(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009229
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/587 20230101AFI20250110BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20250110BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20250110BHJP
【FI】
H04N25/587
H04N25/70
H04N23/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112089
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】安部 大智
【テーマコード(参考)】
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
5C024CX43
5C024EX03
5C024GX03
5C024GX16
5C024GY31
5C024HX47
5C024HX50
5C122EA21
5C122FC06
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】センサ部のポテンシャルを十分に活用できる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、センサ部の出力を得る検出回路と、を備え、センサ部は複数設けられ、フォトダイオードは、アノードに基準電位が与えられ、カソードに基準電位よりも電位が高いリセット電位が与えられ、センサ部は、リセット電位がカソードに与えられた後、リセット電位が再度カソードに与えられる前にフォトダイオードが検出した光の度合いに応じた出力を生じさせ、複数のセンサ部の出力を得る第1期間F1と、第1期間F1の後に当該複数のセンサ部の出力を得る第2期間F2と、が生じ、第1期間F1と第2期間F2とでは、基準電位及びリセット電位が異なる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、
前記センサ部の出力を得る検出回路と、を備え、
前記センサ部は複数設けられ、
前記フォトダイオードは、アノードに基準電位が与えられ、カソードに前記基準電位よりも電位が高いリセット電位が与えられ、
前記センサ部は、前記リセット電位が前記カソードに与えられた後、前記リセット電位が再度カソードに与えられる前に前記フォトダイオードが検出した光の度合いに応じた出力を生じさせ、
複数の前記センサ部の出力を得る第1期間と、前記第1期間の後に当該複数の前記センサ部の出力を得る第2期間と、が生じ、
前記第1期間と前記第2期間とでは、前記基準電位及び前記リセット電位が異なる、
検出装置。
【請求項2】
光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、
前記センサ部の出力を得る検出回路と、を備え、
前記センサ部は複数設けられ、
前記フォトダイオードは、アノードに基準電位が与えられ、カソードに前記基準電位よりも電位が高いリセット電位が与えられ、
前記センサ部と前記検出回路との間に電気抵抗として機能する構成が介在し、
前記電気抵抗と前記検出回路との接続経路にバイアス電流を与える電流源が接続され、
複数の前記センサ部の出力を得る第1期間と、前記第1期間の後に当該複数の前記センサ部の出力を得る第2期間と、が生じ、
前記第1期間と前記第2期間とでは、前記バイアス電流が異なる、
検出装置。
【請求項3】
前記第1期間で複数の前記センサ部の出力がいずれも前記検出回路で認識可能な入力の下限と上限との範囲内である場合、前記第2期間が省略される、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1期間及び前記第2期間ではそれぞれ、複数の前記センサ部の各々の出力を合わせた出力が、当該複数の前記センサ部が配置された検出領域からの出力として扱われる、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出回路は、前記第1期間における前記検出領域からの出力である第1出力と、前記第2期間における前記検出領域からの出力である第2出力と、の両方を得る場合、前記第1出力と前記第2出力との重複部分を前記第1出力又は前記第2出力から差し引いて前記第1出力と前記第2出力とを合成する、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記センサ部はマトリクス状に配置され、
複数の前記センサ部の各々は、前記センサ部に出力を生じさせる走査信号を伝送するための走査線及び前記センサ部からの出力を伝送する信号線と接続されている、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項7】
光を発する光源を備え、
複数の前記センサ部が配置されている検出領域を有するセンサパネルと、前記光源と、は培地を挟んで対向する、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項8】
前記検出回路で認識可能な入力の下限と上限との範囲は、前記センサ部の出力の下限と上限との範囲よりも小さい、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物組織や微生物の培養環境の状態を光学センサで検出可能にした検出装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した検出装置における検出の明暗のダイナミックレンジは、受光素子が設けられたセンサ部の出力の下限と上限との第1ダイナミックレンジと、当該センサ部の出力を得る回路が受け付ける入力の下限と上限との第2ダイナミックレンジと、のうち狭い方による制約を受ける。ここで、第1ダイナミックレンジよりも第2ダイナミックレンジが狭い場合、センサ部のポテンシャルを十分に活用できない。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、センサ部のポテンシャルを十分に活用できる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による検出装置は、光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、前記センサ部の出力を得る検出回路と、を備え、前記センサ部は複数設けられ、前記フォトダイオードは、アノードに基準電位が与えられ、カソードに前記基準電位よりも電位が高いリセット電位が与えられ、前記センサ部は、前記リセット電位が前記カソードに与えられた後、前記リセット電位が再度カソードに与えられる前に前記フォトダイオードが検出した光の度合いに応じた出力を生じさせ、複数の前記センサ部の出力を得る第1期間と、前記第1期間の後に当該複数の前記センサ部の出力を得る第2期間と、が生じ、前記第1期間と前記第2期間と、では、前記基準電位及び前記リセット電位が異なる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、検出装置の主要構成を示す図である。
【
図2】
図2は、検出領域及び配線領域の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、センサ部の回路構成を示す回路図である。
【
図4】
図4は、信号線への信号の出力及び当該出力の検出回路への伝送に関わる回路の振る舞いを説明するための回路図である。
【
図5】
図5は、検出装置の動作時の態様を示す概略図である。
【
図6】
図6は、AFEが認識する信号強度と、検出領域の座標と、の関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、信号の合成処理の仕組みを示す概略図である。
【
図8】
図8は、頭打ちが生じた場合にバイアス電流の変更が行われるときの第1期間F1と第2期間F2の主要な信号制御の例を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、頭打ちが生じた場合に初期電位の変更が行われるときの第1期間F1と第2期間F2の主要な信号制御の例を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、センサスキャンに伴う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、検出装置1の主要構成を示す図である。検出装置1は、センサパネル10と、光源パネル20と、を備える。センサパネル10と光源パネル20とはホスト30に接続される。
【0010】
センサパネル10は、基板11上に検出領域SA(
図2参照)が設けられている。また、基板11上には、リセット回路13、走査回路14及び配線領域VAが実装されている。検出領域SA上の構成、リセット回路13及び走査回路14は、配線領域VAを介して検出回路15と接続されている。
【0011】
光源パネル20は、検出領域SAに光を照射する発光領域LAを有する。光源パネル20は、基板21上に光源22が設けられている。光源22は、例えばLED(Light Emitting Diode)のような発光素子であり、発光領域LA内に配置される。
図1に示す例では、複数の光源22が、基板21上にマトリクス状に配置されている。
【0012】
複数の光源22は、個別に発光制御可能に設けられる。光源パネル20には、光源駆動回路23が設けられている。光源駆動回路23は、ホスト30の制御下で、複数の光源22の各々の点灯の有無及び点灯時の輝度制御を行う。
【0013】
ホスト30は、検出装置1の動作に関する各種の制御を行う。具体的には、ホスト30は、例えば検出装置1の構成に対応したマイクロコントローラ又はマイクロコントローラと同様に機能する情報処理装置である。係るホスト30は、SPI(Serial Peripheral Interface)のような規格化されたインタフェースを介して検出回路15と接続され、検出回路15からの出力を得る。また、係るホスト30は、規格化されたインタフェースを介して光源駆動回路23と接続され、光源22の点灯パターンの決定等、光源22の点灯に関する処理を行う。
【0014】
図2は、検出領域SA及び配線領域VAの構成例を示す図である。検出領域SAには複数のセンサ部WA(
図3)が設けられている。実施形態では、
図2に示すように、複数のセンサ部WAが第1方向Dx及び第2方向Dyに沿ってマトリクス状に配置されている。第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。また、以下の説明で第3方向Dzと記載した場合、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する方向をさす。
【0015】
リセット回路13は、リセット信号伝送線51,52,・・・,5nと接続されている。以下、リセット信号伝送線5と記載した場合、リセット信号伝送線51,52,・・・,5nのいずれかをさす。リセット信号伝送線5は、第1方向Dxに沿う配線である。
図2に示す例では、n本のリセット信号伝送線5が、第2方向Dyに並ぶ。nは、2以上の自然数である。係るn本のリセット信号伝送線5は、第1方向Dxの一端側で、リセット回路13と接続されている。
【0016】
走査回路14は、走査線61,62,・・・,6nと接続されている。以下、走査線6と記載した場合、走査線61,62,・・・,6nのいずれかをさす。走査線6は、第1方向Dxに沿う配線である。
図2に示す例では、n本の走査線6が、第2方向Dyに並ぶ。係るn本のリセット信号伝送線5は、第1方向Dxの他端側で、走査回路14と接続されている。
【0017】
図2に示すように、リセット信号伝送線5と走査線6とは、検出領域SA内で第2方向Dyに交互に並ぶ。なお、
図1及び
図2で例示するリセット回路13と走査回路14は、検出領域SAを挟んで対向する位置に配置されているが、リセット回路13と走査回路14のレイアウトはこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0018】
また、検出領域SA内には、信号線71,72,・・・,7mが設けられている。以下、信号線7と記載した場合、信号線71,72,・・・,7mのいずれかをさす。信号線7は、第2方向Dyに沿う配線である。
【0019】
図2に示す例では、m本の信号線7が、第1方向Dxに並ぶ。mは、2以上の自然数である。係るm本の信号線7はそれぞれ、第2方向Dyの一端側で、セレクタ回路40が有する複数のスイッチのいずれか(例えば、スイッチSW1、スイッチSW2、スイッチSW3又はスイッチSW4)と接続されている。
【0020】
セレクタ回路40は、配線領域VA内に設けられる。セレクタ回路40は、複数のスイッチを有する。
図2に示す例では、当該複数のスイッチとして、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4が示されている。1つのセレクタ回路40が有する複数のスイッチは、それぞれ異なるタイミングでON(接続状態)になる。1つのセレクタ回路40が有する複数のスイッチのうち、1つのスイッチがON(接続状態)である期間、他のスイッチはOFF(非接続状態)である。セレクタ回路40の数は、信号線7の数(m)に応じる。スイッチの数をpとすると、セレクタ回路40の数は、m/pあれば足りる。セレクタ回路40が複数ある場合、複数のセレクタ回路40はそれぞれ、個別の配線401,402,・・・,40pを介して検出回路15と接続される。
【0021】
なお、セレクタ回路40を介した信号線7と検出回路15との接続はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、配線領域VA内で信号線7を個別に検出回路15と直結させてもよい。配線領域VA内で、リセット回路13は、配線131を介して検出回路15と接続される。配線領域VA内で、走査回路14は、配線141を介して検出回路15と接続される。
【0022】
検出回路15は、センサ部WAに設けられるPD82(
図3参照)による光の検出に係り、リセット回路13及び走査回路14の動作タイミングを制御する。これによって、検出回路15は、後述する
図8及び
図9を参照して説明するセンサ部WAのリセット期間RT、露光期間EX、読出期間RDのタイミング制御を行う。また、検出回路15には、センサ部WAからの出力が入力される。検出回路15は、センサ部WAから入力された信号をホスト30に解釈可能なデータに変換してホスト30に出力する。なお、実施形態の検出回路15は、センサパネル10における複数のセンサ部WAのROIC(ReadOut Integrated Circuit)である。
【0023】
図3は、センサ部WAの回路構成を示す回路図である。なお、
図3における第1方向Dx、第2方向Dyは、リセット信号伝送線5、走査線6、信号線7の方向と対応しているに過ぎず、センサ部WA内の回路構成の相対的位置関係を厳密に示すものでない。
【0024】
図3に示すように、センサ部WA内には、スイッチング素子81、PD82、トランジスタ素子83及びスイッチング素子85が設けられている。PD82は、フォトダイオード(PD:PhotoDiode)である。スイッチング素子81,83,85は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0025】
スイッチング素子81のゲートは、リセット信号伝送線5と接続される。スイッチング素子81のソース又はドレインの一方には、リセット電位VResetが与えられている。スイッチング素子81のソース又はドレインの他方には、PD82のカソード及びトランジスタ素子83のゲートが接続されている。以下、接続部CPと記載した場合、当該他方、PD82のカソード及びトランジスタ素子83のゲートが接続されている箇所をさす。また、PD82のアノード側からは基準電位VCOMが与えられている。リセット電位VResetと基準電位VCOMとの電位差は予め定められているが、リセット電位VReset及び基準電位VCOMの電位は可変であってよい。尚、リセット電位VResetは、基準電位VCOMよりも高い電位である。
【0026】
ソースフォロアとして機能するトランジスタ素子83のドレインには、出力源電位VPP2が与えられている。トランジスタ素子83のソースには、スイッチング素子85のソース又はドレインの一方が接続されている。スイッチング素子85のソース又はドレインの他方は、信号線7と接続されている。スイッチング素子85のゲートは、走査線6と接続されている。
【0027】
リセット電位VReset及び基準電位VCOMならびに出力源電位VPP2は、例えば検出回路15に接続された図示しない電源回路を介して供給される電力に基づいて、検出回路15がセンサ部WAへ供給するが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0028】
出力源電位VPP2は、予め定められている。また、トランジスタ素子83のソース側の電位は、PD82の出力電位からトランジスタ素子83のゲート-ソース間の電圧(Vth)分下がった電位となる。この場合、トランジスタ素子83のソース側の電位は、リセット電位VReset及び基準電位VCOMの電位と、に応じる。PD82の出力の電位は、後述する露光期間EX中にPD82が検出する光に応じてPD82が生じさせる光起電力に応じる。
【0029】
走査線6を介して走査回路14から与えられる信号によってスイッチング素子85のゲートがONになると、スイッチング素子85のソース-ドレイン間が接続される。これによって、トランジスタ素子83を介してスイッチング素子85へ伝送される信号(電位)が、スイッチング素子85を通じて信号線7へ伝送される。このようにして、センサ部WAからの出力が生じる。以後、走査信号と記載した場合、走査線6を介して走査回路14から与えられる信号(電位)をさす。走査回路14は、走査信号を出力する回路である。
【0030】
ある1つのセンサ部WAに設けられた1つのPD82の出力は、予め定められた露光期間EX(
図8及び
図9参照)内に当該PD82が検出した光の強さに応じる。PD82の出力は、リセット信号伝送線5を介してリセット回路13から与えられる信号に応じてリセットされる。当該信号によってスイッチング素子81のゲートがONになると、スイッチング素子81のソース-ドレイン間が接続される。これによって、接続部CPの電位が、リセット電位VResetにリセットされる。以下、初期電位と記載した場合、当該リセット電位VResetをさす。
【0031】
また、リセット信号と記載した場合、リセット信号伝送線5を介してリセット回路13から与えられる信号をさす。リセット回路13は、リセット信号を出力する回路である。
【0032】
以下、信号線7への信号の出力及び当該出力の検出回路15への伝送の詳細について、
図4を参照して説明する。
【0033】
図4は、信号線7への信号の出力及び当該出力の検出回路15への伝送に関わる回路の振る舞いを説明するための回路図である。上述したように、いったんPD82の出力がリセットされると、接続部CPの電位は初期電位になる。次にPD82の出力が再度リセットされるまでの間にPD82が検出した光の強さに応じて、容量C1に蓄積された電荷がPD82から放電されるため、接続部CPの電位が下がる。
図4では、接続部CPにおける静電容量を、容量C1で示している。従って、トランジスタ素子83のソース電位は、容量C1に応じるといえる。PD82が全く光を検出しないとすると、実質的にPD82には電流が流れないため容量C1の両端の電位は初期電位から変わらない。PD82が光を検出した度合いに応じて、容量C1は初期電位から低くなる方向に変化する。
【0034】
ここで、トランジスタ素子83のソースと、スイッチング素子85のソース又はドレインの一方と、の接続位置における静電容量を容量C2とする。また、スイッチング素子85のソース又はドレインの他方に対応した静電容量を容量C3とする。走査信号が出力されることでスイッチング素子85のソース-ドレイン間が接続される。
【0035】
スイッチング素子85のソース又はドレインの他方と、検出回路15に設けられたAFE31と、の間に介在する信号線7は、その延接長に応じた電気抵抗ERを有する。ここで、信号線7から分岐するように電流源32が設けられている。電流源32は定電流を信号線7から流出させることで、電気抵抗ERに流れる電流値に応じた電圧がスイッチング素子85のソース又はドレインの他方とAFE31との間で生じる。容量C4は例えば、信号線7の電位を安定させる容量である。以下、バイアス電流と記載した場合、電流源32から信号線7に与えられる(流出される)電流を示す。電流源32は、バイアス電流を与える電流源であり、例えば検出回路15内に設けられる。
【0036】
尚、
図4に示すように、容量C1は、一端が信号線(接続部CP)に接続され、他端に基準電位(GND)が与えられている容量素子とみなせる。また、容量C2は、一端がトランジスタ素子83とスイッチング素子85との間の信号伝送経路に接続され、他端に基準電位(GND)が与えられている容量素子とみなせる。また、容量C3は、一端がスイッチング素子85と検出回路15との間の信号伝送経路に接続され、他端に基準電位(GND)が与えられている容量素子とみなせる。また、容量C4は、一端がスイッチング素子85と検出回路15との間の信号伝送経路に接続され、他端に基準電位(GND)が与えられている容量素子とみなせる。尚、容量C1~C4は容量素子を用いないで、各素子の寄生容量であってもよい。
【0037】
また、接続部CPの電位が初期電位から変更されると、トランジスタ素子83の電位も変更される。すなわち、初期電位が変更されると、信号線7の電位もこれに応じて変更される。従って、初期電位の高低を制御することによっても、信号線7の電位の高低を制御できる。また、バイアス電流が変更されると、電気抵抗ERの両端の電位差も変更されるため、信号線7の電位も変更できる。
【0038】
なお、AFE31は、アナログ・フロント・エンド(Analog Front End)として機能する回路である。AFE31は、信号線7を介して与えられる入力に応じた信号を生成してホスト30へ出力する。
【0039】
次に、検出装置1の動作時の態様について、
図5を参照して説明する。
【0040】
図5は、検出装置1の動作時の態様を示す概略図である。検出装置1は、光源パネル20とセンサパネル10とが被検出体SUBを挟んで第3方向Dzに対向するよう設けられる。被検出体SUBは、例えば寒天培地のような培地が形成されたシャーレであるが、これに限られるものでなく、光源パネル20からの光を透過させる他の構成であってもよい。被検出体SUBは、基板11上の検出領域SA内に載置される。光源パネル20は、光源22の点灯によって、被検出体SUBの上方からセンサパネル10へ向かって光を照射する。
図5では、第1方向Dxの中央付近に位置する光源22が点灯している場合を示している。また、
図5では、当該光源22から発せられて被検出体SUB側へ向かう光の広がりを照明範囲220として示している。光源22から発せられて被検出体SUB側へ向かう光のうち、被検出体SUBを透過した光が検出領域SA内のPD82(
図3及び
図4参照)によって検出される。以下、センサスキャンと記載した場合、被検出体(例えば、被検出体SUB)を挟んで対向するセンサパネル10と光源パネル20の位置関係が成立している状態で、光源パネル20から照射されて被検出体を透過した光をセンサパネル10が検出する処理をさす。
【0041】
なお、光源が共通であっても、検出領域SA内に設けられた複数のPD82の各々が検出する光の強さは異なり得る。以下、
図6を参照して検出領域SA内で検出される光の強さについて説明する。
【0042】
図6は、AFE31が認識する信号強度と、検出領域SAの座標と、の関係を示すグラフである。以下、単に信号強度と記載した場合、特筆しない限り、AFE31が認識する信号強度をさす。信号強度は、PD82によって検出された光の強さに対応する。また、
図6に示すグラフの横軸で示す検出領域SAの座標のうち「E1」は、第1方向Dx又は第2方向Dyのうち一方に沿う検出領域SAの一端をさす。また、「E2」は、当該一方に沿う検出領域SAの他端をさす。
図6を参照した説明では、
図5に合わせて当該一方が第1方向Dxであるものとして説明する。
図6のグラフは、
図5に示す照明範囲220に応じた信号強度を概略的に示しているものとする。また、
図6では、第1期間F1のグラフ及び第2期間F2のグラフを示している。
【0043】
図6の第1期間F1のグラフで示すように、信号強度は、検出領域SAの座標に応じて異なり得る。ただし、頭打ち範囲WHとして図示するように、座標E1と座標E2との中間及び当該中間付近では、信号強度が高止まりしている。これは、AFE31のダイナミックレンジDRに起因する。ダイナミックレンジDRは、AFE31が処理できる信号の下限(Dmin)と上限(Dmax)とによって定められる。頭打ち範囲WHは、ダイナミックレンジDRのうち、上限(Dmax)に起因して生じている。仮に、当該上限(Dmax)に起因する信号強度の制限がない場合、横軸(座標)に沿って並ぶ複数のPD82の各々が検出する光の強さに応じた信号強度の分布は、
図6の第1期間F1のグラフにおける実線曲線W1と、破線曲線WMと、によって形成される正弦曲線状の分布を示す。これは、点灯する光源22との相対距離がより近いPD82がより強い光を検出することによる。
【0044】
逆に言えば、第1期間F1では、実線曲線W1と頭打ち範囲WHとによって形成される実線のグラフに対応した出力が、複数のセンサ部WAからの出力に対応した「ある光源22の点灯パターンに対応した1回のセンサスキャンの出力」として扱われる。すなわち、ある時点(例えば、後述する読出期間RD)での複数のセンサ部WAの各々の出力を合わせた出力が、検出領域SAからの出力として扱われる。
【0045】
図4を参照して説明したように、信号強度(信号線7の電位)は、バイアス電流及び初期電位の少なくともいずれか一方の変更によって変更できる。そこで、
図6の第1期間F1のグラフにおける頭打ち範囲WHのような、ダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に対応する出力が生じた場合、信号強度を下げることで、当該上限(Dmax)に起因する信号の識別限界を解消できる。
【0046】
図6の第2期間F2のグラフは、第1期間F1のグラフに比して、信号強度をシフト量SHだけ下げたものである。これによって、第1期間F1ではAFE31が認識できなかった破線曲線WMの部分を含む実線曲線W2に対応した信号強度の分布を、第2期間F2ではAFE31が認識できている。一方、第2期間F2では、破線曲線WBとして示す部分が下限(Dmin)を下回り、AFE31による信号の認識及び信号強度の識別ができなくなっている。このように、信号強度の変更によって、複数のPD82の各々が検出する光の強さに応じた信号強度の分布とダイナミックレンジDRとの関係を変更できる。
【0047】
複数のPD82の各々が検出する光の強さに応じた信号強度の分布における信号強度の下限と上限との差がダイナミックレンジDRを超える場合、単にAFE31を動作させても、複数のPD82の各々が検出する光の強さに応じた信号強度の分布を識別しきれない。そこで、この場合、
図6を参照して説明した第1期間F1と第2期間F2のように、信号強度を変更した2回の検出結果を利用することで、複数のPD82の各々が検出する光の強さに応じた信号強度の分布をより確実に識別できる。ここで、第1期間F1から第2期間F2へ信号強度を変更するときの信号強度のシフト量(シフト量SH)は、ダイナミックレンジDRの上限(Dmax)と下限(Dmin)との差(上下差)以下である。
図6に示す例の場合、シフト量SHは、当該上下差未満である。
図6に示す重複レンジDiは、当該上限差からシフト量SHを差し引いた差分である。言い換えれば、重複レンジDiに含まれる部分の信号は、第1期間F1と第2期間F2の両方で認識されている。そこで、2回の検出結果を利用するとき、重複レンジDiに含まれる部分の重複への対策が施された信号の合成処理が行われる。
【0048】
図7は、信号の合成処理の仕組みを示す概略図である。
図7では、
図6に示す第1期間F1で得られた信号を第1信号P1として示している。また、
図7では、
図6に示す第2期間F2で得られた信号を第2信号P2として示している。信号の合成処理では、第1信号P1と第2信号P2とを足し合わせ、重複レンジDiに含まれる部分の信号強度を1回分差し引く処理が行われる。これによって、ダイナミックレンジDRを超える信号強度の分布と、重複レンジDiに含まれる部分の重複と、の両方への対策が反映された合成信号WSの取得を行える。
【0049】
なお、実施形態では、ダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に対応する信号の入力がAFE31に生じたかの判定及び係る入力が生じた場合の信号強度の変更は、例えば検出回路15によって行われる。また、信号の合成処理は、例えばホスト30によって行われるが、検出回路15に信号の合成処理を行う機能を持たせてもよい。また、頭打ちが生じていない場合、信号の合成処理のための第2期間F2に対応する検出を行う必要はないと判定される。ここでいう頭打ちとは、1つ以上の座標で、信号強度がダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に到達することをさす。頭打ちが生じている場合、信号強度がダイナミックレンジDRの上限と等しいのか、上限を超えるかの識別が不可能であるため、信号の合成処理のための第2期間F2に対応する検出が行われる。
【0050】
実施形態では、第1期間F1の時点では、PD82が全く光を検出しない場合の信号強度がダイナミックレンジDRの下限(Dmin)を上回るよう、予め信号強度が設定されているものとする。これによって、信号強度の分布のうち、ダイナミックレンジDR外のものが、ダイナミックレンジDRの上限(Dmax)を超えるものに限られるようになる。
【0051】
次に、信号強度の変更の具体的な方法として、バイアス電流が変更される場合と、初期電位が変更される場合と、を順次説明する。
【0052】
図8は、頭打ちが生じた場合にバイアス電流の変更が行われるときの第1期間F1と第2期間F2の主要な信号制御の例を示すタイミングチャートである。
図8及び後述する
図9におけるCL1は、リセット信号を示す。また、
図8及び
図9におけるCL2は、走査信号を示す。また、
図8におけるVoは、バイアス電流を示す。
【0053】
第1期間F1と第2期間F2のように、複数回行われる光の検出処理は、単位時間周期で行われる。すなわち、第1期間F1の時間長と第2期間F2の時間長とは実質同じである。また、各単位時間内に含まれるリセット期間RT、露光期間EX、読出期間RDの各々に割り当てられる時間長の比率も、第1期間F1と第2期間F2とで実質同じである。リセット期間RT、読出期間RDの開始タイミング制御は、検出回路15によって行われる。
【0054】
第1期間F1及び第2期間F2で共通して、まず、リセット期間RT中にリセット信号がリセット回路13からリセット信号伝送線5に与えられる。これによって、接続部CP(容量C1の一端の電位)が初期電位になる。その後、露光期間EX中にPD82が検出した光の強さに応じて容量C1の一端の電位及び容量C2の一端の電位が変動する。そして、読出期間RD中に走査信号が走査回路14から走査線6に与えられることで、信号線7を介して入力される信号(電位)が、容量C2の一端の電位に応じた信号強度(電位)になる。
【0055】
第1期間F1と第2期間F2との境界タイミングで、バイアス電流の変更が行われる。
図8に示す例では、バイアス電流が上げられることによって、容量C4の一端の電位レベルを下げる変更が行われている。これによって、
図6を参照して説明したように、第2期間F2の信号強度を第1期間F1に比して下げることができる。
【0056】
図9は、頭打ちが生じた場合に初期電位の変更が行われるときの第1期間F1と第2期間F2の主要な信号制御の例を示すタイミングチャートである。
図9におけるVResetは、
図3及び
図4を参照して説明したリセット電位VResetを示す。また、
図9におけるVCOMは、
図3及び
図4を参照して説明した基準電位VCOMを示す。
【0057】
図9に示す例では、第1期間F1と第2期間F2との境界タイミングで、バイアス電流ではなく初期電位の変更が行われる点で、
図8と異なる。具体的には、第1期間F1と第2期間F2との境界タイミングで、リセット電位VReset及び基準電位VCOMが下げられている。これによって、容量C4の一端の電位レベルが下がるので、第2期間F2の信号強度を第1期間F1に比して下げることができる。以上、特筆した事項を除いて、
図9は、
図8と同様である。尚、PD82のアノード-カソード間の逆バイアス電圧にかかわらずフォトダイオードの特性が変化しない場合は基準電位VCOMの電位は変更せずにリセット電位VReset電位のみ変更してもよい。
【0058】
なお、
図6を参照して説明した座標と信号強度との関係を示すグラフの形状は、
図5を参照して説明したような、発光領域LAの中央付近に位置する光源22が点灯している場合のものである。正弦曲線状のグラフに対応する信号強度の分布のピークは、点灯する光源22の配置に対応する。センサスキャンでは、複数の光源22のうち一部(1つ又は複数)が点灯し、当該点灯に応じたセンサ部WAからの出力を得る処理が繰り返される。係る繰り返しで得られた出力をホスト30が統合することで、被検出体(例えば、被検出体SUB)のセンシング結果が導出される。係る繰り返しの中で、複数の光源22が全て1度以上点灯する。
【0059】
また、バイアス電流及び初期電位の両方を変更して信号強度を変更するようにしてもよいが、バイアス電流又は初期電位の変更による信号強度の変更の方が、信号強度の変更に係る処理をより単純化できる。以上、説明した制御の流れについて、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
図10は、センサスキャンに伴う処理の流れを示すフローチャートである。まず、センサスキャンが行われる(ステップS1)。ステップS1のセンサスキャンの結果、ダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に対応する(または超える)信号の出力を生じたセンサ部WAがあるかの判定が行われる(ステップS2)。
【0061】
ステップS2でダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に対応する(または超える)信号の出力を生じたセンサ部WAがあると判定された場合(ステップS2;Yes)、センサ出力レベルのシフトが行われる(ステップS3)。具体的には、上述したバイアス電流及び初期電位の少なくともいずれか一方の変更による信号強度の変更によって、次に行われるセンサスキャンによるセンサ部WAの出力レベルを下げる処理が行われる。
【0062】
ステップS3の処理後、再度センサスキャンが行われる(ステップS4)。ステップS4のセンサスキャンは、上述した第2期間F2に相当する。また、ステップS4の処理が行われる場合、ステップS1の処理によるセンサスキャンは、上述した第1期間F1に相当する。
【0063】
ステップS4の処理後、ステップS1のセンサスキャンによる出力とステップS4のセンサスキャンによる出力との合成が行われる(ステップS5)。具体的には、
図7を参照して説明したように、2回のセンサスキャンの出力の足し合わせから2回のセンサスキャンの出力の重複部分を差し引く処理が行われる。ステップS5の処理によって合成された出力が、センサスキャンの出力として採用される(ステップS6)。
【0064】
一方、ステップS2でダイナミックレンジDRの上限(Dmax)に対応する信号の出力を生じたセンサ部WAがないと判定された場合(ステップS2;No)、ステップS1の処理で得られた出力が、センサスキャンの出力として採用される(ステップS7)。
【0065】
以上説明したように、実施形態によれば、検出装置1は、光を検出するPD82が設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部WAと、センサ部WAの出力を得る検出回路15と、を備え、センサ部WAは複数設けられ、PD82は、アノードに基準電位VCOMが与えられ、カソードにリセット電位VResetが与えられ、センサ部WAは、リセット電位VResetがカソードに与えられた後、リセット電位VResetが再度カソードに与えられる前にPD82が検出した光の度合いに応じた出力を生じさせ、複数のセンサ部WAの出力を得る第1期間F1と、第1期間F1の後に当該複数のセンサ部WAの出力を得る第2期間F2と、が生じ、第1期間F1と第2期間F2とでは、基準電位VCOM及びリセット電位VResetが異なる。
【0066】
また、実施形態によれば、検出装置1は、光を検出するPD82が設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部WAと、センサ部WAの出力を得る検出回路15と、を備え、センサ部WAは複数設けられ、PD82は、アノードに基準電位VCOMが与えられ、カソードにリセット電位VResetが与えられ、センサ部WAと検出回路15との間に電気抵抗(電気抵抗ER)として機能する構成(信号線7)が介在し、当該電気抵抗と検出回路15との接続経路にバイアス電流を与える電流源32が接続され、複数のセンサ部WAの出力を得る第1期間F1と、第1期間F1の後に当該複数のセンサ部WAの出力を得る第2期間F2と、が生じ、第1期間F1と第2期間F2とでは、バイアス電流が異なる。
【0067】
これらのいずれによっても、センサ部WAの出力として検出回路15に入力される信号のレベル(上述した信号強度)の高低を調節できる。従って、仮にPD82による光の検出の度合いに応じたセンサ部WAの出力の下限と上限との範囲が検出回路15が認識可能な下限と上限との範囲(例えば、上述したダイナミックレンジDR)を超えたとしても、第1期間F1と第2期間F2で当該レベルの高低を調節することで、第1期間F1と第2期間F2の2回のセンシングを通じてセンサ部WAの出力を検出回路15が認識可能な範囲内に収めやすくなる。従って、センサ部WAのポテンシャル、すなわち、センサ部WAに設けられたPD82のポテンシャルを十分に活用したセンシングを実現できる。
【0068】
また、第1期間F1で複数のセンサ部WAの出力がいずれも検出回路15で認識可能な入力の下限と上限との範囲内である場合に第2期間F2が省略されることで、センサ部WAに設けられたPD82のポテンシャルを十分に活用するために第2期間F2を実施する必要がない場合に第2期間F2を省略でき、より即応性の高い検出装置を提供できる。
【0069】
また、第1期間F1及び第2期間F2でそれぞれ、複数のセンサ部WAの各々の出力を合わせた出力が、当該複数のセンサ部WAが配置された検出領域SAからの出力として扱われることで、面的なセンサ出力を得られる。
【0070】
また、検出回路15が、第1期間F1における検出領域SAからの出力である第1出力(例えば、第1信号P1)と、第2期間F2における検出領域SAからの出力である第2出力(例えば、第2信号P2)と、の両方を得る場合、当該第1出力と当該第2出力との重複部分(例えば、重複レンジDiの範囲内)を当該第1出力又は当該第2出力から差し引いて当該第1出力と当該第2出力とを合成することで、第1期間F1と第2期間F2の2回のセンシングを通じて得られたセンサ出力を、センサ部WAに設けられたPD82のポテンシャルを十分に活用したセンシングの結果を示す出力として採用できる。
【0071】
また、複数のセンサ部WAがマトリクス状に配置され、複数のセンサ部WAの各々は、センサ部WAに出力を生じさせる走査信号を伝送するための走査線及びセンサ部WAからの出力を伝送する信号線と接続されていることで、複数のセンサ部WAをより効率的に配置できる。
【0072】
また、光を発する光源22を備え、複数のセンサ部WAが配置されている検出領域SAを有するセンサパネル10と、光源22と、が培地(例えば、被検出体SUB)を挟んで対向することで、光源22から発せられて当該培地を透過する光を検出領域SAで検出できる。すなわち、当該培地の状態をセンシングできる。
【0073】
また、検出回路15で認識可能な入力の下限と上限との範囲(例えば、ダイナミックレンジDR)が、センサ部WAの出力の下限と上限との範囲よりも小さいことで、第1期間F1と第2期間F2で当該レベルの高低を調節して第1期間F1と第2期間F2の2回のセンシングを通じてセンサ部WAの出力を検出回路15が認識可能な範囲内に収めることによるセンサ部WAのポテンシャルの活用がより有意義になる。
【0074】
なお、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0075】
1 検出装置
6 走査線
7 信号線
10 センサパネル
15 検出回路
22 光源
31 AFE
32 電流源
82 フォトダイオード
F1 第1期間
F2 第2期間
VReset リセット電位
VCOM 基準電位
WA センサ部