(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009313
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112230
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】梶 彩子
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA22
2E025AA25
(57)【要約】
【課題】洗濯に関する作業を効率化できる建築物を提供する。
【解決手段】建築物1は、第1側面16と第1側面16の反対側の第2側面17とを有し、かつ、畳20が敷かれる小上がり15を含む作業室11と、小上がり15の第1側面16に沿うように、小上がり15の横に配置される作業台12と、第2側面17に隣接するように設けられる収納室13と、物干部材14と、を備える。作業室11は、作業室11と収納室13とを隔てる第1壁21を有する。第1壁21は、開口部22を有する。物干部材14は、作業台12の上から開口部22を介して収納室13まで延びるように、作業室11に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物であって、
第1側面と前記第1側面の反対側の第2側面とを有し、かつ、畳が敷かれる小上がりを含む作業室と、
前記小上がりの前記第1側面に沿うように、前記小上がりの横に配置される作業台と、
前記第2側面に隣接するように設けられる収納室と、
物干部材と、を備え、
前記作業室は、前記作業室と前記収納室とを隔てる第1壁を有し、
前記第1壁は、開口部を有し、
前記物干部材は、前記作業台の上から前記開口部を介して前記収納室まで延びるように、前記作業室に配置される、
建築物。
【請求項2】
前記収納室は、ウォークインクローゼットである、
請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
前記作業室に隣接するように設けられる第1室を備え、
前記第1室は、前記作業台を介して前記作業室と繋がる、
請求項1に記載の建築物。
【請求項4】
前記作業室の作業床面は、前記収納室の収納床面よりも高い、
請求項1に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
家事を行うための作業室を備える建築物が知られている。特許文献1の建築物では、共用領域(同文献では、パブリック部ともいう)と、共用領域に隣接して連通する床上げ部と、共用領域及び床上げ部に隣接して連通する屋内の物干し部と、を備える。この技術では、洗濯の一連の作業や移動の負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な事情によって家事を行う時間の確保が難しくなっている。例えば、共働きの家庭では家事の時間を十分に確保することが難しい。家事をより効率的に行うことができる建築物が求められている。従来の建築物によれば、洗濯の一連の作業や移動の負担を軽減できる。しかし、家事の効率化については、さらなる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物は、建築物であって、第1側面と前記第1側面の反対側の第2側面とを有し、かつ、畳が敷かれる小上がりを含む作業室と、前記小上がりの前記第1側面に沿うように、前記小上がりの横に配置される作業台と、前記第2側面に隣接するように設けられる収納室と、物干部材と、を備え、前記作業室は、前記作業室と前記収納室とを隔てる第1壁を有し、前記第1壁は、開口部を有し、前記物干部材は、前記作業台の上から前記開口部を介して前記収納室まで延びるように、前記作業室に配置される。
【0006】
この構成によれば、物干部材の一部が作業台の上に位置するため、作業台において衣類にアイロンを掛けた後に、物干部材に衣類を吊るし易い。物干部材は作業台の上から収納室まで延びるため、アイロン掛け後の衣類を物干部材に吊るしたまま、作業室から収納室まで移動させることができる。物干部材によって、各作業における衣類の移動が容易になるため、衣類を洗濯してから収納するまでの作業を効率化できる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の建築物において、前記収納室は、ウォークインクローゼットである。この構成によれば、収納室がウォークインクローゼットであるため、衣類を簡単に収納できる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の建築物において、前記作業室に隣接するように設けられる第1室を備え、前記第1室は、前記作業台を介して前記作業室と繋がる。この構成によれば、作業室が第1室と繋がるため、作業者は、作業室または作業台において作業中に、第1室にいる家族等とコミュニケーションできる。したがって、作業室の作業者が、孤立感を感じ難くできる。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の建築物において、前記作業室の作業床面は、前記収納室の収納床面よりも高い。この構成によれば、作業床面の方が収納床面よりも高いため、作業室の方が収納室よりも物干部材に衣類を吊るし易い。したがって、部屋構造では、衣類を物干部材に作業室において好適に吊るすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の建築物は、洗濯に関する作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施形態の建築物を側面から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
図1から
図4を参照して、実施形態に係る建築物1について説明する。
【0013】
<建築物>
図1は、建築物1の一例を示す。建築物1として、戸建ての住宅、集合住宅、および、公共施設が挙げられる。本実施形態における建築物1は、戸建ての住宅である。建築物1は、窓2と、窓2に沿って配置される屋外張出部3と、を有する。屋外張出部3は、バルコニーまたはベランダである。窓2は、水平方向において、第1外壁4と、第2外壁5と、の間に設けられる。
【0014】
図2に示されるように、建築物1は、部屋構造10を有する。部屋構造10は、建築物1に設けられる。本実施形態の部屋構造10は、建築物1のうちの屋外張出部3が設けられる階に設けられる。建築物1は、作業室11と、作業台12と、収納室13と、物干部材14と、を備える。部屋構造10は、作業室11、作業台12、収納室13、および物干部材14によって構成される。
【0015】
<作業室>
図2に示されるように、作業室11は、家事等の作業を行うための部屋である。家事等の作業は、例えば、洗濯に関する作業である。作業室11において行われる洗濯に関する作業の一例として、例えば、洗濯物を干す、洗濯物を取り込む、洗濯物を畳む、洗濯物にアイロンを掛ける等が挙げられる。以下の説明では、洗濯に関する作業を、衣類の洗濯に関する作業として説明する。洗濯に関する作業は、タオル、ハンカチ、シーツ、毛布、布団等の衣類以外の布製品の洗濯に関する作業であってもよい。作業室11では、洗濯に関する作業だけでなく、掃除、整理整頓、育児、介護等の作業が行われてもよい。作業室11は、家事等の作業だけでなく、建築物1に住む家族がくつろぐ、子どもが遊ぶ、乳幼児を寝かせる等の目的で使用されてもよい。
【0016】
作業室11は、窓2を有してもよい。窓2は、作業室11と屋外張出部3との間に位置する。作業者は、窓2を通って作業室11から屋外張出部3へ移動できる。屋外張出部3には、追加物干部材3Aが配置されてもよい。追加物干部材3Aには、例えば洗濯後の衣類が干されてもよい。作業室11は、第1外壁4の一部に面する。作業室11は、第2外壁5の一部に面してもよい。
【0017】
作業室11は、小上がり15を含む。小上がり15は、第1側面16と第1側面16の反対側の第2側面17とを有する。小上がり15は、屋外張出部3に沿う第3側面18と、第3側面18の反対側の第4側面19と、を有する。作業室11には、作業室11と屋外張出部3とを区画するように、第3側面18に沿う壁が配置されてもよい。
【0018】
小上がり15は、畳20が敷かれる。畳20として、い草製、和紙製、または樹脂製の畳を使用できる。畳20は、長方形の畳であってもよく、正方形の畳であってもよい。畳20が湿気を吸収することによって、作業室11の湿気が吸収される。畳20は、洗濯後の濡れた衣類の水気が垂れても、好適にふき取ることができる。
【0019】
畳20は、木材等によって構成される床板と比較してクッション性を有する。小上がり15に畳20が敷かれるため、床材が床板で構成される場合と比べて、小上がり15の上に直接腰掛け易い。畳20が敷かれる小上がり15は、作業者が作業室11または作業台12において作業する場合に、乳幼児を寝かせる場所としても利用できる。
【0020】
作業室11は、作業室11と収納室13とを隔てる第1壁21を有する。第1壁21は、作業室11と収納室13との間に位置する。第1壁21は、第2外壁5から室内に向かって延びる。平面視において、第1壁21は、第2側面17に沿うように配置される。平面視において、第1壁21は、小上がり15と重なる。第1壁21は、平面視において、小上がり15と重ならないように配置されてもよい。
【0021】
第1壁21は、開口部22を有する。開口部22によって、作業室11と収納室13とが連通する。本実施形態では、開口部22は、第1壁21において第3側面18の近くの領域に配置される。開口部22は、第1壁21において中心付近の領域に配置されてもよい。また、第1壁21において第4側面19の近くの領域に配置されてもよい。
【0022】
<作業台>
図2に示される作業台12上では、例えば、洗濯後の衣類を畳む、洗濯後の衣類にアイロンを掛ける等の作業が行われる。作業台12の用途は、洗濯に関する作業に限定されない。作業台12は、整理整頓、裁縫等の家事、工作、勉強等に使用されてもよい。作業台12は、小上がり15の第1側面16に沿うように、小上がり15の横に配置される。本実施形態の作業台12は、第1外壁4と隣接するように配置される。作業台12は、第1外壁4と一体に構成されてもよい。
【0023】
図3に示される作業者W1のように、作業台12は、作業者が第1側面16から第2側面17に向かう第1方向D1を向いて作業できるように配置される。作業者が作業台12の上において第1方向D1を向いて作業する場合に、作業者は、立ち上がった状態において作業できる。作業台12には、第1方向D1を向いて作業する場合に座った状態において作業できるように椅子が配置されてもよい。作業台12に椅子が配置されることによって、立ち上がった状態において作業するか、または椅子に座った状態において作業するかを、作業者が選択できる。
【0024】
図3に示される作業者W2のように、作業台12は、第1方向D1とは反対の第2方向D2を向いて作業できるように配置される。作業者が第2方向D2を向いて作業する場合に、作業者は、小上がり15に座った状態において作業できる。作業台12では、立ち上がった状態、または座った状態の異なる姿勢によって作業できるため、作業者は、作業によって作業中の姿勢を選択できる。作業者は、例えば他の家事の合間に作業するような忙しい場合は、立った状態において作業台12を使って作業できる。また、作業者は、例えば作業時間のかかる作業を行う場合は、小上がり15に座った状態において、作業台12を使って作業できる。
【0025】
図4は、作業台12を第1方向D1から見た場合を示す。
図4に示されるように、作業台12は、天板23と、収納棚24と、を有する。天板23は、木材、タイル等によって構成される。
【0026】
収納棚24には、アイロン、アイロン台、霧吹き等の道具24Tが収納される。
図4では、収納棚24が開放型の棚であるが、収納棚24は、扉付きの棚であってもよい。収納棚24が扉付きの場合、子供が道具24Tに触れることを防止するために、扉に鍵が取り付けられてもよい。収納棚24は、天板23から独立したキャビネットであってもよい。収納棚24は、道具24Tを、小上がり15側から取り出すことができるように構成されてもよい。
【0027】
<第1室>
図2に示されるように、建築物1は、作業室11に隣接するように設けられる第1室25を備える。第1室25は、作業室11から見て、収納室13とは反対側に位置する。第1室25は、廊下、階段、キッチン、浴室、洗面所、玄関等の施設が配置される部屋である。第1室25は、リビング、ダイニング、寝室、子供部屋等の部屋であってもよい。
【0028】
第1室25は、作業台12を介して作業室11と繋がる。第1室25と作業室11との間には、作業台12が配置される。第1室25と作業室11との間には、壁が設けられない。
【0029】
第1室25は、平面視において、建築物1の第2室6と繋がってもよい。第2室6は、小上がり15の第4側面19に面する。第2室6には、例えば建築物1の廊下が配置される。第2室6と作業室11とを区画するように、第4側面19に沿う壁が配置されてもよい。
【0030】
<収納室>
図2に示されるように、収納室13は、第2側面17に隣接するように設けられる。本実施形態の収納室13は、ウォークインクローゼット13Wである。ウォークインクローゼット13Wの一例は、ウォークスルークローゼットである。収納室13には、洗濯後の衣類が収納される。収納室13には、タオル、ハンカチ、シーツ、毛布、布団等の衣類以外の布製品、帽子、メガネ、バッグ等の小物が収納されてもよい。
【0031】
ウォークインクローゼット13Wは、1つ以上の吊下部材26を有する。吊下部材26は、収納室13の壁に取り付けられる。吊下部材26は、例えばハンガーパイプを有する。吊下部材26には、ハンガーによって衣類が吊下げられる。ウォークインクローゼット13Wには、収納用の棚が設けられてもよい。
【0032】
収納室13は、第1方向D1において、第1壁21とは反対側の第2壁27を有する。収納室13は、第1方向D1において、第1壁21と第2壁27との間に位置する。収納室13は、出入口28を有する。出入口28は、収納室13と第2室6とを接続する。出入口28によって、第2室6から収納室13に入室できる。出入口28には、開き戸、引き戸、折れ戸等の扉が設けられてもよい。
【0033】
<物干部材>
図3に示される物干部材14には、洗濯後の濡れている衣類、作業室11または屋外張出部3で干された後の衣類、アイロンを掛け終わった後の衣類等が、ハンガーによって吊るされる。物干部材14は、例えばハンガーパイプを有する。物干部材14は、建築物1の天井7に取り付けられる。物干部材14は、建築物1の内壁に取り付けられてもよい。物干部材14の一部は、作業室11に配置される。
【0034】
物干部材14は、ハンガーが掛けられるパイプ14Pと、パイプ14Pを天井7から吊下げる2つの吊下げ部14Qと、を有する。2つの吊下げ部14Qのうちの1つは、作業台12の上に配置される。2つの吊下げ部14Qのうちの他の1つは、収納室13に配置される。吊下げ部14Qは、金具等によって天井7に接続される。
【0035】
図2に示されるように、物干部材14は、作業台12の上から開口部22を介して収納室13まで延びるように、作業室11に配置される。物干部材14の一端部14Aは、作業室11に配置される。一例では、物干部材14の一端部14Aは、作業台12の上に位置する。物干部材14の一端部14Aは、第1室25に位置してもよい。物干部材14の他端部14Bは、収納室13に配置される。
【0036】
物干部材14の一部は、作業室11において小上がり15の上に位置する。平面視において、物干部材14は、小上がり15の第1側面16から第2側面17までを通過する。平面視において、物干部材14は、収納室13において吊下部材26と並んで配置されてもよい。物干部材14と吊下部材26とが並んで配置されることによって、物干部材14に吊下げられる衣類を、吊下部材26に移動し易い。
【0037】
本実施形態では、物干部材14は、窓2、第1外壁4、および第2外壁5に沿うように配置される。平面視において、物干部材14は、窓2を挟んで屋外張出部3の追加物干部材3Aと平行に並んで配置される。物干部材14と追加物干部材3Aとが平行に並んで配置されることによって、衣類を、物干部材14と追加物干部材3Aとの間において移動し易い。
【0038】
<作業台等の寸法>
図2に示されるように、第1方向D1において、作業台12の寸法L1は、例えば、0.5m以上かつ1m以下である。一例では、作業台12の寸法L1は、0.5mである。作業台12の寸法L1は、例えば、第1方向D1における作業台12の第1端部12Aから作業台12の第2端部12Bまでの寸法である。
【0039】
第1方向D1において、作業室11の寸法L2は、例えば、2.5m以上かつ3.5m以下である。一例では、作業室11の寸法L2は、3mである。作業室11の寸法L2は、例えば、第1方向D1における作業台12の第2端部12Bから、第1壁21までの寸法である。
【0040】
第1方向D1において、収納室13の寸法L3は、例えば、2.5m以上かつ3.5m以下である。一例では、収納室13の寸法L3は、3mである。収納室13の寸法L3は、例えば、第1方向D1における第1壁21から第2壁27までの寸法である。一例では、第1方向D1において、作業室11の寸法L2は、収納室13の寸法L3と概ね等しい。作業室11の寸法L2は、収納室13の寸法L3と異なっていてもよい。
【0041】
図3に示されるように、作業室11の作業床面11Xは、収納室13の収納床面13Xよりも高い。作業室11の作業床面11Xは、小上がり15の床面である。収納室13の収納床面13Xは、ウォークインクローゼット13Wの床面である。収納室13の収納床面13Xから作業室11の作業床面11Xまでの高さH1は、例えば、420mm以上かつ450mm以下である。一例では、高さH1は、430mm以上かつ440mm以下である。
【0042】
収納室13の収納床面13Xから作業台12の天板23の上面までの高さH2は、例えば、750mm以上かつ800mm以下である。一例では、高さH2は、760mm以上かつ790mm以下である。高さH1および高さH2は、作業者W2が、小上がり15に座った状態において作業台12で作業し易い高さに設定される。
【0043】
作業室11の作業床面11Xから物干部材14までの高さH3は、例えば、1600mm以上かつ1800mm以下である。一例では、高さH3は、例えば、1650mm以上かつ1750mm以下である。高さH3は、大人が小上がり15に立った場合に頭が物干部材14に当たり難く、子供が小上がり15に立った状態において物干部材14に衣類を吊下げることができるような高さに設定される。
【0044】
物干部材14から天井7までの高さH4は、例えば、280mm以上かつ450mm以下である。一例では、高さH4は、330mm以上かつ400mm以下である。収納室13の収納床面13Xから天井7までの高さH5は、例えば、2300mm以上かつ2500mm以下である。一例では、高さH5は、2500mmである。
【0045】
<建築物における作業>
図3を参照して、建築物1において、作業者による衣類を洗濯してから収納するまでの作業について説明する。作業者は、洗濯後の濡れている衣類を、作業室11において、ハンガーによって物干部材14に室内干しする。濡れている衣類を物干部材14に室内干しする作業は、小上がり15の上において行われる。小上がり15には、畳20が敷かれているため、小上がり15は、濡れている衣類の水気が垂れて畳20が濡れたとしても簡単に手入れができる。濡れている衣類は、物干部材14に吊下げられることによって室内干しされる。濡れている衣類は、屋外張出部3の追加物干部材3Aに吊下げられることによって屋外干しされてもよい。
【0046】
作業者は、物干部材14に室内干しされることによって乾いた衣類を、物干部材14に吊下げたまま、作業台12付近まで第2方向D2にスライド移動させる。または、追加物干部材3Aに屋外干しされることによって乾いた衣類を、物干部材14に移動した後に、物干部材14に吊下げたまま、作業台12付近まで第2方向D2にスライド移動させる。作業者は、作業台12において、物干部材14に吊下げられた衣類にアイロンを掛ける。アイロンを掛け終わると、作業者は、衣類を物干部材14に、再び吊下げる。また、アイロンは、アイロンを掛け終わると収納棚24に収納される。
【0047】
作業者は、アイロンを掛け終わった衣類を物干部材14に吊下げたまま、収納室13まで第1方向D1にスライド移動させる。衣類は、開口部22を通って収納室13まで移動する。作業者は、物干部材14から、ウォークインクローゼット13Wの吊下部材26に衣類を移動する。作業者は、ウォークインクローゼット13W内の棚に衣類を収納してもよい。衣類にアイロン掛けをしない場合、作業者は、作業台12付近までスライド移動させずに、衣類を作業室11から収納室13までスライド移動してもよい。
【0048】
本実施形態の第1の作用を説明する。
作業室11に物干部材14が配置されることによって、時間、天候等に関わらずに洗濯物を干すことができるため、作業者の都合に応じて洗濯に関する作業を行うことができる。物干部材14は、作業室11から収納室13にわたって配置されるため、作業者は、衣類を物干部材14に吊下げたままスライド移動できる。衣類を物干部材14に吊下げたまま移動できるため、作業者は、洗濯に関する作業を通して衣類を持って運ぶ距離を短くできる。また、作業台12の収納棚24にアイロン等の道具24Tが収納されているため、アイロン掛けの後に、道具24Tを持ち運ぶ必要がない。建築物1では、衣類を洗濯してから収納するまでの一連の動作を効率的に行うことができる。
【0049】
本実施形態の第2の作用を説明する。
建築物1では、小上がり15の畳20の上で作業したり、小上がり15に座って作業台12上で作業したり、立ち上がって作業台12の上で作業したりと、様々な姿勢で作業できる。作業台12が第1室25に面するため、作業者は、洗濯以外の家事の合間に、第1室25を通過するついでに作業台12において簡単な作業を行うこともできる。また、小上がり15が第2室6と繋がっているため、第2室6の廊下を通過するついでに、小上がり15において簡単な作業を行うこともできる。建築物1では、作業者が作業できるときに、作業の種類に適した姿勢によって作業できるため、作業者が作業時にストレスを感じ難い。
【0050】
本実施形態の第3の作用を説明する。
作業台12は、第1方向D1および第2方向D2のどちらからでも作業できるように構成されているため、作業者は、第1室25または小上がり15にいる家族と会話をしながら作業できる。小上がり15には畳20が敷かれているため、大人だけでなく子供でも、畳20の上に腰掛けて衣類を畳む作業を行い易い。また、物干部材14は子供の手が届き易い高さに設定されるため、子供が物干部材14に衣類を干したり、物干部材14に干されている衣類を取り入れたりする作業を行い易い。このように、建築物1では、作業者は、作業室11外の家族と会話をしながら、または作業室11の子供と一緒に、家事等の作業を行うことができる。
【0051】
本実施形態の効果を説明する。
(1)建築物1は、作業室11と、作業台12と、収納室13と、物干部材14と、を備える。作業室11は、小上がり15を含む。作業台12は、小上がり15の横に配置される。収納室13は、小上がり15の第2側面17に隣接するように設けられる。作業室11は、作業室11と収納室13とを隔てる第1壁21を有する。第1壁21は、開口部22を有する。物干部材14は、開口部22を介して作業台12の上から収納室13まで延びるように、作業室11に配置される。
【0052】
この構成によれば、物干部材14の一部が作業台12の上に位置するため、作業台12において衣類にアイロンを掛けた後に、物干部材14に衣類を吊るし易い。物干部材14が作業台12の上から収納室13まで延びるため、アイロン掛け後の衣類を物干部材14に吊るしたまま、作業室11から収納室13まで移動させることができる。物干部材14によって、各作業における衣類の移動が容易になるため、衣類を洗濯してから収納するまでの作業を効率化できる。
【0053】
(2)収納室13は、ウォークインクローゼット13Wである。この構成によれば、収納室13がウォークインクローゼット13Wであるため、衣類を簡単に収納できる。
【0054】
(3)建築物1は、第1室25を備える。第1室25は、作業室11に隣接するように設けられる。第1室25は、作業台12を介して作業室11と繋がる。この構成によれば、作業室11が第1室25と繋がるため、作業者は、作業室11または作業台12において作業中に第1室25にいる家族等とコミュニケーションできる。したがって、作業室11の作業者が、孤立感を感じ難くできる。
【0055】
(4)作業台12は、作業者が第1方向D1を向いて作業できるように配置される。この構成によれば、作業者が作業室11の方を向いた状態で、作業台12の上において作業できるため、作業者は、作業台12において作業中に小上がり15にいる家族等とコミュニケーションできる。したがって、作業室11の作業者が、孤立感を感じ難くできる。
【0056】
(5)第1方向D1において、作業台12の寸法L1は、例えば、0.5m以上かつ1m以下である。また、第1方向D1において、作業室11の寸法L2は、例えば、2.5m以上かつ3.5m以下である。また、第1方向D1において、収納室13の寸法L3は、例えば、2.5m以上かつ3.5m以下である。この構成によれば、作業室11の大きさに対して、十分な大きさの作業台12を確保できる。また、作業室11の大きさに対して、十分な大きさの収納室13を確保できる。
【0057】
(6)作業室11の作業床面11Xは、収納室13の収納床面13Xよりも高い。この構成によれば、作業床面11Xが収納床面13Xよりも高いため、作業室11の方が収納室13よりも物干部材14に衣類を吊るし易い。したがって、建築物1では、衣類を物干部材14に作業室11において好適に吊るすことができる。
【0058】
<変形例>
上記実施形態は、建築物が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0059】
・
図1に示されるように、建築物1は、追加窓30と、追加窓30の外側に位置する庭と、を有していてもよい。部屋構造10は、建築物1の1階に配置されてもよい。作業室11は、追加窓30によって建築物1の庭と接続されてもよい。本変形例では、追加物干部材3Aは建築物1の庭に配置される。
【0060】
・小上がり15に畳20が敷かれなくてもよい。本変形例の小上がり15の床材は、クッションフローリングであってもよい。
【0061】
・開口部22に扉が設けられてもよい。開口部22に設けられる扉としては、開き戸、引き戸、折れ戸等が使用できる。開口部22の扉が閉鎖される場合に、物干部材14のパイプ14Pが取り外されるように構成されてもよい。
【0062】
・収納室13は、ウォークインクローゼット13Wでなくてもよい。収納室13は、ウォークインクローゼット13Wよりも小さいクローゼットであってもよく、納戸であってもよい。
【0063】
・建築物1は、第1室25を備えなくてもよい。本変形例では、作業台12の第1端部12A沿いに壁が配置されてもよい。
【0064】
・物干部材14の荷重に応じて、物干部材14の吊下げ部14Qに接続される野縁受けが天井7に設けられてもよい。本変形例では、吊下げ部14Qが、吊りボルトであってもよい。物干部材14の荷重に応じて、吊下げ部14Qが、天井7を構成する梁に吊下げられてもよい。本変形例の建築物1は、荷重の大きな物干部材14を使用できる。荷重の大きな物干部材14の一例は、実施形態の物干部材14よりも長く構成される物干部材14である。
【0065】
・物干部材14の一端部14Aと他端部14Bとの間に吊下げ部14Qが設けられてもよい。本変形例の物干部材14は、3つの吊下げ部14Qを有する。
【0066】
・物干部材14の配置は、作業室11の間取りに応じて任意に設定できる。物干部材14の一端部14Aが第1室25まで延びてもよい。または、物干部材14は、物干部材14の一端部14Aから作業台12の第1端部12Aに沿うように延びる部分を含むようにL字形状を有してもよい。
【0067】
・
図5に示されるように、物干部材14は、パイプ14Pの代わりに、ワイヤー14Wを有してもよい。ワイヤー14Wの一端部は、ワイヤー収納箱40に接続される。ワイヤー収納箱40は、作業台12の上に位置するように、第1外壁4から垂直に延びる追加壁41に設けられてもよい。ワイヤー14Wの他端部は、収納室13の壁に設けられる受け口42Aに取り付けられる。受け口42Aは、ワイヤー14Wの他端部を取り外し可能に構成される。受け口42Aからワイヤー14Wの他端部が取り外されると、ワイヤー14Wは巻き取られることによってワイヤー収納箱40に収納される。本変形例では、物干部材14が不要な場合に、ワイヤー14Wをワイヤー収納箱40に収納できる。ワイヤー14Wの他端部が取り付け可能な追加受け口42Bが、さらに作業室11の壁に設けられてもよい。
図5では、ワイヤー14Wの他端部が追加受け口42Bに取り付けられる場合のワイヤー14Wが、一点鎖線によって例示される。追加壁41には、収納棚43が設けられてもよい。
【0068】
・第1方向D1における作業台12の寸法L1と、作業室11の寸法L2と、収納室13の寸法L3と、は、建築物1の間取りに応じて変更されてもよい。作業室11の寸法L2が、収納室13の寸法L3よりも大きくても、または小さくてもよい。
【0069】
・作業室11の作業床面11Xが収納室13の収納床面13Xよりも高くなくてもよい。本変形例では、作業室11の作業床面11Xと収納室13の収納床面13Xとが連続するように同じ高さであってもよい。
【0070】
本明細書には以下の技術が開示される。
[付記1]
建築物は、建築物であって、第1側面と前記第1側面の反対側の第2側面とを有し、かつ、畳が敷かれる小上がりを含む作業室と、前記小上がりの前記第1側面に沿うように、前記小上がりの横に配置される作業台と、前記第2側面に隣接するように設けられる収納室と、物干部材と、を備え、前記作業室は、前記作業室と前記収納室とを隔てる第1壁を有し、前記第1壁は、開口部を有し、前記物干部材は、前記作業台の上から前記開口部を介して前記収納室まで延びるように、前記作業室に配置される。
【0071】
[付記2]
付記1に記載の建築物において、前記収納室は、ウォークインクローゼットである。
【0072】
[付記3]
付記1に記載の建築物において、前記作業室に隣接するように設けられる第1室を備え、前記第1室は、前記作業台を介して前記作業室と繋がる。
【0073】
[付記4]
付記1に記載の建築物において、前記作業室の作業床面は、前記収納室の収納床面よりも高い。
【符号の説明】
【0074】
D1…第1方向、L1…寸法、L2…寸法、L3…寸法、1…建築物、10…部屋構造、11…作業室、11X…作業床面、12…作業台、13…収納室、13W…ウォークインクローゼット、13X…収納床面、14…物干部材、15…小上がり、16…第1側面、17…第2側面、20…畳、21…第1壁、22…開口部、25…第1室。