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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009324
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】吊り具装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20250110BHJP
   B66C 1/36 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B66C1/34 N
B66C1/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112245
(22)【出願日】2023-07-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日:令和5年3月27日、掲載アドレス:http://www.aigidenki.co.jp/list-of-crane-results/
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】321010807
【氏名又は名称】株式会社愛岐電機
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 浩一
(72)【発明者】
【氏名】太田 年彦
(72)【発明者】
【氏名】松波 英二
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA07
3F004AF06
3F004CD03
3F004DA02
(57)【要約】
【課題】人手による外れ防止に関する操作を省略し得てクレーン操作のみで重量物の玉掛け・玉外し作業を安全に行うことが可能な新規な構造の吊り具装置を提供する。
【解決手段】吊り具装置1は、フック部材3と、フック部材3を回動自在に支持する第1軸31と、第1軸31よりも上方に位置してクレーンにより吊られた際に支点となる第2軸37と、フック部材3の開口17を閉鎖する開口閉鎖部材33を有するフック支持部材4と、フック部材3を開口閉鎖部材33から離間させるようにフック部材3に対して付勢力を作用させるばね部材6と、を備えている。フック部材3に被搬送物の荷重が作用していない状態で、前記フック支持部材4の第1軸31は第2軸37の軸心を通る鉛直線PLよりもフック部材3の開口17側に偏心して、フック部材3の開口17は横向きに開いており、フック部材3に被搬送物Wの荷重が作用した際にフック部材3の開口17が閉鎖される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を吊り上げるフック部材と、
前記フック部材を支持するフック支持部材であって、前記フック部材の基端部を回動自在に支持する第1軸と、該第1軸よりも上方に位置してクレーンにより吊られた際に支点となる第2軸と、前記フック部材の回動軌跡上に位置して前記フック部材の開口を閉鎖する開口閉鎖部材を有するフック支持部材と、
前記フック部材の先端部を前記開口閉鎖部材から離間させるように前記フック部材に対して付勢力を作用させるばね部材と、
を備え、
クレーンに吊られた状態且つ前記フック部材に前記被搬送物の荷重が作用していない状態で、前記フック支持部材の前記第1軸は前記第2軸の軸心を通る鉛直線よりも前記フック部材の開口側に偏心するとともに前記フック部材の開口は略横向きに開放されており、
前記フック部材に前記被搬送物の荷重が作用した際に、前記開口閉鎖部材が下降するとともに前記フック部材の先端部が上昇して前記フック部材の開口が閉鎖される、吊り具装置。
【請求項2】
前記フック支持部材もしくは前記フック部材の何れか一方に基端部が連結されたレバー体と、
前記フック支持部材もしくは前記フック部材の何れか他方に取り付けられたストッパ部材と、を有し、
前記フック部材の開口が閉じられた閉状態において、前記レバー体の先端部を前記ストッパ部材に係合されて、前記フック支持部材と前記フック部材との相対的な回動を規制するロック機構部を備えている、請求項1に記載の吊り具装置。
【請求項3】
前記第2軸を介して前記フック支持部材に回動自在に連結されるとともに、前記第2軸側から延び出した先端側にクレーン側部材により掛止される第3軸を有する連結用部材を更に備えている、請求項1に記載の吊り具装置。
【請求項4】
前記ばね部材における前記フック支持部材側の取付部および前記フック部材側の取付部は、対向する一対の板材の間に形成された内部空間においてそれぞれ相手側部材に取り付けられている、請求項1に記載の吊り具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は重量物などをクレーンで吊り上げる場合に使用される吊り具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重量物などをクレーンで吊り上げる場合に使用される吊り具装置のフックには、当該フックに掛止されたワイヤー等が外れるのを防止するための外れ防止装置が設けられている。このような外れ防止装置において、その外れ防止の機能を働かせるためには、作業者が玉掛け・玉外し作業時に、外れ防止装置を手動で操作しなければならない。しかしながら、作業環境によっては、安全面等の観点から作業者がフックに近づくことが困難な場合がある。
【0003】
このような場合に、遠隔で外れ防止装置を動作させることも考えられるが(例えば下記特許文献1参照)、遠隔で操作できるようにした場合であっても、その操作は人手によって行わなければならず、人的コストの削減には繋がらない。このため、人手による作業の自動化を図ることが望ましいが、空圧や油圧等の動力が新たに必要となる構造は複雑化を招き、操作性やメンテナンス性の問題が新たに生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-127911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような事情を背景とし、人手による外れ防止に関する操作を省略し得てクレーン操作のみで重量物の玉掛け・玉外し作業を安全に行うことが可能な新規な構造の吊り具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而してこの発明の第1の局面の吊り具装置は次のように規定される。即ち、
被搬送物を吊り上げるフック部材と、
前記フック部材を支持するフック支持部材であって、前記フック部材の基端部を回動自在に支持する第1軸と、該第1軸よりも上方に位置してクレーンにより吊られた際に支点となる第2軸と、前記フック部材の回動軌跡上に位置して前記フック部材の開口を閉鎖する開口閉鎖部材を有するフック支持部材と、
前記フック部材の先端部を前記開口閉鎖部材から離間させるように前記フック部材に対して付勢力を作用させるばね部材と、
を備え、
クレーンに吊られた状態且つ前記フック部材に前記被搬送物の荷重が作用していない状態で、前記フック支持部材の前記第1軸は前記第2軸の軸心を通る鉛直線よりも前記フック部材の開口側に偏心するとともに前記フック部材の開口は略横向きに開放されており、
前記フック部材に前記被搬送物の荷重が作用した際に、前記開口閉鎖部材が下降するとともに前記フック部材の先端部が上昇して前記フック部材の開口が閉鎖される。
【0007】
このように規定された第1の局面の吊り具装置によれば、フック部材に被搬送物の荷重が作用することで自動的にフック部材の開口が閉鎖され(即ち外れ防止機能が働き)、またフック部材への被搬送物の荷重が解除されることで自動的にフック部材の開口が開放される(即ち外れ防止機能が解除される)ため、人手による外れ防止に関する操作を省略し得て、クレーン操作のみで玉掛け・玉外し作業を安全に行なうことができる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定の吊り具装置において、前記フック支持部材もしくは前記フック部材の何れか一方に基端部が連結されたレバー体と、
前記フック支持部材もしくは前記フック部材の何れか他方に取り付けられたストッパ部材と、を有し、
前記フック部材の開口が閉じられた閉状態において、前記レバー体の先端部を前記ストッパ部材に係合されて、前記フック支持部材と前記フック部材との相対的な回動を規制するロック機構部を備えている。
このように規定された第2の局面の吊り具装置によれば、被搬送物が軽量で、被搬送物の重さだけではフック部材の開口が閉鎖されている閉状態を維持することが難しい場合に、上記ロック機構部を利用することで外れ防止の機能を確実に働かせることができる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定の吊り具装置において、前記第2軸を介して前記フック支持部材に回動自在に連結されるとともに、前記第2軸側から延び出した先端側にクレーン側部材により掛止される第3軸を有する連結用部材を更に備えている。
このように規定された第3の局面の吊り具装置によれば、第3軸周りの広いスペースを利用して様々なクレーンに取り付けることができる。
【0010】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定の吊り具装置において、前記ばね部材における前記フック支持部材側の取付部および前記フック部材側の取付部は、対向する一対の板材の間に形成された内部空間においてそれぞれ相手側部材に取り付けられている。
このように規定された第4の局面の吊り具装置によれば、ばね部材における取付部の外部露出が回避され、搬送中における周辺部位との接触によるばね部材の損傷や脱落といった装置トラブルを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の吊り具装置の全体構成を示した図で、フック部材に被搬送物の荷重が作用していない状態を示している。
図2】同吊り具装置の全体構成を示した図で、フック部材に被搬送物の荷重が作用している状態を示している。
図3図2の吊り具装置の鉛直線に沿った断面図である。
図4図2の吊り具装置におけるIV-IV視図である。
図5】同実施形態の吊り具装置の動作説明図である。
図6図5に続く同吊り具装置の動作説明図である。
図7図6に続く同吊り具装置の動作説明図である。
図8】ロック機構部を更に備えた変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の一実施形態の吊り具装置を図面に基づいて詳しく説明する。
なお、以下において、吊り具装置の位置関係や動作の向きを説明する際は、吊り具装置がクレーンにより吊られた状態を基準として「上下方向」を特定する。また、被搬送物が掛け外しされるフック部材の開口側を「前方」、略C字状に湾曲して閉じている側を「後方」と称し、前方側から後方側に向かってフックを見た向きを基準にして「前後方向」と「左右方向」を特定することとする。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の吊り具装置の全体構成を示した図である。同図の吊り具装置1は、フック部材3と、フック支持部材4と、連結用部材5と、ばね部材6と、を含んで構成されている。この吊り具装置1は、クレーン側部材としてのクレーンのフック9で吊られた状態で使用される。
【0014】
フック部材3は、フック本体11と、フック本体11の一部を外側から覆うブラケット19を含んで構成されている。フック本体11は、基端部12と、湾曲部13と、先端部14とを含む。湾曲部13は、一端が基端部12と接し、他端が先端部14に接する円弧形状の部分である。フック本体11の基端部12と先端部14との間には、玉掛け・玉外しの際に被搬送物Wの吊り手Wa(図5参照)を通過させる開口17が形成されている。
【0015】
ブラケット19は、一対の板材20a,20b(図4参照)を含んで構成されており、フック本体11の基端部12から湾曲部13にかけての部位を両側面側から挟むように被せられている。このブラケット19の一対の板材20a,20bは、フック本体11の湾曲部13に延びた先の端部が連結ピン21を介して連結されている。またブラケット19には、ばね部材6の一端側が取り付けられるばね取付ピン23が板材20a,20bを跨るように設けられている(図4参照)。
【0016】
図2で示すように、ブラケット19は板材20a,20bおよびフック本体11をそれぞれ厚み方向に貫通するノックピン22によって、フック本体11と一体に連結されている。
このように構成された本例のフック部材3は、その基端側の部位が、フック支持部材4の第1軸31により回動自在に支持されている。
【0017】
フック支持部材4は、間隔を隔てて対向配置された一対の主板30a,30bを含んで構成されている。フック支持部材4の下部には、一対の主板30a,30bをその板厚方向に貫いて第1軸31が設けられている。図3で示すように、第1軸31の両端部は一対の主板30a,30bにより支持されており、一対の主板30a,30bの間の空間において、フック部材3の基端部がブッシュ32を介して第1軸31に外嵌している。
【0018】
フック支持部材4の前方側における、一対の主板30a,30bの間の空間には、開口閉鎖部材33が設けられている。開口閉鎖部材33は板状をなしており、その左右方向の両端部がそれぞれ一対の主板30a,30bと一体に接合されている。この開口閉鎖部材33は、図1において2点鎖線で示すフック部材3の回動軌跡上に位置しており、フック支持部材4が図中反時計方向に回動した際に、フック部材3の開口17を閉鎖する(図2参照)。
【0019】
フック支持部材4の後方側には、ばね取付ピン35が設けられている。ばね取付ピン35は、図4で示すように、一対の主板30a,30bを板厚方向に貫いて設けられており、このばね取付ピン35に、ばね部材6の一方の取付部6aが装着されている。またこのばね部材6の他方の取付部6bは、フック部材3側のばね取付ピン23に装着されている。このばね部材6は引張ばねとされており、例えば、図7(IV)において矢印で示すように、フック部材3の先端部14をフック支持部材4の開口閉鎖部材33から離間させるようにフック部材3に対して付勢力を作用させている。
【0020】
図1に示すように、フック支持部材4の第1軸31の上方には、第2軸37が配設されている。フック支持部材4の上部においては、図3で示すように、一対の主板30a,30bの間に円筒部材38が配設され、主板30a,30bと一体に接合されており、第2軸37は円筒部材38および一対の主板30a,30bを貫く貫通孔内にブッシュ39とともに挿入されている。
【0021】
一対の主板30a,30bよりも左右方向外側に延び出した第2軸37の両端部には、連結用部材5の一方の端部(連結用部材5における下側の端部)が係合しており、フック支持部材4と連結用部材5は第2軸37を介して回動自在に連結されている。
この連結用部材5は、クレーンのフック9により直接掛止される部材で、一対の板材41a,41bの他方の端部同士(第2軸37とは反対側の図中上側の端部同士)が第3軸42により連結されており、かかる第3軸42がクレーンのフック9に掛止されている。
【0022】
このように構成された本実施形態の吊り具装置1では、クレーンに吊られた状態且つ下方のフック部材3に被搬送物Wの荷重が作用していない状態で、図1で示すように、開口閉鎖部材33の下面が略横方向に延出されている。また、フック支持部材4の第1軸31が、第2軸37の軸心を通る鉛直線PLよりもフック部材3の開口17側に偏心するように、フック支持部材4の重量バランスが調整されている。例えば、必要に応じて、図1において2点鎖線で示すようにバランスウエイト40をフック支持部材4に取り付けることも可能である。
【0023】
またこのフック部材3に被搬送物Wの荷重が作用していない状態においては、図1で示すように、フック部材3は、自身の重量とばね部材6による付勢力とが釣り合った状態で、フック部材の開口17は略横向きに開放されており、この開口17を通じてフック部材3に対し被搬送物Wの吊り手Wa(図5参照)を掛止可能とされている。
【0024】
次に、図5図7に基づいて吊り具装置1を用いた一連の搬送動作について説明する。
先ず、図5(I)で示すように吊り具装置1をクレーンのフック9に掛止させて吊り上げ、クレーン操作によって吊り具装置1を被搬送物Wの側に近づけるとともにフック部材3の開口17と被搬送物Wの吊り手Waとの高さを合わせて、略横向きに開放された開口17を通じて吊り手Waをフック部材3に掛止させる。
【0025】
次にクレーン操作によって被搬送物Wが吊り上げられ、フック部材3に被搬送物Wの荷重が作用すると、図6(II)で示すように、フック支持部材4は第2軸37周りに反時計方向に回動し、第1軸31が鉛直線PL側に移動するとともにフック支持部材4の開口閉鎖部材33が下降する。一方、フック部材3は、ばね部材6の付勢力に抗して第1軸31周り時計方向に回動する。これらの動作に基づいて、図6(III)で示すようにフック部材3の開口17が閉鎖される。なお開口17が閉鎖するための一連の回動動作は、第1軸31が第2軸37の軸心を通る鉛直線PL上まで移動した時点で終了する。このように本実施形態の吊り具装置1によれば、被搬送物Wを吊り上げた直後に自動でフック部材3の開口17が閉鎖され、これ以降は搬送途中における吊り手Waのフック部材3からの外れが防止される。
【0026】
次に被搬送物Wが目的地に到達した後、クレーン操作により被搬送物Wが床面に下ろされ、フック部材3に被搬送物Wの荷重が作用していない状態となると、図7(IV)で示すように、ばね部材6からの付勢力によりフック部材3が図中反時計方向に回動しフック部材3の先端部14が下降するとともに、フック支持部材4が図中時計方向に回動して開口閉鎖部材33が上昇する。このため本実施形態の吊り具装置1によれば、被搬送物Wを床面に下した直後に自動でフック部材3の開口17が、略横向きに開口することとなる(図7(V)参照)。以降はクレーン操作により吊り具装置1を略横方向(被搬送物Wの吊り手Waをフック部材3から外す方向)に移動させることで、吊り具装置1のフック部材3を被搬送物Wから分離・離間させることができる。
【0027】
以上のように本実施形態の吊り具装置1によれば、フック部材3に被搬送物Wの荷重が作用することで自動的にフック部材3の開口17が閉鎖され(即ち外れ防止機能が働き)、またフック部材3への被搬送物Wの荷重が解除されることで自動的にフック部材3の開口17が開放される(即ち外れ防止機能が解除される)。このため、外れ防止に関する人手による操作を省略し得て、クレーン操作のみで重量物の玉掛け・玉外し作業を安全に行なうことができる。
【0028】
また本実施形態の吊り具装置1によれば、第2軸37を介してフック支持部材4に回動自在に連結されるとともに、第2軸37側から延び出した先端側にクレーンのフック9により掛止される第3軸42を有している連結用部材5を備えているため、第3軸42周りの広いスペースを利用して様々なクレーンに吊り具装置1を取り付けることができる。
【0029】
また本実施形態の吊り具装置1によれば、ばね部材6におけるフック支持部材4側の取付部6aおよびフック部材3側の取付部6bが、何れも対向する一対の部材の間の内部空間において相手側部材であるばね取付ピン35および23に取り付けられているため、ばね部材6における取付部6a,6bの外部露出が回避され、搬送中における周辺部位との接触によるバネ部材6の損傷や脱落といった装置トラブルを回避することができる。
【0030】
図8は、本実施形態の吊り具装置1にロック機構部を更に追加した変形例を示した図である。この図8の例においては、フック支持部材4側に取り付けられたレバー体52と、フック部材3側に取り付けられたストッパ部材55とがロック機構部を構成している。
レバー体52は、その基端側がフック支持部材4の主板30aに取り付けられた軸51周りに回動自在となるよう支持されており、レバー体52の先端側には、ストッパ部材55に係合可能な係合凹部53が形成されている。またレバー体52の基端側と先端側との間には、主板30a側に突出係合して回動を一時的に規制する回動規制ピン54が設けられている。
一方、ストッパ部材55はフック部材3のブラケット19から延び出した円柱状の軸体とされている。
【0031】
図8(A)で示すように、フック部材3の開口17が開放されている開状態にあっては、レバー体52は、ストッパ部材55とは非係合の状態で、回動規制ピン54により回動不能に主板30a側に保持されているが、図8(B)で示すように、フック部材3の開口17が閉鎖されている閉状態にあって、レバー体52を軸51周りに回動させてレバー体52先端部の係合凹部53をフック部材3側のストッパ部材55に係合させることで、以降はフック支持部材4とフック部材3との相対的な回動が規制され、フック部材3の開口17が閉じられた閉状態が維持される。
【0032】
このように構成された図8の例によれば、被搬送物が軽量で、被搬送物の重さだけではフック部材3の開口17が閉鎖されている閉状態を維持することが難しい場合に、上記ロック機構部を利用することで外れ防止の機能を確実に働かせることができる。なお図8の例では、フック支持部材4側にレバー体52を、フック部材3側にストッパ部材55を設けたが、場合によってはフック部材3側にレバー体52を、フック支持部材4側にストッパ部材55を設けるように構成することも可能である。
【0033】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。例えば上記実施形態の吊り具装置は、連結用部材を備え、連結用部材の第3軸をクレーンのフックに掛止させているが、連結用部材を廃止してフック支持部材の第2軸を直接クレーンのフックに掛止させるようにすることも可能である。また上記実施形態ではフック部材に被搬送物の荷重が作用していない状態におけるフック部材の開口方向を、図1等で示すように、図中左上方向にやや傾斜させているが、かかる開口方向については被搬送物の吊り手が通過可能な範囲で適宜変更可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 吊り具装置
3 フック部材
4 フック支持部材
5 連結用部材
6 ばね部材
6a,6b 取付部
9 クレーンのフック(クレーン側部材)
12 基端部
14 先端部
17 開口
20a,20b 板材
23,35 ばね取付ピン(相手側部材)
30a,30b 主板(板材)
31 第1軸
33 開口閉鎖部材
37 第2軸
42 第3軸
52 レバー体
55 ストッパ部材
PL 鉛直線
W 被搬送物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8