDS(L)は低下していく。そして、時刻t2にドレインソース間電圧VDS(L)がしきい値レベルVTH(L)より小さくなると、ローサイド検出信号LDETがアサートされる。ローサイド検出信号LDETのアサートに応答して、ローサイドドライバ260の駆動能力が高められる。その結果、ローサイドゲート電圧VLGの上昇速度が速くなり、出力電圧VOUTの低下速度も速くなる。
【0066】
以上がスイッチング回路100の正常状態の動作である。続いて、出力ライン104が天絡している異常状態の動作を説明する。
【0067】
図5は、
図1のスイッチング回路100の異常状態における動作を説明する波形図である。時刻t
1までは
図4と同じである。
【0068】
時刻t1にローサイドドライバ260は、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGを上昇させる。はじめはローサイドドライバ260の駆動能力は相対的に低く設定される。ローサイドトランジスタMLのゲートソース間電圧VGS(L)がMOSFETのゲートしきい値を越えると、ローサイドトランジスタMLがターンオンし、出力電圧VOUTが低下し始める。
【0069】
ところが、出力ライン104が天絡していると、出力電圧VOUTは低下することができず、入力電圧VIN付近に留まる。そのため、ローサイドトランジスタMLのドレインソース間電圧VDS(L)はしきい値レベルVTH(L)より小さくならず、ローサイド検出信号LDETはネゲートし続ける。
【0070】
時刻t1から所定時間τLの間、ローサイド検出信号LDETがアサートされないため、制御回路210は異常と判定し、エラー信号ERRをアサートする。
【0071】
このようにスイッチング回路100によれば出力ライン104の天絡を検出できる。
【0072】
続いて、異常検出の変形例を説明する。
【0073】
図2に示したように、正常にハイ出力状態に遷移した後、一旦アサートされたハイサイド検出信号HDETがネゲートに戻った場合、制御回路210は、異常と判定し、エラー信号ERRをアサートしてもよい。
【0074】
図6は、
図1のスイッチング回路100における異常検出の変形例を説明する図である。
【0075】
時刻t
4より前は、
図2の波形図と同様である。時刻t
4に、出力ライン104が地絡すると、出力電圧V
OUTが0V付近まで低下する。これによりハイサイドトランジスタMHのドレインソース間電圧V
DS(H)が小さくなり、しきい値レベルV
TH(H)より大きくなる。その結果、ハイサイド検出信号H
DETがネゲートされる。制御回路210は、ハイサイド検出信号H
DETのネゲートにもとづいて異常と判定し、エラー信号ERRをアサートする。
【0076】
図4に示したように、正常にロー出力状態に遷移した後、一旦アサートされたローサイド検出信号LDETが、ネゲートに戻った場合、制御回路210は、異常と判定し、エラー信号ERRをアサートしてもよい。
【0077】
図7は、ハイサイドセンサ280の構成例を示す回路図である。ハイサイドセンサ280は、抵抗R11、電流源CS11、コンパレータCOMP11を含む。電流源CS11は、定電流Icを生成する。抵抗R11には、定電流Icに比例した電圧降下R11×Icが発生する。コンパレータCOMP11は、ハイサイドトランジスタMHのソース電圧、つまり出力電圧V
OUTと、抵抗R11の一端の電圧Vx(=V
IN-R11×I
C)と、を比較する。つまり抵抗R11の電圧降下R11×I
Cが、しきい値V
TH(H)となる。
【0078】
ハイサイドセンサ280の構成は、
図7のものに限定されない。たとえばコンパレータに替えて、MOSFETを電圧比較手段として用いてもよい。
【0079】
(変形例1)
図8は、変形例1に係るゲートドライバ回路200Aを備えるスイッチング回路100Aの回路図である。
図1では、ハイサイドセンサ280、ローサイドセンサ290は、パワートランジスタのゲートドレイン間電圧を監視したが、この変形例ではゲートソース間電圧が監視される。
【0080】
ゲートドライバ回路200Aのハイサイドセンサ280Aは、ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間電圧VGS(H)をしきい値電圧VTH(H)と比較し、2つの電圧がクロスすると、ハイサイド検出信号HDETAをアサートする。つまりハイサイド検出信号HDETAは、VGS(H)>VTH(H)のときアサートされる。
【0081】
制御回路210Aは、ハイサイド検出信号HDETAがネゲートされている間、ハイサイドドライバ220の駆動能力を相対的に低く設定する。そして、ハイサイド検出信号HDETAがアサートされると、ハイサイドドライバ220の駆動能力を相対的に高く設定する。
【0082】
ローサイドセンサ290Aは、ローサイドトランジスタMLのゲートソース間電圧VGS(L)をしきい値電圧VTH(L)と比較し、2つの電圧がクロスすると、ローサイド検出信号LDETAをアサートする。つまりローサイド検出信号LDETAは、VGS(L)>VTH(L)のときアサートされる。
【0083】
制御回路210Aは、ローサイド検出信号LDETAがネゲートされている間、ローサイドドライバ260の駆動能力を相対的に低く設定する。そして、ローサイド検出信号LDETAがアサートされると、ローサイドドライバ260の駆動能力を相対的に高く設定する。
【0084】
(変形例2)
図9は、変形例2に係るゲートドライバ回路200Bを備えるスイッチング回路100Bの回路図である。スイッチング回路100Bは、ハイサイドセンサ280,280A、ローサイドセンサ290,290Aを備え、ハイサイドトランジスタMHのゲートドレイン間電圧V
DS(H)、ゲートソース間電圧V
GS(H)、ローサイドトランジスタMLのゲートドレイン間電圧V
DS(L)、ゲートソース間電圧V
GS(L)を監視する。
【0085】
制御回路210Bは、ハイサイドトランジスタMHをターンオンする際に、ハイサイドセンサ280,280A、ローサイドセンサ290,290Aの少なくともひとつを利用し、ハイサイドドライバ220の駆動能力を切り替える。たとえばハイサイドドライバ220の駆動能力がn段階(n≧3)以上で切り替え可能である場合、ハイサイドセンサ280,280A、ローサイドセンサ290,290Aのうちn-1個の出力を参照して、ハイサイドドライバ220の駆動能力を切り替える。
【0086】
そして、所定時間τHの間に、参照するn-1個の検出信号のいずれかがアサートされない場合に、異常と判定することができる。
【0087】
制御回路210Bは、ローサイドトランジスタMLをターンオンする際に、ハイサイドセンサ280,280A,290,290Aの少なくともひとつを利用し、ローサイドドライバ260の駆動能力を切り替える。たとえばローサイドドライバ260の駆動能力がn段階(n≧3)以上で切り替え可能である場合、ハイサイドセンサ280,280A、ローサイドセンサ290,290Aのうちn-1個の出力を参照して、ローサイドドライバ260の駆動能力を切り替える。
【0088】
続いて、スイッチング回路100の用途を説明する。スイッチング回路100は、モータの駆動回路に好適に用いることができる。
【0089】
図10は、実施の形態に係るスイッチング回路100を備えるモータ駆動装置300の回路図である。モータ駆動装置300は、負荷である三相モータ302を駆動し、回転状態を制御する。
【0090】
モータ駆動装置300は、ブリッジ回路110およびゲートドライバ回路200を備える。ブリッジ回路110は、三相インバータであり、U相、V相、W相のレグを有し、各相のレグは、上アームおよび下アームを有する。
【0091】
ゲートドライバ回路200は、制御回路210およびハイサイドドライバ220U~220W、ローサイドドライバ260U~260Wを備える。制御回路210は、負荷である三相モータ302の状態にもとづいて、ブリッジ回路110を構成する6個のアームの状態を示す制御信号を生成する。
【0092】
ハイサイドドライバ220U~220Wは、上述のハイサイドドライバ220のアーキテクチャで構成される。またローサイドドライバ260U~260Wは、上述のローサイドドライバ260のアーキテクチャで構成される。
【0093】
ここでは三相モータを例としたが、単相モータであってもよい。この場合、ブリッジ回路110はHブリッジ回路となる。
【0094】
続いてモータ駆動装置300の用途を説明する。モータ駆動装置300は、ハードディスクのスピンドルモータの制御、撮像デバイスのレンズ駆動用モータの制御に利用できる。あるいは、プリンタのヘッドの駆動用モータ、あるいは紙送り用モータの駆動に用いることができる。あるいはモータ駆動装置300は、電気自動車やハイブリッド自動車などのモータの駆動に利用できる。
【0095】
実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示あるいは本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0096】
(変形例1)
スイッチング回路100の用途はモータ駆動装置300には限定されない。たとえばスイッチング回路100は、スイッチングレギュレータ(DC/DCコンバータ)、各種電力変換装置(インバータやコンバータ)、放電灯の点灯用インバータ、デジタルオーディオアンプなどに好適に利用できる。したがってスイッチング回路100は、電子機器や家電製品を含む民生機器、自動車や車載部品、産業車両や産業機械に用いることができる。
【0097】
具体的な用語を用いて説明される実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0098】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0099】
(項目1)
インバータ回路を構成するハイサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとハイサイド検出信号をアサートするハイサイドセンサと、
前記ハイサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたハイサイドドライバと、
制御信号が前記ハイサイドトランジスタのオンを指示するとき、前記ハイサイドドライバに前記ハイ電圧を発生させるとともに、前記ハイサイド検出信号のアサートに応答して、前記ハイサイドドライバの駆動能力を変化させる制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記ハイサイド検出信号の前記アサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する、ゲートドライバ回路。
【0100】
(項目2)
前記ハイサイドセンサは、前記ハイサイドトランジスタのドレインソース間電圧を監視する、項目1に記載のゲートドライバ回路。
【0101】
(項目3)
前記ハイサイドセンサは、前記ハイサイドトランジスタのゲートソース間電圧を監視する、項目1に記載のゲートドライバ回路。
【0102】
(項目4)
前記所定時間は、正常時の前記ハイサイドトランジスタのターンオン時間より長い、項目1から3のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【0103】
(項目5)
前記制御回路は、前記ハイサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定する、項目1から4のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【0104】
(項目6)
前記インバータ回路を構成するローサイドトランジスタの2つのノードの電位差が所定のしきい値レベルとクロスするとローサイド検出信号をアサートするローサイドセンサと、
前記ローサイドトランジスタのゲートソース間に、ハイ電圧またはロー電圧を供給可能であり、駆動能力が制御可能に構成されたローサイドドライバと、
をさらに備え、
前記制御回路は、前記制御信号が前記ローサイドトランジスタのオンを指示するとき、前記ローサイドトランジスタに前記ハイ電圧を発生させるとともに、前記ローサイド検出信号のアサートに応答して、前記ローサイドドライバの駆動能力を変化させ、
前記制御回路は、前記ローサイド検出信号の前記アサートが、所定時間内に発生しないとき、異常と判定する、項目1から5のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【0105】
(項目7)
前記制御回路は、前記ローサイド検出信号が一旦アサートされた後に、ネゲートされたとき、異常と判定する、項目6に記載のゲートドライバ回路。
【0106】
(項目8)
ひとつの半導体基板に一体集積化された、項目1から6のいずれかに記載のゲートドライバ回路。
【0107】
(項目9)
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むインバータ回路と、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタを駆動する項目1から8のいずれかに記載のゲートドライバ回路と、
を備える、モータ駆動装置。
【0108】
(項目10)
モータと、
前記モータを駆動する項目9に記載のモータ駆動装置と、
を備える、電子機器。
【符号の説明】
【0109】
100 スイッチング回路
102 電源ライン
104 出力ライン
106 接地ライン
110 ブリッジ回路
112 上アーム
114 下アーム
MH ハイサイドトランジスタ
ML ローサイドトランジスタ
DH,DL フライホイルダイオード
200 ゲートドライバ回路
210 制御回路
220 ハイサイドドライバ
260 ローサイドドライバ
280 ハイサイドセンサ
290 ローサイドセンサ
300 モータ駆動装置
302 三相モータ