(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009284
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】無線通信情報収集システム、無線通信情報収集方法、無線通信装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/10 20090101AFI20250110BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20250110BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112180
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117260
【弁理士】
【氏名又は名称】福永 正也
(72)【発明者】
【氏名】綛谷 剛史
(72)【発明者】
【氏名】栗林 孝行
(72)【発明者】
【氏名】八木 敬太
(72)【発明者】
【氏名】浦田 知希
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB44
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH23
5K067LL01
(57)【要約】
【課題】別個に測定装置を設けることなく、通信障害の発生時に遅滞なく無線通信装置の通信パケットを収集して記憶することが可能な無線通信情報収集システム、無線通信情報収集方法、無線通信装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】外部のコンピュータと無線通信することが可能な無線通信装置と、該無線通信装置とデータ通信することが可能に接続されている端末装置とで構成されている無線通信情報収集システムである。無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備える。監視モジュールは、該通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集し、収集した通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を情報記憶部に記憶する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のコンピュータと無線通信することが可能な無線通信装置と、該無線通信装置とデータ通信することが可能に接続されている端末装置とで構成されている無線通信情報収集システムであって、
前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、
前記監視モジュールは、
前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段を備え、
前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする無線通信情報収集システム。
【請求項2】
前記情報収集手段は、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段を備え、前記情報収集手段は指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することを特徴とする請求項1に記載の無線通信情報収集システム。
【請求項3】
前記収集条件は、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の無線通信情報収集システム。
【請求項4】
前記情報収集手段は、
前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段と、
該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信情報収集システム。
【請求項5】
前記通信不良検知手段は、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知することを特徴とする請求項4に記載の無線通信情報収集システム。
(1) 一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること
(2) 一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること
(3) 一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること
(4) 一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること
(5) 一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること
(6) 通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること
【請求項6】
前記無線通信装置及び前記端末装置とデータ通信することが可能に接続された収集サーバを備え、
前記監視モジュールは、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記収集サーバへ転送する転送手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線通信情報収集システム。
【請求項7】
外部のコンピュータと無線通信することが可能な無線通信装置と、該無線通信装置とデータ通信することが可能に接続されている端末装置とで構成されている無線通信情報収集システムで実行することが可能な無線通信情報収集方法であって、
前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、
前記監視モジュールによる、
前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する工程を含み、
前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする無線通信情報収集方法。
【請求項8】
前記監視モジュールによる、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける工程を含み、指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することを特徴とする請求項7に記載の無線通信情報収集方法。
【請求項9】
前記収集条件は、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の無線通信情報収集方法。
【請求項10】
前記監視モジュールによる、
前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する工程と、
無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する工程と
を含むことを特徴とする請求項7に記載の無線通信情報収集方法。
【請求項11】
前記監視モジュールによる、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の無線通信情報収集方法。
(1) 一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること
(2) 一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること
(3) 一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること
(4) 一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること
(5) 一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること
(6) 通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること
【請求項12】
前記無線通信装置及び前記端末装置とデータ通信することが可能に接続された収集サーバを備え、
前記監視モジュールによる、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記収集サーバへ転送する工程を含むことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の無線通信情報収集方法。
【請求項13】
外部のコンピュータと無線通信することが可能に、前記端末装置とデータ通信することが可能に、それぞれ接続されている無線通信装置であって、
外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、
前記監視モジュールは、
前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段を備え、
前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする無線通信装置。
【請求項14】
前記情報収集手段は、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段を備え、前記情報収集手段は指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記収集条件は、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記情報収集手段は、
前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段と、
該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記通信不良検知手段は、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知することを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。
(1) 一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること
(2) 一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること
(3) 一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること
(4) 一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること
(5) 一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること
(6) 通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること
【請求項18】
前記監視モジュールは、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、データ通信することが可能に接続された収集サーバへ転送する転送手段を備えることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項19】
外部のコンピュータと無線通信することが可能に、前記端末装置とデータ通信することが可能に、それぞれ接続されている無線通信装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、
前記監視モジュールを、
前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段として機能させ、
前記無線通信装置を、前記情報収集手段で収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶する手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記情報収集手段を、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段として機能させ、
前記情報収集手段を、前記指示受付手段で指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集する手段として機能させることを特徴とする請求項19に記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
前記収集条件は、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
前記情報収集手段を、
前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段、及び
該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段
として機能させることを特徴とする請求項19に記載のコンピュータプログラム。
【請求項23】
前記通信不良検知手段を、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知する手段として機能させることを特徴とする請求項22に記載のコンピュータプログラム。
(1) 一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること
(2) 一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること
(3) 一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること
(4) 一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること
(5) 一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること
(6) 通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること
【請求項24】
前記監視モジュールを、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、データ通信することが可能に接続された収集サーバへ転送する転送手段として機能させることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置の状態に関する情報を、通信障害発生時であっても確実に収集することが可能な無線通信情報収集システム、無線通信情報収集方法、無線通信装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等に設置される産業用無線通信では、数msec程度までしか遅延が許されないといった厳しい条件下で使用する必要がある。また、当該条件下では、無線干渉等を回避するために比較的利用頻度の小さい無線帯域(例えば5GHz帯)を用いて無線通信を行うことがある。しかし、これら5GHzの一部帯域では、気象レーダー波を検波したときには停波するDFS機能を備える必要があり、DFSパターンに合致するか否かを確認する処理が最優先の処理となる。したがって、無線通信に遅延、パケットロス等が生じる潜在的なリスクを有している。斯かるリスクを回避するために、無線通信装置に複数の無線モジュールを搭載して、通信機能とDFS監視機能とを分離することがよく行われている。
【0003】
また、通信パケットが到達しない、通信パケットの再送が多発している等の通信不良の発生時には、原因究明のために通信パケットを取得する。通信パケットの取得には専用のパケットキャプチャーを用いており、無線通信装置の設置位置の近くにおいて無線パケットを収集している。
【0004】
特許文献1には、無線LANの通信品質を評価するために、送受信される通信フレームを受信する測定装置が開示されている。特許文献1では、測定装置は通信している端末装置とは別個であり、特定のAP(アクセスポイント)を介して無線通信した通信パケットをすべて収集することで、様々な統計処理を行うことを容易とし、通信障害等の発生時には原因の究明が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている測定装置は、APとは別個に通信パケットの収集のみに用いる別個の装置である。したがって、工場等のように作業の邪魔にならない高所やアクセスに不便な場所にAP等の通信装置が設置されている場合には、そもそも別個に測定装置を設置するスペース自体がなく、やむなくAPから離れた場所で測定することとなり正確性を欠き、また持参して通信パケットを収集するにもアクセスの不便さが障害となって、早期に通信パケットを収集すること自体が困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、別個に測定装置を設けることなく、通信障害の発生時に遅滞なく無線通信装置の通信パケットを収集して記憶することが可能な無線通信情報収集システム、無線通信情報収集方法、無線通信装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る無線通信情報収集システムは、外部のコンピュータと無線通信することが可能な無線通信装置と、該無線通信装置とデータ通信することが可能に接続されている端末装置とで構成されている無線通信情報収集システムであって、前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、前記監視モジュールは、前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段を備え、前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る無線通信情報収集システムは、前記情報収集手段が、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段を備え、前記情報収集手段は指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る無線通信情報収集システムは、前記収集条件が、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る無線通信情報収集システムは、前記情報収集手段が、前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段と、該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段とを備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る無線通信情報収集システムは、前記通信不良検知手段は、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知することが好ましい。条件とは、(1)一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること、(2)一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること、(3)一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること、(4)一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること、(5)一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること、(6)通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること、である。
【0013】
また、本発明に係る無線通信情報収集システムは、前記無線通信装置及び前記端末装置とデータ通信することが可能に接続された収集サーバを備え、前記監視モジュールが、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記収集サーバへ転送する転送手段を備えることが好ましい。
【0014】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る無線通信情報収集方法は、外部のコンピュータと無線通信することが可能な無線通信装置と、該無線通信装置とデータ通信することが可能に接続されている端末装置とで構成されている無線通信情報収集システムで実行することが可能な無線通信情報収集方法であって、前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、前記監視モジュールによる、前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する工程を含み、前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る無線通信情報収集方法は、前記監視モジュールによる、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける工程を含み、指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る無線通信情報収集方法は、前記収集条件が、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る無線通信情報収集方法は、前記監視モジュールによる、前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する工程と、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する工程とを含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る無線通信情報収集方法は、前記監視モジュールによる、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知する工程を含むことが好ましい。条件とは、(1)一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること、(2)一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること、(3)一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること、(4)一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること、(5)一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること、(6)通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること、である。
【0019】
また、本発明に係る無線通信情報収集方法は、前記無線通信装置及び前記端末装置とデータ通信することが可能に接続された収集サーバを備え、前記監視モジュールによる、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記収集サーバへ転送する工程を含むことが好ましい。
【0020】
次に、上記目的を達成するために本発明に係る無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信することが可能に、前記端末装置とデータ通信することが可能に、それぞれ接続されている無線通信装置であって、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、前記監視モジュールは、前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段を備え、前記情報収集手段が収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る無線通信装置は、前記情報収集手段が、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段を備え、前記情報収集手段は指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集することが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る無線通信装置は、前記収集条件が、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る無線通信装置は、前記情報収集手段が、前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段と、該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段とを備えることが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る無線通信装置は、前記通信不良検知手段が、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知することが好ましい。条件とは、(1)一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること、(2)一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること、(3)一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること、(4)一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること、(5)一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること、(6)通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること、である。
【0025】
また、本発明に係る無線通信装置は、前記監視モジュールが、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、データ通信することが可能に接続された収集サーバへ転送する転送手段を備えることが好ましい。
【0026】
次に、上記目的を達成するために本発明に係るコンピュータプログラムは、外部のコンピュータと無線通信することが可能に、前記端末装置とデータ通信することが可能に、それぞれ接続されている無線通信装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記無線通信装置は、外部のコンピュータと無線通信する通信モジュールと、外部のコンピュータとの無線通信の状態に関する情報を収集する監視モジュールと、情報記憶部とを備え、前記監視モジュールを、前記通信モジュールが無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する情報収集手段として機能させ、前記無線通信装置を、前記情報収集手段で収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を前記情報記憶部に記憶する手段として機能させることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記情報収集手段を、前記端末装置から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける指示受付手段として機能させ、前記情報収集手段を、前記指示受付手段で指示を受け付けた前記収集条件に基づいて無線通信の状態に関する情報を収集する手段として機能させることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記収集条件が、無線通信の状態に関する情報の収集開始時刻、収集終了時刻、収集時間間隔の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0029】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記情報収集手段を、前記通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する通信不良検知手段、及び該通信不良検知手段が、無線通信の状態が不良であると検知した場合、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、前記端末装置に無線通信の状態が不良である旨を通知する通知手段として機能させることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記通信不良検知手段を、以下の条件のうち少なくともいずれか1つを具備した場合に無線通信の状態が不良であると検知する手段として機能させることが好ましい。条件とは、(1)一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回ること、(2)一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回ること、(3)一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回ること、(4)一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回ること、(5)一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回ること、(6)通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回ること、である。
【0031】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記監視モジュールを、収集した前記通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、データ通信することが可能に接続された収集サーバへ転送する転送手段として機能させることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、無線通信装置が通信モジュールと監視モジュールとを別個に備えており、監視モジュールは、同一の無線通信装置に備えられている通信モジュールの通信チャネルと同一の通信チャネルの通信パケット等を含む無線通信の状態に関する情報を容易に収集することができるので、通信モジュールに通信障害が発生した時に障害発生事由の分析に必要な通信パケット等を欠けることなく確実に収集することができる。また、同一の無線通信装置内で収集することができるので、別途パケットキャプチャーを準備する必要もなく、設置位置がアクセス困難な場所であっても確実に収集することができ、通信障害の早期解決を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施の形態に係る無線通信情報収集システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る無線通信装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る無線通信装置に搭載されている監視モジュールの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る監視モジュールの機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る監視モジュールのプロセッサの処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る監視モジュールの機能ブロック図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る監視モジュールのプロセッサの処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る監視モジュールのプロセッサの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る無線通信情報収集システムについて、図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0035】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0036】
以下の実施の形態では、コンピュータシステムにコンピュータプログラムを導入した装置について説明するが、当業者であれば明らかな通り、本発明はその一部をコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムとして実施することができる。したがって、本発明は、別個に測定装置を設けることなく、通信障害の発生時に遅滞なく無線通信装置の通信パケットを収集して記憶することが可能な無線通信情報収集システムというハードウェアとしての実施の形態、ソフトウェアとしての実施の形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせの実施の形態をとることができる。コンピュータプログラムは、ハードディスク、DVD、CD、光記憶装置、SDカード等の磁気記憶媒体等の任意のコンピュータで読み取ることが可能な記録媒体に記録することができる。
【0037】
本実施の形態により、無線通信装置が通信モジュールと監視モジュールとを別個に備えており、監視モジュールは、同一の無線通信装置に備えられている通信モジュールの通信チャネルと同一の通信チャネルの通信パケット等を含む無線通信の状態に関する情報を容易に収集することができるので、通信モジュールに通信障害が発生した時に障害発生事由の分析に必要な通信パケット等を欠けることなく確実に収集することができる。また、同一の無線通信装置内で収集することができるので、別途パケットキャプチャーを準備する必要もなく、設置位置がアクセス困難な場所であっても確実に収集することができ、通信障害の早期解決を図ることが可能となる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態に係る無線通信情報収集システムについて、図面を参照して説明する。なお、参照する図面を通じて、同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0039】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信情報収集システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように本実施の形態に係る無線通信情報収集システム10は、例えば工場内の無線通信が安定して行うことができるように一定の間隔を置いて複数の端末装置5が配置されている。そして、複数の端末装置5と通信することが可能に無線で接続されている無線通信装置1と、操作端末3及び収集サーバ4とが、インターネット等のネットワーク網2を介してデータ通信することが可能に接続されている。なお、
図1では無線通信装置1及び該無線通信装置1にデータ通信することが可能に接続されている2台の端末装置5からなる無線通信情報収集システム1として図示されているが、無線通信情報収集システム10は複数の無線通信装置1を備えていても良いし、1基の無線通信装置1に接続されている端末装置5の数も特に限定されるものではない。
【0040】
操作端末3及び収集サーバ4と、無線通信装置1との接続形態は、有線であっても良いし、無線であっても良い。操作端末3から無線通信装置1を操作することができれば足り、収集サーバ4へ収集した通信パケットデータを含む無線通信の状態に関する情報を送信することができれば良いからである。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信装置1の構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように本実施の形態に係る無線通信装置1は、CPU(中央演算装置)等で構成された制御部11、メモリ12、記憶装置13、通信インタフェース14等が高速の内部バス15で接続されているCPUボード20の上に、通信モジュール30及び監視モジュール40が別個に搭載されている。
【0042】
CPUボード20は、通信モジュール30による無線通信によるデータの送受信の制御機能、気象レーダー波を検波したときには停波するDFS機能等を備えている。通信モジュール30は、無線通信専用の通信モジュールとして機能し、自らあるいは監視モジュール40が気象レーダー波を検波した場合は無線通信を停止する。DFS機能については、監視モジュール40に備えていても良い。
【0043】
記憶装置13は、情報記憶部として機能し、通信モジュール30を介して収集された、無線通信が実行されている特定の通信チャネルにおける無線通信の状態に関する情報が記憶される。具体的には、通信パケットデータ、取得時動作していた通信チャネル、通信パケット取得の開示・終了時刻、一定時間内の通信未到達率、一定時間内の再送回数の平均値、一定時間内のRTS/CTSの数、通信チャネルの占有率等が記憶される。斯かる情報は、監視時間の経過とともにデータ量が増大するので、無線通信装置1本体に備わる記憶装置13に記憶することが望ましい。ただし、監視モジュール40が備える記憶装置43が充分な記憶容量を有している場合には当該記憶装置43に記憶しても良い。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態に係る無線通信装置1に搭載されている監視モジュール40の構成を模式的に示すブロック図である。
図3に示すように本実施の形態に係る監視モジュール40は、少なくともCPU(中央演算装置)等で構成されたプロセッサ41、メモリ42、記憶装置43、入出力インタフェース44、通信インタフェース45及び上述したハードウェアを接続する内部バス46で構成されている。
【0045】
プロセッサ41は、内部バス46を介して監視モジュール40の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置43に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ42は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0046】
記憶装置43は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等)、ROM等で構成されている。コンピュータプログラムは、本発明の実施の形態の記憶装置43に事前に記憶されていても良いし、プログラム及びデータ等の情報を記録したフラッシュメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体から、可搬型ディスクドライブによりダウンロードされて記憶装置43に記憶しても良い。コンピュータプログラムは、実行時には記憶装置43からメモリ42へ展開して実行される。コンピュータプログラムは、もちろん入出力インタフェース44あるいは通信インタフェース45を介して外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0047】
入出力インタフェース44は、内部バス15に接続されており、CPUボード20を介して外部のコンピュータから情報を取得する。もちろん、監視モジュール40単体で通信を完結させるべく、監視モジュール40内に外部のコンピュータと有線あるいは無線でデータ通信することが可能な通信インタフェース45を備えていても良い。
【0048】
例えば通信インタフェース45は、内部バス46に接続され、CPUボード20の通信インタフェース14を介して、インターネット、有線LAN又は無線LAN、WAN等の外部のネットワーク網2に接続されることにより、一又は複数の端末装置5、操作端末3、及び収集サーバ4等とデータ送受信を行うことが可能となる。これにより、操作端末3から無線通信装置1のパラメータ設定やコンピュータプログラムの更新等を行うことができる。
【0049】
なお、通信モジュール30のハードウェア構成は、監視モジュールと基本的な違いはないので、詳細な説明を省略する。
【0050】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る無線通信情報収集システム10は、ユーザが操作端末3から任意のタイミングで無線通信の状態に関する情報の収集を開始/終了する点に特徴を有している。
図4は、本発明の実施の形態1に係る監視モジュール40の機能ブロック図である。
図4に示すように、監視モジュール40は、情報収集部401、情報記憶部402を備えている。
【0051】
情報収集部401は、指示受付部403及び収集開始・終了部404を備えている。ユーザは、操作端末3を用いて、無線通信の状態に関する情報を取得したい無線通信装置1を指定し、収集開始指示を送信する。指示受付部403は、操作端末3からの収集開始指示を受け付ける。具体的には、収集対象となる無線通信装置1が接続されている一又は複数の端末装置5が使用している通信チャネルにおける無線通信の状態に関する情報の収集開始指示を受け付ける。
【0052】
情報収集部401の収集開始・終了部404は、無線通信の状態に関する情報の収集開始指示を受け付けた場合、通信モジュール30が無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報を収集する。情報記憶部402は、収集した当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、入出力インタフェース44、内部バス15を介して記憶装置13に記憶する。
【0053】
なお、無線通信の状態に関する情報は、例えば通信パケットデータ、取得時動作していた通信チャネル、通信パケット取得の開示・終了時刻、一定時間内の通信未到達率、一定時間内の全通信数における再送数の割合、一定時間内のRTS/CTSの数、通信チャネルの占有率等である。
【0054】
また、無線通信装置1とデータ通信することが可能に接続された収集サーバ4を備えている場合には、記憶装置13に記憶されている、当該通信チャネルについて収集した無線通信の状態に関する情報を、収集サーバ4へ転送する転送部405を備えていても良い。これにより、無線通信装置1において収集された当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を無線通信装置1自体で分析する必要がなく、分析が必要となった時点で操作端末3が収集サーバ4から取得して分析することが可能となる。
【0055】
ユーザは、操作端末3を用いて、無線通信の状態に関する情報を取得した無線通信装置1を指定し、収集終了指示を送信する。指示受付部403は、操作端末3からの収集終了指示を受け付ける。具体的には、収集対象となる無線通信装置1が接続されている一又は複数の端末装置5が使用している通信チャネルにおける無線通信の状態に関する情報の収集終了指示を受け付ける。
【0056】
情報収集部401の収集開始・終了部404は、無線通信の状態に関する情報の収集終了指示を受け付けた場合、当該通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報の収集を終了する。
【0057】
なお、指示受付部403は、操作端末3から無線通信の状態に関する情報の収集条件に関する指示を受け付ける。例えば、収集条件を含む開始指示のみを受け付け、その後、情報収集部401が、無線通信の状態に関する情報を一定時間収集するような指示を受け付けても良い。情報記憶部402は、一定時間収集した無線通信の状態に関する情報を記憶装置13に記憶する。
【0058】
図5は、本発明の実施の形態1に係る監視モジュール40のプロセッサ41の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、監視モジュール40のプロセッサ41は、操作端末3からの収集開始指示を受信したか否かを判断する(ステップS501)。具体的には、使用中の通信チャネルにおける無線通信の状態に関する情報の収集開始/終了の指示を受け付けたか否かを判断する。
【0059】
プロセッサ41が、無線通信の状態に関する情報の収集開始指示を受信していないと判断した場合(ステップS501:NO)、プロセッサ41は、収集開始指示の受信待ち状態となる。プロセッサ41が、無線通信の状態に関する情報の収集開始指示を受信したと判断した場合(ステップS501:YES)、プロセッサ41は、通信モジュール30が無線通信している通信チャネルと同一の通信チャネルについて無線通信の状態に関する情報の収集を開始する(ステップS502)。
【0060】
プロセッサ41は、収集した当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、記憶装置13に記憶する(ステップS503)。プロセッサ41は、操作端末3からの収集終了指示を受信したか否かを判断する(ステップS504)。
【0061】
プロセッサ41が、無線通信の状態に関する情報の収集終了指示を受信していないと判断した場合(ステップS504:NO)、プロセッサ41は、収集終了指示の受信待ち状態となり、当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を継続して収集する。プロセッサ41が、無線通信の状態に関する情報の収集終了指示を受信したと判断した場合(ステップS504:YES)、プロセッサ41は、無線通信の状態に関する情報の収集を終了する(ステップS505)。
【0062】
以上のように本実施の形態1では、無線通信装置1が通信モジュール30と監視モジュール40とを別個に備えており、監視モジュール40は、同一の無線通信装置1に備えられている通信モジュール30の通信チャネルと同一の通信チャネルの通信パケット等を含む無線通信の状態に関する情報を容易に収集することができるので、通信モジュール30に通信障害が発生した時に障害発生事由の分析に必要な通信パケット等を欠けることなく確実に収集することができる。また、同一の無線通信装置1内で収集することができるので、別途パケットキャプチャーを準備する必要もなく、設置位置がアクセス困難な場所であっても確実に収集することができ、通信障害の早期解決を図ることが可能となる。
【0063】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る無線通信情報収集システム10は、ユーザが操作端末3から任意のタイミングで無線通信の状態に関する情報の収集を開始/終了するのではなく、無線通信装置1が何らかの障害発生の予兆あるいは現象を事前に把握した時点で無線通信の状態に関する情報の収集を開始/終了する点で実施の形態1とは相違する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る監視モジュール40の機能ブロック図である。
【0064】
図6に示すように、監視モジュール40は、情報収集部401、情報記憶部402を備えている。情報収集部401は、通信不良検知部406、収集開始・終了部404、通知部407を備えている。
【0065】
通信不良検知部406は、無線通信に使用中の通信チャネルにおける無線通信の状態が不良であることを検知する。無線通信の状態が不良である条件は、様々なものが考えられる。本実施の形態2では、以下のいずれかの条件のうち1つでも満たせば無線通信の状態が不良であると判断する。もちろん、これらの条件のうちいくつかを重複して満たす場合にのみ無線通信の状態が不良であると判断しても良いし、例示されていない他の条件を満たす場合に無線通信の状態が不良であると判断しても良い。つまり、無線通信の状態が不良であると判断するための何らかの基準を満たせば、無線通信装置1は無線通信に使用中の通信チャネルにおける無線通信で何らかの障害が発生していることを自ら把握することができる。
【0066】
(条件1)
一定時間内の通信未到達率が所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えば全通信の40%以上より大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は40%に限定されるものではない。
【0067】
(条件2)
一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えば通信到達時間の平均値が10msecより大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は10msecに限定されるものではない。
【0068】
(条件3)
一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えば一定時間内の全通信数における再送数の割合が40%より大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は40%に限定されるものではない。
【0069】
(条件4)
一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えばRTS/CTSパケットに格納される、通信の開始から終了までの時間を示すDurationの値が1msecより大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は1msecに限定されるものではない。
【0070】
(条件5)
一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えば一定時間内のRTS/CTSパケットの数が、一定時間内の全通信数の40%より大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は40%に限定されるものではない。
【0071】
(条件6)
通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値を上回る場合には、無線通信の状態が不良であると判断する。所定の閾値は、例えばRSSI値(受信電波強度値)の変動幅が5dBmより大きければ不良であると判断すれば良い。もちろん、閾値は5dBmに限定されるものではない。
【0072】
通信不良検知部406が、上述した条件に基づいて無線通信の状態が不良であると検知した場合、通知部407は、無線通信の状態に関する情報の収集を開始するとともに、通知部407は、操作端末3に無線通信の状態が不良である旨を通知する。これにより、無線通信の状態が完全に不良となる前の状態の通信パケット等の情報も確実に収集することができ、障害発生の早期解決を図ることが可能となる。また、無駄な情報収集をする必要もなくなり、記憶装置13等のリソースを有効に使用することも可能となる。
【0073】
情報記憶部402は、収集した通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、記憶装置13に記憶する。なお、無線通信の状態に関する情報は、実施の形態1と同様、例えば通信パケットデータ、取得時動作していた通信チャネル、通信パケット取得の開示・終了時刻、一定時間内の通信未到達率、一定時間内の全通信数における再送数の割合、一定時間内のRTS/CTSの数、通信チャネルの占有率等である。
【0074】
また、無線通信装置1とデータ通信することが可能に接続された収集サーバ4を備えている場合には、記憶装置13に記憶されている、当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を、収集サーバ4へ転送する転送部405を備えていても良い。これにより、無線通信装置1において収集された当該通信チャネルについての無線通信の状態に関する情報を分析する必要がなく、分析が必要となった時点で操作端末3が収集サーバ4から取得して分析することが可能となる。
【0075】
図7及び
図8は、本発明の実施の形態2に係る監視モジュール40のプロセッサ41の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、監視モジュール40のプロセッサ41は、一定時間内の通信未到達率が所定の閾値より大きいかを判断する(ステップS701)。
【0076】
プロセッサ41が、一定時間内の通信未到達率が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS701:YES)、プロセッサ41は、処理をステップS707へ進める。プロセッサ41が、一定時間内の通信未到達率が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS701:NO)、プロセッサ41は、一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS702)。
【0077】
プロセッサ41が、一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS702:YES)、プロセッサ41は、処理をステップS707へ進める。プロセッサ41が、一定時間内の通信到達時間の平均値が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS702:NO)、プロセッサ41は、一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS703)。
【0078】
プロセッサ41が、一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS703:YES)、プロセッサ41は、処理をステップS707へ進める。プロセッサ41が、一定時間内の全通信数における再送数の割合が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS703:NO)、プロセッサ41は、一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS704)。
【0079】
プロセッサ41が、一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS704:YES)、プロセッサ41は、処理をステップS707へ進める。プロセッサ41が、一定時間内のRTS/CTSパケットに格納された値が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS704:NO)、プロセッサ41は、一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS705)。
【0080】
プロセッサ41が、一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS705:YES)、プロセッサ41は、処理をステップS707へ進める。プロセッサ41が、一定時間内のRTS/CTSパケット数が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS705:NO)、プロセッサ41は、通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS706)。
【0081】
プロセッサ41が、通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS706:NO)、プロセッサ41は、処理をステップS701へ戻して、同様の処理を繰り返す。プロセッサ41が、通信チャネルにおける受信電波強度値の変動幅が一定時間内に所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS706:YES)、プロセッサ41は、当該通信チャネルの無線通信の状態に関する情報の収集を開始する(ステップS707)。その後、プロセッサ41は、当該通信チャネルに不良が生じた旨の通知を操作端末3に送信する(ステップS708)とともに、収集した無線通信の状態に関する情報を記憶装置13に記憶する(ステップS709)。
【0082】
以上のように本実施の形態2では、無線通信装置1が通信モジュール30と監視モジュール40とを別個に備えており、監視モジュール40は、同一の無線通信装置1に備えられている通信モジュール30の通信チャネルと同一の通信チャネルの通信パケット等を含む無線通信の状態に関する情報を容易に収集することができるので、無線通信装置1の通信モジュール30と端末装置5との間で通信障害が発生した時に障害発生事由の分析に必要な通信パケット等を欠けることなく確実に収集することができる。また、同一の無線通信装置1内で収集することができるので、別途パケットキャプチャーを準備する必要もなく、設置位置がアクセス困難な場所であっても確実に収集することができ、通信障害の早期解決を図ることが可能となる。
【0083】
さらに、無線通信の状態が完全に不良となる前の状態の通信パケット等の情報も確実に収集することができ、障害発生の早期解決を図ることが可能となる。また、無駄な情報収集をする必要もなくなり、記憶装置13等のリソースを有効に活用することも可能となる。
【0084】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば、実施の形態2における無線通信の状態が不良であるか否かの判断条件に付いても上記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 無線通信装置
2 ネットワーク網
3 操作端末
4 収集サーバ
13 記憶装置(情報記憶部)
30 通信モジュール
40 監視モジュール
41 プロセッサ
42 メモリ
43 記憶装置
44 入出力インタフェース
45 通信インタフェース
46 内部バス