(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091921
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】測位システムおよび測位方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/43 20100101AFI20250612BHJP
【FI】
G01S19/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207476
(22)【出願日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕明
(72)【発明者】
【氏名】谷川原 誠
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD24
(57)【要約】
【課題】GNSSによる観測データのみを用いてミスFix解を推定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】測位システムは、受信した衛星情報および補正情報に基づいて、第一位置情報を算出する第一測位部と、受信した衛星情報を記憶する衛星情報記憶部と、受信した補正情報を記憶する補正情報記憶部と、衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、補正情報記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、第二位置情報を算出する第二測位部とを備えたシステムであって、記憶情報解析部および測位誤差情報算出部を更に備え、記憶情報解析部は、衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、補正情報記憶部に記憶されている補正情報と、第一測位部により算出された第一位置情報とに基づいて、第一位置情報の第一測位誤差情報を算出することで第二測位部による演算の要否を判断し、測位誤差情報算出部は、第一測位部および第二測位部の演算結果に基づいて、第一位置情報の第二測位誤差情報を算出する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した衛星情報および補正情報に基づいて、第一位置情報を算出する第一測位部と、
前記受信した衛星情報を記憶する衛星情報記憶部と、
前記受信した補正情報を記憶する補正情報記憶部と、
前記衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、第二位置情報を算出する第二測位部と
を備えた測位システムであって、
記憶情報解析部および測位誤差情報算出部を更に備え、
前記記憶情報解析部は、前記衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報と、前記第一測位部により算出された第一位置情報とに基づいて、前記第一位置情報の第一測位誤差情報を算出することで前記第二測位部による演算の要否を判断し、
前記測位誤差情報算出部は、前記第一測位部および前記第二測位部の演算結果に基づいて、前記第一位置情報の第二測位誤差情報を算出する
測位システム。
【請求項2】
請求項1に記載の測位システムであって、
前記第一測位部および前記第二測位部の演算結果と、前記測位誤差情報算出部の処理結果とに基づいて、前記第一位置情報、前記第二位置情報および前記第二測位誤差情報を外部端末へ出力するデータ出力部を更に備える、測位システム。
【請求項3】
請求項1に記載の測位システムであって、
前記記憶情報解析部は、少なくとも前記衛星情報記憶部に記憶された衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶された補正情報と、前記第一測位部から取得した第一位置情報とに基づいて、前記第一測位誤差を出力する予測モデルを有する、測位システム。
【請求項4】
請求項3に記載の測位システムであって、
前記記憶情報解析部は、前記予測モデルが出力する前記第一測位誤差を、前記第一位置情報がミスFix解である確率として算出する、測位システム。
【請求項5】
請求項4に記載の測位システムであって、
前記記憶情報解析部は、所定の閾値に基づいて前記第二測位部による演算の要否を判断する、測位システム。
【請求項6】
請求項5に記載の測位システムであって、
前記所定の閾値を設定するための閾値情報を入力可能な外部端末インターフェースを更に備える、測位システム。
【請求項7】
請求項3に記載の測位システムであって、
前記第一測位部が算出した前記第一位置情報を少なくとも記憶する位置情報記憶部を更に備える、測位システム。
【請求項8】
請求項7に記載の測位システムであって、
前記第二測位部は、少なくとも一つ以上の時刻の前記第二位置情報を算出する、測位システム。
【請求項9】
請求項8に記載の測位システムであって、
前記測位誤差情報算出部は、前記位置情報記憶部に記憶されている前記第一位置情報と、前記第二測位部の演算結果とに基づいて、前記位置情報記憶部に記載された少なくとも一つ以上の時刻の第二測位誤差情報を算出する、測位システム。
【請求項10】
請求項9に記載の測位システムであって、
前記衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報と、前記位置情報記憶部に記憶されている前記第一位置情報と、前記測位誤差情報算出部の処理結果とに基づいて、前記記憶情報解析部が内包する前記予測モデルの更新に用いる学習情報を算出する学習情報算出部を更に備える、測位システム。
【請求項11】
請求項10に記載の測位システムであって、
前記記憶情報解析部は、前記学習情報算出部により算出された学習情報に基づいて、前記記憶情報解析部が内包する前記予測モデルを更新する、測位システム。
【請求項12】
請求項8に記載の測位システムであって、
前記第二測位部は、前記衛星情報記憶部および前記補正情報記憶部に記憶された過去データを用いた最適化演算によって、第二位置情報を算出する、
測位システム。
【請求項13】
少なくともプロセッサと記憶装置とを備えるコンピュータにより、
第一測位部が、受信した衛星情報および補正情報に基づいて、第一位置情報を算出し、
衛星情報記憶部が、前記受信した衛星情報を記憶し、
補正情報記憶部が、前記受信した補正情報を記憶し、
第二測位部が、前記衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、第二位置情報を算出し、
記憶情報解析部が、前記衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報と、前記第一測位部により算出された第一位置情報とに基づいて、前記第一位置情報の第一測位誤差情報を算出することで前記第二測位部による演算の要否を判断し、
測位誤差情報算出部が、前記第一測位部および前記第二測位部の演算結果に基づいて、前記第一位置情報の第二測位誤差情報を算出する
測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位システムおよび測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や建設機械といった有人操作車両の自動化や、自動点検ロボットによる工場点検作業の無人化等といった、人の作業を代替する自律作業機械の開発が進められている。自律作業機械は、最適化された機械動作による作業効率化や、自動運転の実現による省人化等の形で生産性向上に資することから、その開発動向には大きな期待が寄せられている。
【0003】
このような自律作業機械を実現するためのコア技術の一つとして、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System; GNSS)が存在する。そして、GNSSを用いた測位手法の一つとして、センチメートル精度を実現するReal Time Kinematic-GNSS(RTK-GNSS)が存在する。RTK-GNSSは、測位衛星から送信される衛星信号をGNSS受信機が観測した際に生じる搬送波位相バイアスを、補正情報を用いて推定することで、Fix解と呼称されるセンチメートル精度での位置算出を実現する高精度衛星測位技術である。一方で、このRTK-GNSSには、ミスFix解と呼ばれる課題が存在する。ミスFix解とは、補正情報を用いて衛星信号の搬送波位相バイアスを推定した際に、その推定結果に誤りが生じ、Fix解として算出した位置が大きな誤差を持つ状態のことである。ミスFix解は、自律作業機械の作業精度に関わる問題である。
【0004】
ミスFix解への対策として、GNSSの測位精度を評価し、測位精度が一定以下となった場合、ミスFix解と推定する手法が知られている。その一例として、特許文献1には、複数センサからの観測値を用いる手法として、「センサを用いて車両位置を推定する自律航法手段と、自律航法手段で推測された車両位置と当該単独測位解とに基づいて複合測位解を求める複合測位手段と、Float解およびFix解のいずれかの解が求められた場合に、いずれかの解の測位誤差と、いずれかの解と複合測位解との差とに基づいて、複合測位解の測位誤差を予測する複合測位誤差予測手段」が記載されている。
【0005】
一方で、GNSSのみの観測データを用いてミスFix解を推定する場合、例えば、GNSS受信機では実施できない演算コストの高い最適化計算が必要とされ、該演算コストの高い計算は部分的に外部サーバで実施させることがある。その一例として、特許文献2には、「GNSS衛星からの信号を受信する機器と、当該機器と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置とが含まれる測位システムであって、当該機器は、当該信号が表す情報を当該サーバ装置に送信する第1の送信手段と、当該信号が表す情報を用いて、当該機器の測位を行う第1の測位手段と、を有し、当該サーバ装置は、当該機器から受信した当該信号が表す情報を用いて、当該機器の測位を行う第2の測位手段と、を有することを特徴とする測位システム」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2022/259365号明細書
【特許文献2】国際公開第2021/059346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術によれば、複数センサからの観測値を用いて高精度な測位解を算出することで、ミスFix解を推定可能である。他方で、当該技術による場合、複数センサの搭載が必須なことから、システム構成が複雑化する、という課題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術によれば、高精度測位演算をサーバで実施し、その結果を測位結果として受信することで、ミスFix解を推定可能である。他方で、当該技術による場合、高精度測位演算を実施するサーバの設置や運用等が必須なことから、測位システムの構築や運用等に要するコストが増加する、という課題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、GNSSによる観測データのみを用いてミスFix解を推定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による測位システムは、受信した衛星情報および補正情報に基づいて、第一位置情報を算出する第一測位部と、受信した衛星情報を記憶する衛星情報記憶部と、受信した補正情報を記憶する補正情報記憶部と、衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、補正情報記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、第二位置情報を算出する第二測位部とを備えたシステムであって、記憶情報解析部および測位誤差情報算出部を更に備え、記憶情報解析部は、衛星情報記憶部に記憶されている衛星情報と、補正情報記憶部に記憶されている補正情報と、第一測位部により算出された第一位置情報とに基づいて、第一位置情報の第一測位誤差情報を算出することで第二測位部による演算の要否を判断し、測位誤差情報算出部は、第一測位部および第二測位部の演算結果に基づいて、第一位置情報の第二測位誤差情報を算出する。
【0011】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ミスFix解を推定するタイミングを最適化することで、全体の演算コストを低減しつつ、GNSSのみの観測データからミスFix解を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】実施例1の測位システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図1B】実施例1の測位システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第一位置測位部が算出する第一位置情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図3】補正情報記憶部が記録する補正情報記憶情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図4】衛星情報記憶部が記録する衛星情報記憶情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図5】第二位置測位部が算出する第二位置情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図6】測位誤差情報算出部が算出する測位誤差情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図7】データ出力部が算出する移動体情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図8】実施例1の測位システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施例1の測位システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施例2の測位システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図11】位置情報記憶部が記録する位置情報記憶情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図12】実施例2における測位誤差情報算出部が算出する測位誤差情報の詳細を示すデータテーブルの一例を示す図である。
【
図13A】実施例2の測位システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13B】実施例2の測位システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、さまざまな実施形態を詳細に説明する。
【0015】
なお、以下の説明においては、同一の、または類似する構成に共通の符号を付すことにより、重複した説明を省略することがある。
【0016】
また、同一あるいは同様の機能を有する要素が複数存在する場合に、当該複数の要素を区別するために、同一の符号に異なる添字を付して説明することがある。他方、当該複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明することがある。
【実施例0017】
本実施例に係る測位システム1は、例えば自動車や鉄道、農業機械や建設機械といった移動体の測位に用いられるシステムである。測位システム1は、全地球航法衛星システム(GNSS)を用いた測位を行い、測位結果を移動体情報299として出力する。本実施例において、測位システム1は、移動体に設けられたGNSS受信機100で実行され、移動体の位置情報を移動体情報299として算出する。
【0018】
図1Aは、実施例1の測位システム1のソフトウェア構成の一例を示すブロック図であり、
図1Bは、実施例1の測位システム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1Aに示すように、測位システム1は、GNSSアンテナ2、衛星信号取得部104、衛星情報解析部105、第一測位部3、補正情報記憶部4、衛星情報記憶部5、記憶情報解析部7、第二測位部8、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10から構成される。
図1Aに示した衛星信号取得部104、衛星情報解析部105、第一測位部3、記憶情報解析部7、第二測位部8、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10は、
図1BのGNSS受信機100で動作する。
【0019】
図1Bに示すように、GNSS受信機100は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、記憶装置103、衛星信号取得部104、通信部106および外部端末インターフェース107を備える。
【0020】
CPU101は、中央処理部であり、メモリ102(または記憶装置103)に保持しているプログラムを実行することで、必要な機能を実装する。
【0021】
メモリ102は、CPU101が処理を実行する際に利用する主記憶装置であり、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子で構成される。
【0022】
記憶装置103は、CPU101に提供する入力データや、CPU101から出力される出力データを保管するための補助記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶素子で構成される。補正情報記憶部4および衛星情報記憶部5は、記憶装置103に格納される。また、
図1Aに示した衛星情報解析部105、第一測位部3、記憶情報解析部7、第二測位部8、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10は、
図1BのGNSS受信機100においてCPU101が実行するプログラムとして、メモリ102(または記憶装置103)に保持される。
【0023】
衛星信号取得部104は、GNSSアンテナ2が測位衛星11から受信した衛星信号109を取得することで、衛星情報201を算出する。ここで、衛星信号取得部104がGNSSアンテナ2から受信した衛星信号109はアナログ信号、衛星信号取得部104が算出する衛星情報201はデジタル信号であり、衛星信号取得部104は、GNSSアンテナ2から受信した衛星信号109をA/D変換してデジタル信号とした衛星情報201を記憶装置103の衛星情報記憶部5に記憶し、衛星情報201を衛星情報解析部105に送信する。
【0024】
外部端末インターフェース107は、GNSS受信機100が外部端末と接続するためのインターフェースである。外部端末は、例えば、本実施例が移動体用測位システムとして用いられる場合、移動体の位置座標を必要とする車体制御モジュールや慣性センサ校正モジュール等が該当する。外部端末インターフェース107は、例えば、シリアルポートやLANポートおよびそれらを動作させるコントローラで構成され、GNSS受信機100は外部端末インターフェース107を介して任意の情報を外部端末に送信および受信することができる。
【0025】
通信部106は、GNSS受信機100が無線通信によって構成されるネットワークに接続することを可能とするモジュールである。通信部106は、無線通信によって構成されるネットワークから任意の端末・サーバに接続することで、GNSS受信機100が任意の端末・サーバに対して、情報の送信および受信をすることを可能とする。
【0026】
CPU101は、後述する各処理を実行し、移動体情報299を算出する。後述するデータ出力部10は、CPU101により算出された移動体情報299を外部端末に送信する。
【0027】
測位システム1を構成する、衛星情報解析部105、第一測位部3、記憶情報解析部7、第二測位部8、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10の処理は、CPU101上で実施されるが、以降の説明においては各構成要素が実行する処理として記載する。
【0028】
本実施例において、測位システム1は、
図1Bに例示したようなハードウェア構成を有する1台以上のGNSS受信機100の上で実行されることにより、後述する各処理を実現することができる。
【0029】
[GNSSアンテナ]
GNSSアンテナ2は、地球上空に位置する複数の測位衛星11から衛星信号109を時系列に受信し、受信した衛星信号109をアナログ信号として衛星信号取得部104に送信する。
【0030】
測位衛星11は、地球上空の衛星軌道に位置する複数の測位衛星11で構成され、地面に向けて衛星信号109を送信することで、GNSSを構築する。GNSSにおいては、複数の測位衛星11からの衛星信号109のうち、いくつかを受信し、受信した複数の衛星信号109を用いることによって、GNSSアンテナ2の地球上の自己位置の取得を可能とする。測位衛星11は、複数の周波数帯における衛星信号109を送信することで、GNSSの冗長化を図っている。実施例1において、測位システム1は、単一周波数帯における衛星信号109の利用であるとして記載しているが、複数周波数帯における衛星信号109を用いた測位システム1にも同様に適用できる。
【0031】
GNSSアンテナ2は、測位システム1で位置を取得したい個所に設置される。例えば、測位システム1が移動体向けに用いられる場合、GNSSアンテナ2は対象とする移動体の車体に設置される。測位システム1は、GNSSアンテナ2が衛星信号109を受信した時刻において、地球上のGNSSアンテナ2が存在する位置を算出する。
【0032】
[衛星情報解析部]
衛星情報解析部105は、衛星信号取得部104から取得したデジタル信号としての衛星情報201に基づいて、衛星信号受信時刻218、擬似距離205、搬送波位相206および衛星軌道データ207を、各測位衛星11に関する測位情報209として算出する。
【0033】
衛星信号受信時刻218は、GNSSアンテナ2で測位衛星11から衛星信号109を受信した時刻である。衛星情報解析部105は、衛星情報解析部105の動作周期ごとに測位情報209を算出する。衛星情報解析部105は、本実施例においては、1秒周期で測位情報209を算出するが、算出周期は限定されない。
【0034】
擬似距離205は、測位衛星11とGNSSアンテナ2までの距離であり、測位衛星11から送信された衛星信号109がGNSSアンテナ2で受信されるまでの時間を計測することで算出される。擬似距離205には、受信機時計誤差、衛星時計誤差、電離圏遅延、対流圏遅延およびその他の雑音が含まれている。
【0035】
搬送波位相206は、同時刻に測位衛星11から送信された衛星信号109の搬送波位相角を連続的に測定したものである。搬送波位相206は、整数値バイアス、受信機時計誤差、衛星時計誤差、電離圏遅延、対流圏遅延およびその他雑音が含まれている。搬送波位相206は、測位衛星11から送信された衛星信号109の波長を掛け合わせることで、距離成分として記載してもよい。その場合、測位システム1の処理は搬送波位相206に衛星信号109の波長の逆数を乗じて実行される。
【0036】
衛星軌道データ207は、任意の時刻における測位衛星11の位置を予測するためのデータである。測位衛星11は、衛星信号109に衛星軌道データ207を変調し、地球上に送信する。衛星情報解析部105は、衛星情報201を復調しデコード処理を行うことで衛星軌道データ207を抽出する。後述する第一測位部3および第二測位部8では、衛星軌道データ207から各測位衛星11の位置を予測する。本実施例では、測位衛星11の位置の座標系つまり移動体情報299を算出する座標系は、Earth Centered Earth Fixed(ECEF)が定めるXYZの直交座標系とし、以降記載する位置情報も全てECEFが定めるXYZの直交座標系として記載する。
【0037】
なお、本実施例は、緯度・経度・高度で表現する地理座標系やその他の座標系を用いた測位システム1にも同様に適用することができる。その場合、測位システム1の処理は適切な座標変換が実施される。
【0038】
衛星情報解析部105は、算出した衛星信号受信時刻218、擬似距離205、搬送波位相206、衛星軌道データ207および衛星信号109を送信した測位衛星11を識別するための情報である衛星識別番号208を測位情報209として、第一測位部3に送信する。
【0039】
[第一測位部]
第一測位部3は、衛星情報解析部105から受信した測位情報209と補正情報202に基づき、第一位置情報227として、測位時刻222、位置データ213および測位ステータス210を算出する。第一測位部3は、GNSSアンテナ2の地球上の位置座標として概略位置203と精密位置204のどちらか一つ以上を演算する。第一測位部3は、演算された概略位置203および精密位置204のどちらか一つを第一位置情報227の位置データ213として算出し、記憶情報解析部7、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10に出力する。
【0040】
概略位置203は、第一測位部3が単独測位を用いて算出したGNSSアンテナ2の概略位置である。精密位置204は、第一測位部3が干渉測位を用いて算出したGNSSアンテナ2の精密位置である。精密位置204は、概略位置203よりもGNSSアンテナ2の実際の位置に近い高精度な測位結果とする。
【0041】
第一測位部3は、衛星情報解析部105から受信した測位情報209に基づいて、単独測位を実施することで、概略位置203を演算する。第一測位部3は、衛星情報解析部105から受信した測位情報209と補正情報202に基づいて、干渉測位を実施することで、精密位置204を演算する。
【0042】
補正情報202は、第一測位部3が衛星情報解析部105から受信した測位情報209を補正することで概略位置203より高精度な精密位置204を算出するための情報である。衛星情報解析部105から受信した測位情報209を補正することで概略位置203より高精度な精密位置204を算出する手法を干渉測位と呼称する。
【0043】
本実施例における補正情報202は、例えば、地球上に設置された基地局で観測された衛星信号109に基づいて演算された擬似距離205、搬送波位相206および基地局の地球上での位置が少なくとも含まれているObservation Space Representation(OSR)形式で作成された情報であり、基地局からインターネット等の通信手段を介して通信部106により受信される。
【0044】
なお、本実施例にける補正情報202の形式はOSRに限定されず、例えば、地球上の広範囲で使用可能な、衛星位置誤差、衛星時計誤差、信号バイアス、電離層および対流圏誤差に対する補正量が少なくとも記載されたState Space Representation(SSR)形式であってもよい。その場合、第一測位部3は、SSR形式の補正情報をOSR形式に変換することで、適切な演算処理を実行する。
【0045】
単独測位では、第一測位部3は、衛星情報解析部105から受信した測位情報209に基づいて、概略位置203を算出する。単独測位では、少なくとも4機以上の測位衛星11と、GNSSアンテナ2との間の擬似距離205および衛星軌道データ207から推定した衛星位置から、三角測量の原理を用いて、概略位置203を算出する。上記の擬似距離205は、各測位衛星11の軌道、GNSSアンテナ2および/または測位衛星11に使用されている時計の精度、電離層や対流圏を通過する際に生じる搬送波の遅延等に起因する誤差を含んでいる。
【0046】
干渉測位では、第一測位部3は、測位情報209と補正情報202の双方に基づいて、精密位置204を算出する。干渉測位では、GNSSアンテナ2で受信した測位情報209に含まれる少なくとも5機以上の測位衛星11とGNSSアンテナ2との間の擬似距離205、搬送波位相206および衛星軌道データ207から推定した衛星位置、補正情報202に含まれる少なくとも5機以上の測位衛星11と基地局との間の擬似距離205および搬送波位相206から精密位置204を算出する。
【0047】
また、干渉測位では、測位衛星11とGNSSアンテナ2との間の搬送波位相206、測位衛星11と基地局との間の搬送波位相206の差分である搬送波位相差を算出する。干渉測位では、搬送波位相差を算出する際、GNSSアンテナ2が衛星情報201を受信したとき、衛星情報201の搬送波位相206においてそれが連続波のどの部分であるか波数の小数部は分かるが、波数小数部を除いた波数整数部は不明である。干渉測位では、この波数整数部を確定した際、基地局とGNSSアンテナ2との間の基線長を正確に求めることができる。干渉測位では、基地局の地球上の位置が補正情報202に記載されているため、基地局の位置とGNSSアンテナ2との間の基線長から、GNSSアンテナ2の位置を予測できる。
【0048】
第一測位部3は、基地局の位置とGNSSアンテナ2との間の基線長から予測したGNSSアンテナ2の位置を用いて、単独測位結果である概略位置203を補正することで精密位置204を算出する。この際、第一測位部3は、過去時刻における搬送波位相差に含まれる波数整数部と現在時刻における波数整数部が連続的であることを仮定し、カルマンフィルタ等を用いることで、精密位置204を算出してもよい。
【0049】
本実施例における干渉測位では、搬送波位相差の波数整数部を確定した状態で算出した精密位置204をFix解211、搬送波位相差の波数整数部を確定できない状態で算出した精密位置204をFloat解212とする。また、第一測位部3は、干渉測位を用いて算出した精密位置204がFix解211かFloat解212かを判定するが、第一測位部3が搬送波位相差の波数整数部を誤った値として推定し、大きな誤差を持った精密位置204をFix解211として算出してしまう場合がある。第一測位部3が搬送波位相差の波数整数部を誤った値として推定した、大きな誤差を持った精密位置204をミスFix解220とする。第一測位部3は、精密位置204がFix解211かFloat解212かを判定可能であるが、精密位置204がFix解211かミスFix解220であるかどうかを判定できない。
【0050】
図2は、第一測位部3が算出する第一位置情報227の詳細を示すデータテーブルを示す図である。第一測位部3は、精密位置204が算出できた場合、精密位置204を第一位置情報227の位置データ213として出力し、精密位置204を算出できなかった場合のみ、概略位置203を第一位置情報227の位置データ213として出力する。第一測位部3は、精密位置204を位置データ213として算出する場合、該精密位置204がFix解211かFloat解212かといったステータスである測位ステータス210を算出する。また、第一測位部3は、第一位置情報227の位置データ213がどの時刻のGNSSアンテナ2の位置なのかを判断する測位時刻222を算出する。第一測位部3は、算出した第一位置情報227を記憶情報解析部7、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10に出力する。
【0051】
[補正情報記憶部]
補正情報記憶部4は、過去にGNSS受信機100が通信部106を介して基地局から受信した補正情報202に基づいて、少なくとも衛星識別番号208、補正情報生成時刻214、擬似距離205、搬送波位相206および基地局ID215が補正情報記憶情報216として記録されている。補正情報記憶部4は、GNSS受信機100が通信部106を介して基地局から受信した補正情報202に基づいて、補正情報記憶情報216を記憶する。
【0052】
図3は、補正情報記憶部4が記録する補正情報記憶情報216の詳細を示すデータテーブルを示す図である。補正情報記憶部4は、補正情報生成時刻214の時系列順で補正情報記憶情報216を記憶し、かつ同時刻においては少なくとも衛星識別番号208順に補正情報記憶情報216を記憶する。基地局から受信した補正情報202と同一時刻および同一測位衛星11の補正情報記憶情報216が既に記録されていた場合には、補正情報記憶部4は、記録されている補正情報記憶情報216の擬似距離205、搬送波位相206および基地局ID215を更新する。基地局ID215は、GNSS受信機100において、受信した補正情報202がどの基地局から配信されたかを判断するためのID情報である。
【0053】
図3は、補正情報生成時刻214の07:00:00~07:30:00までの補正情報記憶情報216が格納された例を示している。
【0054】
補正情報記憶部4は、記憶情報解析部7および第二測位部8から常に補正情報記憶情報216を参照可能な状態で構成される。補正情報記憶部4は、記憶装置103として十分な記憶領域を確保できない場合、例えば、あらかじめ定められた一定期間のみの補正情報記憶情報216を記録し、記録時間が一定期間以上となった際、最も古いレコードを削除する処理を実行してもよい。
【0055】
[衛星情報記憶部]
衛星情報記憶部5は、過去に衛星信号取得部104から受信した衛星情報201に基づいて衛星情報記憶情報217を記憶する。本実施例において、衛星情報記憶部5は、衛星情報201から衛星情報解析部105と同様に擬似距離205および搬送波位相206を算出し、衛星情報記憶情報217として記憶するが、衛星信号取得部104から受信したデジタル信号としての衛星情報201を衛星情報記憶情報217として記録してもよい。その場合、測位システム1の処理は適切なデータ変換が実施される。衛星情報記憶部5は、衛星情報記憶情報217として、少なくとも衛星識別番号208、衛星信号受信時刻218および擬似距離205が記録されている。
【0056】
図4は、衛星情報記憶部5が記録する衛星情報記憶情報217の詳細を示すデータテーブルを示す図である。
【0057】
衛星情報記憶部5は、衛星信号受信時刻218の時系列順で衛星情報記憶情報217を記憶し、かつ同時刻においては少なくとも衛星識別番号208順に衛星情報記憶情報217を記憶する。衛星信号取得部104から受信した衛星情報201と同一時刻および同一測位衛星11の衛星情報記憶情報217が既に記録されていた場合には、衛星情報記憶部5は、記録されている衛星情報記憶情報217の擬似距離205、搬送波位相206および衛星軌道データ207を更新する。
【0058】
図4は、衛星信号受信時刻218の07:00:00~07:30:00までの衛星情報記憶情報217が格納された例を示している。
【0059】
衛星情報記憶部5は、記憶情報解析部7および第二測位部8から常に衛星情報記憶情報217を参照可能な状態で構成される。衛星情報記憶部5は、記憶装置103として十分な記憶領域を確保できない場合、例えば、あらかじめ定められた一定期間のみの衛星情報記憶情報217を記録し、記録時間が一定期間以上となった際、最も古いレコードを削除する処理を実行してもよい。
【0060】
また、衛星情報記憶部5は、衛星信号取得部104から受信した衛星軌道データ207を記憶している。したがって、記憶情報解析部7および第二測位部8は常に衛星情報記憶部5に記憶された衛星軌道データ207を参照可能に構成される。
【0061】
[記憶情報解析部]
記憶情報解析部7は、補正情報記憶部4、衛星情報記憶部5および第一測位部3に基づいて、第一測位部3が算出した第一位置情報227がミスFix解220の可能性が高い場合、第二測位部8に演算を指示する。
【0062】
記憶情報解析部7は、補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216、衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217、第一測位部3から受信した第一位置情報227に基づいて、第一測位部3から受信した第一位置情報227がミスFix解220であるか判断する。記憶情報解析部7は、補正情報記憶情報216、衛星情報記憶情報217および第一位置情報227に基づいて、第一位置情報227がミスFix解220であるかを予測するミスFix解予測モデル223を内包している。記憶情報解析部7は、例えば、補正情報記憶情報216、衛星情報記憶情報217および第一位置情報227を入力として、第一位置情報227がミスFix解220である確率であるミスFix解確率228を推定するミスFix解予測モデル223を内包している。記憶情報解析部7は、事前に内包したミスFix解予測モデル223を用いてミスFix解確率228を算出することで、演算効率の向上を実現できる。記憶情報解析部7は、例えば、ミスFix解予測モデル223が出力したミスFix解確率228に対してあらかじめ閾値を定め、ミスFix解確率228が閾値以上であった場合、第一位置情報227がミスFix解220であると判断する。記憶情報解析部7は、第一位置情報227がミスFix解220であると判断した場合、第二測位部8に演算を指示する。記憶情報解析部7は、例えば、第一位置情報227がミスFix解220であると判断するミスFix解確率228の閾値をGNSS受信機100の外部から入力してもよい。その場合、GNSS受信機100は適切な外部端末インターフェース107を有し、該外部端末インターフェース107を介して閾値情報298をGNSS受信機100の利用者から入力される。
【0063】
本実施例では、記憶情報解析部7が内包するミスFix解予測モデル223の作成方法について限定せず、例えば、過去に収集した補正情報記憶情報216、衛星情報記憶情報217、および第一位置情報227から学習的にミスFix解予測モデル223を作成し、記憶情報解析部7が内包してもよい。もしくは、過去に収集した補正情報記憶情報216、衛星情報記憶情報217、および第一位置情報227からルールベースでミスFix解確率228を算出するミスFix解予測モデル223を作成し、記憶情報解析部7が内包してもよい。
【0064】
[第二測位部]
第二測位部8は、補正情報記憶部4、衛星情報記憶部5および記憶情報解析部7に基づいて、第二位置情報221を算出する。第二測位部8は、補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216、衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217および第一測位部3から受信した第一位置情報227に基づき、第二位置情報221として、測位時刻222および高精度位置データ229を算出する。第二測位部8は、第二位置情報221として少なくとも最新の測位時刻222、つまり第一測位部3が算出した第一位置情報227に記載された測位時刻222におけるGNSSアンテナ2の地球上の位置を含んだ、1つ以上の測位時刻222における高精度位置データ229を算出する。第二測位部8は、少なくとも一つ以上の測位時刻222における高精度位置データ229を演算し、測位誤差情報算出部9に出力する。
【0065】
第二測位部8は、記憶情報解析部7から演算指示を受けた場合、第二位置情報221として高精度位置データ229を算出する。高精度位置データ229は、第二測位部8が補正情報記憶情報216および衛星情報記憶情報217に記憶された過去の補正情報202と衛星情報201を用いることで算出した、すくなくとも第一測位部3が算出した第一位置情報227に記載された測位時刻222におけるGNSSアンテナ2の地球上の位置を含んだ、1つ以上の測位時刻222における高精度位置である。高精度位置データ229は、第一測位部3が干渉測位で算出した精密位置204よりもGNSSアンテナ2の実際の位置に近い高精度な測位結果とする。
【0066】
第二測位部8は、補正情報記憶情報216および衛星情報記憶情報217に記憶された過去の補正情報202と衛星情報201を用いることにより、第一測位部3よりも高負荷な演算が求められる。したがって、第二測位部8は、GNSS受信機100のCPU101やメモリ102の性能次第では第一測位部3と同様な周期で演算処理を実行できない。そこで、本実施例では、第二測位部8が記憶情報解析部7から演算指示を受信した場合にのみ、第二測位部8が第二位置情報221の演算を実施し、CPU101やメモリ102の使用頻度を低減することで、CPU101やメモリ102に要求される性能を緩和させることが可能となり、より柔軟なGNSS受信機100のハードウェア設計を可能とする。
【0067】
本実施例において、第二測位部8は、補正情報記憶情報216および衛星情報記憶情報217からファクターグラフを構築し、グラフ最適化演算によって高精度位置データ229をもとめ、第二位置情報221を算出してもよい。その場合、第二測位部8は
図5の形式で衛星情報記憶情報217に記載された複数の測位時刻222におけるGNSSアンテナ2の位置を高精度位置データ229とした第二位置情報221として算出する。第二測位部8が第二位置情報221を算出する手法はグラフ最適化演算に限定されず、それ以外の高精度な最適化演算による位置算出手法であってもよい。
【0068】
[測位誤差情報算出部]
測位誤差情報算出部9は、第一測位部3と第二測位部8に基づいて、測位誤差情報224を算出する。測位誤差情報算出部9は、第一測位部3から受信した第一位置情報227と第二測位部8から受信した第二位置情報221に基づいて、測位時刻222、測位誤差225およびミスFix解ステータス226を含む測位誤差情報224を算出する。
【0069】
図6は、測位誤差情報算出部9が算出する測位誤差情報224の詳細を示すデータテーブルを示す図である。測位誤差情報算出部9は、同一の測位時刻222における第一位置情報227の位置データ213と第二位置情報221の高精度位置データ229を比較し、その差分を測位誤差225として算出する。測位誤差情報算出部9は、測位誤差情報算出部9が算出した測位誤差225と第一位置情報227の測位ステータス210に基づいて、ミスFix解ステータス226を算出する。測位誤差情報算出部9は、第一位置情報227の測位ステータス210がFix解211の場合のみミスFix解ステータス226を算出する。ミスFix解ステータス226は、測位誤差情報算出部9が算出する第一位置情報227が算出したFix解211がミスFix解220であるかを判定するステータスである。
【0070】
測位誤差情報算出部9は、例えば、算出した測位誤差225の大きさが閾値以上の場合、ミスFix解220が発生したと判断する。測位誤差情報算出部9は、ミスFix解220が発生したと判断した場合、ミスFix解ステータス226をミスFix解220とする。測位誤差情報算出部9は、ミスFix解220が発生していないと判断した場合、ミスFix解ステータス226をFix解211とする。測位誤差情報算出部9は、算出した測位誤差225およびミスFix解ステータス226を測位誤差情報224としてデータ出力部10に出力する。測位誤差情報算出部9は、測位誤差225を算出した測位時刻222および該測位時刻222におけるミスFix解ステータス226を含んだ測位誤差情報224を算出し、データ出力部10に出力する。
【0071】
[データ出力部]
データ出力部10は、第一測位部3、第二測位部8および測位誤差情報算出部9に基づいて、移動体情報299を算出し、外部端末に送信する。データ出力部10は、第一測位部3から受信した第一位置情報227と測位誤差情報算出部9から受信した測位誤差情報224に基づいて、移動体情報299を算出する。データ出力部10は、測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信した場合、第一位置情報227と測位誤差情報224に基づいて、移動体情報299を算出する。データ出力部10は、測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信しなかった場合、第一位置情報227に基づいて、移動体情報299を算出する。
【0072】
図7は、測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信した場合にデータ出力部10が算出する移動体情報299の例を示している。データ出力部10は、測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信しなかった場合、第一位置情報227に記載された測位時刻222、位置データ213および測位ステータス210、つまり
図2に示した形式で移動体情報299として算出する。データ出力部10は、測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信した場合、第一位置情報227に記載された測位時刻222および測位ステータス210に加えて、少なくとも測位誤差情報224に記載されたミスFix解ステータス226を移動体情報299として算出する。データ出力部10は、算出した移動体情報299を外部端末に送信する。
【0073】
[測位システム全体]
以下、
図8および
図9を参照して、測位システム1がGNSSアンテナ2から衛星信号109を受信し、移動体情報299を算出するまでの処理を示す。
図8は、実施例1の測位システム1の処理の内、ステップS401からS415までを示すフローチャートである。
図9は、実施例1の測位システム1の処理の内、ステップS416からS428までを示すフローチャートである。測位システム1は、衛星信号取得部104の動作周期ごとに動作し、移動体情報299を算出する。
【0074】
ステップS401では、GNSSアンテナ2が複数の測位衛星11から衛星信号109を受信し、受信した衛星信号109をアナログ信号として衛星信号取得部104に送信する。
【0075】
ステップS402では、衛星信号取得部104がGNSSアンテナ2から受信したアナログ信号の衛星信号109をデジタル信号としての衛星情報201に変換し、衛星情報解析部105および衛星情報記憶部5に送信する。
【0076】
ステップS403では、衛星情報記憶部5が衛星信号取得部104から受信した衛星情報201を衛星情報記憶情報217として記憶する。
【0077】
ステップS404では、衛星情報解析部105が衛星信号取得部104から受信した衛星情報201から、衛星信号受信時刻218、擬似距離205、搬送波位相206、衛星軌道データ207および衛星識別番号208を測位情報209として算出し、第一測位部3に送信する。
【0078】
ステップS405では、通信部106が基地局から補正情報202を受信し、補正情報記憶部4と第一測位部3に送信する。
【0079】
ステップS406では、補正情報記憶部4が基地局から受信した補正情報202を補正情報記憶情報216として記憶する。
【0080】
ステップS407では、第一測位部3が衛星情報解析部105から受信した測位情報209に記載された衛星識別番号208から4機以上の測位衛星11が測位情報209に記載されているか判断する。記載されている場合(ステップS407:YES)、ステップS408に進む。記載されていない場合(ステップS407:NO)、処理を終了する。
【0081】
ステップS408では、第一測位部3が衛星情報解析部105から受信した測位情報209に基づき単独測位を実施することで、GNSSアンテナ2の地球上の位置として、概略位置203を算出する。
【0082】
ステップS409では、第一測位部3が衛星情報解析部105から受信した測位情報209に記載された衛星識別番号208および基地局から受信した補正情報202に記載された衛星識別番号208に基づいて、5機以上の測位衛星11が測位情報209と補正情報202に共通で記載されているか判断する。記載されている場合(ステップS409:YES)、ステップS410に進む。記載されていない場合(ステップS409:NO)、ステップS412に進む。
【0083】
ステップS410では、第一測位部3が衛星情報解析部105から受信した測位情報209および基地局から受信した補正情報202に基づき干渉測位を実施することで、GNSSアンテナ2の地球上の位置として、精密位置204を算出する。
【0084】
ステップS411では、第一測位部3が測位情報209および補正情報202に基づいて干渉測位を実施した際に、第一測位部3が搬送波位相差の波数整数部を確定しFix解211を算出できたか判定する。Fix解211を算出できた場合(ステップS411:YES)、ステップS414に進む。Fix解211を算出できなかった場合(ステップS411:NO)、ステップS413に進む。
【0085】
ステップS412では、第一測位部3が概略位置203を位置データ213とする第一位置情報227を算出する。
【0086】
ステップS413では、第一測位部3が精密位置204を位置データ213とする第一位置情報227を算出する。また、測位ステータス210をFloat解212とする。
【0087】
ステップS414では、第一測位部3が精密位置204を位置データ213とする第一位置情報227を算出する。また、測位ステータス210をFix解211とする。
【0088】
ステップS415では、第一測位部3が算出した位置データ213、測位時刻222および測位ステータス210を含む第一位置情報227を記憶情報解析部7、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10に出力する。
【0089】
ステップS416では、記憶情報解析部7が第一測位部3から受信した第一位置情報227に基づいて、測位ステータス210がFix解211か判断する。Fix解211の場合(ステップS416:YES)、ステップS417に進む。Fix解211でない場合(ステップS416:NO)、ステップS426に進む。
【0090】
ステップS417では、記憶情報解析部7が第一測位部3から受信した第一位置情報227、衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217および補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216に基づいて、ミスFix解予測モデル223を用いて、ミスFix解確率228を算出する。
【0091】
ステップS418では、記憶情報解析部7がミスFix解予測モデル223を用いて算出したミスFix解確率228が閾値以上か判断する。閾値以上の場合(ステップS418:YES)、ステップS419に進む。閾値未満の場合(ステップS418:NO)、処理を終了する。
【0092】
ステップS419では、記憶情報解析部7が第二測位部8に演算を指示する。
【0093】
ステップS420では、第二測位部8が衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217および補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216に基づいて、第二位置情報221を算出し、測位誤差情報算出部9およびデータ出力部10に送信する。
【0094】
ステップS421では、測位誤差情報算出部9が第一測位部3から受信した第一位置情報227に記載された位置データ213と、第二測位部8から受信した第二位置情報221に記載された測位時刻222が第一位置情報227と同一な高精度位置データ229の差分から測位誤差225を算出する。
【0095】
ステップS422では、測位誤差情報算出部9が測位誤差225の大きさを算出し閾値以上か判断する。閾値以上の場合(ステップS422:YES)、ステップS423に進む。閾値未満の場合(ステップS422:NO)、ステップS424に進む。
【0096】
ステップS423では、測位誤差情報算出部9がミスFix解ステータス226をミスFix解220として算出する。
【0097】
ステップS424では、測位誤差情報算出部9がミスFix解ステータス226をFix解211として算出する。
【0098】
ステップS425では、測位誤差情報算出部9が測位時刻222およびミスFix解ステータス226を含む測位誤差情報224をデータ出力部10に出力する。
【0099】
ステップS426では、データ出力部10が測位誤差情報算出部9から測位誤差情報224を受信したか判断する。受信した場合(ステップS426:YES)、ステップS427に進む。受信しなかった場合(ステップS426:NO)、ステップS428に進む。
【0100】
ステップS427では、データ出力部10が第一測位部3から受信した第一位置情報227に記載された測位時刻222および測位ステータス210に加えて、測位誤差情報算出部9から受信した測位誤差情報224に記載された高精度位置データ229およびミスFix解ステータス226を移動体情報299として外部端末へ送信し、処理を終了する。
【0101】
ステップS428では、データ出力部10が第一測位部3から受信した第一位置情報227を移動体情報299として外部端末へ送信し、処理を終了する。
【0102】
実施例1の測位システム1では、第一測位部3が算出した第一位置情報227、衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217、および補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216に基づいて、記憶情報解析部7のミスFix解予測モデル223を用いて、第一測位部3が算出した第一位置情報227のFix解211がミスFix解220である確率であるミスFix解確率228を算出する。
【0103】
測位システム1は、第一位置情報227のミスFix解確率228が高い場合のみ、衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報記憶情報217および補正情報記憶部4に記憶された補正情報記憶情報216から、第二測位部8を用いて高精度位置データ229を含む第二位置情報221を算出する。
【0104】
測位システム1は、第二位置情報221に記載された高精度位置データ229を実際のGNSSアンテナ2の位置に近い値として、第二位置情報221に記載された高精度位置データ229と第一位置情報227に記載された位置データ213の差分から、第一位置情報227のFix解211がミスFix解220であるか判定する。
【0105】
このように構成したことにより、測位システム1は、ミスFix解220の発生確率が高い場合のみ、第二測位部8を動作させることにより、GNSS受信機100内での演算負荷低減が可能となり、かつ第一位置情報227および第二位置情報221を比較することで、GNSSによる観測のみを用いて第一位置情報227がミスFix解220を算出したことを検知し、外部端末に通知可能となる。
【0106】
なお、本実施例の測位システム1は、衛星情報解析部105、第一測位部3、記憶情報解析部7、第二測位部8および測位誤差情報算出部9を全てまたは部分的に外部サーバ上に構成することが可能である。その場合、GNSS受信機100と外部サーバ間には適切な通信環境が構築される。
位置情報記憶部6は、測位時刻222の時系列順で位置データ213および測位ステータス210を記憶する。第一測位部3から受信した第一位置情報227と同一の測位時刻222の位置データ213および測位ステータス210が既に記憶されていた場合には、位置情報記憶部6は、記録されている位置情報記憶情報219の位置データ213および測位ステータス210を更新する。
位置情報記憶部6は、学習情報算出部12および測位誤差情報算出部9から常に位置情報記憶情報219を参照可能な状態で構成される。位置情報記憶部6は、記憶装置103として十分な記憶領域を確保できない場合、例えば、あらかじめ定められた一定期間のみの位置情報記憶情報219を記録し、記録時間が一定期間以上となった際、最も古いレコードを削除する処理を実行してもよい。位置情報記憶部6は、記憶装置103に格納される。
測位誤差情報算出部9は、測位誤差225を算出した測位時刻222、高精度位置データ229、測位誤差225およびミスFix解ステータス226を測位誤差情報224として学習情報算出部12に出力する。測位誤差情報算出部9は、位置情報記憶情報219に記載された最新の測位時刻222に紐づく、測位時刻222、高精度位置データ229、測位誤差225およびミスFix解ステータス226を含んだ測位誤差情報224を算出し、データ出力部10に出力する。
学習情報算出部12は、例えば、測位誤差情報224に記載されたミスFix解ステータス226をミスFix解予測モデル223の出力データとする。学習情報算出部12は、例えば、補正情報記憶情報216の衛星識別番号208、補正情報生成時刻214、擬似距離205および搬送波位相206、衛星情報記憶情報217の衛星識別番号208、衛星信号受信時刻218、擬似距離205および搬送波位相206、位置情報記憶情報219の測位時刻222、位置データ213および測位ステータス210をミスFix解予測モデル223の入力データとする。学習情報算出部12は、該入力データおよび該出力データに基づく学習情報230を算出する。学習情報算出部12は、算出した学習情報230を記憶情報解析部7に送信する。学習情報算出部12は、GNSS受信機100においてCPU101が実行するプログラムとして、メモリ102(または記憶装置103)に保持される。
ステップS431では、学習情報算出部12が補正情報記憶部4、衛星情報記憶部5、位置情報記憶部6および測位誤差情報算出部9に基づいて、学習情報230を算出し、記憶情報解析部7に送信する。
ステップS432では、記憶情報解析部7が学習情報算出部12から取得した学習情報230に基づいて、ミスFix解予測モデル223を学習させることで、ミスFix解予測モデル223を更新する。
実施例2によれば、測位システム1は、測位誤差情報算出部9によるミスFix解220の判定結果に基づいて、測位システム1による測位を実施している中で、記憶情報解析部7が内包するミスFix解予測モデル223を学習させることが可能となる。したがって、測位システム1はミスFix解予測モデル223のミスFix解確率228の高精度な予測が可能となり、再帰的に測位誤差情報算出部9によるミスFix解220の判定精度を実現可能となる。
(1)測位システム1は、受信した衛星情報201および補正情報202に基づいて、第一位置情報227を算出する第一測位部3と、受信した衛星情報201を記憶する衛星情報記憶部5と、受信した補正情報202を記憶する補正情報記憶部4と、衛星情報記憶部5に記憶されている衛星情報201と、補正情報記憶部4に記憶されている補正情報202とに基づいて、第二位置情報221を算出する第二測位部8とを備えたシステムであって、記憶情報解析部7および測位誤差情報算出部9を更に備え、記憶情報解析部7は、衛星情報記憶部5に記憶されている衛星情報201と、補正情報記憶部4に記憶されている補正情報202と、第一測位部3により算出された第一位置情報227とに基づいて、第一位置情報227の第一測位誤差情報を算出することで第二測位部8による演算の要否を判断し、測位誤差情報算出部9は、第一測位部3および第二測位部8の演算結果に基づいて、第一位置情報227の第二測位誤差情報を算出する。このようにしたので、測位システム1は、GNSSによる観測データのみを用いてミスFix解220を推定することができる。
(2)第一測位部3および第二測位部8の演算結果と、測位誤差情報算出部9の処理結果とに基づいて、第一位置情報227、第二位置情報221および第二測位誤差情報を外部端末へ出力するデータ出力部10を更に備える。
(3)記憶情報解析部7は、少なくとも衛星情報記憶部5に記憶された衛星情報201と、補正情報記憶部4に記憶された補正情報202と、第一測位部3から取得した第一位置情報227とに基づいて、第一測位誤差を出力する予測モデルを有する。
(9)測位誤差情報算出部9は、位置情報記憶部6に記憶されている第一位置情報227と、第二測位部8の演算結果とに基づいて、位置情報記憶部6に記載された少なくとも一つ以上の時刻の第二測位誤差情報を算出する。
(10)衛星情報記憶部5に記憶されている衛星情報201と、補正情報記憶部4に記憶されている補正情報202と、位置情報記憶部6に記憶されている第一位置情報227と、測位誤差情報算出部9の処理結果とに基づいて、記憶情報解析部7が内包する予測モデルの更新に用いる学習情報230を算出する学習情報算出部12を更に備える。
以上、幾つかの実施例を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
以上の説明では、「CPU101」は、一つ以上のプロセッサデバイス(以下、単に「プロセッサ」とも呼称する。)でよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)101のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
また、以上の説明では、「xxx部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置103および/またはインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する測位システム1が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
また、以下の説明では、「yyyテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのようなデータ構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。すなわち、情報がデータ構造に依存しないことを示すために、「yyyテーブル」を「yyy情報」とすることができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部または一部が一つのテーブルであってもよい。
また、以上の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する測位システム1が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
また、以上の説明では、「測位システム1」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステム(例えば、オンプレミス型のシステム)でもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。測位システム1が表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
上記の実施例や変形例の各々はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記ではさまざまな実施例や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、また、これらの内容の全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、以上に説明した測位システム1および測位システム1の各機能部の配置形態は一例に過ぎない。各機能部の配置形態は、測位システム1および測位システム1が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率等の観点から最適な配置形態に変更し得る。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。