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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025092015
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20250612BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207632
(22)【出願日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 友容
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA01
5G371BA01
5G371CA01
(57)【要約】
【課題】車両の車室内で使用される機器の使用範囲を拡大することができる給電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給電装置1は、車両100の車室内で使用される機器に対して給電する配索材10と、配索材10が収容される収容空間部25および収容空間部25と外部とを連通する開口部26が設けられた給電ケース20と、給電ケース20の開口部26と接続されるスライドレール30と、開口部26から給電ケース20の外側に引き出された配索材10の端部11aをスライドレール30に沿ってスライド可能に支持すると共に、機器と接続されるコネクタ45が設けられたスライドプロテクタ40と、を備え、スライドレール30は、開口部26と接続され給電ケース20の延在方向Xに沿って延在する幹部31と、幹部31と接続され延在方向Xと交差する幅方向Yに沿って延在する枝部32と、を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内で使用される機器に対して給電する配索材と、
前記配索材が収容される収容空間部と、前記収容空間部と外部とを連通する開口部と、が設けられた給電ケースと、
前記給電ケースの前記開口部と接続されるスライドレールと、
前記開口部から前記給電ケースの外側に引き出された前記配索材の端部を前記スライドレールに沿ってスライド可能に支持すると共に、前記機器と接続されるコネクタが設けられたスライドプロテクタと、を備え、
前記スライドレールは、前記開口部と接続され前記給電ケースの延在方向に沿って延在する幹部と、前記幹部と接続され前記延在方向と交差する幅方向に沿って延在する枝部と、を有する、
給電装置。
【請求項2】
複数の前記配索材と、
複数の前記配索材のそれぞれの前記端部を前記スライドレールに沿ってスライド可能に支持すると共に、それぞれに前記コネクタが設けられた複数の前記スライドプロテクタと、を備え、
複数の前記スライドプロテクタは、少なくとも一つが前記スライドレールの前記幹部に配置され、かつ少なくとも別の一つが前記スライドレールの前記枝部に配置された状態で設けられる、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
複数の前記配索材は、それぞれが可撓性を有する平型配索材によって構成され、
複数の前記平型配索材は、前記スライドレールの前記幹部内にそれぞれの板厚方向が前記幅方向に沿う縦置きの姿勢で配索される、
請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記給電ケースおよび前記スライドレールは、前記車両の天井に設置され、
前記スライドプロテクタは、前記スライドレールに対して手動で前記幹部および前記枝部に沿ってスライド可能に構成される、
請求項1または2に記載の給電装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給電装置に関する技術として、例えば、特許文献1には、車両のスライドシートに対して給電する配索材と、配索材が収容される給電ケースと、給電ケースの配索材出口と接続されるスライドレールと、給電ケースの外側に引き出された配索材の端部をスライドレールに沿ってスライド可能に支持するスライドプロテクタと、を備えた給電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7167384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の給電装置では、給電の対象が車両のスライドシートであるが、例えば、給電の対象が車両の車室内で使用される機器である場合があり、この場合、機器の使用範囲拡大の点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両の車室内で使用される機器の使用範囲を拡大することができる給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る給電装置は、車両の車室内で使用される機器に対して給電する配索材と、前記配索材が収容される収容空間部と、前記収容空間部と外部とを連通する開口部と、が設けられた給電ケースと、前記給電ケースの前記開口部と接続されるスライドレールと、前記開口部から前記給電ケースの外側に引き出された前記配索材の端部を前記スライドレールに沿ってスライド可能に支持すると共に、前記機器と接続されるコネクタが設けられたスライドプロテクタと、を備え、前記スライドレールは、前記開口部と接続され前記給電ケースの延在方向に沿って延在する幹部と、前記幹部と接続され前記延在方向と交差する幅方向に沿って延在する枝部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る給電装置では、スライドレールは、給電ケースの開口部と接続され延在方向に沿って延在する幹部と、幹部と接続され延在方向と交差する幅方向に沿って延在する枝部と、を有する。この構成により、給電装置は、例えば、機器と接続されるコネクタが設けられたスライドプロテクタを、スライドレールに対して幹部および枝部に沿って延在方向および幅方向にスライドさせることができる。この結果、給電装置は、車両の車室内で使用される機器の使用範囲を拡大することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る給電装置の例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る給電装置のスライドレールが取り外された状態の例示的な平面図であって、高さ方向の下方側(車室内側)から見た図である。
図3図3は、実施形態に係る給電装置のスライドレールが取り外された状態の例示的な平面図であって、高さ方向の上方側から見た図である。
図4図4は、実施形態に係る給電装置のスライドレールにおける幹部の例示的な断面図である。
図5図5は、実施形態に係る給電装置のスライドレールにおける枝部の例示的な断面図である。
図6図6は、実施形態に係る給電装置のスライドプロテクタの例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る給電装置1の斜視図である。図1に示される本実施形態の給電装置1は、例えば、多目的車両等の車両100の天井101に設置され、車室内で使用される機器に対して給電するものである。本実施形態の給電装置1は、例えば、導電性を有する複数の配索材10(図2参照)と、複数の配索材10を収容する給電ケース20と、給電ケース20と接続されるスライドレール30と、給電ケース20の外側に引き出された複数の配索材10のそれぞれの端部11aをスライドレール30に沿ってスライド可能に支持する複数のスライドプロテクタ40と、を備えている。なお、給電装置1は、この他、さらに、固定具や、ガイド機構など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。車室内で使用される機器は、例えば、照明や、モニタ、スマートフォン、ノートパソコン等の電子機器である。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、延在方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に略直交する。延在方向Xは、典型的には、給電ケース20の長手方向、スライドレール30の後述する幹部31の長手方向等に相当し、車両前後方向に沿う。幅方向Yは、典型的には、給電ケース20の短手方向、スライドレール30の後述する枝部32の長手方向等に相当し、車両幅方向に沿う。高さ方向Zは、典型的には、給電ケース20の厚さ方向(上下方向)、スライドレール30の高さ方向等に相当し、車両上下方向に沿う。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、給電装置1が車両100に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0012】
図2は、給電装置1のスライドレール30が取り外された状態の平面図であって、高さ方向Zの下方側(車室内側)から見た図であり、図3は、給電装置1のスライドレール30が取り外された状態の平面図であって、高さ方向Zの上方側から見た図である。図2、3に示されるように、複数の配索材10は、それぞれが、薄く、可撓性を有した平型配索材11によって構成される。平型配索材11は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)や、FPC(Flexible Printed Circuits)等の平型の配索材である。平型配索材11は、全体として、延在方向Xに沿って横長な長方形状の板状に形成される。平型配索材11は、給電ケース20内およびスライドレール30内に渡ってそれぞれの板厚方向が幅方向Yに沿う縦置きの姿勢で多重に配索される。
【0013】
平型配索材11は、給電ケース20の内部に設けられた収容空間部25に一部が収容された状態で、当該平型配索材11の一部が、スライドプロテクタ40のスライド方向のうち一方のスライド移動に伴って給電ケース20の外側に引き出され、スライド方向のうち他方のスライド移動に伴って、給電ケース20の内側に導入される。平型配索材11は、それぞれの一方の端部11aが、スライドプロテクタ40に設けられたコネクタ45と電気的に接続され、それぞれの他方の端部11bが、車両100に搭載されたバッテリ等と電気的に接続される。複数の平型配索材11は、複数のスライドプロテクタ40のそれぞれのコネクタ45に対応して、それぞれ個別の電力系統を構成している。
【0014】
給電ケース20は、例えば、第1底壁21と、周壁22と、配索材引き回し部23と、取付部24と、第2底壁28(図1参照)と、を含んで構成される。第1底壁21、周壁22、および第2底壁28は、給電ケース20の内部空間部としての上述した収容空間部25を区画するための構造体である。収容空間部25は、複数の平型配索材11が収容される空間部である。第1底壁21および第2底壁28は、例えば、平板状に形成され、延在方向Xに沿って横長に延在している。第1底壁21および第2底壁28は、互いに高さ方向Zに間隔をあけて対向して配置される。また、第1底壁21および第2底壁28の外面には、それぞれ高さ方向Zに沿って突出した複数のビードが設けられている。複数のビードは、給電ケース20を補強するためのものであり、例えば、延在方向Xおよび幅方向Yに沿って延びた格子状に形成される。
【0015】
周壁22は、例えば、第1底壁21の周縁部と第2底壁28の周縁部との間に渡るように高さ方向Zに沿って延在している。周壁22は、例えば、幅方向Yの一方側に位置される第1周壁と、幅方向Yの他方側に位置される第2周壁と、延在方向Xの一方側に位置される第3周壁と、を含んで構成される。第1周壁および第2周壁は、延在方向Xに沿って直線状に延在している。第3周壁は、第1周壁および第2周壁の延在方向Xの一端部と接続され、延在方向Xの一方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。
【0016】
配索材引き回し部23は、例えば、第1周壁および第2周壁の延在方向Xの他端部と接続され、延在方向Xの他方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。配索材引き回し部23の内部には、複数の平型配索材11が円弧状に挿通される挿通空間部27(図3参照)が設けられている。挿通空間部27の一端部は、給電ケース20の収容空間部25と接続され、挿通空間部27の他端部は、給電ケース20の外部と連通する開口部26と接続される。開口部26は、複数の平型配索材11のそれぞれの端部11aが給電ケース20の外側に引き出される開口である。
【0017】
取付部24は、例えば、給電ケース20の延在方向Xの一端部に設けられている。取付部24は、周壁22の上述した第3周壁から延在方向Xの一方側に突出している。取付部24には、高さ方向Zに沿って貫通した取付穴24aが設けられている。取付穴24aには、例えば、給電ケース20を車両100の天井101に対して固定するボルト等の締結部材が締結される。
【0018】
給電ケース20は、例えば、ベースやカバー等を含む複数の部品の組み合わせによって構成される。ベースは、第1底壁21と、周壁22、配索材引き回し部23、および取付部24の一部と、を含み、カバーは、第2底壁28(図1参照)と、周壁22、配索材引き回し部23、および取付部24の残りの一部と、を含む。そして、ベースは、カバーに対して高さ方向Zに積層された状態で組付けられる。ベースとカバーとは、互いに別体で形成され、爪嵌合等による所謂スナップフィットによって互いに一体化される。給電ケース20は、ベースとカバーとが相互に組み付けられることで、全体として略直方体状に形成される。給電ケース20は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂等によって形成される。
【0019】
収容空間部25は、給電ケース20内に形成され、上述した開口部26を介して外部と連通する内部空間部である。収容空間部25に配索された複数の平型配索材11は、高さ方向Zから見た場合(図3参照)、幅方向Yの両側に直線状態にある直線部がそれぞれ配置され、幅方向Yの中央側に直線部を連結しかつ折返し状態にある折返し部11cが配置される。折返し部11cは、収容空間部25に収容された複数の平型配索材11のうち、延在方向Xの一方側から他方側にU字状に折り返された部分である。直線部の一方は、収容空間部25に収容された複数の平型配索材11のうち、折返し部11cの一端部と接続され周壁22の第1周壁と対向するように延在方向Xに沿って延在する部分である。直線部の他方は、収容空間部25に収容された複数の平型配索材11のうち、折返し部11cの他端部と接続され周壁22の第2周壁と対向するように延在方向Xに沿って延在する部分である。
【0020】
折返し部11cは、例えば、スライドプロテクタ40のスライド移動に伴い、延在方向Xに沿って移動する。具体的には、折返し部11cは、スライドプロテクタ40のスライド移動に伴って開口部26から出し入れされた場合に、周壁22の上述した第3周壁と近接する第1位置(図3参照)と、配索材引き回し部23と近接する第2位置と、の間で延在方向Xに沿って移動可能である。複数の平型配索材11は、スライドプロテクタ40のスライド移動に伴って、開口部26から出し入れされる。このため、給電ケース20には、開口部26と隣接してスライドプロテクタ40をスライド可能に支持するスライドレール30(図1参照)が設けられる。
【0021】
ここで、本実施形態では、スライドレール30は、開口部26と接続され延在方向Xに沿って延在する幹部31と、幹部31と接続され幅方向Yに沿って延在する枝部32と、を含んで構成される。本実施形態では、スライドレール30は、例えば、一つの幹部31と、二つの枝部32と、を有している。二つの枝部32のうち一方は、幹部31の延在方向Xの中央部と接続され、当該中央部から幅方向Yの一方側に向けて延びている。二つの枝部32のうち他方は、幹部31の延在方向Xの一端部と接続され、当該一端部から幅方向Yの両側に向けて延びている。
【0022】
そして、本実施形態では、スライドレール30のうち一つの幹部31と二つの枝部32とに対応して、合計三つのスライドプロテクタ40が設けられている。三つのスライドプロテクタ40は、上述した三つの平型配索材11のそれぞれの端部11aを支持すると共に、当該各端部11aと電気的に接続され、かつ幹部31および二つの枝部32のそれぞれに対してスライド可能に支持されている。すなわち、複数のスライドプロテクタ40は、少なくとも一つが幹部31に配置され、かつ少なくとも別の一つが枝部32に配置された状態で設けられる。
【0023】
図4は、給電装置1のスライドレール30における幹部31の断面図であり、図5は、給電装置1のスライドレール30における枝部32の断面図である。図4、5に示されるように、スライドレール30の幹部31および枝部32は、それぞれ、底壁30aと、一対の第1側壁30bと、一対の天壁30cと、一対の第2側壁30dと、を含んで構成される。
【0024】
底壁30aは、スライドレール30のうち幹部31および枝部32の下端部を構成する部分である。幹部31の底壁30aは、延在方向Xに沿って横長に延在する平板状に構成され、枝部32の底壁30aは、幅方向Yに沿って横長に延在する平板状に構成される。底壁30aは、スライドレール30が車両100の天井101に取り付けられた状態において、高さ方向Zの上方側(天井101側)に位置される。
【0025】
一対の第1側壁30bは、スライドレール30のうち幹部31および枝部32の外側端部(外側レール)を構成する部分である。幹部31の一対の第1側壁30bは、底壁30aの幅方向Yの両端部から高さ方向Zに沿って突出し、枝部32の一対の第1側壁30bは、底壁30aの延在方向Xの両端部から高さ方向Zに沿って突出している。一対の第1側壁30bは、幹部31の長手方向となる延在方向Xまたは枝部32の長手方向となる幅方向Yに沿って横長に延在する平板状に構成される。
【0026】
一対の天壁30cは、スライドレール30のうち幹部31および枝部32の上端部を構成する部分である。幹部31の一対の天壁30cは、一対の第1側壁30bの底壁30aとは反対側の端部から幅方向Yの中央側に向けて突出し、枝部32の一対の天壁30cは、一対の第1側壁30bの底壁30aとは反対側の端部から延在方向Xの中央側に向けて突出している。一対の天壁30cは、幹部31の長手方向となる延在方向Xまたは枝部32の長手方向となる幅方向Yに沿って横長に延在する平板状に構成される。一対の天壁30cは、スライドレール30が車両100の天井101に取り付けられた状態において、高さ方向Zの下方側(車室内側)に位置される。
【0027】
一対の第2側壁30dは、スライドレール30のうち幹部31および枝部32の内側端部(内側レール)を構成する部分である。一対の第2側壁30dは、一対の天壁30cの一対の第1側壁30bとは反対側の端部から高さ方向Zに沿って突出している。また、一対の第2側壁30dは、底壁30aに対して高さ方向Zに離間して位置される。一対の第2側壁30dは、幹部31の長手方向となる延在方向Xまたは枝部32の長手方向となる幅方向Yに沿って横長に延在する平板状に構成される。
【0028】
上記のように構成されるスライドレール30は、幹部31および枝部32のそれぞれに、底壁30aと、一対の第1側壁30bと、一対の天壁30cと、一対の第2側壁30dと、によって囲まれた一対の内部空間部30eが設けられる。一対の内部空間部30eは、複数の平型配索材11が挿通される空間部である。本実施形態では、一対の内部空間部30eのうちの一方に二つの平型配索材11が縦置きの姿勢で多重に配索され、一対の内部空間部30eのうちの他方に一つの平型配索材11が縦置きの姿勢で配索される。
【0029】
また、スライドレール30は、幹部31および枝部32のそれぞれに、底壁30aと、一対の第2側壁30dと、によって囲まれた外部空間部30fが設けられる。外部空間部30fは、スライドプロテクタ40が挿通される空間部である。外部空間部30fは、一対の内部空間部30eの間に設けられ、底壁30aと一対の第2側壁30dとの間の開口を介して一対の内部空間部30eと連通している。本実施形態では、外部空間部30fと一対の内部空間部30eのうち一方との間に渡って、スライドプロテクタ40(図5参照)が収容される。
【0030】
なお、本実施形態では、幹部31の一対の内部空間部30eは、枝部32の一対の内部空間部30eと接続され、当該枝部32の一対の内部空間部30eと連通している。また、幹部31の外部空間部30fは、枝部32の外部空間部30fと接続され、当該枝部32の外部空間部30fと連通している。すなわち、複数の平型配索材11は、幹部31の内部空間部30eと枝部32の内部空間部30eとに渡って配索可能であり、スライドプロテクタ40は、幹部31の外部空間部30fと枝部32の外部空間部30fとに渡って配索(乗り換え)可能である。複数の平型配索材11のうち幹部31の内部空間部30eと枝部32の内部空間部30eとに渡って配索される平型配索材11は、幅方向Yに沿って略90°の角度で屈曲した屈曲部10d(図2、3参照)を有している。
【0031】
図6は、給電装置1のスライドプロテクタ40の斜視図である。図6に示されるように、スライドプロテクタ40は、例えば、ベース41と、カバー42と、サイドカバー43と、コネクタ45と、を含んで構成される。ベース41、カバー42、およびサイドカバー43は、例えば、絶縁性の樹脂材料等によって形成される。ベース41とカバー42とサイドカバー43とは、互いに別体に形成され、爪部41d、42dの爪嵌合による所謂スナップフィットによって互いに一体化される。
【0032】
ベース41は、スライドプロテクタ40のうちカバー42と共に上述したスライドレール30の外部空間部30f(図5参照)に挿通される本体部を構成する部分である。ベース41は、例えば、底壁41aと、側壁41bと、一対の端壁41cと、爪部41dと、を含んで構成される。底壁41a、側壁41b、および一対の端壁41cは、本体部の内部空間部44を区画するための構造体である。内部空間部44は、例えば、上述した平型配索材11の端部11aとコネクタ45とを電気的に接続するバスバ等の配線部材が挿通および配索される空間部である。
【0033】
底壁41aは、例えば、平板状に形成され、上述したスライドレール30の底壁30a(図5参照)にスライド可能に支持される。側壁41bは、底壁41aの幅方向Yの一端部から高さ方向Zに沿って突出して形成され、一対の端壁41cは、底壁41aの延在方向Xの両端部から高さ方向Zに沿って突出して形成される。ベース41は、底壁41aと側壁41bと一対の端壁41cとによって囲われた空間部が上述した内部空間部44として機能する。また、側壁41bの底壁41aとは反対側の端部には、カバー42と係止される爪部41dが設けられる。
【0034】
カバー42は、ベース41に組み付けられ、当該ベース41における内部空間部44を覆う(塞ぐ)ものである。カバー42は、例えば、天壁42aと、側壁42bと、突出部42cと、を含んで構成される。天壁42aおよび側壁42bは、本体部の上述した内部空間部44を区画するための構造体である。側壁42bは、例えば、ベース41の側壁41bに沿った平板状に形成され、内部空間部44を覆った状態で組付けられる。天壁42aは、側壁42bの端部から幅方向Yに沿って突出して形成される。天壁42aには、ベース41の爪部41dと係止される被係止部が設けられる。
【0035】
突出部42cは、側壁42bから幅方向Yの他方側(ベース41とは反対側)に向けて突出して形成される。突出部42cは、例えば、ベース41と略同様に、底壁や、側壁、一対の端壁、天壁等を含んで構成される。底壁、側壁、一対の端壁、および天壁は、突出部42cの内部空間部46を区画するための構造体である。内部空間部46は、例えば、上述した平型配索材11の端部11aが挿通および配索される空間部である。また、突出部42cの天壁には、サイドカバー43と係止される爪部42dが設けられる。
【0036】
サイドカバー43は、スライドプロテクタ40のうちカバー42の突出部42cと共に上述したスライドレール30の内部空間部30e(図5参照)に挿通される突出部を構成する部分である。サイドカバー43は、例えば、天壁43aと、側壁43bと、を含んで構成される。天壁43aおよび側壁43bは、突出部42cの上述した内部空間部46を区画するための構造体である。側壁43bは、例えば、カバー42の側壁42bに沿った平板状に形成され、内部空間部46を覆った状態で組付けられる。天壁43aは、側壁43bの端部から幅方向Yに沿って突出して形成される。天壁43aには、突出部42cの爪部42dと係止される被係止部が設けられる。
【0037】
コネクタ45は、車両100の車室内で使用される機器と接続される部分である。コネクタ45は、例えば、ベース41における底壁41aとは反対側の端部に設けられ、機器の電源プラグと接続されるコンセントとして構成される。コネクタ45は、ベース41に対して露出した状態で設けられてもよいし、例えば、開閉可能な蓋部材等によって覆われた状態で設けられてもよい。コネクタ45は、例えば、ベース41の内部空間部44と突出部42cの内部空間部46との間に渡って配索されるバスバ等の配線部材を介して平型配索材11の端部11aと電気的に接続される。本実施形態では、三つのスライドプロテクタ40の各コネクタ45は、三つの平型配索材11のそれぞれと個別に電気的に接続される。なお、コネクタ45は、この例には限定されず、例えば、平型配索材11の端部11aに設けられたコネクタ45が、突出部42cの内部空間部46およびベース41の内部空間部44を経由してスライドプロテクタ40の外面に露出して設けられる構成でもよい。
【0038】
以上のように、本実施形態の給電装置1では、スライドレール30は、給電ケース20の開口部26と接続され延在方向Xに沿って延在する幹部31と、幹部31と接続され延在方向Xと交差する幅方向Yに沿って延在する枝部32と、を有する。この構成により、給電装置1は、例えば、機器と接続されるコネクタ45が設けられたスライドプロテクタ40を、スライドレール30に対して幹部31および枝部32に沿って延在方向Xおよび幅方向Yにスライドさせることができる。この結果、給電装置1は、車両100の車室内で使用される機器の使用範囲を拡大することができる。
【0039】
また、本実施形態の給電装置1では、複数の配索材10と、複数の配索材10のそれぞれの端部11aをスライドレール30に沿ってスライド可能に支持すると共に、それぞれにコネクタ45が設けられた複数のスライドプロテクタ40と、を備え、複数のスライドプロテクタ40は、少なくとも一つがスライドレール30の幹部31に配置され、かつ少なくとも別の一つがスライドレール30の枝部32に配置された状態で設けられる。この構成により、給電装置1は、例えば、複数のスライドプロテクタ40によって機器との接続部(コネクタ45)を選択することができたり、幹部31または枝部32に沿って任意の位置に移動させたりすることができ、ひいては車両100の車室内で使用される機器の使用範囲をより一層拡大することができる。また、複数のスライドプロテクタ40は、スライドレール30内で互いに相対移動可能であるため、例えば、同一のスライドレール30内に給電相手の機器が二つあり、当該二つの機器が相対移動しても同時に給電可能である。
【0040】
また、本実施形態の給電装置1では、複数の配索材10は、それぞれが可撓性を有する平型配索材11によって構成され、複数の平型配索材11は、スライドレール30の幹部31内にそれぞれの板厚方向が幅方向Yに沿う縦置きの姿勢で配索される。この構成により、給電装置1は、例えば、複数の平型配索材11のうち少なくともスライドレール30の枝部32に配置されるスライドプロテクタ40と接続される一つを、スライドレール30の幹部31から枝部32に渡って幅方向Yに沿って屈曲させた形態でより円滑に配索することができる。
【0041】
また、本実施形態の給電装置1では、給電ケース20およびスライドレール30は、車両100の天井101に設置され、スライドプロテクタ40は、スライドレール30に対して手動で幹部31および枝部32に沿ってスライド可能に構成される。この構成により、給電装置1は、例えば、車両100の車室内でユーザがスライドプロテクタ40を幹部31および枝部32に沿って任意の位置に手動で移動させて機器と接続することが可能な給電装置1を提供することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、スライドレール30に複数のスライドプロテクタ40が設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、スライドレール30に一つのスライドプロテクタ40が設けられてもよい。また、本実施形態では、給電ケース20およびスライドレール30が車両100の天井101に設置された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、車両の100のフロアパネル等に設置されてもよい。また、本実施形態では、配索材10およびスライドプロテクタ40によって少なくとも車両100の車室内で使用される機器に対して給電する場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、車両100の車室外で使用される機器(例えば、ルーフパネル上に設置されるスピーカ等)に対して給電するようにしてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 給電装置
10 配索材
11 平型配索材
11a 端部
20 給電ケース
25 収容空間部
26 開口部
30 スライドレール
31 幹部
32 枝部
40 スライドプロテクタ
45 コネクタ
100 車両
101 天井
X 延在方向
Y 幅方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6