(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009275
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 5/03 20060101AFI20250110BHJP
A45C 7/02 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
A45C5/03
A45C7/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112160
(22)【出願日】2023-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】500452329
【氏名又は名称】明昌工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江 錫洲
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA02
3B045CE07
3B045EB10
3B045FA06
3B045FB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグを提供する。
【解決手段】内層線ファスナーは第一テープおよび第二テープを有し、第一テープおよび第二テープはそれぞれ固定端部および務歯を有する。第一テープの固定端部は第一シェルの内側面に固定され、第二テープの固定端部は第二シェルの内側面に固定される。芯地部材は第一固定端部、第二固定端部および繋ぎ部位を有し、第一固定端部は第一シェルに固定さ、第二固定端部は第二シェルに固定される。繋ぎ部位は第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間に跨って内層線ファスナーを遮蔽するように配置される。第一テープの務歯と第二テープの務歯が分離する時の第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間の距離は第一テープの務歯と第二テープの務歯が噛み合う時の第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間の距離より大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シェル、第二シェル、第一環状ガード部材、第二環状ガード部材、内層線ファスナーおよび芯地部材を備え、
前記第一シェルは外側面、内側面および第一環状開口辺縁部を有し、
前記第二シェルは外側面、内側面および第二環状開口辺縁部を有し、
前記第一環状ガード部材は前記第一環状開口辺縁部に装着され、
前記第二環状ガード部材は前記第二環状開口辺縁部に装着され、
前記内層線ファスナーは第一テープおよび第二テープを有し、前記第一テープおよび前記第二テープはそれぞれ相対する固定端部および務歯を有し、前記第一テープの前記固定端部は前記第一シェルの前記内側面に直接固定されるか、前記第一環状ガード部材によって前記第一シェルの前記内側面に固定され、前記第二テープの前記固定端部は前記第二シェルの前記内側面に直接固定されるか、前記第二環状ガード部材によって前記第二シェルの前記内側面に固定され、前記第一テープの前記務歯と前記第二テープの前記務歯は噛み合ったり分離したりでき、
前記芯地部材は第一固定端部、第二固定端部および前記第一固定端部と前記第二固定端部との間に位置する繋ぎ部位を有し、前記第一固定端部は前記第一シェルに直接固定されるか、前記第一環状ガード部材によって前記第一シェルに固定され、前記第二固定端部は前記第二シェルに直接固定されるか、前記第二環状ガード部材によって前記第二シェルに固定され、前記繋ぎ部位は前記第一環状開口辺縁部と前記第二環状開口辺縁部との間に跨って前記内層線ファスナーを遮蔽するように配置され、
前記第一テープの前記務歯と前記第二テープの前記務歯が分離する時の前記第一環状開口辺縁部と前記第二環状開口辺縁部との間の距離は前記第一テープの前記務歯と前記第二テープの前記務歯が噛み合う時の前記第一環状開口辺縁部と前記第二環状開口辺縁部との間の距離より大きいことを特徴とする内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項2】
前記第一テープの前記固定端部は前記第一環状ガード部材によって前記第一シェルの前記内側面に間接的に固定され、前記第二テープの前記固定端部は前記第二環状ガード部材によって前記第二シェルの前記内側面に間接的に固定されることを特徴とする請求項1に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項3】
前記芯地部材の前記第一固定端部は前記第一環状ガード部材によって前記第一シェルの前記外側面に間接的に固定され、前記芯地部材の前記第二固定端部は前記第二環状ガード部材によって前記第二シェルの前記外側面に間接的に固定されることを特徴とする請求項2に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項4】
前記芯地部材の前記第一固定端部は前記第一環状ガード部材によって前記第一シェルの前記外側面または前記内側面に間接的に固定され、前記芯地部材の前記第二固定端部は前記第二環状ガード部材によって前記第二シェルの前記外側面または前記内側面に間接的に固定されることを特徴とする請求項1に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項5】
前記第一環状ガード部材は第一嵌合部および第一遮蔽部を有し、前記第一嵌合部は前記第一シェルの前記第一環状開口辺縁部に嵌合して固定され、前記第一遮蔽部は前記第一嵌合部から外側かつ前記第一シェルの前記外側面まで伸びて配置され、
前記第二環状ガード部材は第二嵌合部および第二遮蔽部を有し、前記第二嵌合部は前記第二シェルの前記第二環状開口辺縁部に嵌合して固定され、前記第二遮蔽部は前記第二嵌合部から外側かつ前記第二シェルの前記外側面まで伸びて配置され、
前記内層線ファスナーにおいて、前記第一テープの前記固定端部は前記第一嵌合部に固定され、前記第二テープの前記固定端部は前記第二嵌合部に固定され、
前記芯地部材において、前記第一固定端部は前記第一嵌合部に固定されたうえで前記第一遮蔽部によって遮蔽され、前記第二固定端部は前記第二嵌合部に固定されたうえで前記第二遮蔽部によって遮蔽されることを特徴とする請求項1に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項6】
前記第一嵌合部は第一基板、第一押さえ板および第一連結板を有し、前記第一押さえ板は前記第一基板に平行したうえで前記第一遮蔽部に連結され、前記第一連結板は前記第一基板および前記第一押さえ板の間に連結され、
前記内層線ファスナーの前記第一テープの前記固定端部は前記第一基板の内側面に固定され、
前記第一シェルの前記第一環状開口辺縁部は前記第一基板および前記第一押さえ板の間に嵌まり込んで固定され、
前記第二嵌合部は第二基板、第二押さえ板および第二連結板を有し、前記第二押さえ板は前記第二基板に平行したうえで前記第二遮蔽部に連結され、前記第二連結板は前記第二基板および前記第二押さえ板の間に連結され、
前記内層線ファスナーの前記第二テープの前記固定端部は前記第二基板の内側面に固定され、
前記第二シェルの前記第二環状開口辺縁部は前記第二基板および前記第二押さえ板の間に嵌まり込んで固定されることを特徴とする請求項5に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項7】
前記芯地部材は第一芯地および第二芯地を有し、前記第一芯地および前記第二芯地はそれぞれ外側面および内側面を有し、前記第一芯地は前記芯地部材の相対する前記第一固定端部および第一連結端部を有し、前記第二芯地は前記芯地部材の相対する前記第二固定端部および第二連結端部を有し、前記第一連結端部および前記第二連結端部の互いの外側面が相互に密着することによって連結されることを特徴とする請求項6に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項8】
前記内層線ファスナーの前記第一テープの前記務歯と前記第二テープの前記務歯が噛み合う際、前記芯地部材の前記第一芯地は前記第一嵌合部の前記第一連結板に密着し、前記第一芯地の前記第一連結端部と前記第二芯地の前記第二連結端部は前記第一嵌合部の前記第一基板の前記内側面と前記内層線ファスナーの前記第一テープの前記外側面との間に折り畳まれて収納されることを特徴とする請求項7に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【請求項9】
前記芯地部材は第一芯地および第二芯地を有し、前記第一芯地および前記第二芯地はそれぞれ外側面および内側面を有し、前記第一芯地は前記芯地部材の相対する前記第一固定端部および第一連結端部を有し、前記第二芯地は前記芯地部材の相対する前記第二固定端部および第二連結端部を有し、前記第一連結端部および前記第二連結端部は互いの外側面が相互に密着することによって連結されることを特徴とする請求項5に記載の内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張機能付きキャリーバッグに関し、詳しくは内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販のキャリーバッグは機能によって種類が様々である。キャリーバッグの内部の荷物を破損させることを避けるならば、耐衝撃のキャリーバッグが推奨される。収納量に応じて収納空間が増大できるならば、拡張機能付きキャリーバッグが推奨される。
【0003】
現有の拡張機能付きキャリーバッグは二つの外部に露出する線ファスナーを有する。一つの線ファスナーはキャリーバッグの二つのシェルまたはフロントシェルを開閉するための線ファスナーである。別の一つの線ファスナーはキャリーバッグの収納空間を拡張するための線ファスナーである。また、キャリーバッグの外部に露出する線ファスナーを他人が勝手に開けることを防止するために、線ファスナーにロックを搭載することが一般的である。しかし、雨の日または湿気の高い環境下でキャリーバッグを使う際、水気が線ファスナーの左右の務歯同士の間からキャリーバッグの収納空間に浸入すれば、収納空間内の荷物は湿気を吸収し、使えなくなる可能性がある。また、線ファスナーが外部に露出するキャリーバッグは見た目が比較的複雑で綺麗ではないため、現有のキャリーバッグには改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した欠点に鑑み、収納空間を拡張するための線ファスナーがキャリーバッグの内層に配置してあり、収容空間の拡張に応じるための構造に防盗および防水の保護機能が配置してあり、見た目が簡素である拡張機能付きキャリーバッグを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグは第一シェル、第二シェル、第一環状ガード部材、第二環状ガード部材、内層線ファスナーおよび芯地部材を備える。第一シェルは外側面、内側面および第一環状開口辺縁部を有する。第二シェルは外側面、内側面および第二環状開口辺縁部を有する。第一環状ガード部材は第一環状開口辺縁部に装着される。第二環状ガード部材は第二環状開口辺縁部に装着される。内層線ファスナーは第一テープおよび第二テープを有する。第一テープおよび第二テープはそれぞれ固定端部および務歯を有する。第一テープの固定端部は第一シェルの内側面に直接固定されるか、第一環状ガード部材によって第一シェルの内側面に固定される。第二テープの固定端部は第二シェルの内側面に直接固定されるか、第二環状ガード部材によって第二シェルの内側面に固定される。第一テープの務歯と第二テープの務歯は噛み合ったり分離したりできる。芯地部材は第一固定端部、第二固定端部および第一固定端部と第二固定端部との間に位置する繋ぎ部位を有する。第一固定端部は第一シェルに直接固定されるか、第一環状ガード部材によって第一シェルに固定される。第二固定端部は第二シェルに直接固定されるか、第二環状ガード部材によって第二シェルに固定される。繋ぎ部位は第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間に跨って内層線ファスナーを遮蔽するように配置される。第一テープの務歯と第二テープの務歯が分離する時の第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間の距離は第一テープの務歯と第二テープの務歯が噛み合う時の第一環状開口辺縁部と第二環状開口辺縁部との間の距離より大きい。
【0006】
上述した構造特徴により、内層線ファスナーは拡張機能付きキャリーバッグの内部に装着されたうえで第一環状ガード部材、第二環状ガード部材および芯地部材によって遮蔽および保護されるため、拡張機能付きキャリーバッグは収容空間拡張の機能を有する。また内層線ファスナーは露出しないため、拡張機能付きキャリーバッグの外部から内層線ファスナーを開けることができないだけでなく、拡張機能付きキャリーバッグの見た目の簡素化を実現させることができる。
【0007】
比較的好ましい場合、第一テープの固定端部は第一環状ガード部材によって第一シェルの内側面に間接的に固定される。第二テープの固定端部は第二環状ガード部材によって第二シェルの内側面に間接的に固定される。上述した構造特徴により、内層線ファスナーの第一テープおよび第二テープが損壊する際、第一環状ガード部材および第二環状ガード部材から第一テープおよび第二テープを取り外し、交換すればよい。ミシン縫いまたは別の固定方式によって第一環状ガード部材および第一テープを第一シェルに固定し、第二環状ガード部材および第二テープを第二シェルに固定すれば、組立作業の効率を向上させることができる。
【0008】
比較的好ましい場合、芯地部材の第一固定端部は第一環状ガード部材によって第一シェルの外側面に間接的に固定される。芯地部材の第二固定端部は第二環状ガード部材によって第二シェルの外側面に間接的に固定される。上述した構造特徴により、芯地部材が破損する際、第一環状ガード部材から第一固定端部、第二環状ガード部材から第二固定端部を分離させれば、芯地部材を交換することができる。
【0009】
比較的好ましい場合、芯地部材の第一固定端部は第一環状ガード部材によって第一シェルの外側面または内側面に間接的に固定される。芯地部材の第二固定端部は第二環状ガード部材によって第二シェルの外側面または内側面に間接的に固定される。上述した構造特徴により、芯地部材が破損する際、第一環状ガード部材から第一固定端部、第二環状ガード部材から第二固定端部を分離させれば、芯地部材を交換することができる。またミシン縫いまたは別の固定方式によって芯地部材の第一固定端部および第二固定端部を第一環状ガード部材および第二環状ガード部材に別々に固定し、第一環状ガード部材および第二環状ガード部材を第一シェルおよび第二シェルに別々に固定すれば、組立作業の効率を向上させることができる。
【0010】
比較的好ましい場合、第一環状ガード部材は第一嵌合部および第一遮蔽部を有する。第一嵌合部は第一シェルの第一環状開口辺縁部に嵌合して固定される。第一遮蔽部は第一嵌合部から外側かつ第一シェルの外側面まで伸びて配置される。第二環状ガード部材は第二嵌合部および第二遮蔽部を有する。第二嵌合部は第二シェルの第二環状開口辺縁部に嵌合して固定される。第二遮蔽部は第二嵌合部から外側かつ第二シェルの外側面まで伸びて配置される。内層線ファスナーは第一テープの固定端部が第一嵌合部に固定され、第二テープの固定端部が第二嵌合部に固定される。芯地部材の第一固定端部は第一嵌合部に固定されたうえで第一遮蔽部によって遮蔽される。芯地部材の第二固定端部は第二嵌合部に固定されたうえで第二遮蔽部によって遮蔽される。上述した構造特徴により、第一環状開口辺縁部に第一嵌合部が嵌合し、第二環状開口辺縁部に第二嵌合部が嵌合したうえで第一環状ガード部材および第二環状ガード部材が破損する際、第一環状開口辺縁部から第一環状ガード部材、第二環状開口辺縁部から第二環状ガード部材をとりはずし、交換すればよい。第一遮蔽部および第二遮蔽部は芯地部材の第一固定端部および第二固定端部と第一嵌合部および第二嵌合部の接合箇所を遮蔽し、芯地部材を保護することができる。
【0011】
比較的好ましい場合、第一嵌合部は第一基板、第一押さえ板および第一連結板を有する。第一押さえ板は第一基板に平行したうえで第一遮蔽部に連結される。第一連結板は第一基板および第一押さえ板の間に連結される。内層線ファスナーの第一テープの固定端部は第一基板の内側面に固定される。第一環状開口辺縁部は第一基板および第一押さえ板の間に嵌まり込んで固定される。第二嵌合部は第二基板、第二押さえ板および第二連結板を有する。第二押さえ板は第二基板に平行したうえで第二遮蔽部に連結される。第二連結板は第二基板および第二押さえ板の間に連結される。内層線ファスナーの第二テープの固定端部は第二基板の内側面に固定される。第二環状開口辺縁部は第二基板および第二押さえ板の間に嵌まり込んで固定される。上述した構造特徴により、第一嵌合部、第二嵌合部、第一環状ガード部材および第二嵌合部材の着脱作業を進める際の利便性をはかることができるだけでなく、内層線ファスナーの第一テープの固定端部を第一嵌合部の第一基板の内側面、内層線ファスナーの第二テープの固定端部を第二嵌合部の第二基板の内側面にしっかり固定することができる。
【0012】
比較的好ましい場合、芯地部材は第一芯地および第二芯地を有する。第一芯地および第二芯地はそれぞれ外側面および内側面を有する。第一芯地は芯地部材の相対する第一固定端部および第一連結端部を有する。第二芯地は芯地部材の相対する第二固定端部および第二連結端部を有する。第一連結端部の外側面および第二連結端部の外側面は相互に密着して第一連結端部および第二連結端部を連結する。上述した構造特徴により、芯地部材を畳んで収納する際、第一芯地の外側面は第二芯地の外側面に重なって安定する。
【0013】
比較的好ましい場合、内層線ファスナーの第一テープの務歯と第二テープの務歯が噛み合う際、芯地部材の第一芯地は第一嵌合部の第一連結板に密着する。第一芯地の第一連結端部と第二芯地の第二連結端部は第一嵌合部の第一基板の内側面と内層線ファスナーの第一テープの外側面との間に折り畳まれて収納される。つまり、所定の空間に芯地部材を折り畳んで収納することができる。
【0014】
本発明による内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグにおいて収容空間が拡張された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1内のA-A線に沿って切断して表示する平面図である。
【
図4】
図1内のA-A線に沿って切断して表示する斜視図である。
【
図5】
図2内のB-B線に沿って切断して表示する平面図である。
【
図6】
図2内のB-B線に沿って切断して表示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグを図面に基づいて説明する。なお、明細書において、本発明およびその応用範囲は材料および形、配置方式および部品の数に関わる記載、技術用語および方向性用語に限定されるものではない。上下、左右、頂部、底部、内側、外側などの方向性用語は通常使用する方向に基づいて表現される。
【0017】
(一実施形態)
図1から
図3に示すように、本発明の一実施形態による内層線ファスナーを有する拡張機能付きキャリーバッグ1は第一シェル10、第二シェル20、第一環状ガード部材30、第二環状ガード部材40、内層線ファスナー50および芯地部材60を備える。
【0018】
第一シェル10は相対する外側面101および内側面102と、第一環状開口辺縁部10aとを有する。第一環状開口辺縁部10aは第一シェル10から定義される。第二シェル20は相対する外側面201および内側面202と、第二環状開口辺縁部20aとを有する。第二環状開口辺縁部20aは第二シェル20から定義される。
【0019】
図3から
図6に示すように、第一環状ガード部材30はプラスチックで一体成型され、第一嵌合部32および第一遮蔽部34を有する。第一遮蔽部34は第一嵌合部32から外側かつ第一シェル10の外側面101まで伸びて配置される。詳しく言えば、第一嵌合部32は第一基板32a、第一押さえ板32bおよび第一連結板32cを有する。第一押さえ板32bは第一基板32aに平行したうえで第一遮蔽部34に連結される。第一連結板32cは第一基板32aおよび第一押さえ板32bの間に連結される。第二環状ガード部材40はプラスチックで一体成型され、第二嵌合部42および第二遮蔽部44を有する。第二遮蔽部44は第二嵌合部42から外側かつ第二シェル20の外側面201まで伸びて配置される。詳しく言えば、第二嵌合部42は第二基板42a、第二押さえ板42bおよび第二連結板42cを有する。第二押さえ板42bは第二基板42aに平行したうえで第二遮蔽部44に連結される。第二連結板42cは第二基板42aおよび第二押さえ板42bの間に連結される。
【0020】
内層線ファスナー50は第一テープ52、第二テープ54およびスライダー(す中未表示)から構成される。第一テープ52は相対する固定端部52aおよび務歯52bを有する。第二テープ54は相対する固定端部54aおよび務歯54bを有する。スライダーは第一テープ52の務歯52bと第二テープ54の務歯54bとの間に装着される。務歯52bと務歯54bはスライダーの作動によって噛み合ったり、分離したりする。
【0021】
芯地部材60は第一芯地62および第二芯地64から構成される。第一芯地62は外側面621および内側面622を有する。第二芯地64は外側面641および内側面642を有する。詳しく言えば、第一芯地62は相対する第一固定端部62aおよび第一連結端部62bを有する。第二芯地64は相対する第二固定端部64aおよび第二連結端部64bを有する。第一連結端部62bの外側面621および第二連結端部64bの外側面641は相互に密着して第一連結端部62bおよび第二連結端部64bを連結する。芯地部材60はさらに繋ぎ部位66を有する。繋ぎ部位66は第一芯地62の第一固定端部62aと第二芯地64の第二固定端部64aとの間に位置する。取付作業を進める際、第一芯地62の第一固定端部62aは第一嵌合部32の第一押さえ板32bの外側面にミシン縫いで固定され、第一遮蔽部34によって遮蔽される。第二芯地64の第二固定端部64aは第二嵌合部42の第二押さえ板42bの外側面にミシン縫いで固定され、第二遮蔽部44によって遮蔽される。第一芯地62の第一固定端部62aと第一嵌合部32の第一押さえ板32bの固定方式および、第二芯地64の第二固定端部64aと第二嵌合部42の第二押さえ板34bの固定方式は本実施形態に限定されず、接着部材、ボタンまたは別の締結方式を採用してもよい。
【0022】
図3および
図4に示すように、本実施形態において、第一環状ガード部材30は第一シェル10の第一環状開口辺縁部10aに装着される。詳しく言えば、第一環状開口辺縁部10aは第一嵌合部32の第一基板32aおよび第一押さえ板32bの間に嵌まり込んで固定される。内層線ファスナー50の第一テープ52の固定端部52aおよび第一環状ガード部材30の第一基板32aはミシン縫いで第一シェル10の第一環状開口辺縁部10aにまとめて固定される。このとき第一環状開口辺縁部10aは第一基板32aの外側面32a1に密着する。内層線ファスナー50の第一テープ52の固定端部52aは第一基板32aの内側面32a2に密着する。言い換えれば、本実施形態において、内層線ファスナー50の第一テープ52の固定端部52aは第一環状ガード部材30によって第一シェル10の内側面102に固定されるため、内層線ファスナー50の第一テープ52は第一シェル10の内部に位置する。しかし、本実施形態は第一環状ガード部材30と内層線ファスナー50の第一テープ52を第一シェル10に固定する方式に限定されず、内層線ファスナー50の第一テープ52の固定端部52aを第一シェル10の内側面102に直接固定する方式を採用してもよい。また第一環状ガード部材30によって第一環状開口辺縁部10aに第一嵌合部32の着脱作業をスムーズに行うことができる。詳しく言えば、第一環状ガード部材30または内層線ファスナー50の第一テープ52が破損する際、第一環状開口辺縁部10aから第一環状ガード部材30を取り外すか、内層線ファスナー50の第一テープ52を第一環状ガード部材30から取り外せば、交換作業を進めることができる。第一環状ガード部材30および第二環状ガード部材40は対称的に配置される。つまり、図に示すように、第一環状ガード部材30と第一環状開口辺縁部10aの相対的位置関係と、第一環状ガード部材30、第一シェル10および内層線ファスナー50の第一テープ52の組立性とは第二環状ガード部材40と第二環状開口辺縁部20aの相対的位置関係と、第二環状ガード部材40、第二シェル20および内層線ファスナー50の第二テープ54の組立性と対称的である。
【0023】
図3から
図6に示すように、組立作業が完了した後、芯地部材60の繋ぎ部位66は第一環状開口辺縁部10aと第二環状開口辺縁部20aとの間に跨って内層線ファスナー50を遮蔽するように配置される。内層線ファスナー50のスライダーの作動によって第一テープ52の務歯52bと第二テープ54の務歯54bが分離し、拡張状態(
図6参照)を維持する際、第一環状開口辺縁部10aと第二環状開口辺縁部20aとの間の距離D2は第一テープ52の務歯52bと第二テープ54の務歯54bが噛み合って収納状態(
図4参照)を維持する際の第一環状開口辺縁部10aと第二環状開口辺縁部20aとの間の距離D1より大きい。つまり、内層線ファスナー50のスライダーの作動によって芯地部材60を広げたり、折り畳んだりすれば、拡張機能付きキャリーバッグ1の収納空間を拡張したり、元の状態に戻したりすることができる。
【0024】
本実施形態において、拡張機能付きキャリーバッグ1はさらにフロント蓋またはフロントポケット(図中未表示)を有する。フロント蓋またはフロントポケットを開けて拡張機能付きキャリーバッグ1の内部の内層線ファスナー50のスライダーを引っ張って拡張機能付きキャリーバッグ1を元の状態(
図3および
図4参照)から拡張状態(
図5および
図6参照)に維持することができる。フロント蓋およびフロントポケットの構造は先行技術(例えば台湾実用新案登録M559646号公報)により公開されているため、詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態において、芯地部材60は二つのユニット、即ち第一芯地62および第二芯地64から構成される。第一芯地62および第二芯地64は相互に密着する第一連結端部62bの外側面621および第二連結端部64bの外側面641がミシン縫いで纏まることによって相互に連結される。上述した構造特徴により、内層線ファスナー50のスライダーを引っ張って第一テープ52の務歯52bと第二テープ54の務歯54bを噛み合わせれば、芯地部材60の繋ぎ部位66が折り畳まれる、即ち第一芯地62の外側面621が第二芯地64の外側面641に重なる。続いて、
図3および
図4に示すように、第一嵌合部32の第一基板32aの内側面32a2および内層線ファスナー50の第一テープ52の外側面との間に芯地部材60の折り畳んだ部位を嵌め込めば、芯地部材60の全体は折り畳まれ、第一遮蔽部34および第二遮蔽部44によって遮蔽される。芯地部材60は構造が本実施形態に限定されず、単一構造であっても二つのユニットからなる芯地部材60と同じ機能を果たすこともできる。単一構造の芯地部材と比べて、二つのユニットからなる芯地部材60は折り畳みやすいだけでなく、別のユニットと組み合わせる際の利便性が比較的高い。
【0026】
本実施形態において、芯地部材60、第一環状ガード部材30および第二環状ガード部材40によって遮蔽および保護される内層線ファスナー50の第一テープ52および第二テープ54は防水性のある材料から製造されるため、雨の日または湿気の高い環境下で水気が内層線ファスナー50の第一テープ52の務歯52bおよび第二テープ54の務歯54bの間から拡張機能付きキャリーバッグ1の内部に浸入することがない。つまり、拡張機能付きキャリーバッグ1の内部の荷物は湿気を吸収し、使えなくなる可能性がない。
【0027】
上述をまとめてみると、本発明による拡張機能付きキャリーバッグ1において、内層線ファスナー50は拡張機能付きキャリーバッグ1の第一シェル10および第二シェル20の内部に装着され、第一環状ガード部材30、第二環状ガード部材40および芯地部材60によって遮蔽および保護されるため、収納空間を拡張する機能を果たすことができる。また、内層線ファスナー50は外部に露出せず、拡張機能付きキャリーバッグ1の外部から開けることができないため、防盗および防水の保護機能を果たし、拡張機能付きキャリーバッグ1の見た目の簡素化を実現させることができる。
【0028】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0029】
1:拡張機能付きキャリーバッグ
10:第一シェル
101:外側面
102:内側面
10a:第一環状開口辺縁部
20:第二シェル
201:外側面
202:内側面
20a:第二環状開口辺縁部
30:第一環状ガード部材
32:第一嵌合部
32a:第一基板
32a1:外側面
32a2:内側面
32b:第一押さえ板
32c:第一連結板
34:第一遮蔽部
40:第二環状ガード部材
42:第二嵌合部
42a:第二基板
42b:第二押さえ板
42c:第二連結板
44:第二遮蔽部
50:内層線ファスナー
52:第一テープ
52a:固定端部
52b:務歯
54:第二テープ
54a:固定端部
54b:務歯
60:芯地部材
62:第一芯地
621:外側面
622:内側面
62a:第一固定端部
62b:第一連結端部
64:第二芯地
641:外側面
642:内側面
64a:第二固定端部
64b:第二連結端部
66:繋ぎ部位
D1、D2:距離
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
現有の拡張機能付きキャリーバッグは二つの外部に露出する線ファスナーを有する。一つの線ファスナーはキャリーバッグの二つのシェルまたはフロントシェルを開閉するための線ファスナーである。別の一つの線ファスナーはキャリーバッグの収納空間を拡張するための線ファスナーである。また、キャリーバッグの外部に露出する線ファスナーを他人が勝手に開けることを防止するために、線ファスナーにロックを搭載することが一般的である。しかし、雨の日または湿気の高い環境下でキャリーバッグを使う際、水気が線ファスナーの左右の務歯同士の間からキャリーバッグの収納空間に浸入すれば、収納空間内の荷物は湿気を吸収し、使えなくなる可能性がある。また、線ファスナーが外部に露出するキャリーバッグは見た目が比較的複雑で綺麗ではないため、現有のキャリーバッグには改善の余地がある。
関連する先行技術文献として台湾登録番号TWM458136Uが挙げられる。