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特開2025-9250ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009250
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112117
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】海田 雄斗
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE17
2F129EE29
2F129EE83
2F129EE84
2F129FF02
2F129HH02
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】他車両の動向を考慮しつつ運転計画を立てる上での利便性を向上させる。
【解決手段】情報処理装置20は、自車両を含む複数の車両の現在位置の情報を取得することと、対象範囲の地図画像に車両の現在位置を示すアイコンを重畳したナビゲーション画像をディスプレイ30に表示させることと、自車両の現在位置を含む範囲を対象範囲とする通常画像、全ての車両の現在位置を含む範囲を対象範囲とする全体画像、及び、複数の車両のうち、指定された対象車両の現在位置を含む範囲を対象範囲とする確認画像を、ナビゲーション画像として生成することと、入力機器からの入力に応じて、3種のナビゲーション画像の表示の仕方を切り替えることと、を実行可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されており、
地図データを予め記憶している情報処理装置と、前記情報処理装置が出力する情報に応じた画像を表示するディスプレイと、前記情報処理装置に対して外部から情報を入力する入力機器と、を備え、
前記情報処理装置は、
自車両を含む、予め登録されている複数の車両の現在位置の情報を取得することと、
対象範囲の地図画像に前記車両の現在位置を示すアイコンを重畳したナビゲーション画像を前記ディスプレイに表示させることと、
前記自車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする通常画像、全ての前記車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする全体画像、及び、複数の前記車両のうち、前記入力機器からの入力で指定された対象車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする確認画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、
前記入力機器からの入力に応じて、3種の前記ナビゲーション画像の表示の仕方を切り替えることと、を実行可能である
ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、前記入力機器としての機能を兼ねるタッチパネル式であり、
前記情報処理装置は、
3種の前記ナビゲーション画像のうちの1種のみと、第1ボタンと、第2ボタンと、を前記ディスプレイに表示させることと、
前記第1ボタンが操作されたときに、前記ディスプレイに表示させる前記ナビゲーション画像を、前記ディスプレイに表示されていない2つの前記ナビゲーション画像のうちの一方へ切り替えることと、
前記第2ボタンが操作されたときに、前記ディスプレイに表示させる前記ナビゲーション画像を、前記ディスプレイに表示されていない2つの前記ナビゲーション画像のうちの他方へ切り替えることと、を実行可能である
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
それぞれの前記車両から、目的地、及び現在位置から前記目的地までの走行予定経路の情報を取得することと、
前記地図画像に、当該地図画像の前記対象範囲内で前記走行予定経路を重畳した画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、
前記全体画像を生成する際に、前記全体画像の前記対象範囲を、全ての前記車両の現在位置に加え、全ての前記車両の前記目的地を含む範囲とすることと、を実行可能である
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
それぞれの前記車両から、前記目的地への到着予定時刻、及び前記目的地までの所要時間の少なくとも一方の情報を時間情報として取得することと、
前記地図画像に、当該地図画像の前記対象範囲内に位置している前記車両についての前記時間情報を重畳した画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、を実行可能である
請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
コンピュータに、
自車両を含む、予め登録されている複数の車両の現在位置の情報を取得することと、
対象範囲の地図画像に前記車両の現在位置を示すアイコンを重畳したナビゲーション画像を外部に出力することと、
前記自車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする通常画像、全ての前記車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする全体画像、及び、複数の前記車両のうち、外部からの入力で指定された対象車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする確認画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、
外部からの入力に応じて、3種の前記ナビゲーション画像の表示の仕方を切り替えることと、を実行させる
ナビゲーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている車両は、ナビゲーション装置を備えている。ナビゲーション装置は、制御ユニットと、表示装置と、を備えている。制御ユニットは、地図データを記憶している。制御ユニットは、自身が搭載されている車両の現在位置の情報を取得する。制御ユニットは、表示装置に、車両の現在位置の周辺の地図画像を表示させる。それとともに、制御ユニットは、地図画像上に、車両の現在位置を示すアイコンを表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-030993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなナビゲーション装置を搭載している車両において、運転手が他車両の動向を把握しつつこの後の走行計画を立てたい場合がある。この場合、他車両の位置情報を取得するとともに、表示装置の地図画像上に他車両の現在位置を表示させる、といったナビゲーション装置の構成が考えられる。しかし、自車両の現在位置と他車両の現在位置とが遠く離れている場合、ナビゲーション装置が表示している地図画像の縮尺によっては、他車両が地図画像上に表示されない。この場合、他車両を地図画像上に表示させる上では、自車両の運転手自らが、地図画像の縮尺及び表示範囲を調整しなければならないので手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのナビゲーション装置は、車両に搭載されており、地図データを予め記憶している情報処理装置と、前記情報処理装置が出力する情報に応じた画像を表示するディスプレイと、前記情報処理装置に対して外部から情報を入力する入力機器と、を備え、前記情報処理装置は、自車両を含む、予め登録されている複数の車両の現在位置の情報を取得することと、対象範囲の地図画像に前記車両の現在位置を示すアイコンを重畳したナビゲーション画像を前記ディスプレイに表示させることと、前記自車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする通常画像、全ての前記車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする全体画像、及び、複数の前記車両のうち、前記入力機器からの入力で指定された対象車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする確認画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、前記入力機器からの入力に応じて、3種の前記ナビゲーション画像の表示の仕方を切り替えることと、を実行可能である。
【0006】
上記課題を解決するためのナビゲーションプログラムは、コンピュータに、自車両を含む、予め登録されている複数の車両の現在位置の情報を取得することと、対象範囲の地図画像に前記車両の現在位置を示すアイコンを重畳したナビゲーション画像を外部に出力することと、前記自車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする通常画像、全ての前記車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする全体画像、及び、複数の前記車両のうち、前記機器からの入力で指定された対象車両の現在位置を含む範囲を前記対象範囲とする確認画像を、前記ナビゲーション画像として生成することと、外部からの入力に応じて、3種の前記ナビゲーション画像の表示の仕方を切り替えることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
上記の各技術思想では、他車両の動向を考慮しつつ運転計画を立てる上での利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ナビゲーション装置の概略構成図である。
図2図2は、処理ルーチンの一連の流れを表したフローチャートである。
図3図3は、通常画像の例を表した図である。
図4図4は、全体画像の例を表した図である。
図5図5は、確認画像の例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<全体構成>
以下、ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムの一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、車両10は、ナビゲーション装置50を搭載している。以下では、ナビゲーション装置50が搭載されている車両10を自車両10と呼称する。ナビゲーション装置50は、情報処理装置20と、ディスプレイ30と、位置受信機40と、を備えている。情報処理装置20は、自車両10内に位置しているコンピュータである。情報処理装置20は、運転手が所有している携帯端末でもよい。情報処理装置20は、CPU21と、メモリ22と、通信回路23と、を備えている。メモリ22は、CPU21が実行するべき処理が記述されたナビゲーションプログラムWを予め記憶している。通信回路23は、外部通信回線網を介して自車両10の外部と無線通信するための回路である。以下では、自車両10に限らず、車両全般のことを指す場合には符号を付さずに車両と記す。
【0010】
ディスプレイ30は、自車両10の車室内に位置している。ディスプレイ30は、図示しない駆動回路と、表示画面32と、を備えている。ディスプレイ30は、情報処理装置20と通信可能である。ディスプレイ30は、情報処理装置20が出力する情報に応じた画像を表示画面32に表示する。ディスプレイ30は、タッチパネル式である。表示画面32に対してユーザが入力操作を行うと、ディスプレイ30は、その入力操作に応じた情報を情報処理装置20に出力する。このように、ディスプレイ30は、表示機器としての機能と、情報処理装置20に対して外部から情報を入力する入力機器としての機能と、を兼ねている。
【0011】
位置受信機40は、自車両10の現在位置に関する情報を全球測位衛星から受信する。位置受信機40は、受信した情報を情報処理装置20に出力する。現在位置に関する情報は、詳細には、緯度と経度とで示される位置座標である。
【0012】
情報処理装置20のメモリ22は、地図データMを予め記憶している。地図データMは、複数のノードと、複数のリンクと、の情報を含む。ノードは、道路上の特定の箇所の位置座標を示している。リンクは、隣り合うノードを結ぶ線分として定められている。したがって、リンクは、道路を示している。
【0013】
情報処理装置20のメモリ22は、自車両10と複数の他車両80とのそれぞれのベース情報を予め記憶している。これらの複数の車両は、互いに走行情報を共有可能な車両として予め登録されている。ベース情報は、車両のIDと、車両の登録名と、を含む。なお、他車両80は、自車両10と同様のナビゲーション装置を備えている。図1では、他車両80が2つの場合の例を示している。他車両80の数は2つに限らない。
【0014】
<走行経路の案内>
情報処理装置20のCPU21は、メモリ22が記憶しているナビゲーションプログラムWを実行することにより、以下に説明する一連の処理ルーチンを行う。CPU21は、ディスプレイ30を通じて運転手が目的地を入力したことを契機として、処理ルーチンの実行を開始する。なお、CPU21は、目的地が入力されると、当該入力された目的地をメモリ22に記憶する。CPU21は、実際には、目的地の位置座標をメモリ22に記憶する。CPU21は、処理ルーチンの実行を一旦開始すると、終了条件が満たされるまでは処理ルーチンの実行を繰り返す。終了条件は、ナビゲーション画像に設けられる後述の終了ボタンBEが操作されることである。CPU21は、終了条件が満たされると、その時点で処理ルーチンの実行を終了する。以下、処理ルーチンの内容を説明する。
【0015】
図2に示すように、CPU21は、処理ルーチンを開始すると、先ずステップS10の処理を実行する。ステップS10において、CPU21は、自車両10の走行情報を取得又は更新する。走行情報は、車両の現在位置、車両の目的地、現在位置から目的地までの走行予定経路、目的地までの所要時間、及び目的地への到着予定時刻を含む。走行情報のうち、所要時間と到着予定時刻とを総称して時間情報という。ステップS10の具体的な処理として、CPU21は、位置受信機40から、自車両10の現在位置についての最新の情報を取得する。次に、CPU21は、目的地をメモリ22から取得する。そして、CPU21は、目的地と地図データMとに基づいて、自車両10の現在位置から目的地までの走行予定経路を算出する。次に、CPU21は、走行予定経路に基づいて、自車両10の現在位置から目的地までの所要時間と、目的地への到着予定時刻と、を算出する。CPU21が走行予定経路、所要時間、及び到着予定時刻を算出することは、CPU21がこれらの情報を取得することに相当する。CPU21は、自車両10の現在位置と、目的地と、走行予定経路と、所要時間と、到着予定時刻とを取得すると、これらの情報を一まとめの走行情報としてメモリ22に記憶する。このときCPU21は、以前に記憶した走行情報が存在している場合には、その走行情報を新たな走行情報で上書きする。そのことによってCPU21は走行情報を更新する。この後、CPU21は、処理をステップS20に進める。
【0016】
ステップS20において、CPU21は、各他車両80の走行情報を取得又は更新する。このステップS20の処理の前提として、各他車両80は、自車両10に対して走行情報の送信を繰り返している。CPU21は、ステップS20では、各他車両80から送信された最新の走行情報を取得する。なお、他車両80において目的地が設定されていない場合には、CPU21は、その他車両80の現在位置のみを走行情報として取得する。CPU21は、取得した各他車両80の走行情報を車両毎にメモリ22に記憶する。ステップS10の処理と同様、CPU21は、以前に記憶した各他車両80の走行情報が存在している場合には、その走行情報を新たな走行情報で上書きする。そのことによってCPU21は各他車両80の走行情報を更新する。この後、CPU21は、処理をステップS30に進める。
【0017】
ステップS30において、CPU21は、指定情報で指定されている種類のナビゲーション画像を生成する。ナビゲーション画像は、ある特定の範囲を対象とした地図画像に1つ以上の車両の現在位置を示すアイコンを重畳した画像である。ナビゲーション画像には、通常画像G1と、全体画像G2と、確認画像G3との3種類がある。各種類のナビゲーション画像の詳細は後述する。指定情報は、ディスプレイ30への表示が要求されるナビゲーション画像の種類を上記3種類の中から指定するものである。なお、CPU21が本処理ルーチンを初めて実行する場合の指定情報は初期値に設定されている。初期値は、通常画像G1を指定する。指定情報は、メモリ22に記憶されている。CPU21は、ナビゲーション画像を生成すると、処理をステップS40に進める。
【0018】
ステップS40において、CPU21は、ステップS30で生成したナビゲーション画像をディスプレイ30の表示画面32の全域に表示させる。すなわち、CPU21は、ステップS30で生成したナビゲーション画像と、このナビゲーション画像を表示画面32の全域に表示させるための指令信号と、をディスプレイ30に出力する。この後、CPU21は、処理をステップS50に進める。なお、CPU21は、ステップS40の処理によってナビゲーション画像を表示画面32に表示させると、このナビゲーション画像の表示を次にステップS40を実行するまで継続させる。
【0019】
ステップS50において、CPU21は、設定時間待機する。設定時間は、例えば1秒以下の所定時間として、予め定められている。CPU21は、この設定時間の間に切り替え要求があったか否かを判定する。CPU21は、ディスプレイ30に対して運転手からの操作が無かった場合には切り替え要求がないと判定する(ステップS50:NO)。この場合、CPU21は、処理ルーチンを一旦終了する。そして、CPU21は、ステップS10の処理に戻る。
【0020】
一方、ステップS50において、CPU21は、ディスプレイ30に対して運転手からの操作があった場合、切り替え要求があったと判定する(ステップS50:YES)。この場合、CPU21は、処理をステップS60に進める。
【0021】
ステップS60において、CPU21は、指定情報を更新する。CPU21は、ステップS60では、指定情報に付随している後述の対象車両情報を更新することもある。指定情報等の更新の仕方は後述する。CPU21は、指定情報を更新すると処理ルーチンを一旦終了する。そして、CPU21は、ステップS10の処理に戻る。
【0022】
<通常画像の生成>
ステップS30の処理について詳述する。CPU21は、ステップS30では、現状の指定情報で通常画像G1が指定されている場合、通常画像G1を生成する。図3に示すように、通常画像G1は、当該通常画像G1のベースとなる地図画像の対象範囲を、自車両10の現在位置を含む範囲とする画像である。
【0023】
通常画像G1を生成するにあたり、CPU21は、先ず対象範囲を定める。具体的には、CPU21は、ステップS10でメモリ22に記憶した自車両10の走行情報に基づいて、地図データM上における自車両10の現在位置を特定する。そして、CPU21は、予め定められた縮尺で地図データMを取り扱うことを前提に、地図データM上において自車両10の現在位置を中心にした仮想矩形枠を設定する。予め定められた縮尺は、例えば、後述するようにディスプレイ30を通じて運転手が設定した縮尺である。運転手によって縮尺が設定されていないときは、CPU21は、予め定められた縮尺としてベース縮尺を採用する。ベース縮尺は、車両の周辺の道路の詳細がわかる縮尺として予め定められている。ベース縮尺は、例えば、車両の周辺の200~400mの範囲がディスプレイ30に表示される程度の縮尺である。仮想矩形枠は、予め大きさが定められた長方形の枠である。仮想矩形枠の縦横比は、ディスプレイ30の表示画面32の縦横比と同じになっている。なお、CPU21は、仮想矩形枠の2つの対角線の交点を仮想矩形枠の中心として取り扱う。CPU21は、地図データM上において仮想矩形枠を設定すると、この仮想矩形枠内の全域を対象範囲とする。CPU21は、対象範囲を定めると、この対象範囲の地図画像を生成する。
【0024】
この後、CPU21は、生成した地図画像に、自車両10の走行情報を反映した複数の表示アイテムを重畳する。具体的には、CPU21は、生成した地図画像おける、自車両10の現在位置に、自車両10を示すアイコンQ1を重畳する。また、CPU21は、自車両10のアイコンQ1の近傍に、自車両10の登録名を示す文字列NAMEを重畳する。また、CPU21は、生成した地図画像における、自車両10の走行予定経路上に、同一色の線Q2を重畳する。また、CPU21は、走行予定経路を示す線Q2の近傍に、目的地までの所要時間を示す文字列TRを重畳する。なお、図1では図示を省略するが、CPU21は、生成した地図画像の範囲内に自車両10の目的地が存在している場合、地図画像に目的地を示すアイコンを重畳する。それとともに、CPU21は、目的地を示すアイコンの周辺に、到着予定時刻を示す文字列を重畳する。また、図1では図示を省略するが、CPU21は、生成した地図画像の範囲内に他車両80が存在している場合、他車両80の現在位置を示すアイコンを重畳する。
【0025】
この後、CPU21は、地図画像に各種の操作ボタンを重畳する。操作ボタンには、全体ボタンBY、確認ボタンBZ、拡大ボタンBK1、縮小ボタンBK2、及び終了ボタンBEがある。全体ボタンBYは、第1指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。第1指令信号は、ディスプレイ30に表示させるナビゲーション画像を全体画像G2に切り替えることを指示する。全体ボタンBYは、通常画像G1における第1ボタンに相当する。確認ボタンBZは、第2指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。第2指令信号は、ディスプレイ30に表示させるナビゲーション画像を確認画像G3に切り替えることを指示する。確認ボタンBZは、通常画像G1における第2ボタンに相当する。CPU21は、例えば、地図画像の右隅に全体ボタンBYと確認ボタンBZとを配置する。拡大ボタンBK1は、ナビゲーション画像を、現状の縮尺に対して拡大させる指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。縮小ボタンBK2は、ナビゲーション画像を、現状の縮尺に対して縮小させる指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。拡大ボタンBK1又は縮小ボタンBK2によって設定される縮尺が、通常画像G1において予め定められた地図データの縮尺である。終了ボタンBEは、ナビゲーション画像の表示を終了させる指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。CPU21は、拡大ボタンBK1と縮小ボタンBK2とを終了ボタンBEとを、例えば、地図画像の左隅に配置する。
【0026】
<全体画像の生成>
CPU21は、ステップS30では、現状の指定情報で全体画像G2が指定されている場合、全体画像G2を生成する。図4に示すように、全体画像G2は、当該全体画像G2のベースとなる地図画像の対象範囲を、全ての車両の現在位置を含む範囲とする画像である。詳細には、全体画像G2は、全ての車両の現在位置に加え、全ての車両の目的地を含む範囲を、地図画像の対象範囲とする画像である。全ての車両は、自車両10と、全ての他車両80と、を合わせた複数の車両を意味する。
【0027】
全体画像G2を生成するにあたり、CPU21は、先ず対象範囲を定める。CPU21は、対象範囲を定めるにあたり、既に説明した仮想矩形枠を利用する。具体的には、先ずCPU21は、全ての車両の走行情報に基づいて、地図データM上における、全ての車両の現在位置と、全ての車両の目的地とを特定する。そして、CPU21は、全ての車両の現在位置と、全ての車両の目的地とが仮想矩形枠に収まるように地図データM上に仮想矩形枠を設定する。そして、CPU21は、この仮想矩形枠内の全域を対象範囲とする。全体画像G2の対象範囲は、全ての車両の現在位置と、全ての車両の目的地とを含む極力狭い地図領域となっている。CPU21は、対象範囲を定めると、この対象範囲の地図画像を生成する。
【0028】
この後、CPU21は、生成した地図画像に、各車両の走行情報を反映した各種の表示アイテムを重畳する。表示アイテムは、通常画像G1と同様、車両の現在位置を示すアイコンQ1、車両の登録名を示す文字列NAME、車両の走行予定経路を示す線Q2、目的地までの所要時間を示す文字列TR、目的地を示すアイコンQ3、及び目的地への到着予定時刻を示す文字列TDを含んでいる。表示アイテムに、各車両から最新の走行情報が送信された日時を加えてもよい。CPU21は、各表示アイテムを車両毎に地図画像に重畳する。なお、自車両10と他車両80とでは車両の現在位置を示すアイコンQ1の形は異なっている。自車両10のアイコンQ1は通常画像G1のものと同じである。例えば、他車両80のアイコンQ1の色は車両毎に異なっている。このことで、各他車両80は互いに区別される。例えば、走行予定経路を示す線Q2、及び目的地を示すアイコンQ3についても、車両毎に色は異なっている。
【0029】
この後、CPU21は、地図画像に各種の操作ボタンを重畳する。操作ボタンには、通常ボタンBX、確認ボタンBZ、及び終了ボタンBEがある。通常ボタンBXは、第3指令信号をCPU21に入力するためのボタンである。第3指令信号は、ディスプレイ30に表示させるナビゲーション画像を通常画像G1に切り替えることを指示する。通常ボタンBXは、全体画像G2における第1ボタンに相当する。確認ボタンBZの機能は、通常画像G1で説明した内容と同じである。確認ボタンBZは、全体画像G2における第2ボタンに相当する。終了ボタンBEの機能は、通常画像G1で説明した内容と同じである。通常画像G1と同様、各操作ボタンは、例えば地図画像の左右両隅に配置される。
【0030】
<確認画像の生成>
CPU21は、ステップS30では、現状の指定情報で確認画像G3が指定されている場合、確認画像G3を生成する。図5に示すように、確認画像G3は、当該確認画像G3のベースとなる地図画像の対象範囲を、対象車両の現在位置を含む範囲とする画像である。対象車両は、複数の他車両80のうちの1つである。なお、後述のとおり、指定情報で指定されるナビゲーション画像が確認画像G3であるときには、当該指定情報に対象車両情報が付随している。対象車両情報は、対象車両として指定される他車両80を示すものである。CPU21は、この対象車両情報に当てはまる他車両80を対象車両として取り扱う。
【0031】
確認画像G3を生成するにあたり、CPU21は、先ず対象範囲を定める。具体的には、CPU21は、対象車両の走行情報に基づいて、地図データM上における対象車両の現在位置を特定する。そして、CPU21は、予め定められた縮尺で地図データMを取り扱うことを前提に、地図データM上において対象車両の現在位置を中心にした仮想矩形枠を設定する。予め定められた縮尺は、通常画像G1の生成の欄で説明でしたとおりである。同様に、仮想矩形枠は、通常画像G1の生成の欄で説明でしたとおりである。CPU21は、地図データM上に仮想矩形枠を設定すると、この仮想矩形枠内の全域を対象範囲とする。CPU21は、対象範囲を定めると、この対象範囲の地図画像を生成する。
【0032】
この後、CPU21は、生成した地図画像に、対象車両の走行情報を反映した各種の表示アイテムを重畳する。表示アイテムの種類は、通常画像G1で説明したものと同じである。すなわち、表示アイテムは、対象車両の現在位置を示すアイコンQ1、対象車両の登録名を示す文字列NAME、対象車両の走行予定経路を示す線Q2、目的地までの所要時間を示す文字列TRを含んでいる。対象車両の現在位置を示すアイコンQ1の形及び色は、全体画像G2を生成する場合に対象車両に適用したものと同じである。走行予定経路を示す線Q2の色も同様である。なお、通常画像G1の場合と同様、CPU21は、生成した地図画像の範囲内に対象車両の目的地が存在している場合、地図画像に目的地を示すアイコンを重畳する。それとともに、CPU21は、目的地を示すアイコンの周辺に、到着予定時刻を示す文字列を重畳する。また、CPU21は、生成した地図画像の範囲内に対象車両以外の車両が存在している場合、その車両の現在位置を示すアイコンを重畳する。
【0033】
この後、CPU21は、地図画像に各種の操作ボタンを重畳する。操作ボタンには、通常ボタンBX、全体ボタンBY、拡大ボタンBK1、縮小ボタンBK2、及び終了ボタンBEがある。各操作ボタンの機能は、既に説明したとおりである。通常ボタンBXは、確認画像G3における第1ボタンに相当する。全体ボタンBYは、確認画像G3における第2ボタンに相当する。各操作ボタンは、例えば地図画像の左右両隅に配置される。ナビゲーション画像が確認画像G3である場合、操作ボタンには、昇順ボタンBL1と降順ボタンBL2とが含まれる。昇順ボタンBL1と降順ボタンBL2とは、指定する対象車両を変更する指令信号を情報処理装置20に入力するためのボタンである。現状で指定されている対象車両を基準車両と呼称する。昇順ボタンBL1は、基準車両の次に自車両10から遠い他車両80を対象車両に指定する。なお、基準車両が自車両10から最も遠い他車両80の場合、昇順ボタンBL1は、自車両10に最も近い他車両80を対象車両に指定する。降順ボタンBL2は、基準車両の次に自車両10に近い他車両80を対象車両に指定する。なお、基準車両が自車両10に最も近い他車両80の場合、降順ボタンBL2は、自車両10から最も遠い他車両80を対象車両に指定する。昇順ボタンBL1と降順ボタンBL2とは、例えば地図画像の上縁近傍に配置される。
【0034】
<指定情報の更新>
ステップS60の処理について詳述する。ここで、操作ボタンの操作によってディスプレイ30上の表示の切り替えが要求されるパターンとして、次の2つのパターンがある。第1パターンは、ディスプレイ30に表示させるナビゲーション画像の種類を変更する要求である。第2パターンは、ナビゲーション画像が確認画像G3である場合に、対象車両を変更する要求である。CPU21は、ステップS60では、これらの各パターンに対応する要求に応じた処理を行う。すなわち、CPU21は、ステップS60では、操作ボタンの操作に応じて指定情報を更新したり、指定情報に付されている対象車両情報を更新したりする。以下、各パターンでの指定情報等の更新の仕方を説明する。
【0035】
第1パターンについて説明する。全体画像G2又は確認画像G3を表示しているときに通常ボタンBXが操作された場合、CPU21は、それまでメモリ22にしていた指定情報を消去する。そして、CPU21は、通常画像G1を指定するための新たな指定情報を生成する。通常画像G1又は確認画像G3を表示しているときに全体ボタンBYが操作された場合、CPU21は、それまでメモリ22に記憶していた指定情報を消去する。そして、CPU21は、全体画像G2を指定するための新たな指定情報を生成する。通常画像G1又は全体画像G2を表示しているときに確認ボタンBZが操作された場合、CPU21は、それまでメモリ22に記憶していた指定情報を消去する。そして、CPU21は、確認画像G3を指定するための新たな指定情報を生成する。それに加え、CPU21は、確認ボタンBZが操作された場合、自車両10に最も近い他車両80を対象車両に指定するための対象車両情報を生成する。そして、CPU21は、この対象車両情報を指定情報に付随させる。確認ボタンBZの操作に応じて対象車両情報が設定されることからわかるように、対象車両は、ディスプレイ30からの入力操作を通じて運転手に指定された他車両80である。
【0036】
第2パターンについて説明する。確認画像G3を表示しているときに昇順ボタンBL1又は降順ボタンBL2が操作された場合、CPU21は、それまでメモリ22に記憶していた対象車両情報を消去する。そして、CPU21は、新たな対象車両情報を生成する。このとき、CPU21は、対象車両情報で指定する対象車両を、昇順ボタンBL1又は降順ボタンBL2の操作を通じて指定される他車両80にする。そして、CPU21は、対象車両を変更した新たな対象車両情報を指定情報に付随させる。そして、CPU21は、指定情報とともに対象車両情報をメモリ22に記憶する。この第2パターンの場合、指定情報で指定されるナビゲーション画像は確認画像G3のままである。
【0037】
<実施形態の作用>
いま、指定情報で通常画像G1が指定されているものとする。この場合、図3に示すように、CPU21は、この指定情報に従って通常画像G1を生成する(ステップS30)。そして、CPU21は、生成した通常画像G1をディスプレイ30の表示画面32の全域に表示させる(ステップS40)。この後、この通常画像G1における全体ボタンBYが操作されたとする(ステップS50:YES)。この場合、CPU21は、指定情報で指定するナビゲーション画像を全体画像G2に変更する(ステップS60)。すると、図4に示すように、CPU21は、この指定情報に従って全体画像G2を生成する(ステップS30)。そして、CPU21は、生成した全体画像G2を表示画面32の全域に表示させる(ステップS40)。この後、この全体画像G2における確認ボタンBZが操作されたとする(ステップS50:YES)。この場合、CPU21は、指定情報で指定するナビゲーション画像を確認画像G3に変更する(ステップS60)。すると、図5に示すように、CPU21は、この指定情報に従って確認画像G3を生成する(ステップS30)。そして、CPU21は、生成した確認画像G3を表示画面32の全域に表示させる(ステップS40)。以上のように、CPU21は、3種類のナビゲーション画像のうち、常に1種類のみをディスプレイ30に表示させる。本実施形態の特徴として、CPU21は、ディスプレイ30に対する乗員の操作に応じて次のことを行う。すなわち、CPU21は、ディスプレイ30に表示させる3種類のナビゲーション画像の表示の仕方を次のように切り替える。CPU21は、それまで表示していたナビゲーション画像から、それまで表示していなかったナビゲーション画像へと、ディスプレイ30の表示内容を切り替える。なお、CPU21は、運転手による操作ボタンの操作に応じて、同種のナビゲーション画像についての表示内容を切り替えることもある。すなわち、CPU21は、確認画像G3をディスプレイ30に表示させているときに昇順ボタンBL1又は降順ボタンBL2が操作されると、対象車両情報を変更する。それに伴い、CPU21は、ディスプレイ30に表示させる確認画像G3を、それまでとは異なる対象車両を中心にした確認画像G3に切り替える。
【0038】
<実施形態の効果>
(1)CPU21は、3種類のナビゲーション画像を生成可能である。これに伴い、自車両10の運転手は、自車両10の走行中に走行計画を立てる上で、3種類のナビゲーション画像を利用できる。3種類のナビゲーション画像を利用できることは、運転手にとって次の利点がある。すなわち、運転手は、通常画像G1を利用することで自車両10の現在位置を把握できる。それに加え、運転手は、全体画像G2を利用することで他車両80と自車両10との現在の位置関係を一目で把握できる。また、運転手は、確認画像G3を利用することで他車両80の現在位置の詳細を把握できる。このように、運転手は、自車両10のみならず他車両80の動向を把握できる。このことで、運転手は、他車両80の動向を踏まえた上での運転計画を立てやすくなる。その上、本実施形態では、運転手が、ナビゲーション画像から得られる各種情報のうち自分が欲しい情報が得やすくなるように、ディスプレイ30の表示の仕方を切り替えることができる。したがって、運転手は、例えばナビゲーション画像の縮尺変更を行ったり、ナビゲーション画像の表示範囲を変更したりといった手間を要さずに、必要な情報を速やかに得ることができる。要するに、ナビゲーション装置50は、他車両80の動向を考慮しつつ運転計画を立てる上での利便性が高い。
【0039】
(2)CPU21は、ディスプレイ30の表示画面32に1つのナビゲーション画像のみを表示させる。このことで、CPU21は、表示画面32において1つのナビゲーション画像を大きく表示できる。そのため、自車両10の運転手は、表示画面32に表示されるナビゲーション画像の内容を把握しやすい。その一方で、CPU21は、各ナビゲーション画像に、第1ボタンと第2ボタンとの2つの切り替えボタンを含める。これらの切り替えボタンがあることは、運転手にとって次の利点がある。すなわち、運転手は、これらの切り替えボタンを押すだけの簡単な操作で、表示画面32に表示されるナビゲーション画像を自身の見たいものに切り替えることができる。
【0040】
(3)CPU21は、各ナビゲーション画像に、車両の走行予定経路を含める。各ナビゲーション画像に走行予定経路の情報が存在することで、自車両10の運転手は、例えば他車両80の走行予定経路に合わせて自車両10の運転経路を変更するなど、運転経路の調整が可能になる。特に、全体画像G2には、全ての車両について現在位置から目的地までの走行予定経路が示される。このことから、運転手は、各車両のこの後の状況の全体像を把握した上で運転経路を決定できる。
【0041】
(4)CPU21は、各ナビゲーション画像に、目的地までの所要時間、及び目的地への到着予定時刻といった、目的地への到着に係る時間の情報を含める。このことで、自車両10の運転手は、途中で休憩をとって時間の帳尻を合わせたり、早期に目的地に着けるように運転経路を変更したりするなど、運転の時間調整が可能になる。
【0042】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・ナビゲーション画像から時間情報の文字列を廃止してもよい。
・ナビゲーション画像から目的地のアイコン及び走行予定経路の線を廃止してもよい。
・全体画像G2の対象範囲は、全ての車両の目的地を含んでいなくてもよい。
【0044】
・全体画像G2に拡大ボタンBK1及び縮小ボタンBK2を設けてもよい。
・ナビゲーション画像から各種の操作ボタンを廃止してもよい。それとともに、ディスプレイ30を非タッチパネル式としてもよい。この場合、入力機器として、例えばステアリングホイールに設けられるスイッチなど、車室内の他の機器を入力機器とすればよい。
【0045】
・3種類のナビゲーション画像の表示の仕方を切り替える態様は、上記実施形態の例に限らない。例えば、ディスプレイ30の表示画面32に、3種類のナビゲーション画像を全て表示する。このとき、3種類のうちの1つを他の2つよりも大きく表示させる。そして、入力機器の操作に応じて、大きく表示させるナビゲーション画像を変更する。
【符号の説明】
【0046】
10…自車両 20…情報処理装置 30…ディスプレイ 50…ナビゲーション装置 80…他車両
図1
図2
図3
図4
図5