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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009321
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】壁パネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20250110BHJP
   E06B 1/60 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
E06B1/62 A
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112240
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KD14
2E011LA02
2E011LA03
2E011LB03
2E011LD02
2E011LD04
(57)【要約】
【課題】運搬性および現場施工性を向上し得る壁パネルを提供すること。
【解決手段】壁パネルは、開口部を有する。開口部には、当該開口部を区画する開口枠5が設けられる。開口枠5には、その見込み内に納まる収納位置P1と、収納位置P1からZ軸方向に突出する突出位置P2まで切替可能に見切り材61,71が連結される。見切り材61,71は、収納位置P1では開口枠5の見付け方向に沿って配置される。開口枠5には、収納位置P1に配置される見切り材61,71が当該開口枠5の見込み内に納まる深さ寸法を有する収納溝部515が形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する壁パネルであって、
前記開口部には、当該開口部を区画する開口枠が設けられ、
前記開口枠には、その見込み内に納まる収納位置と、前記収納位置から前記見込み方向に突出する突出位置とに切替可能に見切り材が配置される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記開口枠には、前記収納位置から前記突出位置まで回動可能に前記見切り材が連結される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記見切り材は、前記収納位置では前記開口枠の見付け方向に沿って配置され、
前記開口枠には、前記収納位置に配置される前記見切り材が当該開口枠の見込み内に納まる深さ寸法を有する収納溝部が形成される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項4】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記見切り材には、円弧状の被保持部が形成され、
前記開口枠には、前記被保持部を回動可能に保持する保持部が形成され、
前記保持部は、前記被保持部の円弧外面に摺動可能に接する円弧状の外側保持部と、前記外側保持部と協働して前記被保持部を保持するように前記被保持部の円弧内面に摺動可能に接する円弧状の内側保持部とを有する
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項5】
請求項4に記載の壁パネルにおいて、
前記被保持部および前記保持部は、前記見切り材の長手方向に沿って連続して延びる
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項6】
請求項4に記載の壁パネルにおいて、
前記開口枠は、前記外側保持部が構成される枠本体と、前記枠本体に取り付けられると共に前記内側保持部を有する保持部材とを備える
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項7】
請求項6に記載の壁パネルにおいて、
前記枠本体は、前記外側保持部が構成される見付け面部を有し、
前記保持部材は、固定具によって前記見付け面部に固定され、
前記見切り材には、当該見切り材が前記収納位置に配置された状態で前記見付け面部の見付け面に当接する当接部を有し、
前記見切り材は、前記当接部の前記見付け面部に対する当接状態で前記見付け面部との間に前記固定具を避ける空間を形成する
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項8】
請求項4に記載の壁パネルにおいて、
前記被保持部の基部と前記内側保持部の基部とは、前記見切り材が前記突出位置に配置された状態において互いに前記見込み方向に当接する配置とされる
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項9】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記開口枠は、少なくとも上枠および左右の縦枠を備え、
前記見切り材は、前記上枠に沿った上見切り材と、前記左右の縦枠に沿った左右の縦見切り材とを備え、
前記上見切り材の両端部および前記左右の縦見切り材の上端部は、それぞれが前記突出位置に配置された状態で互いに連結される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項10】
請求項9に記載の壁パネルにおいて、
前記上見切り材には、前記突出位置に配置された状態で上に凹状となる凹部が長手方向に沿って形成されると共に、当該凹部よりも先端側の内面に前記縦見切り材との連結部が形成され、
前記縦見切り材の上端部には、前記上見切り材の端部と連結した状態で前記凹部に対向する位置に排水用の溝部が形成される
ことを特徴とする壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁を構成する壁パネルであって見切り材が設置される開口部を有する壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、建物の開口部に固定される見切り縦材(見切り材)および見切り横材(見切り材)によって枠状に形成される見切り枠に障子枠を介して障子が固定される構成が記載されている。この見切り縦材および見切り横材は、建物の外壁よりも室外側に突出して構成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-315016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、建物の壁を構成する壁パネルであって開口部を有するものが知られており、この開口部には、見切り材や建具が設置される。このような壁パネルは、工場で組み立てられて施工現場へ運搬する際に平積みされることがある。この場合、壁パネルに設けられる見切り材が特許文献1に記載した見切り縦材や見切り横材のように室外側に突出して構成されるものであると、運搬前に見切り材を設けることで当該見切り材が壁パネルを平積みする際の邪魔となってしまうおそれがある。
一方、工場では見切り材を壁パネルに取り付けないで当該見切り材を別個に運搬し、施工現場で見切り材を壁パネルに組み付ける場合には、施工現場での見切り材の運搬や壁パネルへの組み付けに手間を要する。
【0005】
本発明の目的は、運搬性および現場施工性を向上し得る壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の壁パネルは、開口部を有する壁パネルであって、前記開口部には、当該開口部を区画する開口枠が設けられ、前記開口枠には、その見込み内に納まる収納位置と、前記収納位置から前記見込み方向に突出する突出位置とに切替可能に見切り材が連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運搬性および現場施工性を向上し得る壁パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る壁パネルを示す縦断面図。
図2】前記実施形態に係る壁パネルを示す横断面図。
図3】前記実施形態に係る壁パネルの要部を示す斜視図。
図4】前記実施形態に係る壁パネルの要部を示す斜視図。
図5】前記実施形態に係る壁パネルの見切り材の回動状態を示す説明図。
図6】前記実施形態に係る壁パネルの平積み状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係る壁パネル1は、建物に組み込まれて室外側および室内側を隔てる壁部を構成するものであり、パネル本体2と、パネル本体2に対して建具として障子3が配置される開口部4を区画する開口枠5とを備えている。障子3は、樹脂製押出形材によって形成された上框31、下框32および左右の縦框33で構成される框体34内にガラスパネル等の面材35を配置して構成されている。
以下の説明において、壁パネル1の左右方向をX軸方向とし、壁パネル1の上下方向をY軸方向とし、壁パネル1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
パネル本体2は、左右の縦材および上下の横材を有する枠体内にパネル25を配置して構成されている。また、枠体内にはまぐさ26および窓台27がX軸方向に沿って設けられており、まぐさ26および窓台27の左右の端部にはY軸方向に沿った左右の縦材28が設けられている。パネル25は、本実施形態では複数の木質板材を重ね合わせたパーティクルボードなどの耐力面材で構成されている。また、パネル25よりも室外側位置には、スペーサ10を介して外壁材11が設けられている。
【0011】
開口枠5は、上枠51、下枠52および左右の縦枠53を備えており、上枠51はまぐさ26に沿って設置されており、下枠52は窓台27に沿って設置されており、左右の縦枠53は左右の縦材28に沿って設置されている。
【0012】
下枠52は、枠形状に形成され且つ框体34に室外側から当接するタイト材12が装着されており、その室外見付け面部521には、水切り材522が嵌着される嵌合部523が構成されている。水切り材522は、後述する左右の縦見切り材71のX軸方向における間隔よりも長くX軸方向に延びて構成されており、後述する上見切り材61や縦見切り材71といった見切り材よりも室外側に突出している。また、水切り材522には、左右の縦見切り材71の下端部がそれぞれ連結されている。なお、水切り材522と外壁材11との間には、シール材およびバックアップ材15が設けられている。
【0013】
上枠51は、室外見付け面部511(見付け面部)および見込み面部513を有しており、アルミ製押出形材によって形成されている。見込み面部513には障子3の框体34を室外側から受ける受片部514が内周側に延出して設けられている。また、上枠51よりも室内側の位置にはまぐさ26の室内面および内周面を覆って当該まぐさ26にネジ止めされた断面L字状の樹脂製のカバー材512が配置されている。受片部514、カバー材512および後述する保持部材518には框体34に対して室外側から当接するタイト材12が装着されている。
室外見付け面部511は、図3図4および図5の(A)に示すように、室外側から室内側に窪んで形成され且つ後述する上見切り材61が見込み内に納まる深さ寸法を有する収納溝部515と、収納溝部515に対して内周側の端部に形成された保持部516とを有しており、上枠51の保持部516は、上見切り材61(見切り材)の被保持部611をX軸方向に沿った軸心の周りで回動可能に保持している。
ここで、上見切り材61は、X軸方向に沿った本体片部610と、本体片部610の基端に円弧状に形成された前述した被保持部611と、本体片部610の幅方向における中間部分に形成された段形状の段部612と、段部612よりも先端側に設けられた連結部としてのビスホール613とを有しており、このビスホール613において後述する縦見切り材71と連結される。被保持部611は本体片部610に沿ってX軸方向に連続して延びている。また、段部612よりも基端側の部分には水落としとして機能する凹状の凹部614がX軸方向に沿って形成されている。なお、段部612のうち上見切り材61の先端側に連続する角部615は、上見切り材61が収納溝部515に収納された収納位置P1に配置された状態で当該収納溝部515の底面部(室外見付け面部511)に当接する当接部として構成されている。角部615が室外見付け面部511に当接した状態では、凹部614には、後述する保持部材518を室外見付け面部511に固定する固定ネジ14が配置されており、このように凹部614は、室外見付け面部511との間に固定ネジ14を避ける空間をも形成する。
保持部516は、上枠51に沿ってX軸方向に連続して延びており、室外見付け面部511の端部に一体的に連続して形成された円弧状の外側保持部517と、室外見付け面部511に固定具としての固定ネジ14で固定された保持部材518とを有しており、保持部材518には、框体34に当接するタイト材12が装着されており、タイト材12が装着された部分に対してZ軸方向における外側に配置された円弧状の内側保持部519とを有している。外側保持部517は、被保持部611の円弧外面に摺動可能に接しており、内側保持部519は、外側保持部517と協働して被保持部611を保持するように当該被保持部611の円弧内面に摺動可能に接している。内側保持部519の基部は、被保持部611の基部に対して、上見切り材61が突出位置P2に配置された状態において互いにZ軸方向に当接する配置とされる。なお、外側保持部517が構成される室外見付け面部511および見込み面部513は上枠51の枠本体を構成しており、保持部材518はこの枠本体に取り付けられている。
なお、上見切り材61と外壁材11との間には、シール材およびバックアップ材15が設けられている。
【0014】
左右の縦枠53は、互いに同様に構成されて左右逆向きに配置されており、前述した上枠51と概略同様に構成されているので図に適宜同符号を付してこれらの詳細な説明を省略する。ここで、縦枠53には、縦見切り材71(見切り材)がY軸方向に沿った軸心周りで回動可能に連結されている。また、縦枠53よりも室内側の位置には、カバー材512が配置されている。
縦見切り材71は、図3図4および図5の(B)に示すように、Y軸方向に沿った本体片部710と、本体片部710の基端に円弧状に形成された被保持部711と、本体片部710に形成されていると共に収納位置P1において縦枠53の室外見付け面部511に当接する当接部としてのビスホール713とを有している。本体片部710の上端部には、上見切り材61のX軸方向における端部と連結した状態で凹部614に対向する位置に排水用の溝部714が形成されている。被保持部711は本体片部710に沿ってY軸方向に連続して延びている。また、ビスホール713は、固定ネジ(図示省略)によって水切り材522と連結されており、このビスホール713が縦枠53の室外見付け面部511に当接した状態では本体片部710と室外見付け面部511との間に固定ネジ14を避ける空間を形成する。
なお、縦見切り材71と外壁材11との間には、シール材およびバックアップ材15が設けられている。
【0015】
以上の壁パネル1は、次のように工場で組み立てられ、施工現場に運搬されて施工現場で設置される。
まず、パネル本体2に開口枠5が組み付けられて開口部4を区画し、開口枠5を構成する上枠51および左右の縦枠53に上見切り材61および左右の縦見切り材71を連結する。この連結は、各室外見付け面部511に各保持部材518を固定ネジ14で固定することで、被保持部611,711を外側保持部517と内側保持部519と摺動可能に挟み込むことで行われる。上見切り材61および左右の縦見切り材71は各収納溝部515に納めて収納位置P1に配置しておく。収納位置P1に配置された上見切り材61および左右の縦見切り材71は、上枠51や左右の縦枠53の見付け方向に沿って配置される。また、開口枠5内には障子3を設置する。
次に、図6に示すように、壁パネル1を平積みする。このとき、上見切り材61および左右の縦見切り材71は収納位置P1に配置されているので、開口枠5の見込み内に納まった状態であり、このため、上見切り材61や左右の縦見切り材71が壁パネル1の平積みの邪魔となるおそれを低減している。続いて、平積みした壁パネル1を施工現場へ運搬する。
次に、壁パネル1を建物に設置し、上見切り材61および左右の縦見切り材71を回動して突出位置P2に配置する。上見切り材61および左右の縦見切り材71が突出位置P2に配置された状態は、各被保持部611,711の基部と内側保持部519の基部とがZ軸方向に当接することで維持され得る。この配置状態で、上見切り材61の両端部および左右の縦見切り材71の上端部をネジ連結する。各見切り材61,71同士が連結されるコーナー部分にはシール材を施す。続いて、下枠52の嵌合部523に水切り材522を嵌着し、左右の縦見切り材71の下端部にネジ連結する。
このようにして壁パネル1を組み立て、運搬し、設置する。なお、開口枠5は、内部に障子3が配置される建具枠としての機能も有する。
【0016】
[変形例]
前記実施形態では、上見切り材61および縦見切り材71は、それぞれの収納位置P1では上枠51や縦枠53の見付け方向に沿って配置されているが、各収納溝部515に納まっていれば当該各見付け方向に対して傾斜していてもよい。
前記実施形態では、上枠51や縦枠53に設けられた保持部516に上見切り材61や縦見切り材71に被保持部611,711が摺動可能に保持されることで、上枠51に上見切り材61が回動可能に連結され、縦枠53に縦見切り材71が回動可能に連結されているが、これに限らず、例えば、一般的な丁番部材(ヒンジ)を各見切り材61,71と上枠51および縦枠53に取り付けてもよい。
前記実施形態では、各被保持部611,711や各保持部516は、各見切り材61,71の長手方向に沿って連続して延びているが、これに限らず、当該長手方向に沿って間隔を隔てて間欠的に設けられていてよい。
前記実施形態では、上枠51や縦枠53は、外側保持部517が構成される枠本体と、当該枠本体に取り付けられると共に内側保持部519を有する保持部材518とを備えて構成されているが、これに限らず、例えば、保持部材518の構成を省略し、内側保持部519を前記枠本体に設け、被保持部611,711が各保持部516に押し込まれることで当該被保持部611,711が保持部516に嵌着される嵌合形式の構成としてもよい。
前記実施形態では、被保持部611,711の基部と内側保持部519とは、各見切り材61,71がそれぞれの突出位置P2に配置された状態において互いにZ軸方向に当接する配置とされる構成であるが、これに限らず、当該状態においても前述した基部同士は非当接とされる構成であってもよい。
前記実施形態では、上見切り材61に凹部614が形成され、縦見切り材71の上端部に排水用の溝部714が形成されているが、例えば、水落としなどの排水構造を必要としない場合や他の排水手段を備える場合には、凹部614や溝部714の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、上方および左右の三方に各見切り材61,71が配置されているが、これに限らず、設計等に応じて少なくとも一方に見切り材回動可能に配置されていればよい。
前記実施形態では、開口枠5には、収納位置P1から突出位置P2まで回動可能に各見切り材61,71が連結されているが、これに限らず、各見切り材61,71が収納位置P1と突出位置P2とに切替可能に開口枠5に配置される構成であればよく、このように切換可能であれば、例えば、収納位置P1および突出位置P2で開口枠5に見切り材を嵌込可能な可能性であってもよい。
前記実施形態では、開口枠5内に配置される建具として障子3を説明したが、このほか、建具枠も備える各種窓などを当該建具としてもよい。
【0017】
[発明のまとめ]
(1)本発明の壁パネルは、開口部を有する壁パネルであって、前記開口部には、当該開口部を区画する開口枠が設けられ、前記開口枠には、その見込み内に納まる収納位置と、前記収納位置から前記見込み方向に突出する突出位置とに切替可能に見切り材が配置されることを特徴とする。
本発明の壁パネルによれば、工場において壁パネルを組み立てる際に見切り材を開口枠に連結しても当該見切り材を収納位置に配置しておくことで、運搬するために壁パネルを平積みしても見切り材が壁パネルの見込み内に納まっているので、当該見込み材が邪魔とならずに壁パネルを好適に平積みできて運搬性を向上し得る。
また、現場施工の際においても、見切り材が開口枠において収納位置に収納された状態、すなわち、既に壁パネルに組み込まれた状態となっているので、壁パネルとは別に見切り材を持ち運ぶ必要がなく、更に、見切り材の位置を収納位置から突出位置に切り替えることができるので、現場で固定ネジなどによって見切り材を開口枠に固定する必要もなくすことができ、現場施工性を向上し得る。
(2)本発明の壁パネルでは、前記開口枠には、前記収納位置から前記突出位置まで回動可能に前記見切り材が連結されてもよい。
このような構成によれば、見切り材を収納位置から回動させるだけで突出位置まで引き出すことができ、現場施工性を向上し得る。
(3)本発明の壁パネルでは、前記見切り材は、前記収納位置では前記開口枠の見付け方向に沿って配置され、前記開口枠には、前記収納位置に配置される前記見切り材が当該開口枠の見込み内に納まる深さ寸法を有する収納溝部が形成されてもよい。
このような構成によれば、見切り材が上記の深さ寸法を有する収納溝部に収納されるので、当該見切り材を容易に収納位置に配置することができる。
(4)本発明の壁パネルでは、前記見切り材には、円弧状の被保持部が形成され、前記開口枠には、前記被保持部を回動可能に保持する保持部が形成され、前記保持部は、前記被保持部の円弧外面に摺動可能に接する円弧状の外側保持部と、前記外側保持部と協働して前記被保持部を保持するように前記被保持部の円弧内面に摺動可能に接する円弧状の内側保持部とを有してもよい。
このような構成によれば、回転軸および軸受けを有する一般的な丁番を設けることなく、開口枠と見切り材との連結部分に丁番方式の回動部分を構成することができる。
(5)本発明の壁パネルでは、前記被保持部および前記保持部は、前記見切り材の長手方向に沿って連続して延びてもよい。
このような構成によれば、例えば間欠的に丁番部分が設けられる場合と比べて、連結部分を一様に連続した形状にし得て、外観意匠を向上させ得る。
(6)本発明の壁パネルでは、前記開口枠は、前記外側保持部が構成される枠本体と、前記枠本体に取り付けられると共に前記内側保持部を有する保持部材とを備えてもよい。
このような構成によれば、例えば開口枠の保持部を若干撓ませながら当該保持部に被保持部を嵌め込む形式のものに比べて、外側保持部および内側保持部の間の位置に被保持部を配置しつつ保持部材を枠本体に取り付ければよいので、外側保持部や内側保持部を撓ませる必要がなく、見切り材および開口枠の連結作業を容易に行い得る。
(7)本発明の壁パネルでは、前記枠本体は、前記外側保持部が構成される見付け面部を有し、前記保持部材は、固定具によって前記見付け面部に固定され、前記見切り材には、当該見切り材が前記収納位置に配置された状態で前記見付け面部の見付け面に当接する当接部を有し、前記見切り材は、前記当接部の前記見付け面部に対する当接状態で前記見付け面部との間に前記固定具を避ける空間を形成してもよい。
このような構成によれば、保持部材を枠本体に固定しても固定具が見切り材を収納位置に配置する際の邪魔とならず、好適に見切り材を収納することができる。
(8)本発明の壁パネルでは、前記被保持部の基部と前記内側保持部の基部とは、前記見切り材が前記突出位置に配置された状態において互いに前記見込み方向に当接する配置とされてもよい。
このような構成によれば、見切り材が設置位置に配置された際に前述した基部同士が見込み方向に当接することで、当該見切り材が突出位置を越えて回動することを抑制でき、施工性を向上し得る。
(9)本発明の壁パネルでは、前記開口枠は、少なくとも上枠および左右の縦枠を備え、前記見切り材は、前記上枠に沿った上見切り材と、前記左右の縦枠に沿った左右の縦見切り材とを備え、前記上見切り材の両端部および前記左右の縦見切り材の上端部は、それぞれが前記突出位置に配置された状態で互いに連結されてもよい。
このような構成によれば、上見切り材および左右の縦見切り材を連結することで、これらが突出位置に配置された状態を維持することができる。
(10)本発明の壁パネルでは、前記上見切り材には、前記突出位置に配置された状態で上に凹状となる凹部が長手方向に沿って形成されると共に、当該凹部よりも先端側の内面に前記縦見切り材との連結部が形成され、前記縦見切り材の上端部には、前記上見切り材の端部と連結した状態で前記凹部に対向する位置に排水用の溝部が形成されてもよい。
このような構成によれば、上見切り材の凹部を流れる雨水等の水を縦見切り材の溝部から排水することができる。
また、上見切り材の凹部は、例えば枠本体に保持部材を固定具によって固定する場合には、固定部を避ける空間を形成する構成として利用し得る。
【符号の説明】
【0018】
1…壁パネル、10…スペーサ、11…外壁材、12…タイト材、14…固定ネジ(固定具)、15…シール材およびバックアップ材、2…パネル本体、25…パネル、26…まぐさ、27…窓台、28…縦材、3…障子(建具)、31…上框、32…下框、33…縦框、34…框体、35…面材、4…開口部、5…開口枠、51…上枠、511…室外見付け面部、512…カバー材、513…見込み面部、514…受片部、515…収納溝部、516…保持部、517…外側保持部、518…保持部材、519…内側保持部、52…下枠、521…室外見付け面部、522…水切り材、523…嵌合部、53…縦枠、61…上見切り材(見切り材)、610,710…本体片部、611,711…被保持部、612…段部、613…ビスホール(連結部)、614…凹部、615…角部、71…縦見切り材(見切り材)、713…ビスホール(当接部)、714…溝部、P1…収納位置、P2…突出位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6