(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009259
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20250110BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112133
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】502002050
【氏名又は名称】株式会社ピューズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南出 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】網谷 幸大
(72)【発明者】
【氏名】中村 公大
(72)【発明者】
【氏名】畠中 優介
(72)【発明者】
【氏名】大矢 寛
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA11
3D235BB20
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC14
3D235CC22
3D235DD32
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH61
(57)【要約】
【課題】電気系統の作業を効率よく行うことができる作業車両を提供する。
【解決手段】本開示の作業車両は、車体と、前記車体に搭載されたモータと、前記モータに供給される電力を蓄積する電池を有する電池ユニットと、前記電池ユニットから出力される電力を分配するジャンクションボックスと、を備え、前記ジャンクションボックスは、前記電池ユニットの上に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に搭載されたモータと、
前記モータに供給される電力を蓄積する電池を有する電池ユニットと、
前記電池ユニットから出力される電力を分配するジャンクションボックスと、を備え、
前記ジャンクションボックスは、前記電池ユニットの上に配置されている、作業車両。
【請求項2】
前記車体に搭載された運転席と、
前記運転席を内部に有するキャビンと、
前輪及び後輪を有する走行装置と、を備え、
前記電池ユニットは、前記車体の車幅方向の外側において、前記前輪と前記後輪との間に配置され、
前記ジャンクションボックスは、前記キャビンの前に配置されている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
燃料の供給により、前記電池ユニットに蓄積する電力を発生する燃料電池と、
前記燃料を貯蔵するタンクと、
前記タンクが搭載される搭載フレームと、を備え、
前記搭載フレームは、前記キャビンの前において上下方向に延びる前フレーム部を有し、
前記ジャンクションボックスは、前記前フレーム部の後ろに配置されている、請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記ジャンクションボックスは、筐体と、電力が入力又は出力される複数のコネクタと、を有し、
前記筐体の後面は、前記キャビンとの間に隙間を形成して配置され、
前記複数のコネクタは、前記筐体の前記後面に設けられている、請求項2又は請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
燃料の供給により、前記電池ユニットに蓄積する電力を発生する燃料電池を備え、
前記複数のコネクタは、前記燃料電池で発生した電力が入力される燃料電池用コネクタを含む、請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
直流電力を交流電力に変換して当該交流電力を前記モータに出力するインバータを備え、
前記複数のコネクタは、前記インバータに電力を出力するインバータ用コネクタを含む、請求項4に記載の作業車両。
【請求項7】
直流電力を交流電力に変換して当該交流電力を前記モータに出力するインバータを備え、
前記複数のコネクタは、前記インバータに電力を出力するインバータ用コネクタを含み、
前記燃料電池用コネクタ及び前記インバータ用コネクタは、前記筐体の前記後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されている、請求項5に記載の作業車両。
【請求項8】
前記燃料電池用コネクタ及び前記インバータ用コネクタは、それぞれ対応するケーブルが接続される接続口を有し、
前記接続口は、前記筐体の車幅方向の内側に向かって開口している、請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記電池ユニットから入力される電力を降圧する第一電圧コンバータを備え、
前記複数のコネクタは、前記第一電圧コンバータに電力を出力する第一コネクタを含む、請求項4に記載の作業車両。
【請求項10】
前記電池ユニットから入力される電力を降圧する第二電圧コンバータを備え、
前記複数のコネクタは、前記第二電圧コンバータに電力を出力する第二コネクタを含み、
前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、前記筐体の前記後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されている、請求項9に記載の作業車両。
【請求項11】
前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、それぞれ対応するケーブルが接続される接続口を有し、
前記接続口は、前記筐体の車幅方向の内側に向かって開口している、請求項10に記載の作業車両。
【請求項12】
電装品を備え、
前記複数のコネクタは、前記電装品に電力を出力する電装品用コネクタを含む、請求項4に記載の作業車両。
【請求項13】
前記ジャンクションボックスは、電力経路を遮断するためのサービスプラグを有し、
前記サービスプラグは、前記筐体の前記後面に設けられている、請求項4に記載の作業車両。
【請求項14】
前記ジャンクションボックスは、ヒューズを有し、
前記筐体は、前面に開口が形成された本体部と、前記本体部に着脱可能に設けられ前記開口を塞ぐ前板部と、を有し、
前記ヒューズは、前記本体部内において前記開口から取り外し可能な位置に設けられている、請求項4に記載の作業車両。
【請求項15】
前記ジャンクションボックスは、前記複数のコネクタを覆うカバー部材を有する、請求項4に記載の作業車両。
【請求項16】
前記キャビンは、フロントガラスを有し、
前記複数のコネクタのうち少なくとも一のコネクタが、前記運転席から、前記フロントガラス越しに視認できる位置に配置されている、請求項4に記載の作業車両。
【請求項17】
前記キャビンは、サイドガラスを有し、
前記複数のコネクタのうち少なくとも一のコネクタが、前記運転席から、前記サイドガラス越しに視認できる位置に配置されている、請求項4に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動モータ、バッテリ、インバータ、電圧コンバータ、及び走行装置を備える電動トラクタが開示されている。インバータは、バッテリからの直流電力を交流電力に変換して電動モータへ供給する。電動モータに電力が供給されると、電動モータにより走行装置が駆動される。電圧コンバータは、弱電の電気機器に電力を供給するために、バッテリから送られる電力を降圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動トラクタは、電動モータ、インバータ、及び電圧コンバータなどに電力を供給するために、バッテリから出力される電力を分配するジャンクションボックスを備える必要がある。ジャンクションボックスは、電気系統の組立作業や保守作業を効率よく行える位置に配置されることが要望される。しかし、特許文献1では、電気系統の作業効率を考慮してジャンクションボックスを配置することは想定されていない。
本開示は、電気系統の作業を効率よく行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の作業車両は、車体と、前記車体に搭載されたモータと、前記モータに供給される電力を蓄積する電池を有する電池ユニットと、前記電池ユニットから出力される電力を分配するジャンクションボックスと、を備え、前記ジャンクションボックスは、前記電池ユニットの上に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、作業車両の電気系統の作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の作業車両の実施の一形態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す作業車両の側面図(右側面図)である。
【
図5】
図5は、
図1に示す作業車両の側面図(左側面図)である。
【
図8】
図8は、
図1に示す作業車両の一部を分解して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す作業車両の右側面図であり、ボンネット、カバー、タンクケースの一部を外した状態を示す。
【
図11】
図11は、ジャンクションボックスを車幅方向の外側かつ後ろから見た斜視図である。
【
図12】
図12は、ジャンクションボックスを車幅方向の内側かつ後ろから見た斜視図である。
【
図13】
図13は、ジャンクションボックスを車幅方向の外側かつ前から見た斜視図である。
【
図14】
図14は、キャビン内の運転席から、カバー部材を有しないジャンクションボックスを見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)実施形態に係る作業車両は、有する電池ユニットと、前記電池ユニットから出力される電力を分配するジャンクションボックスと、を備え、前記ジャンクションボックスは、前記電池ユニットの上に配置されている。
【0009】
上記作業車両によれば、電池ユニットから出力される電力を分配するジャンクションボックスは、電池ユニットの上に配置される。これにより、電池ユニットの近傍において、電力を分配するための作業などを行うことができる。したがって、電気系統の作業を効率よく行うことができる。
【0010】
(2)前記(1)に記載の作業車両は、前記車体に搭載された運転席と、前記運転席を内部に有するキャビンと、前輪及び後輪を有する走行装置と、を備え、前記電池ユニットは、前記車体の車幅方向の外側において、前記前輪と前記後輪との間に配置され、前記ジャンクションボックスは、前記キャビンの前に配置されているのが好ましい。
この場合、キャビンの前にジャンクションボックスが配置されるので、ジャンクションボックスを、キャビンと干渉することなく電池ユニットの上に配置することできる。
【0011】
(3)前記(2)に記載の作業車両は、燃料の供給により、前記電池ユニットに蓄積する電力を発生する燃料電池と、前記燃料を貯蔵するタンクと、前記タンクが搭載される搭載フレームと、を備え、前記搭載フレームは、前記キャビンの前において上下方向に延びる前フレーム部を有し、前記ジャンクションボックスは、前記前フレーム部の後ろに配置されているのが好ましい。
この場合、前フレーム部の後ろにジャンクションボックスが配置されるので、ジャンクションボックスを、前フレーム部と干渉することなく電池ユニットの上に配置することできる。
【0012】
(4)前記(2)又は(3)に記載の作業車両において、前記ジャンクションボックスは、筐体と、電力が入力又は出力される複数のコネクタと、を有し、前記筐体の後面は、前記キャビンとの間に隙間を形成して配置され、前記複数のコネクタは、前記筐体の前記後面に設けられているのが好ましい。
この場合、ジャンクションボックスの複数のコネクタは、筐体の後面とキャビンとの間に形成される隙間に配置される。これにより、前記隙間の車幅方向の外側から、複数のコネクタに容易にアクセスすることができる。
【0013】
(5)前記(4)に記載の作業車両は、燃料の供給により、前記電池ユニットに蓄積する電力を発生する燃料電池を備え、前記複数のコネクタは、前記燃料電池で発生した電力が入力される燃料電池用コネクタを含むのが好ましい。
この場合、筐体の後面に、燃料電池で発生した電力が入力される燃料電池用コネクタが設けられるので、燃料電池用コネクタに容易にアクセスすることができる。
【0014】
(6)前記(4)又は(5)に記載の作業車両は、直流電力を交流電力に変換して当該交流電力を前記モータに出力するインバータを備え、前記複数のコネクタは、前記インバータに電力を出力するインバータ用コネクタを含むのが好ましい。
この場合、筐体の後面に、インバータに電力を出力するインバータ用コネクタが設けられるので、インバータ用コネクタに容易にアクセスすることができる。
【0015】
(7)前記(5)に記載の作業車両は、直流電力を交流電力に変換して当該交流電力を前記モータに出力するインバータを備え、前記複数のコネクタは、前記インバータに電力を出力するインバータ用コネクタを含み、前記燃料電池用コネクタ及び前記インバータ用コネクタは、前記筐体の前記後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されているのが好ましい。
この場合、燃料電池用コネクタ及びインバータ用コネクタは、筐体の後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置される。これにより、燃料電池用コネクタに対するケーブルの着脱作業、及びインバータ用コネクタに対するケーブルの着脱作業が、互いに干渉するのを抑制することができる。その結果、電気系統の作業をさらに効率よく行うことができる。
【0016】
(8)前記(7)に記載の作業車両において、前記燃料電池用コネクタ及び前記インバータ用コネクタは、それぞれ対応するケーブルが接続される接続口を有し、前記接続口は、前記筐体の車幅方向の内側に向かって開口しているのが好ましい。
この場合、燃料電池用コネクタ及びインバータ用コネクタの各接続口には、ケーブルが筐体の車幅方向の内側から外側に向かって接続される。これにより、燃料電池用コネクタ及びインバータ用コネクタに対して、ケーブルを車両前後方向にコンパクトに接続することができる。
【0017】
(9)前記(4)から(8)のいずれかに記載の作業車両は、前記電池ユニットから入力される電力を降圧する第一電圧コンバータを備え、前記複数のコネクタは、前記第一電圧コンバータに電力を出力する第一コネクタを含むのが好ましい。
この場合、筐体の後面に、第一電圧コンバータに電力を出力する第一コネクタが設けられるので、第一コネクタに容易にアクセスすることができる。
【0018】
(10)前記(9)に記載の作業車両は、前記電池ユニットから入力される電力を降圧する第二電圧コンバータを備え、前記複数のコネクタは、前記第二電圧コンバータに電力を出力する第二コネクタを含み、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、前記筐体の前記後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されているのが好ましい。
この場合、第一コネクタ及び第二コネクタは、筐体の後面において、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置される。これにより、第一コネクタに対するケーブルの着脱作業、及び第二コネクタに対するケーブルの着脱作業が、互いに干渉するのを抑制することができる。その結果、電気系統の作業をさらに効率よく行うことができる。
【0019】
(11)前記(10)に記載の作業車両において、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、それぞれ対応するケーブルが接続される接続口を有し、前記接続口は、前記筐体の車幅方向の内側に向かって開口しているのが好ましい。
この場合、第一コネクタ及び第二コネクタの各接続口には、ケーブルが筐体の車幅方向の内側から外側に向かって接続される。これにより、第一コネクタ及び第二コネクタに対して、ケーブルを車両前後方向にコンパクトに接続することができる。
【0020】
(12)前記(4)から(11)のいずれかに記載の作業車両は、電装品を備え、前記複数のコネクタは、前記電装品に電力を出力する電装品用コネクタを含むのが好ましい。
この場合、筐体の後面に、電装品に電力を出力する電装品用コネクタが設けられるので、電装品用コネクタに容易にアクセスすることができる。
【0021】
(13)前記(4)から(12)のいずれかに記載の作業車両において、前記ジャンクションボックスは、電力経路を遮断するためのサービスプラグを有し、前記サービスプラグは、前記筐体の前記後面に設けられているのが好ましい。
この場合、ジャンクションボックスのサービスプラグは、筐体の後面とキャビンとの間に形成される隙間に配置される。これにより、前記隙間の車幅方向の外側から、サービスプラグに容易にアクセスすることができる。
【0022】
(14)前記(4)から(13)のいずれかに記載の作業車両において、前記ジャンクションボックスは、ヒューズを有し、前記筐体は、前面に開口が形成された本体部と、前記本体部に着脱可能に設けられ前記開口を塞ぐ前板部と、を有し、前記ヒューズは、前記本体部内において前記開口から取り外し可能な位置に設けられているのが好ましい。
この場合、筐体の本体部から前板部を取り外すことで、本体部内に設けられたヒューズを、本体部の前面の開口から取り外すことができる。これにより、ヒューズの交換作業を容易に行うことができる。
【0023】
(15)前記(4)から(14)のいずれかに記載の作業車両において、前記ジャンクションボックスは、前記複数のコネクタを覆うカバー部材を有するのが好ましい。
この場合、複数のコネクタがカバー部材で覆われるので、複数のコネクタが損傷するのを抑制することができる。
【0024】
(16)前記(4)から(14)のいずれかに記載の作業車両において、前記キャビンは、フロントガラスを有し、前記複数のコネクタのうち少なくとも一のコネクタが、前記運転席から、前記フロントガラス越しに視認できる位置に配置されているのが好ましい。
この場合、運転席に座る作業者は、キャビンのフロントガラス越しに、ジャンクションボックスのコネクタを容易に視認することができる。
【0025】
(17)前記(4)から(14)及び(16)のいずれかに記載の作業車両において、前記キャビンは、サイドガラスを有し、前記複数のコネクタのうち少なくとも一のコネクタが、前記運転席から、前記サイドガラス越しに視認できる位置に配置されているのが好ましい。
この場合、運転席に座る作業者は、キャビンのサイドガラス越しに、ジャンクションボックスのコネクタを容易に視認することができる。
【0026】
<実施形態の詳細>
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔作業車両の全体構成〕
図1は、本開示の作業車両の実施の一形態を示す斜視図である。
図2~
図7は、
図1に示す作業車両の正面図、背面図、側面図(右側面図)、側面図(左側面図)、平面図、及び底面図である。
本実施形態の作業車両10は、農作業に用いることが可能である車両であり、
図1に示す作業車両10は、トラクタである。作業車両は、トラクタに限定されない。例えば、本開示に係る作業車両は、トラクタ以外の農業機械、建設機械、ユーティリティビークルなどであってもよい。
【0027】
本開示の作業車両10の方向について定義する。作業車両10が前進する方向を前、作業車両10が後退する方向を後ろ、作業車両10が前方を向いて左側を左、作業車両10が前方を向いて右側を右と定義する。作業車両10の前後方向を車両前後方向と定義する。車両前後方向に直交する左右方向を車幅方向と定義する。車両前後方向及び車幅方向の双方に直交する方向を上下方向と定義する。上下方向は、高さ方向とも呼ばれる。
各図において、直交三次元座標が示されていて、前の方向を、矢印X1で示し、後ろの方向を、矢印X2で示す。左の方向を、矢印Y1で示し、右の方向を、矢印Y2で示す。上の方向を、矢印Z1で示し、下の方向を、矢印Z2で示す。
【0028】
図1に示す作業車両10は、車体11、車体11を走行可能に支持する走行装置12、運転席15、キャビン16、燃料を貯蔵するタンク13を有するタンクユニット21、及び、タンク13に貯蔵された燃料により駆動する駆動装置14を備える。前記燃料は水素であり、タンク13は、水素ガスを貯蔵する水素タンクである。本実施形態の作業車両10は、燃料電池車両(FCV;Fuel Cell Vehicle)であり、水素と酸素とを用いて燃料電池(燃料電池モジュール)24が発生する電力を用いて走行する。
【0029】
駆動装置14は、燃料電池24、電池ユニット30、及び電動のモータ31を有する。電池ユニット30は、燃料電池24が発生する電力を蓄積する電池300を有し、蓄電した電力を、モータ31に供給する。作業車両10は、水素ガス用の配管(水素配管)22、及び充填部25(
図3参照)を備える。充填部25は、作業車両10と別である水素ガス供給機(図示せず)の充填ノズルを接続する充填口(レセプタクル)26を有する。水素ガスは、充填口26から供給され、配管22(後ろ配管22r)を通じて、タンク13に供給される。タンク13の水素ガスは、配管22(前配管22f)を通じて、燃料電池24に供給される。
【0030】
作業車両10は(
図1参照)、搭載フレーム17と、支持フレーム37とを備える。搭載フレーム17は、車体11にタンクユニット21(タンク13)を搭載するためのフレームである。支持フレーム37は、電池ユニット30を車体11に支持させるためのフレームである。搭載フレーム17及び支持フレーム37の具体的構成については、後に説明する。作業車両10は(
図7参照)、排出経路35を備える。排出経路35は、燃料電池24の発電により発生した水又は水蒸気を外部に排出する。
【0031】
〔車体〕
車体11は、シャーシ41、ボンネット34、カバー111、及びフェンダ47を有する。フェンダ47は、後輪122を上から覆う。
シャーシ41は、走行装置12、駆動装置14、及びキャビン16を支持する。
図8は、
図1に示す作業車両10の一部を分解して示す斜視図である。シャーシ41は、車幅方向の中央に位置し、車両前後方向に長い形状を有する。シャーシ41は、シャーシ41の前部を構成する前フレーム32と、シャーシ41の後部を構成するギアケース33と、車幅方向に延びる第一横フレーム45及び第二横フレーム46と、を有する。
【0032】
前フレーム32、第一横フレーム45、及び第二横フレーム46は、金属製のフレーム材などを組み合わせて構成される。前フレーム32は、モータ31を搭載する。第一横フレーム45は、前輪121の後ろにおいて前フレーム32に固定されている。第二横フレーム46は、前輪121の前において前フレーム32に固定されている。第一横フレーム45及び第二横フレーム46それぞれの車幅方向の両端部は、前フレーム32よりも車幅方向の外側に延びている(
図7参照)。
【0033】
ギアケース33は、金属製の箱体を有して構成される。ギアケース33は、前フレーム32の後部と結合されていて、ギアケース33と前フレーム32とにより車体11の骨格が形成される。ギアケース33は、内部にトランスミッション、クラッチ、デファレンシャルギヤ等の動力伝達機構を有する。動力伝達機構は、モータ31の出力軸の回転を、減速又は増速し、走行装置12(前輪121及び後輪122の一方又は双方)に出力する。
【0034】
動力伝達機構は、モータ31の動力の一部を、PTO軸334(
図3参照)に出力する。PTO軸334は、ギアケース33の後部に設けられている出力軸である。作業車両10は、車体11の後ろに別機器を連結するための連結装置43を備える。PTO軸334は、連結装置43に連結された前記別機器にモータ31の動力を伝達する。前記別機器は、作業装置(図示せず)であり、インプルメントとも呼ばれる。作業装置は、モータ31の動力によって動作する。作業装置は、例えば、耕運機などである。
【0035】
図9は、作業車両10の右側面図であるが、ボンネット34、カバー111、及びタンクユニット21が有するタンクケース211の一部を外した状態を示す。車両前方から順に、第一ラジエータ48、燃料電池24、及び第二ラジエータ49が、この順で並んで、シャーシ41に搭載される。
図4及び
図9に示すように、ボンネット34、及びカバー111は、車体11の前寄りに位置する搭載品を覆う。ボンネット34は、燃料電池24及び第一ラジエータ48を、上から及び車幅方向の両側から覆う。カバー111は、燃料電池24の後ろに位置する第二ラジエータ49を、上から及び車幅方向の両側から覆う。
【0036】
第一ラジエータ48の上面48aは、燃料電池24の上面24aよりも低い。燃料電池24の上面24aは、第二ラジエータ49の上面49aよりも低い。
カバー111の上面111aは、ボンネット34の上面34aよりも高いが、運転席15に座る作業者が操舵のために操作するステアリング151の上端よりも低い。ボンネット34の上面34aは、前に向かうにしたがって低くなる。このため、運転席15に座る作業者にとって、視界が妨げられ難い。
【0037】
〔運転席及びキャビン〕
運転席15及びキャビン16は、シャーシ41の上であって後ろ寄りの位置に設けられている(
図1参照)。キャビン16は、運転席15及びステアリング151を内部に有する。
キャビン16は、運転席15よりも前に位置する前柱162と、運転席15よりも後ろに位置する後ろ柱163と、運転席15よりも上に位置するルーフ164とを有する。前柱162は、運転席15の左前及び右前に設けられている。後ろ柱163は、運転席15の左後ろ及び右後ろに設けられている。ルーフ164は、前柱162及び後ろ柱163によって支持される。
【0038】
キャビン16は、運転席15の前に位置する透明のフロントガラス165と、運転席15の左右両側に位置する透明のサイドガラス166と、を有する。フロントガラス165は、左右の前柱162の間に設けられている。サイドガラス166は、前柱162と後ろ柱163との間に設けられている。フロントガラス165及びサイドガラス166は、それぞれキャビン16の天井から床面までの全体にわたって設けられている。サイドガラス166は、開閉可能であり、作業者がキャビン16に出入りするドアとして機能する。
【0039】
キャビン16の車幅方向の一方側(左側)に、ステップ167が設けられている(
図5参照)。ステップ167は、キャビン16に乗降する作業者が足を掛ける部材である。
キャビン16の前に、カバー111及びボンネット34が設けられる。
図2及び
図6に示すように、カバー111及びボンネット34それぞれの車幅方向の寸法は、キャビン16の車幅方向の寸法よりも小さい。ボンネット34の車幅方向の寸法は、カバー111の車幅方向の寸法よりも小さい。
【0040】
本実施形態の作業車両10は、キャビン16を備えるが、キャビン16を備えていなくてもよい。作業車両10は、キャビン16の代わりに、キャノピやロプスを備えていてもよい。作業車両10がキャビン16を備えない場合、タンクユニット21は、搭載フレーム17に搭載されて運転席15の上方に位置する。
【0041】
〔走行装置12〕
走行装置12は、前輪121と後輪122とを有する(
図6参照)。前輪121は、車体11の前部の左右に設けられている。後輪122は、車体11の後部の左右に設けられている。左右の後輪122の車幅方向の最大寸法は、左右の前輪121の車幅方向の最大寸法よりも大きい。左右の後輪122の車幅方向の最大寸法が、作業車両10の最大車幅寸法となる。
前輪121及び後輪122のうちの一方又は双方が、モータ31の動力によって回転する。モータ31の動力により回転する前輪121及び後輪122のうちの一方又は双方(駆動輪)は、クローラ(無限軌道)であってもよい。
【0042】
〔駆動装置〕
前記のとおり、駆動装置14は、燃料電池24、電池ユニット30、及びモータ31を有して構成される。
燃料電池24は、車体11の前寄りにおいて、シャーシ41の上に位置する(
図9参照)。モータ31は、燃料電池24の後ろに位置する(
図8参照)。電池ユニット30は、車体11の車幅方向の外側において、前輪121と後輪122との間に配置される(
図1参照)。電池ユニット30の後部は、キャビン16の下方に配置され、電池ユニット30の前部は、キャビン16の前に配置される。
【0043】
燃料電池24は、電池ユニット30から供給される水素ガスを燃料として発電し、モータ31を回転させるための電力を得る。燃料電池24は、略矩形箱状の電池ケーシング241と、電池ケーシング241の内部に設けられている燃料電池スタック242とを有する。燃料電池スタック242は、複数の電池セルを有する。電池セルは、正極の電極と負極の電極とを有する。複数の電池セルは積層状態にある。電池セルそれぞれで発電した電力は、集約され、電池ユニット30に出力される。
【0044】
モータ31は、回転するロータと、複数のコイルを有するステータとを有する。モータ31の出力軸は、ギアケース33内の動力伝達機構に連結される(
図8参照)。モータ31は、燃料電池24の後ろで、かつ、第二ラジエータ49の下に位置する。
【0045】
電池ユニット30は、シャーシ41に取り付けられた支持フレーム37に搭載される(
図8参照)。支持フレーム37は、フレーム構造体であり、前輪121と後輪122との間に位置する。本実施形態の支持フレーム37は、シャーシ41から車幅方向の外側に延びる一対の固定フレーム部38と、車両前後方向に延びて両固定フレーム部38を連結する一対の載置フレーム部39とを有する。固定フレーム部38の車幅方向の内側端は、ギアケース33に固定されている。載置フレーム部39の上面は、電池ユニット30が載置される載置面39aである。電池ユニット30は、両載置フレーム部39の載置面39aに載置されることで、車体11の車幅方向の外側に配置される。
【0046】
〔タンクユニット〕
タンクユニット21は(
図9参照)、タンク13と、タンク13を収容するタンクケース211と、バルブユニット212とを有する。タンク13は、略円筒状の高圧容器である。タンク13は、炭素繊維又はガラス繊維により強化された繊維強化樹脂等によって構成される。本実施形態の場合、3つのタンク13が、その円筒部の軸方向を車幅方向に平行として、タンクケース211に固定されている。タンク13の数は、3つに限定されない。
【0047】
タンクケース211は、単数又は複数のタンク13を収容可能な箱体である。タンクケース211は、開閉扉213(
図1参照)を車幅方向の一方又は両方に有し、車幅方向で開口する。タンクケース211は、ルーフ164の上方において、ルーフ164と上下方向に間隔をあけて設置される。タンクケース211は、搭載フレーム17が有する上フレーム部171に固定される。タンクケース211は、アルミ又は鋼等の金属製であり、外部からの熱的及び物理的な影響に対して、タンク13を保護する。
【0048】
タンク13は、キャビン16(運転席15)の上方に配置される。このため、車体11における、燃料電池24、充填部25、モータ31、電池ユニット30の配置の自由度が高い。従来の内燃機関による作業車両を、本実施形態のような燃料電池24及びモータ31を有する作業車両10に改造する場合、各機器の配置構成を大幅に変更する必要がない。
【0049】
タンク13は、バルブユニット212(
図9参照)を介して後ろ配管22r及び前配管22fに連結される。後ろ配管22rは(
図3参照)、水素ガスの充填口26とバルブユニット212とを繋ぐガス導入管路であり、充填口26に導入される水素ガスをタンク13へ導く。前配管22fは(
図2参照)、燃料電池24とバルブユニット212とを繋ぐガス導出管路であり、タンク13内に貯蔵された水素ガスを燃料電池24へ導く。タンク13は、車両外部から充填口26に導入される水素ガスを貯蔵し、燃料電池24に供給する。バルブユニット212は、開閉弁や減圧弁などを有しており、タンク13に貯蔵された水素ガスを所定の流量に調整し、前配管22fを通じて燃料電池24に導出する。
【0050】
〔搭載フレーム〕
図1及び
図8に示すように、搭載フレーム17は、車体11にタンク13を搭載するためのフレーム構造体である。本実施形態の搭載フレーム17は、上フレーム部171、一対の前フレーム部172、後ろフレーム部173、及び一対の補強フレーム部175を有する。
上フレーム部171は、矩形枠状に形成され、キャビン16の上方に位置する。上フレーム部171に、タンクケース211が取り付けられている。つまり、上フレーム部171は、タンクケース211を介してタンク13を支持する。上フレーム部171は、前フレーム部172、後ろフレーム部173、及び補強フレーム部175により支持されている。
【0051】
一対の前フレーム部172は、キャビン16の前、かつ、車体11の車幅方向の外側において、上下方向に延びている。一対の前フレーム部172の上端は、上フレーム部171の前側の左右の角部にそれぞれ固定されている。一対の前フレーム部172の下端は、シャーシ41の第一横フレーム45における車幅方向の両端部にそれぞれ固定されている。
後ろフレーム部173は、キャビン16の後ろに位置している。後ろフレーム部173は、複数のフレーム材により格子状に構成されている。後ろフレーム部173の上端は、上フレーム部171の後側の左右の角部にそれぞれ固定されている。後ろフレーム部173の下端は、シャーシ41に固定されている。後ろフレーム部173には、充填部25が設けられている(
図3参照)。
【0052】
一対の補強フレーム部175は、走行中の作業車両10が停止したときに、上フレーム部171及びタンクケース211が前方へ移動しようとする慣性力を受け止めるための補強部材である。一対の補強フレーム部175は、前フレーム部172の前、かつ、ボンネット34の車幅方向の両側に位置する。一対の補強フレーム部175の上端は、上フレーム部171の前側の左右の角部にそれぞれ固定されている。一対の補強フレーム部175の下端は、シャーシ41の第二横フレーム46における車幅方向の両端部にそれぞれ固定されている(
図2参照)。
【0053】
〔インバータ及び電圧コンバータ〕
作業車両10は(
図5参照)、インバータ81、第一電圧コンバータ82、及び第二電圧コンバータ83を備える。インバータ81は、左の後輪122における車幅方向の内側の近傍に位置する。インバータ81は、シャーシ41に取り付けられている。
【0054】
第一電圧コンバータ82及び第二電圧コンバータ83は、インバータ81の車幅方向の内側、かつ、シャーシ41の車幅方向の外側に位置する。第一電圧コンバータ82及び第二電圧コンバータ83は、上下に並べられた状態でシャーシ41に取り付けられている。本実施形態の場合、第一電圧コンバータ82は上に位置し、第二電圧コンバータ83は下に位置する。第一電圧コンバータ82は、例えば12VのDC/DCコンバータである。第二電圧コンバータ83は、例えば24VのDC/DCコンバータである。
【0055】
〔ラジエータ〕
作業車両10は(
図4及び
図5参照)、燃料電池24、モータ31、インバータ81、電圧コンバータ82,83などを冷却液により冷却させる冷却システムを備える。前記冷却システムの一部として、作業車両10は、第一ラジエータ48と、第二ラジエータ49とを備える。
図9に示すように、第一ラジエータ48は、燃料電池24の前に位置し、第二ラジエータ49は、燃料電池24の後ろに位置する。
【0056】
第一ラジエータ48は、燃料電池24以外の機器を冷却するためのラジエータである。第二ラジエータ49は、燃料電池24を冷却するためのラジエータである。
第一ラジエータ48は、循環ポンプを有する第一冷却流路(図示せず)を介して、モータ31、インバータ81、及び電圧コンバータ82,83の冷却を要する電装品(発熱部品)に接続される。第一ラジエータ48は、前記第一冷却流路を通じて供給される冷却液を、外部空気との熱交換により冷却する。
第二ラジエータ49は、循環ポンプを有する第二冷却流路(図示せず)を介して、燃料電池24に接続される。第二ラジエータ49は、前記第二冷却流路を通じて供給される冷却液を、外部空気との熱交換により冷却する。
【0057】
第一ラジエータ48は、第一ファン481を有する。第二ラジエータ49は、第二ファン491を有する。第一ファン481及び第二ファン491は、回転することによって、第一ラジエータ48及び第二ラジエータ49に空気を通過させ、冷却液との熱交換を促進する。
【0058】
〔電池ユニット〕
電池ユニット30は、モータ31に供給する電力を蓄積する。電池ユニット30は(
図9参照)、電池(バッテリパック)300と、電池300を収容する電池筐体301とを有する。電池300は、燃料電池24が発生する電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をモータ31等の電機品に出力する。電池300は、複数の電池セルにより構成される。電池300は、リチウムイオン電池又は鉛蓄電池等の充放電型の二次電池である。電池筐体301は、車両前後方向に長い直方体形状である。電池筐体301の下面は、支持フレーム37の載置面39a(
図8参照)に載置された状態で固定されている。
【0059】
〔電気系統〕
作業車両10(
図9参照)は、ジャンクションボックス50を有する。ジャンクションボックス50は、電池ユニット30から出力される電力の中継接続及び分配を行うための電気接続箱である。
燃料電池24は、昇圧回路(図示せず)を介してインバータ81(
図5参照)に接続されている。電池ユニット30は、ジャンクションボックス50を通じて、インバータ81に接続されている。インバータ81は、モータ31と電気的に接続される。インバータ81は、昇圧回路から出力される直流電力を三相交流電力に変換して、当該三相交流電力をモータ31に出力する。
【0060】
電池ユニット30は、ジャンクションボックス50を通じて、第一電圧コンバータ82及び第二電圧コンバータ83にそれぞれ接続されている。第一電圧コンバータ82及び第二電圧コンバータ83は、電池ユニット30から入力される電力を降圧する降圧回路を構成する。
【0061】
作業車両10は、モータ31よりも低電圧で作動する弱電の電装品を備える。本実施形態の場合、弱電の電装品は、ラジエータ48,49、及び空調装置(図示せず)などである。弱電の電装品には、ジャンクションボックス50を通じて、降圧回路(電圧コンバータ82,83又は12Vバッテリ)により降圧された電力が供給される。
【0062】
〔ジャンクションボックス〕
ジャンクションボックス50(
図1、
図4、及び
図6参照)は、電池ユニット30の上に配置されている(
図4参照)。本実施形態のジャンクションボックス50は、電池ユニット30の上の前側において、キャビン16の前、かつ、前フレーム部172の後ろに配置されている。また、本実施形態のジャンクションボックス50は、ボンネット34の右後ろ、かつ、カバー111の右下側に配置されている。
【0063】
図10は、
図4のI-I矢視断面図である。
図10では、電池ユニット30内の断面構造を省略している。
図4及び
図10に示すように、電池ユニット30は、上記のように支持フレーム37に搭載された状態で、車体11の右側において第一横フレーム45(前フレーム部172)と後輪122との間に配置されている。電池ユニット30の一部30aは、キャビン16の底部168の右下に潜り込むように配置されている。電池ユニット30の他部30bは、キャビン16のサイドガラス166よりも右側に突出し(
図10参照)、かつ、キャビン16のフロントガラス165よりも前側に突出している(
図4参照)。
【0064】
ジャンクションボックス50は、電池ユニット30の上において、フロントガラス165よりも前側に突出している部分に載置されている。ジャンクションボックス50の車幅方向の寸法は、電池ユニット30の車幅方向の寸法と同一である。ジャンクションボックス50は、電池ユニット30の上において、電池ユニット30から車幅方向の両側に突出しないように載置されている。
【0065】
図10に示すように、ジャンクションボックス50の本体部52(後述)の上面52eは、キャビン16の底部168よりも高い位置に配置されている。ジャンクションボックス50の一部50aは、フロントガラス165の前面の右下部分と対向して配置されている。ジャンクションボックス50の他部50bは、サイドガラス166よりも右側に突出している。ジャンクションボックス50が配置された側のフロントガラス165、即ち、フロントガラス165の右側(右部)において、当該右部の下端部は、キャビン16の底部168に近接又はキャビン16の底部168に達している。また、ジャンクションボックス50が配置された側、即ち、右側のサイドガラス166において、右側のサイドガラス166の下端部は、キャビン16の底部168に近接又はキャビン16の底部168に達している。これによって、キャビン16の内部から、フロントガラス165、サイドガラス166を通じて、ジャンクションボックス50の複数のコネクタが視認し易くなっている。
【0066】
、
カバー111(
図1、
図4、及び
図6参照)は、キャビン16のフロントガラス165の前において、一対の前フレーム部172に配置されている。カバー111は、側面視において、前フレーム部172の上下方向の途中の高さ位置に配置されている。カバー111の右下端は、ジャンクションボックス50の上に配置されている。つまり、ジャンクションボックス50は、右側面視の上下方向において、カバー111と電池ユニット30との間に配置されている。
【0067】
、
ボンネット34は、カバー111の前において、車体11の上に配置されている。ボンネット34の右後端は、ジャンクションボックス50の前に配置されている。つまり、ジャンクションボックス50は、右側面視の車両前後方向において、キャビン16のフロントガラス165とボンネット34との間に配置されている。
【0068】
図11は、ジャンクションボックス50を車幅方向の外側かつ後ろから見た斜視図である。
図12は、ジャンクションボックス50を車幅方向の内側かつ後ろから見た斜視図である。ジャンクションボックス50は、筐体51と、複数のコネクタ54,55,56,57,58と、サービスプラグ59と、カバー部材60と、を有する。
図12では、カバー部材60、及び後述するケーブル85~89を取り外した状態を示している。
【0069】
図13は、ジャンクションボックス50を車幅方向の外側かつ前から見た斜視図である。ジャンクションボックス50の筐体51は、本体部52と、本体部52に対して着脱可能に設けられた前板部53とを有する。本体部52は、車幅方向に長い直方体形状である。
図11及び
図12に示すように、本体部52の車幅方向の寸法は、電池筐体301の車幅方向の寸法と略同一である。本体部52の車幅方向両側の側面52a,52bは、それぞれ電池筐体301の車幅方向両側の側面302,303と面一に配置されている。本体部52の後面52cと、キャビン16の前柱162との間には、隙間19が形成されている(
図4参照)。
【0070】
図13に示すように、本体部52の前面52dには、矩形状の開口52fが形成されている。前板部53は、複数のビス61によって、本体部52の前面52dに着脱可能に固定されている。前板部53は、本体部52の前面52dに固定された状態で、本体部52の開口52fを塞ぐ。前板部53の外面(前面)53aは、電池筐体301の前面304と面一に配置される(
図4参照)。
【0071】
本体部52には、リレー(図示省略)、バスバー(図示省略)、及びヒューズ71(
図13参照)などが収容されている。リレーは、電池ユニット30に電気的に接続される。バスバーは、インバータ81及び電圧コンバータ82,83に電気的に接続される。ヒューズ71は、燃料電池24、インバータ81、及び電圧コンバータ82,83に繋がる各電力経路に設けられている。ヒューズ71は、本体部52内において、開口52fから取り外し可能な位置に設けられている。本実施形態のヒューズ71は、本体部52内の上側に設けられている。
【0072】
各コネクタ54~58(
図11及び
図12参照)は、電力が入力又は出力される部材である。サービスプラグ59は、電池ユニット30に繋がる電力経路を遮断する部材である。各コネクタ54~58及びサービスプラグ59は、筐体51の後面52cに設けられている。各コネクタ54~58及びサービスプラグ59の詳細については、後に説明する。
【0073】
カバー部材60は、筐体51の本体部52の後ろに着脱可能に設けられている。カバー部材60は、コネクタ54~58及びサービスプラグ59を後ろから覆っている。本実施形態のカバー部材60は、矩形箱形状であり、本体部52の後面52c全体を覆っている。カバー部材60の車幅方向の内側には、開口60aが形成されている。
【0074】
〔コネクタ及びサービスプラグ〕
本実施形態のジャンクションボックス50(
図11及び
図12参照)は、複数のコネクタとして、燃料電池用コネクタ54、インバータ用コネクタ55、第一コネクタ56、第二コネクタ57、及び電装品用コネクタ58を有する。
【0075】
燃料電池用コネクタ54は、燃料電池24で発生した電力が入力されるコネクタである。燃料電池用コネクタ54は、ビス62により筐体51の後面52cに固定されている。燃料電池用コネクタ54は、ケーブル85の一端が接続される接続口54aを有する。接続口54aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。接続口54aに一端が接続されたケーブル85は、筐体51の後面52cに沿って車幅方向の内側に延び、カバー部材60の開口60aから引き出される。カバー部材60の開口60aから引き出されたケーブル85の他端は、燃料電池24に接続される。
【0076】
インバータ用コネクタ55は、インバータ81に電力を出力するコネクタである。インバータ用コネクタ55は、燃料電池用コネクタ54とほぼ同じ大きさである。インバータ用コネクタ55は、ビス63により筐体51の後面52cに固定されている。インバータ用コネクタ55は、ケーブル86の一端が接続される接続口55aを有する。接続口55aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。接続口55aに一端が接続されたケーブル86は、筐体51の後面52cに沿って車幅方向の内側に延び、カバー部材60の開口60aから引き出される。カバー部材60の開口60aから引き出されたケーブル86の他端は、インバータ81に接続される。
【0077】
燃料電池用コネクタ54は、筐体51の後面52cにおいて、車幅方向の外側、かつ、上下方向の中央部に配置されている。インバータ用コネクタ55は、筐体51の後面52cにおいて、燃料電池用コネクタ54に対して、車幅方向の外側かつ下側に配置されている。つまり、燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55は、筐体51の後面52cにおいて、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されている。
【0078】
第一コネクタ56は、第一電圧コンバータ82に電力を出力するコネクタである。第一コネクタ56は、燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55よりも小さい。第一コネクタ56は、ビス64により筐体51の後面52cに固定されている。第一コネクタ56は、ケーブル87の一端が接続される接続口56aを有する。接続口56aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。接続口56aに一端が接続されたケーブル87は、筐体51の後面52cに沿って車幅方向の内側に延び、カバー部材60の開口60aから引き出される。カバー部材60の開口60aから引き出されたケーブル87の他端は、第一電圧コンバータ82に接続される。
【0079】
第二コネクタ57は、第二電圧コンバータ83に電力を出力するコネクタである。第二コネクタ57は、第一コネクタ56と同じ大きさである。第二コネクタ57は、ビス65により筐体51の後面52cに固定されている。第二コネクタ57は、ケーブル88の一端が接続される接続口57aを有する。接続口57aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。接続口57aに一端が接続されたケーブル88は、筐体51の後面52cに沿って車幅方向の内側に延び、カバー部材60の開口60aから引き出される。カバー部材60の開口60aから引き出されたケーブル88の他端は、第二電圧コンバータ83に接続される。
【0080】
第二コネクタ57は、筐体51の後面52cにおいて、燃料電池用コネクタ54に対して、車幅方向の内側かつ上側に配置されている。つまり、燃料電池用コネクタ54及び第二コネクタ57は、筐体51の後面52cにおいて、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されている。
第一コネクタ56は、第二コネクタ57に対して、車幅方向の内側かつ上側に配置されている。つまり、第一コネクタ56及び第二コネクタ57は、筐体51の後面52cにおいて、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置されている。
【0081】
電装品用コネクタ58は、弱電の電装品に電力を出力するコネクタである。電装品用コネクタ58は、燃料電池用コネクタ54の上側に配置され、ビス66により筐体51の後面52cに固定されている。電装品用コネクタ58は、ケーブル(電力線)89の一端が接続される接続口58aを有する。接続口58aは、筐体51の後ろに向かって開口している。接続口58aに一端が接続されたケーブル89は、筐体51の後面52cに沿って車幅方向の内側に延び、カバー部材60の開口60aから引き出される。カバー部材60の開口60aから引き出されたケーブル89の他端は、弱電の電装品に接続される。
【0082】
サービスプラグ59は、筐体51の後ろ側において、車幅方向の外側かつ上側に設けられている。サービスプラグ59は、基体591と、基体591に対して着脱可能に取り付けられたプラグ592とを有する。基体591は、筐体51の本体部52内に配置され、ビス67により本体部52の内面(後面52cの反対側の面)に固定されている。プラグ592は、基体591に取り付けられた状態で、筐体51の後面52cよりも後ろに露出している。
【0083】
電池ユニット30に繋がる電力経路(配線)の一部は、サービスプラグ59の基体591内とプラグ592内を通過するように設けられている。基体591からプラグ592が取り外されると、前記電力経路が物理的に遮断される。これにより、作業者は、基体591からプラグ592を取り外して前記電力経路を遮断することで、保守作業などを安全に行うことができる。
【0084】
〔実施形態の作用効果〕
本実施形態の作業車両10によれば、電池ユニット30から出力される電力を分配するジャンクションボックス50は、電池ユニット30の上に配置される。これにより、電池ユニット30の近傍において、電力を分配するための作業などを行うことができる。したがって、電気系統の作業を効率よく行うことができる。
【0085】
ジャンクションボックス50は、キャビン16の前、かつ、搭載フレーム17の前フレーム部172の後ろに配置される。これにより、ジャンクションボックス50を、キャビン16及び前フレーム部172と干渉することなく電池ユニット30の上に配置することできる。
【0086】
ジャンクションボックス50の複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59は、筐体51の後面52cとキャビン16との間に形成される隙間19に配置される。これにより、隙間19の車幅方向の外側から、複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59に容易にアクセスすることができる。
【0087】
筐体51の後面52cには、燃料電池用コネクタ54が設けられる。これにより、隙間19の車幅方向の外側から、燃料電池用コネクタ54に容易にアクセスすることができる。したがって、ジャンクションボックス50において、燃料電池24と電池ユニット30との間で電力を中継接続するための作業を効率よく行うことができる。
【0088】
筐体51の後面52cには、インバータ用コネクタ55、第一コネクタ56、第二コネクタ57、及び電装品用コネクタ58が設けられる。これにより、隙間19の車幅方向の外側から、各コネクタ55~58に容易にアクセスすることができる。したがって、ジャンクションボックス50において、電池ユニット30からインバータ81、第一電圧コンバータ82、第二電圧コンバータ83、及び弱電の電装品に、それぞれ電力を分配するための作業を効率よく行うことができる。
【0089】
燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55は、筐体51の後面52cにおいて、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置される。これにより、燃料電池用コネクタ54に対するケーブル85の着脱作業、及びインバータ用コネクタ55に対するケーブル86の着脱作業が、互いに干渉するのを抑制することができる。その結果、電気系統の作業をさらに効率よく行うことができる。
【0090】
燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55の各接続口54a,55aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。このため、各接続口54a,55aには、ケーブル85,86が筐体51の車幅方向の内側から外側に向かって接続される。これにより、燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55に対して、ケーブル85,86を車両前後方向にコンパクトに接続することができる。
【0091】
第一コネクタ56及び第二コネクタ57は、筐体51の後面52cにおいて、上下方向にずれて配置され、かつ、車幅方向にずれて配置される。これにより、第一コネクタ56に対するケーブル87の着脱作業、及び第二コネクタ57に対するケーブル88の着脱作業が、互いに干渉するのを抑制することができる。その結果、電気系統の作業をさらに効率よく行うことができる。
【0092】
第一コネクタ56及び第二コネクタ57の各接続口56a,57aは、筐体51の車幅方向の内側に向かって開口している。このため、各接続口56a,57aには、ケーブル87,88が筐体51の車幅方向の内側から外側に向かって接続される。これにより、第一コネクタ56及び第二コネクタ57に対して、ケーブル87,88を車両前後方向にコンパクトに接続することができる。
【0093】
ヒューズ71は、ジャンクションボックス50の本体部52内において開口52fから取り外し可能な位置に設けられている。このため、本体部52から前板部53を取り外すことで、本体部52内に設けられたヒューズ71を、本体部52の前面52dの開口52fから取り外すことができる。これにより、ヒューズ71の交換作業を容易に行うことができる。
【0094】
複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59は、カバー部材60で覆われる。これにより、複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59が損傷するのを抑制することができる。
【0095】
〔ジャンクションボックスの変形例〕
ジャンクションボックス50(
図12参照)は、カバー部材60を有していなくてもよい。その場合、複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59は、筐体51の後面52cにおいて露出した状態となる。
図14は、キャビン16内の運転席15から、カバー部材60を有しないジャンクションボックス50を見た斜視図である。上記のように、キャビン16のフロントガラス165及びサイドガラス166は、キャビン16の天井から床面まで設けられている。このため、複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59のうち少なくとも一つは、運転席15から、キャビン16のフロントガラス165越し又はサイドガラス166越しに視認できる位置に配置されている。
【0096】
図14では、第一コネクタ56及び第二コネクタ57が、運転席15からフロントガラス165越しに視認できる位置に配置されている。また、電装品用コネクタ58及びサービスプラグ59が、運転席15からサイドガラス166越しに視認できる位置に配置されている。これにより、運転席15に座る作業者は、キャビン16のフロントガラス165越し又はサイドガラス166越しに、ジャンクションボックス50の各コネクタ56~58及びサービスプラグ59を容易に視認することができる。
【0097】
運転席15から視認できるコネクタ等は、
図14の場合に限定されない。例えば、燃料電池用コネクタ54及びインバータ用コネクタ55が、フロントガラス165越し又はサイドガラス166越しに視認できる位置に配置されてもよい。
【0098】
〔その他〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0099】
作業車両10は、電池ユニット30に蓄積された電力を用いて走行すればよく、燃料電池24を備えていなくてもよい。電池ユニット30は、その上に電池ユニット30を配置することができれば、上述の実施形態以外の位置に配置されてもよい。ジャンクションボックス50は、電池ユニット30の上に配置されていれば、上述の実施形態以外の位置に配置されてもよい。筐体51の後面52cにおける複数のコネクタ54~58及びサービスプラグ59の各配置は、上述の実施形態以外の位置に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 作業車両
11 車体
12 走行装置
13 タンク
14 駆動装置
15 運転席
16 キャビン
17 搭載フレーム
19 隙間
21 タンクユニット
22 配管
22f 前配管
22r 後ろ配管
24 燃料電池
24a 上面
25 充填部
26 充填口
30 電池ユニット
30a 一部
30b 他部
31 モータ
32 前フレーム
33 ギアケース
34 ボンネット
34a 上面
35 排出経路
37 支持フレーム
38 固定フレーム部
39 載置フレーム部
39a 載置面
41 シャーシ
43 連結装置
45 第一横フレーム
46 第二横フレーム
47 フェンダ
48 第一ラジエータ
48a 上面
49 第二ラジエータ
49a 上面
50 ジャンクションボックス
50a 一部
50b 他部
51 筐体
52 本体部
52a 側面
52b 側面
52c 後面
52d 前面
52e 上面
52f 開口
53 前板部
53a 外面
54 燃料電池用コネクタ(コネクタ)
54a 接続口
55 インバータ用コネクタ(コネクタ)
55a 接続口
56 第一コネクタ(コネクタ)
56a 接続口
57 第二コネクタ(コネクタ)
57a 接続口
58 電装品用コネクタ(コネクタ)
58a 接続口
59 サービスプラグ
60 カバー部材
60a 開口
61 ビス
62 ビス
63 ビス
64 ビス
65 ビス
66 ビス
67 ビス
71 ヒューズ
81 インバータ
82 第一電圧コンバータ
83 第二電圧コンバータ
85 ケーブル
86 ケーブル
87 ケーブル
88 ケーブル
89 ケーブル
111 カバー
121 前輪
122 後輪
151 ステアリング
162 前柱
163 後ろ柱
164 ルーフ
165 フロントガラス
166 サイドガラス
167 ステップ
168 底部
171 上フレーム部
172 前フレーム部
173 後ろフレーム部
175 補強フレーム部
211 タンクケース
212 バルブユニット
213 開閉扉
241 電池ケーシング
242 燃料電池スタック
300 電池
301 電池筐体
302 側面
303 側面
304 前面
334 PTO軸
481 第一ファン
491 第二ファン
591 基体
592 プラグ