(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025093221
(43)【公開日】2025-06-23
(54)【発明の名称】制御回路及び車両
(51)【国際特許分類】
F02D 29/02 20060101AFI20250616BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20250616BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20250616BHJP
F02D 17/00 20060101ALI20250616BHJP
【FI】
F02D29/02 321C
B60K6/48 ZHV
B60W10/06 900
F02D17/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208831
(22)【出願日】2023-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 知希
(72)【発明者】
【氏名】大林 恒介
(72)【発明者】
【氏名】溝口 拓弥
【テーマコード(参考)】
3D202
3G092
3G093
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB06
3D202BB08
3D202CC44
3D202CC61
3D202DD00
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD18
3D202DD22
3D202DD32
3D202DD47
3D202FF06
3D202FF13
3G092AC02
3G092AC03
3G092AC04
3G092CA01
3G092EA10
3G092EA14
3G092FA24
3G092HA04
3G092HE08
3G092HF11
3G092HF15
3G092HF21
3G093AA02
3G093AA04
3G093BA19
3G093DA05
3G093DB05
3G093DB10
3G093DB11
(57)【要約】
【課題】内燃機関の停止機会を拡大する。
【解決手段】内燃機関を停止制御する車両の制御回路は、予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記内燃機関を停止させることと、前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、前記車両の走行速度が予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することと、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を停止制御する車両の制御回路であって、
予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記内燃機関を停止させることと、
前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、
前記車両の走行速度が増加して予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することと、を実行する制御回路。
【請求項2】
前記保護条件は、前記内燃機関の始動履歴に関連付けられた条件であり、
前記制御回路は、前記内燃機関が実際に行った始動動作の始動履歴に基づき、前記保護条件が満足されるか否かを判定する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記車両の走行速度が前記速度閾値以上になると、前記保護条件を解除することで、前記保護条件の達成を阻止する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項4】
前記始動履歴は、前記制御回路への電力供給状態が維持されている間での前記内燃機関の始動動作の回数をカウントすることで得られるカウント数を含み、
前記保護条件は、前記カウント数が第1閾値以上であるとの条件を含み、
前記制御回路は、前記車両の走行速度が前記速度閾値以上になると、前記第1閾値の増大に相当する前記保護条件の変更を行う
請求項2に記載の制御回路。
【請求項5】
外気温が低くなる程、前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更する、又は、外気温が低くなる程前記速度閾値を低くするように前記保護条件を変更する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記始動履歴は、前記内燃機関の始動動作間の時間間隔、前記内燃機関の始動動作間の前記車両の走行速度、前記内燃機関の始動動作に費やした時間、前記内燃機関の始動に必要な負荷、及び、単位時間当たりの前記内燃機関の始動動作の回数の1つ以上を要素として含み、
前記制御回路は、前記内燃機関が実際に行った始動動作の始動履歴における前記要素の1つ以上に基づき、前記保護条件が満足され易くなる又は前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更する
請求項2に記載の制御回路。
【請求項7】
走行駆動源である内燃機関と、
前記内燃機関を始動させる始動用電装部品と、
走行風と直接又は間接的に熱交換して前記始動用電装部品を冷却する冷却熱交換構造と、
車両状態を検出するセンサと、
前記内燃機関を停止制御する車両の制御回路と、
前記制御回路から与えられる指令に応じて前記内燃機関を制御するアクチュエータとを備え、
前記制御回路は、
前記センサから取得した予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記アクチュエータを制御して前記内燃機関を停止させることと、
前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する前記始動用電装部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、
前記センサから取得した情報に基づいて前記車両の走行速度が予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することとを、実行する
車両。
【請求項8】
人が跨って着座するシートを備え、
前記車両は鞍乗型車両である
請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記始動用電装部品は、前記内燃機関を始動させるスタータの機能と、前記内燃機関の駆動力によって発電するジェネレータの機能とを含む構造を有する
請求項7に記載の車両。
【請求項10】
前記車両を走行させる車輪と、
走行駆動源である回転電機と、
前記内燃機関及び前記回転電機の駆動力が伝達されるように前記内燃機関及び前記回転電機に接続され、且つ前記内燃機関及び前記回転電機から付与される駆動力を前記車輪に伝達する駆動構造とをさらに備え、
前記制御回路は、前記回転電機の動作を制御し、1つ以上の制御モードで制御を実行し、
前記1つ以上の制御モードは、前記車両の走行中に、前記アクチュエータを制御して前記内燃機関を停止させることと、前記アクチュエータを制御して停止状態の前記内燃機関を始動させることとのいずれか又は両方を実行する制御モードを含む
請求項7に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アイドリングストップに関する制御回路及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動始動の回数が規定回数以上の際には、エンジン自動停止制御をキャンセルする技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、自動始動の回数が規定回数を超えるとエンジン自動停止制御を実行することができず、停止機会が制限されてしまう。
【0005】
そこで本開示の一態様は、内燃機関の停止機会の拡大を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る制御回路は、内燃機関を停止制御する車両の制御回路であって、予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記内燃機関を停止させることと、前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、前記車両の走行速度が増加して予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、例示的な実施の形態に係る車両の構成の一例を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の自動二輪車の動力系統の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1のスタータモータ及びその周辺の構成の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るECUが内燃機関を停止及び始動する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、自動二輪車の走行速度の時間的変化と、停止操作の時間的変化と、内燃機関の動作状態の時間的変化と、内燃機関の始動動作のカウント数の時間的変化と、内燃機関の停止の許可状態の時間的変化との関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係るECUが内燃機関を停止及び始動する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本開示の例示的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0009】
図1を参照しつつ、例示的な実施の形態に係る車両1を説明する。
図1は、例示的な実施の形態に係る車両1の構成の一例を示す側面図である。限定されないが、本実施の形態では、車両1は、1人以上の人を載せて移動することができる移動体である。車両1は、搭乗している人によって操縦されてもよく、車両1の外部から遠隔操縦されてもよい。車両1は、内燃機関を備えるものであればよい。車両1の例は、自動車及び自動二輪車を含み得る。例えば、自動車は、自動車を移動する3つ以上の車輪を含み得る。自動二輪車は、自動二輪車を移動する3つ以下の車輪を含み得る。
【0010】
以下において、車両1として、自動二輪車を例示して説明する。このため、「車両1」は、「自動二輪車1」と称される場合がある。自動二輪車1は、人が跨って搭乗する鞍乗型車両でもある。
【0011】
ここで、本明細書及び請求項において、上方向、上方、下方向、下方、前方向、前方、後方向、後方、左方向、左方、右方向、右方、側方向及び側方は、水平面上に配置された状態の自動二輪車1を基準とする方向である。上方向及び上方は、水平面から自動二輪車1に向かう方向を指し、下方向及び下方は、自動二輪車1から水平面に向かう方向を指す。前方向及び前方は、自動二輪車1の前進方向を指す。後方向、後方、左方向、左方、右方向、右方、側方向及び側方は、前方向又は前方に対する方向を指す。
【0012】
自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム4と、ハンドル5と、シート6と、走行駆動源7と、外殻部材8とを備える。
【0013】
外殻部材8は、自動二輪車1の外殻の少なくとも一部を構成して外方に露出する。
図1に示す自動二輪車1は、外殻部材8として、走行駆動源7の前方及び側方を覆い且つ自動二輪車1の前部外殻を形成するフロントカウルと、シート6の後方及び下方に延び自動二輪車1の後部外殻を形成するリヤカウルとを含む。外殻部材8は、フロントカウルとして、ハンドル5の前方で前部外殻を形成する部分をさらに含んでもよい。外殻部材8は、走行駆動源7の少なくとも一部を外方に露出するように配置される。
【0014】
自動二輪車1は、操舵軸9と、フロントフォーク10と、スイングアーム11と、リヤサスペンション12と、燃料タンク13とをさらに備える。
【0015】
フロントフォーク10の上部は、上下方向に間隔をあけて配置される一対のブラケット10aに連結され、フロントフォーク10の下部は、前輪2を回転自在に支持する。ブラケット10aは、ハンドル5を支持する操舵軸9と接続されている。操舵軸9は、車体フレーム4の一部であるヘッドパイプ4aに角変位可能に支持される。
【0016】
スイングアーム11は、後輪3を支持して前後方向に延び、車体フレーム4によって枢動可能に支持されている。リヤサスペンション12は、スイングアーム11と車体フレーム4とに接続される。
【0017】
燃料タンク13は、ハンドル5の後方に配置され、燃料タンク13の後方に、運転者が着座するシート6が配置される。
【0018】
自動二輪車1は、前輪2に配置されたフロントブレーキ15と、後輪3に配置されたリヤブレーキ16と、ハンドル5に配置されたブレーキレバー17と、車体フレーム4に配置されたブレーキペダル18とをさらに備える。自動二輪車1は、ブレーキレバー17が操作されることで、フロントブレーキ15を作動させる構造を有し、ブレーキペダル18が操作されることで、リヤブレーキ16を作動させる構造を有する。自動二輪車1は、ブレーキレバー17及びブレーキペダル18それぞれに、ブレーキ操作を検出するブレーキセンサ17a及び18aを備える。ブレーキセンサ17a及び18aは、検出信号を後述する電子制御ユニット50に出力する。ブレーキペダル18は、ブレーキレバーとしてハンドル5に配置されてもよい。
【0019】
走行駆動源7は、前輪2と後輪3との間において車体フレーム4に搭載されている。走行駆動源7は、内燃機関Eと、回転電機である駆動モータDとを含む。
【0020】
図2は、
図1の自動二輪車1の動力系統の一例を示す模式図である。
図1及び
図2に示すように、自動二輪車1は、スタータモータ20と、バッテリ40と、自動二輪車1を制御する電子制御ユニット50とをさらに備える。以下において、「電子制御ユニット50」は、「ECU50」と称する場合がある。スタータモータ20は、始動用電装部品の一例であり、電子制御ユニット50は、制御回路の一例である。
【0021】
内燃機関Eは、クランクケースEa内のクランクシャフトEcと、シリンダブロックEb内に摺動可能に配置され且つクランクシャフトEcと駆動力を伝達可能に接続される1つ以上のピストンEdとを含む。内燃機関Eは、シリンダブロックEbのシリンダ内で燃料と空気との混合気の燃焼爆発を繰り返すことで動力を発生する。内燃機関Eは、燃焼爆発によるピストンEdの往復動をクランクシャフトEcの回転運動に変換し、クランクシャフトEcの回転動力を駆動輪である後輪3に伝達する。クランクシャフトEcの一端は、クラッチCと接続され、さらにクラッチCを介して変速機TMの入力軸と動力伝達可能に接続される。クラッチCは、クランクシャフトEcと変速機TMとの間の動力の伝達を断接する構造を有する。変速機TMの出力軸は、クランクシャフトEcの回転動力をチェーン又はベルト等の動力伝達部材14を介して後輪3に伝達する。クラッチC及び変速機TMは、駆動構造の一例である。
【0022】
駆動モータDの少なくとも一部は、外殻部材8から外部に露出して配置される。駆動モータDは、電力の供給を受けることで回転するモータ駆動軸Daを備える。駆動モータDは、モータ駆動軸Daを回転されることによって電力を発生するが、当該電力をバッテリ40に供給してもよい。モータ駆動軸Daは、変速機TMの入力軸と、動力伝達部材Dbを介して動力を伝達可能に接続される。動力伝達部材Dbの例は、チェーン、ベルト及びギヤを含み得る。駆動モータDは、電力の供給を受けることで変速機TMを介して回転動力を後輪3に伝達する。駆動モータDは、変速機TMを介して後輪3によってモータ駆動軸Daを強制的に回転されることで電力を発生する。変速機TMは、複数のギヤを含み、内燃機関Eの動力を後輪3に伝達するギヤを変えることで、変速比を変えることができる。
【0023】
スタータモータ20は、クランクシャフトEcにその回転駆動力を伝達可能に接続される。限定されないが、本実施形態では、スタータモータ20は、クランクシャフトEcの他端又はクランクシャフトEcの他端から延びる軸に直結される。限定されないが、本実施の形態では、スタータモータ20は、その回転の角速度を減速することなく、スタータモータ20と同じ角速度でクランクシャフトEcを回転させる構造を有する。スタータモータ20は、電力により動作しクランクシャフトEcを強制的に回転する。
【0024】
内燃機関Eの始動開始の際には、スタータモータ20を用いてクランクシャフトEcを強制的に回転させる必要がある。スタータモータ20がクランクシャフトEcを継続して回転させることで、内燃機関Eは、クランクシャフトEcの回転角度位置に基づいて設定されている吸気工程、圧縮工程、爆発工程及び排気工程をこの順で繰り返す。内燃機関Eは、シリンダ内に供給された混合気への点火を行うことで、混合気の爆発によってクランクシャフトEcを回転する回転動力を発生する。内燃機関Eは、クランクシャフトEcを回転する回転動力を得て、爆発工程に達するたびに、混合気への点火を繰り返す。これにより、内燃機関Eは、スタータモータ20の支援を不要として、回転動力の発生を継続できる。
【0025】
上述のように、スタータモータ20は、クランクシャフトEcに回転動力を与える駆動機能を有する。さらに、本実施形態では、スタータモータ20は、前記駆動機能に加えて、クランクシャフトEcから回転動力が与えられて発電する発電機能を有する、いわゆるスタータジェネレータモータとして実現される。スタータジェネレータの例として、インテグレーテッド・スタータジェネレータ(ISG:Integrated Starter Generator)、及び交流発電機(ACG:AC Generator)が挙げられる。スタータモータ20がスタータジェネレータモータである場合、オルタネータとしても機能するため、オルタネータが省略されてもよい。
【0026】
図3は、
図1のスタータモータ20及びその周辺の構成の一例を示す側面図である。
図2及び
図3に示すように、スタータモータ20は、ロータ20aと、ステータ20bと、回転センサ20cと、カバー20dとを備える。
図3では、カバー20dは、その内側が見えるように、カバー20dの一部が切り欠かれて描かれている。
【0027】
ロータ20aは、クランクシャフトEcと動力伝達可能に接続される。スタータモータ20は、ロータ20aの回転により、電気エネルギーから機械的エネルギーへの変換と、機械的エネルギーから電気エネルギーへの変換とを行うことができる回転電機である。スタータモータ20は、ロータ20aの回転により生成した電力をバッテリ40に供給する。
【0028】
本実施の形態では、スタータモータ20は、ロータ20aがステータ20bの外側に配置される構造を有するが、ロータ20aがステータ20bの内側に配置される構造を有してもよい。ステータ20bは、巻線で構成されるコイル部分20baを含む。ロータ20aは、コイル部分20baを外側から囲むように配置された複数の永久磁石を含む。カバー20dは、ロータ20a、ステータ20b及び回転センサ20cのうちの少なくともステータ20bを覆う。
【0029】
回転センサ20cは、ロータ20aの回転量を検出し、検出信号をECU50に出力する。ECU50は、回転センサ20cの検出信号に基づき、電力によるロータ20aの回転駆動と、ロータ20aの回転により電力を発生する際にロータ20aに付与する回転負荷とを制御する。回転センサ20cの例は、エンコーダ及びホールセンサなどを含み得る。
【0030】
スタータモータ20は、圧縮工程でピストンEdが受ける反力に抗してクランクシャフトEcを回転駆動するために、高い出力を要する。このようなスタータモータ20は、内燃機関Eの始動時に発熱する始動用電装部品の1つである。本実施形態では、スタータモータ20は、スタータモータ20と同じ角速度でクランクシャフトEcを回転させるため、スタータモータ20の角速度を減速して回転動力を伝達する場合に比べて、スタータモータ20から出力するトルクを高める必要がある。このため、スタータモータ20は、大きな電力が必要となり、発熱しやすい。
【0031】
さらに、本実施形態では、スタータモータ20は、駆動機能のほかに発電機能を有することから、走行中にクランクシャフトEcから与えられる動力の発電効率を高めるための構造を採用する必要がある。このため、スタータモータ20は、駆動機能に適した構造を有するようにすることが困難であり、発電機能を有しない場合に比べてスタータモータ20の始動に大きな電力を必要とする。スタータモータ20では、内燃機関Eの始動時の電流供給に伴ってコイル部分20baが大きく発熱する。
【0032】
スタータモータ20は、自動二輪車1が走行しているときに走行風によって直接的又は間接的に発熱部分が冷却される冷却構造を有する。本実施形態では、スタータモータ20は、発熱部分であるコイル部分20baに走行風が導かれる構造を有する。これによって、コイル部分20baは、走行風と接触することで、走行風によってその熱を奪われ、その温度を低下する。
【0033】
スタータモータ20は、カバー20dの内側に空気を導入するダクト20eをさらに備え得る。ダクト20eは、カバー20dの前方に配置される。ダクト20eは、外殻部材8の内側で前後方向に延びる。ダクト20eの上流端20eaは、フロントカウルとしての外殻部材8の前部分で外部に開口し、ダクト20eの下流端20ebは、カバー20dの前部分でカバー20dの内側に開口する。カバー20dは、後部分に開口部20daを有する。
【0034】
自動二輪車1の走行中の走行風は、白抜き矢印で示されるように、上流端20eaからダクト20eに流入し、ダクト20eによってカバー20d内に導入される。走行風は、カバー20d内でコイル部分20baと直接的に熱交換することでコイル部分20baを冷却し、開口部20daを通ってカバー20dの外へ流出して後方へ流れる。走行風は、カバー20d内を通り抜けることができ、その過程でコイル部分20baと直接的に熱交換する。カバー20d及びダクト20eは、冷却熱交換構造の一例である。
【0035】
本実施形態では、スタータモータ20のうちでコイル部分20baを覆うカバー20dの少なくとも一部は、外殻部材8であるフロントカウルから外部に露出して配置される。このように配置されることで、カバー20dは、走行風と接触することで、走行風によってその熱を奪われ、その温度を低下する。これに起因して、カバー20d内のコイル部分20baの温度も低下する。
【0036】
バッテリ40は、電力の充放電が可能である二次電池を含む。バッテリ40は、スタータモータ20及び駆動モータDの発電機能によって生成された電力を蓄積し、蓄積している電力を自動二輪車1における電力を使用する電装部品に供給する。スタータモータ20及び駆動モータDは、バッテリ40から電力を供給される電装部品の一つとなる。バッテリ40の充放電は、バッテリ40の制御回路40aによって制御され、制御回路40aは、電圧センサとして機能してバッテリ40の電圧値を検出し、ECU50に出力する。バッテリ40は、電力の充電及び放電の際に発熱する。このようなバッテリ40は、内燃機関Eの始動時に放電することで発熱し、発熱部品の一つとなる。
【0037】
図1に示すように、自動二輪車1は、電気回路41を備える。電気回路41の一部は、スタータモータ20及び駆動モータDとバッテリ40とを電気的に接続し、電気回路41の別の一部は、バッテリ40と自動二輪車1の電装部品とを電気的に接続する。電気回路41は、スタータモータ20及び駆動モータDが発電機能によって発生する交流電力をバッテリ40に蓄電可能な直流電力に変換するコンバータ、及び、バッテリ40に蓄電される直流電力を電装部品が使用可能な交流電力に変換するインバータ等を含む。コンバータ及びインバータはいずれも、電力の変換時に発熱し、変換する電力量の単位時間当たりの変化量が大きい程多くの熱量を発生する。スタータモータ20が交流モータで実現される場合、インバータは、内燃機関Eの始動時に発熱し、発熱部品の1つとなる。バッテリ40からスタータモータ20に電流を導く電気回路41の部分も、内燃機関Eの始動時に発熱し、発熱部品の1つとなる。
【0038】
図1及び
図2に示すように、自動二輪車1は、シート6上への人の着座の有無を検出する感圧センサ等の着座センサ61をシート6に備えてもよい。着座センサ61は、検出信号をECU50に出力する。
【0039】
自動二輪車1は、後輪3に車速センサ62をさらに備える。車速センサ62は、後輪3の回転数を検出し、検出信号をECU50に出力する。車速センサ62又はECU50は、当該回転数から自動二輪車1の車速を検出する。車速センサ62の例は、エンコーダなどの回転センサを含み得る。車速センサ62は、前輪2に配置され、前輪2の回転数を検出してもよい。車速センサ62は、地球上における自動二輪車1の位置を検出するGNSS(全球測位衛星システム:Global Navigation Satellite System)によって実現されてもよい。
【0040】
自動二輪車1は、ハンドル5に配置されるスロットルグリップ5aの動作位置を検出するスロットルポジションセンサ63を備えてもよい。スロットルポジションセンサ63は、検出信号をECU50に出力する。スロットルグリップ5aの動作位置の検出信号は、スロットル弁の開放度を指令する信号である。ECU50は、スロットルポジションセンサ63の検出信号に従って、後述するスロットルアクチュエータ70aにスロットル弁を駆動させる。
【0041】
自動二輪車1は、内燃機関Eの温度状態を検出する温度センサ64を備えてもよい。1つ以上の温度センサ64が、内燃機関Eを冷却する冷却水の温度、内燃機関E内を潤滑する潤滑油の温度、又は、これらの両方を検出するように配置されてもよい。温度センサ64は、冷却水の流路又は潤滑油の流路に配置されてもよい。温度センサ64は、検出信号をECU50に出力する。
【0042】
自動二輪車1は、外気温を検出する外気温センサ65を備えてもよい。外気温センサ65は、外殻部材8から露出して配置されてもよく、外殻部材8の内側に配置されてもよい。外気温センサ65は、内燃機関Eの吸気温度を検出するように吸気流路に配置されてもよい。外気温センサ65は、検出信号をECU50に出力する。
【0043】
自動二輪車1は、サイドスタンドセンサ66を備えてもよい。サイドスタンドセンサ66は、自動二輪車1を傾斜した状態で支持するサイドスタンドが格納された位置にあるか、支持のための引き出された位置にあるかを検出し、検出信号をECU50に出力する。
【0044】
自動二輪車1は、ギヤポジションセンサ67を備えてもよい。ギヤポジションセンサ67は、変速機TMの変速比を指定する指令を検出し、検出信号をECU50に出力する。例えば、ギヤポジションセンサ67は、シフトペダル、シフトレバー又はシフトボタンへの操作を検出する。ECU50は、ギヤポジションセンサ67の検出信号に従って、変速機TMのアクチュエータに、内燃機関Eの動力を後輪3に伝達するギヤを変更させる。
【0045】
自動二輪車1は、クラッチセンサ68を備えてもよい。クラッチセンサ68は、クラッチCが接続状態であるか切断状態であるかを検出し、検出信号をECU50に出力する。ECU50は、クラッチセンサ68の検出信号に基づき、後述するクラッチアクチュエータ71にクラッチCを駆動させる。
【0046】
ECU50は、制御回路を含む。このようなECU50は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサPとメモリMとを備えるマイクロコンピュータを含んでもよい。ECU50は、計時するクロックを含んでもよい。メモリの例は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ、及び、ROM(Read-Only Memory)等の不揮発性メモリを含み得る。ECU50の一部又は全部の機能は、CPUがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。ECU50の一部又は全部の機能は、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。ECU50の一部又は全部の機能は、上記のソフトウェア機能とハードウェア回路との組み合わせによって実現されてもよい。ECU50、スタータモータ20、種々のアクチュエータ及び種々のセンサなどの自動二輪車1に搭載される機器間の通信は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介した通信であってもよい。
【0047】
ECU50は、内燃機関E、駆動モータD及びスタータモータ20を制御する。ECU50は、内燃機関Eの駆動を制御する1つ以上の内燃機関アクチュエータ70の動作を制御する。1つ以上の内燃機関アクチュエータ70は、スロットルアクチュエータ70aと、燃料噴射アクチュエータ70bと、点火アクチュエータ70cとを少なくとも含む。スロットルアクチュエータ70aは、シリンダブロックEb内へ流入する空気の流量を調節するスロットル弁を駆動する。燃料噴射アクチュエータ70bは、シリンダブロックEb内に燃料を噴射する燃料噴射弁を含む。点火アクチュエータ70cは、シリンダブロックEb内の空気及び燃料の混合気に点火する点火プラグを含む。
【0048】
ECU50は、自動二輪車1が備える車両状態を検出するセンサの検出信号に応じて、内燃機関Eが出力するトルクを調整する。例えば、ECU50は、クランクシャフトEcの回転数、車速及びスロットル開度に応じたトルクとなるように、スロットルアクチュエータ70a、燃料噴射アクチュエータ70b及び点火アクチュエータ70cの動作を制御する。
【0049】
ECU50は、クラッチCの駆動を制御するクラッチアクチュエータ71の動作を制御する。クラッチアクチュエータ71は、クラッチCを駆動することで、クラッチCを接続状態と切断状態とに移行させる。クラッチCの接続状態では、内燃機関E及び駆動モータDの動力が後輪3に伝達する。クラッチCの切断状態では、内燃機関Eの動力は後輪3に伝達せず、駆動モータDの動力は後輪3に伝達する。
【0050】
このようなECU50は、自動二輪車1をハイブリッド車両として制御する。本実施の形態では、自動二輪車1は、パラレル方式のハイブリッド車両であるが、スプリット方式などの他の方式のハイブリッド車両であってもよい。ECU50は、自動二輪車1の走行状態に応じて、内燃機関E及び駆動モータDの一方又は両方を駆動することで自動二輪車1を走行させる。例えば、ECU50は、HEVモード、充電モード及びEVモードのうちの少なくともHEVモードの制御を行う。
【0051】
自動二輪車1は、ハンドル5等にHEVモード、充電モード及びEVモードを選択する操作キー5bを備えてもよい。ECU50は、クラッチアクチュエータ71、内燃機関アクチュエータ70及び駆動モータDを制御することで、操作キー5bによって選択されたモードに従った駆動状態に、自動二輪車1の駆動状態を切り替え、自動二輪車1に当該駆動状態で駆動させてもよい。ECU50は、内燃機関E及び駆動モータDの稼働効率等に基づき、HEVモード、充電モード及びEVモードから実行すべきモードを自律的に決定してもよい。ECU50は、自身で決定したモードに従った駆動状態に、自動二輪車1の駆動状態を切り替え、自動二輪車1に当該駆動状態で駆動させてもよい。
【0052】
ECU50は、内燃機関E及び駆動モータDを制御するHEVモードの制御を行う。この場合、ECU50は、クラッチアクチュエータ71にクラッチCを接続状態にさせる。ECU50は、HEVモードにおいて駆動モータDのみを駆動して自動二輪車1を走行させる場合がある。
【0053】
例えば、HEVモードにおいて、ECU50は、自動二輪車1の発進時に、駆動モータDのみ、又は、内燃機関E及び駆動モータDの両方を駆動する制御をしてもよい。ECU50は、自動二輪車1の低速での加速時に、駆動モータDのみ、又は、内燃機関E及び駆動モータDの両方を駆動する制御をしてもよい。ECU50は、自動二輪車1の中高速での加速時に、内燃機関Eのみ、又は、内燃機関E及び駆動モータDの両方を駆動する制御をしてもよい。ECU50は、自動二輪車1の定常走行時に、駆動モータD又は内燃機関Eを駆動する制御をしてもよい。ECU50は、上記のような駆動状態の切替に応じて、内燃機関Eを自律的に停止及び始動する。
【0054】
ECU50は、充電モードの制御を行うように構成されてもよい。充電モードでは、ECU50は、自動二輪車1の走行状態に関係なく、内燃機関Eのみを駆動し、駆動モータDに発電機として機能させる。この場合、ECU50は、クラッチアクチュエータ71にクラッチCを接続状態にさせる。駆動モータDは、内燃機関Eによって強制的に回転駆動されることで電力を発生し、発生した電力をバッテリ40に供給する。
【0055】
ECU50は、駆動モータDのみを制御するEVモードの制御を行うように構成されてもよい。この場合、ECU50は、クラッチアクチュエータ71にクラッチCを切断状態にさせる。EVモードでは、ECU50は、駆動モータDのみを駆動して自動二輪車1を走行させるが、バッテリ40の電圧値が所定値以下になると、HEVモード又は充電モードに移行して内燃機関Eを自律的に始動してもよい。
【0056】
さらに、ECU50は、運転者の操作に拘わらずに、自動二輪車1の車両状態を示す情報に基づいて、所定の停止条件が満足されると決定すると、内燃機関Eを自律的に停止する自動停止機能を有する。例えば、ECU50は、自動二輪車1が走行せずに停止している状態である移動停止状態が所定時間経過すると、スロットルアクチュエータ70a、燃料噴射アクチュエータ70b及び点火アクチュエータ70cを制御して内燃機関Eを停止する、つまり、内燃機関Eを自動停止する。自動二輪車1の車両状態を示す情報は、自動二輪車1が備える種々のセンサの検出結果を含む。当該センサの例は、着座センサ61、車速センサ62、スロットルポジションセンサ63、温度センサ64、外気温センサ65、バッテリ40の制御回路40a、ブレーキセンサ17a及び18a、並びにサイドスタンドセンサ66等を含み得る。
【0057】
ECU50は、内燃機関Eの停止状態において、自動二輪車1の車両状態を示す情報に基づいて、所定の始動条件が満足されると決定すると、スロットルアクチュエータ70a、燃料噴射アクチュエータ70b及び点火アクチュエータ70cを制御して内燃機関Eを自律的に始動する自動始動機能を有する。例えば、ECU50は、自動二輪車1の走行を開始する指令を受け取った場合にも、内燃機関Eを始動してもよい。
【0058】
上述のようなECU50は、所定の停止条件と、所定の保護条件と、所定の始動条件とをメモリMに記憶している。ECU50は、各種センサからの情報に基づいて、メモリMに記憶している停止条件が満足されると決定すると内燃機関Eを停止する。ECU50は、各種センサからの情報に基づいて、メモリMに記憶している始動条件が満足されると決定すると内燃機関Eを始動する。例えば、ECU50は、走行停止中又は駆動モータDのみでの走行中にアイドリング状態の内燃機関Eを停止させるアイドリングストップ機能を有する。アイドリング状態とは、スロットルポジションセンサ63からスロットル弁の開放を指令する信号が出力されていない状態において、ECU50が内燃機関Eを所定の回転数で稼働させる状態である。
【0059】
ECU50は、内燃機関Eが稼働している状態で、自動二輪車1の車両状態を示す情報に基づいて、停止条件が満足されるか否かを判定し、停止条件が満足される場合に内燃機関Eを停止する。
【0060】
停止条件に関する自動二輪車1の車両状態を示す情報は、自動二輪車1の走行停止状態を検出又は推定するための走行停止情報を含んでもよい。車両状態を示す情報は、運転者の走行停止操作を検出又は推定するための停止操作情報を含んでもよい。車両状態を示す情報は、スタータモータ20の動作が可能な状態を示すモータ動作可能情報を含んでもよい。
【0061】
走行停止情報は、前輪2又は後輪3の車速センサ62、自動二輪車1が備えるジャイロセンサ及びGNSSの1つ以上を利用した、位置センサ及び測距センサの1つ以上を用いて取得することができる。好ましくは、ECUは50、走行速度がゼロを示す状態が所定時間以上継続すると、走行停止状態であると決定してもよい。
【0062】
停止操作情報は、スロットルポジションセンサ63、ブレーキセンサ17a及び18a、並びにサイドスタンドセンサ66の1つ以上を用いて取得することができる。
【0063】
モータ動作可能情報は、バッテリ40の残量である蓄電量、バッテリ40の温度、及びバッテリ40の劣化度の1つ以上に関するバッテリ動作可能情報を含んでもよい。バッテリ40の蓄電量は、バッテリ40の電圧に基づき決定され得、バッテリ40の劣化度は、バッテリ40の充放電の回数に基づき決定され得る。バッテリ動作可能情報は、スタータモータ20でクランクシャフトEcを回転させるだけの電流をバッテリ40が供給できるかどうかを推定した情報であってもよい。モータ動作可能情報は、バッテリ稼働情報を含んでよい。バッテリ稼働情報は、バッテリ40によるスタータモータ20の稼働履歴に基づき、スタータモータ20の温度の推定を可能にする情報であり、スタータモータ20による内燃機関Eの始動履歴の情報を含んでもよい。
【0064】
停止条件は、ECU50への電力の供給が維持される状態で内燃機関Eを停止するための条件である。例えば、ECU50への電力供給状態は、イグニッション電源がオンの状態であるが、アクセサリ電源がオンの状態であってもよい。一方、ECU50への電力非供給状態では、イグニッション電源又はアクセサリ電源がオフの状態であるが、ECU50に、セキュリティ監視機能及び時計機能などのために暗電流が供給されてもよい。
【0065】
例えば、停止条件は、自動二輪車1の移動状態、運転者による自動二輪車1の操作状態、自動二輪車1の電力状態、及び、自動二輪車1が備える機器の状態の1つ以上に関する条件を含んでもよい。
【0066】
例えば、停止条件は、車速センサ62の検出結果が車速0を示す状態が所定時間以上にわたって維持されるという第1停止条件と、スロットルポジションセンサ63の検出結果がスロットルの非開放を指令する状態を示すという第2停止条件と、バッテリ40の制御回路40aによって検出される電圧値が所定電圧値以上であるという第3停止条件とのうちの1つ以上を含み、本実施の形態では全てを含む。
【0067】
例えば、車速0についての所定時間は、1秒間以上10秒間未満の範囲内の時間であってもよい。バッテリ40についての所定電圧値は、停止条件に従った内燃機関Eの停止状態に要求されるバッテリ40の電圧値であってもよい。
【0068】
第1停止条件は、自動二輪車1の移動停止の状態に関する条件である。第2停止条件は運転操作の状態に関する条件である。第3停止条件はバッテリ40の状態に関する条件である。停止条件が満足されることは、停止条件に含まれる全ての条件が満足されることであり、本実施の形態では、第1停止条件、第2停止条件及び第3停止条件の全てが満足されることである。
【0069】
停止条件は、上記の停止条件に加えて、以下の第4停止条件から第7停止条件の1つ以上を含んでもよい。第4停止条件は、温度センサ64の検出結果が所定温度以上であるという条件である。第4停止条件の所定温度は、暖機状態の内燃機関Eの温度に対応する温度であってもよい。第5停止条件は、ブレーキセンサ17a及び18aの検出結果がブレーキレバー17及びブレーキペダル18の一方又は両方によるブレーキ作動操作を示すという条件である。第6停止条件は、サイドスタンドセンサ66の検出結果が、サイドスタンドが格納位置にあることを示すという条件である。第7停止条件は、着座センサ61の検出結果がシート6上への人の着座を示すという条件である。
【0070】
本実施形態では、ECU50は、停止条件が満足されたとしても、自動二輪車1の車両状態を示す情報に基づいて、発熱部品の保護条件が満足されるか否かを判定する。ECU50は、発熱部品の保護条件が満足されると、内燃機関Eの停止を阻止する。すなわち、ECU50は、内燃機関Eの動作を継続する。ECU50は、停止条件が満足され且つ保護条件が満足されないと判定する場合、内燃機関Eの停止を実行する。
【0071】
保護条件に関する自動二輪車1の車両状態を示す情報は、発熱部品の温度を推定するための温度推定情報を含んでもよい。温度推定情報は、発熱部品の温度を検出するセンサから取得される検出値を含んでもよく、発熱部品を流れる電流を検出するセンサから取得される検出値を含んでもよく、スタータモータ20を用いた内燃機関Eの始動履歴に関連づけられた情報を含んでもよい。
【0072】
保護条件は、発熱部品を過度な発熱から保護するための条件であり、温度推定情報と関連する。保護条件は、発熱部品の推定温度、及び、発熱部品が受ける昇温頻度の1つ以上に関する条件を含んでもよい。例えば、保護条件は、発熱部品の推定温度が許容上限値超であるという第1保護条件を含んでもよい。保護条件は、予め定める期間内における内燃機関Eの始動回数が所定値以上であるという第2保護条件を含んでもよい。本実施の形態では、保護条件は、第1保護条件及び第2保護条件を含み、第1保護条件及び第2保護条件の1つ以上が満足される場合に、保護条件が満足される。
【0073】
例えば、ECU50は、温度推定情報に基づき発熱部品の温度を推定し、発熱部品の推定温度が許容上限値を超えている、つまり第1保護条件が満足されると決定した場合、内燃機関Eの稼働を継続させて、内燃機関Eの停止後の始動機会の増加を抑える。例えば、ECU50は、予め定める期間内における始動回数が所定値以上である、つまり第2保護条件が満足されると決定した場合、内燃機関Eの稼働を継続させる。いずれの場合も、発熱部品は、内燃機関Eの停止後に想定される始動動作に伴って発熱してその温度を上昇することを防ぐことができるため、発熱部品が熱から保護され得る。
【0074】
ECU50は、ECU50への電力供給状態での内燃機関Eの停止状態において、自動二輪車1の車両状態を示す情報に基づいて、始動条件が満足されるか否かを判定し、始動条件が満足される場合に内燃機関Eを始動する。
【0075】
始動条件に関する自動二輪車1の車両状態を示す情報は、運転者による走行を開始する操作の実行を検出又は推定するための走行開始操作情報を含んでもよい。走行開始操作情報は、スロットルポジションセンサ63、ブレーキセンサ17a及び18a、サイドスタンドセンサ66、クラッチセンサ68、並びにギヤポジションセンサ67等の操作子センサのうちの1つ以上の検出信号を用いて取得することができる。
【0076】
始動条件に関する自動二輪車1の車両状態を示す情報は、モータ動作可能情報を含んでもよい。このようなモータ動作可能情報は、バッテリ40の残量である蓄電量、及びバッテリ40の温度の1つ以上に関するバッテリ動作可能情報を含んでもよい。
【0077】
始動条件は、ECU50への電力供給状態で停止している内燃機関Eを始動するための条件である。例えば、始動条件は、自動二輪車1の移動状態、運転者による自動二輪車1の操作状態、自動二輪車1の電力状態、及び、自動二輪車1が備える機器の状態の1つ以上に関する条件を含んでもよい。例えば、始動条件は、各種の操作子センサの検出信号が、運転者による走行を開始する操作の実行に関連することを示す第1始動条件を含んでよい。始動条件は、バッテリ40の蓄電量が、駆動モータDのみによる自動二輪車1の走行が困難となることが予想される蓄電量以下であるという第2始動条件を含んでもよい。本実施の形態では、始動条件は、第1始動条件及び第2始動条件を含み、第1始動条件及び第2始動条件の1つ以上が満足される場合に、始動条件が満足される。
【0078】
例えば、ECU50は、操作子センサの検出信号に基づき、運転者により走行を開始する操作が実行された、つまり第1始動条件が満足されると決定した場合、内燃機関Eを始動させる。ECU50は、バッテリ40の制御回路40aから取得するバッテリ40の電圧値に基づき、駆動モータDのみによる走行が困難である、つまり第2始動条件が満足されると決定した場合、内燃機関Eを始動させる。
【0079】
ECU50は、自動二輪車1の車両状態に応じて保護条件を変更できるように構成される。ECU50は、保護条件の変更を決定するための条件として、変更条件をメモリMに記憶している。限定されないが、本実施の形態では、変更条件は、自動二輪車1の車速に応じて保護条件を変更するための条件である。ECU50は、変更条件が満足されると判定すると、保護条件を変更する。ECU50は、変更条件に応じて、保護条件が満足され難くなるように又は保護条件が満足され易くなるように、保護条件を変更する。本実施の形態では、ECU50は、変更条件に応じて、保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更する。
【0080】
ここで、上述した第2保護条件としての保護条件は、内燃機関Eの始動履歴に関連付けられた条件である。ECU50は、内燃機関Eの始動履歴と、始動履歴に予め設定される第1履歴閾値とをメモリMに記憶する。本実施形態では、ECU50は、ECU50への電力供給状態が維持されている間、ECU50への電力供給の開始時点から、内燃機関Eが始動動作する毎に始動動作を計上することで、始動動作の回数をインクリメントする。つまり、ECU50は、始動動作の回数をカウントする。ECU50は、始動動作のカウント数を始動履歴としてメモリMに記憶する。さらに、ECU50は、インクリメントの対象の始動動作の時刻を、始動動作のカウントに関連付けてメモリMに始動履歴として記憶してもよい。さらに、ECU50は、ECU50が取得した自動二輪車1の車両状態を示す情報を、上記の時刻と関連付けてメモリMに始動履歴として記憶してもよい。第1履歴閾値は、カウント数に設定される閾値であってもよい。
【0081】
ECU50は、ECU50への電力が非供給状態になると、メモリMに記憶しているカウント数を変更してもよい。ECU50は、カウント数を0にリセットしてもよく、電力非供給状態の期間が長くなる程、カウント数を小さくしてもよい。
【0082】
内燃機関Eの始動動作のカウント数は、ECU50への電力が供給されている状態で停止している内燃機関Eに、ECU50が実行した始動動作のカウント数を少なくとも含む。内燃機関Eの始動動作のカウント数は、ECU50への電力が供給されていない状態で停止している内燃機関Eに、運転者のキー操作又はスタートスイッチの操作に従ってECU50が実行した始動動作のカウント数をさらに含んでもよい。
【0083】
内燃機関Eの始動履歴に関連付けられた条件である保護条件は、内燃機関Eの始動動作のカウント数と第1履歴閾値とに基づく。保護条件は、内燃機関Eの始動動作のカウント数が第1履歴閾値以上であるとの条件を含む。第1履歴閾値は、数回から数十回の値に設定されてもよい。例えば、第1履歴閾値は、10回以上100回未満の範囲内の値に設定されてもよいが、100回以上の値であってもよい。
【0084】
変更条件は、第1変更条件を含む。第1変更条件は、自動二輪車1の走行速度が第1速度閾値以上であるという条件である。第1速度閾値は、走行風により発熱部品が許容上限温度以下の状態に冷却される冷却効果が得られる速度である冷却可能速度に基づき設定されてもよい。
【0085】
例えば、第1速度閾値は、冷却可能速度又はその近傍の速度であってもよい。第1速度閾値が冷却可能速度よりも高い場合、発熱部品は、冷却可能速度から第1速度閾値に至る過程で走行風による冷却作用を受けることができる。例えば、第1速度閾値は、時速30km以上の速度範囲内で設定されてもよい。好ましくは、第1速度閾値は、時速40km以上の速度範囲内で設定されてもよい。このような第1速度閾値は、冷却可能速度よりも高くなり得る。
【0086】
例えば、第1速度閾値は、交通状況が渋滞となる状態での走行速度よりも高い走行速度に設定されてもよい。例えば、第1速度閾値は、時速10km以上の速度範囲内で設定されてもよい。
【0087】
第1速度閾値は、発熱部品がスタータジェネレータとしてのスタータモータ20である場合、スタータモータ20が発電機能によって発熱したとしても、スタータモータ20をその許容上限温度以下に冷却する速度に設定されることが好ましい。
【0088】
ECU50は、自動二輪車1の走行速度が増加して第1速度閾値に達すること、つまり第1変更条件が満足されると判定すると、第1履歴閾値の増大に相当する保護条件の変更を行う。つまり、ECU50は、保護条件がより満足され難くなるような変更を行う。本実施の形態では、ECU50は、自動二輪車1の走行速度が一瞬でも第1速度閾値以上になると、保護条件を変更する。他の例として、ECU50は、自動二輪車1の走行速度が第1期間にわたって第1速度閾値以上である場合に、保護条件を変更してもよい。第1期間は、1秒間未満、数秒間、又は数十秒間などに設定されてもよい。
【0089】
ECU50は、メモリMに記憶されるカウント数を減少することで、カウント数と第1履歴閾値との差異を増大するように保護条件を変更する。本実施の形態では、ECU50は、メモリMに記憶されるカウント数を0にリセットするが、自動二輪車1の走行速度が大きくなる程、カウント数を小さくしてもよい。自動二輪車1が第1速度閾値以上で走行すると、走行風が、発熱部品であるスタータモータ20のコイル部分20baを冷却するため、内燃機関Eの始動が可能となる温度範囲に発熱部品を冷却することができる。
【0090】
保護条件の変更は上記に限定されず、ECU50は、第1履歴閾値を増加することで、カウント数と第1履歴閾値との差異を増大するように保護条件を変更してもよい。これによっても、ECU50は、保護条件がより満足され難くなるような変更を行うことができる。
【0091】
図4を参照して、実施の形態に係るECU50の内燃機関Eの停止動作及び始動動作の一例を説明する。
図4は、実施の形態に係るECU50が内燃機関Eを停止及び始動する動作の一例を示すフローチャートであり、電力供給が維持されている状態のECU50の動作を示す。
【0092】
以下のステップS101からS108の過程の間において、ECU50は、自動二輪車1の種々のセンサからの検出結果を、自動二輪車1の車両状態を示す情報として随時取得しメモリMに記憶する。例えば、ECU50は、所定の時間間隔で上記検出結果を取得する。
【0093】
ステップS101において、ECU50は、自動二輪車1の走行速度が第1速度閾値以上であるか否かを判定する。ECU50は、走行速度が第1速度閾値以上である場合(ステップS101でYes)にステップS102に進み、走行速度が第1速度閾値未満である場合(ステップS101でNo)にステップS103に進む。
【0094】
ステップS102において、ECU50は、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を変更し、変更後のカウント数をメモリMに記憶する。本例では、ECU50は、カウント数をリセットして0にする。その後、ECU50は、ステップS103に進む。
【0095】
ステップS103において、ECU50は、停止条件が満足されるか否かを判定する。ECU50は、停止条件が満足される場合(ステップS103でYes)にステップS104に進む。ECU50は、停止条件が満足されない場合(ステップS103でNo)にステップS101に戻る。
【0096】
ステップS104において、ECU50は、保護条件が満足されるか否かを判定する。ECU50は、保護条件が満足される場合(ステップS104でYes)にステップS101に戻る。ECU50は、保護条件が満足されない場合(ステップS104でNo)にステップS105に進む。例えば、ECU50は、保護条件の満足の是否について、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数が、第1履歴閾値以上であるか否かを検出する。つまり、ECU50は、内燃機関Eの停止が許可されているか否かを検出する。
【0097】
ステップS105において、ECU50は、アクチュエータ70を制御して、内燃機関Eを停止する。
【0098】
次いで、ステップS106において、ECU50は、始動条件が満足されるか否かを判定する。ECU50は、始動条件が満足される場合(ステップS106でYes)にステップS107に進み、始動条件が満足されない場合(ステップS106でNo)にステップS106を繰り返す。
【0099】
ステップS107において、ECU50は、アクチュエータ70を制御して、内燃機関Eを始動する。
【0100】
次いで、ステップS108において、ECU50は、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を1つ増加する、つまり、インクリメントする。ECU50は、増加後のカウント数をメモリMに記憶する。その後、ECU50は、ステップS101に戻り、ステップS101以降を繰り返す。
【0101】
ECU50は、ステップS101からS108の一連の工程を、イグニッション電源がOFFにされると、終了してもよい。ECU50の動作において、ステップS101からS108の全てが必須ではく、ステップS101からS108の順序も変更されてもよい。例えば、停止条件に関するステップS103と保護条件に関するステップS104との順序が逆であってもよい。
【0102】
図5を参照して、ECU50による内燃機関Eの停止動作及び始動動作と自動二輪車1の状態との関係を説明する。
図5は、自動二輪車1の走行速度の時間的変化と、停止操作の時間的変化と、内燃機関Eの動作状態の時間的変化と、内燃機関Eの始動動作のカウント数の時間的変化と、内燃機関Eの停止の許可状態の時間的変化との関係の一例を示す図である。
【0103】
例えば、自動二輪車1の走行中、運転者が、スロットルグリップ5aにスロットルオフ操作を入力し、ブレーキレバー17及びブレーキペダル18にブレーキ操作を入力して、自動二輪車1を減速させ停止させる。
図5では、運転者は、時刻t21、t23、t25及びt27において4回の停止操作を行う。自動二輪車1は、時刻t21、t23、t25及びt27それぞれよりも後の時刻t11、t13、t15及びt18で停止する。
【0104】
スロットルポジションセンサ63は、時刻t21、t23、t25及びt27それぞれから、スロットルオフ操作を検出し続け、ブレーキセンサ17a及び18aは、時刻t21、t23、t25及びt27それぞれから、ブレーキ操作を検出し続ける。スロットルオフ操作は、スロットル弁の非開放を指令する操作である。ブレーキ操作は、フロントブレーキ15及びリヤブレーキ16の一方又は両方の作動を指令する操作である。
【0105】
ECU50は、時刻t11、t13、t15及びt18それぞれにおいて、停止条件及び保護条件が満足されるか否かを判定する。本例では、停止条件が満足されるとは、自動二輪車1の移動停止の状態に関する第1停止条件と、運転操作の状態に関する第2停止条件と、ブレーキ作動操作に関する第5停止条件とが満足されることである。保護条件が満足されるとは、内燃機関Eの始動回数に関する第2保護条件が満足されることである。
【0106】
ECU50は、時刻t11及びt13では、停止条件が満足されると判定し、保護条件に基づいた内燃機関Eの停止の許可状態が許可であると判定し、時刻t11及びt13それぞれの後の時刻t31及びt33で内燃機関Eを停止する。ECU50は、時刻t11及びt13の直前の内燃機関Eの始動の結果、内燃機関Eの始動動作のカウント数が第1履歴閾値未満であり保護条件が満足されなかったため、許可状態を許可に設定しこの設定を継続している。
【0107】
ECU50は、時刻t15では、停止条件が満足されると判定し、内燃機関Eの停止の許可状態が不許可であると判定し、内燃機関Eの稼働を継続する。ECU50は、時刻t15の直前の始動である時刻t34での内燃機関Eの始動の結果、始動動作のカウント数が第1履歴閾値に到達し、保護条件が満足されたため、許可状態を不許可に設定しこの設定を継続している。
【0108】
ECU50は、時刻t18では、停止条件が満足されると判定し、内燃機関Eの停止の許可状態が許可であると判定し、時刻t18の後の時刻t35で内燃機関Eを停止する。なお、時刻t18よりも前の時刻t17において、ECU50は、自動二輪車1の走行速度が第1速度閾値に到達することを検出し、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を0にリセットしていた。保護条件が満足されなくなったため、ECU50は、許可状態を許可に設定しこの設定を継続している。
【0109】
ECU50は、内燃機関Eの停止中、時刻t31、t33及びt35それぞれの後の時刻t32、t34及びt36において、始動条件が満足されると判定する。本例では、始動条件が満足されることは、スロットルポジションセンサ63並びにブレーキセンサ17a及び18aの検出信号が運転者の走行開始操作に関連することを示す第1始動条件が満足されることである。この場合、スロットルポジションセンサ63がスロットル弁の開放を指令するスロットルオン操作を検出し、ブレーキセンサ17a及び18aがブレーキレバー17及びブレーキペダル18への非入力を検出する。
【0110】
このように、ECU50は、停止条件が満足され且つ保護条件が満足されない状態が発生するたびに、内燃機関Eを停止し、内燃機関Eの停止中に始動条件が満足されるたびに内燃機関Eを始動する。
【0111】
(変形例1)
実施の形態の変形例1を説明する。変形例1に係るECU50は、複数の変更条件をメモリMに記憶し、満足される変更条件に応じて保護条件を変更する。ECU50は、保護条件が満足され難くなるようにも、保護条件が満足され易くなるようにも、保護条件を変更し得る。以下において、本変形例について、実施の形態と異なる点を説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0112】
本変形例に係るECU50は、第1変更条件に加えて、1つ以上の第2変更条件を変更条件としてメモリMに記憶している。第2変更条件は、外気温に関する外気温条件と、始動履歴に関する1つ以上の履歴条件とのうちの1つ以上を含んでもよく、本変形例では、外気温条件及び履歴条件を含む。
【0113】
外気温条件は、外気温センサ65によって検出される外気温が該当する温度レンジが変化するという条件である。外気温条件が満足されることは、外気温が該当する温度レンジが変化することである。複数の温度レンジが予め設定されてメモリMに記憶される。ECU50は、外気温が該当する温度レンジに応じて保護条件を変更する。温度レンジは、1℃毎、数℃毎、10℃毎、10数℃毎又はこれらを組み合わせて設定されてもよい。
【0114】
外気温条件が満足される場合、例えば、ECU50は、保護条件を、外気温が該当する温度レンジに対応するように変更してもよい。例えば、保護条件に関連する第1履歴閾値及び第1速度閾値の一方又は両方が、複数の温度レンジに対応するように予め設定されて、メモリMに記憶されている。温度レンジが低い程、第1履歴閾値は大きい値に設定され、第1速度閾値は小さい値に設定されてもよい。ECU50は、第1履歴閾値及び第1速度閾値の一方又は両方を、外気温が該当する温度レンジに対応する値に決定する。
【0115】
外気温条件が満足される場合、例えば、ECU50は、保護条件を、外気温の変化に伴う外気温の該当温度レンジの移行に対応して変更してもよい。この場合、ECU50は、外気温が該当する温度レンジが、第2期間内でより高い温度レンジに移行すると、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更し、温度レンジが第2期間内でより低い温度レンジに移行すると、保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更してもよい。ECU50は、温度レンジの移行に応じて、メモリMに記憶されるカウント数、第1履歴閾値及び第1速度閾値のうちの1つ以上を増減してもよい。例えば、ECU50は、温度レンジが低い温度レンジに移行すると、カウント数を減少してもよく、第1履歴閾値を増加してもよく、第1速度閾値を減少してもよい。ECU50は、温度レンジが高い温度レンジに移行すると、カウント数を増加してもよく、第1履歴閾値を減少してもよく、第1速度閾値を増加してもよい。
【0116】
第2期間は、一定の期間に設定されてもよく、時間的に隣り合う内燃機関Eの始動動作間の時間期間に基づき設定されてもよい。例えば、前者の場合、第2期間は、数分間、数十分間などに設定されてもよい。後者の場合、第2期間は、直近の始動動作から現在までの時間期間である直近時間期間、隣り合う2つの始動動作間の時間期間である動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計である合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。ECU50は、外気温の該当温度レンジに対応する保護条件への変更と、外気温の変化に伴う外気温の該当温度レンジの移行に対応した保護条件の変更とを組み合わせて実行してもよい。
【0117】
履歴条件は、内燃機関Eの始動動作間の時間間隔に関する第1履歴条件と、自動二輪車1の走行速度に関する第2及び第3履歴条件と、内燃機関Eの始動動作に費やす時間に関する第4履歴条件と、内燃機関Eの始動に必要な負荷に関する第5履歴条件と、単位時間当たりの内燃機関Eの始動動作の回数に関する第6履歴条件とのうちの1つ以上を含み得る。本変形例では、履歴条件は、第1履歴条件から第6履歴条件を含む。
【0118】
第1履歴条件は、第1時間間隔が第1時間閾値以上であることである。第1時間間隔は、時間的に隣り合う内燃機関Eの始動動作間の時間間隔に基づく。例えば、第1時間間隔は、直近の始動動作から現在までの時間間隔である直近時間間隔、隣り合う2つの始動動作間の時間間隔である動作間時間間隔、又は、直近時間間隔及び1つ以上の動作間時間間隔のうちの2つ以上の時間間隔の平均値、最大値、最小値若しくは中央値である時間間隔の統計値などに設定されてもよい。2つ以上の時間間隔は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間間隔を含んでもよい。
【0119】
例えば、第1時間閾値は、内燃機関Eの始動動作間の時間間隔が第1閾値以上であると発熱部品の昇温が抑えられ得る又は発熱部品が降温し得るような時間に設定されてもよい。ECU50は、第1履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を減少することで、保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更する。始動動作間の時間間隔が長くなると発熱部品の昇温が抑えられ得るため、保護条件を緩和することができる。
【0120】
第2履歴条件は、第3期間内での自動二輪車1の走行速度が第2速度閾値以下であることである。第2速度閾値は、第1速度閾値よりも低い。例えば、第2速度閾値は、渋滞での走行速度に相当する速度であってもよい。例えば、第2速度閾値は、時速0km超時速10km以下の速度範囲内、又は、時速0km超時速15km以下の速度範囲内で設定されてもよい。第3期間は、第1期間よりも長い期間に設定される。第3期間は、一定の期間に設定されてもよく、時間的に隣り合う内燃機関Eの始動動作間の時間期間に基づき設定されてもよい。例えば、前者の場合、第3期間は、数十秒間、数分間などに設定されてもよい。後者の場合、第3期間は、直近時間期間、動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。
【0121】
第2速度閾値と比較される走行速度は、第3期間内での走行速度の平均値、最大値、最小値又は中央値であってもよい。ECU50は、第2履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。自動二輪車1が第2速度閾値以下のような低速走行を継続すると、発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0122】
第3履歴条件は、第4期間内での自動二輪車1の走行速度が第3速度閾値以上第1速度閾値未満であることである。第3速度閾値は、第1速度閾値よりも低く、第2速度閾値よりも高い。第4期間は、第1期間よりも長い期間に設定される。第4期間は、一定の期間に設定されてもよく、時間的に隣り合う内燃機関Eの始動動作間の時間期間に基づき設定されてもよい。例えば、前者の場合、第4期間は、数十秒間、数分間などに設定されてもよい。後者の場合、第4期間は、直近時間期間、動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。第4期間は、第3期間と同じであってもよい。
【0123】
第3速度閾値と比較される走行速度は、第4期間内での走行速度の平均値、最大値、最小値又は中央値であってもよい。ECU50は、第3履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を減少することで、保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更する。自動二輪車1が第3速度閾値以上の速度で走行を継続すると、発熱部品の昇温が抑えられ得る又は発熱部品が冷却され得るため、保護条件を緩和することができる。
【0124】
第4履歴条件は、内燃機関Eの始動動作に費やす時間が第2時間閾値以上であることである。例えば、第2時間閾値は、内燃機関Eの始動動作に費やす時間が第2時間閾値以上にわたると発熱部品が昇温し得るような時間に設定されてもよい。第2時間閾値と比較される時間は、内燃機関Eの直近の始動動作に費やす時間であるが、これに限定されない。例えば、第2時間閾値と比較される時間は、直近の始動動作を含む2つ以上の始動動作それぞれに費やす時間の平均値、最大値、最小値若しくは中央値であってもよい。2つ以上の始動動作は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作を含んでもよい。ECU50は、第4履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。内燃機関Eの始動動作に費やす時間が長くなると、発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0125】
第5履歴条件は、内燃機関Eの始動に必要な負荷が第1負荷閾値以上であることである。内燃機関Eの始動に必要な負荷の例は、スタータモータ20に印加される電圧である。例えば、第1負荷閾値は、内燃機関Eの始動動作でスタータモータ20に印加される電圧が第1負荷閾値以上であると、スタータモータ20、バッテリ40又は電気回路41が昇温し得るような電圧に設定されてもよい。第1負荷閾値と比較される負荷は、内燃機関Eの直近の始動に必要な負荷であるが、これに限定されない。例えば、第1負荷閾値と比較される負荷は、直近の始動を含む2回以上の始動それぞれに必要な負荷の平均値、最大値、最小値若しくは中央値であってもよい。2回以上の始動は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動を含んでもよい。ECU50は、第5履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。内燃機関Eの始動に必要な負荷が大きく、スタータモータ20の印加電圧が大きくなると、発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0126】
第6履歴条件は、単位時間当たりの内燃機関Eの始動動作の回数であるカウント数が第2履歴閾値以上であることである。第2履歴閾値は、第1履歴閾値よりも小さくてもよい。例えば、第2履歴閾値は、内燃機関Eが単位時間あたりに第2履歴閾値以上の回数で始動されると、発熱部品が過熱し得るような回数に設定されてもよい。第2履歴閾値と比較される単位時間当たりのカウント数は、メモリMに記憶されるカウント数のうちの全部又は一部のカウント数から算出される単位時間当たりのカウント数であってもよい。一部のカウント数は、2つ以上の始動動作のカウントを含み、直近の始動動作のカウントを含んでもよい。ECU50は、第6履歴条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。内燃機関Eの始動動作の頻度が高くなると、発熱部品が昇温しやすくなり得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0127】
上述したように、ECU50は、第1変更条件が満足されると判定すると、保護条件を緩和するように変更する。さらに、ECU50は、第1履歴条件から第6履歴条件及び外気温条件のうちの1つ以上を含む第2変更条件が満足されると、満足される条件に従って、保護条件を緩和する又は厳しくするように保護条件を変更することができる。
【0128】
図6を参照して、本変形例に係るECU50の内燃機関Eの停止動作及び始動動作を説明する。
図6は、変形例1に係るECU50が内燃機関Eを停止及び始動する動作の一例を示すフローチャートであり、電力供給が維持されている状態のECU50の動作を示す。
図4の例では、ECU50は、走行速度に関する第1変更条件に基づき、保護条件を変更するが、
図6の例では、ECU50は、第1変更条件及び第2変更条件に基づき、保護条件を変更する。本例では、第2変更条件は、外気温条件及び履歴条件を含む。
【0129】
以下のステップS201からS212の過程の間において、ECU50は、実施の形態と同様に、自動二輪車1の種々のセンサからの検出結果を、自動二輪車1の車両状態を示す情報として随時取得しメモリMに記憶する。
【0130】
ステップS201において、ECU50は、車両状態を示す情報を用いて外気温条件が満足されるか否かを判定する。ECU50は、外気温条件が満足される場合(ステップS201でYes)にステップS202に進み、外気温条件が満足されない場合(ステップS201でNo)にステップS203に進む。
【0131】
ステップS202において、ECU50は、外気温が該当する温度レンジの変化に応じて、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数、第1履歴閾値又は第1速度閾値を増加又は減少するように変更し、変更後のカウント数、第1履歴閾値又は第1速度閾値をメモリMに記憶する。その後、ECU50は、ステップS203に進む。
【0132】
ステップS203において、ECU50は、車両状態を示す情報及びメモリMに記憶された情報を用いて履歴条件が満足されるか否かを判定する。検出対象の履歴条件は、第1から第6履歴条件のうちの1つ以上であり、本例では全てである。ECU50は、少なくとも1つの履歴条件が満足される場合(ステップS203でYes)にステップS204に進み、履歴条件が全く満足されない場合(ステップS203でNo)にステップS205に進む。
【0133】
ステップS204において、ECU50は、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を、満足される履歴条件に応じて増加又は減少するように変更し、変更後のカウント数をメモリMに記憶する。その後、ECU50は、ステップS205に進む。
【0134】
ステップS205において、ECU50は、
図4のステップS101と同様に、自動二輪車1の走行速度が第1速度閾値以上であると判定する(ステップS205でYes)とステップS206に進み、走行速度が第1速度閾値未満であると判定する(ステップS205でNo)とステップS207に進む。
【0135】
ステップS206において、ECU50は、
図4のステップS102と同様に、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数をリセットし、リセット後のカウント数をメモリMに記憶する。その後、ECU50は、ステップS207に進む。
【0136】
ECU50は、ステップS207からS212をそれぞれ、
図4のステップS103からS108と同様に実行する。
【0137】
ECU50は、ステップS201からS212の一連の工程を、イグニッション電源がOFFにされると、終了してもよい。ECU50の動作において、ステップS201からS212の全てが必須ではく、ステップS201からS212の順序も変更されてもよい。例えば、ステップS201、S203及びS205の順序が変更されてもよく、ステップS207とステップS208との順序が逆であってもよい。例えば、ECU50は、ステップS201、S203及びS205のうちの1つ以上を実行してもよい。ECU50は、ステップS203において、第1履歴条件から第6履歴条件のうちの1つ以上を用いてもよい。ECU50は、ステップS212の後に、ステップS203及びS204と同様に、履歴条件に基づきカウント数を変更する処理を行ってもよい。
【0138】
(変形例2)
実施の形態の変形例2を説明する。変形例2に係るECU50は、保護条件の変更を決定するための変更条件に、駆動モータDに関する条件を含む。以下において、本変形例について、実施の形態及び変形例1と異なる点を説明し、実施の形態又は変形例1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0139】
本変形例では、保護条件の変更を決定するための変更条件は、駆動モータDの稼働に関する第3変更条件を含む。ECU50は、第1変更条件及び第3変更条件を含む変更条件、又は、第1変更条件、第2変更条件及び第3変更条件を含む変更条件をメモリMに記憶している。
【0140】
第3変更条件は、駆動モータDに関する1つ以上のモータ条件を含む。モータ条件は、駆動モータDの単独駆動及び非単独駆動の切替頻度に関する第1モータ条件と、駆動モータDの単独駆動の時間期間に関する第2モータ条件及び第3モータ条件と、充電モードの時間期間に関する第4モータ条件とのうちの1つ以上を含み得る。本変形例では、第3変更条件は、第1から第4モータ条件を含む。
【0141】
第1モータ条件は、第5期間内での駆動モータDの単独駆動状態から非単独駆動状態への移行の単位時間当たりの回数が、第1移行閾値以上であることである。第1移行閾値は、第1移行閾値以上の頻度の移行に伴って内燃機関Eが始動されると、発熱部品が過熱し得るような回数に設定されてもよい。上記移行は、駆動モータDの単独駆動状態から内燃機関Eの単独駆動状態への移行と、駆動モータDの単独駆動状態から内燃機関E及び駆動モータDの併用駆動状態への移行とを含む。上記移行は、HEVモード内での移行と、HEVモード及びEVモード間での移行とを含んでもよい。
【0142】
第5期間は、内燃機関Eの直近の始動動作から現在までの直近時間期間、時間的に隣り合う2つの始動動作間の動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。
【0143】
ECU50は、第1モータ条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。移行頻度が多くなると、内燃機関Eの始動動作の頻度が増えることになり、発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0144】
第2モータ条件は、第6期間内での駆動モータDの単独駆動の時間期間が、第3時間閾値以上であることである。第3時間閾値は、第3時間閾値以上の時間期間にわたって駆動モータDが駆動し続けると、駆動モータD、バッテリ40又は電気回路41等の発熱部品が昇温し得るような時間期間に設定されてもよい。第6期間は、直近時間期間、動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。
【0145】
ECU50は、第2モータ条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。駆動モータDの単独駆動の際、駆動モータD、バッテリ40又は電気回路41が昇温し得る。駆動モータDの単独駆動の時間期間が長くなると、これらの発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることができる。
【0146】
第3モータ条件は、第7期間内での駆動モータDの単独駆動の時間期間が、第4時間閾値以下であることである。第4時間閾値は、第3時間閾値よりも小さく、第4時間閾値以下の時間期間にわたって内燃機関Eが停止し且つ駆動モータDが駆動し続けると、駆動モータD、バッテリ40又は電気回路41等の発熱部品の昇温の抑制又は降温が可能であるような時間期間に設定されてもよい。第7期間は、直近時間期間、動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。
【0147】
ECU50は、第3モータ条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を減少することで、保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更する。駆動モータDの単独駆動の時間期間が長くない場合、駆動モータDの昇温よりも内燃機関Eの降温の方が発熱部品に与える影響が大きいため、保護条件を緩くすることができる。
【0148】
第4モータ条件は、第8期間内での充電モードの時間期間が、第5時間閾値以上であることである。第5時間閾値は、第5時間閾値以上の時間期間にわたって充電モードの駆動モータDがバッテリ40に充電し続けると、駆動モータD、バッテリ40又は電気回路41等の発熱部品が昇温し得るような時間期間に設定されてもよい。第8期間は、直近時間期間、動作間時間期間、又は、直近時間期間及び1つ以上の動作間時間期間のうちの2つ以上の時間期間の合計時間期間などに設定されてもよい。合計時間期間は、メモリMに記憶されるカウント数についてカウントされた全ての始動動作間の時間期間を含んでもよい。
【0149】
ECU50は、第4モータ条件が満足されると判定すると、メモリMに記憶されるカウント数を増加することで、保護条件が満足され易くなるように保護条件を変更する。充電モードでは、駆動モータD、バッテリ40又は電気回路41が昇温し得る。充電モードの時間期間が長くなると、これらの発熱部品が昇温し得るため、保護条件を厳しくすることが好ましい。
【0150】
ECU50は、実施の形態又は変形例1のECU50の動作をベースに、本変形例の動作を行うように構成されてもよい。例えば、実施の形態に関連する
図4に示す動作をベースとする場合、ECU50は、ステップS101の前、又は、ステップS101とS103との間に、モータ条件が満足されるか否かを判定する処理を実行してもよい。この場合、ECU50は、車両状態を示す情報及びメモリMに記憶される情報を用いて、モータ条件が満足されるか否かを判定する。判定対象のモータ条件は、第1から第4モータ条件のうちの1つ以上であり、本例では、全てである。
【0151】
ECU50は、少なくとも1つのモータ条件が満足される場合に、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を、満足されるモータ条件に応じて増減するように変更し、変更後のカウント数をメモリMに記憶する。その後、ECU50は、ステップS103に向けた処理を行う。ECU50は、モータ条件が全く満足されない場合、ステップS103に向けた処理を行う。
【0152】
例えば、変形例1に関連する
図6に示す動作をベースとする場合、ECU50は、ステップS201の前か、ステップS201、S203、S205及びS207のいずれか2つの間に、モータ条件が満足されるか否かを判定する処理を実行してもよい。
【0153】
ECU50は、少なくとも1つのモータ条件が満足される場合に、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を、満足されるモータ条件に応じて増減するように変更し、ステップS207に向けた処理を行う。ECU50は、モータ条件が全く満足されない場合、ステップS207に向けた処理を行う。
【0154】
本変形例に係るECU50は、駆動モータDの稼働に起因する発熱部品の昇温に対応して保護条件を変更することができる。
【0155】
(変形例3)
実施の形態の変形例3を説明する。変形例3に係るECU50は、自動二輪車1の走行中にも、所定の条件が満たされると内燃機関Eを停止する。以下において、本変形例について、実施の形態及び変形例1-2と異なる点を説明し、実施の形態又は変形例1-2と同様の点の説明を適宜省略する。
【0156】
本変形例に係るECU50は、自動二輪車1の走行中の内燃機関Eの始動動作、充電モードに移行したときの内燃機関Eの始動動作、及び、EVモードからHEVモードへ移行したときの内燃機関Eの始動動作の1つ以上を、始動動作のカウントに計上するが、これらのいずれも計上しなくてもよい。ECU50は、上記のような始動動作を計上することで、メモリMに記憶される始動動作のカウント数をインクリメントする。
【0157】
ECU50は、HEVモードにおいて、自動二輪車1が移動停止している場合、実施の形態の停止条件と同様の停車停止条件が満足されると内燃機関Eを停止する。限定されないが、本変形例では、停車停止条件が満足されることは、自動二輪車1の移動停止の状態に関する第1停止条件と、運転操作の状態に関する第2停止条件と、バッテリ40の状態に関する第3停止条件とが少なくとも満足されることである。
【0158】
ECU50は、HEVモードにおいて、自動二輪車1が移動停止している場合、実施の形態の始動条件と同様の停車始動条件が満足されると内燃機関Eを始動する。限定されないが、本変形例では、停車始動条件が満足されることは、運転者による走行開始操作に関連する第1始動条件が少なくとも満足されることである。停車始動条件が満足されることは、第1始動条件に加えて、バッテリ40の蓄電量に関する第2始動条件と第3始動条件とのうちの1つ以上が満足されることであってもよい。第3始動条件は、スロットルポジションセンサ63の検出信号によって指令されるスロットルの開放度が第1スロットル閾値以上であることである。例えば、第1スロットル閾値は、第1スロットル閾値のスロットルの開放度に対応する走行駆動源7への要求負荷が、駆動モータDの最大発生トルクを超えるように設定されてもよい。第3始動条件が満足される場合、走行駆動源7に高い負荷が要求され、内燃機関Eの稼働が必要になり得る。
【0159】
ECU50は、HEVモードにおいて、自動二輪車1の走行中、走行停止条件が満足されると内燃機関Eを停止する。走行停止条件が満足されることは、バッテリ40の状態に関する第3停止条件が少なくとも満足されることであり、自動二輪車1の移動停止の状態に関する第1停止条件が満足されることを含まない。走行停止条件が満足されることは、第3停止条件が満足されることに加えて、第8停止条件、第9停止条件又はこれらの両方が少なくとも満足されることであってもよい。
【0160】
第8停止条件は、スロットルポジションセンサ63の検出信号によって指令されるスロットルの開放度が第2スロットル閾値以下であることである。例えば、第2スロットル閾値は、第2スロットル閾値のスロットルの開放度に対応する走行駆動源7への要求負荷が、駆動モータDの最大発生トルク以下であるように設定されてもよい。このため、第8停止条件が満足される場合、走行駆動源7に低い負荷が要求され、内燃機関Eの稼働が不要となり得る。
【0161】
第9停止条件は、クラッチセンサ68の検出結果が、クラッチCが切断状態であることを示すことである。なお、ECU50は、走行停止条件が満足されると判定した後に、クラッチアクチュエータ71にクラッチCを切断状態に移行させてもよい。この場合、走行停止条件は、第9停止条件を含まなくてもよい。
【0162】
ECU50は、HEVモードにおいて、自動二輪車1の走行中、走行始動条件が満足されると内燃機関Eを始動する。走行始動条件が満足されることは、バッテリ40の蓄電量に関する第2始動条件が満足されることであってもよい。走行始動条件が満足されることは、第2始動条件に加えて又は代わりに、スロットルに関する第3始動条件が満足されることであってもよい。
【0163】
停車停止条件及び走行停止条件の間において、第3停止条件の所定電圧値は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。停車始動条件及び走行始動条件の間において、第2始動条件の所定電圧値は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。停車始動条件及び走行始動条件の間において、第3始動条件の第1スロットル閾値は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0164】
ECU50は、実施の形態、変形例1又は変形例2のECU50の動作をベースに、本変形例の動作を行うように構成されてもよい。例えば、実施の形態及び変形例2に関連する
図4に示すような動作をベースとする場合、ECU50は、ステップS101及びS102の後に、自動二輪車1の走行速度が0であるか否かを判定する処理を実行してもよい。ECU50は、自動二輪車1の走行速度が0である場合、実施の形態の停止条件及び始動条件と同様の停車停止条件及び停車始動条件に従って、ステップS103からS108を実行する。
【0165】
ECU50は、自動二輪車1の走行速度が0でない場合、走行停止条件が満足される否かと、保護条件が満足されるか否かとを判定する。ECU50は、走行停止条件が満足され且つ保護条件が満足されない場合に内燃機関Eを停止し、走行停止条件が満足されない場合又は保護条件が満足される場合にステップS101に戻る。ECU50は、内燃機関Eの停止中、走行始動条件が満足されると判定すると内燃機関Eを始動し、メモリMに記憶される始動動作のカウント数を増加する。
【0166】
例えば、変形例1及び変形例2に関連する
図6に示すような動作をベースとする場合、ECU50は、ステップS205及びS206の後に、自動二輪車1の走行速度が0であるか否かを判定する処理を実行してもよい。ECU50は、自動二輪車1の走行速度が0である場合、停車停止条件及び停車始動条件に従って、ステップS207からS212を実行する。ECU50は、自動二輪車1の走行速度が0でない場合、走行停止条件が満足される否かの判定結果及び保護条件が満足されるか否かの判定結果に基づき、上記と同様の処理を行う。
【0167】
本変形例に係るECU50は、自動二輪車1の移動停止の場合だけでなく、自動二輪車1の走行中の場合も、それぞれの場合の停止条件及び始動条件に基づき、内燃機関Eを停止及び始動する。
【0168】
ECU50は、
図4及び
図6に関して上述した動作の過程において、変形例2に記載したようなモータ条件に基づき始動動作のカウント数を変更する処理を行ってもよい。ECU50は、充電モードに移行したときの内燃機関Eの始動動作をカウントする処理、EVモードからHEVモードへ移行したときの内燃機関Eの始動動作をカウントする処理、及び、移行時の始動動作をメモリMに記憶されたカウント数に計上する処理を、上述した動作の過程の中で又は別の処理系統で並行して実行するように構成されてもよい。
【0169】
(変形例4)
実施の形態の変形例4を説明する。ECU50は、実施の形態及び変形例1-3では、内燃機関Eの1回の始動につき、メモリMに記憶される始動動作のカウント数に「1」のカウントを加える。変形例4に係るECU50は、満足される条件に応じて、内燃機関Eの1回の始動につき、始動動作のカウント数に加えるカウントを変更する。以下において、本変形例について、実施の形態及び変形例1-3と異なる点を説明し、実施の形態又は変形例1-3と同様の点の説明を適宜省略する。
【0170】
本変形例に係るECU50は、所定の条件であるカウント変更条件が満足されるか否かに応じて、内燃機関Eの始動後に、メモリMに記憶される始動動作のカウント数に加えるカウントを変更する。これにより、ECU50は、保護条件が満足され難くする、又は、満足され易くすることができる。
【0171】
カウント変更条件は、内燃機関Eの始動時の自動二輪車1の移動状態に関する第1カウント変更条件と、変形例1及び2の変更条件と同様の第2カウント変更条件とのうちの1つ以上を含む。
【0172】
第1カウント変更条件は、内燃機関Eの始動時の自動二輪車1の移動状態が移動停止状態であるか移動走行状態であるかという条件である。ECU50は、自動二輪車1が移動停止状態である場合、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、自動二輪車1が移動走行状態である場合、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。これは、スタータモータ20等の発熱部品の温度は、移動停止状態よりも移動走行状態において低くなり得るためである。ECU50は、内燃機関Eの始動時の自動二輪車1の走行速度が高くなる程、第2カウントを小さくしてもよい。ECU50は、内燃機関Eの始動時の自動二輪車1の走行速度が速度閾値以上である場合、第2カウントを0にしてもよい。例えば、当該速度閾値は、第1速度閾値以上の値に設定されてもよい。
【0173】
第2カウント変更条件は、変形例1及び2の第2変更条件及び第3変更条件と同様の条件を1つ以上含む。
【0174】
第2カウント変更条件が外気温条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際、又は、第2期間などの所定期間内での外気温の該当温度レンジが高くなるほど、始動動作のカウント数に加えるカウントを大きくし、当該温度レンジが低くなるほど、始動動作のカウント数に加えるカウントを小さくしてもよい。
【0175】
第2カウント変更条件が第1履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第1時間間隔が第1時間閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該第1時間間隔が第1時間閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも大きい第2カウントを追加してもよい。
【0176】
第2カウント変更条件が第2履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第3期間内での自動二輪車1の走行速度が第2速度閾値以下である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該走行速度が第2速度閾値超である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0177】
第2カウント変更条件が第3履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第4期間内での自動二輪車1の走行速度が第3速度閾値以上第1速度閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該走行速度が第3速度閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも大きい第2カウントを追加してもよい。
【0178】
第2カウント変更条件が第4履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動動作に費やす時間が第2時間閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該時間が第2時間閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0179】
第2カウント変更条件が第5履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動に必要な負荷が第1負荷閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該負荷が第1負荷閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0180】
第2カウント変更条件が第6履歴条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の単位時間当たりの内燃機関Eの始動動作の回数が第2履歴閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該回数が第2履歴閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0181】
第2カウント変更条件が第1モータ条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第5期間内での駆動モータDの単独駆動状態から非単独駆動状態への移行の単位時間当たりの回数が、第1移行閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加する。ECU50は、当該回数が第1移行閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0182】
第2カウント変更条件が第2モータ条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第6期間内での駆動モータDの単独駆動の時間期間が第3時間閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該時間期間が第3時間閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0183】
第2カウント変更条件が第3モータ条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第7期間内での駆動モータDの単独駆動の時間期間が第4時間閾値以下である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該時間期間が第4時間閾値超である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも大きい第2カウントを追加してもよい。
【0184】
第2カウント変更条件が第4モータ条件を含む場合、ECU50は、内燃機関Eの始動の際の第8期間内での充電モードの時間期間が第5時間閾値以上である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントを追加し、当該時間期間が第5時間閾値未満である場合に、始動動作のカウント数に第1カウントよりも小さい第2カウントを追加してもよい。
【0185】
ECU50は、実施の形態又は変形例1-3のECU50の動作をベースに、本変形例の動作を行うように構成されてもよい。いずれの場合も、ECU50は、内燃機関Eを始動する処理と、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を増加する処理との間で、カウント変更条件が満足されるか否かを判定し、判定結果をカウント数を増加する処理に反映してもよい。本変形例に係るECU50は、変更条件に関する処理を省略してもよい。本変形例に係るECU50は、内燃機関Eの始動動作のカウント数に加えるカウントの大きさを変更することによって、保護条件を変更することができる。
【0186】
[その他]
以上、本開示の例示的な実施の形態及び変形例について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態又は変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0187】
例えば、実施の形態及び変形例では、ECU50は、メモリMに記憶される内燃機関Eの始動動作のカウント数を増減することで、保護条件を変更するが、これに限定されない。例えば、ECU50は、カウント数の増減と、カウント数の閾値である第1履歴閾値の増減と、カウント数を減少するための速度の閾値である第1速度閾値の増減と、カウント数に付加するカウントの大きさの増減とのうちの1つ以上の組み合わせを実行することで、保護条件が満足され易くなる又は保護条件が満足され難くなるように保護条件を変更してもよい。
【0188】
実施の形態及び変形例では、ECU50を搭載する車両1として、自動二輪車が例示されるが、当該車両1は、内燃機関を備える車両であればよい。車両1は、1人以上の人を載せて移動できる移動体であるが、これに限定されない。例えば、車両1は、人以外の生物又は物を載せて移動できる移動体であってもよく、生物も物も載せることができない移動体であってもよい。
【0189】
実施の形態及び変形例では、自動二輪車1は、鞍乗型の車両であるが、シートの前方に足踏台を有するスクータ型の車両であってもよい。自動二輪車1がいずれの型の車両であっても、内燃機関Eは、シート6と前輪2との間に配置されてもよく、これ以外の位置に配置されてもよい。例えば、内燃機関Eは、スクータ型の車両によく見られるように、スイングアームと共に揺動する配置構造を有してもよい。自動二輪車1は、外殻部材8としてカウルを備える車両であってもよく、カウルを備えないネイキッド型の車両であってもよい。
【0190】
実施の形態及び変形例に係る車両1に搭載される内燃機関Eの構造は、既存のいかなる構造であってもよい。例えば、内燃機関Eのシリンダ数は、シングルシリンダ及びマルチシリンダのいずれであってもよい。内燃機関Eは、4ストローク機関及び2ストローク機関のいずれであってもよい。内燃機関Eの使用燃料も、ガソリン、エタノール、プロパンガス及びメタンなどの炭化水素化合物を含む燃料、バイオ燃料などの動植物由来の燃料、又は、水素などの非炭化物の燃料等のいかなる燃料であってもよい。
【0191】
実施の形態及び変形例では、発熱部品の冷却熱交換構造は、走行風を発熱部品に導入して発熱部品を冷却する構造を有するが、これに限定されない。例えば、冷却熱交換構造は、上記の構造に加えて又は代わりに、発熱部品と空気との接触面積を増やすフィンなどの突起又はヒートシンクを発熱部品に備える構造を有してもよい。冷却熱交換構造は、上記の構造に加えて又は代わりに、熱媒体を用いて発熱部品を冷却する構造を有してもよい。熱媒体の例は、水、オイル及び冷媒等を含み得る。冷却熱交換構造は、熱媒体が発熱部品の中又は外面に沿って流れる構造を有し、さらに、熱媒体と空気などの他の媒体とを熱交換する熱交換器を含んでもよい。上記のような冷却熱交換構造は、いかなる発熱部品の冷却に用いられてもよい。
【0192】
例えば、バッテリ40は、自動二輪車1が走行しているときに走行風の導入を受ける構造を有してもよい。バッテリ40は、シート6又は燃料タンク13の下方に配置されてもよい。例えば、バッテリ40は、クランクケースEaよりも上方に且つシリンダブロックEbよりも後方に配置されてもよい。バッテリ40の少なくとも一部が、外部に露出して配置されてもよく、バッテリ40を覆う外殻部材8が外部に露出していてもよい。自動二輪車1の走行中、走行風は、バッテリ40又は外殻部材8と接触して熱交換することで、バッテリ40を直接的又は間接的に冷却できる。
【0193】
例えば、電気回路41は、自動二輪車1が走行しているときに走行風の導入を受ける構造を有してもよい。電気回路41は、シート6又は燃料タンク13の下方にされてもよい。例えば、電気回路41は、バッテリ40の前方に配置されてもよい。電気回路41の少なくとも一部が、外部に露出して配置されてもよく、電気回路41を覆う外殻部材8が外部に露出していてもよい。自動二輪車1の走行中、走行風は、バッテリ40と同様に、電気回路41を直接的又は間接的に冷却できる。
【0194】
実施の形態及び変形例に係る自動二輪車1では、スタータモータ20は、駆動機能及び発電機能を有するスタータジェネレータであるが、駆動機能のみを有するセルモータ等のモータであってもよい。このようなスタータモータ20は、発電用のオルタネータと別の装置として配置されてもよい。スタータモータ20は、ベルト、チェーン又はギヤ等の動力伝達部材を介してクランクシャフトEcに接続されてもよい。スタータモータ20は、その回転速度を減速してクランクシャフトEcに回転動力を伝達するように、減速器等を介してクランクシャフトEcに接続されてもよい。スタータモータ20は、駆動機能及び発電機能を有する場合も、駆動機能のみを有する場合も、交流モータの構造及び直流モータの構造のいずれを有してもよい。
【0195】
実施の形態及び変形例に係る自動二輪車1は、走行風がダクト20eを介してスタータモータ20のコイル部分20baに導入される構造を有するが、これに限定されない。例えば、スタータモータ20は、駆動機能及び発電機能を有する場合も、駆動機能のみを有する場合も、スタータモータ20の少なくとも一部を外殻部材8から外部に露出して配置されてもよく、コイル部分20baに走行風を導入する構造を有さなくてもよい。自動二輪車1の走行中、走行風は、スタータモータ20又はカバー20dと接触して熱交換することでスタータモータ20を冷却できる。
【0196】
実施の形態及び変形例に係る自動二輪車1は、ハイブリッド車両であるが、駆動モータDを備えない非ハイブリッド型車両であってもよい。この場合、スタータモータ20の構造は、駆動機能のみを有してもよく、駆動機能及び発電機能を有してもよい。
【0197】
実施の形態及び変形例に係る自動二輪車1は、スタータモータ20及び駆動モータDが発生する電力をバッテリ40に充電する構造を有するが、これに限定されない。例えば、自動二輪車1は、上記の構造に加えて又は代わりに、前輪2及び後輪3の一方又は両方に回生ブレーキを備え、回生ブレーキが発生する電力をバッテリ40に充電する構造を有してもよい。回生ブレーキは、前輪2又は後輪3の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する回転電機であってもよい。
【0198】
実施の形態及び変形例に係る自動二輪車1では、スタータモータ20と駆動モータDとが、別々の装置として配置されるが、いずれか一方が他方を兼ねてもよい。例えば、自動二輪車1は、駆動モータDがスタータモータ20として機能する構造を有してもよい。駆動モータDは、クラッチCを介して動力を断接できるようにクランクシャフトEcと接続されるが、駆動モータDは、動力を常時伝達できるようにクランクシャフトEcと接続されてもよい。このような駆動モータDは、スタータモータの一例である。又は、自動二輪車1は、スタータモータ20が、駆動モータDとして機能する構造を有してもよい。例えば、ECU50は、スタータモータ20を内燃機関Eの始動時以外に駆動させ、スタータモータ20の駆動力により、後輪3へ伝達されるべき駆動力を高めるように構成されてもよい。
【0199】
本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の第1態様に係る制御回路は、内燃機関を停止制御する車両の制御回路であって、予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記内燃機関を停止させることと、前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、前記車両の走行速度が増加して予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することと、を実行する。本明細書及び請求項において、「・・・判定すると」は、「・・・判定したことに応じて」を意味し得る。
【0200】
上記第1態様において、発熱部品は、内燃機関の始動を繰り返すと、発熱により過度に昇温する可能性がある。このため、制御回路は、保護条件か満足される場合、停止条件が満足されていても内燃機関の停止を阻止することで、発熱部品の過熱を防ぐことができる。一方、車両は、走行中に走行風を受けるため、発熱部品が走行風によって冷却され得る。車両の走行速度が増加して速度閾値に達するような場合、走行風による発熱部品の冷却が期待できる。このような場合、制御装置は、保護条件が満足され難くなるように保護条件を緩和することで、保護条件に起因する内燃機関の停止阻止の機会を低減できる。よって、内燃機関の停止機会の拡大が可能である。
【0201】
上記の第1態様において、本開示の第2態様に係る制御回路では、前記保護条件は、前記内燃機関の始動履歴に関連付けられた条件であり、前記制御回路は、前記内燃機関が実際に行った始動動作の始動履歴に基づき、前記保護条件が満足されるか否かを判定してもよい。
【0202】
上記第2態様によると、保護条件は、内燃機関の始動履歴に関連付けられた条件であるため、始動履歴に基づいて設定され得る。このため、保護条件は、内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の温度に関連して精度よく設定され得る。例えば、保護条件が始動履歴に関連付けられた条件であるため、発熱部品の温度を計測するためのセンサの設置を省略することができる
【0203】
上記の第1又は第2態様において、本開示の第3態様に係る制御回路は、前記車両の走行速度が前記速度閾値以上になると、前記保護条件を解除することで、前記保護条件の達成を阻止してもよい。
【0204】
上記第3態様によると、車両の走行速度が速度閾値以上になると、制御回路は、停止条件が満足される場合に、保護条件による制限がない状態で、内燃機関の停止を実現することができる。よって、車両が速度閾値未満の走行速度を維持する場合と比較して、内燃機関の停止機会を増やすことができる。
【0205】
上記の第1から第3態様のいずれかにおいて、本開示の第4態様に係る制御回路では、前記始動履歴は、前記制御回路への電力供給状態が維持されている間での前記内燃機関の始動動作の回数をカウントすることで得られるカウント数を含み、前記保護条件は、前記カウント数が第1閾値以上であるとの条件を含み、前記制御回路は、前記車両の走行速度が前記速度閾値以上になると、前記第1閾値の増大に相当する前記保護条件の変更を行ってもよい。
【0206】
上記第4態様によると、制御回路は、内燃機関の始動動作のカウント数と、カウント数の第1閾値とを用いて保護条件を設定することができる。制御回路は、複雑な演算式及び制御マップを必要とせずに、車両の走行速度が速度閾値未満から速度閾値に達するまでの保護条件と、車両の走行速度が速度閾値に達した後の保護条件とを簡易な処理により設定できる。
【0207】
上記の第1から第4態様のいずれかにおいて、本開示の第5態様に係る制御回路は、外気温が低くなる程、前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更する、又は、外気温が低くなる程前記速度閾値を低くするように前記保護条件を変更してもよい。
【0208】
上記第5態様によると、制御回路は、外気温が低い場合に、発熱部品の過剰な保護を抑えることができ、それにより、内燃機関の停止機会を増やすことができる。
【0209】
上記の第2から第5態様のいずれかにおいて、本開示の第6態様に係る制御回路では、前記始動履歴は、前記内燃機関の始動動作間の時間間隔、前記内燃機関の始動動作間の前記車両の走行速度、前記内燃機関の始動動作に費やした時間、前記内燃機関の始動に必要な負荷、及び、単位時間当たりの前記内燃機関の始動動作の回数の1つ以上を要素として含み、前記制御回路は、前記内燃機関が実際に行った始動動作の始動履歴における前記要素の1つ以上に基づき、前記保護条件が満足され易くなる又は前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更してもよい。
【0210】
上記第6態様によると、始動履歴は、発熱部品の昇温状態を精度よく反映できる。保護条件は、このような始動履歴に基づいて変更されることによって、発熱部品の温度状態に精度よく対応した条件となり得る。よって、制御回路は、発熱部品の温度に対応して内燃機関の停止及びその阻止を実行できるため、内燃機関の停止機会を増やすことができる。
【0211】
本開示の第7態様に係る車両は、走行駆動源である内燃機関と、前記内燃機関を始動させる始動用電装部品と、走行風と直接又は間接的に熱交換して前記始動用電装部品を冷却する冷却熱交換構造と、車両状態を検出するセンサと、前記内燃機関を停止制御する車両の制御回路と、前記制御回路から与えられる指令に応じて前記内燃機関を制御するアクチュエータとを備え、前記制御回路は、前記センサから取得した予め定める車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されると判定すると、前記アクチュエータを制御して前記内燃機関を停止させることと、前記車両状態を示す情報に基づいて、前記停止条件が満足されると判定しても、前記内燃機関の始動時に発熱する前記始動用電装部品の保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関の停止を阻止することと、前記センサから取得した情報に基づいて前記車両の走行速度が予め定める速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することとを、実行する。
【0212】
上記第7態様によると、本開示の各態様に係る制御回路と同様の効果が得られる。さらに、冷却熱交換構造は、走行風と始動用電装部品とを熱交換させることで、始動用電装部品の積極的な冷却を可能にする。これにより、車両が始動用電装部品の積極的な熱交換を行う構造を含まない場合に比べて、車両の低速状態でも、始動用電装部品の十分な冷却が可能になる。その結果、速度閾値をより低くしても、保護条件による内燃機関の停止の阻止は、発熱部品の過熱を抑え、過熱による発熱部品の損傷を防ぐことができる。速度閾値をより低くすることで、内燃機関の停止機会を増やすこともできる。
【0213】
上記の第7態様において、本開示の第8態様に係る車両は、前記車両の外殻を構成して外方に露出する外殻部材をさらに備え、前記内燃機関の少なくとも一部が、前記外殻部材から外部に露出して配置されてもよい。
【0214】
上記第8態様によると、始動用電装部品は、内燃機関又はその近傍に配置され得る。内燃機関の少なくとも一部が、外殻部材から外部に露出しているため、走行風が始動用電装部品に導かれやすくなる。
【0215】
上記の第7又は第8態様において、本開示の第9態様に係る車両は、人が跨って着座するシートを備え、前記車両は鞍乗型車両であってもよい。
【0216】
上記第9態様において、鞍乗型車両は、内燃機関の一部を露出させて搭載する構造を有するのか容易である。よって、走行風が始動用電装部品に導かれるようにすることが容易である。
【0217】
上記の第7から第9態様のいずれかにおいて、本開示の第10態様に係る車両では、前記始動用電装部品は、前記内燃機関を始動させるスタータの機能と、前記内燃機関の駆動力によって発電するジェネレータの機能とを含む構造を有してもよい。
【0218】
上記第10態様によると、始動用電装部品は、車両の走行中、内燃機関によって強制的に駆動されることで発電し、発生した電力をバッテリに充電する。このため、始動用電装部品及びバッテリは、車両の走行中でも発電及び充電により発熱し得る。よって、保護条件が厳しく設定され得るが、車両の走行速度が増加して速度閾値に達すると保護条件が緩和されるため、内燃機関の停止機会を増やすことができる。
【0219】
上記の第7から第10態様のいずれかにおいて、本開示の第11態様に係る車両は、前記車両を走行させる車輪と、走行駆動源である回転電機と、前記内燃機関及び前記回転電機の駆動力が伝達されるように前記内燃機関及び前記回転電機に接続され、且つ前記内燃機関及び前記回転電機から付与される駆動力を前記車輪に伝達する駆動構造とをさらに備え、前記制御回路は、前記回転電機の動作を制御し、1つ以上の制御モードで制御を実行し、前記1つ以上の制御モードは、前記車両の走行中に、前記アクチュエータを制御して前記内燃機関を停止させることと、前記アクチュエータを制御して停止状態の前記内燃機関を始動させることとのいずれか又は両方を実行する制御モードを含んでもよい。
【0220】
上記第11態様によると、制御装置は、車両の走行中に内燃機関を停止及び始動し得る。このため、内燃機関の始動機会が多くなり、発熱部品が昇温しやすくなる。よって、保護条件が厳しく設定され得るが、車両の走行速度が増加して速度閾値に達すると保護条件が緩和されるため、内燃機関の停止機会を増やすことができる。
【0221】
上記の第1から第11態様のいずれかにおいて、本開示の第12態様に係る制御回路は、始動用電装部品による前記内燃機関の始動の履歴を含む始動履歴が、前記内燃機関の停止及び始動の禁止条件を満たしている間、前記内燃機関の停止及び始動を禁止することと、前記車両の走行速度が第1走行速度以上になると、前記禁止条件から逸脱する又は前記禁止条件からより遠くなるように前記始動履歴を変更することと、を実行してもよい。
【0222】
上記第12態様において、始動用電装部品は稼働する際に発熱するため、始動履歴によっては、始動用電装部品の温度が高い状態になり得る。このため、制御回路は、始動履歴が禁止条件を満たしている間、内燃機関の停止及び始動を禁止することによって、始動用電装部品の稼働を制限して始動用電装部品の昇温を抑える。また、車両が走行する場合、始動用電装部品は、走行風によって冷却され得る。このため、制御回路は、始動用電装部品が走行風によって冷却されるような第1走行速度以上で車両が走行する場合、始動履歴を、禁止条件から逸脱した状態又は禁止条件からより遠い状態に変更して、内燃機関の停止及び始動の禁止の実行を緩和する。よって、制御回路は、始動用電装部品の温度情報を使用せずに、車両の稼働中に変化する始動用電装部品の温度状態に対応して内燃機関の停止及び始動を禁止できる。禁止条件の一例は、保護条件である。
【0223】
上記の第1から第12態様のいずれかにおいて、本開示の第13態様に係る制御回路は、前記内燃機関を始動させた第1タイミングと前記第1タイミングの前の直近に前記内燃機関を始動させた第2タイミングとの間の経過時間が、第2閾値未満である場合、前記第1タイミングでの前記内燃機関の始動を前記カウント数に計上し、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間の経過時間が、前記第2閾値以上である場合、前記第1タイミングでの前記内燃機関の始動を前記カウント数に計上しなくてもよい。
【0224】
上記第13態様において、第1タイミングと第2タイミングとの間の経過時間が、第2閾値以上である場合、第1タイミングまでに始動用電装部品の温度が低下し得る。制御回路は、始動用電装部品の温度変化に応じて内燃機関の始動をカウント数へ計上するか否かを決定する。よって、制御回路は、内燃機関の停止を阻止する状態に頻繁に至らないようにし、内燃機関からの排気ガスの排出量を抑制できる。そして、保護条件が満足され難くなる。
【0225】
上記の第13態様において、本開示の第14態様に係る制御回路は、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間の経過時間が、前記第2閾値以上である場合、前記第1タイミングでの前記内燃機関の始動を前記カウント数に計上せず、且つ前記カウント数を減少してもよい。上記第14態様によると、制御回路は、停止及び始動の禁止状態に至る頻度を低減できる。そして、保護条件が満足され難くなる。
【0226】
上記の第1から第14態様のいずれかにおいて、本開示の第15態様に係る制御回路は、前記車両が、前記第1走行速度よりも低い第2走行速度以下の走行速度を第1継続時間にわたって持続した場合、前記カウント数を増加してもよい。
【0227】
上記第15態様によると、車両が、第2走行速度以下の走行速度のような低い走行速度で第1継続時間にわたって走行した場合、始動用電装部品が昇温し得る。このような場合に、制御回路は、カウント数を増加することで、内燃機関の停止及び始動を阻止する状態に至りやすくし、始動用電装部品の昇温を抑制できる。そして、保護条件が満足され易くなる。
【0228】
上記の第1から第15態様のいずれかにおいて、本開示の第16態様に係る制御回路は、前記車両が、前記第1走行速度よりも低く且つ前記第2走行速度よりも高い第3走行速度以上の走行速度を第2継続時間にわたって持続した場合、前記カウント数を減少してもよい。
【0229】
上記第16態様によると、車両が、第1走行速度よりも低いが第2走行速度よりも高い第3走行速度以上で第2継続時間にわたって走行した場合、始動用電装部品が走行風によって冷却されて降温し得る。このような場合に、制御回路は、カウント数を減少することで、内燃機関の停止及び始動を阻止する状態に至る頻度を低減できる。そして、保護条件が満足され難くなる。
【0230】
上記の第1から第16態様のいずれかにおいて、本開示の第17態様に係る制御回路は、前記車両が備える発電機によって生成された電力を、前記車両が備える蓄電池に充電する充電モードで前記車両が稼働すると、前記カウント数を増加してもよい。
【0231】
上記第17態様によると、充電の際に蓄電池が発熱し、始動用電装部品を昇温し得る。このような場合に、制御回路は、カウント数を増加することで、内燃機関の停止及び始動を阻止する状態に至りやすくできる。そして、保護条件が満足され易くなる。
【0232】
上記の第1から第17態様のいずれかにおいて、本開示の第18態様に係る制御回路は、走行用モータをさらに備える前記車両が、前記内燃機関を稼働させずに前記走行用モータによって走行する場合、前記カウント数を減少してもよい。
【0233】
上記第18態様によると、内燃機関を稼働させずに走行用モータによって走行する、いわゆるEV走行の際、内燃機関からの発熱が抑えられ、始動用電装部品が内燃機関から受ける熱が低減する。このような場合に、制御回路は、カウント数を減少することで、内燃機関の停止及び始動を阻止する状態に至る頻度を低減できる。そして、保護条件が満足され難くなる。
【0234】
本開示の一態様に係る内燃機関の停止を制御する方法は、予め定める車両状態を示す情報を取得することと、前記車両状態を示す情報に基づいて、予め定める停止条件が満足されるか否かを判定することと、内燃機関の始動時に発熱する発熱部品の保護条件が満足されるか否を判定することと、前記停止条件が満足され且つ前記保護条件が満足されないと判定すると、前記内燃機関を停止させることと、前記停止条件が満足され且つ前記保護条件が満足されると判定すると、前記内燃機関を停止させないことと、前記車両の走行速度が予め定める速度閾値に達するか否かを判定することと、前記車両の走行速度が前記速度閾値に達すると判定すると、前記速度閾値に達する前に比べて前記保護条件が満足され難くなるように前記保護条件を変更することとを含む。
【0235】
上記態様によると、本開示の各態様に係る制御回路と同様の効果が得られる。本開示の方法の一部及び全部は、例えば、CPU、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。本開示の方法に含まれる複数の要素は、1つの装置によって実現されてもよく、2つ以上の装置によって分担して実現されてもよい。
【0236】
本開示は、本開示の各態様に係る方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、本開示の各態様に係る方法と同様の効果を奏することができる。当該コンピュータプログラムは、例えば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムであってもよく、記録媒体のドライブ装置を用いて当該記録媒体から読み出されコンピュータにインストールされるように構成されてもよい。当該コンピュータプログラムは、例えば、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるプログラムであってもよく、コンピュータにダウンロードされインストールされるように構成されてもよい。
【0237】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0238】
本明細書で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0239】
本開示は、その本質的な特徴の範囲から逸脱することなく、様々なかたちで実施され得るように、本開示の範囲は、明細書の記載よりも添付の請求項によって定義されるため、例示的な実施の形態及び変形例は、例示的なものであって限定的なものではない。請求項及びその範囲内にあるすべての変更、又は、請求項及びその範囲の均等物は、請求項によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0240】
1 自動二輪車(車両)
2 前輪
3 後輪
6 シート
7 走行駆動源
20 スタータモータ(発熱部品、始動用電装部品)
22 カバー(冷却熱交換構造)
23 ダクト(冷却熱交換構造)
40 バッテリ(発熱部品)
41 電気回路(発熱部品)
50 電子制御ユニット,ECU(制御回路)
61-68,17a,17b センサ
70,71,70a,70b,70c アクチュエータ
C クラッチ(駆動構造)
D 駆動モータ(回転電機)
E 内燃機関
TM 変速機(駆動構造)