特開 2025-9244 遠心圧縮機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025009244

(43)【公開日】2025-01-20

(54)【発明の名称】遠心圧縮機

(51)【国際特許分類】

   F04D 29/70 20060101AFI20250110BHJP

   F04D 29/42 20060101ALI20250110BHJP

【ＦＩ】

F04D29/70 L

F04D29/42 H

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023112109

(22)【出願日】2023-07-07

(71)【出願人】

【識別番号】000003218

【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機

(74)【代理人】

【識別番号】100105957

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 誠

(74)【代理人】

【識別番号】100068755

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 博宣

(72)【発明者】

【氏名】國枝 享仁

(72)【発明者】

【氏名】下瀬 智也

(72)【発明者】

【氏名】加藤 弘晃

【テーマコード（参考）】

3H130

【Ｆターム（参考）】

3H130AA13

3H130AB07

3H130AB27

3H130AB47

3H130AB62

3H130AB66

3H130AB69

3H130AC13

3H130BA44A

3H130BA44J

3H130CA21

3H130DD01Z

3H130DG03X

3H130DJ02X

3H130EA04A

3H130EA04Z

3H130EB04Z

(57)【要約】

【課題】遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制しつつも、流体に含まれている異物を効率良く捕捉することができ、且つ、フィルタの交換作業を容易なものとすること。
【解決手段】フィルタ部材７０の取付部７２が、フィルタ７１が一体化された状態でフィルタ７１を支持するとともにハウジング１１における第２吐出通路４７の下流側の開口端部を形成する開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられている。このため、ハウジング１１に対する取付部７２の着脱が容易である。フィルタ部材７０は、第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に延びる貫通孔７３を有している。よって、第２吐出通路４７を第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に流れる空気が貫通孔７３を通過する。フィルタ７１は、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれる異物を捕捉する。したがって、フィルタ７１によって第２吐出通路４７を通過する空気に含まれている異物が効率良く捕捉される。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

流体を圧縮するために回転するインペラと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記インペラ室に流体を吸入する吸入口、及び前記インペラ室の周囲で前記インペラ室を渦巻状に取り囲むとともに前記インペラの回転によって圧縮された流体が旋回しながら流れるスクロール流路を区画するハウジングと、を備え、
流体に含まれている異物を捕捉するフィルタを備えている遠心圧縮機であって、
前記ハウジングは、前記スクロール流路に連通するとともに前記スクロール流路を旋回しながら流れる流体の旋回流が流れ込む筒状の吐出通路を有し、
前記フィルタを有するフィルタ部材を備え、
前記フィルタ部材は、
前記フィルタが一体化された状態で前記フィルタを支持するとともに前記ハウジングにおける前記吐出通路の下流側の開口端部を形成する開口壁部に対して着脱可能に取り付けられる取付部と、
前記吐出通路の軸線上に延びる貫通孔と、を有し、
前記フィルタは、前記吐出通路を通過する前記旋回流に含まれる異物を捕捉することを特徴とする遠心圧縮機。

【請求項2】

前記取付部は、配管継手を兼ねることを特徴とする請求項１に記載の遠心圧縮機。

【請求項3】

前記取付部は、前記吐出通路に挿入されるとともに前記貫通孔の一部を構成する筒部を有し、
前記筒部には、前記筒部の内外を連通させる連通孔が形成されており、
前記フィルタは、前記連通孔を覆った状態で前記筒部の外周に配置されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の遠心圧縮機。

【請求項4】

前記連通孔は、前記筒部に複数形成されており、
前記複数の連通孔は、前記筒部の周方向で間隔を置いて配置されており、
前記フィルタは、前記筒部の外周面に沿って延びる環状であることを特徴とする請求項３に記載の遠心圧縮機。

【請求項5】

前記筒部は、前記吐出通路に挿入される挿入方向で先細りする円錐形状であることを特徴とする請求項３に記載の遠心圧縮機。

【請求項6】

前記取付部は、前記開口壁部における前記吐出通路の下流側の開口の周囲に位置する開口端面に沿って延びる板状の鍔部を有し、
前記鍔部には、ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、
前記開口端面には、前記ボルトが螺合される雌ねじ孔が形成されており、
前記ボルト挿通孔に挿通された前記ボルトが前記雌ねじ孔に螺合されることにより、前記取付部が前記開口壁部に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の遠心圧縮機。

【請求項7】

前記流体は、燃料電池スタックに供給される空気であり、
前記インペラは、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮するために回転することを特徴とする請求項１に記載の遠心圧縮機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、遠心圧縮機に関する。

【背景技術】

【0002】

遠心圧縮機は、インペラと、ハウジングと、を備えている。インペラは、流体を圧縮するために回転する。ハウジングは、インペラ室、吸入口、及びスクロール流路を区画する。インペラ室は、インペラを収容する。吸入口は、インペラ室に流体を吸入する。スクロール流路は、インペラ室の周囲でインペラ室を渦巻状に取り囲む。スクロール流路には、インペラの回転によって圧縮された流体が旋回しながら流れる。

【0003】

ところで、インペラの回転によって圧縮された流体には、異物が含まれていることがある。流体に異物が含まれていると、流体の供給先に異物が含まれた状態で供給されることになる。流体の供給先によっては、流体に異物が含まれた状態で流体が供給されると好ましくない場合がある。そこで、例えば特許文献１のように、フィルタによって流体に含まれている異物を捕捉した後に、供給先に流体を供給することが考えられている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１９－１２５４９８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところが、このようなフィルタを、例えば、遠心圧縮機に採用する場合、フィルタが目詰まりすると、遠心圧縮機の吐出圧が過度に上昇してしまう虞がある。遠心圧縮機の吐出圧が過度に上昇してしまうと、インペラ室内において流体の逆流が生じることによりサージング現象が発生する虞がある。サージング現象は、インペラを振動させるため、その結果として、騒音が発生してしまう。したがって、このようなフィルタを採用する場合には、フィルタが目詰まりしたときに、フィルタを新しいフィルタに交換する必要がある。このため、フィルタの交換作業を容易なものとすることが望まれている。

【0006】

さらには、フィルタを採用することにより、流体の圧力損失が生じてしまうと、遠心圧縮機の運転効率が低下してしまう。したがって、フィルタを採用したとしても、フィルタによって流体の流れが極力妨げられないようにすることで、流体の圧力損失を抑えることが望まれている。また、流体に含まれている異物を効率良く捕捉することが望まれている。このように、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制しつつも、流体に含まれている異物を効率良く捕捉することができ、且つ、フィルタの交換作業を容易なものとすることが望まれている。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記課題を解決する遠心圧縮機は、流体を圧縮するために回転するインペラと、前記インペラを収容するインペラ室、前記インペラ室に流体を吸入する吸入口、及び前記インペラ室の周囲で前記インペラ室を渦巻状に取り囲むとともに前記インペラの回転によって圧縮された流体が旋回しながら流れるスクロール流路を区画するハウジングと、を備え、流体に含まれている異物を捕捉するフィルタを備えている遠心圧縮機であって、前記ハウジングは、前記スクロール流路に連通するとともに前記スクロール流路を旋回しながら流れる流体の旋回流が流れ込む筒状の吐出通路を有し、前記フィルタを有するフィルタ部材を備え、前記フィルタ部材は、前記フィルタが一体化された状態で前記フィルタを支持するとともに前記ハウジングにおける前記吐出通路の下流側の開口端部を形成する開口壁部に対して着脱可能に取り付けられる取付部と、前記吐出通路の軸線上に延びる貫通孔と、を有し、前記フィルタは、前記吐出通路を通過する前記旋回流に含まれる異物を捕捉する。

【0008】

これによれば、フィルタ部材の取付部が、フィルタが一体化された状態でフィルタを支持するとともにハウジングにおける吐出通路の下流側の開口端部を形成する開口壁部に対して着脱可能に取り付けられている。このため、ハウジングに対する取付部の着脱が容易である。したがって、例えば、フィルタが目詰まりしたときに、取付部をハウジングから取り外すだけで、フィルタ部材をハウジングから取り外すことができる。よって、目詰まりしたフィルタを新しいフィルタに容易に交換することができるため、フィルタの交換作業を容易なものとすることができる。

【0009】

また、フィルタ部材は、吐出通路の軸線上に延びる貫通孔を有している。これによれば、吐出通路を吐出通路の軸線上に流れる流体が貫通孔を通過するため、フィルタを採用したとしても、フィルタによって流体の流れが極力妨げられないようになっている。したがって、フィルタ部材を通過する流体の圧力損失を抑えることができる。その結果、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制することができる。

【0010】

吐出通路を通過する流体の異物は、流体の旋回流に追従して流れ易いため、流体の旋回流には比較的多くの異物が含まれている。そこで、フィルタは、吐出通路を通過する流体の旋回流に含まれる異物を捕捉する。したがって、フィルタによって吐出通路を通過する流体に含まれている異物を効率良く捕捉することができる。以上により、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制しつつも、流体に含まれている異物を効率良く捕捉することができ、且つ、フィルタの交換作業を容易なものとすることができる。

【0011】

上記遠心圧縮機において、前記取付部は、配管継手を兼ねるとよい。
これによれば、取付部を、既存の構成である配管継手として機能させることができるため、配管継手と取付部とを別々に用意する必要が無い。したがって、部品点数を削減することができるため、遠心圧縮機を簡素な構成とすることができる。

【0012】

上記遠心圧縮機において、前記取付部は、前記吐出通路に挿入されるとともに前記貫通孔の一部を構成する筒部を有し、前記筒部には、前記筒部の内外を連通させる連通孔が形成されており、前記フィルタは、前記連通孔を覆った状態で前記筒部の外周に配置されているとよい。

【0013】

これによれば、フィルタが、連通孔を覆った状態で筒部の外周に配置されているため、吐出通路を通過する流体の旋回流に含まれている異物をフィルタによって効率良く捕捉することができる。そして、フィルタによって異物が捕捉された後の流体が、連通孔を通過して筒部の内側へ流れ込み、フィルタ部材の貫通孔を通過する。このような構成は、取付部と、貫通孔と、を有するとともに、吐出通路を通過する流体の旋回流に含まれる異物を捕捉するフィルタを備えているフィルタ部材として好適である。

【0014】

上記遠心圧縮機において、前記連通孔は、前記筒部に複数形成されており、前記複数の連通孔は、前記筒部の周方向で間隔を置いて配置されており、前記フィルタは、前記筒部の外周面に沿って延びる環状であるとよい。

【0015】

これによれば、フィルタが、筒部の外周面に沿って延びる環状であるため、筒部に連通孔が複数形成されている構成であっても、各連通孔を１つのフィルタで覆うことができる。そして、筒部に連通孔が複数形成されているため、フィルタによって異物が捕捉された後の流体を、各連通孔を介して筒部の内側へ効率良く流すことができる。したがって、流体に含まれている異物をさらに効率良く捕捉することができる。

【0016】

上記遠心圧縮機において、前記筒部は、前記吐出通路に挿入される挿入方向で先細りする円錐形状であるとよい。
これによれば、フィルタによって異物が捕捉された後の流体が連通孔にスムーズに流れ込むため、流体の圧力損失を抑制し易くすることができる。したがって、遠心圧縮機の運転効率の低下をさらに抑制し易くしつつも、流体に含まれている異物をさらに効率良く捕捉することができる。

【0017】

上記遠心圧縮機において、前記取付部は、前記開口壁部における前記吐出通路の下流側の開口の周囲に位置する開口端面に沿って延びる板状の鍔部を有し、前記鍔部には、ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記開口端面には、前記ボルトが螺合される雌ねじ孔が形成されており、前記ボルト挿通孔に挿通された前記ボルトが前記雌ねじ孔に螺合されることにより、前記取付部が前記開口壁部に対して着脱可能に取り付けられているとよい。

【0018】

このような構成は、ハウジングにおける吐出通路の下流側の開口端部を形成する開口壁部に対して着脱可能に取り付けられる取付部を有するフィルタ部材として好適な構成である。

【0019】

上記遠心圧縮機において、前記流体は、燃料電池スタックに供給される空気であり、前記インペラは、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮するために回転するとよい。

【0020】

空気に異物が含まれている状態で空気が燃料電池スタックに供給されてしまうと、燃料電池スタックの内部に異物が侵入してしまうことになるため、燃料電池スタックの発電効率が低下してしまう虞がある。そこで、空気に含まれている異物を効率良く捕捉することにより、燃料電池スタックの内部に異物が侵入してしまうことが抑制される。このため、燃料電池スタックの発電効率の低下を抑制することができる。

【発明の効果】

【0021】

この発明によれば、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制しつつも、流体に含まれている異物を効率良く捕捉することができ、且つ、フィルタの交換作業を容易なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0022】

【図1】図１は、実施形態における遠心圧縮機の断面図である。

【図2】図２は、遠心圧縮機の断面図である。

【図3】図３は、フィルタ部材及び吐出配管の断面図である。

【図4】図４は、取付部の斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0023】

以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を図１～図４にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、流体としての空気を圧縮する。

【0024】

＜遠心圧縮機の基本構成＞
図１に示すように、遠心圧縮機１０は、ハウジング１１を備えている。ハウジング１１は、金属材料製である。ハウジング１１は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング１１は、モータハウジング１２、第１コンプレッサハウジング１３、第２コンプレッサハウジング１４、第１プレート１５、第２プレート１６、及び第３プレート１７を有している。

【0025】

モータハウジング１２は、端壁１２ａと、周壁１２ｂと、を有している。端壁１２ａは、板状である。周壁１２ｂは、端壁１２ａの外周部から筒状に延びている。第１プレート１５は、モータハウジング１２の周壁１２ｂの開口側の端部に連結されている。第１プレート１５は、モータハウジング１２の周壁１２ｂの開口を閉塞している。そして、モータハウジング１２及び第１プレート１５によってモータ室１８が区画されている。したがって、ハウジング１１は、モータ室１８を有している。

【0026】

第２プレート１６は、モータハウジング１２の端壁１２ａの外面に連結されている。第２プレート１６は、第２プレート１６の厚み方向がモータハウジング１２の端壁１２ａの厚み方向に一致した状態で、モータハウジング１２の端壁１２ａに取り付けられている。

【0027】

遠心圧縮機１０は、モータ２０を備えている。モータ２０は、モータ室１８に収容されている。したがって、モータ室１８は、モータ２０を収容する。モータハウジング１２は、モータ２０を取り囲んでいる。

【0028】

遠心圧縮機１０は、第１軸受保持部２１を備えている。第１軸受保持部２１は、第１プレート１５の中央部からモータ室１８内に突出している。したがって、第１プレート１５は、第１軸受保持部２１を有している。第１軸受保持部２１は、円筒状である。

【0029】

第３プレート１７は、第１プレート１５におけるモータハウジング１２とは反対側の端面に連結されている。第３プレート１７は、第３プレート１７の厚み方向が第１プレート１５の厚み方向に一致した状態で、第１プレート１５に取り付けられている。第３プレート１７は、第１挿通孔２３を有している。第１挿通孔２３は、第３プレート１７の中央部に形成されている。第１挿通孔２３の軸線は、第１軸受保持部２１の軸線と一致している。第１挿通孔２３は、第１軸受保持部２１の内側に連通している。

【0030】

遠心圧縮機１０は、第２軸受保持部２５を備えている。第２軸受保持部２５は、モータハウジング１２の端壁１２ａの中央部からモータ室１８内に突出している。したがって、モータハウジング１２は、第２軸受保持部２５を有している。第２軸受保持部２５は、円筒状である。

【0031】

第２プレート１６には、第２挿通孔２６が形成されている。第２挿通孔２６は、第２プレート１６の中央部を貫通している。第２挿通孔２６は、第２軸受保持部２５の内側に連通している。第２挿通孔２６の軸線は、第２軸受保持部２５の軸線に一致している。

【0032】

第１コンプレッサハウジング１３は、空気が吸入される円孔状の吸入口としての第１吸入口３５を有する筒状である。第１コンプレッサハウジング１３は、第１吸入口３５の軸線が、第１挿通孔２３の軸線と一致した状態で第３プレート１７における第１プレート１５とは反対側の端面に連結されている。第１吸入口３５は、第１コンプレッサハウジング１３に形成されている。第１吸入口３５は、第１コンプレッサハウジング１３における第３プレート１７とは反対側の端面に開口している。第１吸入口３５には、図示しないエアクリーナによって清浄化された空気が流れる。

【0033】

遠心圧縮機１０は、インペラ室としての第１インペラ室３６、スクロール流路としての第１スクロール流路３７、及び第１ディフューザ流路３８を備えている。第１インペラ室３６、第１スクロール流路３７、及び第１ディフューザ流路３８は、第１コンプレッサハウジング１３と第３プレート１７との間に形成されている。したがって、ハウジング１１は、第１インペラ室３６、第１吸入口３５、及び第１スクロール流路３７を区画する。第１インペラ室３６は、第１吸入口３５に連通している。第１スクロール流路３７は、第１インペラ室３６の周囲で第１インペラ室３６を渦巻状に取り囲む。第１スクロール流路３７は、第１吸入口３５の軸心周りに延びている。第１ディフューザ流路３８は、第１インペラ室３６と第１スクロール流路３７とを連通している。第１インペラ室３６は、第１挿通孔２３に連通している。

【0034】

ハウジング１１は、第１吐出配管３９を有している。第１吐出配管３９は、第１コンプレッサハウジング１３の外周面から突出している。第１吐出配管３９は、円筒状である。ハウジング１１は、吐出通路としての第１吐出通路４０を有している。第１吐出配管３９の内側は、第１吐出通路４０の一部を形成している。また、第１吐出通路４０における第１吐出配管３９の内側以外の部分は、第１コンプレッサハウジング１３に形成されている。第１吐出通路４０は、筒状である。第１吐出通路４０の第１端は、第１スクロール流路３７に連通している。第１吐出通路４０の第２端は、第１吐出配管３９の先端面に開口している。第１吐出通路４０の第２端は、第１吐出通路４０の下流側の開口端である。したがって、第１吐出配管３９の先端部は、ハウジング１１における第１吐出通路４０の開口端部を形成する開口壁部４１である。

【0035】

第２コンプレッサハウジング１４は、空気が吸入される円孔状の吸入口としての第２吸入口４２を有する筒状である。第２コンプレッサハウジング１４は、第２吸入口４２の軸線が、第２挿通孔２６の軸線と一致した状態で第２プレート１６におけるモータハウジング１２の端壁１２ａとは反対側の端面に連結されている。第２吸入口４２は、第２コンプレッサハウジング１４に形成されている。第２吸入口４２は、第２コンプレッサハウジング１４における第２プレート１６とは反対側の端面に開口している。

【0036】

遠心圧縮機１０は、インペラ室としての第２インペラ室４３、スクロール流路としての第２スクロール流路４４、及び第２ディフューザ流路４５を備えている。第２インペラ室４３、第２スクロール流路４４、及び第２ディフューザ流路４５は、第２コンプレッサハウジング１４と第２プレート１６との間に形成されている。したがって、ハウジング１１は、第２インペラ室４３、第２吸入口４２、及び第２スクロール流路４４を区画する。第２インペラ室４３は、第２吸入口４２に連通している。第２スクロール流路４４は、第２インペラ室４３の周囲で第２インペラ室４３を渦巻状に取り囲む。第２スクロール流路４４は、第２吸入口４２の軸心周りに延びている。第２ディフューザ流路４５は、第２インペラ室４３と第２スクロール流路４４とを連通している。第２インペラ室４３は、第２挿通孔２６に連通している。

【0037】

図２に示すように、ハウジング１１は、第２吐出配管４６を有している。第２吐出配管４６は、第２コンプレッサハウジング１４の外周面から突出している。第２吐出配管４６は、円筒状である。ハウジング１１は、吐出通路としての第２吐出通路４７を有している。第２吐出配管４６の内側は、第２吐出通路４７の一部を形成している。また、第２吐出通路４７における第２吐出配管４６の内側以外の部分は、第２コンプレッサハウジング１４に形成されている。第２吐出通路４７は、筒状である。第２吐出通路４７の第１端は、第２スクロール流路４４に連通している。第２吐出通路４７の第２端は、第２吐出配管４６の先端面に開口している。第２吐出通路４７の第２端は、第２吐出通路４７の下流側の開口端である。したがって、第２吐出配管４６の先端部は、ハウジング１１における第２吐出通路４７の開口端部を形成する開口壁部４８である。

【0038】

第２吐出配管４６の先端面は、開口壁部４８における第２吐出通路４７の下流側の開口の周囲に位置する開口端面４８ｅである。開口端面４８ｅは、平坦面状である。開口端面４８ｅには、ボルト６５が螺合される雌ねじ孔４８ｈが複数形成されている。

【0039】

図１に示すように、第２吐出配管４６には、供給配管６６が接続されている。供給配管６６は、燃料電池スタック６７に接続されている。供給配管６６の第１端は、第２吐出通路４７に接続されている。供給配管６６の第２端は、燃料電池スタック６７に接続されている。

【0040】

遠心圧縮機１０は、接続配管６８を備えている。接続配管６８の第１端は、第１吐出配管３９に接続されている。そして、接続配管６８の第１端は、第１吐出通路４０に連通している。接続配管６８の第２端は、第２吸入口４２に連通している。接続配管６８内には、第１スクロール流路３７から第１吐出通路４０に吐出された空気が流れる。そして、接続配管６８内を通過した空気は、第２吸入口４２を介して第２インペラ室４３に吸入される。

【0041】

遠心圧縮機１０は、回転軸５０を備えている。回転軸５０は、回転軸５０の軸線とモータハウジング１２の周壁１２ｂの軸線とが一致した状態で、モータ室１８内を横切っている。回転軸５０の軸方向の一端である第１端は、モータ室１８内から第１軸受保持部２１の内側、第１挿通孔２３を通過して第１インペラ室３６内へ突出している。回転軸５０の軸方向の他端である第２端は、モータ室１８内から第２軸受保持部２５の内側、第２挿通孔２６を通過して第２インペラ室４３内へ突出している。

【0042】

モータ２０は、ロータ５１と、ステータ５２と、を備えている。ロータ５１は、回転軸５０に固定されている。ロータ５１は、回転軸５０に固定された円筒状のロータコア５３と、ロータコア５３に設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ロータ５１は、回転軸５０と一体に回転する。

【0043】

ステータ５２は、モータハウジング１２に固定されている。ステータ５２は、ロータ５１の外側に配置されている。ステータ５２は、円筒状のステータコア５４と、コイル５５と、を有している。ステータコア５４は、モータハウジング１２の周壁１２ｂの内周面に固定されている。コイル５５は、ステータコア５４に巻回されている。そして、図示しないバッテリからコイル５５に電流が流れることによって、回転軸５０がロータ５１と一体に回転する。

【0044】

遠心圧縮機１０は、第１動圧滑り軸受５６及び第２動圧滑り軸受５７を備えている。第１動圧滑り軸受５６は円筒状である。第１動圧滑り軸受５６は、第１軸受保持部２１に保持されている。第１動圧滑り軸受５６は、回転軸５０を第１プレート１５に対して回転可能に支持する。

【0045】

第２動圧滑り軸受５７は円筒状である。第２動圧滑り軸受５７は、第２軸受保持部２５に保持されている。第２動圧滑り軸受５７は、回転軸５０をモータハウジング１２の端壁１２ａに対して回転可能に支持する。したがって、第１動圧滑り軸受５６及び第２動圧滑り軸受５７は、回転軸５０をハウジング１１に対して回転可能に支持する。

【0046】

遠心圧縮機１０は、インペラとしての第１インペラ６１を備えている。遠心圧縮機１０は、インペラとしての第２インペラ６２を備えている。第１インペラ６１は、回転軸５０の第１端に連結されている。第１インペラ６１は、第１インペラ室３６に収容されている。したがって、第１インペラ室３６は、第１インペラ６１を収容する。第１インペラ６１は、回転軸５０と一体的に回転する。第１インペラ６１が回転すると、第１吸入口３５から第１インペラ室３６に空気が吸入される。したがって、第１吸入口３５は、第１インペラ室３６に空気を吸入する。第１インペラ６１は、第１インペラ室３６に吸入された空気を圧縮するために回転軸５０と一体に回転する。

【0047】

第２インペラ６２は、回転軸５０の第２端に連結されている。第２インペラ６２は、第２インペラ室４３に収容されている。したがって、第２インペラ室４３は、第２インペラ６２を収容する。第２インペラ６２は、回転軸５０と一体的に回転する。第２インペラ６２が回転すると、第２吸入口４２から第２インペラ室４３に空気が吸入される。したがって、第２吸入口４２は、第２インペラ室４３に空気を吸入する。第２インペラ６２は、第２インペラ室４３に吸入された空気を圧縮するために回転軸５０と一体に回転する。第２インペラ６２は、第１インペラ６１によって圧縮された後の空気を圧縮する。第１インペラ６１及び第２インペラ６２は、燃料電池スタック６７に供給される空気を圧縮するために回転する。したがって、本実施形態の遠心圧縮機１０で圧縮される流体は、燃料電池スタック６７に供給される空気である。

【0048】

第１インペラ６１及び第２インペラ６２は、モータ２０の駆動によって回転軸５０と一体に回転する。したがって、モータ２０は、第１インペラ６１及び第２インペラ６２を回転させる。

【0049】

遠心圧縮機１０は、第１シール部材６３を備えている。第１シール部材６３は、第１挿通孔２３と回転軸５０との間に設けられている。第１シール部材６３は、第１インペラ室３６から第１挿通孔２３及び第１軸受保持部２１の内側を介してモータ室１８内に向かう空気の洩れを抑制する。第１シール部材６３は、例えば、シールリングである。

【0050】

遠心圧縮機１０は、第２シール部材６４を備えている。第２シール部材６４は、第２挿通孔２６と回転軸５０との間に設けられている。第２シール部材６４は、第２インペラ室４３から第２挿通孔２６及び第２軸受保持部２５の内側を介してモータ室１８内に向かう空気の洩れを抑制する。第２シール部材６４は、例えば、シールリングである。

【0051】

第１吸入口３５を介して第１インペラ室３６に吸入された空気は、第１インペラ６１の回転によって加速されながら、第１ディフューザ流路３８に送り込まれて、第１ディフューザ流路３８を通過することにより昇圧される。そして、第１ディフューザ流路３８を通過した空気は、第１スクロール流路３７に吐出される。第１スクロール流路３７に吐出された空気は、第１スクロール流路３７を旋回しながら流れる。したがって、第１スクロール流路３７には、第１インペラ６１の回転によって圧縮された空気が旋回しながら流れる。第１スクロール流路３７に吐出された空気は、第１吐出通路４０に吐出される。第１吐出通路４０には、第１スクロール流路３７を旋回しながら流れる空気の旋回流が流れ込む。第１吐出通路４０に吐出された空気は、接続配管６８を介して第２吸入口４２に吸入される。

【0052】

第２吸入口４２に吸入された空気は、第２インペラ室４３に吸入される。第２インペラ室４３に吸入された空気は、第２インペラ６２の回転によって加速されながら、第２ディフューザ流路４５に送り込まれて、第２ディフューザ流路４５を通過することにより昇圧される。そして、第２ディフューザ流路４５を通過した空気は、第２スクロール流路４４に吐出される。第２スクロール流路４４に吐出された空気は、第２スクロール流路４４を旋回しながら流れる。したがって、第２スクロール流路４４には、第２インペラ６２の回転によって圧縮された空気が旋回しながら流れる。第２スクロール流路４４に吐出された空気は、第２吐出通路４７に吐出される。第２吐出通路４７には、図２において破線の矢印で示すように、第２スクロール流路４４を旋回しながら流れる空気の旋回流が流れ込む。第２吐出通路４７に吐出された空気は、供給配管６６を介して燃料電池スタック６７に供給される。したがって、遠心圧縮機１０は、燃料電池スタック６７に対して空気を供給する。燃料電池スタック６７に供給された空気に含まれる酸素は、燃料電池スタック６７の発電に寄与する。

【0053】

＜フィルタ部材＞
図３に示すように、遠心圧縮機１０は、フィルタ部材７０を備えている。フィルタ部材７０は、フィルタ７１と、取付部７２と、貫通孔７３と、を有している。したがって、遠心圧縮機１０は、フィルタ７１を備えている。

【0054】

取付部７２は、筒状である。取付部７２は、本体部７４と、筒部７５と、板状の鍔部７６と、を有している。本体部７４は、円筒状である。本体部７４の外径は一定である。本体部７４の内側は、本体孔７７になっている。本体孔７７の孔径は一定である。本体孔７７は、本体部７４の第１端から第２端にかけて貫通している。本体孔７７の軸線は、本体部７４の軸線に一致している。

【0055】

筒部７５は、本体部７４の第１端から延びている。筒部７５は、本体部７４の第１端に連続している。筒部７５は、本体部７４から離間するにつれて先細りする円錐形状である。筒部７５における本体部７４とは反対側の端部は、開口している。筒部７５の内側は、円錐孔７８になっている。円錐孔７８は、本体孔７７の第１端に連通している。円錐孔７８の軸線は、本体孔７７の軸線に一致している。

【0056】

図４に示すように、取付部７２は、鍔部７６を一対有している。各鍔部７６は、本体部７４の外周面における本体部７４の第１端部に位置する部分から外方へ突出している。一対の鍔部７６は、本体部７４の周方向で互いに１８０度離れた位置に配置されている。各取付部７２は、平板状である。各取付部７２は、各々の厚み方向が本体部７４の軸方向に一致した状態で、本体部７４の外周面から外方へ突出している。

【0057】

図３に示すように、取付部７２は、各鍔部７６が、開口壁部４８における第２吐出通路４７の下流側の開口の周囲に位置する開口端面４８ｅに沿って延びた状態で、第２吐出配管４６に対して配置されている。したがって、各鍔部７６は、開口端面４８ｅに沿って延びている。

【0058】

各鍔部７６には、ボルト挿通孔７９が形成されている。各ボルト挿通孔７９には、ボルト６５が挿通される。そして、各ボルト挿通孔７９に挿通された各ボルト６５が各雌ねじ孔４８ｈに螺合されることにより、取付部７２が第２吐出配管４６の開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられている。したがって、取付部７２は、開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられている。

【0059】

取付部７２が第２吐出配管４６の開口壁部４８に対して取り付けられている状態では、筒部７５は、第２吐出通路４７に挿入された状態になっている。したがって、筒部７５は、第２吐出通路４７に挿入されている。よって、筒部７５は、第２吐出通路４７に挿入される挿入方向Ｚ１で先細りする円錐形状である。

【0060】

取付部７２が第２吐出配管４６の開口壁部４８に対して取り付けられた状態では、本体孔７７の軸線及び円錐孔７８の軸線は、第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０に一致している。貫通孔７３は、本体孔７７及び円錐孔７８によって形成されている。したがって、筒部７５は、貫通孔７３の一部を構成している。貫通孔７３は、第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に延びている。

【0061】

取付部７２は、抜け止め部８０を有している。抜け止め部８０は、本体部７４の外周面における本体部７４の第２端に位置する部分から環状に突出している。したがって、抜け止め部８０は、本体部７４の外周面における筒部７５とは反対側の端部に設けられている。抜け止め部８０は、鉤状である。

【0062】

図３及び図４に示すように、筒部７５には、連通孔８１が形成されている。連通孔８１は、筒部７５に複数形成されている。本実施形態では、連通孔８１は、筒部７５に４つ形成されている。複数の連通孔８１は、筒部７５の周方向で間隔を置いて配置されている。詳細には、４つの連通孔８１は、筒部７５の周方向で９０度間隔置きに配置されている。各連通孔８１は、筒部７５の内外を連通させる。各連通孔８１は、例えば、略台形孔状である。

【0063】

図３に示すように、フィルタ７１は、例えば、異物を捕捉可能に構成された多孔質材である。フィルタ７１は、空気の通過を許容し、且つ、空気に含まれている異物を捕捉可能に構成されている。フィルタ７１は、環状である。フィルタ７１は、筒部７５の外周面に沿って延びている。フィルタ７１は、各連通孔８１を覆った状態で筒部７５の外周に配置されている。フィルタ７１は、筒部７５の外周面に対して、例えば、接着剤によって接合されている。したがって、取付部７２は、フィルタ７１が一体化された状態でフィルタ７１を支持する。フィルタ７１は、筒部７５の外周面と第２吐出配管４６の内周面との間に配置されている。フィルタ７１は、第２吐出配管４６の内周面に密着している。フィルタ７１は、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれる異物を捕捉する。したがって、フィルタ７１は、空気に含まれている異物を捕捉する。なお、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流を図３において破線の矢印で示している。

【0064】

取付部７２の本体部７４には、供給配管６６が接続されている。供給配管６６は、例えば、ゴムホースである。供給配管６６は、本体部７４を囲繞した状態で本体部７４に取り付けられている。供給配管６６は、拘束部材８２により拘束された状態で、取付部７２の本体部７４に取り付けられている。拘束部材８２は、例えば、金属製である環状の拘束バンドである。拘束部材８２は、本体部７４に対して、抜け止め部８０よりも筒部７５寄りに配置されている。抜け止め部８０は、拘束部材８２における筒部７５とは反対側への抜けを防止している。

【0065】

取付部７２は、供給配管６６と第２吐出配管４６とを中継する配管継手として機能している。したがって、取付部７２は、配管継手を兼ねる。このように、第２吐出配管４６には、取付部７２を介して供給配管６６が接続されている。

【0066】

［実施形態の作用］
次に、実施形態の作用について説明する。
第２吐出通路４７を通過する空気の異物は、空気の旋回流に追従して流れ易いため、空気の旋回流には比較的多くの異物が含まれている。フィルタ７１は、各連通孔８１を覆った状態で筒部７５の外周に配置されている。このため、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれている異物がフィルタ７１によって効率良く捕捉される。そして、フィルタ７１によって異物が捕捉された後の空気が、各連通孔８１を通過して筒部７５の内側へ流れ込み、フィルタ部材７０の貫通孔７３を通過する。

【0067】

また、フィルタ部材７０は、第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に延びる貫通孔７３を有している。よって、第２吐出通路４７を第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に流れる空気が貫通孔７３を通過するため、フィルタ７１を採用したとしても、フィルタ７１によって空気の流れが極力妨げられないようになっている。したがって、フィルタ部材７０を通過する空気の圧力損失が抑えられている。

【0068】

貫通孔７３を通過した空気は、供給配管６６を介して燃料電池スタック６７に供給される。ここで、空気に異物が含まれている状態で空気が燃料電池スタック６７に供給されてしまうと、燃料電池スタック６７の内部に異物が侵入してしまうことになるため、燃料電池スタック６７の発電効率が低下してしまう虞がある。本実施形態では、空気に含まれている異物が効率良く捕捉されているため、燃料電池スタック６７の内部に異物が侵入してしまうことが抑制されている。このため、燃料電池スタック６７の発電効率の低下が抑制されている。

【0069】

［実施形態の効果］
実施形態では以下の効果を得ることができる。
（１）フィルタ部材７０の取付部７２が、フィルタ７１が一体化された状態でフィルタ７１を支持するとともにハウジング１１における第２吐出通路４７の下流側の開口端部を形成する開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられている。このため、ハウジング１１に対する取付部７２の着脱が容易である。したがって、例えば、フィルタ７１が目詰まりしたときに、取付部７２をハウジング１１から取り外すだけで、フィルタ部材７０をハウジング１１から取り外すことができる。よって、目詰まりしたフィルタ７１を新しいフィルタ７１に容易に交換することができるため、フィルタ７１の交換作業を容易なものとすることができる。

【0070】

また、フィルタ部材７０は、第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に延びる貫通孔７３を有している。これによれば、第２吐出通路４７を第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に流れる空気が貫通孔７３を通過するため、フィルタ７１を採用したとしても、フィルタ７１によって空気の流れが極力妨げられないようになっている。したがって、フィルタ部材７０を通過する空気の圧力損失を抑えることができる。その結果、遠心圧縮機１０の運転効率の低下を抑制することができる。

【0071】

第２吐出通路４７を通過する空気の異物は、空気の旋回流に追従して流れ易いため、空気の旋回流には比較的多くの異物が含まれている。そこで、フィルタ７１は、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれる異物を捕捉する。したがって、フィルタ７１によって第２吐出通路４７を通過する空気に含まれている異物を効率良く捕捉することができる。以上により、遠心圧縮機１０の運転効率の低下を抑制しつつも、空気に含まれている異物を効率良く捕捉することができ、且つ、フィルタ７１の交換作業を容易なものとすることができる。

【0072】

（２）取付部７２は、配管継手を兼ねる。これによれば、取付部７２を、既存の構成である配管継手として機能させることができるため、配管継手と取付部７２とを別々に用意する必要が無い。したがって、部品点数を削減することができるため、遠心圧縮機１０を簡素な構成とすることができる。

【0073】

（３）フィルタ７１が、連通孔８１を覆った状態で筒部７５の外周に配置されているため、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれている異物をフィルタ７１によって効率良く捕捉することができる。そして、フィルタ７１によって異物が捕捉された後の空気が、連通孔８１を通過して筒部７５の内側へ流れ込み、フィルタ部材７０の貫通孔７３を通過する。このような構成は、取付部７２と、貫通孔７３と、を有するとともに、第２吐出通路４７を通過する空気の旋回流に含まれる異物を捕捉するフィルタ７１を備えているフィルタ部材７０として好適である。

【0074】

（４）フィルタ７１が、筒部７５の外周面に沿って延びる環状であるため、筒部７５に連通孔８１が複数形成されている構成であっても、各連通孔８１を１つのフィルタ７１で覆うことができる。そして、筒部７５に連通孔８１が複数形成されているため、フィルタ７１によって異物が捕捉された後の空気を、各連通孔８１を介して筒部７５の内側へ効率良く流すことができる。したがって、空気に含まれている異物をさらに効率良く捕捉することができる。

【0075】

（５）筒部７５は、第２吐出通路４７に挿入される挿入方向Ｚ１で先細りする円錐形状である。これによれば、フィルタ７１によって異物が捕捉された後の空気が連通孔８１にスムーズに流れ込むため、空気の圧力損失を抑制し易くすることができる。したがって、遠心圧縮機１０の運転効率の低下をさらに抑制し易くしつつも、空気に含まれている異物をさらに効率良く捕捉することができる。

【0076】

（６）ボルト挿通孔７９に挿通されたボルト６５が雌ねじ孔４８ｈに螺合されることにより、取付部７２が開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられている。このような構成は、ハウジング１１における第２吐出通路４７の下流側の開口端部を形成する開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられる取付部７２を有するフィルタ部材７０として好適な構成である。

【0077】

（７）空気に異物が含まれている状態で空気が燃料電池スタック６７に供給されてしまうと、燃料電池スタック６７の内部に異物が侵入してしまうことになるため、燃料電池スタック６７の発電効率が低下してしまう虞がある。そこで、空気に含まれている異物を効率良く捕捉することにより、燃料電池スタック６７の内部に異物が侵入してしまうことが抑制される。このため、燃料電池スタック６７の発電効率の低下を抑制することができる。

【0078】

（８）例えば、フィルタ７１が目詰まりしたとしても、第２吐出通路４７を第２吐出通路４７の軸線Ｌ１０上に流れる空気が貫通孔７３を通過するため、遠心圧縮機１０の吐出圧が過度に上昇してしまうことが回避されている。したがって、第２インペラ室４３内において空気の逆流が生じることによりサージング現象が発生してしまうといった問題を回避することができる。その結果、第２インペラ６２の振動が抑制されるため、騒音を抑制することができる。

【0079】

［変更例］
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

【0080】

○ 実施形態において、取付部７２が配管継手を兼ねていなくてもよい。例えば、遠心圧縮機１０は、供給配管６６を備えており、供給配管６６における第２吐出配管４６側の端部が取付部７２になっていてもよい。この場合、取付部７２とは別に配管継手が取付部と第２吐出配管４６との間に設けられていてもよいし、取付部と第２吐出配管４６との間に配管継手が設けられていなくてもよい。

【0081】

○ 実施形態において、例えば、各連通孔８１にメッシュ状のフィルタ７１が取り付けられていてもよい。各フィルタ７１は、各連通孔８１を閉塞するように各連通孔８１に接合されている。各フィルタ７１は、例えば、スポット溶接により各連通孔８１に接合されている。この場合は、フィルタ７１の網目は、空気の通過を許容し、且つ、空気に含まれている異物を捕捉可能に設定されている。

【0082】

○ 実施形態において、筒部７５に形成される連通孔８１の数は特に限定されるものではない。例えば、筒部７５に連通孔８１が１つだけ形成されていてもよい。この場合、フィルタ７１は、筒部７５の外周面に沿って延びる環状でなくてもよく、例えば、１つの連通孔８１を覆った状態で筒部７５の外周の一部分にのみ配置されていてもよい。

【0083】

○ 実施形態において、連通孔８１の形状は特に限定されるものではない。連通孔８１は、例えば、円孔状であってもよいし、四角孔状であってもよい。
○ 実施形態において、筒部７５は、第２吐出通路４７に挿入される挿入方向Ｚ１で先細りしていなくてもよく、外径が一定であってもよい。この場合、筒部７５の外径は、第２吐出配管４６の内径よりも小さい。そして、フィルタ７１が、筒部７５の外周面と第２吐出配管４６の内周面との間に配置可能になっている。

【0084】

○ 実施形態において、取付部７２は、例えば、鍔部７６を貫通する圧入ピンが開口壁部４８に設けられた孔に圧入されることにより、開口壁部４８に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。

【0085】

○ 実施形態において、フィルタ７１は、例えば、本体部７４の内周面に設けられていてもよい。この場合、例えば、環状のフィルタ７１が本体部７４の内周面に接合されている。環状のフィルタ７１の内側は、貫通孔７３の一部を形成している。このような場合、取付部７２は、筒部７５を有していない構成であってもよい。

【0086】

○ 実施形態において、ハウジング１１は、例えば、第２吐出配管４６を有していない構成であってもよい。そして、第２吐出通路４７の第２端が、第２コンプレッサハウジング１４の外周面に開口していてもよい。この場合、第２コンプレッサハウジング１４の外周面の一部が、第２吐出通路４７の開口端部を形成する開口壁部４８である。そして、第２コンプレッサハウジング１４の外周面における第２吐出通路４７の下流側の開口の周囲の部分が、開口壁部４８における第２吐出通路４７の下流側の開口の周囲に位置する開口端面４８ｅである。

【0087】

○ 実施形態において、遠心圧縮機１０は、第２インペラ６２を備えていない構成であってもよい。この場合、フィルタ部材７０の取付部７２は、ハウジング１１における第１吐出通路４０の開口端部を形成する開口壁部４１に対して着脱可能に取り付けられている。

【0088】

○ 実施形態において、遠心圧縮機１０は、第２インペラ６２に代えて、タービンホイールを備えている構成であってもよい。この場合、フィルタ部材７０の取付部７２は、ハウジング１１における第１吐出通路４０の開口端部を形成する開口壁部４１に対して着脱可能に取り付けられている。

【0089】

○ 実施形態において、遠心圧縮機１０は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機１０は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
○ 実施形態において、遠心圧縮機１０は、燃料電池スタック６７に供給される空気を圧縮するために用いられるものに限らない。要は、遠心圧縮機１０は、流体を圧縮するものであればよい。

【0090】

［付記］
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
＜付記１＞
流体を圧縮するために回転するインペラと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記インペラ室に流体を吸入する吸入口、及び前記インペラ室の周囲で前記インペラ室を渦巻状に取り囲むとともに前記インペラの回転によって圧縮された流体が旋回しながら流れるスクロール流路を区画するハウジングと、を備え、
流体に含まれている異物を捕捉するフィルタを備えている遠心圧縮機であって、
前記ハウジングは、前記スクロール流路に連通するとともに前記スクロール流路を旋回しながら流れる流体の旋回流が流れ込む筒状の吐出通路を有し、
前記フィルタを有するフィルタ部材を備え、
前記フィルタ部材は、
前記フィルタが一体化された状態で前記フィルタを支持するとともに前記ハウジングにおける前記吐出通路の下流側の開口端部を形成する開口壁部に対して着脱可能に取り付けられる取付部と、
前記吐出通路の軸線上に延びる貫通孔と、を有し、
前記フィルタは、前記吐出通路を通過する前記旋回流に含まれる異物を捕捉することを特徴とする遠心圧縮機。

【0091】

＜付記２＞
前記取付部は、配管継手を兼ねることを特徴とする＜付記１＞に記載の遠心圧縮機。
＜付記３＞
前記取付部は、前記吐出通路に挿入されるとともに前記貫通孔の一部を構成する筒部を有し、
前記筒部には、前記筒部の内外を連通させる連通孔が形成されており、
前記フィルタは、前記連通孔を覆った状態で前記筒部の外周に配置されていることを特徴とする＜付記１＞又は＜付記２＞に記載の遠心圧縮機。

【0092】

＜付記４＞
前記連通孔は、前記筒部に複数形成されており、
前記複数の連通孔は、前記筒部の周方向で間隔を置いて配置されており、
前記フィルタは、前記筒部の外周面に沿って延びる環状であることを特徴とする＜付記３＞に記載の遠心圧縮機。

【0093】

＜付記５＞
前記筒部は、前記吐出通路に挿入される挿入方向で先細りする円錐形状であることを特徴とする＜付記３＞又は＜付記４＞に記載の遠心圧縮機。

【0094】

＜付記６＞
前記取付部は、前記開口壁部における前記吐出通路の下流側の開口の周囲に位置する開口端面に沿って延びる板状の鍔部を有し、
前記鍔部には、ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、
前記開口端面には、前記ボルトが螺合される雌ねじ孔が形成されており、
前記ボルト挿通孔に挿通された前記ボルトが前記雌ねじ孔に螺合されることにより、前記取付部が前記開口壁部に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする＜付記１＞～＜付記５＞のいずれか１つに記載の遠心圧縮機。

【0095】

＜付記７＞
前記流体は、燃料電池スタックに供給される空気であり、
前記インペラは、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮するために回転することを特徴とする＜付記１＞～＜付記６＞のいずれか１つに記載の遠心圧縮機。

【符号の説明】

【0096】

１０…遠心圧縮機、１１…ハウジング、３５…吸入口としての第１吸入口、３６…インペラ室としての第１インペラ室、３７…スクロール流路としての第１スクロール流路、４０…吐出通路としての第１吐出通路、４１…開口壁部、４２…吸入口としての第２吸入口、４３…インペラ室としての第２インペラ室、４４…スクロール流路としての第２スクロール流路、４７…吐出通路としての第２吐出通路、４８…開口壁部、４８ｅ…開口端面、４８ｈ…雌ねじ孔、６１…インペラとしての第１インペラ、６２…インペラとしての第２インペラ、６５…ボルト、６７…燃料電池スタック、７０…フィルタ部材、７１…フィルタ、７２…取付部、７３…貫通孔、７５…筒部、７６…鍔部、７９…ボルト挿通孔、８１…連通孔。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】