(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025093816
(43)【公開日】2025-06-24
(54)【発明の名称】ガラス基板の欠陥検査装置、及びガラス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20250617BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
G01N21/958
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209711
(22)【出願日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭市
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA84
2G051AB02
2G051BA20
2G051BB05
2G051DA20
(57)【要約】
【課題】ガラス基板の欠陥を検査するガラス基板の欠陥検査装置、及び当該欠陥検査装置を用いた検査工程を備えるガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を精度良く検査することができる、ガラス基板の欠陥検査装置、及びガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板Gを支持するステージ10と、当該ガラス基板Gを一方の主面(表面Ga)側から撮像する撮像手段20と、撮像手段20によって撮像された画像データに基づき、ガラス基板Gの外周端面Gdの状態を判定する制御部50とを備え、ステージ10は、ガラス基板Gの他方の主面(裏面Gb)側よりガラス基板Gの外周縁部Gcを支持する支持面11a1を有し、支持面11a1は、ガラス基板Gの外周端面Gdに沿って設けられ、且つ外周端面Gdに対してガラス基板Gの中央側に離れた位置にて、ガラス基板Gと接触する接触領域11cを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の欠陥を検査するガラス基板の欠陥検査装置であって、
ガラス基板を支持するステージと、
前記ステージによって支持されたガラス基板を一方の主面側から撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像データに基づき、前記ガラス基板の外周縁部の状態を判定する制御部とを備え、
前記ステージは、
前記ガラス基板の他方の主面側より当該ガラス基板の外周縁部を支持する支持面を有し、
前記支持面は、
前記ガラス基板の外周端面に沿って設けられ、且つ当該外周端面に対してガラス基板の中央側に離れた位置にて、ガラス基板と接触する接触領域を有する、
ことを特徴とするガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項2】
前記ステージは、傾斜した縦姿勢の状態で前記ガラス基板を支持する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記ステージによってガラス基板を支持した状態において、
前記支持面は、
前記一方の主面側から見て、前記ガラス基板の外周端面と重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面に沿って形成される溝部を有する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記ステージによってガラス基板を支持した状態において、
前記ガラス基板の一方の主面側から見た、前記ガラス基板の外周端面と、前記接触領域における当該外周端面側の第1端面との間の寸法は、0.5mm以上3mm以下である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記支持面において、
前記接触領域における、前記ガラス基板の外周端面側の第1端面と、前記ガラス基板の中央側の第2端面との間の幅寸法は、0.5mm以上3mm以下である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記ステージによってガラス基板を支持した状態において、
前記支持面は、
前記一方の主面側から見て、前記ガラス基板の外周端面と重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面に沿って形成されるとともに、
前記接触領域に対して、前記ガラス基板の他方の主面側に離間した離間領域を有し、
前記接触領域と前記離間領域との間の離間寸法は、1mm以上である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス基板の欠陥検査装置。
【請求項7】
ガラス基板を成形する成形工程と、
前記成形工程の終了後、請求項1または請求項2に記載の欠陥検査装置を用いて、得られたガラス基板を検査対象物として、当該ガラス基板の欠陥を検査する検査工程とを備える、
ことを特徴とする、ガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の欠陥検査装置、及び当該欠陥検査装置を用いた検査工程を備えるガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、薄板状のガラス基板の製造工程において、作製されたガラス基板の欠陥の有無を検査する、ガラス基板の欠陥検査装置が知られている。
例えば、その一例として、特許文献1においては、やや傾斜させた縦姿勢の状態でガラスワーク(ガラス基板)を支持する支持部(ステージ)と、ステージによって支持されたガラス基板に光を照射して照明する光照射部(照明手段)と、照明手段によって照明されたガラス基板を撮像して画像データを取得する画像情報取得部(撮像手段)と、撮像手段によって取得された画像データに基づきガラス基板の欠陥の有無を検査する判定制御部(制御部)とを備える、検査装置(欠陥検査装置)が開示されている。
【0003】
上記の欠陥検査装置において、ガラス基板は、一方の主面(以下、適宜「表面」と記載)を撮像手段に対向させた状態で、ステージによって支持される。
また、ガラス基板は、他方の主面(以下、適宜「裏面」と記載)において、外周縁部の一部をステージに接触させた状態で、当該ステージによって支持される。
【0004】
そして、欠陥検査装置は、ガラス基板の外周縁部が撮像された画像データに基づき、例えば二値化処理等を施して当該外周縁部の端面(外周端面)の形状をトレースした輪郭線を抽出し、当該輪郭線上において、破断個所等が確認された場合には、ガラス基板の外周端面に、傷や欠けや汚れ等の欠陥が存在すると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の欠陥検査装置において、例えば経年変化等によって、ステージにおけるガラス基板の裏面の外周縁部と接触する箇所に、塗装の剥離や細かい傷等の欠陥が生じた場合、撮像手段によってガラス基板を撮像する際に、照明手段から照射された光が当該欠陥に反射し、画像データ上における外周端面と重なる位置に、反射光が予期せず写り込むことがある。
この場合、二値化処理が施された画像データ上において、ガラス基板の外周端面の輪郭線は、上記反射光によって破断された状態で抽出される。
【0007】
その結果、欠陥検査装置は、反射光による輪郭線の破断個所を、ガラス基板の外周端面に生じた欠陥であると誤判断することとなり、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、精度良く検査することが困難となる虞があった。
【0008】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、ガラス基板の欠陥を検査するガラス基板の欠陥検査装置、及び当該欠陥検査装置を用いた検査工程を備えるガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、精度良く検査することができる、ガラス基板の欠陥検査装置、及びガラス基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明の態様1に係るガラス基板の欠陥検査装置は、ガラス基板の欠陥を検査するガラス基板の欠陥検査装置であって、ガラス基板を支持するステージと、前記ステージによって支持されたガラス基板を一方の主面側から撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データに基づき、前記ガラス基板の外周縁部の状態を判定する制御部とを備え、前記ステージは、前記ガラス基板の他方の主面側より当該ガラス基板の外周縁部を支持する支持面を有し、前記支持面は、前記ガラス基板の外周端面に沿って設けられ、且つ当該外周端面に対してガラス基板の中央側に離れた位置にて、ガラス基板と接触する接触領域を有することを特徴とする。
このような構成からなる、本発明に係るガラス基板の欠陥検査装置によれば、ガラス基板の外周縁部を支持するステージの支持面において、当該ガラス基板と接触する接触領域が、ガラス基板の外周端面に対して、当該ガラス基板の中央側に離れた位置に設けられることとなり、例えば、経年変化等による塗装の剥離や細かい傷等の欠陥が当該接触領域に生じた場合であっても、画像データ上において、当該欠陥に反射した反射光が、ガラス基板の外周端面と重なる位置に写り込むのを抑制することができる。
従って、例えば二値化処理が施された画像データ上において、抽出されたガラス基板の外周端面の輪郭線上に、反射光を要因とする破断個所が発生するのを防止し、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、精度良く検査することができる。
【0011】
また、本発明の態様2に係るガラス基板の欠陥検査装置は、上記態様1において、前記ステージは、傾斜した縦姿勢の状態で前記ガラス基板を支持することを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば、水平姿勢の状態でガラス基板の外周縁部を支持した場合のように、自重によって下方に突出するようにガラス基板が撓むことを抑制し、当該ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、より精度良く検査することができる。
【0012】
また、本発明の態様3に係るガラス基板の欠陥検査装置は、上記態様1または上記態様2において、前記ステージによってガラス基板を支持した状態における前記支持面は、前記一方の主面側から見て、前記ガラス基板の外周端面と重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面に沿って形成される溝部を有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、上記一方の主面側から見て、ステージの支持面における接触領域がガラス基板の外周端面と重なるのを、溝部を介してより確実に回避することができる。
従って、本発明に係る欠陥検査装置によれば、撮像手段によって撮像された画像データ上において、上記接触領域に生じた欠陥に反射した反射光が、ガラス基板の外周端面と重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、当該ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、安定して精度良く検査することができる。
【0013】
また、本発明の態様4に係るガラス基板の欠陥検査装置は、上記態様1から上記態様3の何れか1つの態様において、前記ステージによってガラス基板を支持した状態における、前記ガラス基板の一方の主面側から見た、前記ガラス基板の外周端面と、前記接触領域における当該外周端面側の第1端面との間の寸法は、0.5mm以上3mm以下であることを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る欠陥検査装置によれば、撮像手段によって撮像された画像データ上において、上記接触領域に生じた欠陥に反射した反射光が、ガラス基板の外周端面と重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制しつつ、ステージによってガラス基板を安定して支持することができ、当該ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0014】
また、本発明の態様5に係るガラス基板の欠陥検査装置は、上記態様1から上記態様4の何れか1つの態様において、前記支持面の前記接触領域における、前記ガラス基板の外周端面側の第1端面と、前記ガラス基板の中央側の第2端面との間の幅寸法は、0.5mm以上3mm以下であることを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る欠陥検査装置によれば、ステージによってガラス基板を安定して支持しつつ、撮像手段によって撮像された画像データ上において、上記接触領域に生じた欠陥に反射した反射光が、ガラス基板の外周端面と重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、当該ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0015】
また、本発明の態様6に係るガラス基板の欠陥検査装置は、上記態様1から上記態様5の何れか1つの態様において、前記ステージによってガラス基板を支持した状態における前記支持面は、前記一方の主面側から見て、前記ガラス基板の外周端面と重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面に沿って形成されるとともに、前記接触領域に対して、前記ガラス基板の他方の主面側に離間した離間領域を有し、前記接触領域と前記離間領域との間の離間寸法は、1mm以上であることを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る欠陥検査装置によれば、撮像手段によって撮像された画像データ上において、上記離間領域に生じた欠陥に反射した反射光が、ガラス基板の外周端面と重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、当該ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0016】
また、本発明の態様7に係るガラス基板の製造方法は、ガラス基板を成形する成形工程と、前記成形工程の終了後、上記態様1から上記態様6の何れか1つの態様に記載の欠陥検査装置を用いて、得られたガラス基板を検査対象物として、当該ガラス基板の欠陥を検査する検査工程とを備えることを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係るガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、精度良く検査することができ、高品質なガラス基板を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係るガラス基板の欠陥検査装置、及びガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の外周縁部における欠陥の有無を、精度良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガラス基板の欠陥検査装置の全体的な構成を示した側面図である。
【
図2】ガラス基板を支持した状態におけるステージの構成を示した正面図である。
【
図3】
図2中の領域Aによって示された、ステージの接触領域を示した図であって、(a)はその拡大正面図であり、(b)は
図3(a)中の矢視Xの方向に見た拡大断面底面図である。
【
図4】欠陥検査装置の撮像手段によって得られた画像データの一例を示した図であって、(a)は従来のステージを用いた場合の概略図であり、(b)は本発明に係る実施例のステージを用いた場合における概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るガラス基板の製造方法の手順を経時的に示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、
図1乃至
図3中に示す矢印の方向によって、ガラス基板Gの欠陥検査装置1の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
【0020】
[ガラス基板Gの欠陥検査装置1の全体構成]
先ず、本実施形態におけるガラス基板Gの欠陥検査装置1(以下、単に「欠陥検査装置1」と記載する)の全体構成について、
図1及び
図5用いて説明する。
【0021】
欠陥検査装置1は、薄板状のガラス基板Gの製造工程に設けられ、作製されたガラス基板Gの欠陥の有無を検査する装置である。
【0022】
ここで、ガラス基板Gの形状については、円盤形状や楕円形状、或いは矩形状や多角形状など、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、例えば、円盤形状のガラス基板である。
また、ガラス基板の厚みについては、例えば、0.2mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されるのが好ましい。
【0023】
さらに、ガラス基板Gの両主面(後述する表面Ga及び裏面Gb)のうち、少なくとも何れか一方の主面に機能膜が成膜されていてもよい。
上記機能膜の種類としては、例えば、反射防止膜等として利用される誘電体多層膜や、電極等として利用される透明導電膜などが挙げられる。
また、機能膜の膜厚については、例えば、10nm以上2000nm以下の範囲内に設定されるのが好ましい。
【0024】
ガラス基板Gは、
図5に示すように、主に、経時的に順に行われる成形工程S01及び検査工程S02を備える製造工程によって製造される。
【0025】
成形工程S01は、ガラス基板Gを成形する工程である。
成形工程S01においては、例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、及びリドロー法に代表されるダウンドロー法を利用して、溶融されたガラス原料からなる溶融ガラスより、長尺帯状のガラスリボンが形成される。
形成されたガラスリボンは、スクライブ切断等によって、矩形板状のガラス原板に一旦切断され、切断されたガラス原板より、所定形状(本実施形態においては、円盤形状)からなる、複数枚または単数枚の一次ガラス基板が切り出される。
その後、切り出された各々の一次ガラス基板は、研磨作業や洗浄作業等を施され、最終製品であるガラス基板Gとして仕上げられる。
【0026】
検査工程S02は、成形工程S01の終了後、得られたガラス基板Gを検査対象物として、当該ガラス基板Gの欠陥を検査する工程である。
検査工程S02においては、本実施形態における欠陥検査装置1を用いて、得られたガラス基板Gの外周縁部Gcの端面(以下、適宜「外周端面Gd」と記載。
図2を参照)等における、傷や欠けや汚れ等の欠陥の有無を検査される。
【0027】
このように、本実施形態において、ガラス基板Gを製造する製造工程(製造方法)は、ガラス基板Gを成形する成形工程S01と、成形工程S01の終了後、欠陥検査装置1を用いて、得られたガラス基板Gを検査対象物とし、当該ガラス基板Gの欠陥を検査する検査工程S02とを備える構成となっている。
【0028】
このような構成を有することにより、本実施形態におけるガラス基板Gの製造方法によれば、後述するように、ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、精度良く検査することができ、高品質なガラス基板Gを得ることができる。
【0029】
図1に示すように、欠陥検査装置1は、主に、ガラス基板Gを支持するステージ10と、ステージ10の一方側(本実施形態においては、前側)に配置される撮像手段20と、ステージ10と撮像手段20との間に配置される第1照明手段30と、ステージ10の他方側(本実施形態においては、後側)に配置される第2照明手段40と、欠陥検査装置1全体の動作を制御する制御部50とを備える。
【0030】
ステージ10は、傾斜した縦姿勢の状態で、ガラス基板Gを支持するものである。
ここで、「傾斜した縦姿勢の状態」とは、ガラス基板Gの自重による最大の撓み量が、0.1mm以下となるように撓みが抑制された状態であり、仮想水平面に対して、ガラス基板Gの主面における鋭角側の角度が70°以上、好ましくは80°以上、より好ましくは85°以上、且つ90°以下の範囲内となるように、ガラス基板Gを起立させた状態を意味する。
【0031】
ステージ10は、本体部であるステージ基板11と、ステージ基板11の前側に突出させた状態で配置される複数(本実施形態においては、2個。但し、
図1においては、側面図であるため1個のみ記載)の支持ピン12・12とを備える。
【0032】
そして、ガラス基板Gは、縦姿勢の状態で2個の支持ピン12・12上に載置されるとともに、他方側(本実施形態においては、後側)の主面(以下、適宜「裏面Gb」と記載)における外周縁部Gcの複数箇所(本実施形態においては、5個所)において、ステージ基板11と接触し、ステージ10によって、所定の角度で傾斜した状態で支持される。
【0033】
なお、ステージ10によるガラス基板Gの支持姿勢については、本実施形態に限定されるものではなく、ガラス基板Gの外周縁部Gcを介して支持される限りにおいて、例えば水平姿勢等であってもよい。
しかしながら、本実施形態のように、傾斜させた縦姿勢の状態でガラス基板Gを支持することにより、例えば、水平姿勢の状態でガラス基板Gの外周縁部Gcを支持した場合のように、自重によって下方に突出するようにガラス基板Gが撓むことを抑制し、当該ガラス基板Gの外周端面Gdおける欠陥の有無を、より精度良く検査することができる。
【0034】
なお、ステージ10の構成の詳細については、後述する。
【0035】
撮像手段20は、ステージ10によって支持されたガラス基板Gを、一方の主面側(本実施形態においては、前方の主面側。以下、前側の主面を適宜「表面Ga」と記載)から撮像して、画像データを取得するものである。
【0036】
撮像手段20は、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子による、いわゆるデジタルカメラなどによって構成することができる。
また、撮像手段20によって取得される画像データについては、カラーまたはモノクロの何れであってもよい。
【0037】
撮像手段20は、ステージ10側(本実施形態においては後側)に撮像方向を向けた状態で配置される。
また、撮像手段20は、後述する第1照明手段30及び第2照明手段40とともに、当該撮像手段20が移動することにより、或いは、ステージ10が移動することにより、当該ステージ10によって支持されたガラス基板Gとの相対位置を、調整可能に構成されている。
【0038】
そして、撮像手段20は、上記ガラス基板Gの表面Gaに対して、当該表面Gaとの平行方向(より具体的には、上下方向及び左右方向)に往復走査することにより、当該ガラス基板Gの輪郭線を含む全体的な画像データを取得する。
【0039】
第1照明手段30は、ステージ10によって支持されたガラス基板Gを、表面Ga側(即ち、前側)から照明するものである。
第1照明手段30は、例えば、白色LED照明からなるリング照明によって構成されており、ステージ10の前側から、光Laの照射方向を当該ステージ10側(本実施形態においては後側)に向けた状態で、撮像手段20の視野を妨げることなく、当該視野が内側の空間部内に収まるように配置される。
【0040】
一方、第2照明手段40は、ステージ10によって支持されたガラス基板Gを、裏面Gb側(即ち、後側)から照明するものである。
第2照明手段40も、第1照明手段30と同様に、例えば、白色LED照明からなるリング照明によって構成されており、ステージ10の後側から、光Lbの照射方向を当該ステージ10側(本実施形態においては前側)に向けた状態で配置される。
【0041】
なお、第1照明手段30における中心波長と、第2照明手段40における中心波長との差は、例えば10nm以下の範囲内に設定されるのが好ましい。
【0042】
制御部50は、上述したように、欠陥検査装置1全体の動作を制御するとともに、撮像手段20によって撮像された画像データに基づき、ガラス基板Gの外周端面Gdなどの状態を判定するものである。
【0043】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)によって構成される演算処理部や、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)・HDD(Hard Disk Drive)等によって構成される記憶部などを備えている。
また、上記記憶部には、欠陥検査装置1全体の動作を制御するプログラム、及び撮像手段20によって撮像された画像データに基づき、ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を検査するためのプログラムなどが、予め格納されている。
さらに、制御部50には、撮像手段20、第1照明手段30、及び第2照明手段40等と接続されるインターフェースなどが、設けられている。
【0044】
なお、制御部50には、例えばタッチパネル等からなる入力手段や、モニター等からなる出力手段などが、備えられていてもよい。
【0045】
そして、制御部50は、以下の手順に従い、ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を検査し、当該外周端面Gdの状態を判定する。
【0046】
即ち、撮像手段20によって撮像された、ガラス基板Gの外周端面Gdを含む画像データが制御部50に送信されると、制御部50は、当該画像データに二値化処理を施し、当該外周端面Gdの形状をトレースした輪郭線を抽出する。
【0047】
そして、制御部50は、抽出された輪郭線上において破断個所の有無を確認し、当該破断個所が確認された場合には、ガラス基板の外周端面Gdに傷や欠けや汚れ等の欠陥が存在すると判断し、また、当該破断個所が確認されず輪郭線が連続している場合には、ガラス基板の外周端面Gdに欠陥が存在しないと判断する。
【0048】
[ステージ10の構成]
次に、ステージ10の構成について、
図2、
図3(a)(b)、及び
図5(a)(b)を用いて詳細に説明する。
【0049】
ステージ10は、前述したように、傾斜した縦姿勢の状態で、ガラス基板Gを支持するものである。
ステージ10は、
図2に示すように、ステージ基板11と、複数(2個)の支持ピン12・12とを備える。
【0050】
ステージ基板11は、ガラス基板Gの主面における有効面(外周縁部Gcを除いた領域)との接触を回避するべく、例えば本実施形態においては、略C字形状の板状部材からなる。
また、ステージ基板11は、ステージ10によって支持されたガラス基板Gの外周縁部Gcに向かって突出する、複数(本実施形態においては、5個)の突出部位11a・11a・・・を有する。
【0051】
なお、ステージ基板11の形状については、本実施形態に限定されるものではなく、上記複数の突出部位11a・11a・・・を有する形状であれば、何れのような形状であってもよい。
また、突出部位11aの個数についても、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、分断された複数の突出部位11a・11a・・・を設けることなく、円環形状からなる連続した一つの突出部位を設けることとしてもよい。
【0052】
各突出部位11aの突出端部は、ガラス基板Gの外周縁部Gcに沿って円弧状に形成されている。
また、各突出部位11aの一方側(本実施形態においては、前側)の平面は、ステージ10によって支持されるガラス基板Gの他方の主面側(本実施形態においては、後方の主面(裏面Gb)側。
図1を参照)より、当該ガラス基板Gの外周縁部Gcを支持する支持面11a1として機能する。
【0053】
そして、ステージ基板11は、これら5個の突出部位11a・11a・・・の支持面11a1・11a1・・・(より具体的には、突出端部側の支持面11a1)を、ガラス基板Gの裏面Gbにおける外周縁部Gcに各々接触させた状態で、当該ガラス基板Gを傾斜した縦姿勢の状態で支持する。
【0054】
ここで、
図3(a)(b)は、
図2中の領域Aによって示された突出部位11aの拡大図であるが、本図に示すように、ステージ10によってガラス基板Gを支持した状態において、各突出部位11aの支持面11a1には、当該ガラス基板Gの一方の主面側(表面Ga側。
図1を参照)から見て、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面Gdに沿って形成される溝部11bが設けられている。
【0055】
その結果、各突出部位11aの支持面11a1は、ガラス基板Gの外周端面Gdに沿って設けられ、且つ当該外周端面Gdに対してガラス基板Gの中央側に離れた領域(以下、適宜「接触領域11c」と記載)を介して、ガラス基板Gと接触する。
また、各突出部位11aにおける支持面11a1は、ガラス基板Gの一方の主面側(表面Ga側)から見て、当該ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面Gdに沿って形成されるとともに、接触領域11cに対して当該ガラス基板Gの他方の主面側(裏面Gb側)に離間した、溝部11bの底面(以下、適宜「離間領域11b1」と記載)を有する。
【0056】
このような形状からなる溝部11bを各突出部位11aに設けることにより、ガラス基板Gの表面Ga側から見て、ステージ10の支持面11a1における接触領域11cがガラス基板Gの外周端面Gdと重なるのを、当該溝部11bを介してより確実に回避することができる。
【0057】
従って、撮像手段20(
図1を参照)によって撮像された画像データ上において、上記接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lc(
図4(a)を参考)が、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、欠陥検査装置1を用いて、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、安定して精度良く検査することができる。
【0058】
例えば、
図4(a)は、溝部11bが設けられていない従来のステージ110において、ガラス基板Gを支持した状態における、突出部位111aの突出端部の近傍を撮像した画像データの一例を示したものであるが、本図に示すように、従来のステージ110においては、接触領域111cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込み、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、精度良く検査できない場合があった。
これに対して、
図4(b)は、本実施形態のステージ10において、ガラス基板Gを支持した状態における、突出部位11aの突出端部の近傍を撮像した画像データの一例を示したものであるが、本図に示すように、溝部11dが設けられているため、接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むこともなく、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、安定して精度良く検査することができる。
【0059】
なお、
図3(a)に示すように、本実施形態においては、ステージ10によってガラス基板Gを支持した状態において、ガラス基板Gの一方の主面側(表面Ga側)から見た、ガラス基板Gの外周端面Gdと、接触領域11cにおける当該外周端面Gd側の端面(以下、適宜「第1端面11c1」と記載)との間の寸法d1が、0.5mm以上3mm以下に設定されている。
【0060】
ここで、ガラス基板Gの外周端面Gdと、接触領域11cの第1端面11c1との間の寸法d1が、0.5mm未満である場合(d1<0.5mm)、上記一方の主面側(表面Ga側)から見て、たとえガラス基板Gの外周端面Gdに対して、接触領域11cが離れた位置に設けられていても、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、確実に抑制することは困難である。
【0061】
一方、ガラス基板Gの外周端面Gdと、接触領域11cの第1端面11c1との間の寸法d1が、3mmを超える場合(d1>0.5mm)、接触領域11cは、ガラス基板Gに対して、上記有効面を除いた外周縁部Gcの、限られた範囲内に設けられる必要があることから、接触領域11cの接触面(即ち、ガラス基板Gの外周縁部Gcと接触する面)を十分に確保することができず、ステージ10によってガラス基板Gを安定して支持することが困難である。
【0062】
このようなことから、本実施形態においては、ガラス基板Gの外周端面Gdと、接触領域11cの第1端面11c1との間の寸法d1が、0.5mm以上3mm以下に設定されており(0.5mm≦d1≦3mm)、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制しつつ、ステージ10によってガラス基板Gを安定して支持することができ、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、各突出部位11aの支持面11a1において、接触領域11cにおける、ガラス基板Gの外周端面Gd側の第1端面11c1と、当該ガラス基板Gの中央側の端面(以下、適宜「第2端面11c2」と記載)との間の幅寸法d2は、0.5mm以上3mm以下に設定されている。
【0064】
ここで、接触領域11cにおける第1端面11c1と第2端面11c2との間の幅寸法d2が、0.5mm未満である場合(d2<0.5mm)、接触領域11cの接触面(ガラス基板Gの外周縁部Gcと接触する面)を十分に確保することができず、ステージ10によってガラス基板Gを安定して支持することが困難である。
【0065】
一方、接触領域11cにおける第1端面11c1と第2端面11c2との間の幅寸法d2が、3mmを超える場合(d2>3mm)、接触領域11cは、ガラス基板Gに対して、上記有効面を除いた外周縁部Gcの、限られた範囲内に設けられる必要があることから、ガラス基板Gの表面Ga側から見て、当該ガラス基板Gの外周端面Gdに対して、接触領域11cを十分に離れた位置に設けることが困難であり、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、確実に抑制することは困難である。
【0066】
このようなことから、本実施形態においては、接触領域11cにおける第1端面11c1と第2端面11c2との間の幅寸法d2が、0.5mm以上3mm以下に設定されており(0.5mm≦d2≦3mm)、ステージ10によってガラス基板Gを安定して支持しつつ、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該接触領域11cに生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0067】
さらに、
図3(b)に示すように、本実施形態においては、ステージ10によってガラス基板Gを支持した状態において、各突出部位11aにおける支持面11a1が、ガラス基板Gの一方の主面側(表面Ga側)から見て、当該ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に設けられ、且つ当該外周端面Gdに沿って形成されるとともに、接触領域11cに対して、当該ガラス基板Gの他方の主面側(裏面Gb側)に離間した離間領域11b1を有し、接触領域11cと離間領域11b1との間の離間寸法hは、1mm以上に設定されている(H≦1mm)。
【0068】
ここで、接触領域11cと離間領域11b1との間の離間寸法hが1mm未満である場合(h<1mm)、たとえガラス基板Gの外周端面Gdに対して、離間領域11b1がガラス基板Gの裏面Gb側に離れた位置に設けられていても、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該離間領域11b1に生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、確実に抑制することは困難である。
【0069】
このようなことから、本実施形態においては、接触領域11cと離間領域11b1との間の離間寸法hが1mm以上に設定されており(h≦1mm)、撮像手段20によって撮像された画像データ上において、当該離間領域11b1に生じた欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを、より確実に抑制することができ、当該ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、より安定して精度良く検査することができる。
【0070】
図2において、2個の支持ピン12・12は、丸棒部材によって各々形成されており、ステージ10によって縦姿勢の状態で支持されるガラス基板Gに対して、当該ガラス基板Gの外周端面Gdの下部側と当接可能に、ステージ基板11に固定される。
【0071】
以上のように、本実施形態における欠陥検査装置1は、ガラス基板Gの欠陥を検査するガラス基板Gの欠陥検査装置であって、ガラス基板Gを支持するステージ10と、ステージ10によって支持されたガラス基板Gを一方の主面(表面Ga)側から撮像する撮像手段20と、撮像手段20によって撮像された画像データに基づき、ガラス基板Gの外周端面Gdの状態を判定する制御部50とを備えている。
また、ステージ10は、ガラス基板Gの他方の主面(裏面Gb)側より当該ガラス基板Gの外周縁部Gcを支持する支持面11a1を有している。
【0072】
そして、支持面11a1は、ガラス基板Gの外周端面Gdに沿って設けられ、且つ当該外周端面Gdに対してガラス基板Gの中央側に離れた位置にて、ガラス基板Gと接触する接触領域11cを有する構成となっている。
【0073】
このような構成からなる、本実施形態における欠陥検査装置1によれば、ガラス基板Gの外周縁部Gcを支持するステージ10の支持面11a1において、当該ガラス基板Gと接触する接触領域11cが、ガラス基板Gの外周端面Gdに対して、当該ガラス基板Gの中央側に離れた位置に設けられることとなり、例えば、経年変化等による塗装の剥離や細かい傷等の欠陥が当該接触領域11cに生じた場合であっても、画像データ上において、当該欠陥に反射した反射光Lcが、ガラス基板Gの外周端面Gdと重なる位置に写り込むのを抑制することができる。
【0074】
従って、例えば二値化処理が施された画像データ上において、抽出されたガラス基板Gの外周端面Gdの輪郭線上に、反射光Lcを要因とする破断個所が発生するのを防止し、ガラス基板Gの外周端面Gdにおける欠陥の有無を、精度良く検査することができる。
【実施例0075】
次に、前述した欠陥検査装置1におけるステージ10の実施例について、
図3(a)(b)及び
図5を用いて説明する。
なお、ステージ10における溝部の形状については、これに限定されるものではない。
【0076】
[ステージ10の準備]
先ず始めに、本実施例として、
図3(a)(b)に示すような、各突出部位11aの支持面11a1に溝部11bが設けられたステージ10を準備した。
上記溝部11bにおいて、前述した寸法d1は約1.5mmに設定し(d1=1.5mm)、幅寸法d2は約2.8mmに設定し(d2=2.8mm)、離間寸法hは6mmに設定することとした(h=6mm)。
【0077】
一方、比較例として、各突出部位11aの支持面11a1に溝部11bが設けられていない、従来のステージを準備した。
【0078】
[検査対象物の準備]
次に、検査対象物として、複数枚のガラス基板G・G・・・を準備した。
各ガラス基板Gについては、厚みが0.4mmであり、且つ直径が200mmである、円盤形状のガラス基板を採用することとした。
【0079】
[欠陥検査の実施]
そして、準備された実施例のステージ10、及び従来のステージを欠陥検査装置1に各々順に取り付け、下記の要領に従い、複数枚のガラス基板G・G・・に対する欠陥検査を行った。
【0080】
<実施例のステージ10を用いた欠陥検査>
実施例のステージ10が取り付けられた欠陥検査装置1においては、サンプル数として1790枚のガラス基板G・G・・・を用意し、各ガラス基板Gにおける外周端面Gdの欠陥の有無を各々検査した。
上記欠陥の有無の検査については、先ず始めに、欠陥検査装置1による画像検査によって行い、その後、画像検査によって欠陥が有りと判定されたガラス基板Gに対し、作業者による目視検査により行った。
<従来のステージを用いた欠陥検査>
従来のステージが取り付けられた欠陥検査装置1においては、サンプル数として2094枚のガラス基板G・G・・・を用意し、各ガラス基板Gにおける外周端面Gdの欠陥の有無を各々検査した。
上記欠陥の有無の検査については、実施例のステージ10を用いた場合と同様とした。
【0081】
[欠陥検査の結果]
実施例のステージ10を用いた欠陥検査、及び従来のステージを用いた欠陥検査の結果を、表1及び表2に示す。
【0082】
【0083】
【0084】
表1に示すように、実施例のステージ10を用いた欠陥検査において、欠陥検査装置1による画像検査では、926枚のガラス基板Gが、外周端面Gdに顕著な欠陥が見受けられず良品であると判定された。
サンプル数全体に対する良品判定数の割合(良品判定率)は51.7%であった。
【0085】
また、従来のステージを用いた欠陥検査において、欠陥検査装置1による画像検査では、453枚のガラス基板Gが、外周端面Gdに顕著な欠陥が見受けられず良品であると判定された。
サンプル数全体に対する良品判定数の割合(良品判定率)は21.6%であった。
【0086】
一方、表2に示すように、実施例のステージ10を用いた欠陥検査によって欠陥が有りと判定され、目視検査が行われたガラス基板Gの枚数(判定個数)は、864枚であった。
上記作業者による目視検査では、713枚のガラス基板Gが、外周端面Gdに顕著な欠陥が見受けられず良品であると判定された。
サンプル数全体に対する目視検査の良品判定数の割合(良品判定率)は39.8%であった。
【0087】
また、従来のステージを用いた欠陥検査によって欠陥が有りと判定され、目視検査が行われたガラス基板Gの枚数(判定個数)は、1641枚であった。
上記作業者による目視検査では、1441枚のガラス基板Gが、外周端面Gdに顕著な欠陥が見受けられず良品であると判定された。
サンプル数全体に対する目視検査の良品判定数の割合(良品判定率)は68.8%であった。
【0088】
表1及び表2において、実施例のステージ10を用いた欠陥検査の場合、画像検査による良品判定率(51.7%)は、目視検査による良品判定率(39.8%)に比べて高く、欠陥検査装置1による欠陥検査の精度は高いと言える。
一方、従来のステージを用いた欠陥検査の場合、画像検査による良品判定率(21.6%)は、目視検査による良品判定率(68.8%)に比べて低く、欠陥検査装置1による欠陥検査の精度は、実施例のステージ10を用いた欠陥検査の場合と比べて、やや低いと言える。
そして、実施例のステージ10を用いた欠陥検査の場合、画像検査による良品判定率は、従来のステージを用いた欠陥検査の場合と比べて、約30%向上している。
【0089】
以上、本願の実施の形態について説明を行ったが、本願はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本願の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本願の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。