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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025093790
(43)【公開日】2025-06-24
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/02 20060101AFI20250617BHJP
   B60T 7/04 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
B60T7/02 D
B60T7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209666
(22)【出願日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中島 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D124
【Fターム(参考)】
3D124AA33
3D124BB01
3D124BB06
3D124BB15
3D124CC15
3D124CC52
3D124DD44
3D124DD54
(57)【要約】
【課題】1個のブレーキセンサーにより右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別する構成を、簡素に構成する。
【解決手段】ブレーキペダル25,26の踏み操作及び戻し操作による被接触部25d,26dの移動方向に沿って移動可能で、両方の被接触部25d,26dに接触可能な接触部38と、接触部38の移動を検知可能なブレーキセンサー37とが備えられている。接触部38は、ブレーキペダル25,26の踏み操作により被接触部25d,26dが接触部38から離れる方向に移動する位置に設けられ、ブレーキペダル25,26の踏み操作による被接触部25d,26dの移動方向に向けて付勢されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右及び左の走行装置と、
前記右及び左の走行装置を制動可能な右及び左のブレーキと、
左右方向に沿ったペダル軸芯周りに揺動可能に設けられ、前記ペダル軸芯から下方に向けて延出されたアーム部と、前記アーム部の下部に取り付けられた踏み部と、被接触部と、を有し、踏み操作されることにより、前記右及び左のブレーキを制動操作可能な右及び左のブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルの踏み操作及び戻し操作による前記被接触部の移動方向に沿って移動可能に設けられ、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能な接触部と、
前記接触部の移動を検知可能なブレーキセンサーとが備えられ、
前記接触部は、前記ブレーキペダルの踏み操作により前記被接触部が前記接触部から離れる方向に移動する位置に設けられ、前記ブレーキペダルの踏み操作による前記被接触部の移動方向に向けて付勢され、
前記右及び左のブレーキペダルの一方が踏み操作されると、前記右及び左のブレーキペダルの他方の前記被接触部に、前記接触部が接触して止められることにより、前記接触部は前記右及び左のブレーキペダルの一方の前記被接触部の移動に追従せず、
前記右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されると、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部の移動に追従して、前記接触部が移動することにより、前記右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されたことが、前記ブレーキセンサーにより検出される作業車。
【請求項2】
前記被接触部が、前記ペダル軸芯よりも高く上方に向けて延出され、
前記ブレーキセンサーと前記接触部とが、前記ペダル軸芯よりも高い位置に設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記接触部は、左右方向に沿った検出軸芯周りに揺動可能な接触アームと、前記接触アームの揺動端部に設けられ、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能な接触ピンとを有している請求項1に記載の作業車。
【請求項4】
前記ブレーキセンサーは、前記検出軸芯周りに回転可能な検出軸を有し、
前記接触アームが、前記検出軸に取り付けられている請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記右及び左のブレーキペダルのうちの少なくとも一方の前記被接触部が、他方の前記被接触部に向けて形成され、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部が互いに近接して設けられ、
前記接触アームが、前記右及び左のブレーキペダルの前記被接触部に対して右又は左の横側に設けられ、
前記接触ピンが、前記接触アームの揺動端部から前記右及び左のブレーキペダルの前記被接触部に向けて延出されて、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能である請求項3に記載の作業車。
【請求項6】
前記接触部の前記被接触部への追従を事前に設定された所定位置で止めるストッパー部が備えられている請求項1に記載の作業車。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右及び左のブレーキと右及び左のブレーキペダルとが備えられた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例であるトラクタでは、例えば作業者が、操縦ハンドルを右に操作しながら右のブレーキペダルを踏み操作すると、前輪が右に操向操作されることに加えて、右の後輪(走行装置に相当)に制動が掛かり、右への小回り旋回が可能になるように構成されたものがある。このトラクタにおいて機体を停止させる場合、作業者は右及び左のブレーキペダルの両方を踏み操作する。
【0003】
前述のような作業車において、特許文献1に開示されているように、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されたことに基づいて、各種の操作が行われるように構成されたものがある。この各種の操作の一例を以下に示す。
【0004】
走行用の変速装置が所望の変速位置に保持されて、作業車が一定速度で走行している場合、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されると、走行用の変速装置の保持が解除され、走行用の変速装置が自動的に低速側に操作されて、右及び左のブレーキに掛かる負荷が軽減される構成がある。
右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作された場合、右及び左のブレーキが実際に制動操作されるまでに少し時間があるので(右及び左のブレーキペダルの遊び)、この間に走行用の変速装置が自動的に低速側に操作される構成がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-63082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のような各種の操作が行われる場合、右及び左のブレーキペダルの一方が踏み操作されたのか、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されたのかを判別して検出する必要がある。
【0007】
特許文献1では、右のブレーキペダルの操作位置を検出する右のブレーキセンサーと、左のブレーキペダルの操作位置を検出する左のブレーキセンサーとが設けられており、右及び左のブレーキセンサーの検出値に基づいて、右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別している。
【0008】
この場合、1個のブレーキセンサーにより、右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別できるようにすることが考えられており、1個のブレーキセンサーにより右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別する構成を、簡素に構成することが要望されている。
【0009】
本発明は、右及び左のブレーキと右及び左のブレーキペダルとが備えられた作業車において、1個のブレーキセンサーにより右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別する構成を、簡素に構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の作業車は、右及び左の走行装置と、前記右及び左の走行装置を制動可能な右及び左のブレーキと、左右方向に沿ったペダル軸芯周りに揺動可能に設けられ、前記ペダル軸芯から下方に向けて延出されたアーム部と、前記アーム部の下部に取り付けられた踏み部と、被接触部と、を有し、踏み操作されることにより、前記右及び左のブレーキを制動操作可能な右及び左のブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの踏み操作及び戻し操作による前記被接触部の移動方向に沿って移動可能に設けられ、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能な接触部と、前記接触部の移動を検知可能なブレーキセンサーとが備えられ、前記接触部は、前記ブレーキペダルの踏み操作により前記被接触部が前記接触部から離れる方向に移動する位置に設けられ、前記ブレーキペダルの踏み操作による前記被接触部の移動方向に向けて付勢され、前記右及び左のブレーキペダルの一方が踏み操作されると、前記右及び左のブレーキペダルの他方の前記被接触部に、前記接触部が接触して止められることにより、前記接触部は前記右及び左のブレーキペダルの一方の前記被接触部の移動に追従せず、前記右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されると、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部の移動に追従して、前記接触部が移動することにより、前記右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されたことが、前記ブレーキセンサーにより検出される。
【0011】
本発明によると、右及び左のブレーキペダルが踏み操作されていない場合、接触部は、右及び左のブレーキペダルの被接触部に向けて付勢され、右及び左のブレーキペダルの被接触部に接触して停止している。
【0012】
本発明によると、前述の状態において、右のブレーキペダルが踏み操作されると、右のブレーキペダルの被接触部が接触部から離れる方向に移動する。この場合、左のブレーキペダルが踏み操作されていないので、接触部は左のブレーキペダルの被接触部に接触して停止している。
左のブレーキペダルが踏み操作されると、左のブレーキペダルの被接触部が接触部から離れる方向に移動する。この場合、右のブレーキペダルが踏み操作されていないので、接触部は右のブレーキペダルの被接触部に接触して停止している。
【0013】
これにより、接触部は、右及び左のブレーキペダルの一方が踏み操作されても、右及び左のブレーキペダルの他方の被接触部により停止している。接触部が停止していることにより、ブレーキセンサーは右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作された状態を検出しない。
【0014】
本発明によると、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されると、右及び左のブレーキペダルの両方の被接触部が接触部から離れる方向に移動し、接触部を停止させるものが無くなる。
これによって、接触部は、右及び左のブレーキペダルの両方の被接触部に追従するように、右及び左のブレーキペダルの両方の被接触部の移動方向に移動するのであり、接触部が移動することによって、ブレーキセンサーは右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作された状態を検出する。
【0015】
以上のように、本発明によると、接触部及びブレーキペダルの被接触部という簡素な部材によって、1個のブレーキセンサーにより右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別する構成を、簡素に構成することができる。
【0016】
本発明において、前記被接触部が、前記ペダル軸芯よりも高く上方に向けて延出され、前記ブレーキセンサーと前記接触部とが、前記ペダル軸芯よりも高い位置に設けられていると好適である。
【0017】
本発明によると、ペダル軸芯から下方に向けて延出されたアーム部と、アーム部の下部に取り付けられた踏み部とを有するブレーキペダルにおいて、被接触部がペダル軸芯よりも高く上方に向けて延出されており、ブレーキセンサー及び接触部がペダル軸芯よりも高い位置に設けられている。
【0018】
これにより、ブレーキセンサー及び接触部が、ブレーキペダルのアーム部及び踏み部から離れて設けられるので、ブレーキセンサー及び接触部が、ブレーキペダルのアーム部及び踏み部との干渉を避けながら無理なく設けられる。
ブレーキセンサー及び接触部が比較的高い位置に設けられるので、ブレーキセンサー及び接触部への泥土等の付着を少なくすることができて、ブレーキセンサー及び接触部の作動不良を少なくすることができる。
【0019】
本発明において、前記接触部は、左右方向に沿った検出軸芯周りに揺動可能な接触アームと、前記接触アームの揺動端部に設けられ、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能な接触ピンとを有していると好適である。
【0020】
本発明によると、接触部は、左右方向に沿った検出軸芯周りに揺動可能な接触アームと接触ピンとを有しているので、ブレーキペダルのペダル軸芯と接触部の検出軸芯とは互いに沿っており、ブレーキペダルの被接触部の移動方向と接触部の移動方向とは互いに沿っている。
これにより、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作された場合、接触部は右及び左のブレーキペダルの両方の被接触部に無理なく追従することができるので、1個のブレーキセンサーによる右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態の判別が、安定して行われるようになる。
【0021】
本発明において、前記ブレーキセンサーは、前記検出軸芯周りに回転可能な検出軸を有し、前記接触アームが、前記検出軸に取り付けられていると好適である。
【0022】
本発明によると、ブレーキセンサーが検出軸芯周りに回転可能な検出軸を有する場合、接触部の接触アームがブレーキセンサーの検出軸に取り付けられることにより、1個のブレーキセンサーにより右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別する構成の簡素化の面で有利である。
【0023】
本発明において、前記右及び左のブレーキペダルのうちの少なくとも一方の前記被接触部が、他方の前記被接触部に向けて形成され、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部が互いに近接して設けられ、前記接触アームが、前記右及び左のブレーキペダルの前記被接触部に対して右又は左の横側に設けられ、前記接触ピンが、前記接触アームの揺動端部から前記右及び左のブレーキペダルの前記被接触部に向けて延出されて、前記右及び左のブレーキペダルの両方の前記被接触部に接触可能であると好適である。
【0024】
本発明によると、右及び左のブレーキペダルの被接触部が互いに近接して設けられているので、右及び左のブレーキペダルの被接触部がコンパクトに設けられる。接触部が、右及び左のブレーキペダルの被接触部に対して右又は左の横側に設けられて、右及び左のブレーキペダルの被接触部と接触部とが小さなスペースに設けられる。
これにより、右及び左のブレーキペダルの被接触部と接触部との配置のコンパクト化を図ることができる。
【0025】
本発明において、前記接触部の前記被接触部への追従を事前に設定された所定位置で止めるストッパー部が備えられていると好適である。
【0026】
本発明によると、右及び左のブレーキペダルの両方が踏み操作されて、接触部の接触アームが右及び左のブレーキペダルの被接触部に追従した場合、接触部が必要な長さだけ移動した時点でストッパー部により止められ、右及び左のブレーキペダルの被接触部が接触部から離れるように、ストッパー部の位置を設定すればよい。
これにより、接触部が右及び左のブレーキペダルの被接触部に必要以上に追従することを防止することができるので、接触部の破損防止の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】トラクタの右側面図である。
図2】走行系の伝動構成を示す概略図である。
図3】右及び左のブレーキペダル、ブレーキセンサーの付近の背面図である。
図4】右及び左のブレーキペダル、ブレーキセンサーの付近の左側面図である。
図5】右及び左のブレーキペダル、ブレーキセンサーの付近の平面図である。
図6】右及び左のブレーキペダルとブレーキセンサー及び接触部との関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図6は、作業車の一例であるトラクタを示しており、図1図6において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0029】
(トラクタの全体構成)
図1に示すように、右及び左の前輪1が機体3の前部に設けられ、右及び左の後輪2(走行装置に相当)が機体3の後部に設けられており、前輪1及び後輪2により機体3が支持されている。運転部11が機体3に設けられ、運転席12及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル13が運転部11に設けられており、キャビン10により運転部11が覆われている。
【0030】
機体3は、エンジン4とクラッチハウジング5と無段変速装置6とミッションケース7とが連結されて構成されている。前フレーム8が、エンジン4及びクラッチハウジング5に連結され、前車軸ケース9が前フレーム8に取り付けられており、前輪1が前車軸ケース9の右部及び左部に設けられている。後輪2は、ミッションケース7の後部の右部及び左部に設けられている。
【0031】
(走行系の伝動構成)
図2に示すように、副変速装置14,後輪デフ装置15及び前輪変速装置16が、ミッションケース7の内部に設けられている。エンジン4の動力が、無段変速装置6に伝達されて変速され、副変速装置14から後輪デフ装置15を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0032】
副変速装置14と後輪デフ装置15との間から分岐した動力が、前輪変速装置16に伝達され、伝動軸17から、前車軸ケース9の内部に設けられた前輪デフ装置18を介して右及び左の前輪1に伝達される。
【0033】
無段変速装置6は、静油圧式に構成されて、エンジン4の動力を前進側及び後進側に無段階に変速可能であり、電動式の変速部19により操作される。副変速装置14は、ギヤ変速式に構成されて、複数段に変速可能である。
【0034】
変速レバー20が運転部11に設けられており、変速レバー20の操作位置が制御装置21に入力されている。変速レバー20は、中立位置N1から前進側F1及び後進側R1に操作可能である。無段変速装置6が変速レバー20の操作位置に対応する変速位置となるように、制御装置21及び変速部19により無段変速装置6が操作される。
【0035】
前輪変速装置16は、前輪1及び後輪2が同じ速度で駆動される標準状態と、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態に操作可能である。
操縦ハンドル13により、前輪1が直進位置から右及び左の設定角度の範囲内に操作されていると、前輪変速装置16は標準状態に操作される。操縦ハンドル13により前輪1が右(左)の設定角度を越えて右(左)に操向操作されると、前輪変速装置16は増速状態に操作される。
【0036】
(右及び左のブレーキの構成)
図2に示すように、ミッションケース7の内部において、後輪デフ装置15から右の後輪2への伝動系に右のブレーキ23が設けられ、後輪デフ装置15から左の後輪2への伝動系に左のブレーキ24が設けられている。右のブレーキ23により右の後輪2に制動が掛けられ、左のブレーキ24により左の後輪2に制動が掛けられる。
【0037】
図1及び図2に示すように、右のブレーキペダル25及び左のブレーキペダル26が、運転部11の前部の右部に設けられている。リンク機構等の機械的な連係機構22が、右のブレーキペダル25と右のブレーキ23とに亘って接続され、左のブレーキペダル26と左のブレーキ24とに亘って接続されている。
【0038】
右のブレーキペダル25が踏み操作されると、右のブレーキペダル25の踏み操作が連係機構22を介して右のブレーキ23に伝達され、右のブレーキ23が制動操作される。左のブレーキペダル26が踏み操作されると、左のブレーキペダル26の踏み操作が連係機構22を介して左のブレーキ24に伝達され、左のブレーキ24が制動操作される。
【0039】
(右及び左のブレーキペダルの構成)―1
図3,4,5に示すように、支持ブラケット28が、運転部11の前部の右部に取り付けられて、支点軸27が、左右方向に沿って支持ブラケット28に取り付けられている。
【0040】
右及び左のブレーキペダル25,26は、ボス部25a,26aと、アーム部25b,26bと、踏み部25c,26cと、操作アーム25d,26d(被接触部に相当)とを有している。
【0041】
ブレーキペダル25,26のボス部25a,26aが、互いに独立に回転可能に支点軸27に取り付けられている。ブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bが、ボス部25a,26aから下方に向けて延出されており、ブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cが、アーム部25b,26bの下部に取り付けられている。
【0042】
ブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが、ボス部25a,26aに取り付けられて、上方に向けて延出されている。ブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dは、ボス部25a,26aを介してアーム部25b,26bに取り付けられている。
【0043】
これにより、ブレーキペダル25,26は、左右方向に沿った支点軸27の軸芯P1(ペダル軸芯に相当)周りに揺動可能に、支点軸27に取り付けられている。
作業者がブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cを踏み操作すると、ブレーキペダル25,26が前方(図4の時計方向)に揺動操作されて、ブレーキ23,24が制動操作される。
【0044】
戻しバネ29が、ブレーキペダル25,26のボス部25a,26a及びアーム部25b,26bに亘って取り付けられて、ブレーキペダル25,26が後方(図4の反時計方向)に付勢されている。
【0045】
作業者がブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cから足を離すと、ブレーキペダル25,26が戻しバネ29により後方(図4の反時計方向)に揺動操作されて(戻し操作されて)、ブレーキ23,24が解除操作される。
【0046】
(右及び左のブレーキペダルの構成における請求項との対応)
右及び左の走行装置(後輪2)と、右及び左の走行装置(後輪2)を制動可能な右及び左のブレーキ23,24とが備えられている。
【0047】
左右方向に沿ったペダル軸芯(軸芯P1)周りに揺動可能に設けられ、ペダル軸芯(軸芯P1)から下方に向けて延出されたアーム部25b,26bと、アーム部25b,26bの下部に取り付けられた踏み部25c,26cと、被接触部(操作アーム25d,26d)と、を有し、踏み操作されることにより、右及び左のブレーキ23,24を制動操作可能な右及び左のブレーキペダル25,26が備えられている。
【0048】
(右及び左のブレーキペダルの構成)―2
図3,4,5に示すように、ブラケット30が、左のブレーキペダル26のアーム部26bに連結され、平面視でチャンネル状の連結部材31が、前後方向に沿った軸芯P3周りに揺動可能に、ブラケット30に取り付けられている。
【0049】
図3,4,5に示す状態は、連結部材31が右のブレーキペダル25のアーム部25bから離し操作された状態であり、右及び左のブレーキペダル25,26が互いに独立に踏み操作可能な状態である。
【0050】
連結部材31は、図3の実線に示す状態から下方に操作されることにより、右のブレーキペダル25のアーム部25bに係合する位置に操作可能である(図3の破線参照)。この状態になると、右及び左のブレーキペダル25,26が連結された状態になる。
【0051】
前述の状態において、右及び左のブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cの一方が踏み操作されると、連結部材31により右及び左のブレーキペダル25,26の両方が前方(図4の時計方向)に揺動操作されて、ブレーキ23,24の両方が制動操作される。
【0052】
(右及び左のブレーキペダルの構成)―3
図3,4,5に示すように、支点軸32が、左右方向に沿って支持ブラケット28に取り付けられており、保持レバー33が、支点軸32に揺動可能に取り付けられている。アーム部33aが保持レバー33に取り付けられ、係合部33bがアーム部33aの端部に取り付けられている。
【0053】
保持レバー33(アーム部33a及び係合部33b)が、左右方向に沿った支点軸32の軸芯P4周りに揺動可能である。戻しバネ34が保持レバー33に取り付けられて、保持レバー33は戻しバネ34により下方(図4の時計方向)に付勢されている。アーム35が、左のブレーキペダル26のアーム部26bに取り付けられており、多数の凹部が設けられた鋸歯状の被係合部36が、アーム35に取り付けられている。
【0054】
前述のように、連結部材31が右のブレーキペダル25のアーム部25bに係合する位置に操作された状態(図3の破線参照)(右及び左のブレーキペダル25,26が連結された状態)において、右及び左のブレーキペダル25,26が踏み操作された後、保持レバー33が図4に示す位置から上方に操作されると、保持レバー33の係合部33bが下方に移動して、左のブレーキペダル26の被係合部36に係合する。
これにより、右及び左のブレーキペダル25,26は踏み操作された状態に保持され、右及び左のブレーキ23,24が駐車ブレーキの機能を発揮する。
【0055】
右及び左のブレーキペダル25,26が保持レバー33により踏み操作された状態に保持された状態において、右及び左のブレーキペダル25,26が踏み操作されると、左のブレーキペダル26の被係合部36が、保持レバー33の係合部33bから少し前方に移動して外れるので、保持レバー33が戻しバネ34により図4に示す位置に戻り、保持レバー33の係合部33bが、左のブレーキペダル26の被係合部36から上方に離れる。
【0056】
これにより、右及び左のブレーキペダル25,26が戻しバネ29により後方(図4の反時計方向)に揺動操作されて(戻し操作されて)、右及び左のブレーキ23,24が解除操作される。
【0057】
(右及び左のブレーキペダルの構成)―4
図3,4,5に示すように、右のブレーキペダル25の操作アーム25dが、ボス部25aから左のブレーキペダル26のボス部26aに向けて折り曲げられ、上方に向けて延出されている。
【0058】
左のブレーキペダル26の操作アーム26dが、ボス部26aから右のブレーキペダル25のボス部25aに向けて折り曲げられ、上方に向けて延出されている。これにより、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが、互いに近接している。
【0059】
支点軸27の軸芯P1が左右方向に沿っていることにより、右及び左のブレーキペダル25,26が踏み操作及び戻し操作されると、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dは、前後方向に沿って移動する。
【0060】
(右及び左のブレーキペダルの踏み操作の状態を判別するブレーキセンサーの構成)
図3,4,5に示すように、支持ブラケット28の上部が、支点軸27から上方に向けて延出され、右のブレーキペダル25の操作アーム25dに向けて折り曲げられて、上方に向けて延出されている。これにより、支持ブラケット28の上部が、右のブレーキペダル25の操作アーム25dに近接している。
【0061】
ポテンショメータ型式のブレーキセンサー37が、支持ブラケット28の上部に取り付けられており、ブレーキセンサー37が右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dに近接している。ブレーキセンサー37は、左右方向に沿った軸芯P2(検出軸芯に相当)周りに回転可能な検出軸37aを有しており、支点軸27の軸芯P1とブレーキセンサー37の検出軸37aの軸芯P2とは平行である。
【0062】
接触部38が設けられており、接触部38は接触アーム38aと接触ピン38bとを有している。接触部38の接触アーム38aが、ブレーキセンサー37の検出軸37aに取り付けられて上方に向けて延出されている。これにより、ブレーキセンサー37の検出軸37aと接触部38(接触アーム38a及び接触ピン38b)とは、一体で軸芯P2周りに揺動可能である。
【0063】
ブレーキセンサー37及び接触部38(接触アーム38a及び接触ピン38b)が、正面視(背面視)で、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dに対して右の横側に設けられている。
【0064】
接触部38の接触ピン38bは、接触アーム38aの上端部(揺動端部)に取り付けられ、左方に向けて延出されており、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dの前方に位置している。
【0065】
ブレーキセンサー37の検出軸37aの軸芯P2が左右方向に沿っていることにより、接触部38(接触アーム38a及び接触ピン38b)は、前後方向に沿って移動する。これにより、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dの移動方向(前後方向)と、接触部38(接触アーム38a及び接触ピン38b)の移動方向(前後方向)とは、互いに沿っている。
【0066】
ブレーキセンサー37に内装されたバネ(図示せず)により、ブレーキセンサー37の検出軸37aが図4の時計方向に回転するように付勢されている。これにより、接触部38の接触アーム38aが後方(図4の時計方向)に付勢されており、接触部38の接触ピン38bは、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dの両方に接触可能である。
【0067】
ストッパー部39が、支持ブラケット28の上部の後部に取り付けられている。接触部38の接触アーム38aが後方(図4の時計方向)に揺動した場合、接触部38の接触アーム38aが、ストッパー部39に当たることにより止められる。ストッパー部39は短いものに設定されており、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dがストッパー部39に接触することはない。
【0068】
(ブレーキセンサー及び接触部における請求項との対応)
ブレーキペダル25,26の踏み操作及び戻し操作による被接触部(操作アーム25d,26d)の移動方向に沿って移動可能に設けられ、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の被接触部(操作アーム25d,26d)に接触可能な接触部38が備えられている。
【0069】
接触部38の移動を検知可能なブレーキセンサー37が備えられている。
接触部38は、ブレーキペダル25,26の踏み操作により被接触部(操作アーム25d,26d)が接触部38から離れる方向に移動する位置に設けられ、ブレーキペダル25,26の踏み操作による被接触部(操作アーム25d,26d)の移動方向に向けて付勢されている。
【0070】
ブレーキセンサー37は、検出軸芯(軸芯P2)周りに回転可能な検出軸37aを有しており、接触アーム38aが、検出軸37aに取り付けられている。
接触部38の被接触部(操作アーム25d,26d)への追従を事前に設定された所定位置で止めるストッパー部39が備えられている。
【0071】
被接触部が(操作アーム25d,26d)、ペダル軸芯(軸芯P1)よりも高く上方に向けて延出されている。
ブレーキセンサー37と接触部38とが、ペダル軸芯(軸芯P1)よりも高い位置に設けられている。
【0072】
接触部38は、左右方向に沿った検出軸芯(軸芯P2)周りに揺動可能な接触アーム38aと、接触アーム38aの揺動端部に設けられ、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の被接触部(操作アーム25d,26d)に接触可能な接触ピン38bとを有している。
【0073】
右及び左のブレーキペダル25,26のうちの少なくとも一方の被接触部(操作アーム25d,26d)が、他方の被接触部(操作アーム25d,26d)に向けて形成され、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の被接触部(操作アーム25d,26d)が互いに近接して設けられている。
【0074】
接触アーム38aが、右及び左のブレーキペダル25,26の被接触部(操作アーム25d,26d)に対して右又は左の横側に設けられている。
接触ピン38bが、接触アーム38aの揺動端部から右及び左のブレーキペダル25,26の被接触部(操作アーム25d,26d)に向けて延出されて、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の被接触部(操作アーム25d,26d)に接触可能である。
【0075】
(ブレーキセンサーによる右及び左のブレーキペダルの踏み操作の判別状態)―1
図6の#1に示す状態は、右及び左のブレーキペダル25,26が戻し操作された状態(踏み操作されていない状態)である。
【0076】
図6の#1に示す状態において、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dは、同じ位置(図3,4,5参照)に位置している。接触部38の接触ピン38bが、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dに接触して止められ、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第1位置A1に位置している。
【0077】
図6の#1に示す状態において、右のブレーキペダル25が踏み操作されると、図6の#2に示すように、右のブレーキペダル25の操作アーム25dが後方に移動する。左のブレーキペダル26は踏み操作されていないので、左のブレーキペダル26の操作アーム26dは図6の#2に示す位置(図3,4,5参照)に残る。
【0078】
接触部38の接触ピン38bが左のブレーキペダル26の操作アーム26dに接触して止められることにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は第1位置A1に位置している。
【0079】
左のブレーキペダル26が踏み操作された場合、踏み操作されていない右のブレーキペダル25の操作アーム25dは図6の#1に示す位置(図3,4,5参照)に残る。接触部38の接触ピン38bが右のブレーキペダル25の操作アーム25dに接触して止められることにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は第1位置A1に位置している。
【0080】
図6の#2に示す状態から作業者がブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cから足を離すと、ブレーキペダル25,26が戻しバネ29により後方(図4の反時計方向)に揺動操作される(戻し操作される)。ブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dは、前方に移動して図6の#1に示す位置(図3,4,5参照)に戻る。
【0081】
(ブレーキセンサーによる右及び左のブレーキペダルの踏み操作の判別状態)―2
図6の#1に示す状態から図6の#3に示すように、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されると、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dが後方に移動する。
【0082】
右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dが後方に移動することにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dに接触しながら追従するように、第1位置A1から後方(図4の時計方向)に揺動する。
【0083】
図6の#4に示すように、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第2位置A2に達すると、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は、ストッパー部39に当たって止められ、第2位置A2を越えて後方(図4の時計方向)に揺動することができない。
【0084】
右及び左のブレーキペダル25,26の両方がさらに踏み操作されると、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dは、接触部38の接触ピン38bから離れて後方に移動する。
【0085】
図6の#4に示す状態から作業者がブレーキペダル25,26の踏み部25c,26cから足を離すと、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が戻しバネ29により後方(図4の反時計方向)に揺動操作される(戻し操作される)。
【0086】
これにより、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dは、前方に移動しながら、第2位置A2の接触部38の接触ピン38bに接触し、接触部38の接触ピン38bを前方に押しながら、図6の#1に示す位置(図3,4,5参照)に戻る。
【0087】
接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の操作アーム25d,26dにより、第2位置A2から第1位置A1に戻される。
【0088】
(ブレーキセンサーによる右及び左のブレーキペダルの踏み操作の判別状態における請求項との対応)
右及び左のブレーキペダル25,26の一方が踏み操作されると、右及び左のブレーキペダル25,26の他方の被接触部(操作アーム25d,26d)に、接触部38が接触して止められることにより、接触部38は右及び左のブレーキペダル25,26の一方の被接触部(操作アーム25d,26d)の移動に追従しない。
【0089】
右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されると、右及び左のブレーキペダル25,26の両方の被接触部(操作アーム25d,26d)の移動に追従して、接触部38が移動することにより、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されたことが、ブレーキセンサー37により検出される。
【0090】
(ブレーキセンサーの検出に基づく操作)―1
図2及び図6に示すように、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第1位置A1及び第2位置A2に亘って揺動することによるブレーキセンサー37の検出値が、制御装置21に入力されている。
例えば変速レバー20が前進側F1の最高速位置に操作され、制御装置21及び変速部19により無段変速装置6が前進側F1の最高速位置に操作されていたとする。
【0091】
前述の状態において、図6の#1から図6の#2に示すように、右のブレーキペダル25が踏み操作された場合、踏み操作されていない左のブレーキペダル26の操作アーム26dは図6の#1に示す位置に残る。接触部38の接触ピン38bが左のブレーキペダル25の操作アーム25dに接触して止められることにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は第1位置A1から移動しない。
【0092】
左のブレーキペダル26が踏み操作された場合、踏み操作されていない右のブレーキペダル25の操作アーム25dは図6の#1に示す位置に残る。接触部38の接触ピン38bが右のブレーキペダル25の操作アーム25dに接触して止められることにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)は第1位置A1から移動しない。
【0093】
これにより、ブレーキセンサー37は右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作された状態を検出しないので、無段変速装置6は、変速レバー20の操作位置に対応する前進側F1の最高速位置に維持される。
【0094】
(ブレーキセンサーの検出に基づく操作)―2
例えば変速レバー20が前進側F1の最高速位置に操作され、制御装置21及び変速部19により無段変速装置6が前進側F1の最高速位置に操作されていたとする。
【0095】
前述の状態において、図6の#1から図6の#3,#4に示すように、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作され始め、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が、第1位置A1から第2位置A2に向けて移動し始めたとする。
【0096】
接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第1位置A1から第2位置A2に向けて移動し始めると、ブレーキセンサー37は右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作された状態を検出することになる。これにより、無段変速装置6は制御装置21及び変速部19により前進側F1の最高速位置から低速側に操作され始める。
【0097】
右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されることにより、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第2位置A2に接近するほど、無段変速装置6は制御装置21及び変速部19により大きく低速側に操作される。
【0098】
この場合、連係機構22やブレーキ23,24に機械的な遊びが存在するので、前述の間は、右及び左のブレーキペダル25,26が踏み操作されても、ブレーキ23,24は実際にはまだ制動操作されない。
【0099】
接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第2位置A2に達するまで、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されると、前述の機械的な遊びは消失するので、ブレーキ23,24は実際に制動操作され始める。
【0100】
これと同時に、制御装置21及び変速部19による無段変速装置6の低速側への操作は停止される。右及び左のブレーキペダル25,26の両方がさらに踏み操作されると、ブレーキ23,24が制動操作されることによって機体3は停止する。
【0101】
(ブレーキセンサーの検出に基づく操作)―3
前述のように、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第1位置A1に位置すると、無段変速装置6は変速レバー20の操作位置に対応する変速位置に操作される。
【0102】
接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第2位置A2に位置すると、無段変速装置6は変速レバー20の操作位置に対応する変速位置から少し低速側の変速位置に操作される。
【0103】
接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が第1位置A1及び第2位置A2に亘る範囲において、作業者が右及び左のブレーキペダル25,26の両方を踏み操作したり戻し操作したりすることにより、変速レバー20の操作位置に対応する変速位置と、この変速位置よりも少し低速側の変速位置との間で、ブレーキ23,24を制動操作せずに無段変速装置6を操作することができる。
【0104】
(発明の実施の第1別形態)
右及び左のブレーキペダル25,26において、右のブレーキペダル25の操作アーム25dが、ボス部25aから真っすぐ上方に向けて延出され、左のブレーキペダル26の操作アーム26dが、ボス部26aから右のブレーキペダル25のボス部25aに向けて折り曲げられ、上方に向けて延出されることにより、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが互いに近接するように構成してもよい。
この構成によると、ブレーキセンサー37及び接触部38が、左のブレーキペダル26の操作アーム26dに対して左側に設けられるとよい。
【0105】
(発明の実施の第2別形態)
右及び左のブレーキペダル25,26において、左のブレーキペダル26の操作アーム26dが、ボス部26aから真っすぐ上方に向けて延出され、右のブレーキペダル25の操作アーム25dが、ボス部25aから左のブレーキペダル26のボス部26aに向けて折り曲げられ、上方に向けて延出されることにより、右及び左のブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが互いに近接するように構成してもよい。
この構成によると、ブレーキセンサー37及び接触部38が、右のブレーキペダル25の操作アーム25dに対して右側に設けられるとよい。
【0106】
(発明の実施の第3別形態)
ブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが廃止された場合、ブレーキセンサー37及び接触部38が、右及び左のブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bの前方に設けられてもよい。
【0107】
前述の構成によると、接触部38の接触ピン38bが、右及び左のブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bの両方に接触する。
ブレーキペダル25,26が踏み操作されて、ブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bが前方に移動する場合、接触部38の接触アーム38a(ブレーキセンサー37の検出軸37a)が、前方に向けて付勢されて、ブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bに追従するように構成すればよい。
【0108】
前述の構成によると、ブレーキセンサー37及び接触部38が、支点軸27(軸芯P1)よりも低い位置に設けられる。ブレーキペダル25,26のアーム部25b,26bが被接触部となる。
【0109】
(発明の実施の第4別形態)
ブレーキペダル25,26の操作アーム25d,26dが、アーム部25b,26bに取り付けられ、アーム部25b,26bから支点軸27(軸芯P1)よりも上方に延出されてもよい。
【0110】
(発明の実施の第5別形態)
接触部38が、ブレーキセンサー37の検出軸37aに取り付けられるのではなく、ブレーキセンサー37の検出軸37aとは別の位置に揺動可能に設けられてもよい。
この構成によると、接触部38の揺動をブレーキセンサー37の検出軸37aに伝達する別のアーム等(図示せず)を設ければよい。
【0111】
(発明の実施の第6別形態)
接触部38が、軸芯P2周りに揺動する構成ではなく、第1位置A1及び第2位置A2に亘って直線的に移動するように構成されてもよい。この構成よると、接触部38を第2位置A2に付勢するバネ(図示せず)が、接触部38に取り付けられてもよい。
【0112】
(発明の実施の第7別形態)
ブレーキセンサー37の検出に基づく制御として、以下の説明のような制御が行われてもよい。
【0113】
無段変速装置6において変速部19が廃止されて、変速ペダル(図示せず)と無段変速装置6とがリンク機構(図示せず)を介して接続される。変速ペダルを中立位置N1に付勢する付勢機構(図示せず)が設けられており、作業者は付勢機構に抗して変速ペダルを踏み操作し、無段変速装置6を操作する。
【0114】
変速ペダルを付勢機構に抗して所望の操作位置に保持可能な保持機構が設けられる。作業者は、変速ペダルを所望の操作位置に踏み操作し、保持機構により変速ペダルを保持することにより、変速ペダルから足を離しても、機体3を所望の速度で走行させることができる。
【0115】
前述の構成において、右及び左のブレーキペダル25,26の両方が踏み操作されたことが、ブレーキセンサー37により検出されると、保持機構が解除操作される。
これにより、付勢機構により変速ペダルが中立位置N1に戻り、無段変速装置6が中立位置N1に操作されて、ブレーキ23,24に掛かる負荷が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、前輪1及び後輪2を備えた作業車ばかりではなく、前輪1と後のクローラ走行装置(走行装置に相当)を備えた作業車にも適用でき、前輪1及び後輪2を備えずに右及び左のクローラ走行装置を備えた作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0117】
2 後輪(走行装置)
23 ブレーキ
24 ブレーキ
25 ブレーキペダル
25b アーム部
25c 踏み部
25d 操作アーム(被接触部)
26 ブレーキペダル
26b アーム部
26c 踏み部
26d 操作アーム(被接触部)
37 ブレーキセンサー
37a 検出軸
38 接触部
38a 接触アーム
38b 接触ピン
39 ストッパー部
P1 軸芯(ペダル軸芯)
P2 軸芯(検出軸芯)
図1
図2
図3
図4
図5
図6