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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009294
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/04 20060101AFI20250110BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B26D1/04 Z
B26D7/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112198
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000170325
【氏名又は名称】鴻池運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀧 崇嗣
(72)【発明者】
【氏名】中山 真一
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021BB02
3C021BB04
3C027GG03
3C027GG04
3C027GG07
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させた容器の切断装置を提供すること。
【解決手段】 切断装置は、直方体状の容器を支持する支持部と、支持部に支持された状態の容器の第一面の近傍且つ第一面に互いに隣接する第二面乃至第四面を切断する第一切断刃と、第一面に隣接する面を第一面から離間する方向に切断する第二切断刃と、を備える。第一切断刃と容器、及び、第二切断刃及び容器は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の容器を支持する支持部と、
前記支持部に支持された状態の前記容器の第一面の近傍且つ前記第一面に互いに隣接する第二面乃至第四面を切断する第一切断刃と、
前記第一面に隣接する面を前記第一面から離間する方向に切断する第二切断刃と、
を備え、
前記第一切断刃と前記容器、及び、前記第二切断刃及び前記容器は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される、
切断装置。
【請求項2】
前記第一切断刃が前記第一面に隣接する面から侵入するように、前記支持部に支持された前記容器を、前記第一切断刃側に移動させる第一移動機構と、
前記第一切断刃による前記容器の切断が行われた後に、前記第二切断刃を、前記第一面に隣接していた面の切断端部から侵入させて移動させる第二移動機構と、
を備える請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記第一切断刃は、前記容器の下方から当接するように傾斜しており、
前記第二移動機構は、前記第二切断刃を、前記容器の切断と共に前記容器に対して近接するように移動させる、
請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記第一切断刃による前記容器の切断により流出した内容液を貯留する貯留容器と、
前記容器の前記第一面側を前記貯留容器の受け口の上部に配置し、前記第一移動機構及び前記第二移動機構を前記貯留容器に固定するメインフレームと、
を備える請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記第一面を下側に配置するように前記容器を傾斜した状態で支持する、請求項1に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第一切断刃が前記第一面に隣接する面から侵入するように、前記支持部に支持された前記容器を、前記第一切断刃側に移動させる第一移動機構と、
前記第一切断刃による前記容器の切断が行われた後に、前記第二切断刃を、前記第一面に隣接していた面の切断端部から侵入させて移動させる第二移動機構と、
を備える請求項5に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第一切断刃は、前記容器の下方から当接するように傾斜しており、
前記第二移動機構は、前記第二切断刃を、前記容器の切断と共に前記容器に対して近接するように移動させる、
請求項6に記載の切断装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料用の容器を切断する技術が提案されている。容器を切断する技術の一つとして、例えば、特許文献1には、紙パックの底面部が底面部差込筒に収容された状態で紙パックを固定支持している際、切断刃導入溝に外部から挿通された切断器具の刃を、当該切断刃導入溝に沿って誘導するように構成された、紙パック切断刃誘導器具が開示されている。切断器具は、紙パック切断刃誘導器具とは別体で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6799891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の器具は、紙パックを2層の平板状に加工することを想定した技術であり、複数の紙パックを処理して積層した場合には厚み方向に嵩張りやすくなってしまう。また、切断器具と紙パック切断刃誘導器具とが別体であると、安定した切断作業が難しいことも想定される。
【0005】
本開示は、作業性を向上させた容器の切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係る切断装置は、直方体状の容器を支持する支持部と、前記支持部に支持された状態の前記容器の第一面の近傍且つ前記第一面に互いに隣接する第二面乃至第四面を切断する第一切断刃と、前記第一面に隣接する面を前記第一面から離間する方向に切断する第二切断刃と、を備え、前記第一切断刃と前記容器、及び、前記第二切断刃及び前記容器は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される。
【発明の効果】
【0007】
上記手段を用いる本開示によれば、作業性を向上させた容器の切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】切断装置の斜視図である。
図2】メインフレームの斜視図である。
図3図3(A)は支持部を上方から見た斜視図である。図3(B)は支持部を下方から見た斜視図である。
図4図4(A)は第一切断部を一方側から見た斜視図である。図4(B)は第一切断部を他の一方側から見た斜視図である。
図5】カバー部材を下方側から見た斜視図である。
図6図6(A)は第二切断部を一方側から見た斜視図である。図6(B)は第二切断部を他の一方側から見た斜視図である。
図7】装置本体の右側面図である。
図8】容器の切断前を示す平面図である。
図9】容器を第一切断部により切断中の状態を示す平面図である。
図10図9の装置本体21のIX-IX断面図である。
図11】容器を第一切断部により切断し終えた状態を示す平面図である。
図12】容器を第一切断部により切断し終えた状態を示す斜視図である。
図13図13(A)は切断前の容器の斜視図である。図13(B)は切断後の容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、容器1の切断装置2の斜視図である。本実施形態の容器1は、図13(A)に示すように、紙製であって、ゲーブルトップ(gable top)型の略直方体状の形状を有する飲料用容器である。容器1には、例えば、牛乳、果実飲料等の内容液が充填される。
【0010】
切断装置2は、容器1の切断機能を有する装置本体21と、装置本体21の第一切断刃54による容器1の切断により流出した内容液Lを貯留する貯留容器22とを備える。本実施形態の切断装置2の説明では、装置本体21の第一切断部5側を前、その反対側を後ろとし(図2等参照)、図1の装置本体21側を上、貯留容器22側を下とする。また本実施形態では、装置本体21を後方から見た左側及び右側をそれぞれ切断装置2の左及び右とする。
【0011】
貯留容器22は、略直方体状の箱状に形成される。貯留容器22は、上面の一部に受け口221を有する。貯留容器22の本体側の一部には、ヒンジ部を介して蓋部222が接続される。受け口221の一部又は全部は、蓋部222により開閉可能に構成される。
【0012】
装置本体21は、装置本体21を貯留容器22に固定するメインフレーム3と、容器1の支持部4と、第一切断部5と、第二切断部6と、を備える。
【0013】
図2は、メインフレーム3の斜視図である。図2では、メインフレーム3に、第一切断部5及び第二切断部6を設置した状態を示している。メインフレーム3は、略矩形板状のベース部31、ベース部31の左右端から下方に延設される側壁部32(左側の側壁部32a,右側の側壁部32b)を有する。側壁部32は略直角三角形の板状に形成される。各側壁部32は、下端縁に沿って前後方向に配置された第一支持杆33(左側の支持杆33a,右側の支持杆33b)を有する。また、メインフレーム3は、左右の第一支持杆33a,33bの前端部を接続するように左右方向に配置された第二支持杆34と、左右の第一支持杆33a,33bの後端部を接続するように左右方向に配置された第三支持杆35と、を有する。第二支持杆34及び第三支持杆35は、第一支持杆33の下面に接続される。
【0014】
第二支持杆34は、前端部及び後端部から下方に延設された壁部341(図12も参照)と、左右方向にそれぞれ延設された載置部342とを有する。壁部341は、左右方向に亘って長尺な平板状の形状を有する。載置部342は、長矩形の平板状の形状を有する。載置部342の下面は、壁部341よりも上方に位置する。載置部342は、壁部341の左右の端部341aよりも各々左右両側に延設される。左右の端部341aは、メインフレーム3に対して、側壁部32よりも左右の両側に位置する。
【0015】
第二支持杆34の左側に設けられる載置部342は、左端部から下方に延設された外側の壁部343を有する。壁部343は、左右方向に貫通する雌螺子部を有する。壁部343は、この雌螺子部に左側後方から螺入される固定用螺子部材344を有する(図2のA方向から見た拡大図も参照)。
【0016】
第一支持杆33は、後端から下方に延設された外側の壁部331を有する。壁部331は、前後方向に貫通する雌螺子部を有する。壁部331は、この雌螺子部に後方から螺入される固定用螺子部材332を有する(図7の右側面図も参照)。また、第三支持杆35は、後端部から下方に延設された内側の壁部351を有する。
【0017】
メインフレーム3は、左右の載置部342を貯留容器22の受け口221の左縁221a及び右縁221bに載置し、第一支持杆33の後端部を貯留容器22の受け口221の後縁221cに載置することで、装置本体21の全体を、受け口221上に載置することができる。メインフレーム3の前方において、第二支持杆34の壁部341は受け口221内に挿入される。第三支持杆35の壁部351も、受け口221内に挿入される。従って、壁部341の端部341a、又は、壁部351の端部351aが、受け口221の左右壁の内面と当接することにより、メインフレーム3の左右方向への移動は規制される。また、メインフレーム3は、A部拡大図に示すように、固定用螺子部材344を螺入させることにより、第二支持杆34を、左縁221aに挟持させて、左右方向に固定される。さらに、メインフレーム3は、後方の固定用螺子部材332を螺入させることにより、第三支持杆35を、後縁221cに挟持させて、前後方向に固定される。
【0018】
これにより、メインフレーム3は、貯留容器22に対して、前後方向及び左右方向に固定される。また、メインフレーム3が貯留容器22の受け口221に対して固定されることにより、ベース部31は直角三角形状の側壁部32の斜辺に想到する縁部により予め設定された角度で固定される。
【0019】
メインフレーム3は、左右方向(第一方向)に配置された第一レール36と、略前後方向(第二方向)に配置された第二レール37とを有する。第一レール36は前後にペアで設けられる。また第二レール37は左右にペアで設けられる。
【0020】
第一レール36は、上面ガイド部361を有する。また、第一レール36は、互いに対向する内面側に、側面ガイド部362を有する。上面ガイド部361及び側面ガイド部362は、それぞれは、左右方向に形成された凹溝部である。支持部4は、ローラ416a(図3(B)参照)が上面ガイド部361によりガイドされ、ローラ416b(図3(B)参照)が側面ガイド部362によりガイドされることで、左右方向へ移動可能に構成される。また、支持部4は、ローラ416aが上面ガイド部361によりガイドされることで前後方向への移動が規制され、ローラ416bが側面ガイド部362によりガイドされることで上下方向への移動が規制される。
【0021】
このように、装置本体21は、第一レール36と支持部4を含む第一移動機構211を構成する。第一移動機構211により、第一切断刃54と、支持部4内に収容された容器1は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される。
【0022】
第二レール37は、上面側に、上面ガイド部371を有する。また、第二レール37は、互いに対向する内面側に、側面ガイド部372を有する。上面ガイド部371及び側面ガイド部372は、それぞれは、左右方向に形成された凹溝部である。第二切断部6は、ローラ612a(図6(B)参照)が上面ガイド部371によりガイドされ、ローラ612b(図6(B)参照)が側面ガイド部372によりガイドされることで、略前後向へ移動可能に構成される。また、第二切断部6は、ローラ612aが上面ガイド部371によりガイドされることで第二レール37に直交する略左右方向への移動が規制され、ローラ612bが側面ガイド部372によりガイドされることで上下方向(ベース部31の板厚方向)への移動が規制される。
【0023】
このように、装置本体21は、第二レール37と第二切断部6による第二移動機構212を構成する。第二移動機構212により、第二切断刃63と、支持部4内に収容された容器1は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される。第二切断刃63は、第一切断刃54(第一移動機構211)に対しても、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される。
【0024】
メインフレーム3は、第一レール36よりも第一切断部5が設けられる前方側にガイド板38を有する。ガイド板38は、支持部4に収容される容器1と略同じ高さ(例えば、半分以上の高さ)に形成される。ガイド板38は、支持部4の移動方向(換言すれば、容器1の移動方向)に対して略平行な二箇所の平坦部381,382と、これら平坦部381及び平坦部382を接続する傾斜部383とを有する。第一切断部5側に位置する平坦部382は、平坦部381よりも支持部4側に位置する。
【0025】
図3(A)は支持部4を上方から見た斜視図である。図3(B)は支持部4を下方から見た斜視図である。支持部4は、容器1の位置及び姿勢を支持する容器収容部41と、支持部4の第一レール36に対する位置を操作する操作部42とを有する。
【0026】
容器収容部41は、長矩形平板状の底板411、板状の第一側壁412及び第二側壁413を有する。底板411と第一側壁412は、略直角に接続される。第一側壁412は、前端部に容器収容部41とは反対側である操作部42側に延設された板状の保護部412aを有する。保護部412aは、支持部4を移動させて容器1を第一切断刃54により切断させる際に、把持部422を把持する作業者の腕を、第一切断刃54から保護する機能を有する。底板411と第二側壁413は、支持部4の後方に設けられた接続部材415を介して、前側を離間させた状態で略直角に接続される。従って、底板411の前端部411aから接続部材415の位置までの前後方向には、底板411と第二側壁413との間に、スリット413a(間隙)が形成される。スリット413aは、支持部4の左右方向に対して容器収容部41の内外を貫通する貫通部である。
【0027】
また、容器収容部41は、底板411、第一側壁412及び第二側壁413に隣接する第三側壁414を後方に有する。第三側壁414は、容器収容部41を底板411の法線方向から見た平面視において、左右対称な略鈍角V字状の内壁414aを有する。内壁414aの入隅部には、支持部4の後方に向けて延設されるスリット状の凹溝414bが形成される。また、第三側壁414は、内壁414a及び凹溝414bのうち、第二側壁413側を底板411から離間させたスリット414c(間隙)を有する(B部拡大図)。
【0028】
支持部4がスリット413a及びスリット414cを有することにより、第二切断部6の第二切断刃63は、容器収容部41の内部に挿通させた状態で、支持部4に対して(換言すれば、容器1に対して)相対移動させることが可能である。また、第三側壁414は、底板411に前後方向に設けられた長孔411bに沿って任意の前後位置で固定することができる。従って、容器収容部41は、容器の長さに応じて収容空間の長さを変更することもできる。
【0029】
図3(B)に示すように、容器収容部41の下面には、第一レール36の被ガイド部として機能する複数のローラ416a,416bが設けられる。各ローラ416a,416bは、底板411の板厚方向に回転軸を有するローラ416aと、底板411と平行であって支持部4の略前後方向に回転軸を有するローラ416bとを含む。
【0030】
さらに、容器収容部41は、下面において円柱状の突起部417を有する。突起部417は、メインフレーム3の第一レール36の間に設けられた規制突起311又は規制突起312と当接して、支持部4の第一レール36に沿った左右方向の移動を規制し、支持部4の移動範囲を設定する。
【0031】
操作部42は、容器収容部41の右側面に相当する第一側壁412側に設けられる。操作部42は、容器収容部41の外面から延設された腕部421を介して接続される把持部422と、一方の腕部421に回動可能に接続されて把持部422の下方に略平行に配置されたレバー423と、レバー423と回動軸423aを介して接続されてレバー423と連動して回動する棒状の係合部424を有する。係合部424は、支持部4の第一レール36上の位置に応じて、ベース部31において左右方向に複数設けられたいずれかの被係合部313(図2等参照)に係脱可能に構成される。係合部424と被係合部313が係合している状態では(例えば、図7における係合部424の実線で示した位置の状態)、支持部4の移動が規制される。係合部424の係合状態を解除する操作は、例えば、使用者がレバー423を把持部422と共に握って上方へ回動させることにより行われる。
【0032】
図4(A)は第一切断部5の一方側から見た斜視図である。図4(B)は第一切断部5の他の一方側から見た斜視図である。第一切断部5は、長矩形板状の本体部51と、本体部51の第一面側から固定された板状の第一支持部材52及び第二支持部材53と、第一切断刃54と、を有する。第一支持部材52は、C部拡大図に示すように、一部の直線状の縁部の先端が断面視(又は平面視)L字状に切り欠かれた段部521を有する。第一支持部材52は、段部521側を第二支持部材53に対向させるように配置して、第二支持部材53とともに本体部51に固定される。従って、第一支持部材52と第二支持部材53との間には、凹状の溝部55が形成される。溝部55は、第一切断刃54と略同じ厚み又はやや幅広に設けられる。
【0033】
第一切断刃54は、直線刃である。第一切断刃54は、峰部541側を溝部55内に収容させた状態で、刃元側を本体部51に対して固定する。従って、第一切断刃54は、峰部541において第一支持部材52と第二支持部材53により長手方向に亘って刃厚方向にも支持されるため、容器1を切断する際に切先542側を含む全体の姿勢が安定支持される。
【0034】
第一切断部5は、図2に示すように、ベース部31に対して刃先543が傾斜した状態で固定される。第一切断部5は、ベース部31に対して着脱可能である。本実施形態の第一切断刃54は、刃元から切先542側に向かうに従い、装置本体21の右から左に位置するように配置される。すなわち、第一切断刃54の刃先543は、第一切断刃54に対して接近してくる容器1に対して、容器1の下方から上方側に向かって当接(切断)するように傾斜している。
【0035】
図5は、カバー部材7の下方側から見た斜視図である。カバー部材7は、全体が略直方体状の箱状に形成される。カバー部材7は、平板状の壁部71a~71dにより左側、前側、後側、及び上側が囲われて、前後に長尺に形成される。左側の壁部71aは、前後の壁部71b,71cよりも上下幅が短尺に形成される。また、前後の壁部71b及び壁部71cの先端部は、互いに反対側へ略直角に折り曲げられて、ベース部31に対して接続するための鍔状の接続部71b1,71c1を有する。各接続部71b1,71c1には、長孔状の位置決め孔711と、固定用の螺子を挿通する螺子用孔712とが形成される。前側の壁部71bは、左下の角部において長矩形状に切り欠かれた切欠部71b2を有する。
【0036】
上方の壁部71dの内面71d1の一部は、傾斜部71d2を介して下方に突出している。傾斜部71d2は、支持部4に支持された容器1を、カバー部材7の外部から内部へ移動させる際のガイド部として機能する。カバー部材7内に収容された状態の容器1は、カバー部材7の内面71d1と容器収容部41とにより、上下方向への移動が規制されて安定支持される。
【0037】
また、カバー部材7は、内部に切断された容器1の一部の面をガイドする容器ガイド部72を有する。容器ガイド部72は略直角三角形の平板状に形成されて、左側の壁部71aの内面から突出するように設けられる。容器ガイド部72は、図1においてカバー部材7が取り付けられた状態の容器1側の端縁721を、左右方向に対して略平行に有する。また、容器ガイド部72は、容器1とは反対側の端縁722を、壁部71aに対して傾斜させて設けている。
【0038】
カバー部材7の複数の位置決め孔711には、それぞれベース部31に設けられた位置決め突起317が挿通される。そして、カバー部材7は、螺子部材73を、螺子用孔712を介して螺子孔318に螺子締結することにより、ベース部31に固定される。
【0039】
図6(A)は第二切断部6の一方側から見た斜視図である。図6(B)は第二切断部6の他の一方側から見た斜視図である。第二切断部6は、厚板状のベース部61と、ベース部61と略平行に配置された円柱棒状の把持部62と、ベース部61の上面側に着脱可能に固定された第二切断刃63と、を有する。把持部62は、上方に延設された基部64を介して、ベース部61から上方に離間した状態で接続される。
【0040】
第二切断刃63は、直線刃である。第二切断刃63は、ベース部61の上面に形成された座繰部611内に収容された状態で、上方から平板状の固定部材65と座繰部611の底部とにより挟持されることで、支持及び固定される。第二切断刃63は、切先631側が基部632側よりも前方に位置するように、刃先633を傾斜させて配置される(図8等も参照)。
【0041】
図6(B)に示すように、第二切断部6の下面には、第二レール37の被ガイド部として機能する複数のローラ612a,612bが設けられる。各ローラ612a,612bは、ベース部61の板厚方向に回転軸を有するローラ612aと、ベース部61と平行であってベース部61の略左右方向に回転軸を有するローラ612bとを含む。
【0042】
ベース部61は、下面において円柱状の突起部613を有する。突起部613は、メインフレーム3の第二レール37の間に設けられた規制突起314又は規制突起315(図12参照)と当接して、第二切断部6の第二レール37に沿った略前後方向の移動を規制し、第二切断部6の移動範囲を設定する。
【0043】
次に、切断装置2の動作について説明する。図8乃至図11は、メインフレーム3のベース部31の法線方向から見た図であり、カバー部材7の図示を省略して示している(但し、説明のため、容器ガイド部72の位置は図示している)。また、容器1は横断面により図示している。
【0044】
まず、容器収容部41に容器1を配置する場合、図8に示すように、第一移動機構211により、支持部4を第一切断部5から離間した位置に移動させる。支持部4は、容器1の第一面11(底面)を下側に配置して、容器収容部41内において容器1を傾斜した状態で支持する(図7の容器収容部41の側面図も参照)。また、容器1は、第一面11側を貯留容器22の受け口221の上部に配置される。装置本体21が受け口221に固定されることにより、第一移動機構211及び第二移動機構212は貯留容器22に固定される。使用者が把持部422及びレバー423を把持する等して、レバー423を上方に引き上げると、係合部424の被係合部313に対する係合が解除されて、支持部4は第一レール36に沿って移動可能な状態となる。
【0045】
支持部4が第一切断刃54側に移動すると、容器1の第一面11は、ガイド板38によって傾斜部383及び平坦部382の順にガイドされて支持部4の後方側へ付勢される。これにより、容器1は、容器収容部41の後方に位置する第三側壁414側へ押し付けられ、前後方向に安定支持され、一方で、容器1の底面部(第一面11)が平坦部381の位置、すなわち容器1の出し入れを行う際の位置においては、容器1に対する付勢が解除されているため、容易に容器1の出し入れが可能となる。
【0046】
図9に示すように、第一移動機構211は、第一切断刃54が第一面11に隣接する面(本実施形態では容器1の左側の第二面12)から侵入するように、支持部4に支持された容器1を、第一切断刃54側に移動させる。従って、容器1は、第一切断刃54により切断されながら移動する。また、第一切断刃54は、傾斜しているため、容器1の下方から上方へ向けて当接するように容器1に侵入して切断する。容器1の第一面11側は、切断された部位から順に、第一支持部材52の外側の傾斜面522によって、容器1から離間する方向へガイドされる。従って、容器1は、切断口が広がりながら第二切断部6側へ移動する。
【0047】
図10は、図9のIX-IX断面拡大図である。容器1の内部に内容液Lが含まれている場合、容器1の一部が切断されることにより、内容液Lが流出する。このとき、端縁722によって第一面11が持ち上げられるため、内容液Lは容易に流出することが出来る。本実施形態の切断装置2は、第一切断刃54がベース部31の開口部316の略上方に設けられているため、容器1の切断位置は開口部316の略上方に位置している。従って、容器1の切断により流出した内容液Lは、開口部316及び受け口221を介して、貯留容器22内に排出される。
【0048】
図11に示すように、容器1が支持部4と共にさらに移動すると、第一切断刃54は、支持部4に支持された状態の容器1の第一面11の近傍であって、且つ、第一面11に互いに隣接する第二面12乃至第四面14(隣接する三側面)を切断する。第二面12乃至第四面14が切断された第一面11側の部位は、端縁722及び第二切断刃63の先端傾斜部634にガイドされて、容器収容部41とは反対側へ付勢される。第一面11側の部位は第五面15と接続されたまま、開動作する。また、第二面12の切断端部121が端縁721により容器収容部41の第三側壁414側へ固定されるため、図11のE部拡大図に示すように、第二面12に隣接する第三面13の切断端部131も第三側壁414側へ付勢される。第一切断刃54により切断された容器1の斜視図は、図12に示される。
【0049】
図12は、容器1を第一切断部5により切断し終えた状態を示す装置本体21の斜視図である。第一切断刃54による容器1の切断が行われた後に、使用者は、第二移動機構212の把持部62を把持する等して、装置本体21の手前側に引くように操作する。第二移動機構212は、第二切断刃63を、容器1の切断と共に容器1に対して近接するように移動させる。本実施形態では、第二移動機構212は、第二切断刃63を、第一面11に隣接していた面(ここでは第二面12)の切断端部121から侵入させて、第一面11から離間する方向である後方方向へ移動させながら第二面12を切断する。第二面12を切断した後の第二切断部6-1(6)の位置は、図12の点線で示される。
【0050】
その後、使用者は、把持部62を操作して第二切断部6を前方側の待機位置に戻し、さらに把持部422を操作して支持部4を右方側の待機位置に戻す(図8の状態)。支持部4が待機位置に位置するとき、作業者は切断済の容器1を容器収容部41内から取り出すことができる。
【0051】
図13(B)は、第一切断部5及び第二切断部6により切断された容器1の斜視図である。容器1は、第一切断部5により、第一面11の近傍且つ第一面11に互いに隣接する第二面12乃至第四面14(隣接する三側面)が切断されている。切断済の容器1では、第一面11は、第一面11、第二面12及び第四面14と隣接し、且つ、第三面13と対向する第五面15と境界縁同士が接続された状態を維持している。
【0052】
また、容器1の第二面12には、第二切断刃63により切断された切込部122が形成される。また、容器1の第二面12に隣接するゲーブル部16の傾斜部161にも、第二切断刃63により切断された切込部162が、切込部122と連続して形成される。切断済の容器1は、例えば、作業者により切込部122の対向する縁部を広げるように操作されると、ゲーブル部16の接合された対向する傾斜部161同士が破断又は剥離し分離される。そして、切込部122の対向する縁部を更に広げるように操作すると、底面に相当する第一面11、側面に相当する第二面12乃至第五面15、及び、ゲーブル部16が展開されて、容器1全体を平坦状に変形させることができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、直方体状の容器1を支持する支持部4と、支持部4に支持された状態の容器1の第一面11の近傍且つ第一面11に互いに隣接する第二面12乃至第四面14を切断する第一切断刃54と、第一面11に隣接する面を第一面11から離間する方向に切断する第二切断刃63と、を備える切断装置2について説明した。この切断装置2において、第一切断刃54と容器1、及び、第二切断刃63及び容器1は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される、したがって、容器1は、支持部4に支持された安定した状態で、予め設けられた第一切断刃54及び第二切断刃63によって複数個所が切断される。従って、本実施形態の切断装置2は、従来の技術よりも作業性を向上させることができる。また、本実施形態の切断装置2は容器1に内容液Lが含まれていた場合は、装置本体21を貯留容器22と共に用いることで、周囲への漏液を防止することもできる。
【0054】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0055】
例えば、貯留容器22は、受け口221とは別の位置(例えば、貯留容器22の底面の近傍位置)に、排液用の流路を設けてもよい。これにより、容器1から貯留容器22内に流入した内容液Lを、別の位置に流動させることができる。
【0056】
また、容器1は、ブリック型等のその他の略直方体状の形状であってもよい。さらに、容器1は、円柱状、三角柱状等のその他の立体形状であってもよい。
【0057】
また、第一切断刃54と、支持部4内に収容された容器1は、相対的に接近又は離間方向に移動させる第一移動機構211は、図示はしないが、第一切断刃54又は第一切断刃54に相当する刃を支持部4に対して接近又は離間方向に移動させる構成であってもよい。
【0058】
また、第二切断刃63と、支持部4内に収容された容器1は、相対的に接近又は離間方向に移動させる第二移動機構212は、図示はしないが、支持部4が第二切断刃63又は第二切断刃63に相当する刃に対して接近又は離間方向に移動させる構成であってもよい。
【0059】
本開示は、例えば以下の態様を含む。
[1]
直方体状の容器を支持する支持部と、
前記支持部に支持された状態の前記容器の第一面の近傍且つ前記第一面に互いに隣接する第二面乃至第四面を切断する第一切断刃と、
前記第一面に隣接する面を前記第一面から離間する方向に切断する第二切断刃と、
を備え、
前記第一切断刃と前記容器、及び、前記第二切断刃及び前記容器は、相対的に接近又は離間方向に移動可能に構成される、
切断装置。
[2]
前記第一切断刃が前記第一面に隣接する面から侵入するように、前記支持部に支持された前記容器を、前記第一切断刃側に移動させる第一移動機構と、
前記第一切断刃による前記容器の切断が行われた後に、前記第二切断刃を、前記第一面に隣接していた面の切断端部から侵入させて移動させる第二移動機構と、
を備える[1]に記載の切断装置。
[3]
前記第一切断刃は、前記容器の下方から当接するように傾斜しており、
前記第二移動機構は、前記第二切断刃を、前記容器の切断と共に前記容器に対して近接するように移動させる、
[2]に記載の切断装置。
[4]
前記第一切断刃による前記容器の切断により流出した内容液を貯留する貯留容器と、
前記容器の前記第一面側を前記貯留容器の受け口の上部に配置し、前記第一移動機構及び前記第二移動機構を前記貯留容器に固定するメインフレームと、
を備える[3]に記載の切断装置。
[5]
前記支持部は、前記第一面を下側に配置するように前記容器を傾斜した状態で支持する、[1]に記載の切断装置。
[6]
前記第一切断刃が前記第一面に隣接する面から侵入するように、前記支持部に支持された前記容器を、前記第一切断刃側に移動させる第一移動機構と、
前記第一切断刃による前記容器の切断が行われた後に、前記第二切断刃を、前記第一面に隣接していた面の切断端部から侵入させて移動させる第二移動機構と、
を備える[5]に記載の切断装置。
[7]
前記第一切断刃は、前記容器の下方から当接するように傾斜しており、
前記第二移動機構は、前記第二切断刃を、前記容器の切断と共に前記容器に対して近接するように移動させる、
[6]に記載の切断装置。
【符号の説明】
【0060】
1 容器
2 切断装置
3 メインフレーム
4 支持部
5 第一切断部
6,6-1 第二切断部
7 カバー部材
11 第一面
12 第二面
13 第三面
14 第四面
15 第五面
16 ゲーブル部
21 装置本体
22 貯留容器
31 ベース部
32(32a,32b) 側壁部
33(33a,33b) 第一支持杆
34 第二支持杆
35 第三支持杆
36 第一レール
37 第二レール
38 ガイド板
41 容器収容部
42 操作部
51 本体部
52 第一支持部材
53 第二支持部材
54 第一切断刃
55 溝部
61 ベース部
62 把持部
63 第二切断刃
64 基部
65 固定部材
71a~71d 壁部
71b1 接続部
71b2 切欠部
71c1 接続部
71d1 内面
71d2 傾斜部
72 容器ガイド部
73 螺子部材
121 切断端部
122 切込部
161 傾斜部
162 切込部
211 第一移動機構
212 第二移動機構
221 受け口
221a 左縁
221b 右縁
221c 後縁
222 蓋部
311 規制突起
312 規制突起
313 被係合部
314 規制突起
315 規制突起
316 開口部
317 位置決め突起
318 螺子孔
331 壁部
332 固定用螺子部材
341 壁部
341a 端部
342 載置部
343 壁部
344 固定用螺子部材
351 壁部
351a 端部
361 上面ガイド部
362 側面ガイド部
371 上面ガイド部
372 側面ガイド部
381 平坦部
382 平坦部
383 傾斜部
411 底板
411a 前端部
411b 長孔
412 第一側壁
412a 保護部
413 第二側壁
413a スリット
414 第三側壁
414a 内壁
414b 凹溝
414c スリット
415 接続部材
416a,416b ローラ
417 突起部
421 腕部
422 把持部
423 レバー
423a 回動軸
424 係合部
521 段部
522 傾斜面
541 峰部
542 切先
543 刃先
611 座繰部
612a,612b ローラ
613 突起部
631 切先
632 基部
633 刃先
711 位置決め孔
712 螺子用孔
721 端縁
722 端縁
L 内容液


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13