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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025093333
(43)【公開日】2025-06-24
(54)【発明の名称】残渣回収装置およびケース製造装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/16 20240101AFI20250617BHJP
   B65G 15/00 20060101ALI20250617BHJP
   B31B 50/62 20170101ALI20250617BHJP
【FI】
B08B1/16
B65G15/00
B31B50/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208908
(22)【出願日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】上田 達也
(72)【発明者】
【氏名】土居川 範幸
(72)【発明者】
【氏名】山内 純也
【テーマコード(参考)】
3B116
3E075
3F023
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB53
3B116BA03
3B116CD42
3E075AA02
3E075BA01
3E075CA01
3E075DD02
3E075GA04
3F023AA01
3F023BA01
3F023BB01
3F023BC01
(57)【要約】
【課題】糊を噴射するノズルに付着する残渣を、糊の噴射対象となる製造物の製造装置を停止させることなく、回収することができる残渣回収装置を提供すること。
【解決手段】本開示の残渣回収装置は、被加工品が搬送される第1方向に延びる第1搬送路の鉛直方向の上方に配置され、鉛直方向の上方から発生する残渣を第1搬送路の上方で受け、平面視した際に、残渣を第1搬送路の外側の領域へ搬送させる搬送部と、搬送部を駆動させる駆動部と、搬送部によって搬送された残渣を回収する収容部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工品が搬送される第1方向に延びる第1搬送路の鉛直方向の上方に配置され、鉛直方向の上方から発生する残渣を前記第1搬送路の上方で受け、平面視した際に、前記残渣を前記第1搬送路の外側の領域へ搬送させる搬送部と、
前記搬送部を駆動させる駆動部と、
前記搬送部によって搬送された前記残渣を回収する収容部と、を備える残渣回収装置。
【請求項2】
前記搬送部は、無端状のベルトを備え、
前記搬送部によって搬送された前記残渣を前記収容部の上方で前記搬送部から除去させる除去部を備える、
請求項1に記載の残渣回収装置。
【請求項3】
前記残渣を下方において待ち受ける残渣受けを備え、
前記搬送部は、前記残渣受けによって受けられた前記残渣を、所定の距離の往復運動をすることで前記残渣を搬送させる、
請求項1に記載の残渣回収装置。
【請求項4】
前記搬送部は、
螺旋状の羽根と、
前記螺旋状の羽根が収容されるケーシングと、を備え、
前記螺旋状の羽根を回転することで前記残渣を搬送させる、
請求項1に記載の残渣回収装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記無端状のベルトの前記残渣が載って搬送させる搬送面の少なくとも一部に離型層が形成されている、
請求項2に記載の残渣回収装置。
【請求項6】
前記残渣受けは、前記残渣が載って搬送される前記残渣受けの搬送面の少なくとも一部に離型層が形成されている、
請求項3に記載の残渣回収装置。
【請求項7】
前記螺旋状の羽根は、前記残渣を搬送させる前記螺旋状の羽根の表面の少なくとも一部に離型層が形成され、
前記ケーシングの内側表面の少なくとも一部に離型層が形成されている、
請求項4に記載の残渣回収装置。
【請求項8】
前記駆動部の回転駆動力を前記無端状のベルトに伝達する駆動側プーリと、
前記無端状のベルトを前記駆動側プーリとともに支持する従動側プーリと、
前記従動側プーリに取り付けられる被検出体と、
前記従動側プーリとともに回転する被検出体を検出する検出センサと、を備える、
請求項2に記載の残渣回収装置。
【請求項9】
前記被加工品は、シートであり、
糊の塗布および折り曲げにより前記シートを箱状のケースへ形成するケース製造装置1であって、
前記第1搬送路の前記第1方向に搬送される前記シートの所定の領域にノズルから糊を噴射する糊噴射装置と、
前記糊噴射装置の鉛直方向の下方であって、前記糊噴射装置のノズルよりも前記シートが搬送される前記第1方向の下流側に突き出るように配置され、請求項1~4のいずれか1項に記載の残渣回収装置と、を備える、ケース製造装置。
【請求項10】
制御部を備え、
前記制御部は、
前記糊噴射装置が所定の回数の糊の噴射を実行した場合に、前記残渣回収装置の前記駆動部を所定時間だけ駆動させる、
請求項9に記載のケース製造装置。
【請求項11】
残渣検出部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記残渣検出部によって、堆積した糊残渣が、所定の位置まで到達したことを検出した場合に、前記残渣回収装置の前記駆動部を所定時間だけ駆動させる、
請求項9に記載のケース製造装置。
【請求項12】
制御部を備え、
前記制御部は、
前記残渣回収装置の下方をシートが搬送されている場合は、前記残渣回収装置の前記駆動部の駆動を停止させ、
前記残渣回収装置の下方から離れた位置をシートが搬送されている場合は、前記残渣回収装置の前記駆動部を駆動させる、
請求項9に記載のケース製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、残渣回収装置およびケース製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば飲料製品の缶やボトルの包装としての段ボールシートは、製造ラインにおいて、箱状に折り曲げられ、ホットメルトを用いて糊付けされる。コンベヤにより箱を一定のピッチで搬送しながら、所定の糊付け位置において、箱の上端部で起立した糊付け領域に対して、当該糊付け領域よりも上流側に位置する噴射ガンのノズルから糊を噴射する。
ノズルから発射された糊が空間を移動する間に糊の軌跡がばらついたり、シートの反りによって糊付け領域の位置がばらついたりすること等に起因して、塗布位置がばらつく。特許文献1は、搬送路上に配置され、糊を噴射する噴射装置と一体に変位し、ノズルに付着した糊を下方から受ける糊受けが開示されている。搬送路上に配置され、噴射装置と一体に変位する糊受けに溜まった糊を作業員が回収するには、ケース製造装置を停止させる必要があるため、ケース製造装置の稼働率は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-126034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
噴射装置から噴射された糊の一部はノズルに付着して残渣となる。特許文献1は、残渣の要因の一つとして、ノズルから糊付け領域へと糸状に引き出された糊が切れ、ノズルに糊が戻ることを指摘している。ケース製造装置の稼働率を維持しながらノズルに付着する残渣を処理することが求められる。
【0005】
以上より、本開示は糊を噴射するノズルに付着する残渣を、糊の噴射対象となる製造物の製造装置を停止させることなく、回収することができる残渣回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る残渣回収装置は、被加工品が搬送される第1方向に延びる第1搬送路の鉛直方向の上方に配置され、鉛直方向の上方から発生する残渣を第1搬送路の上方で受け、平面視した際に、残渣を第1搬送路の外側の領域へ搬送させる搬送部と、搬送部を駆動させる駆動部と、搬送部によって搬送された残渣を回収する収容部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、糊を噴射するノズルに付着する残渣を、糊の噴射対象となる製造物の製造装置を停止させることなく、回収することができる残渣回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係るケース製造装置を示す側面図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るケース製造装置を示す正面図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る残渣回収装置を示す斜視図である。
図4】本開示の第2実施形態に係る残渣回収装置を示す斜視図である。
図5】本開示の第3実施形態に係る残渣回収装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、段ボールシートを折り曲げるなどして箱状のケースを製造する装置を例にして、本開示の実施形態を説明する。以下の説明において、残渣を排出する手段の違いにより、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態という三つの態様を含んでいる。第1実施形態は直線運動するコンベアに残渣を載せて排出し、第2実施形態は進退移動が可能とされるプッシャにより残渣を押し出して排出し、第3実施形態は回転運動するスクリューに残渣を載せて排出する。
【0010】
本実施形態における残渣とは、ホットメルトと称される糊として機能する接着剤であって、ノズルから噴射された一部がノズルに付着したものであり、糊残渣ということができる固体である。
本実施形態における残渣の排出とは、自由落下する糊残渣を受けた位置からケースの製造過程の段ボールシートが搬送路11から外れる非搬送位置まで糊残渣を搬送することをいう。
以下、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態の順に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(ケース製造装置の概要)
以下、添付図面を参照しながら、本開示の第1実施形態について説明する。
ケース製造装置1は、糊の塗布および折り曲げによりシートCを箱状のケースへ形成する装置である。シートCは例えば段ボールシートからなる。
図1に示すように、ケース製造装置1は、シートCを搬送方向Xに運ぶ搬送装置10と、搬送装置10で運ばれるシートCを折り曲げ加工する折り曲げガイド20と、搬送装置10で運ばれるシートCの糊付け位置に糊を噴射する糊噴射装置30と、糊噴射装置30の噴射ノズルから落下する糊残渣を排出する残渣回収装置40と、を備える。ケース製造装置1は、搬送装置10、糊噴射装置30および残渣回収装置40の動作を制御する制御部50を備える。
実施形態において、図1などに示されるように、搬送方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zと定義される。幅方向Yは水平方向と平行でかつ搬送方向Xと直交する。
【0012】
(搬送装置10の構成および作用)
搬送装置10は、例えば、搬送物としてのシートCをチェーンに取り付けられた平板に載せて、搬送路11に沿って搬送させるチェーンコンベア装置である。搬送装置10としてのチェーンコンベア装置は、駆動モータによって駆動されるスプロケットと、スプロケットに掛けられ、搬送物を載せる平板が配置されているチェーンと、チェーンの幅方向両側に配置されるガイドと、を備える。搬送装置10としてのチェーンコンベア装置は、後述する制御部50によって駆動モータを制御することによって、図示を省略する供給部から所定の供給量で供給されたシートCを、所定の速度で搬送し、または、所定の位置で停止させる。
【0013】
(折り曲げガイド20の構成および作用)
折り曲げガイド20は、搬送装置10によって搬送されるシートCにおいて、対応するシートCの領域を折り曲げる。本実施形態においては、シートCは、搬送装置10に搬送されるとともに、シートCの鉛直方向Zの上側の上面パネルC2は、折り曲げガイド20に接することによって、所定の位置まで折り曲げられる。折り曲げガイド20は、搬送装置10の搬送路11に対して所定の角度をなす傾斜部21から、搬送路11と平行な平行部22へと連続している。上面パネルC2は傾斜部21から平行部22へ接することにより、折り曲げ加工がなされる。
図2に示すように、一例として、3つの折り曲げガイド20が幅方向Yに等間隔に配置されている。
【0014】
(糊噴射装置30の構成および作用)
糊噴射装置30は、流動性を有する糊を噴射し、シートCの面C1から連なり上方へ起立しているシームC11の塗布面C11Aに糊を塗布する。糊噴射装置30が糊を噴射するときに、折り曲げガイド20によって搬送路11の下流から上流に向けてシートCの上面パネルC2が折り曲げられているため、シートCの内面は上面パネルC2によって覆われている。塗布面C11Aは、シートCの反りにより位置のばらつきはあるものの、基本的には搬送方向Xに対して直交している。
【0015】
糊噴射装置30は、シートCが搬送される搬送路11の上方であり、かつ、折り曲げガイド20の平行部22よりも上方に配置されている。また、搬送方向Xにおいて、糊噴射装置30は、折り曲げガイド20の傾斜部21と平行部22とが連続している位置よりも下流側に配置されている。
【0016】
糊噴射装置30は、噴射する糊を貯留する糊貯留部31と、糊貯留部31に貯留される糊を噴射するノズル33と、を備える。糊噴射装置30は、糊貯留部31に貯留される糊に圧縮空気を作用させることにより、ノズル33から糊を噴射する。また、糊噴射装置30から噴射される糊の噴射方向に延びるノズル33は、搬送装置10の搬送路11に対して、所定の角度をなして配置されている。
糊貯留部31は、図示を省略する糊の供給源からホース等を通じて供給された糊を内部に貯留する。
ノズル33は、糊貯留部31と接続されており、糊貯留部31へ供給された圧縮空気により、糊貯留部31の内部の圧力が高くなり、糊へ圧力が加えられることで、ノズル33の噴射口33Aから塗布面C11Aに向けて糊を噴射する。
糊噴射装置30により噴射される糊には、例えば、加熱されることで粘度が上昇する所謂ホットメルトが利用される。
【0017】
図2に示すように、糊噴射装置30は、一例として、幅方向Yに二台並んで配置されている。糊噴射装置30は、それぞれ3つのノズル33を備える。
本実施形態においては、糊噴射装置30を幅方向Yに二台並んで配置され、糊噴射装置30にそれぞれ3つのノズル33を備えているが、これに限らない。シートCの幅方向Yの大きさに対応させるために、糊噴射装置30の数量を変更してもよいし、糊噴射装置30に備えられるノズル33の数量およびノズル33の幅方向Yの配置間隔を変更してもよい。
【0018】
(残渣回収装置40の構成および作用)
残渣回収装置40は、搬送路11上に配置されているノズル33から滴下する糊残渣を受け、受けた位置から搬送路11の外側の領域Rまで糊残渣を搬送してから回収する装置である。残渣回収装置40は、ケース製造装置1の搬送装置10および糊噴射装置30の運転を停止させることなく、ノズル33から噴射されずにノズル33に付着した糊残渣を回収できる。
【0019】
本実施形態においては、残渣回収装置40は、無端状のベルトによって残渣を搬送させ、残渣を回収する残渣回収装置である。
残渣回収装置40は、無端状のコンベアベルト41と、コンベアベルト41の駆動源である電動モータ42と、電動モータ42の回転駆動力をコンベアベルト41に伝達する駆動側プーリ43と、コンベアベルト41を駆動側プーリ43とともに支持する従動側プーリ44と、を備える。
また、残渣回収装置40は、従動側プーリ44に取り付けられる被検出体45と、従動側プーリ44とともに回転する被検出体45を検出する検出センサ46と、を備える。
さらに、残渣回収装置40は、コンベアベルト41の搬送面に載って搬送される糊残渣をコンベアベルト41の搬送面から掻き取って除去するスクレーパ47と、スクレーパ47により掻き取られた糊残渣をコンベアベルト41から回収する収容部としての回収箱48と、コンベアベルト41の搬送面に堆積される糊残渣を検出する残渣検出部49と、を備える。
【0020】
コンベアベルト41は、搬送路11上に配置されているノズル33から滴下した糊残渣を受け、所定の速度で残渣を搬送させる。コンベアベルト41は、ノズル33よりもシートCが搬送される第1方向としての搬送方向Xの下流側に突き出るように配置されている。また、コンベアベルト41は、ノズル33から噴射される糊の通過路よりも下方に配置されている。
コンベアベルト41は、糊残渣が載って搬送させる搬送面の少なくとも一部に、糊残渣が剥がれやすくなる離型層が形成されている。離型層は、一例として、フッ素樹脂が挙げられ、PTFEまたはPFA等によって形成される。
【0021】
被検出体45は、従動側プーリ44よりも径方向の外側に張り出した複数の歯から構成される。検出センサ46は、被検出体45の複数の歯の検出の有無が繰り返されることによって、従動側プーリ44が回転しているか否かを通じてコンベアベルト41が動作しているか否かを検出する。
【0022】
除去部としてのスクレーパ47は、駆動側プーリ43に掛けられているコンベアベルト41の搬送面に接触させ、コンベアベルト41の搬送面に付着した糊残渣を、コンベアベルト41から掻き取るように除去する。残渣回収装置40は、スクレーパ47を備えることにより、糊残渣を、コンベアベルト41から除去することができる。
回収箱48は、スクレーパ47によって掻き取られた糊残渣を受け取って溜める。掻き取られた糊残渣は、スクレーパ47の表面を通過したのちに回収箱48に自由落下する。そのために、回収箱48は、平面視した際に、搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rであって、スクレーパ47の下方に配置されている。
また、回収箱48は、収容される糊残渣の満杯を検出する満杯検出部としての投光器48Aと、受光器48Bと、を備える。投光器48Aおよび受光器48Bは、投光器48Aと受光器48Bが対向して設置される透過形光電センサである。投光器48Aおよび受光器48Bは、回収箱48の所定の高さまで回収された糊残渣を検出する。満杯検出部としての投光器48Aと受光器48Bが所定の位置まで堆積したときの糊残渣を検出するとは、投光器48Aと受光器48Bとの間に堆積された残渣が滞在しつづけ、投光器48Aの投光量よりも受光器48Bの受光量が低下し、受光量の低下が所定の時間続いたときのことを指す。
【0023】
残渣検出部49は、コンベアベルト41としての無端状のベルトによって受けられ、所定の位置まで堆積したときの糊残渣を検出する。残渣検出部49は、投光器49Aと受光器49Bが対向して設置される透過形光電センサである。残渣検出部49による糊残渣の検出は、鉛直方向Zの方向に堆積された高さを検出してもよいし、糊残渣が堆積することで搬送方向Xの方向へ広がった糊残渣を検出してもよい。なお、残渣検出部49が所定の位置まで堆積したときの糊残渣を検出するとは、投光器49Aと受光器49Bとの間に堆積された残渣が滞在しつづけ、投光器49Aの投光量よりも受光器49Bの受光量が低下し、受光量の低下が所定の時間続いたときのことを指す。
【0024】
以上より、残渣回収装置40は、シートCが搬送される第1方向としての搬送方向Xに延びる第1搬送路としての搬送路11の鉛直方向Zの上方に配置され、鉛直方向Zの上方から発生する糊残渣を、第1搬送路としての搬送路11の上方で受け、平面視した際に、糊残渣を搬送路11の外側の領域Rへ搬送させるコンベアベルト41と、シートCを加工する加工装置としてのケース製造装置1を停止させることなくコンベアベルト41を駆動させる電動モータ42、コンベアベルト41によって搬送された糊残渣を回収する収容部としての回収箱48と、を備えることが好ましい。
これにより、糊噴射装置30のノズル33に付着する残渣を、糊の噴射対象となるシートCを箱状のケースへ形成させるケース製造装置1を停止させることなく、自動的に回収することができる。
【0025】
(制御部50の制御方法)
制御部50は、シートCへ糊を塗布し、折り曲げ、圧着させることで箱状のケースを形成するケース製造装置1の各機器を制御する。
【0026】
制御部50は、ケース製造装置1の稼働中に、残渣回収装置40の電動モータ42を駆動させ続ける。
【0027】
また、制御部50は、糊噴射装置30に所定の回数の糊の噴射を実行させた後に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させてもよい。
【0028】
また、制御部50は、残渣検出部49によって、堆積した糊残渣が、搬送方向Xにおける所定の位置まで到達したことを検出された場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させてもよい。
【0029】
また、制御部50は、残渣検出部49によって、堆積した糊残渣が、鉛直方向Zにおける所定の高さまで到達したことを検出された場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させてもよい。
【0030】
また、制御部50は、搬送装置10によって残渣回収装置40の下方をシートCが搬送されている場合は、残渣回収装置40の電動モータ42を停止させ、残渣回収装置40の下方から離れた位置をシートCが搬送されている場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を駆動させてもよい。
【0031】
また、制御部50は、投光器48Aおよび受光器48Bによって、回収箱48の所定の高さまで回収された糊残渣が検出された場合には、図示を省略するケース製造装置1のモニターによる表示およびスピーカーの発報によって、回収箱48の交換を作業員へ知らせることができる。
これにより、糊残渣が回収箱48から溢れることを防ぐことができ、また、作業員の作業負荷を低減させることができる。
【0032】
[第1実施形態が奏する効果]
以上説明した、第1実施形態に係る残渣回収装置40は、以下の効果を奏する。
残渣回収装置40は、鉛直方向Zの上方から発生する糊残渣を搬送路11の上方で受け、平面視した際に、糊残渣を搬送路11の外側の領域Rへ搬送させるコンベアベルト41を備える。
これにより、糊を噴射するノズル33に付着する糊残渣を、糊の噴射対象となるシートCの製造装置としてのケース製造装置1を停止させることなく、回収することができる。
【0033】
また、残渣回収装置40は、駆動側プーリ43に掛けられているコンベアベルト41の搬送面に接触させ、コンベアベルト41の搬送面に付着した糊残渣を除去する、スクレーパ47を備える。
これにより、糊残渣をコンベアベルト41から掻き取ることができる。
【0034】
残渣回収装置40は、従動側プーリ44に取り付けられる被検出体45と、従動側プーリ44とともに回転する被検出体45を検出する検出センサ46と、を備える。被検出体45は、従動側プーリ44よりも径方向の外側に張り出した複数の歯から構成される。
これにより、検出センサ46は、被検出体45の複数の歯の検出の有無が繰り返されることによって、従動側プーリ44が回転しているか否かを通じてコンベアベルト41が動作しているか否かを検出することができる。
【0035】
残渣回収装置40は、シートCへ糊を塗布し、折り曲げ、圧着させることで箱状のケースを形成するケース製造装置1の各機器を制御する制御部50を備える。制御部50は、ケース製造装置1の稼働中に、残渣回収装置40の電動モータ42を駆動させ続ける。
これにより、迅速に糊残渣を回収させることができる。
【0036】
残渣回収装置40の制御部50は、糊噴射装置30に所定の回数の糊の噴射を実行させた後に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させる。
これにより、残渣回収装置40のランニングコストを低減させ、定期的に糊残渣を回収させることができる。
【0037】
残渣回収装置40の制御部50は、残渣検出部49によって、堆積した糊残渣が、搬送方向Xにおける所定の位置まで到達したことを検出された場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させてもよい。
これにより、糊残渣が無端状のベルトから搬送方向Xの下流側への落下をすることなく、糊残渣を自動的に回収することができる。
【0038】
残渣回収装置40の制御部50は、残渣検出部49によって、堆積した糊残渣が、鉛直方向Zにおける所定の高さまで到達したことを検出された場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を所定時間だけ駆動させてもよい。
これにより、ノズル33の噴射口33Aを堆積した糊残渣によって塞ぐことなく、糊残渣を自動的に回収することができる。
【0039】
残渣回収装置40の制御部50は、搬送装置10によって残渣回収装置40の下方をシートCが搬送されている場合は、残渣回収装置40の電動モータ42を停止させ、残渣回収装置40の下方から離れた位置をシートCが搬送されている場合に、残渣回収装置40の電動モータ42を駆動させてもよい。
これにより、コンベアベルト41に付着していた糊残渣の一部がスクレーパ47に掻き取られることなく通過し、コンベアベルト41に付着していた糊残渣がコンベアベルト41の振動等によって剥がれたとしても、シートCへの落下を回避することができる。
【0040】
検出センサ46は、被検出体45の複数の歯の検出の有無が繰り返されることによって、従動側プーリ44が回転しているか否かを通じてコンベアベルト41が動作しているか否かを検出しているが、これに限らない。
例えば、電動モータ42の電流値の検出をしているときに、電動モータ42への負荷が継続的に低下し、電流値が低下したことが継続的に発生したときに、コンベアベルト41が動作しているか否かを検出してもよい。
また、コンベアベルト41にベルト張力検出センサを押し当て、ベルト張力検出センサが検出するベルトの張力が急激に低下したときに、コンベアベルト41が動作しているか否かを検出してもよい。
また、コンベアベルト41の上方からコンベアベルト41の有無を確認するベルト検出部として、例えば反射型光電センサによってコンベアベルト41が動作しているか否かを検出してもよい。
【0041】
[第2実施形態]
図4を参照し、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態の残渣回収装置40と異なる残渣回収装置60について説明する。
【0042】
残渣回収装置60は、糊噴射装置30により糊が噴射されたときにノズル33から噴射された糊の飛沫等の糊残渣を下方において待ち受け、所定の距離を往復運動する搬送部によって、堆積した糊残渣を搬送させ、平面視した際、シートCが搬送される搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rへ搬送する装置である。
【0043】
残渣回収装置60は、糊残渣を幅方向Yに押して搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rへ搬送する搬送部61と、搬送部61に所定の距離の往復運動をさせる駆動部62と、ノズルから噴射された糊の飛沫等の糊残渣を下方において待ち受ける残渣受け63と、を備える。
【0044】
搬送部61は、本実施形態においては、直方体形状であって、下面61Aと、押し出し面61Bと、を備える。下面61Aは、残渣受け63の鉛直方向Zの上側の搬送面63Aに載せられて、残渣受け63の搬送面63Aを摺動する。すなわち、搬送部61は、残渣受け63によって受けられた糊残渣を、残渣受け63の搬送面63Aから掻き取り、除去するスクレーパ47としても機能している。幅方向Yにおいて、搬送部61が最も伸びたときの押し出し面61Bの停止位置は、Y側端面63Bを超える位置である。つまり、搬送部61は、回収箱48の上方の一部を覆う位置まで移動する。
【0045】
駆動部62は、本実施形態においては、エアシリンダ等の所謂駆動用アクチュエータであって、搬送部61に所定の距離の往復運動をさせる。駆動部62は、搬送部61に所定の距離の往復運動をさせることにより、残渣受け63に堆積した糊残渣を搬送し、平面視した際に、シートCが搬送される搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rへ搬送させる。
【0046】
残渣受け63は、本実施形態においては、板状であって、搬送面63Aと、Y側端面63Bと、を備える。残渣受け63は、搬送面63Aに糊残渣を受け、搬送面63Aを摺動する搬送部61によって、糊残渣が掻き取られ、除去される。
残渣受け63には、糊残渣が載って搬送される搬送面63Aの表面に、糊残渣が剥がれやすくなる離型層が形成されている。離型層は、一例として、フッ素樹脂が挙げられ、PTFEまたはPFA等によって形成される。
【0047】
残渣回収装置60は、制御部50により、糊噴射装置30に所定の回数の糊の噴射を実行させた後に、残渣回収装置60の駆動部62を駆動させることで、搬送部61によって糊残渣を搬送させる。搬送部61の押し出し面61Bが、Y側端面63Bを超える位置まで移動することにより、掻き取られた糊残渣は、搬送路11の外側の領域Rに配置されている回収箱48へ落下し、回収される。
【0048】
[第2実施形態が奏する効果]
第2実施形態における、残渣回収装置60においても、糊噴射装置30のノズル33から噴射された糊の飛沫等の残渣を、ケース製造装置1を停止させることなく、自動的に回収することができる。
【0049】
[第3実施形態]
図5を参照し、第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第1実施形態の残渣回収装置40と異なる残渣回収装置70について説明する。
【0050】
残渣回収装置70は、糊噴射装置30により糊が噴射されたときにノズル33から噴射された糊の飛沫等の糊残渣を下方において待ち受け、搬送部71としてのスクリューコンベアのスクリュー羽根が回転することによって糊残渣を搬送させ、平面視した際、シートCが搬送される搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rへ搬送する装置である。
【0051】
残渣回収装置70は、スクリュー羽根71Aが回転することによって糊残渣を搬送させる搬送部71と、スクリュー羽根71Aを回転させる駆動部72と、を備える。
【0052】
搬送部71は、本実施形態においては、スクリューコンベアであって、スクリュー羽根71Aと、ケーシング71Bと、を備える。搬送部71は、糊噴射装置30のノズル33の下方に配置されている。搬送部71のケーシング71Bは、スクリュー羽根71Aが収容され、鉛直方向Zの上方に入口71B-1が設けられており、ノズル33から噴射された糊の飛沫等の糊残渣をケーシング71Bの内部へ受ける。また、ケーシング71Bは、幅方向Yに延び、ケーシング71Bに設けられた糊残渣の排出口71B-2は、搬送路11の外側の領域Rであって、回収箱48の上方に配置されている。
スクリュー羽根71Aは、糊残渣を搬送させる螺旋状のスクリューの羽根の搬送面の少なくとも一部に、糊残渣が剥がれやすくなる離型層が形成されている。また、ケーシング71Bは、ケーシング71Bの内側の表面の少なくとも一部に離型層が形成され、一例として、フッ素樹脂が挙げられ、PTFEまたはPFA等によって形成される。
【0053】
駆動部72は、本実施形態においては、搬送部71のスクリュー羽根71Aを回転させる駆動モータである。駆動部72は、スクリュー羽根71Aを回転させることで、ケーシング71Bの内部へ落下した糊残渣を搬送し、平面視した際、シートCが搬送される搬送装置10の搬送路11の外側の領域Rへ搬送させる。
【0054】
残渣回収装置70は、制御部50により、糊噴射装置30に所定の回数の糊の噴射を実行させた後に、残渣回収装置70の駆動部72を駆動させることで、搬送部71によって糊残渣を搬送させる。搬送部71のスクリュー羽根71Aを回転させることにより、糊残渣は、ケーシング71Bの排出口71B-2の方向へ搬送され、ケーシング71Bの排出口71B-2から回収箱48へ落下し、回収される。
【0055】
第3実施形態における、残渣回収装置70においても、糊噴射装置30のノズル33から噴射された糊の飛沫等の残渣を、ケース製造装置1を停止させることなく、自動的に回収することができる。
【0056】
[付記]
以上の開示によれば、以下の構成が把握される。
(1)残渣回収装置40,60,70は、被加工品としてのシートCが搬送される第1方向としての搬送方向Xに延びる第1搬送路としての搬送路11の鉛直方向Zの上方に配置され、鉛直方向Zの上方から発生する残渣を搬送路11の上方で受け、平面視した際に、残渣を第1搬送路としての搬送路11の外側の領域Rへ搬送させる搬送部41と、搬送部41を駆動させる駆動部42と、第2搬送部によって搬送された残渣を回収する回収箱48と、を備える。
【0057】
(2)残渣回収装置40は、搬送部41は、無端状のベルトを備え、搬送部41によって搬送された残渣を回収箱48の上方で搬送部41から除去させる除去部としてのスクレーパ47を備える。
【0058】
(3)残渣回収装置60は、残渣を下方において待ち受ける残渣受け63を備え、搬送部61は、残渣受け63によって受けられた残渣を、所定の距離の往復運動をすることで残渣を搬送させる。
【0059】
(4)残渣回収装置70は、搬送部71は、螺旋状の羽根としてのスクリュー羽根71Aと、螺旋状の羽根としてのスクリュー羽根71Aが収容されるケーシング71Bと、を備え、螺旋状の羽根としてのスクリュー羽根71Aを回転することで前記残渣を搬送させる。
【0060】
(5)残渣回収装置40は、搬送部41は、無端状のベルトの残渣が載って搬送させる搬送面の少なくとも一部に離型層が形成されている。
【0061】
(6)残渣回収装置60は、残渣受け63は、残渣が載って搬送される残渣受け63の搬送面63Aの少なくとも一部に離型層が形成されている。
【0062】
(7)スクリュー羽根71Aは、糊残渣を搬送させる螺旋状の羽根としてのスクリュー羽根71Aの表面の少なくとも一部に離型層が形成され、ケーシング71Bの内側表面の少なくとも一部に離型層が形成されている。
【0063】
(8)残渣回収装置40は、電動モータ42の回転駆動力を無端状のベルトに伝達する駆動側プーリ43と、無端状のベルトを駆動側プーリ43とともに支持する従動側プーリ44と、従動側プーリ44に取り付けられる被検出体45と、従動側プーリ44とともに回転する被検出体45を検出する検出センサ46と、を備える、
【0064】
(9)ケース製造装置1は、被加工品は、シートCであり、糊の塗布および折り曲げによりシートCを箱状のケースへ形成するケース製造装置1であって、第1搬送路としての搬送路11の第1方向としての搬送方向Xに搬送されるシートCの所定の領域にノズル33から糊を噴射する糊噴射装置30と、糊噴射装置30の鉛直方向Zの下方であって、糊噴射装置30のノズル33よりもシートCが搬送される第1方向としての搬送方向Xの下流側に突き出るように配置される、残渣回収装置40,60,70と、を備える。
【0065】
(10)ケース製造装置1は、制御部50を備え、制御部50は、糊噴射装置30が所定の回数の糊の噴射を実行した場合に、残渣回収装置40,60,70の前記駆動部42,62,72を所定時間だけ駆動させる。
【0066】
(11)残渣検出部49と、制御部50と、を備え、制御部50は、残渣検出部49によって、堆積した糊残渣が、所定の位置まで到達したことを検出した場合に、残渣回収装置40,60,70の駆動部42,62,72を所定時間だけ駆動させる、
【0067】
(12)制御部50を備え、残渣回収装置40,60,70の下方をシートCが搬送されている場合は、残渣回収装置40,60,70の駆動部42,62,72の駆動を停止させ、残渣回収装置40,60,70の下方から離れた位置をシートCが搬送されている場合は、残渣回収装置40,60,70の駆動部42,62,72を駆動させる。
【0068】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 ケース製造装置
10 搬送装置
11 搬送路
20 折り曲げガイド
21 傾斜部
22 平行部
30 糊噴射装置
31 糊貯留部
32 電磁弁
33 ノズル
33A 噴射口
40 残渣回収装置
41 コンベアベルト
42 電動モータ
43 駆動側プーリ
44 従動側プーリ
45 被検出体
46 検出センサ
47 スクレーパ
48 回収箱
48A 投光器
48B 受光器
49 残渣検出部
49A 投光器
49B 受光器
50 制御部
60 残渣回収装置
61 搬送部
61A 下面
61B 押し出し面
62 駆動部
63 残渣受け
63A 搬送面
63B Y側端面
70 残渣回収装置
71 搬送部
71A スクリュー羽根
71B ケーシング
71B-1 入口
71B-2 排出口
72 駆動部
C シート
R 外側の領域
図1
図2
図3
図4
図5