(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009327
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】移動通信ネットワークのコアネットワーク、ネットワークノード及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/04 20220101AFI20250110BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20250110BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20250110BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20250110BHJP
H04L 41/28 20220101ALI20250110BHJP
【FI】
H04L43/04
H04W24/02
H04W88/18
H04W92/24
H04L41/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112248
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板原 壮平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理基
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽登
(72)【発明者】
【氏名】倉田 真之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE16
5K067LL01
(57)【要約】
【課題】モデルの提供に関する選択肢を3つ以上にする技術を提供する。
【解決手段】移動通信ネットワークのコアネットワークは、学習データに基づき生成された、同じ用途に使用されるがレベルの異なる複数のモデルを格納する格納手段であって、モデルの前記レベルは、当該モデルに含まれる学習データに関する情報の量の程度を示す、格納手段と、コンシューマノードから第1用途の第1モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、コンシューマノードに第1モデルを提供できるか否かと、コンシューマノードに第1モデルを提供できる場合には、コンシューマノードに提供できる第1モデルのレベルと、を判定する判定手段と、コンシューマノードに第1レベルの第1学習モデルを提供できると判定した場合、第1レベルの第1モデルを特定する情報をコンシューマノードに通知する通知手段と、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークのコアネットワークであって、
学習データに基づき生成された、同じ用途に使用されるがレベルの異なる複数の学習モデルを格納する格納手段であって、学習モデルの前記レベルは、当該学習モデルに含まれる前記学習データに関する情報の量の程度を示す、前記格納手段と、
コンシューマノードから第1用途の第1学習モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する判定手段と、
前記コンシューマノードに第1レベルの前記第1学習モデルを提供できると判定した場合、前記第1レベルの前記第1学習モデルを特定する情報を前記コンシューマノードに通知する通知手段と、
を備えているコアネットワーク。
【請求項2】
前記通知手段は、前記判定手段が前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できないと判定した場合、前記第1学習モデルを提供できないことを前記コンシューマノードに通知する、或いは、前記コンシューマノードに前記メッセージに対する応答を返さない、請求項1に記載のコアネットワーク。
【請求項3】
前記判定手段は、前記コンシューマノードに提供できる前記学習モデルの前記レベルを示す判定情報に基づき、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する、請求項1に記載のコアネットワーク。
【請求項4】
前記判定情報は、前記学習モデルの前記用途に拘わらず共通して使用される情報である、請求項3に記載のコアネットワーク。
【請求項5】
前記判定情報は、前記学習モデルの前記用途毎に設けられ、
前記判定手段は、前記第1用途の前記判定情報に基づき、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する、請求項3に記載のコアネットワーク。
【請求項6】
前記学習データに基づき、同じ用途に使用されるが前記レベルの異なる前記複数の学習モデルを生成して前記格納手段に格納する処理を行う生成手段をさらに備えている、請求項1に記載のコアネットワーク。
【請求項7】
前記コンシューマノードは、前記コアネットワークのオペレータとは異なる組織によって運用されるネットワークノードである、請求項1に記載のコアネットワーク。
【請求項8】
移動通信ネットワークのネットワークノードであって、
前記移動通信ネットワークは、学習データに基づき生成された、同じ用途に使用されるがレベルの異なる複数の学習モデルであって、学習モデルの前記レベルは、当該学習モデルに含まれる前記学習データに関する情報の量の程度を示す前記複数の学習モデルを格納しており、
前記ネットワークノードは、
コンシューマノードから第1用途の第1学習モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する判定手段と、
前記コンシューマノードに第1レベルの前記第1学習モデルを提供できると判定した場合、前記第1レベルの前記第1学習モデルを特定する情報を前記コンシューマノードに通知する処理を行う通知手段と、
を備えているネットワークノード。
【請求項9】
前記判定手段は、前記コンシューマノードに提供できる前記学習モデルの前記レベルを示す判定情報に基づき、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する、請求項8に記載のネットワークノード。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項8又は9に記載のネットワークノードとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信ネットワークのコアネットワーク及びネットワークノードに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナシッププロジェクト(3GPP(登録商標))は、移動通信ネットワークの現在の状態を分析したり、将来の状態を推論したりするためのネットワークデータ分析機能(NWDAF)を定義している。NWDAFは、モデルトレーニング論理機能(MTLF)と、分析論理機能(AnLF)と、の内の少なくとも1つを含む。MTLFは、移動通信ネットワークの各ネットワーク機能(NF)や装置等から収集した学習データに基づき機械学習を行って学習モデル(以下、単に、モデルと表記する。)を生成する。AnLFは、MTLFが生成したモデルを使用して推論を実行する。さらに、3GPP(登録商標)は、NWDAFの分析結果又は推論結果等を格納する分析データリポジトリ機能(ADRF)も定義している。
【0003】
NWDAFの分析結果又は推論結果は、NWDAFを運用している移動通信ネットワークのオペレータ内で利用されるのみならず、当該オペレータの外部の組織での利用のために、当該組織が運用するNFに提供され得る。以下の説明において、NWDAFの分析結果又は推論結果等を取得するNFを、NFサービスコンシューマ(NFc)と表記する。
【0004】
NWDAFの分析結果又は推論結果には、NWDAFを含む移動通信ネットワークを利用しているユーザに関するプライバシ情報(例えば、ユーザの位置情報)が含まれ得る。このため、分析結果又は推論結果の提供先のNFcに応じて、分析結果及び推論結果を示すデータの匿名化の度合いを変更することが3GPP(登録商標)において議論されている。
【0005】
さらに、移動通信ネットワークのオペレータは、当該オペレータによって運用されているNWDAF(MTLF)が生成したモデルそのものをNFcに提供することもできる。
【0006】
ここで、非特許文献1は、機械学習によって生成されたモデルが、当該モデルの学習に使用された学習データに関する情報を含むことを開示している。したがって、学習データがプライバシ情報を含む場合、機械学習によって生成されたモデルにもプライバシ情報が含まれることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nasr,Milad,Reza Shokri,and Amir Houmansadr,"Comprehensive privacy analysis of deep learning",Proceedings of IEEE Symposium on Security and Privacy,2018年
【非特許文献2】Abadi,Martin,et.al.,"Deep learning with differential privacy",Proceedings of ACM SIGSAC conference on computer and communications security,2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、現在、3GPP(登録商標)は、オペレータが予め選択したNFcに限りモデルを提供し、それ以外のNFcにはモデルを提供しない運用とすることを検討している。よって、オペレータの選択肢は、モデルをNFcに提供するか、提供しないかの2つのみとなる。
【0009】
本開示は、モデルの提供に関する選択肢を3つ以上にする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によると、移動通信ネットワークのコアネットワークは、学習データに基づき生成された、同じ用途に使用されるがレベルの異なる複数の学習モデルを格納する格納手段であって、学習モデルの前記レベルは、当該学習モデルに含まれる前記学習データに関する情報の量の程度を示す、前記格納手段と、コンシューマノードから第1用途の第1学習モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できるか否かと、前記コンシューマノードに前記第1学習モデルを提供できる場合には、前記コンシューマノードに提供できる前記第1学習モデルの前記レベルと、を判定する判定手段と、前記コンシューマノードに第1レベルの前記第1学習モデルを提供できると判定した場合、前記第1レベルの前記第1学習モデルを特定する情報を前記コンシューマノードに通知する通知手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、モデルの提供に関する選択肢を3つ以上にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】背景技術によるモデル生成処理及び提供処理の一例を示すシーケンス図。
【
図2】
図1のシーケンスにおいてNRFに格納される判定情報を示す図。
【
図3】実施形態による、システムの構成例を示す図。
【
図4】実施形態による、モデル生成処理の一例を示すシーケンス図。
【
図6】実施形態による、モデル提供処理の一例を示すシーケンス図。
【
図7】実施形態による、コアネットワークの機能ブロック図。
【
図8】実施形態による、ネットワークノードの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
実施形態の説明を行う前に、現時点におけるモデル生成処理及び提供処理の一例について
図1を用いて説明する。S1において、NWDAFは、学習データに基づきモデルを生成する。ここでは、S1で生成されたモデルの用途を"A"とし、その識別子(ID)を"X"とする。S2において、NWDAFは、S1で生成したモデルの本体と、その識別子Xを、ADRFに通知し、かつ、S1で生成したモデルの識別子Xと、その用途Aを、ネットワークリポジトリ機能(NRF)に通知する。NRFは、S3で、モデルの識別子Xと、当該モデルの用途Aとの関係をモデル情報に登録する。また、ADRFは、S4で、モデル本体を、その識別子Xに関連付けて格納する。
【0015】
S5において、NFcの1つであるNFc#1が、NRFに対して用途Aのモデルを要求する要求メッセージを送信する。NRFは、予め設定されている判定情報に基づき、用途AのモデルをNFc#1に提供できるか否かをS6で判定する。
図2は、判定情報の一例を示している。
図2によると、識別子Xで特定される用途"A"のモデルについては、NFc#1及びNFc#2に提供可能であるが、NFc#3に提供できないことが示されている。したがって、NRFは、
図2の判定情報に従いS6で提供可能と判定し、S7で、識別子Xを含む許可メッセージをNFc#1に送信する。NFc#1は、S8で、識別子Xを含むモデル本体の要求メッセージをADRFに送信する。ADRFは、要求メッセージに応答して、S9で、識別子Xのモデル本体をNFc#1に送信する。なお、たとえば、NFc#3が用途Aのモデルを要求した場合、NRFは、
図2の判定情報に基づきS6で提供不可と判定し、S7で許可されないことをNFc#3に通知する。
【0016】
図2の判定情報から明らかな様に、移動通信ネットワークのオペレータの選択肢は、モデルを提供するか否かをNFc毎に決定すること、つまり、2択である。
【0017】
以下、本実施形態について説明する。
図3は、本実施形態によるシステム構成図である。移動通信ネットワークのコアネットワーク10は、管理機能1と、ADRF2と、NWDAF3と、NRF4と、を含む。なお、以下の説明において、コアネットワーク10を含む移動通信ネットワークのオペレータを、"注目オペレータ"と表記する。
【0018】
NWDAF3は、学習データに基づき機械学習を行ってモデルを生成する機能を有する。なお、本実施形態のNWDAF3は、学習データに基づき、同じ用途であるがレベルの異なる複数の学習データを生成する機能を有する。レベルは、モデルに含まれる学習データに関する情報量(よって、プライバシ情報量)の程度を示す。例えば、NWDAF3は、非特許文献2に開示されている様に、差分プライバシに基づき、同じ用途の様々なレベルのモデルを生成することができる。非特許文献2によると、モデルに含まれるプライバシ情報の量は、2つのパラメータε及びδによって制御される。なお、一般的に、モデルに含まれる学習データに関する情報量を少なくする程、当該モデルの性能、例えば、推論性能は劣化する。
【0019】
ADRF2は、NWDAF3が生成したモデルを格納する。NRF4は、NFc50に対する窓口として機能する。NFc50は、注目オペレータとは異なる外部組織が運用するNFであり、コンシューマノードとしても参照される。なお、外部組織は、注目オペレータとは異なる他の移動通信ネットワークのオペレータのみならず、インターネットサービスプロバイダ(ISP)等の他の種別のネットワークのオペレータや、注目オペレータが運用する移動通信ネットワークのサービスを利用する企業・団体等を含み得る。
【0020】
NFc50は、NWDAF3が生成したモデルを取得する機能を有する。なお、
図3では、5つのNFc50を表示しているが、NFc50の数は1以上の任意の数であり得る。以下の説明において、5つのNFc50を区別する場合には、
図3に示す様に、NFc#1~NFc#5と表記する。管理機能1は、NWDAF3が生成したモデルのNFc#1~NFc#5への提供を制御する。
【0021】
図4は、モデル生成時のシーケンスを示している。管理機能1は、S10において、注目オペレータからの入力に従い、NWDAF3に用途Aのモデルの生成を指示する。このとき、管理機能1は、注目オペレータからの入力に従い、レベルの異なる複数のモデルの生成をNWDAF3に指示する。
図4では、レベルL1~L3の3つのモデルの生成を指示している。本例においては、レベルの数字が大きい程、プライバシ情報の含有量が少なくなるものとする。なお、例えば、レベルL1は、モデルに含まれるプライバシ情報の量を考慮しない機械学習により生成されるモデルとすることもできる。また、本例において、管理機能1は、各レベルのモデルの識別子もNWDAF3に通知する。
図4によると、レベルL1、L2及びL3のモデルの識別子は、X1、X2、X3である。S12で、管理機能1は、モデル情報を登録する。なお、モデル情報を登録するとは、管理機能1にモデル情報を格納すること、或いは、管理機能1がアクセス可能な他のNFにモデル情報を格納すること、を意味する。モデル情報は、
図5(A)に示す様に、用途Aのために生成された3つのモデルの識別子と、そのレベルとの関係を示す。
【0022】
NWDAF3は、S13で、管理機能1からのモデル生成指示に応答して、用途Aの3つのモデルを生成する。以下の説明では、レベルLn(nは、1~3までの整数)のモデル本体を、本体#Lnと表記する。NWDAF3は、S14で、生成した3つのモデル本体と、その識別子の情報をADRF2に送信する。ADRF2は、S15で、
図5(B)に示す様に、3つのモデル本体を、その識別子に関連付けて格納する。
【0023】
なお、
図4の例においては、3つの異なるレベルのモデルを生成しているが、レベルの数は、2以上の任意の数とすることができる。さらに、
図4の例においては、管理機能1が生成するモデルの識別子をNWDAF3に通知していたが、NWDAF3がモデルの識別子を決定する構成であっても良い。その場合、管理機能1は、S10で、生成を指示するモデルの用途と、そのレベルと、をNWDAF3に通知し、NWDAF3は、各レベルのモデルの識別子を決定して管理機能1に通知する。そして、管理機能1は、NWDAF3から通知された各レベルのモデルの識別子に基づきモデル情報を登録する。
【0024】
さらに、
図4の例において、NWDAF3は、管理機能1からの生成指示に基づきモデルを生成していたが、モデルの生成トリガは、例えば、注目オペレータがNWDAF3に直接、モデルの生成指示を入力する等、管理機能1からの生成指示に限定されない。この場合、NWDAF3は、生成したモデルの用途、レベル及び識別子を管理機能1に通知する。
【0025】
また、管理機能1又は管理機能1がアクセス可能な他のNFには、
図5(C)に示す判定情報が予め格納される。判定情報は、各NFc50について、モデルの提供可否と、モデルを提供できる場合には、提供できるモデルのレベルと、を示す情報である。
図5(C)によると、NFc#1にはレベルL1のモデルを提供でき、NFc#2及びNFc#5にはレベルL2のモデルを提供でき、NFc#3にはレベルL3のモデルを提供でき、NFc#4にはモデルを提供できないことが示されている。なお、判定情報は、モデルを提供できるNFc50について、提供できるレベルのみを示すものとすることもできる。この場合、判定情報に含まれないNFc50は、モデルを提供することができないものとして取り扱われる。
【0026】
判定情報は、例えば、注目オペレータと、各NFc50を運用する組織との取り決めに基づいて事前に決定され得る。或いは、判定情報は、注目オペレータ単独で決定され得る。
【0027】
図6は、モデル提供処理のシーケンス図である。S20において、NFc#1は、NRF4に用途Aのモデルを要求する要求メッセージを送信する。NRF4は、S21で、NFc#1が用途Aのモデルを要求していることを示す要求メッセージを管理機能1に送信する。
【0028】
管理機能1は、S22で、NFc#1に対して用途Aのモデルを提供できるか否かと、提供できる場合には、提供できるレベルと、を判定する。
図5(C)の判定情報により、NFc#1にはレベルL1のモデルを提供可能である。したがって、管理機能1は、S23で、許可メッセージをNRF4に通知する。当該許可メッセージは、用途AのレベルL1のモデルの識別子X1を示す情報と、許可対象であるNFc#1を特定する情報と、を含む。なお、管理機能1は、モデル情報を参照することで、用途AのレベルL1のモデルの識別子X1を判定する。
【0029】
S24で、NRF4は、NFc#1に許可メッセージを送信する。当該許可メッセージは、用途AのレベルL1のモデルの識別子X1を示す情報を含む。NFc#1は、S25で、識別子X1を示す情報を含むモデル本体の要求メッセージをADRF2に送信する。ADRF2は、要求メッセージに応答して、S26で、識別子X1のモデルの本体#L1をNFc#1に送信する。
【0030】
なお、たとえば、NFc#2が用途Aのモデルを要求した場合、管理機能1は、
図5(C)の判定情報に基づきレベルL2のモデルを提供可能と判定し、S23で識別子X2を示す情報を含む許可メッセージを送信する。また、NFc#4が用途Aのモデルを要求した場合、管理機能1は、
図5(C)の判定情報に基づきモデルを提供できないと判定し、S23で許可できないことを示すメッセージを送信する。なお、モデルを提供できない場合、許可できないことを示すメッセージを要求元のNFc50に送信するのではなく、要求元のNFc50に対して、いずれのメッセージも送信しない構成とすることもできる。
【0031】
図6のシーケンスでは、管理機能1によるS22での判定結果を、NRF4を介してNFc50に通知しているが、管理機能1が、直接、NFc50に通知する構成であっても良い。また、判定情報及びモデル情報をNRF4に格納、或いは、管理機能1又は他のNFに格納されている判定情報及びモデル情報にNRF4がアクセスできる様に構成し、NRF4がモデルの提供可否と、提供できる場合にはそのレベルを判定する構成であっても良い。
【0032】
また、
図5(C)の判定情報は、モデルの用途に拘わらず、総ての用途に対して共通して使用されるものであったが、モデルの用途毎に判定情報を設ける構成とすることもできる。この場合、例えば、用途Aのモデルについては、NFc#1にレベルL1のモデルを提供するが、用途Bのモデルについては、NFc#1にモデルを提供しない、或いは、レベルL1とは異なるレベルのモデルを提供するといった様な制御が可能になる。
【0033】
以上の構成により、モデルのNFc50への提供について、提供するかしないかの2つの選択肢から1つを選択するのではなく、3つ以上の選択肢から選択することが可能になる。つまり、モデルの提供に関する選択肢を3つ以上に多様化することができる。
【0034】
なお、
図3に示す、管理機能1、ADRF2、NWDAF3及びNRF4のそれぞれは、1つの装置として実装することも、相互に通信可能な複数の装置として実装することもできる。また、管理機能1、ADRF2、NWDAF3及びNRF4の内の2つ以上の機能を、1つの装置として実装することもできる。
【0035】
図7は、実施形態によるコアネットワーク10の機能ブロック図である。生成部14は、学習データに基づき、同じ用途に使用されるがレベルの異なる複数のモデルを生成して格納部11に格納する処理を行う。生成部14は、例えば、
図3のNWDAF3(MTLF)に対応する。格納部11は、
図3のADRF2に対応する。
【0036】
判定部12は、NFc50から第1用途の第1学習モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、当該NFc50に第1学習モデルを提供できるか否かと、提供できる場合には、提供できる第1学習モデルのレベルと、を判定する。当該判定は、モデル情報及び判定情報を参照することにより行われ得る。判定部12は、
図3の管理機能1に対応する。なお、上記の通り、
図6のS22の処理をNRF4で行う場合、判定部12は、NRF4に対応する。
【0037】
通知部13は、判定部12が、当該NFc50に第1学習モデルを提供できると判定した場合、提供できるレベルの第1学習モデルを特定する情報、例えば、識別子を当該NFc50に通知する。また、通知部13は、判定部12が当該NFc50に第1学習モデルを提供できないと判定した場合、メッセージの送信により当該NFc50に第1学習モデルを提供できないことを明示的に示す、或いは、応答を返さないことにより当該NFc50に第1学習モデルを提供できないことを暗黙的に示す。
図6のシーケンスにおいて、通知部13は、管理機能1及びNRF4に対応する。なお、管理機能1が直接、判定結果をNFc50に通知する場合、通知部13は、管理機能1に対応し、
図6のS22の処理をNRF4で行う場合、通知部13は、NRF4に対応する。
【0038】
図8は、本実施形態による、移動通信ネットワークのネットワークノード20の構成図である。ネットワークノード20は、例えば、コアネットワーク10の装置であり得る。ネットワークノード20は、例えば、
図3の管理機能1を実装する装置、NRF4を実装する装置、或いは、管理機能1とNRF4の両方を実装する装置であり得る。
【0039】
判定部21は、NFc50から第1用途の第1学習モデルを要求するメッセージを受信したことに応答して、当該NFc50に第1学習モデルを提供できるか否かと、提供できる場合には、提供できる第1学習モデルのレベルと、を判定する。当該判定は、モデル情報及び判定情報を参照することにより行われ得る。なお、モデル情報及び判定情報は、判定部12に格納され得る。或いは、モデル情報及び判定情報の内の一方又は両方は、ネットワークノード20とは異なる他の装置に格納され得る。この場合、判定部12は、当該他の装置が格納している情報を参照して判定を行う。
【0040】
通知部22は、判定部21による判定結果を当該NFc50に通知するための処理を行う。なお、判定部21が、当該NFc50に第1学習モデルを提供できると判定した場合、判定結果は、提供できるレベルの第1学習モデルを特定する情報、例えば、識別子を含む。判定結果を当該NFc50に通知するための処理は、例えば、判定結果を示すメッセージを、直接、当該NFc50に送信する処理であり得る。或いは、判定結果を当該NFc50に通知するための処理は、判定結果を他の装置に通知し、当該他の装置を介して、判定結果を当該NFc50に通知する処理であり得る。
【0041】
なお、本開示によるネットワークノード20は、1つ以上のプロセッサを有する装置の当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上記ネットワークノード20として動作させるコンピュータプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0042】
本実施形態によると、モデルの提供方法を多様化することができる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0043】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
11:格納部、12:判定部、13:通知部