(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009366
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112325
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】田村 暢康
(72)【発明者】
【氏名】束村 慎一
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正泰
(72)【発明者】
【氏名】藤光 遼
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA35
2H270LA19
2H270LA20
2H270LA22
2H270LD03
2H270LD08
2H270MB29
2H270NE17
2H270RA11
2H270RA12
2H270RA14
2H270RB04
2H270RB05
2H270RB09
2H270RC02
2H270RC03
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】対象物の状態を判定する時間と手間を削減できるようにする。
【解決手段】画像形成システム1は、記録媒体(用紙)に画像を形成する画像形成部13を構成する一要素であって、印刷ジョブに基づく画像の形成に関する動作中に主走査方向に移動する対象物と、前記動作中における前記対象物の主走査方向の位置情報を取得する取得部(制御部11)と、前記動作により形成された前記記録媒体上の画像を読み取る読取部(出力画像読取部14)と、前記取得部により取得された前記位置情報、及び前記読取部により読み取られた読取画像データに基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部(制御部11)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を構成する一要素であって、印刷ジョブに基づく画像の形成に関する動作中に主走査方向に移動する対象物と、
前記動作中における前記対象物の主走査方向の位置情報を取得する取得部と、
前記動作により形成された前記記録媒体上の画像を読み取る読取部と、
前記取得部により取得された前記位置情報、及び前記読取部により読み取られた読取画像データに基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部と、
を備える画像形成システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量に基づいて、前記対象物の状態を判定する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向に基づいて、前記対象物の状態を判定する請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
複数の前記対象物と、
各対象物の主走査方向における移動方向または移動量を異ならせる制御部と、
を備える請求項2または3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記動作中の2つ以上の前記対象物の主走査方向における前記移動方向及び前記移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向及び移動量との相関係数が所定値以上である場合に、前記2つ以上の対象物の移動方向または移動量を異ならせる請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記2つ以上の対象物の移動速度を制御して前記移動量を異ならせる請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記2つ以上の対象物のそれぞれの移動方向における移動可能な距離に基づいて、前記2つ以上の対象物のうちの前記移動方向または前記移動量を変更する対象物を決定する請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量との相関係数が所定値以上である場合に、前記対象物が不良であると判定する請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向とが一致する場合に、前記対象物が不良であると判定する請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記判定部により不良と判定された前記対象物を報知する報知部を備える請求項8または9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記報知部は、不良と判定された前記対象物の交換を促す請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記対象物は、定着ユニット、定着部材、二次転写ユニット、二次転写部材、中間転写ユニット、中間転写部材、及び感光体のうち少なくともいずれか一つである請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記対象物は、揺動またはステアリング動作により主走査方向に移動する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記読取画像における注目箇所は、前記記録媒体の搬送方向に延びたスジ状の画像不良である請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記画像形成部及び前記読取部が一体的に構成された請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記画像形成部と前記読取部とが別体、且つ通信可能に構成された請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式により用紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。当該画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する。次いで、画像形成装置は、転写部にてトナー像を用紙に転写する。その後、画像形成装置は、定着部にてトナー像を定着する。
ここで、当該感光体、転写部及び定着部に傷、異物の付着等が生じると、形成される画像の副走査方向に沿ってスジ状の濃度ムラ等の画像不良が発生する原因となる。
【0003】
これに関連して、特許文献1は、定着部を主走査方向に揺動することにより用紙通過の際の用紙エッジによる定着部における傷の発生を抑制する画像形成装置を開示する。
【0004】
特許文献2は、次の画像形成装置を開示する。具体的には、装置を構成するユニットをそれぞれ主走査方向に移動させ、移動させる前と後での濃度ムラの位置変化量から濃度ムラの原因であるユニットを特定する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-29850号公報
【特許文献2】特開2014-215591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の発明では、印刷ジョブの画像形成を行う通常の画像形成モードとは異なる異常個所特定モードにおいて濃度ムラの原因であるユニットを特定している。換言すれば、特許文献2に記載の発明では、異常個所特定モードにおいてユニットの状態を判定している。したがって、ユニットである対象物の状態を判定するために、通常の画像形成モードの他に異常個所特定モードを実行しなければならず、時間と手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、対象物の状態を判定する時間と手間を削減できる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成システムは、
記録媒体に画像を形成する画像形成部を構成する一要素であって、印刷ジョブに基づく画像の形成に関する動作中に主走査方向に移動する対象物と、
前記動作中における前記対象物の主走査方向の位置情報を取得する取得部と、
前記動作により形成された前記記録媒体上の画像を読み取る読取部と、
前記取得部により取得された前記位置情報、及び前記読取部により読み取られた読取画像データに基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量に基づいて、前記対象物の状態を判定する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向に基づいて、前記対象物の状態を判定する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の画像形成システムにおいて、
複数の前記対象物と、
各対象物の主走査方向における移動方向または移動量を異ならせる制御部と、
を備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記動作中の2つ以上の前記対象物の主走査方向における前記移動方向及び前記移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向及び移動量との相関係数が所定値以上である場合に、前記2つ以上の対象物の移動方向または移動量を異ならせる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記2つ以上の対象物の移動速度を制御して前記移動量を異ならせる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記制御部は、前記2つ以上の対象物のそれぞれの移動方向における移動可能な距離に基づいて、前記2つ以上の対象物のうちの前記移動方向または前記移動量を変更する対象物を決定する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量との相関係数が所定値以上である場合に、前記対象物が不良であると判定する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向とが一致する場合に、前記対象物が不良であると判定する。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部により不良と判定された前記対象物を報知する報知部を備える。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成システムにおいて、
前記報知部は、不良と判定された前記対象物の交換を促す。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記対象物は、定着ユニット、定着部材、二次転写ユニット、二次転写部材、中間転写ユニット、中間転写部材、及び感光体のうち少なくともいずれか一つである。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記対象物は、揺動またはステアリング動作により主走査方向に移動する。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記読取画像における注目箇所は、前記記録媒体の搬送方向に延びたスジ状の画像不良である。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部及び前記読取部が一体的に構成されている。
【0023】
請求項16に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部と前記読取部とが別体、且つ通信可能に構成されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、対象物の状態を判定する時間と手間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図3】判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】入力画像と読取画像との画像差の一例を示す図である。
【
図5A】入力画像と読取画像における濃度差の一例を示す図である。
【
図6】各対象物の主走査方向における位置情報及び各画像差の主走査方向における位置情報の一例を示す図である。
【
図7】時間と、対象物の主走査方向における位置情報及び各画像差の主走査方向における位置情報との関係の一例を示す図である。
【
図8】対象物の主走査方向における位置情報と、画像不良の主走査方向における位置情報との関係の一例を示す図である。
【
図9】変形例の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】変形例の対象物の主走査方向における位置情報と、画像不良の主走査方向における位置情報との関係の一例を示す図である。
【
図11】対象物の主走査方向における揺動またはステアリング動作における移動可能位置の一例を示す図である。
【
図12】対象物の主走査方向における揺動またはステアリング動作における移動可能位置の一例を示す図である。
【
図13】変形例の対象物の主走査方向における位置情報と、画像不良の主走査方向における位置情報との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0027】
(1.画像形成装置の構成)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置10を備える。
【0028】
画像形成装置10は、制御部11と、操作表示部12と、画像形成部13と、出力画像読取部14と、通信部15と、給紙部16と、搬送部17と、原稿読取部18と、記憶部19と、駆動部20を備える。
【0029】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。
CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開する。次に、CPUは、展開したプログラムと協働して画像形成装置10の各ブロックの動作を集中制御する。
【0030】
操作表示部12は、表示部12aと、操作部12bと、を備える。
表示部12aは、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
操作部12bは、各種機能キーや、表示部12aの表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルを備え、ユーザーからの各種操作を受け付ける。
【0031】
画像形成部13は、搬送部17により搬送されている用紙に対して、電子写真方式により画像を形成する。
画像形成部13は、感光体ドラム131Y,131M,131C,131K、中間転写ユニット132、二次転写ユニット133、定着ユニット134、反転経路135、レジスト部136等を備える。
【0032】
感光体ドラム131Y,131M,131C,131Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体である。
感光体は、所定の位置から画像の主走査方向上で移動できるように画像形成装置10内に保持されている。当該主走査方向は、用紙の搬送方向と直交する方向である。
画像形成部13は、感光体を主走査方向上で移動させるための不図示のステッピングモーター等を備える。
【0033】
画像形成部13は、感光体ドラム131Yを一様に帯電した後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光し、静電潜像を形成する。次に、画像形成部13は、感光体ドラム131Y上の静電潜像にイエロー色のトナーを付着させ、現像を行う。
感光体ドラム131M,131C,131Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム131Yと同様であるため、説明を省略する。
【0034】
画像形成部13は、感光体ドラム131Y,131M,131C,131K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ユニット132により逐次転写する(一次転写)。
中間転写ユニット132は、無端状に形成された中間転写ベルト132a(中間転写部材)を備える。中間転写ベルト132aは、不図示の駆動モーターによって感光体ドラム131Y,131M,131C,131Kの回転方向とは逆方向に回転する。
中間転写ユニット132は、中間転写ベルト132aにおける感光体ドラム131Y,131M,131C,131Kと対向する位置に、不図示の一次転写部を備える。画像形成部13は、中間転写ベルト132aにトナーと反対の極性を印加させることで、感光体ドラム131Y,131M,131C,131K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト132aに転写させる。すなわち、画像形成部13は、中間転写ベルト132a上に、4色のトナー像を重ね合わせたカラートナー像を形成する。
中間転写ユニット132、及び中間転写ベルト132aは、所定の位置から画像の主走査方向上で移動できるように画像形成装置10内に保持されている。
画像形成部13は、中間転写ユニット132、または中間転写ベルト132aを主走査方向上で移動させるための不図示のステッピングモーター等を備える。
【0035】
画像形成部13は、中間転写ベルト132a上のカラートナー像を、二次転写ユニット133により、用紙上に一括して転写する(二次転写)。
二次転写ユニット133は、給紙部16から搬送されてきた用紙を中間転写ベルト132a側に押圧する二次転写ローラー133a(二次転写部材)を備える。
二次転写ユニット133、及び二次転写ローラー133aは、所定の位置から画像の主走査方向上で移動できるように画像形成装置10内に保持されている。
画像形成部13は、二次転写ユニット133、または二次転写ローラー133aを主走査方向上で移動させるための不図示のステッピングモーター等を備える。
【0036】
定着ユニット134は、トナー像が転写された用紙を定着ニップで加熱及び加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。
定着ユニット134は、加熱ローラー134aと、上加圧ローラー134bと、定着ベルト134c(定着部材)と、下加圧ローラー134dを備える。
【0037】
加熱ローラー134aは、内部に加熱源を有する。
定着ベルト134cは、加熱ローラー134aと上加圧ローラー134bとの間に架け渡される無端状のベルトである。
上加圧ローラー134b及び下加圧ローラー134dは、図示しないモーターの駆動により回転する。
加熱ローラー134a及び定着ベルト134cは、上加圧ローラー134bに従動して回転する。
上加圧ローラー134bと下加圧ローラー134dは、定着ベルト134cを介して圧接することにより、用紙を挟持して搬送する定着ニップを形成する。
定着ユニット134は、加熱源によって加熱された状態の定着ベルト134cと下加圧ローラー134dによる定着ニップに用紙を通過させる。定着ユニット134は、用紙を加熱及び加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。
定着ユニット134、及び定着ベルト134cは、所定の位置から画像の主走査方向上で移動できるように画像形成装置10内に保持されている。
画像形成部13は、定着ユニット134、または定着ベルト134cを主走査方向上で移動させるための不図示のステッピングモーター等を備える。
【0038】
以下、感光体、中間転写ユニット132、中間転写部材、二次転写ユニット133、二次転写部材、定着ユニット134及び定着部材を対象物とも表記する。
当該対象物は、用紙(記録媒体)に画像を形成する画像形成部13を構成する一要素であって、印刷ジョブに基づく画像の形成に関する動作(画像形成動作)中に主走査方向に移動する。
【0039】
画像形成装置10において用紙の片面に画像を形成する片面印刷の場合、制御部11は、用紙を定着ユニット134から出力画像読取部14に搬送する。
一方、用紙の両面に画像を形成する両面印刷の場合、制御部11は、用紙を定着ユニット134から反転経路135に搬送して、用紙面を反転する。次に、制御部11は、用紙を用紙搬送方向においてレジスト部136より上流側に再度給紙する。
【0040】
レジスト部136は、レジストローラーを備え、転写部に用紙を搬送する。
レジスト部136は、給紙部16から搬送された用紙の傾きを補正するとともに、用紙の搬送タイミングを調整する。
【0041】
出力画像読取部14は、用紙搬送経路上の画像形成部13より下流に設けられる。
出力画像読取部14は、用紙に対して画像形成部13により画像が形成された印刷物を読み取り、読取画像データを生成する。出力画像読取部14は、読取結果(読取画像データ)を制御部11に出力する。
出力画像読取部14は、光源から射出され用紙の表面で反射した光を受光素子で受光し、光の強度に応じた赤、緑、青の信号を出力するカラーセンサーである。出力画像読取部14は、例えば、複数の受光素子が用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に所定の間隔で配置されたラインセンサーを備える。
【0042】
通信部15は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等の外部装置との間でデータの送受信を行う。通信部15は、例えば、外部装置から印刷用の画像データを含むジョブを受信する。
【0043】
給紙部16は、給紙トレイT1を備え、給紙トレイT1から画像形成部13に用紙を給紙する。各給紙トレイT1には、給紙トレイT1ごとに、予め定められた紙種、サイズ等の用紙が収納されている。
【0044】
搬送部17は、用紙の搬送機構である。搬送部17は、複数のローラー対を備え、給紙部16から給紙された用紙を画像形成部13へ搬送する。次に、搬送部17は、画像形成部13を通過した用紙を出力画像読取部14に搬送する。次に、搬送部17は、出力画像読取部14を通過した用紙を排紙トレイT2に排紙する。
【0045】
原稿読取部18は、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)、スキャナー等を備える。
原稿読取部18は、原稿の画像を読み取って得られた画像データを制御部11に出力する。
【0046】
記憶部19は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(フラッシュメモリ等)、ハードディスクドライブ等を備える。
記憶部19には、入力された原稿データ、各種設定情報、画像データ等が記憶される。これらのデータ等は制御部11のRAMに記憶されても良い。
【0047】
駆動部20は、上述の対象物をそれぞれ画像の主走査方向上で移動させるステッピングモーター等を駆動する。
【0048】
(2.縦スジ状の画像不良)
画像形成装置10の画像形成部13により用紙上に形成した画像において副走査方向に沿った縦スジ状の画像不良(濃度ムラ、光沢ムラ等)が発生する場合がある。以下、縦スジ状の画像不良を縦スジと表記する。
上述の対象物における不良は、当該縦スジの要因になる可能性がある。
【0049】
画像形成部13は、感光体から中間転写ベルト132aにトナー像が一次転写された後、感光体に残留したトナーを不図示のクリーニングブレードより除去する。この際に、感光体が他の部材との意図しない接触やクリーニングブレードに挟まった異物等によって傷つくと、感光体の傷ついた部分にトナーが付着しなくなる。これにより、画像の副走査方向に沿って白っぽいスジ状の濃度ムラが発生する。
【0050】
中間転写ユニット132は、中間転写ベルト132aから用紙にトナー像が二次転写された後、中間転写ベルト132aに残留したトナーを不図示のクリーニングブレードにより除去する。この際に、中間転写ベルト132aの周上に他の部材との意図しない接触や異物等によって傷が生じると、画像の副走査方向に沿ってスジ状の濃度ムラが発生する。
【0051】
二次転写ユニット133は、二次転写ローラー133aにより中間転写ベルト132aから用紙にトナー像を転写した後、二次転写ローラー133aに残留したトナーを不図示のクリーニングブレードにより除去する。この際、二次転写ローラー133aに異物が付着すると、転写ムラが生じ、画像の副走査方向に沿ってスジ状の濃度ムラが発生する。
【0052】
定着ユニット134において、サイズの小さい用紙(例えば葉書)のエッジ部分との接触により定着ベルト134cの周上に傷が生じた場合を説明する。この場合、その後サイズの大きい用紙(例えばA3ワイド紙)が定着ベルト134cを通過する際に定着ムラが生じる。この定着ムラにより画像の副走査方向に沿ってスジ状の濃度ムラが発生する。
【0053】
(3.画像形成装置の動作)
次に、本実施形態の画像形成装置10における動作を説明する。
【0054】
(3-1.揺動及びステアリング動作)
制御部11は、画像形成部13による画像形成中に上述の対象物を揺動またはステアリング動作させる。具体的に、制御部11は、画像形成中に感光体、中間転写ユニット132全体、二次転写ユニット133全体及び/または定着ユニット134全体を揺動させる。制御部11は、画像形成中に中間転写ベルト132a、二次転写ローラー133a及び/または定着ベルト134cをステアリング動作させる。
【0055】
制御部11は、感光体を揺動させることにより、クリーニングブレードで感光体上の残留トナーを除去する際に、感光体を傷付けることを軽減する。
【0056】
制御部11は、中間転写ユニット132全体を揺動させる、または、中間転写ベルト132aをステアリング動作させる。これにより、クリーニングブレードで中間転写ベルト132a上の残留トナーを除去する際に、中間転写ベルト132aを傷付けることを軽減する。
【0057】
制御部11は、二次転写ユニット133全体を揺動させる、または、二次転写ローラー133aをステアリング動作させる。これにより、クリーニングブレードで二次転写ローラー133a上の残留トナーを除去する際に、二次転写ローラー133aに異物が付着すること及び二次転写ローラー133aを傷付けることを軽減する。
【0058】
制御部11は、定着ユニット134全体を揺動させる、または、定着ベルト134cをステアリング動作させる。これにより、サイズの小さい用紙(例えば葉書)のエッジ部分との接触により定着ベルト134cの周上に傷が生じることを軽減する。
【0059】
(3-2.判定処理)
次に、画像形成装置10が印刷ジョブを実行中に実行する判定処理を説明する。
制御部11は、記憶部19に記憶されているプログラムと協働して判定処理を実行する。
制御部11は、判定処理を、例えば、通信部15を介して外部装置等から印刷ジョブのジョブ情報を受信した際に実行する。当該外部装置は、例えばパーソナルコンピューターである。
図3に、判定処理のフローチャートを示す。
【0060】
制御部11は、印刷ジョブを実行し、画像形成部13による画像形成動作を開始する(ステップS1)。ステップS1において、制御部11は、各対象物の主走査方向に移動する揺動またはステアリング動作を開始する。
【0061】
次に、制御部11は、画像形成動作中の各対象物の主走査方向における位置情報を取得する(ステップS2)。
つまり、制御部11は、画像の形成に関する動作中における対象物の主走査方向の位置情報を取得する。制御部11は、取得部として機能する。
ステップS2において、例えば、制御部11は、各対象物の位置を検出する位置検出センサーから対象物の位置情報を取得する。または、制御部11は、各対象物を移動させる移動指令信号からの位置情報を取得してもよい。
【0062】
次に、制御部11は、画像形成部13による画像形成動作により画像が形成された用紙面を出力画像読取部14により読み取らせ、読取画像データを取得する(ステップS3)。
つまり、出力画像読取部14は、画像の形成に関する動作により形成された用紙(記録媒体)上の画像を読み取る。出力画像読取部14は、読取部として機能する。
【0063】
次に、制御部11は、印刷ジョブの入力画像と、ステップS3で取得した読取画像とを比較する。次に、制御部11は、入力画像と読取画像との画像差はあるか否か、つまり画像不良は発生しているか否かを判断する(ステップS4)。当該入力画像と読取画像との画像差のある箇所は、読取画像における注目箇所である。
制御部11が、画像形成部13による画像形成動作により予め定められた画像を出力する場合を説明する。この場合、ステップS4において、制御部11は、当該予め定められた画像及び読取画像に基づいて、画像不良は発生しているか否かを判断してもよい。この場合、予め定められた画像と読取画像との画像差のある箇所は、読取画像における注目箇所である。
【0064】
図4に、入力画像と読取画像との画像差の一例を示す。
制御部11は、
図4に示すように、読取画像から入力画像を差し引いて、入力画像と読取画像との画像差を取得する。
図4に示す例において、画像差は、スジ、濃度差、及び位置ずれである。
図4に示す濃度差及び位置ずれは、不具合ではない画像差を含む場合がある。
【0065】
制御部11は、
図4に示す濃度差において、不具合ではない濃度差を排除する。
具体的には、制御部11は、
図5Aに示すように読取画像において画像領域を分割し、濃度差が検出された領域R1の平均濃度を算出する。次に、制御部11は、濃度差が検出された領域R1から、算出した平均濃度部分を差し引く。
図5Bに、濃度差を検出した領域R1から、算出した平均濃度部分を差し引いた領域R2を示す。
制御部11は、領域R2を不具合である濃度差が検出された領域とする。
【0066】
図4に示す位置ずれが読取画像の全体で発生している場合、制御部11は、読取画像において当該位置ずれを補正する。次に、制御部11は、入力画像と、補正後の読取画像とを比較することで、不具合ではない位置ずれを排除する。
【0067】
図3に戻り、画像不良が発生している場合(ステップS4;YES)、制御部11は、入力画像と読取画像との画像差の主走査方向における位置情報を取得する(ステップS5)。
【0068】
図6に、制御部11がステップS2で取得した各対象物の主走査方向における位置情報、及びステップS5で取得した各画像差の主走査方向における位置情報の一例を示す。
図6に示す例において、読取画像において縦スジAが発生している。画像差の位置情報におけるYa1・・・は、縦スジAの主走査方向における位置情報を示す。画像差の位置情報におけるYb1・・・は、縦スジA以外の画像不良の主走査方向における位置情報を示す。
【0069】
次に、制御部11は、ステップS4で判断した画像不良において縦スジは発生しているか否かを判断する(ステップS6)。当該縦スジは、用紙上の画像における副走査方向に沿ったスジ状の濃度ムラである。当該縦スジは、隣接する部分よりもトナー濃度の濃い黒っぽいスジ状の濃度ムラ、又は隣接する部分よりもトナー濃度の薄い白っぽいスジ状の濃度ムラである。
【0070】
縦スジが発生している場合(ステップS6;YES)、制御部11は、縦スジの要因である対象物を特定する。次に、制御部11は、特定した当該対象物は不良であると判定する(ステップS7)。
ステップS7において、制御部11は、各対象物の主走査方向における位置情報のうち、縦スジの主走査方向における位置情報と相関がある位置情報を特定する。次に、制御部11は、特定した位置情報を示す対象物を、縦スジの要因である対象物として特定する。
例えば、制御部11は、対象物の主走査方向における位置情報と、縦スジの主走査方向における位置情報との相関係数が97%以上である場合、相関があるとする。相関係数における閾値はこれに限らず、画像差(画像不良)の種類ごとに定められてもよい。
【0071】
図7に、画像形成動作中の対象物Aaの主走査方向における位置情報及び各画像差の主走査方向における位置情報と、時間との関係の一例を示す。
図7に示す例において、各画像差は、縦スジA、及び画像不良B~Eである。
図8に、画像形成動作中の対象物Aaの主走査方向における位置情報と、縦スジAの主走査方向における位置情報との関係の一例を示す。
図7、
図8に示す例おいて、対象物Aaは定着ユニット134である。
画像形成動作中の縦スジAの主走査方向における位置情報と、対象物Aa(定着ユニット134)の主走査方向における位置情報との相関係数が97%以上である場合を説明する。この場合、制御部11は、縦スジAの主走査方向における位置情報と、対象物Aa(定着ユニット134)の主走査方向における位置情報は相関があると判定する。つまり、制御部11は、縦スジAの要因である対象物は、対象物Aa(定着ユニット134)であると特定する。
【0072】
ステップS7において、制御部11は、取得された主走査方向における位置情報が3点未満である画像差(画像不良)については、画像不良の要因である対象物を特定しないとしてもよい。画像差(画像不良)の位置情報の点数おける閾値はこれに限らず、画像差(画像不良)の種類ごとに定められてもよい。
【0073】
ステップS7において、制御部11は、取得部として取得した対象物の主走査方向の位置情報、及び出力画像読取部14により読み取った読取画像データに基づいて、対象物の状態を判定する。制御部11は、判定部として機能する。
当該対象物の状態の判定は、対象物が不良であり、画像不良の要因になっているか否かである。
【0074】
制御部11がステップS2で取得した画像形成動作中の各対象物の主走査方向における位置情報は、画像形成動作中の対象物の主走査方向における移動量を含む。
制御部11がステップS5で取得した入力画像と読取画像との画像差の主走査方向における位置情報は、画像形成動作中の読取画像と入力画像との画像差の主走査方向における移動量を含む。
つまり、判定部としての制御部11は、画像の形成に関する動作中の対象物の主走査方向における移動量、及び前記動作中の読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量に基づいて、対象物の状態を判定する。
【0075】
制御部11がステップS2で取得した画像形成動作中の各対象物の主走査方向における位置情報は、画像形成動作中の対象物の主走査方向における移動方向を含む。
制御部11がステップS5で取得した入力画像と読取画像との画像差の主走査方向における位置情報は、画像形成動作中の読取画像と入力画像との画像差の主走査方向における移動方向を含む。
つまり、判定部としての制御部11は、画像の形成に関する動作中の対象物の主走査方向における移動方向、及び前記動作中の読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向に基づいて、対象物の状態を判定する。
【0076】
判定部としての制御部11は、画像形成動作中の対象物の主走査方向における移動量と、画像形成動作中の読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量との相関係数が所定値(例えば、97%)以上である場合に、前記対象物が不良であると判定する。
さらに、判定部としての制御部11は、画像形成動作中の対象物の主走査方向における移動方向と、画像形成動作中の読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向とが同一、即ち右方向か左方向か一致する場合に、前記対象物が不良であると判定する。
【0077】
次に、制御部11は、ステップS7で不良であると判定した対象物の交換を促す旨を表示部12aに表示させることでユーザーに報知し(ステップS8)、本処理を終了する。
不良であると判定された対象物が定着ユニット134である場合、ステップS8において、制御部11は、次のメッセージを表示させる。具体的には、「定着ユニットによる画像不良のため、定着ユニットを交換してください」等である。
つまり、制御部11は、判定部として不良と判定した対象物を報知する。制御部11は、報知部として機能する。
報知部としての制御部11は、不良と判定された対象物の交換を促す。
【0078】
縦スジが発生していない場合(ステップS6;NO)、つまり、縦スジ以外の画像不良が発生している場合である。この場合、制御部11は、縦スジ以外の画像不良が発生している旨を表示部12aに表示させ(ステップS9)、本処理を終了する。
【0079】
画像不良が発生していない場合(ステップS4;NO)、制御部11は、画像形成部13による画像形成動作を終了するか否かを判断する(ステップS10)。
画像形成動作を終了しない場合(ステップS10;NO)、制御部11は、本処理をステップS2に移行する。
画像形成動作を終了する場合(ステップS10;YES)、制御部11は、本処理を終了する。
【0080】
上記実施形態において、制御部11が画像形成中に複数のユニットを揺動させる場合を説明する。当該複数のユニットは、感光体、中間転写ユニット132、二次転写ユニット133及び定着ユニット134のうちのいずれか2つ以上である。
この場合、制御部11は、上記判定処理を実行する前に、揺動における各ユニットの移動方向及び/または移動量を異ならせる。これにより、上記判定処理のステップS2で取得する各ユニットの主走査方向における位置情報が同じになることを防ぐことができる。つまり、画像不良の要因である対象物を一つに特定できる。
換言すれば、制御部11は、各対象物の主走査方向における移動方向または移動量を異ならせる。
【0081】
(4.変形例)
次に、上記実施形態の変形例の画像形成装置10について説明する。以下では、上記実施形態と異なる点を主に説明する。
本変形例の画像形成装置10は、上記実施形態の画像形成装置10と同様の構成である。
図9に、本変形例の判定処理のフローチャートを示す。
【0082】
制御部11は、例えば、画像形成中に中間転写ベルト132a、二次転写ローラー133a及び/または定着ベルト134cをステアリング動作させる場合に、本変形例の判定処理を実行する。
【0083】
本変形例において、制御部11は、上記実施形態の判定処理ステップS1~S6と同様のステップS11~S16を実施する。
縦スジが発生している場合(ステップS16;YES)を説明する。この場合、制御部11は、縦スジの主走査方向における位置情報と相関がある対象物の主走査方向における位置情報は2つ以上あるか否かを判断する。つまり、制御部11は、縦スジの要因の候補である対象物が2つ以上あるか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS17において、例えば、制御部11は、縦スジの主走査方向における位置情報との相関係数が97%以上である対象物の主走査方向における位置情報が2つ以上あるか否かを判断する。
【0084】
図10に、縦スジの主走査方向における位置情報と相関がある対象物の主走査方向における位置情報が2つある場合を示す。
図10に示す例において、縦スジAの主走査方向における位置情報Ya1~Ya3は、定着ユニット134の主走査方向における位置情報Xa1~Xa3と相関がある。縦スジAの主走査方向における位置情報Ya1~Ya3は、中間転写ベルト132aの主走査方向における位置情報Xc1~Xc3と相関がある。
【0085】
縦スジの要因の候補である対象物が2つ以上ある場合(ステップS17;YES)を説明する。この場合、制御部11は、縦スジの要因の候補である対象物のうち、いずれか一つの対象物の揺動またはステアリング動作における移動方向、または移動速度を変更する(ステップS18)。
【0086】
ステップS18において、制御部11が縦スジの要因の候補である対象物のうち、いずれか一つの対象物の揺動またはステアリング動作における移動方向を変更する場合を説明する。
ステップS18において、制御部11は、縦スジの要因の候補である対象物の揺動またはステアリング動作における移動可能位置の余裕度に基づいて、移動方向を変更する対象物を決定する。
【0087】
図11に、定着ユニット134の主走査方向における位置情報と時間との関係XaTを示す。
図11に、中間転写ベルト132aの主走査方向における位置情報と時間との関係XcTを示す。
図11に、縦スジの主走査方向における位置情報と時間との関係YaTを示す。
制御部11は、主走査方向における位置F1において、縦スジの要因の候補である対象物のうち、いずれか一つの対象物の揺動またはステアリング動作における移動方向を変更する。
主走査方向における位置F2は、中間転写ベルト132aのステアリング動作における移動限界位置を示す。
主走査方向における位置F3は、定着ユニット134の揺動における移動限界位置を示す。
対象物の揺動またはステアリング動作における最大移動量は、通紙範囲内である。
制御部11は、位置F1からの揺動またはステアリング動作における移動限界位置までの距離が短い方の対象物の移動方向を変更する。この場合、位置F2が位置F3より位置F1からの距離が短い、つまり、位置F2が位置F3より位置F1からの余裕度が小さい。そのため、制御部11は、中間転写ベルト132aのステアリング動作における移動方向を変更する。
【0088】
次に、ステップS18において、制御部11が縦スジの要因の候補である対象物のうち、いずれか一つの対象物の揺動またはステアリング動作における移動速度を変更する場合を説明する。
ステップS18において、制御部11は、縦スジの要因の候補である対象物の揺動またはステアリング動作における移動可能位置の余裕度に基づいて、移動速度を変更する対象物を決定する。
【0089】
図12に、定着ユニット134の主走査方向における位置情報と時間との関係XaTを示す。
図12に、中間転写ベルト132aの主走査方向における位置情報と時間との関係XcTを示す。
図12に、縦スジの主走査方向における位置情報と時間との関係YaTを示す。
制御部11は、主走査方向における位置F1において、縦スジの要因の候補である対象物のうち、いずれか一つの対象物の揺動またはステアリング動作における移動速度を変更する。
制御部11は、位置F1からの揺動またはステアリング動作における移動限界位置までの距離が長い方の対象物の移動速度を現在の速度から速める。この場合、位置F3が位置F2より位置F1からの距離が長い、つまり、位置F3が位置F2より位置F1からの余裕度が大きい。そのため、制御部11は、定着ユニット134の揺動における移動速度を現在の速度から速める。
制御部11は、対象物の揺動における移動速度を変更する場合、対象物の揺動を駆動するモーター等の速度を変更する。
【0090】
または、制御部11は、位置F1からの揺動またはステアリング動作における移動限界位置までの距離が短い方の対象物の移動速度を現在の速度から遅くしてもよい。この場合、制御部11は、中間転写ベルト132aのステアリング動作における移動速度を現在の速度から遅くしてもよい。
制御部11は、対象物のステアリング動作における移動速度を変更する場合、ステアリングローラーの傾き角度を変更する。
【0091】
ステップS18において、制御部11は、次の場合に、2つ以上の対象物の移動方向または移動量を異ならせる。具体的には、画像形成動作中の前記2つ以上の対象物の主走査方向における移動方向及び移動量と、画像形成動作中の読取画像と入力画像との画像差の主走査方向における移動方向及び移動量との相関係数が所定値(例えば、97%)以上である場合である。この場合は、読取画像と入力画像との画像差の主走査方向における位置情報と相関がある対象物の主走査方向における位置情報が2つ以上ある場合である。つまり、この場合は、読取画像と入力画像との画像差(画像不良)の要因の候補である対象物が2つ以上ある場合である。
【0092】
ステップS18において、制御部11は、前記2つ以上の対象物の移動速度を制御して2つ以上の対象物の移動量を異ならせる。
ステップS18において、制御部11は、前記2つ以上の対象物のそれぞれの移動方向における移動可能な距離に基づいて、前記2つ以上の対象物のうちの移動方向または移動量を変更する対象物を決定する。
【0093】
次に、制御部11は、ステップS12、S13と同様のステップS19、S20を実施する。
次に、制御部11は、入力画像と読取画像との画像差のうちの縦スジの主走査方向における位置情報を取得する(ステップS21)。
【0094】
次に、制御部11は、各対象物の主走査方向における位置情報のうち、縦スジの主走査方向における位置情報と相関がある位置情報を特定する。次に、制御部11は、特定した位置情報を示す対象物を、縦スジの要因である対象物として特定する。次に、制御部11は、特定した当該対象物は不良であると判定する(ステップS22)。
【0095】
図13に、中間転写ベルト132aのステアリング動作における移動方向を変更した場合の例を示す。
図13に示す例において、移動方向を変更後の中間転写ベルト132aの主走査方向における位置情報Xcn~Xcn+1と、縦スジAの主走査方向における位置情報Yan~Yan+1との相関係数は、97%未満である。
移動方向を変更していない定着ユニット134の主走査方向における位置情報Xan~Xan+1と、縦スジAの主走査方向における位置情報Yan~Yan+1との相関係数は、97%以上である。
図13に示す例において、制御部11は、縦スジの要因である対象物は、定着ユニット134であると特定する。
【0096】
次に、制御部11は、制御部11は、上記実施形態の判定処理ステップS8と同様のステップS23を実施し、本処理を終了する。
【0097】
縦スジが発生していない場合(ステップS16;NO)、制御部11は、上記実施形態の判定処理ステップS9と同様のステップS24を実施し、本処理を終了する。
【0098】
画像不良が発生していない場合(ステップS14;NO)、制御部11は、上記実施形態の判定処理ステップS10と同様のステップS25を実施し、本処理を終了する。
【0099】
上記実施形態及び変形例において、画像形成装置10は出力画像読取部14を備えるとしたがこれに限らない。画像形成装置10の制御部11は、画像形成装置10と通信可能である外部の読取装置から、画像形成動作により形成された用紙(記録媒体)上の画像を読み取った読取画像データを取得してもよい。この場合、画像形成装置10及び外部の読取装置は、画像形成システム1に含まれる。
【0100】
(5.効果)
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、記録媒体(用紙)に画像を形成する画像形成部13を構成する一要素であって、印刷ジョブに基づく画像の形成に関する動作中に主走査方向に移動する対象物を備える。
画像形成システム1は、前記動作中における前記対象物の主走査方向の位置情報を取得する取得部(制御部11)を備える。
画像形成システム1は、前記動作により形成された前記記録媒体上の画像を読み取る読取部(出力画像読取部14)を備える。
画像形成システム1は、前記取得部により取得された前記位置情報、及び前記読取部により読み取られた読取画像データに基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部(制御部11)を備える。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において対象物の状態を判定できる。つまり、対象物の状態を判定する時間と手間を削減できる。
【0101】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記判定部(制御部11)は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量に基づいて、前記対象物の状態を判定する。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、容易に対象物の状態を判定できる。
【0102】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記判定部(制御部11)は、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向、及び前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向に基づいて、前記対象物の状態を判定する。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、容易に対象物の状態を判定できる。
【0103】
本実施形態に係る画像形成システム1は、複数の前記対象物と、各対象物の主走査方向における移動方向または移動量を異ならせる制御部11と、を備える。
これにより、判定処理のステップS2で取得する各対象物の主走査方向における位置情報が同じになることを防ぐことができる。つまり、画像不良の要因である対象物を一つに特定できる。
【0104】
本実施形態に係る画像形成システム1において、制御部11は、前記動作中の2つ以上の前記対象物の主走査方向における前記移動方向及び前記移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向及び移動量との相関係数が所定値以上である場合に、前記2つ以上の対象物の移動方向または移動量を異ならせる。
制御部11は、前記2つ以上の対象物の移動速度を制御して前記移動量を異ならせる。
これにより、画像形成動作中の2つ以上の対象物の主走査方向における移動方向及び移動量と、画像形成動作中の読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向及び移動量との相関係数が所定値以上になることを防ぐことができる。つまり、画像不良の要因である対象物を一つに特定できる。
【0105】
本実施形態に係る画像形成システム1において、制御部11は、前記2つ以上の対象物のそれぞれの移動方向における移動可能な距離に基づいて、前記2つ以上の対象物のうちの前記移動方向または前記移動量を変更する対象物を決定する。
これにより、移動方向または移動量を変更する位置F1から移動限界位置までの距離に基づいて、移動方向または移動量を変更するのにより適切な対象物を決定できる。
【0106】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記判定部(制御部11)は、次の場合に、前記対象物が不良であると判定する。具体的には、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動量と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動量との相関係数が所定値以上である場合である。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、容易に対象物の状態を判定できる。
【0107】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記判定部(制御部11)は、次の場合に、前記対象物が不良であると判定する。具体的には、前記動作中の前記対象物の主走査方向における移動方向と、前記動作中の前記読取画像における注目箇所の主走査方向における移動方向とが同一、即ち右方向か左方向で一致する場合である。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、容易に対象物の状態を判定できる。
【0108】
本実施形態に係る画像形成システム1は、前記判定部(制御部11)により不良と判定された前記対象物を報知する報知部(制御部11)を備える。
これにより、ユーザーは対象物が不良であることを容易に認識できる。
【0109】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記報知部(制御部11)は、不良と判定された前記対象物の交換を促す。
これにより、ユーザーは、不良である対象物の交換が必要であることを容易に認識できる。
【0110】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記対象物は、定着ユニット134、定着部材(定着ベルト134c)、二次転写ユニット133、二次転写部材(二次転写ローラー133a)、中間転写ユニット132、中間転写部材(中間転写ベルト132a)、及び感光体(感光体ドラム131Y、131M、131C、131K)のうち少なくともいずれか一つである。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、定着ユニット、定着部材、二次転写ユニット、二次転写部材、中間転写ユニット、中間転写部材、及び感光体のうち少なくともいずれか一つの状態を判定できる。
【0111】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記対象物は、揺動またはステアリング動作により主走査方向に移動する。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中における対象物の揺動またはステアリング動作による主走査方向における移動量及び移動方向に基づいて、容易に対象物の状態を判定できる。
【0112】
本実施形態に係る画像形成システム1において、前記読取画像における注目箇所は、前記記録媒体の搬送方向に延びたスジ状の画像不良である。
これにより、印刷ジョブの画像形成動作中において、縦スジ状の濃度ムラ等の画像不良の要因を特定する時間と手間を削減できる。
【0113】
本実施形態に係る画像形成システム1において、画像形成部13及び前記読取部(出力画像読取部14)が一体的に構成されている。
または、本実施形態に係る画像形成システム1において、画像形成部13と前記読取部(出力画像読取部14)とが別体、且つ通信可能に構成されている。
これにより、上記どちらの構成の画像形成システムにおいても、印刷ジョブの画像形成動作中において対象物の状態を判定できる。つまり、対象物の状態を判定する時間と手間を削減できる。
【0114】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0115】
例えば、制御部11は、画像形成中に、感光体、中間転写ユニット132、二次転写ユニット133及び/または定着ユニット134を主走査方向に揺動させるとしたがこれに限らない。制御部11は、画像形成中に、中間転写部材、二次転写部材及び/または定着部材を主走査方向にステアリング動作させるとしたがこれに限らない。
制御部11は、画像形成中に、画像形成部13を構成する一要素であって、且つ上記以外の部材を主走査方向に揺動またはステアリング動作させてもよい。
【0116】
その他、画像形成装置10を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部(取得部、判定部、報知部)
12 操作表示部
12a 表示部
12b 操作部
13 画像形成部
131Y、131M、131C、131K 感光体ドラム(感光体)
132 中間転写ユニット
132a 中間転写ベルト(中間転写部材)
133 二次転写ユニット
133a 二次転写ローラー(二次転写部材)
134 定着ユニット
134a 加熱ローラー
134b 上加圧ローラー
134c 定着ベルト(定着部材)
134d 下加圧ローラー
135 反転経路
136 レジスト部
14 出力画像読取部
15 通信部
16 給紙部
17 搬送部
18 原稿読取部
19 記憶部
20 駆動部
T1 給紙トレイ
T2 排紙トレイ