(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009353
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20250110BHJP
A47L 9/24 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
A47L9/28 P ZAB
A47L9/24 C ZBP
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112301
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 啓太
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057BA01
3B057DE02
3B057DE06
(57)【要約】
【課題】コストをかけずに環境問題を改善する掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機は、塵埃を吸い取る掃除機本体と、掃除機本体に設けられ、塵埃を集める生分解性プラスチックの集塵部と、掃除機本体に設けられ、内部を通過する塵埃を集塵部に送る生分解性プラスチックのパイプ部と、パイプ部の先端に設けられ、清掃対象に存在する塵埃を吸い込む生分解性プラスチックのヘッド部と、使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、集塵部、パイプ部及びヘッド部の交換を促すよう発報する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸い取る掃除機本体と、
前記掃除機本体に設けられ、塵埃を集める生分解性プラスチックの集塵部と、
前記掃除機本体に設けられ、内部を通過する塵埃を前記集塵部に送る生分解性プラスチックのパイプ部と、
前記パイプ部の先端に設けられ、清掃対象に存在する塵埃を吸い込む生分解性プラスチックのヘッド部と、
使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、前記集塵部、前記パイプ部及び前記ヘッド部の交換を促すよう発報する制御部と、
を備える掃除機。
【請求項2】
前記パイプ部及び前記ヘッド部のうち少なくとも1つに設けられ、前記パイプ部又は前記ヘッド部に外力が加わった回数を測定するセンサを更に備え、
前記制御部は、
前記センサによって測定された回数に基づいて、前記利用許容期間を更新する
請求項1記載の掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、
発報後に、前記掃除機本体の動作を停止するよう制御する
請求項1又は2記載の掃除機。
【請求項4】
前記ヘッド部は、前記制御部に使用開始情報を送信する信号基板を有し、
前記制御部は、前記信号基板から使用開始情報が送信された場合、前記使用開始情報に基づいて、使用開始時を決定する
請求項1又は2記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御部を備える掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御部を備える掃除機が知られている。特許文献1には、吸引風を発生させるファンモータと、ファンモータを内蔵する本体と、本体と着脱自在に接続されるホースと、故障判別スイッチと、本体の動作を制御する制御部とを備える電気掃除機が開示されている。制御部は、本体に信号を送信するホース信号送信手段と、本体に設けられ、信号を判別する信号判別手段と、判別手段が判別する信号区分によって故障を判断する故障判別手段と、故障判別手段が判別する故障を報知する報知手段とからなる。
【0003】
そして、ホースが本体に接続された状態で、運転中に本体が動かなくなって故障判別スイッチが操作された場合、故障判別手段は、信号判別手段によって判別される信号区分が、予め定めたホースの正常区分内にあるか否かを判別する。故障判別手段は、正常区分にある場合には、本体に故障があると判断し、正常区分にない場合、ホースに故障が有ると判断して、報知手段が報知を行う。
【0004】
これにより、特許文献1は、ホース又は本体のいずれが故障しているかを判断している。掃除機が故障したときには使用者が簡単な操作を行って、その結果をサービスセンターに伝え、サービスセンターは故障箇所を直ちに特定する。そして、サービスセンターが代替部品を使用者に発送することによって、使用者が故障した部品を代替部品に交換する。このため、掃除機が故障した場合、掃除機一式を回収して、サービスセンターに故障箇所を判断してもらう必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された電気掃除機は、環境に配慮されていない。特許文献1に開示されたような電気掃除機に使用されるプラスチック材は、主に、製品廃棄時において、環境に悪影響を及ぼす可能性がある。プラスチック材を廃棄せずにリサイクルする方法も考えられるが、概して、汚れたプラスチック材をリサイクルする際には、プラスチック材を洗浄して汚れを落とす必要がある。このため、リサイクルするよりも廃棄する方が低コストになる場合がある。このように、コストをかけずに環境問題を改善する掃除機が望まれている。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、コストをかけずに環境問題を改善する掃除機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る掃除機は、塵埃を吸い取る掃除機本体と、掃除機本体に設けられ、塵埃を集める生分解性プラスチックの集塵部と、掃除機本体に設けられ、内部を通過する塵埃を集塵部に送る生分解性プラスチックのパイプ部と、パイプ部の先端に設けられ、清掃対象に存在する塵埃を吸い込む生分解性プラスチックのヘッド部と、使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、集塵部、パイプ部及びヘッド部の交換を促すよう発報する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、制御部が、使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、生分解性プラスチックの集塵部、パイプ部及びヘッド部の交換を促すよう発報する。生分解性プラスチックは、微生物による分解の作用に応答して性質が変化するものである。集塵部、パイプ部及びヘッド部の交換を促すよう発報された場合、交換対象の集塵部、パイプ部及びヘッド部は回収され、代わりに新しい集塵部、パイプ部及びヘッド部が供給される。そして、回収された集塵部、パイプ部及びヘッド部は、例えば専用の施設にて分解処理される。このように、通常のプラスチックが使用されるよりも、コストをかけずに環境問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る掃除機を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る掃除機の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態及びその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、図中同一又は相当部分については、同一符号を付して、その説明は原則として繰り返さない。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る掃除機1を示す模式図である。掃除機1は、部屋の床等の清掃対象に存在する塵埃等を除去するものである。掃除機1の種類として、キャニスター型及びスティック型等が挙げられる。キャニスター型は、車輪が設けられた掃除機本体2が床に置かれ、パイプ部4及びヘッド部5を操作して掃除が行われるものである。スティック型は、掃除機本体2、パイプ部4及びヘッド部5が直線的に接続されたものである。本実施の形態1に係る掃除機1は、スティック型について例示しているが、キャニスター型に適用することも可能である。
図1に示すように、掃除機1は、掃除機本体2と、集塵部3と、パイプ部4と、ヘッド部5と、センサ7と、制御部6とを備えている。
【0013】
(掃除機本体2)
掃除機本体2は、床等に存在する塵埃を除去するものであり、長手方向に延びる円筒状をなしている。
【0014】
(集塵部3)
集塵部3は、掃除機本体2に設けられ、塵埃を集める有底円筒状の部材である。集塵部3は、掃除機本体2の長手方向における一端部側に設けられる。集塵部3は、生分解性プラスチックからなる。
【0015】
(パイプ部4)
パイプ部4は、掃除機本体2に設けられ、内部を通過する塵埃を集塵部3に送る長手方向に延びる円筒状の部材である。パイプ部4は、掃除機本体2の長手方向における集塵部3が設けられた側とは反対側の他端部側に基端が設けられる。パイプ部4は、生分解性プラスチックからなる。
【0016】
(ヘッド部5)
ヘッド部5は、パイプ部4の先端に設けられ、清掃対象である床等に存在する塵埃を吸い込む円盤状の部材である。円盤状のヘッド部5の一面が清掃対象に沿って移動することによって、清掃対象に存在する塵埃がヘッド部5の内部に吸い込まれる。ヘッド部5の内部に吸い込まれた塵埃は、ヘッド部5からパイプ部4に移動する。パイプ部4に移動した塵埃は、そのままパイプ部4内部を通過して、集塵部3に至る。集塵部3に至った塵埃は、集塵部3内に溜まり、集塵部3内に蓄積される。集塵部3内に塵埃がある程度蓄積された後、使用者によって集塵部3内の塵埃が廃棄される。ヘッド部5は、生分解性プラスチックからなる。ヘッド部5は、制御部6に使用開始情報を送る信号基板8を有している。使用開始情報とは、例えばヘッド部5が新品に交換されたことを示す情報である。
【0017】
(センサ7)
センサ7は、パイプ部4及びヘッド部5のうち少なくとも1つに設けられ、パイプ部4又はヘッド部5に外力が加わった回数を測定するものである。
【0018】
(制御部6)
制御部6は、掃除機本体2に設けられており、掃除機1の動作を制御するものである。ここで、制御部6のハードウェア構成について説明する。制御部6は処理回路から構成される。処理回路は、専用のハードウェア、又は、プロセッサから構成される。専用のハードウェアは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等である。プロセッサは、メモリに記憶されるプログラムを実行する。制御部6は、図示しないメモリを有している。メモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、もしくは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等のディスクである。
【0019】
制御部6は、使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5の交換を促すよう発報する。ここで、利用許容期間とは、一般的な家庭において掃除機1が使用された際に、部品の洗浄が必要と考えられる期間である。利用許容期間は、通常の使用にて想定される発生応力及び熱等のストレスに対して十分な強度を保つことができる期間である。また、制御部6は、センサ7によって測定された回数に基づいて、利用許容期間を更新することもできる。パイプ部4又はヘッド部5に外力が加わった回数が、通常の使用で外力が加わったと想定される回数を上回る場合、利用許容期間が早まる。
【0020】
また、制御部6は、発報後に、掃除機本体2の動作を停止するよう制御する。これにより、集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5が破損することを抑制することができる。そして、制御部6は、信号基板8から使用開始情報が送信された場合、使用開始情報に基づいて、使用開始時を決定する。これにより、利用許容期間が満了するまでのカウントが新たに開始される。
【0021】
(掃除機1の部品交換)
次に、掃除機1の部品交換について説明する。利用許容期間が終了するタイミングで、新しい集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5が提供側から使用者側に送付される。使用者は、それまで使用していた集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5を、提供側に返送する。ここで、ヘッド部5の信号基板8から制御部6に使用開始情報が送信される。制御部6は、信号基板8から使用開始情報が送信された場合、使用開始情報に基づいて、使用開始時を決定する。
【0022】
本実施の形態1によれば、制御部6が、使用開始時から予め定められた期間を過ぎた場合、生分解性プラスチックの集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5の交換を促すよう発報する。生分解性プラスチックは、微生物による分解の作用に応答して性質が変化するものである。集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5の交換を促すよう発報された場合、交換対象の集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5は回収され、代わりに新しい集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5が供給される。そして、回収された集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5は、例えば専用の施設にて分解処理される。このように、通常のプラスチックが使用されるよりも、コストをかけずに環境問題を改善することができる。また、掃除機1は、パイプ部4及びヘッド部5のうち少なくとも1つに設けられ、パイプ部4又はヘッド部5に外力が加わった回数を測定するセンサ7を更に備え、制御部6は、センサ7によって測定された回数に基づいて、利用許容期間を更新する。このため、インターネット環境が整っていない場所においても、利用許容期間を管理することができる。
【0023】
従来、電気掃除機に使用されるプラスチック材には、主に、製品廃棄時において、環境に悪影響を及ぼす可能性がある。プラスチック材を廃棄せずにリサイクルする方法も考えられるが、概して、汚れたプラスチック材をリサイクルする際には、プラスチック材を洗浄して汚れを落とす必要がある。このため、リサイクルするよりも廃棄する方が低コストになる場合がある。これに対し、本実施の形態1では、生分解性プラスチックが使用されており、環境に悪影響を及ぼすことなく廃棄することができるため、部品の洗浄が不要である。
【0024】
ここで、ヘッド部5は、制御部6に使用開始情報を送信する信号基板8を有し、制御部6は、信号基板8から使用開始情報が送信された場合、使用開始情報に基づいて、使用開始時を決定する。これにより、掃除機1そのものにおいて使用される期間を管理することができるため、使用者が期間を管理する必要がない。また、制御部6は、発報後に、掃除機本体2の動作を停止するよう制御する。このため、利用許容期間外における掃除機1の使用を抑制することができる。
【0025】
本実施の形態1における掃除機1は、サブスクリプション契約によって使用者が使用することも可能である。利用許容期間は、設計された性能を満たす強度が保たれる期間として設定される。利用許容期間が終了するタイミングで、新しい集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5が提供側から使用者側に送付される。使用者は、それまで使用していた集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5を、提供側に返送する。返送された集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5は、コンポスト(高温多湿)環境下において分解処理されることによって、従来のプラスチック製品で生じ得る環境負荷が低減される。このように、一定のサイクルにおいて集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5が回収されて新品と交換されることによって、使用者が集塵部3、パイプ部4及びヘッド部5を清掃する手間が省ける。なお、サブスプリクション契約が満了すると、掃除機1の機能が停止するようプログラムが施されており、一定の期間以上使用することができないように制御することもできる。
【0026】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
[付記1]
塵埃を吸い取る掃除機本体と、
前記掃除機本体に設けられ、塵埃を集める生分解性プラスチックの集塵部と、
前記掃除機本体に設けられ、内部を通過する塵埃を前記集塵部に送る生分解性プラスチックのパイプ部と、
前記パイプ部の先端に設けられ、清掃対象に存在する塵埃を吸い込む生分解性プラスチックのヘッド部と、
使用開始時から予め定められた利用許容期間を過ぎた場合、前記集塵部、前記パイプ部及び前記ヘッド部の交換を促すよう発報する制御部と、
を備える掃除機。
[付記2]
前記パイプ部及び前記ヘッド部のうち少なくとも1つに設けられ、前記パイプ部又は前記ヘッド部に外力が加わった回数を測定するセンサを更に備え、
前記制御部は、
前記センサによって測定された回数に基づいて、前記利用許容期間を更新する
付記1記載の掃除機。
[付記3]
前記制御部は、
発報後に、前記掃除機本体の動作を停止するよう制御する
付記1又は2記載の掃除機。
[付記4]
前記ヘッド部は、前記制御部に使用開始情報を送信する信号基板を有し、
前記制御部は、前記信号基板から使用開始情報が送信された場合、前記使用開始情報に基づいて、使用開始時を決定する
付記1~3のいずれか1つに記載の掃除機。
【符号の説明】
【0027】
1 掃除機、2 掃除機本体、3 集塵部、4 パイプ部、5 ヘッド部、6 制御部、7 センサ、8 信号基板。