(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009292
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】開閉扉の支持構造
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20250110BHJP
E05D 7/08 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F25D23/02 306H
F25D23/02 306D
E05D7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112196
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 博充
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KB05
3L102KB11
(57)【要約】
【課題】開閉扉を支持するヒンジの耐久性を向上させる。
【解決手段】ヒンジ40が、断熱箱体20の前面20Cに沿って形成されて断熱箱体20の前面20Cに取り付けられる取付部52と、取付部52から前方に向かって突出した板状のベース部50と、ベース部50の一方側の面(上面)に立設されて開閉扉14L,14Rを軸支する軸部44と、ベース部50の他方側の面(下面)に立設されてそれぞれが取付部52から前方に向かって延びるとともに、互いに交差する2つのリブ70,72と、を有しており、開閉扉14L,14Rが開かれる際に、開閉扉14L,14Rの一部がベース部50あるいはリブ70の縁部に当接して、開閉扉14L,14Rの開方向への回動が規制される構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体が有する前方側への開口に対して開閉扉をヒンジによって開閉可能に支持する開閉扉の支持構造であって、
前記ヒンジは、
前記箱体の前面に沿って形成されて前記箱体の前面に取り付けられる取付部と、
前記取付部から前方に向かって突出した板状のベース部と、
前記ベース部の一方側の面に立設され、前記開閉扉を軸支する軸部と、
前記ベース部の他方側の面に立設され、それぞれが前記取付部から前方に向かって延びるとともに、互いに交差する2つのリブと、
を有し、
前記開閉扉が開かれる際に、前記開閉扉の一部が前記ベース部あるいは前記リブの縁部に当接して、前記開閉扉の開方向への回動が規制される開閉扉の支持構造。
【請求項2】
前記軸部は、その軸線が、2つの前記リブが交差する箇所より前方で、2つの前記リブの間に位置するように形成されている請求項1に記載の開閉扉の支持構造。
【請求項3】
前記開閉扉が開かれる際に、前記開閉扉の一部が、2つの前記リブの一方の前端に当接することで、前記開閉扉の開方向への回動が規制される請求項1または請求項2に記載の開閉扉の支持構造。
【請求項4】
前記リブの一方は、平面視において、開方向への回動が規制された前記開閉扉が延びる方向と同じ方向に延びている請求項3に記載の開閉扉の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体の開口を開閉可能な開閉扉の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、貯蔵庫が開示され、その貯蔵庫は、箱体が有する前方側への開口に対して開閉扉をヒンジによって開閉可能に支持する開閉扉の支持構造を備えるものとなっている。この開閉扉の支持構造は、ヒンジの取付部分の増強を目的として、開口の隅部を構成する横枠と縦枠の交差部分の内面側にわたって取付板を配設し、ヒンジピン等を設けたプレートを、取付板における横枠側と縦枠側への配設位置においてそれぞれ締結具により固定した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の貯蔵庫において、上記ヒンジは、開かれた開閉扉の一部が当接して、その開閉扉の開く方向への回動を禁止するように構成される。そして、開閉扉がヒンジに当接した場合、そのヒンジには、その開閉扉が当接した部分から受ける力と、開閉扉を支持している軸部から受ける力とによって、捩じられるような負荷を受けることになる。つまり、開閉扉の一部がヒンジに当接して開閉扉の開方向への回動が禁止される構成を備える場合には、そのヒンジの耐久性が問題となる。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、開閉扉を支持するヒンジの耐久性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本願に開示の貯蔵庫は、以下の構成とされている。
(1)箱体が有する前方側への開口に対して開閉扉をヒンジによって開閉可能に支持する開閉扉の支持構造であって、
前記ヒンジは、
前記箱体の前面に沿って形成されて前記箱体の前面に取り付けられる取付部と、
前記取付部から前方に向かって突出した板状のベース部と、
前記ベース部の一方側の面に立設され、前記開閉扉を軸支する軸部と、
前記ベース部の他方側の面に立設され、それぞれが前記取付部から前方に向かって延びるとともに、互いに交差する2つのリブと、
を有し、
前記開閉扉が開かれる際に、前記開閉扉の一部が前記ベース部あるいは前記リブの縁部に当接して、前記開閉扉の開方向への回動が規制される開閉扉の支持構造。
【0007】
また、上記構成の貯蔵庫において、以下に示す種々の態様とすることが可能である。なお、本発明は以下の態様に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0008】
(2)前記軸部は、その軸線が、2つの前記リブが交差する箇所より前方で、2つの前記リブの間に位置するように形成されている(2)項に記載の開閉扉の支持構造。
【0009】
(3)前記開閉扉が開かれる際に、前記開閉扉の一部が、2つの前記リブの一方の前端に当接することで、前記開閉扉の開方向への回動が規制される(1)項または(2)項に記載の開閉扉の支持構造。
【0010】
(4)前記リブの一方は、平面視において、開方向への回動が規制された前記開閉扉が延びる方向と同じ方向に延びている(3)項に記載の開閉扉の支持構造。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開閉扉を支持するヒンジの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本実施形態の要部である開閉扉の支持構造を、開閉扉が閉じられている状態において示す斜視図
【
図3】本実施形態の要部である開閉扉の支持構造を、開閉扉が開かれている状態において示す斜視図
【
図5】ヒンジの側面断面(
図4におけるA-A断面)
【
図6】開閉扉の支持構造を、開閉扉が閉じられている状態において示す下面図
【
図7】開閉扉の支持構造を、開閉扉が開かれている状態において示す下面図
【
図9】比較例1の開閉扉の支持構造を構成するヒンジの斜視図
【
図11】比較例2の開閉扉の支持構造を構成するヒンジを上方側からの視点において示す斜視図
【
図12】比較例2の開閉扉の支持構造を構成するヒンジを下方側からの視点において示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の開閉扉の支持構造が採用された実施形態は、
図1に示す冷却貯蔵庫10である。以下に、本実施形態の冷却貯蔵庫10について、
図1から
図13によって詳しく説明する。各図に示した符号F,B,L,R,U,Dは、それぞれ、冷却貯蔵庫10の前後方向における前方,後方、正面から見たときの幅方向における左方,右方、鉛直方向における上方,下方を示している。
【0014】
本実施形態の冷却貯蔵庫10は、
図1に示すように、2ドア式の横型(テーブル型)冷蔵庫であり、横長の貯蔵庫本体12と、一対の観音開き式の開閉扉14L,14Rと、貯蔵庫本体12の上側に配された天板16と、を備えている。貯蔵庫本体12は、外箱と、外箱の内側に配された内箱と、それら外箱と内箱との間に充填される断熱材とからなり、前方に開口20Aを有する断熱箱体20を主体として構成される。そして、断熱箱体20は、その内部空間の大部分は、貯蔵物を収容する貯蔵室R1とされており、断熱箱体20の開口20Aは、貯蔵室R1の開口となっている。詳しく言えば、断熱箱体20の開口20Aは、センターピラー22によって、左右に分割されており、一対の開閉扉14L,14Rは、センターピラー22の左右の開口を、それぞれ開閉するものとなっている。なお、一対の開閉扉14L,14Rは、内部に断熱材が充填された断熱扉である。
【0015】
また、本実施形態の冷却貯蔵庫10は、断熱箱体20の内部には、貯蔵室R1の左側に、区画パネル24(
図3に一部を図示している)によって、冷却器室が区画形成されている。図示等は省略するが、本実施形態の冷却貯蔵庫10は、冷凍サイクル式の冷却ユニットを備え、冷却器室に、冷却ユニットを構成する冷却器が収容されており、貯蔵室R1内の空気を吸い込んで、その空気を冷却器によって冷却して、貯蔵室に送り出すように構成されている。
【0016】
貯蔵庫本体12は、また、断熱箱体20の左方に組み付けられた複数のパネルを備えている。それら複数のパネルは、サイドパネル25,ベースパネル26,フロントパネル27等であり、貯蔵庫本体12は、それらパネル25,26,27、断熱箱体20の左側の側壁部20Bおよび天板16等によって形成された機械室R2を有するものとなっている。この機械室R2には、上記冷却ユニットを構成する、圧縮機,凝縮器,凝縮器ファンや、当該冷却貯蔵庫10の制御を行う電装箱等が収容されている。
【0017】
本実施形態の冷却貯蔵庫10は、開閉扉14L,14Rの支持構造に特徴を有するものであるため、以下に、開閉扉14L,15Rの支持構造について、詳しく説明する。なお、左右の各々の開閉扉14L,14Rは、同様の構成であるため、左側の開閉扉14Lを用いて説明することとする。なお、開閉扉14Lは、
図1に示すように、左側の縁部において、上側ヒンジ機構30と下側ヒンジ機構32とによって軸支されており、開閉扉14Lの左側の縁部に沿って延びる軸線まわりに回動可能とされている。そして、本発明の開閉扉の支持構造は、下側ヒンジ機構32に採用されており、その下側ヒンジ機構32について、
図2~
図7を参照しつつ詳しく説明する。
【0018】
下側ヒンジ機構32は、
図2および
図3に示すように、開閉扉14Lを支持する主体となるヒンジ本体40と、ヒンジ本体40と開閉扉14Lとの間に介装されるヒンジ側カラー42および扉側カラー43と、からなる。ヒンジ本体40は、
図4,
図5に示すように、開閉扉14Lを回動させる軸となる軸部44と、その軸部44が立設される台座部46と、を有している。なお、ヒンジ側カラー42が、軸部44を挿通させた状態で台座部46上に取り付けられ、扉側カラー43が、軸部44を挿通させた状態で開閉扉14Lの下面に取り付けられている。そして、それらヒンジ側カラー42と扉側カラーとが上下方向に接した状態で重なり合っており、台座部46の上面と開閉扉14Lの下面との間隔を確保しつつ、開閉扉14Lをスムースに回動させる構成となっている。
【0019】
また、開閉扉14Lの下面には、ストッパ48が固定されている。そのストッパ48は、板状の部材を屈曲させたL字形状のものであり、開閉扉14Lに固定するための取付部48aと、その取付部48aの前端から垂下する垂下部48bと、からなり、垂下部48bは、開閉扉14Lの前面とほぼ面一となる位置に固定されている。開閉扉14Lが開かれる際に、このストッパ48の垂下部48bが、ヒンジ本体40に当接するようになっており、ヒンジ本体40は、開閉扉14Lの開方向への回動を規制するものとなっている。
【0020】
ヒンジ本体40の台座部46は、概して水平方向に広がって軸部44が立設される板状のベース部50と、そのベース部50の後端縁から下方に向いて延びて断熱箱体20の前面20Cに固定するための取付部52と、を有している。取付部52は、断熱箱体20の前面20Cに沿って形成された板状の部分であり、左右の端部の各々に貫通形成された挿通孔52a(
図8参照)を有している。そして、その挿通孔52aを利用して、ヒンジ本体40は、断熱箱体20の前面20Cにおける下側の角部に、ボルト54によって固定される。
【0021】
ベース部50は、
図4に示すように、前端側に軸部44が立設されている。また、ベース部50は、
図5に示すように、軸部44が形成された先端側の先端部50aが、取付部52側である基端部50bに対して、一段低くされた段付き形状とされている。なお、その先端部50aにおける軸部44の後方には、貫通孔50cが形成されており、この貫通孔50cを利用して、前述したヒンジ側カラー42が取り付けられるようになっている。
【0022】
ベース部50の先端部50aは、外縁が、軸部44を中心とする円弧形状をなす円弧部60を有しており、開閉扉14Lの下面に固定されたストッパ48が、この円弧部60の外側を、その円弧部60に沿って回動するようになっている。そして、その円弧部60における断熱箱体20の側壁部20B側(
図4における左側)には、外側でかつ後方に向かって直線状に延びる部分62が形成されている。この部分62は、前方側の端面が平面状をなし、ストッパ48(詳しく言えば垂下部48b)を当接させて、開閉扉14Lの開方向への回動を規制する当接部62となっている。
【0023】
ベース部50は、
図4,
図6,
図7に示すように、下面に、第1リブ70および第2リブ72が立設されている。これら2つのリブ70,72は、後端が取付部52に連結されており、前方に向かって延びて、ベース部50の前端まで延びている。これら2つのリブ70,72は、互いに交差する状態で配されている。詳しく言えば、第1リブ70は、前端面70aが、ベース部50の当接部62と面一となるようにされ、その位置から後方でかつ断熱箱体20の中央側に向かって延びている。さらに言えば、
図7に示すように、その第1リブ70の延びる方向は、開方向への回動が規制された開閉扉14Lの延びる方向と、ほぼ同じ方向となっている。一方、第2リブ72は、その前端72aが、ベース部50の円弧部60における最も中央寄りの位置に位置し、その位置から後方でかつ断熱箱体20の側壁部20B側に向かって延びている。つまり、2つのリブ70,72は、前後方向に対して、互いに反対向きに傾斜するものとなっている。なお、
図4に示すように、軸部44は、その軸線44aが、2つのリブ70,72の連結部74より前方で、2つのリブ70,72の間に位置するように形成されている。
【0024】
また、
図4に示すように、ベース部50の先端部50aは、基端部50bに向かうにつれて、左右方向の幅が大きくなる拡幅部64を有しており、第1リブ70は、この拡幅部64の縁部に沿って形成されている。
【0025】
以上のように、本実施形態の冷却貯蔵庫10において、開閉扉14L,14Rの支持構造は、断熱箱体20が有する前方側への開口20Aに対して開閉扉14L,14Rをヒンジ40によって開閉可能に支持する開閉扉の支持構造であって、ヒンジ40は、断熱箱体20の前面20Cに沿って形成されて断熱箱体20の前面20Cに取り付けられる取付部52と、取付部52から前方に向かって突出した板状のベース部50と、ベース部50の一方側の面(上面)に立設されて開閉扉14L,14Rを軸支する軸部44と、ベース部50の他方側の面(下面)に立設されてそれぞれが取付部52から前方に向かって延びるとともに、互いに交差する2つのリブ70,72と、を有しており、開閉扉14L,14Rが開かれる際に、開閉扉14L,14Rの一部がベース部50および第1リブ70の縁部70aに当接して、開閉扉14L,14Rの開方向への回動が規制される構成とされている。
【0026】
本冷却貯蔵庫10における開閉扉14L,14Rの支持構造は、前提として、ヒンジ本体40が、開かれる開閉扉14L,14Rのストッパとして機能する構成となっている。つまり、開かれる方向に回動する開閉扉14L,14Rの一部(ストッパ48の垂下部48b)が、ヒンジ本体40の一部に当接する構成、本実施形態においては、ベース部50の当接部62と第1リブ70の前端面70aとの両者に、当接する構成とされることで、ヒンジ本体40が開閉扉14L,14Rのストッパとして機能するようになっている。そのような構成であるため、開閉扉14L,14Rがヒンジ本体40に当接した場合、
図4に示すように、ヒンジ本体40には、その開閉扉14L,14Rが当接した部分(当接部62)と、開閉扉14L,14Rを支持している軸部44とに対して、開閉扉14L,14Rからの力F1,F2が作用することになるが、その作用する力F1,F2の方向は互いに異なる方向となる。つまり、ヒンジ本体40は、それらの力F1,F2によって、捻じられるような負荷を受けることになるのである。本実施形態における支持構造によれば、ヒンジ本体40が取付部52とベース部50とに連結された2つのリブ70,72を有し、それら2つのリブ70,72が互いに交差する構成とされていることで、後に詳しく説明するが、その捻じられるような負荷を抑えることができ、ヒンジ本体40の耐久性を向上させることができる。また、このヒンジ本体40は開閉扉14L,14Rの下側ヒンジ機構32に採用されているため、開閉扉14L,14R側から受ける鉛直下向きの力に対しても剛性が高く、断熱性を有することで比較的重量のあるものとされた本実施形態の開閉扉14L,14Rに有効である。
【0027】
また、本冷却貯蔵庫10において、軸部44は、その軸線が、2つのリブ70,72が交差する箇所74より前方で、2つのリブ70,72の間に位置するように形成されている。
【0028】
この構成によれば、軸部44が、捩れが抑えられる2つのリブ70,72の間に位置しているため、開閉扉14L,14Rとの間で軸部44に作用する力を、効果的に抑えることができる。
【0029】
また、本冷却貯蔵庫10において、開閉扉14L,14Rが開かれる際に、開閉扉14L,14Rの一部(ストッパ48の垂下部48b)が、第1リブ70の前端70aに当接することで、開閉扉14L,14Rの開方向への回動が規制される構成とされている。
【0030】
この構成によれば、開閉扉14L,14Rが当接した際に入力される力F1を、開閉扉が当接する第1リブ70によって受けることができるため、ヒンジ本体40の捩れを効果的に抑えることができる。また、第1リブ70の前端面70aによって、開閉扉14L,14Rとの接触面積を増やすことができるため、開閉扉の接触部分(ストッパ48の垂下部48b)の単位面積当たりの荷重を低減させて、その接触部分の摩耗を抑えることができる。さらに、ベース部50の前端62と第1リブ70の前端面70aとが面一とされており、より接触面積が大きくされ、接触部分の摩耗をより効果的に抑えることができる。
【0031】
また、本冷却貯蔵庫10は、第1リブ70は、平面視において、開方向への回動が規制された開閉扉14L,14Rが延びる方向とほぼ同じ方向に延びている。
【0032】
この構成の支持構造によれば、開閉扉14L,14Rが第1リブ70に当接した場合に、その第1リブ70に入力される力が、第1リブ70の延びる方向とほぼ同じ方向となるため、換言すれば、第1リブ70に作用する力の入射角度が、第1リブ70の延びる方向に対して小さいため、ヒンジ本体40の捩れる負荷を効果的に抑えることができる。
【0033】
本実施形態の冷却貯蔵庫10におけるヒンジ40と、
図9に示す比較例1の支持構造に採用されるヒンジ100とにおいて、開かれた開閉扉14Lが当接して同じ大きさの負荷が掛かったことを想定し、CAE解析を行った。まずは、比較例1の支持構造おけるヒンジ100の構造について、簡単に説明する。比較例1におけるヒンジ100は、上記実施形態におけるヒンジ40と同様に、取付部102と、その取付部102から前方に向かって延び出した板状のベース部104と、ベース部104の上面に立設された軸部106と、を備えている。また、ベース部104の下面には、リブ108が立設されているが、比較例1のヒンジ100においては、単一のものとされている。そのリブ108は、取付部102から垂直に延び出しており、軸部106の真下に配されている。
【0034】
本実施形態におけるヒンジ40の解析結果を示す
図8と、比較例1におけるヒンジ100の解析結果を示す
図10とを比較して分かるように、実施形態におけるヒンジ40の軸部44の変位(傾斜角度)が、比較例1におけるヒンジ100の軸部106の変位(傾斜角度)より小さくなっているのが分かる。変位量で比較すると、本実施形態における最大変位量(軸部44の頂点での変位量0.103mm)は、比較例1における最大変位量(軸部106の頂点での変位量0.185mm)の56%程度となっており、効果的にヒンジ40の捩れが抑えられていることが分かった。なお、
図8,
図10(および、後の説明に使用する
図13)は、上記の変位量を算出した場合のものではなく、実際に作用することになる負荷より大きな負荷を与えた場合の結果であり、変形量を視覚的に把握し易くした場合のものである。
【0035】
また、
図11および
図12には、比較例2の支持構造に採用されるヒンジ120を示している。このヒンジ120は、上記実施形態におけるヒンジ40と同様に、取付部122と、その取付部122から前方に向かって延び出した板状のベース部124と、ベース部124の上面に立設された軸部126と、を備えている。また、ヒンジ120のベース部124には、その周縁に沿ってリブが形成されている。詳しく言えば、ベース部124における前端から内側(断熱箱体20の中央側、
図12,13における右側)に沿う部分には、ベース部124の下面に、第1リブ128が形成され、ベース部124の外側(断熱箱体20の側壁部20B側、
図12,13における左側)に沿う部分には、ベース部124の上面に、第2リブ130が形成されている。それら第1リブ128の端部と、第2リブ130の端部とは、上下方向において重なるように形成されており、ベース部124には、全周にわたってリブが形成されている。
【0036】
この比較例2のヒンジ120においても、同様にCAE解析を行った。その解析結果である
図13に示すように、比較例1のヒンジ100と比較すると、軸部126の変位を効果的に小さくできているのが分かる。この比較例2のヒンジ120においても、本実施形態のヒンジ40に近い効果は得られたものの、本実施形態のヒンジ40の方が、優れていることが分かった。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】
上記実施形態において、開かれた開閉扉14L,14Rがヒンジ本体40におけるベース部50と第1リブ70との両者に当接する構成とされていたが、それに限定されない。例えば、ベース部50の一部にのみ当接する構成であってもよく、第1リブ70の前端面70aにのみ当接する構成であってもよい。なお、ベース部に当接する構成である場合には、ベース部の外縁に当接する構成に限定されず、開閉扉14L,14Rの一部がベース部に設けられた突起に当接する構成とすることもできる。
【0039】
上記実施形態において、開閉扉の支持構造は、テーブル型の冷却貯蔵庫10に採用されていたが、その他、回動式の開閉扉を備えた断熱性を有する貯蔵庫に採用することもできる。さらに言えば、貯蔵庫に限定されず、前方側への開口を有する箱体に対してヒンジによって開閉扉を支持する構成のものに、広く採用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…冷却貯蔵庫、14L,14R…開閉扉、20…断熱箱体〔箱体〕、20A…開口、20C…前面、40…ヒンジ本体〔ヒンジ〕、44…軸部、50…ベース部、52…取付部、62…当接部、70…第1リブ、70a…前端面、72…第2リブ