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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009253
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20250110BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20250110BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250110BHJP
【FI】
G01C21/34
G07C5/00 Z
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112124
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大栄 義博
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 航
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】今村 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】那須 史尋
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳士
【テーマコード(参考)】
2F129
3E138
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD22
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF57
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF65
2F129FF75
2F129HH12
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB10
3E138MC11
3E138MD05
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】走行が少ない区間における道路状況を示す映像が更新されやすくなるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステムでは、データセンタ200と、複数の車両100と、が通信ネットワークを介して接続されている。データセンタ200は、撮影依頼者50から道路状況の撮影が依頼されている特定区間を特定可能な特定区間情報を受け付ける。データセンタ200は、ナビゲーション装置によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して、特定区間情報に基づいて特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。データセンタ200は、ユーザからアップロードされた、車両100が特定区間を走行中にドライブレコーダにより撮影された特定区間の道路状況を示す映像を、撮影された位置を特定可能な撮影位置情報とともに記憶装置に記憶させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、
車両が走行している道路の映像を撮影可能な撮影装置とナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、
が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムであり、
前記処理装置が、
道路状況の撮影が依頼されている特定区間を特定可能な特定区間情報を受け付けることと、
前記ナビゲーション装置によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して、前記特定区間情報に基づいて前記特定区間を経由する撮影用ルートを提案することと、
前記ユーザからアップロードされた、前記車両が前記特定区間を走行中に前記撮影装置により撮影された前記特定区間の道路状況を示す映像を、撮影された位置を特定可能な撮影位置情報とともに前記記憶装置に記憶することと、を実行する
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記処理装置が、
前記特定区間の道路状況を示す映像をアップロードした前記ユーザに対して、インセンティブを付与することを実行する
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記処理装置が前記ユーザに対して前記特定区間の道路状況を示す映像をアップロードした場合に付与される前記インセンティブの内容とともに前記撮影用ルートを提案し、
前記ユーザの前記車両が備える前記ナビゲーション装置が、前記撮影用ルートと、前記特定区間を経由しない通常ルートとを、前記特定区間の道路状況を示す映像をアップロードした場合に付与される前記インセンティブの内容とともに示すことを実行する
請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置が、前記撮影用ルートを走行した場合と、前記通常ルートを走行した場合とにおける、前記目的地に到達するまでの所要時間の差を前記インセンティブの内容とともに示すことを実行する
請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記処理装置が、
前記ルート検索が行われた前記車両の現在の位置を示す現在位置情報と、前記ユーザが前記ナビゲーション装置に予め設定した距離とを取得することと、
前記現在位置情報と前記距離とに基づいて、複数の前記特定区間のうち、前記ルート検索が行われた前記車両の現在の位置から前記距離内にある前記特定区間を経由する前記撮影用ルートを提案することと、を実行する
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路の異常の有無を検知する道路異常検知装置が開示されている。この道路異常検知装置は、車両に取り付けられたカメラによって走行中に撮影された映像に基づいて道路の異常の有無を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-170314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行する車両が少ない区間は、道路状況を示す映像が更新され難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するためのナビゲーションシステムは、記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、車両が走行している道路の映像を撮影可能な撮影装置とナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムである。このナビゲーションシステムにおいて、前記処理装置は、道路状況の撮影が依頼されている特定区間を特定可能な特定区間情報を受け付ける。前記処理装置は、前記ナビゲーション装置によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して、前記特定区間情報に基づいて前記特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。前記処理装置は、前記ユーザからアップロードされた、前記車両が前記特定区間を走行中に前記撮影装置により撮影された前記特定区間の道路状況を示す映像を、撮影された位置を特定可能な撮影位置情報とともに前記記憶装置に記憶する。
【発明の効果】
【0006】
このナビゲーションシステムによれば、走行する車両が少ない区間における道路状況を示す映像が更新されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態のナビゲーションシステムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるナビゲーション装置が表示する映像の例を示す図である。
図3図3は、実施形態のナビゲーションシステムにおける撮影依頼者と、データセンタと、車両と、による処理の流れを示すシーケンス図である。
図4図4は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるデータセンタが特定区間情報を受け付けた後に実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態のナビゲーションシステムにおける車両のナビゲーション装置が定期的に実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態のナビゲーションシステムにおける車両のナビゲーション装置が実行する撮影用ルート走行中処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ナビゲーションシステムの一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
<ナビゲーションシステム10の構成>
図1に示すように、ナビゲーションシステム10は、複数の車両100と、データセンタ200とによって構成されている。データセンタ200は、通信ネットワーク300を介して、複数の車両100と通信可能に接続されている。各車両100は、車両100が走行している道路の映像を撮影可能な撮影装置の一例としてのドライブレコーダ110と、ナビゲーション装置120と、を備えている。
【0009】
ドライブレコーダ110は、運転席から見える車両100の前方の映像を撮影可能であるとともに、撮影した映像を記録する。ナビゲーション装置120は、衛星測位システムの受信機と、通信装置と、ディスプレイ130と、入力装置と、地図情報などのデータを記憶した記憶装置と、を備えて構成されている。
【0010】
図2は、ナビゲーション装置120のディスプレイ130によって表示される映像の例を示している。ナビゲーション装置120は、図2に示すように、目的地に到達するまでのルートを示すルート案内情報をディスプレイ130に表示する。ルート案内情報は、ユーザが目的地を設定してルート検索を行ったときに、ナビゲーション装置120がデータセンタ200から受信する。
【0011】
ドライブレコーダ110とナビゲーション装置120は、互いに情報をやり取りできるように接続されている。ドライブレコーダ110は、撮影した映像のデータとともに、撮影した日時の情報及び撮影した地点の位置情報を記憶装置に記憶する。
【0012】
データセンタ200は、通信装置230を備えている。通信装置230は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組合せとして実装されている。そして、通信装置230は、通信ネットワーク300を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。データセンタ200は、複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、データセンタ200は、複数のサーバ装置によって構成され得る。
【0013】
例えば、ドライブレコーダ110により撮影された映像からは、運転席から見える道路状況を把握することができる。そして、データセンタ200は、車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像を受信することにより、車両100が走行した区間の道路状況を示す映像を更新することができる。
【0014】
<ナビゲーションシステム10における情報の送受信>
次に、撮影依頼者50と車両100とデータセンタ200との情報の送受信について図3を参照して説明する。
【0015】
図3に示すように、ナビゲーションシステム10では、データセンタ200が、撮影依頼者50から特定区間情報を受け付ける。特定区間情報は、撮影依頼者50が道路状況の撮影を依頼している特定区間を特定可能な情報である。
【0016】
図3に示すように、データセンタ200が撮影依頼者50から特定区間情報を受け付ける処理と、データセンタ200と車両100とが各種の情報の送受信を行う処理とは、並行して行われる。
【0017】
図3の上段に示すように、データセンタ200が撮影依頼者50から特定区間情報を受け付ける処理では、例えば、データセンタ200は、撮影依頼者50から随時、特定区間情報を受け付ける。例えば、データセンタ200は、撮影依頼者50から随時、特定区間情報を受け付けるのではなく、予め定められた期間に受け付けてもよい。例えば、撮影依頼者50は、メールや電話等によりデータセンタ200に特定区間情報を提供するとよい。例えば、撮影依頼者50は、専用のアプリケーションにより特定区間情報をデータセンタ200に提供してもよい。データセンタ200は、撮影依頼者50から受け付けた特定区間情報を記憶装置220に記憶させる。
【0018】
図3の下段に示すように、車両100がデータセンタ200に検索情報を送信する処理では、ユーザがナビゲーション装置120により目的地を設定してルート検索を実行すると、ナビゲーション装置120は、データセンタ200に検索情報を送信する。検索情報は、ルート検索が行われた車両100の現在の位置を示す現在位置情報と、設定された目的地を示す情報と、設定情報とを含む。設定情報は、ナビゲーション装置120においてユーザが予め設定した距離を示す情報であり、ナビゲーション装置120の記憶装置に記憶されている。データセンタ200は、検索情報を受信することにより、設定された目的地を示す情報と、ルート検索が行われた車両100の現在の位置を示す現在位置情報と、ユーザがナビゲーション装置120に予め設定した距離とを取得する。
【0019】
検索情報を受信したデータセンタ200は、現在位置情報と設定情報に示される距離と特定区間情報とに基づいて、ルート検索が行われた車両100の現在の位置から設定情報に示される距離内に特定区間があるか判定する。そして、データセンタ200は、ルート検索が行われた車両100の現在の位置から設定情報に示される距離内に特定区間がある場合に、撮影用ルート情報を車両100のナビゲーション装置120に送信する。撮影用ルート情報には、車両100の現在の位置から、特定区間を経由して目的地に到達するまでの撮影用ルート及び所要時間を示す情報が含まれる。更に、撮影用ルート情報には、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードしたユーザに対して付与されるインセンティブの内容を示す情報が含まれる。データセンタ200は、このような撮影用ルート情報を車両100のナビゲーション装置120に送信することにより、ルート検索を行ったユーザに対して特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。データセンタ200は、複数の特定区間がある場合、複数の特定区間のうち、ルート検索が行われた車両100の現在の位置から取得した距離内にある特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。
【0020】
撮影用ルート情報を受信した車両100のナビゲーション装置120のディスプレイ130は、ルート案内情報として、撮影用ルートを示す情報と、特定区間を経由せずに目的地に到達するまでの通常ルートを示す情報とを表示する。更に、ディスプレイ130は、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードしたユーザに対して付与されるインセンティブの内容を表示する。
【0021】
図2には、ディスプレイ130に表示されるルート案内情報の一例を示す。図2に示すように、ルート案内情報には、特定区間(図2において斜線で示した区間)を経由しない通常ルート(第1ルート)を案内する情報と、特定区間を経由する撮影用ルート(第2ルート及び第3ルート)を案内する情報が含まれる。図2に示すように、ルート案内情報には、目的地に到達するまでの所要時間を示す情報がルート毎に示される。図2に示すように、ルート案内情報には、撮影用ルートを走行した場合と、通常ルートを走行した場合とにおける、目的地に到達するまでの所要時間の差を示す情報が含まれるようにしてもよい。図2に示すように、ルート案内情報には、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードした場合に付与されるインセンティブの内容を示す情報として、例えば、ユーザに進呈される走行ポイントを示す情報が含まれる。例えば、インセンティブとしての走行ポイントは、対象となるユーザが所有するクレジットカード等に付与されるポイントであるとよい。例えば、インセンティブは、ポイントに限らず、対象となるユーザに付与される景品や割引クーポンであってもよい。
【0022】
撮影用ルートを提案されたユーザが車両100のナビゲーション装置120により撮影用ルートを選択した場合、ナビゲーション装置120は、車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像を記憶装置に記憶させる。更に、車両100のナビゲーション装置120は、記憶装置に記憶させた映像が撮影された位置を特定可能な撮影位置情報を記憶装置に記憶させる。
【0023】
図3に示すように、車両100のナビゲーション装置120は、ドライブレコーダ110による特定区間の道路状況を示す映像の撮影が完了したと判定した場合、撮影された映像、及び撮影位置情報をデータセンタ200に送信する。これにより、撮影用ルートを提案されたユーザからデータセンタ200に、車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像、及び撮影位置情報がアップロードされる。車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像、及び撮影位置情報を受信したデータセンタ200は、映像をアップロードしたユーザにインセンティブを付与する。更に、データセンタ200は、インセンティブを付与したことを特定可能なインセンティブ情報を車両100のナビゲーション装置120に送信する。インセンティブ情報を受信した車両100のナビゲーション装置120は、ディスプレイ130にインセンティブ情報を表示する。
【0024】
以下、図4図6を参照して、データセンタ200において実行される処理の流れと、車両100において実行される処理の流れと、をより具体的に説明する。
<データセンタ200が実行する処理>
図4は、データセンタ200が撮影依頼者50から特定区間情報を受け付けた後、一定の周期で定期的に実行する処理の流れを示している。この一連の処理は、データセンタ200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、図3に示したデータセンタ200の処理に相当する。
【0025】
図4に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS100の処理において、検索情報を受信したか否かを判定する。処理装置210が受信する検索情報は、図3における車両100から受信する検索情報である。ステップS100の処理において、処理装置210が車両100から検索情報を受信したと判定した場合(ステップS100:YES)には、処理は、ステップS110へと進む。
【0026】
ステップS110の処理において、処理装置210は、ユーザにより設定された距離内に特定区間があるか否かを判定する。具体的に、処理装置210は、受信した検索情報に含まれる現在位置情報と設定情報が示す距離と特定区間情報とに基づいて、車両100の現在の位置から設定情報により示される距離内に特定区間全体が含まれているか否かを判定する。そして、処理装置210は、車両100の現在の位置から設定情報により示される距離内に特定区間全体が含まれている場合に、ユーザにより設定された距離内に特定区間があると判定する。処理装置210は、車両100の現在の位置から設定情報により示される距離内に特定区間の一部又は全体が含まれている場合に、ユーザにより設定された距離内に特定区間があると判定するようにしてもよい。処理装置210が、ユーザにより設定された距離内に特定区間があると判定した場合(ステップS110:YES)には、処理は、ステップS120へと進む。
【0027】
次に、ステップS120の処理において、処理装置210は、車両100のナビゲーション装置120に、撮影用ルート情報を送信する。また、処理装置210は、車両100のナビゲーション装置120に、車両100の現在の位置から、特定区間を経由せずに目的地に到達するまでの通常ルート及び所要時間を示す通常ルート情報も送信する。
【0028】
ステップS120の処理を実行して、撮影用ルート情報を送信すると、処理は、ステップS130へと進む。また、ステップS100の処理において、処理装置210が、車両100から検索情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS100:NO)には、処理装置210は、ステップS110及びステップS120の処理を実行しない。この場合、処理装置210は、ステップS110及びステップS120の処理を実行せずにステップS130の処理を実行する。また、ステップS110の処理において、処理装置210が、ユーザにより設定された距離内に特定区間があると判定しなかった場合(ステップS110:NO)には、処理装置210は、ステップS120の処理を実行しない。この場合、処理装置210は、ステップS120の処理を実行せずにステップS130の処理を実行する。ステップS110の処理において、処理装置210が、ユーザにより設定された距離内に特定区間があると判定しなかった場合、処理装置210は、通常ルート情報のみを送信する。
【0029】
次に、ステップS130の処理において、処理装置210は、特定区間の道路状況を示す映像及び特定区間の映像が撮影された撮影位置情報を受信したか否かを判定する。特定区間の道路状況を示す映像は、車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像であって、図3における車両100から受信する映像である。処理装置210が、特定区間の道路状況を示す映像及び映像が撮影された撮影位置情報を受信したと判定した場合(ステップS130:YES)には、処理は、ステップS140へと進む。
【0030】
次に、ステップS140の処理において、処理装置210は、車両100から受信した特定区間の道路状況を示す映像を撮影位置情報とともに記憶装置220に記憶させることにより、特定区間の道路状況を示す映像を更新する。
【0031】
次に、ステップS150の処理において、処理装置210は、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードしたユーザに対して、インセンティブを付与する。
次に、ステップS160の処理において、処理装置210は、車両100のナビゲーション装置120に、インセンティブを付与したことを特定可能なインセンティブ情報を送信する。
【0032】
こうしてステップS160の処理を通じてインセンティブ情報を車両100のナビゲーション装置120に送信すると、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。
ステップS130の処理において、処理装置210が、特定区間の道路状況を示す映像及び撮影位置情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS130:NO)には、処理装置210は、ステップS140~ステップS160処理を実行しない。このとき、処理装置210は、ステップS140~ステップS160の処理を実行せずにこの一連の処理を終了させる。つまり、車両100から特定区間の道路状況を示す映像及び撮影位置情報を受信していない場合、処理装置210は、ユーザにインセンティブを付与せずにこの一連の処理を終了させる。
【0033】
<ナビゲーション装置120が実行する処理>
図5は、車両100のナビゲーション装置120が、撮影用ルート情報を受信したときに一定の周期で定期的に実行する処理の流れを示している。この一連の処理は、図3に示した車両100の処理に相当する。
【0034】
図5に示すように、この一連の処理を開始すると、ナビゲーション装置120は、まずステップS230の処理において、データセンタ200から受信した撮影用ルート情報及び通常ルート情報に基づいて、ルート案内情報をディスプレイ130に表示させる。
【0035】
次に、ステップS240の処理において、ナビゲーション装置120は、撮影用ルートをユーザが選択したか否かを判定する。例えば、ナビゲーション装置120は、ルート案内情報がディスプレイ130に表示されている状況において、ナビゲーション装置120が備える入力装置により、ユーザが撮影用ルート又は通常ルートを選択できるように構成されているとよい。ステップS240の処理において、ナビゲーション装置120が、撮影用ルートをユーザが選択したと判定した場合(ステップS240:YES)には、処理は、ステップS250へと進む。
【0036】
次にステップS250の処理において、ナビゲーション装置120は、撮影用ルート走行中処理を実行する。撮影用ルート走行中処理は、車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像、及び撮影位置情報をナビゲーション装置120が記録するとともにデータセンタ200に送信するための処理である。撮影用ルート走行中処理について、詳細は後述する。
【0037】
ステップS250の撮影用ルート走行中処理を実行すると、処理は、ステップS260へと進む。
ステップS240の処理において、ナビゲーション装置120が、撮影用ルートをユーザが選択したと判定なかった場合(ステップS240:NO)、ナビゲーション装置120は、ステップS250の処理を実行せずにステップS260の処理を実行する。
【0038】
次に、ステップS260の処理において、ナビゲーション装置120は、インセンティブ情報を受信したか否かを判定する。インセンティブ情報は、図4におけるステップS160の処理において、データセンタ200の処理装置210が送信するインセンティブ情報である。ナビゲーション装置120が、インセンティブ情報を受信したと判定した場合(ステップS260:YES)には、処理は、ステップS270へと進む。
【0039】
次に、ステップS270の処理において、ナビゲーション装置120は、データセンタ200から受信したインセンティブ情報に基づいて、インセンティブ情報をディスプレイ130に表示させる。例えば、ナビゲーション装置120は、インセンティブとしてポイントが付与された場合には、インセンティブ情報として『ポイントが付与されました』という文字列をディスプレイ130に表示させる。ディスプレイ130に表示されるインセンティブ情報は、データセンタ200がユーザに対してインセンティブを付与したことを特定可能な情報であれば、これに限らない。
【0040】
こうしてステップS270の処理を通じてインセンティブ情報をディスプレイ130に表示させると、ナビゲーション装置120は、この一連の処理を終了させる。
ステップS260の処理において、ナビゲーション装置120が、インセンティブ情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS260:NO)には、ナビゲーション装置120は、ステップS270の処理を実行せずにこの一連の処理を終了させる。つまり、車両100からインセンティブ情報を受信していない場合、ナビゲーション装置120は、ディスプレイ130にインセンティブ情報を表示させずにこの一連の処理を終了させる。
【0041】
<ナビゲーション装置120が実行する撮影用ルート走行中処理>
図6は、車両100のナビゲーション装置120が実行する撮影用ルート走行中処理の流れを示している。この一連の処理は、図5に示したステップS250の処理に相当する。
【0042】
図6に示すように、この一連の処理を開始すると、ナビゲーション装置120は、まずステップS300の処理において、特定区間の走行を車両100が開始したか否かを判定する。具体的に、ナビゲーション装置120は、データセンタ200から受信する撮影用ルート情報と、衛星測位システムにより特定される車両100の現在の位置情報とに基づいて、特定区間の走行を車両100が開始したか否かを判定する。ナビゲーション装置120が、特定区間の走行を車両100が開始したと判定した場合(ステップS300:YES)には、処理は、ステップS310へと進む。
【0043】
次に、ステップS310の処理において、ナビゲーション装置120は、車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像、及び撮影位置情報をナビゲーション装置120の記憶装置に記憶させる。
【0044】
次に、ステップS320の処理において、ナビゲーション装置120は、特定区間の走行を車両100が終了したか否かを判定する。具体的に、ナビゲーション装置120は、データセンタ200から受信する撮影用ルート情報と、衛星測位システムにより特定される車両100の現在の位置情報とに基づいて、特定区間の走行を車両100が終了したか否かを判定する。ナビゲーション装置120が、特定区間の走行を車両100が終了したと判定した場合(ステップS320:YES)には、処理は、ステップS330へと進む。一方、ナビゲーション装置120が、特定区間の走行を車両100が終了したと判定しなかった場合(ステップS320:NO)には、処理は、ステップS310の処理へと戻る。つまり、ステップS320の処理において、ナビゲーション装置120が、特定区間の走行を車両100が終了したと判定するまで、ナビゲーション装置120は、ステップS310及びステップS320の処理を繰り返し実行する。
【0045】
ステップS330の処理において、ナビゲーション装置120は、ステップS310の処理において記憶装置に記憶させた映像及び撮影位置情報をデータセンタ200に送信する。データセンタ200に送信される映像は、車両100が特定区間を走行中に車両100のドライブレコーダ110により撮影された映像であって、図3においてデータセンタ200が車両100から受信する映像である。
【0046】
こうしてステップS330の処理を通じて、車両100が特定区間を走行中に記憶装置に記憶させた映像及び撮影位置情報をデータセンタ200に送信すると、ナビゲーション装置120は、この一連の処理を終了させる。
【0047】
ステップS300の処理において、ナビゲーション装置120が、特定区間の走行を車両100が開始したと判定しなかった場合(ステップS300:NO)には、ナビゲーション装置120は、ステップS310~ステップS330の処理を実行しない。この場合、ナビゲーション装置120は、ステップS310~ステップS330の処理を実行せずにこの一連の処理を終了させる。
【0048】
<実施形態の作用>
ナビゲーションシステム10において、データセンタ200の処理装置210は、図3の上段を参照して説明した処理を通じて、道路状況の撮影が依頼されている特定区間を特定可能な特定区間情報を受け付ける。
【0049】
そして、処理装置210は、図4を参照して説明した一連の処理におけるステップS100~ステップS120の処理を通じて、ナビゲーション装置120によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して撮影用ルートを提案する。撮影用ルートは、特定区間を経由するルートである。処理装置210は、ルート検索を行ったユーザに対して特定区間情報に基づいて撮影用ルートを提案する。
【0050】
そして、処理装置210は、図4を参照して説明した一連の処理におけるステップS130及びステップS140の処理を通じて、ユーザからアップロードされた映像を記憶装置220に記憶させる。ユーザからアップロードされた映像は、車両100が特定区間を走行中にドライブレコーダ110により撮影された特定区間の道路状況を示す映像である。処理装置210は、ユーザからアップロードされた映像を、映像が撮影された位置を特定可能な撮影位置情報とともに記憶装置220に記憶させる。
【0051】
そして、処理装置210は、図4を参照して説明した一連の処理におけるステップS150の処理を通じて、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードしたユーザに対して、インセンティブを付与する。
【0052】
このようにナビゲーションシステム10は、道路状況の撮影が依頼されている特定区間を特定可能な特定区間情報を受け付ける。その上で、ナビゲーション装置120によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して、特定区間情報に基づいて道路状況の撮影が依頼されている特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。そして、ナビゲーションシステム10は、車両100が特定区間を走行中にドライブレコーダ110により撮影された特定区間の道路状況を示す映像を、撮影位置情報とともに記憶装置220に記憶する。そして、ナビゲーションシステム10は、特定区間の道路状況をアップロードしたユーザに対してインセンティブを付与する。
【0053】
<本実施形態の効果>
(1)ナビゲーションシステム10のデータセンタ200は、ユーザからアップロードされた特定区間を走行中に撮影された特定区間の道路状況を示す映像を、撮影位置情報とともに記憶装置220に記憶させる。こうしてナビゲーションシステム10は、映像が特定区間の映像であることを撮影位置情報から特定した上で、特定区間における道路状況を示す映像を更新する。また、ナビゲーションシステム10は、ナビゲーション装置120によって目的地を設定してルート検索を行ったユーザに対して、道路状況の撮影が依頼されている特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。そのため、特定区間の映像が撮影されやすくなる。このように、このナビゲーションシステム10によれば、特定区間における最新の道路状況を示す映像が更新されやすくなる。これにより、走行が少ない区間であっても、道路状況を示す映像が更新されやすくなる。
【0054】
(2)ナビゲーションシステム10は、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードしたユーザに対してインセンティブを付与する。そのため、ナビゲーションシステム10は、特定区間の道路状況を示す映像をアップロードするようにユーザの意欲を高めることができる。
【0055】
(3)ナビゲーションシステム10は、ユーザに対して撮影用ルートを提案するとき、撮影用ルートと、特定区間を経由しない通常ルートとを示す。更に、ナビゲーションシステム10は、撮影用ルートを走行して特定区間の道路状況を示す映像をアップロードした場合に付与されるインセンティブの内容も示す。そのため、ユーザは、インセンティブの内容を考慮しつつ撮影用ルートと通常ルートを比較した上で、何れのルートを走行するかを検討することができる。
【0056】
(4)ナビゲーションシステム10は、ユーザに対して撮影用ルートを提案するとき、インセンティブの内容とともに、撮影用ルートを走行した場合と、通常ルートを走行した場合とにおける、目的地に到達するまでの所要時間の差を示す。そのため、ユーザは、インセンティブの内容に加えて、目的地に到達するまでの所要時間の差も考慮しつつ撮影用ルートと通常ルートを比較した上で、何れのルートを走行するかを検討することができる。
【0057】
(5)ナビゲーションシステム10は、ユーザに対して、ルート検索が行われた車両100の現在の位置から、ユーザが予め設定した距離内にある特定区間を経由する撮影用ルートを提案する。そのため、ユーザが設定した距離内にある特定区間を経由する撮影用ルートに絞って、ユーザに撮影用ルートを走行するか否かを検討させることができる。よって、ユーザに対して好適に撮影用ルートを提案することができる。
【0058】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・ユーザからアップロードされる映像は、特定区間を走行中にドライブレコーダ110が撮影した映像が含まれる映像であれば、撮影用ルートの全部の区間を走行中にドライブレコーダ110が撮影した映像であってもよい。この場合、車両100のナビゲーション装置120は、車両100が目的地に到達したときに撮影した映像及び撮影位置情報をデータセンタ200に送信するとよい。
【0060】
・処理装置210は、複数の特定区間を含む撮影用ルートがある場合、車両100の現在の位置から最も近い位置にある特定区間を含む撮影用ルートのみを、ルート検索を行ったユーザに対して提案するようにしてもよい。
【0061】
・上記のナビゲーションシステム10では、ユーザからデータセンタ200にアップロードされる映像は、ドライブレコーダ110により撮影された映像である。これに対し、ユーザからデータセンタ200にアップロードされる映像は、ドライブレコーダ110とは異なる撮影装置により撮影された映像であってもよい。ドライブレコーダ110とは異なる撮影装置としては、一例として、運転支援に用いる車載カメラがある。
【0062】
・処理装置210は、同一の特定区間の道路状況を示す映像が複数のユーザからアップロードされた場合、道路状況の撮影の依頼が取り下げられるまでに映像をアップロードしたすべてのユーザに対してインセンティブを付与するようにしてもよい。また、この場合、処理装置210は、最初に映像をアップロードしたユーザに対してのみインセンティブを付与するようにしてもよい。
【0063】
・また、処理装置210は、撮影用ルートを選択した最初のユーザに対してのみインセンティブを獲得する権利を与えるようにしてもよい。
・ナビゲーション装置120は、撮影用ルートと通常ルートとをディスプレイ130に表示する映像によって示す一方で、インセンティブの内容を音声により示すようにしてもよい。この場合、ナビゲーション装置120は、ディスプレイ130と音声を出力可能なスピーカとを備えているとよい。
【0064】
・ナビゲーション装置120は、インセンティブが付与されたとき、当該インセンティブが付与されたことを特定可能なインセンティブ情報を示さなくてもよい。
・ナビゲーション装置120は、ルート案内情報を表示する場合に、撮影用ルートを走行した場合と、通常ルートを走行した場合とにおける、目的地に到達するまでの距離の差をインセンティブの内容とともに示すようにしてもよい。
【0065】
・処理装置210は、複数の特定区間のうち、ルート検索が行われた車両100の現在の位置から目的地までのルート上の任意の地点から、ユーザがナビゲーション装置120に予め設定した距離内にある特定区間を経由する撮影用ルートを提案してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…ナビゲーションシステム、50…撮影依頼者、100…車両、110…ドライブレコーダ、120…ナビゲーション装置、130…ディスプレイ、200…データセンタ、210…処理装置、220…記憶装置、230…通信装置、300…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6