(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009383
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/53 20190101AFI20250110BHJP
G06F 16/535 20190101ALI20250110BHJP
【FI】
G06F16/53
G06F16/535
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112358
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】505300841
【氏名又は名称】株式会社ZOZO
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 遼平
(72)【発明者】
【氏名】神宮司 正成
(72)【発明者】
【氏名】清水 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 侑輝
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA02
5B175FB03
5B175HB03
5B175JC06
(57)【要約】
【課題】ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、検索部と、選択部と、提供部とを備える。検索部は、ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する。選択部は、検索部による検索結果に含まれる商品に紐づいた複数の画像候補のうち、検索クエリとの関係性が最も高い候補画像を前記商品それぞれから選択する。提供部は、選択部によって選択された候補画像を商品のサムネイル画像として提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する検索部と、
前記検索部による検索結果に含まれる前記商品のサムネイル画像を前記検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記サムネイル画像を提供する提供部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記商品に紐づく複数の候補画像がそれぞれ前記検索クエリと所定の関係性を満たさない前記商品のサムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、
分散表現空間に前記検索クエリおよび前記候補画像を投影し、前記分散表現空間において前記検索クエリと類似する前記候補画像がない前記商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、
前記分散表現空間に前記ユーザのユーザ情報を投影し、前記分散表現空間において前記検索クエリと前記ユーザ情報とに類似する前記候補画像がない前記商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、
ユーザによって投稿された投稿画像と、前記商品の商品画像とに基づいて前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記サムネイル画像の生成対象となる前記商品に紐づく前記候補画像と、他の商品に紐づく前記候補画像とに基づいて前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記検索クエリおよび前記他の商品に紐づく前記候補画像が投影された分散表現空間において前記検索クエリと類似する前記他の商品に紐づく前記候補画像と、前記生成対象となる前記商品に紐づく前記候補画像とに基づいて前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、
前記ユーザのログ情報から選択された前記商品の商品画像を組み合わせた前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記投稿画像に、電子商店街で取り扱っていないブランドの商品が含まれる場合、当該商品を含まない前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する検索工程と、
前記検索工程による検索結果に含まれる前記商品のサムネイル画像を前記検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された前記サムネイル画像を提供する提供工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する検索手順と、
前記検索手順による検索結果に含まれる前記商品のサムネイル画像を前記検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された前記サムネイル画像を提供する提供手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VSE(Visual-Semantic Embedding)モデルを用いた画像検索に関する技術が開示されている。例えば、VSEモデルを用いた画像検索では、指定された検索キーワードと、検索対象となる画像とをそれぞれ特徴ベクトルに変換し、双方の特徴ベクトル間の類似度に応じた画像を検索結果と出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、検索キーワードと特徴ベクトルが類似する画像を検索するに過ぎず、ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供することについては考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する検索部と、前記検索部による検索結果に含まれる前記商品のサムネイル画像を前記検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記サムネイル画像を提供する提供部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る提供システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る分散表現空間の説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサムネイル画像の生成処理の概要図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るユーザ情報記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る商品情報記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る学習データの収集方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る学習データの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る合成画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下では、検索対象が、電子商店街で取り扱う商品である場合について説明する。
【0010】
[実施形態]
〔1.1 システム〕
まず、
図1に示す提供システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る提供システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、提供システムは、情報処理装置1と、ユーザ端末10とが含まれる。情報処理装置1と、ユーザ端末10とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0011】
情報処理装置1は、服飾(ファッションアイテムともいい、衣服、下着、履物(シューズともいう)、帽子(キャップやハットなど)、バッグ、装身具(アクセサリともいう)等を含む)、化粧品(ファッションアイテムともいう)等を含む商品を提供(検索、販売等)する電子商取引サービスを提供する。また、情報処理装置1は、複数の服飾を使用したコーディネートを示すコンテンツ(画像、動画、記事等)、1つ以上の化粧品を使用した化粧を示すコンテンツなどの投稿をユーザから受け付け、他のユーザに提供(検索、配信等)するコーディネートサービスを提供する。例えば、情報処理装置1は、サーバ装置やクラウドシステム等により実現可能である。
【0012】
また、情報処理装置1は、後述するように、事前に学習した分散表現空間を利用してユーザに対して各種サービスを提供する。また、実施形態に係る分散表現空間には、画像とキーワード(タグ等も含む)とが投影されており、画像と画像、画像とキーワード、キーワードとキーワードの近さが投影されている。また、近ければ近いほど、分散表現空間上で近くなる。すなわち、画像と画像、画像とキーワード、キーワードとキーワードの類似度が分散表現空間上の距離として測定可能である。なお、実施形態に係る分散表現空間上の近さは、例えば、ユークリッド距離に基づく近さや、コサイン距離に基づく近さを含む。
【0013】
また、情報処理装置1は、サービスに係るウェブサイトを提供するウェブサーバとしての機能を有していてもよい。また、情報処理装置1は、ユーザ端末10にインストールされた各種サービスに関するアプリケーションに表示する情報を、ユーザ端末10に配信する装置であってもよい。また、情報処理装置1は、アプリケーションのデータそのものを配信する装置であってもよい。
【0014】
また、情報処理装置1は、ユーザ端末10に制御情報を配信する配信装置として機能してもよい。ここで、制御情報は、例えば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)等のスタイルシート言語により記述される。なお、情報処理装置1から配信されるアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。
【0015】
ユーザ端末10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。また、ユーザ端末10は、情報処理装置1や、所定のサービスを提供するサーバ装置などによって配信される情報を、ウェブブラウザやアプリケーションにより表示する。
【0016】
〔1.2 情報処理〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、ファッションアイテムに関する情報を提供するウェブサーバとして機能し、まず、ユーザ端末10からユーザによって指定された検索クエリの指定を受け付ける(ステップS1)。
【0017】
情報処理装置1は、かかる検索クエリに基づいて商品を検索する(ステップS2)。例えば、検索クエリに対応するキーワード等がタグ付けされた商品を検索結果として出力される。
【0018】
つづいて、情報処理装置1は、検索結果に含まれる商品それぞれについてサムネイル画像を選択する(ステップS3)。より具体的には、情報処理装置1は、各商品に紐づいた複数の候補画像のうち、検索クエリとの関係性が最も高い候補画像を検索結果に含まれる商品それぞれから選択する。
【0019】
例えば、情報処理装置1は、検索クエリ(キーワード)と各候補画像との分散表現空間における類似度に基づいて、各商品のサムネイル画像を選択する。より具体的には、検索クエリは、ユーザの検索意図を示すものであり、検索クエリを指定したユーザがクリック(閲覧)したサムネイル画像(クリックしただけではなく、購買に繋がったサムネイル画像でもよい)は、ユーザの検索意図をより反映している画像であると捉えることができる。例えば、情報処理装置1は、VSE(Visual-Semantic Embedding)やCLIP等に分散表現空間に関する技術を利用して、各検索クエリや候補画像等を分散表現空間に投影することができる。
【0020】
そのため、例えば、情報処理装置1は、ユーザが指定した検索クエリと、ユーザがクリックしたサムネイル画像とを紐づけて学習データとして用いることで、検索クエリと関係性が高い、すなわち、ユーザの検索意図を反映したサムネイル画像を選択することができる。また、例えば、情報処理装置1は、ユーザが指定した検索クエリと、ユーザがクリックしなかったサムネイル画像とを紐づけて負例の学習データとして用いてもよい。なお、本実施形態では、検索クエリおよび候補画像に加えて、検索クエリを指定したユーザの属性を基に、候補画像からサムネイル画像を選択する。
【0021】
ここで、
図3を用いて、実施形態に係る分散表現空間について説明しておく。
図3は、実施形態に係る分散表現空間の説明図である。なお、ここでは、1つの商品に紐づいた複数の候補画像からサムネイル画像を選択する処理について説明する。
【0022】
図3に示すように、まず、情報処理装置1は、商品に紐づいた複数の候補画像を分散表現空間に埋め込むとともに(ステップS11)、検索クエリおよびユーザ属性をそれぞれ分散表現空間に埋め込む(ステップS12、ステップS13)。なお、ユーザ属性は、例えば、ユーザの年齢、性別、体型、足型、肌の色、住居や、ユーザによるクリックログ、検索ログ(検索履歴)、購買ログ(購買履歴)、閲覧ログ(閲覧履歴)等に関する情報を含む。また、ユーザ属性は、例えば、ユーザと所定の関係(親子関係等を含む)を有するユーザの年齢、性別、体型、足型、肌の色、居住地、クリックログ、検索ログ、購買ログ、閲覧ログ等に関する情報を含んでいてもよい。
【0023】
図3に示す例では、各候補画像の特徴ベクトルを「画像ベクトルVi1~Vi5」で示し、検索クエリの特徴ベクトルを「クエリベクトルVq」、ユーザ属性の特徴ベクトルを「ユーザベクトルVu」として示している。なお、以下では、画像ベクトルVi1~Vi5を区別しない場合、「画像ベクトルVi」と表記する。
【0024】
例えば、情報処理装置1は、画像ベクトルVi1~Vi5のうち、クエリベクトルVqおよびユーザベクトルVuとの位置関係に応じてランキングを作成する。例えば、情報処理装置1は、各画像ベクトルVi1~Vi5と、クエリベクトルVqおよびユーザベクトルVuを結んだ空間(三角形)の面積が最も小さい画像ベクトルViから順にランキングを作成する。なお、情報処理装置1は、画像ベクトルVi1~Vi5のうち、クエリベクトルVqおよびユーザベクトルVuのいずれか一方に類似する順にランキングを生成するようにしてもよい。
【0025】
そして、情報処理装置1は、ランキングにおいて1位の候補画像をサムネイル画像として選択する。すなわち、情報処理装置1は、各画像ベクトルViのうち、クエリベクトルVqおよびユーザベクトルVuにそれぞれ類似する画像ベクトルViに対応する候補画像をサムネイル画像として選択する。例えば、情報処理装置1は、VSE(Visual-Semantic Embedding)やCLIP(Contrastive Language-Image Pre-training)等、分散表現空間に関する技術を利用して、各検索クエリや候補画像等を分散表現空間に投影することができる。
【0026】
つまり、情報処理装置1は、商品に紐づいた各候補画像のうち、検索クエリやユーザ属性に応じて、サムネイル画像となる候補画像を選択する。より詳しくは、各候補画像に対応する画像ベクトルViのうち、検索クエリに対応するクエリベクトルVqおよびユーザ属性に対応するユーザベクトルVuに類似する画像ベクトルViを選択し、サムネイル画像として選択する。
【0027】
これにより、情報処理装置1は、商品に紐づいた複数の候補画像からユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を選択することができる。
図3に示す例では、画像ベクトルVi4と、クエリベクトルVqおよびユーザベクトルVuを結ぶ空間の面積が最も小さいことを示しており、画像ベクトルVi4に対応する候補画像がサムネイル画像として選択されることを示している。
【0028】
情報処理装置1は、ステップS2の検索結果に含まれる各商品に対し、各候補画像からサムネイル画像を選択すると、
図2に示すように、ユーザ端末10に対して、選択したサムネイル画像を提供する(ステップS4)。
【0029】
また、情報処理装置1は、例えば、分散表現空間における各画像ベクトルViから、サムネイル画像の選択条件を満たす画像ベクトルViがない商品については、サムネイル画像を生成することも可能である。すなわち、情報処理装置1は、適切なサムネイル画像が存在しない商品については、検索クエリに基づいてサムネイル画像を新たに生成する。なお、情報処理装置1は、事前に生成した複数の候補画像を登録し、選択条件を満たすサムネイル画像がない場合には事前に登録した候補画像からサムネイル画像を選択して提供するようにしてもよい。
【0030】
図4は、実施形態に係るサムネイル画像の生成処理の概要図である。例えば、情報処理装置1は、適切なサムネイル画像がない商品の商品画像Itと、検索クエリに対応する合成用画像Isとを組み合わせて合成したサムネイル画像である合成画像Icを生成する。
【0031】
例えば、合成用画像Isは、他の商品に紐づいた候補画像や、各ユーザがコーディネートサービスなどに投稿した投稿画像(例えば、コーディネート画像)を含む。投稿画像は、各ユーザが着用中のファッションアイテムがタグ付けされた写真を含む。
【0032】
例えば、情報処理装置1は、検索クエリを基に各合成用画像Isを他の商品に紐づいた候補画像や、各ユーザが投稿した投稿画像から抽出する。例えば、情報処理装置1は、分散表現空間における各画像の画像ベクトルViおよび検索クエリのクエリベクトルVqの類似度に応じて、各画像から合成用画像Isを抽出する。
【0033】
つづいて、情報処理装置1は、各種画像生成AIを用いて、商品画像Itおよび合成用画像Isを組み合わせた合成画像Icを合成する。
【0034】
この際、例えば、情報処理装置1は、合成した合成画像Icの画像ベクトルVi、検索クエリのクエリベクトルVqおよびユーザ属性のユーザベクトルVuを結ぶ空間の面積が閾値以下となるまで合成画像Icの生成を繰り返し実行し、ユーザが指定した検索クエリに適応した合成画像Icを生成する。
【0035】
このように、情報処理装置1は、検索クエリに対応するサムネイル画像がない商品については、サムネイル画像の自動生成を行う。これにより、情報処理装置1は、ユーザが入力した検索クエリに対応する適切なサムネイル画像を提供することができる。
【0036】
〔2.情報処理装置〕
次に、
図5を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例について説明する。
図5は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0037】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部2は、4G(4th Generation)または5G(5th Generation)などの通信ネットワークと有線または無線で接続され、通信ネットワークを介して、ユーザ端末10などの各々との間で情報の送受信を行う。
【0038】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部3は、ユーザ情報記憶部31と、商品情報記憶部32と、モデル記憶部33とを有する。
【0039】
ユーザ情報記憶部31は、各ユーザに関する情報を記憶する。
図6は、実施形態に係るユーザ情報記憶部31に格納される情報の一例を示す図である。
図6に示すように、ユーザ情報記憶部31は、「ユーザID」、「ユーザ情報」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0040】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。「ユーザ情報」は、ユーザ情報を示す。
図6に示した例では、「ユーザ情報」に「ユーザ情報#1」や「ユーザ情報#2」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、年齢や性別などのユーザ属性の情報や、ユーザが所有する商品(アイテム)の識別情報などが格納される。
【0041】
商品情報記憶部32は、商品情報を記憶する。商品情報記憶部32は、情報処理装置1が提供する電子商店街で取り扱う商品に関する情報である。
図7は、実施形態に係る商品情報記憶部32に格納される情報の一例を示す図である。
【0042】
図7に示すように、商品情報記憶部32は、「商品ID」および「画像情報」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「商品ID」は、商品を識別するための識別情報を示す。「画像情報」は、対応する商品IDによって識別される商品の画像情報である。本実施形態において、各商品に対して、複数の候補画像が画像情報として格納される。
【0043】
モデル記憶部33は、モデルを記憶する。例えば、モデルは、各画像や、検索クエリ(キーワード)およびユーザ情報を同一の分散表現空間に投影する学習モデルである。例えば、学習モデルは、後述する学習部42によって学習が行われたモデルであり、学習モデルには、例えば、VSEモデルを採用することができる。
【0044】
つづいて、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0045】
図5に示すように、制御部4は、取得部41と、学習部42と、検索部43と、選択部44と、生成部45と、提供部46とを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部4が有する各処理部の接続関係は、
図5に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0046】
取得部41は、各種情報を取得する。例えば、取得部41は、ユーザ端末10からユーザ情報を取得し、ユーザ情報記憶部31に登録する。また、取得部41は、電子商店街の出店者(不図示)の端末から商品情報を取得し、商品情報記憶部32に登録する。
【0047】
また、取得部41は、複数の服飾を使用したコーディネートを示すコンテンツ(画像、動画、記事等)、1つ以上の化粧品を使用した化粧を示すコンテンツなどの投稿をユーザから受け付ける。例えば、かかるコンテンツは、SNS等のプラットフォームを通じて、他のユーザに提供(検索、配信等)される。なお、かかるプラットフォームは、情報処理装置1が提供するプラットフォームであってもよい。
【0048】
学習部42は、モデル記憶部33に格納されるモデル(学習モデル)の学習を行う。まず、学習データの収集方法について説明する。
図8は、実施形態に係る学習データの収集方法の一例を示す図である。
【0049】
図8に示すように、例えば、情報処理装置1は、ユーザ端末10に対しアノテーションアプリを提供し、アノテーションアプリを通じて学習モデルの学習データを取得する。例えば、
図8に示すように、アノテーションアプリでは、学習対象となる検索クエリと、複数の画像を表示する。
【0050】
そして、ユーザは、アノテーションアプリを通じて、検索クエリにマッチする画像を選択し、情報処理装置1は、検索クエリとユーザが選択した画像とを紐づけた学習データを取得する。
図8に示す例では、検索クエリが「ゴルフ」であり、ユーザは「ゴルフ」を連想する画像を選択することになる。なお、検索クエリが「ゴルフ ニット セーター」であり、ユーザは「ゴルフ ニット セーター」を連想する画像を選択することになってもよい。
【0051】
情報処理装置1は、アノテーションアプリを通じて各検索クエリに対応する画像をユーザに対して選択してもらうことで、検索クエリに対応する画像の学習データを収集することができる。
【0052】
なお、アノテーションアプリは、
図8に示す例に限らず、同時に表示する画像の数を2枚としてもよいし、ユーザに応じて複数の画像の配置を変更してもよいし、複数の画像の配置を円状として表示してもよいし、複数の画像の配置を常に動かしながら表示してもよい。これにより、画像の配置によって選択され易くなるというバイアスを取り除くことができる。
【0053】
また、上記の例に加えて、情報処理装置1は、例えば、各ユーザの電子商店街におけるログ情報から学習データを収集するようにしてもよい。
図9は、実施形態に係る学習データの一例を示す図である。
【0054】
図9に示すように、学習データは、「ユーザ」、「検索クエリ」、「クリックした画像」および「クリックしなかった画像」等の項目を有する。「ユーザ」は、ユーザの属性を示す。「検索クエリ」は、対応するユーザが指定した検索クエリを示す。なお、学習データは、ユーザが画像を選択するまでに掛かった時間や、同時に表示された画像、ユーザが選択した画像のポジション(表示位置)等に関する情報を含むようにしてもよい。
【0055】
「クリックした画像」は、対応するユーザが対応する検索クエリによる検索結果に含まれ商品の画像であって、クリックした画像(例えば、サムネイル画像)を示し、「クリックしなかった画像」は対応するユーザが対応する検索クエリによる検索結果に含まれる商品の画像であって、クリックしなかった画像を示す。
【0056】
すなわち、この場合には、電子商店街における各ユーザのログを基に学習データを収集することが可能となる。これらの学習データの収集を経て、学習部42は、収集した学習データを基に学習モデルの学習を行う。具体的には、学習部42は、分散表現空間において、検索クエリの特徴ベクトルと、当該検索クエリに紐づいた画像の特徴ベクトルが分散表現空間において、類似する特徴ベクトルとなるように学習モデルの学習を行う。
【0057】
より具体的には、学習部42は、類似する画像同士が類似する特徴ベクトル、類似する検索クエリ(キーワード)同士が類似する特徴ベクトル、かつ、学習データとなる検索クエリと当該検索クエリに紐づいた画像が類似する特徴ベクトルとなるように、学習モデルの学習を行う。
【0058】
また、学習部42は、各ユーザのユーザ属性を分散表現空間に投影可能な学習モデルの学習を行う。例えば、ユーザ属性は、ユーザの年齢、性別、住居等のいわゆるデモグラフィック属性と、電子商店街におけるユーザのログを含み、ユーザのログは、検索履歴、閲覧履歴、購入履歴等を含む。
【0059】
また、学習部42は、例えば、検索意図を表現したサムネイル画像の疑似的なランキングをSerial Rank等の手法により生成し、学習モデルの評価を行う。また、学習部42は、類似するユーザ属性同士が分散表現空間において類似する特徴ベクトルとなるように学習モデルの学習を行う。なお、学習データは、上記の例に限定されるものではなく、コーディネートサービスにおける各ユーザのログを含むようにしてもよい。コーディネートサービスにおけるユーザのログは、閲覧履歴、検索履歴、投稿履歴、コーディネートサービスを通じた商品の購入履歴等を含む。
【0060】
検索部43は、ユーザによって指定された検索クエリに基づいて検索対象(商品)を検索する。具体的には、検索部43は、ユーザ端末10からユーザIDおよび検索クエリを取得し、ユーザによって指定された検索クエリに合致する商品を商品情報記憶部32から検索する。そして、検索部43は、ユーザIDおよび検索結果に含まれる商品情報を選択部44へ渡す。
【0061】
選択部44は、検索部43による検索結果に含まれる商品に紐づいた複数の候補画像のうち、検索クエリとの関係性が最も高い候補画像を商品それぞれから選択する。具体的には、選択部44は、学習モデルを用いて、商品ごとに候補画像、ユーザ属性および検索クエリを分散表現空間に投影し、分散表現空間における各画像ベクトルVi、ユーザベクトルVuおよびクエリベクトルVqを結ぶ空間の面積を算出する(
図2参照)。
【0062】
例えば、選択部44は、かかる空間の面積が最も小さい画像ベクトルViに対応する候補画像をサムネイル画像として選択する。この際、選択部44は、例えば、画像ベクトルVi、ユーザベクトルVuおよびクエリベクトルVqを結ぶ空間の面積が閾値以上である場合、すなわち、検索クエリに対応するサムネイル画像がない場合、かかる商品に関する情報を生成部45へ渡し、サムネイル画像の生成を指示する。
【0063】
生成部45は、検索部43による検索結果に含まれる商品のサムネイル画像を検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する。生成部45は、選択部44によってサムネイル画像の生成が指示された商品、すなわち、商品に紐づく複数の候補画像がサムネイル画像の選択条件を満たさなかった商品についてサムネイル画像を生成する。
【0064】
例えば、生成部45は、検索部43による検索結果に含まれる商品を含むコーディネート画像をサムネイル画像として生成する。コーディネート画像は、複数の服飾を使用した画像である。例えば、生成部45は、トップス、ボトム、靴などの各カテゴリに対応する商品それぞれに紐づいた複数の候補画像を組み合わせてコーディネート画像を生成する。
【0065】
まず、生成部45は、検索クエリに基づき、合成用画像を抽出する。例えば、生成部45は、学習モデルを用いて、電子商店街で取り扱う商品の商品画像、ユーザによって投稿された投稿画像をそれぞれ分散表現空間に投影し、分散表現空間において検索クエリのクエリベクトルVqと類似する画像を合成用画像として抽出する。
【0066】
生成部45は、例えば、サムネイル画像の生成対象となる商品画像Itおよび検索クエリを基に、分散表現空間において検索クエリに類似し、かつ、商品と似合う画像を合成用画像として抽出する。たとえば、生成部45は、投稿画像に写るモデルの骨格、スタイル、季節等に応じて異なる複数のパターンの合成用画像を抽出する。なお、生成部45は、商品(たとえば、トップスなど)と、投稿画像に写るモデルとの相性や、投稿画像に写るモデルが着用する他の商品(たとえば、スカートなど)との相性、投稿画像に写る背景との相性に応じて異なる複数のパターンの合成用画像を抽出してもよい。
【0067】
生成部45は、ユーザによって投稿された投稿画像から合成用画像を抽出する場合には、たとえば、電子商店街で取り扱っていないブランドの商品を含む投稿画像を合成用画像の対象から除外するようにしてもよい。
【0068】
例えば、投稿画像には、各ユーザが着用中の商品(アイテム)に関するタグ付けが行われており、生成部45は、かかるタグに基づいて、電子商店街で取り扱っていない商品を含む投稿画像を判別することができる。
【0069】
なお、生成部45は、すべての投稿画像を合成用画像の対象から除外することなく、例えば、合成用画像を利用して合成画像を生成する際に、電子商店街で取り扱っていない商品を上書きして合成画像を生成するようにしてもよい。すなわち、電子商店街で取り扱っていないブランドの商品をサムネイル画像に掲載しないことにより、例えば、著作権の侵害を抑制することができる。
【0070】
なお、生成部45は、各検索クエリに対応する画像を予め準備しておき、かかる画像の中から合成用画像を抽出(選択)するようにしてもよい。
【0071】
生成部45は、合成画像の抽出を終えると、画像生成AIを用いて対象となる商品の商品画像Itおよび合成用画像から合成画像を生成する。例えば、生成部45は、各商品画像(各アイテム画像)を合成用画像上に配置してコラージュ画像を生成したうえで、コラージュ画像から自然なサムネイル画像を生成する。この際、生成部45は、例えば、各合成用画像から、使用アイテム、背景などの切り抜き画像を抽出したうえで、サムネイル画像を生成するようにしてもよい。
【0072】
また、生成部45は、ユーザや、検索クエリに応じて、画像生成AIへの指示を変更するようにしてもよい。例えば、生成部45は、ユーザが男性である場合、男性がモデルとなる画像を生成するように画像生成AIに指示する。
【0073】
また、検索元のユーザが男性であり、検索クエリが「女性、ワンピース、おしゃれ」である場合に、男性が女性へのプレゼントを検索しているとする。この場合、生成部45は、検索クエリの「女性」を基に、女性がモデルの画像を生成するように画像生成AIに指示する。なお、ユーザおよび検索クエリのどちらを優先するかについては、例えば、ルールベースで予め定めておくことにしてもよい。
【0074】
また、生成部45は、合成画像の生成に際し、例えば、ユーザが過去に購入した商品を合成画像に含めるようにしてもよい。なお、ユーザが過去に購入した商品は、例えば、電子商店街におけるユーザの購入履歴から特定することが可能であるが、ユーザが投稿した投稿画像(コーディネート画像)から特定するようにしてもよい。
【0075】
図10は、実施形態に係る合成画像の一例を示す図である。例えば、
図10に示すように、生成部45は、ユーザ情報記憶部31からユーザが過去に購入した商品の商品画像を抽出し、抽出した商品画像を含む合成画像を生成する。なお、この際、生成部45は、ユーザのログから選択された商品の商品画像を含む合成画像を生成するようにしてもよい。この場合、生成部45は、ユーザがお気に入りに登録した商品、過去に閲覧した商品、あるいは、対象となるユーザと類似するユーザが購入した商品等に関する商品画像を抽出するようにしてもよい。
図10に示す例において、ユーザが過去に購入した商品がバックとネックレスである。生成部45は、バックに対応する商品画像Ibおよびネックレスに対応する商品画像Inを、さらに合成用画像として利用して、合成画像Icを生成する。
【0076】
つまり、この場合において、合成画像Icは、ユーザが指定した検索クエリに対応する商品、換言すれば、ユーザの検索意図に合致する商品画像(
図10ではワンピース)に対し、ユーザが過去に購入したバックやネックレスをコーディネートした合成画像Icが生成されることになる。
【0077】
すなわち、合成画像Icでは、ユーザに対し、今回の販売対象となるワンピースに、ユーザ自身が現在所有するバックやネックレスをあわせて着用した際の見本を提示することができる。
【0078】
このように、生成部45は、ユーザに対し個別最適化した合成画像Icを生成することができるので、ユーザによる購買意欲の向上が期待される。なお、例えば、生成部45は、ユーザが指定した商品を組み合わせて合成画像Icを生成するようにしてもよい。この場合、ユーザは、過去に購入した商品から商品を選択するようにしてもよく、例えば、ユーザが撮影した商品の画像を選択するようにしてもよい。
【0079】
提供部46は、選択部44によって選択されたサムネイル画像をユーザに対して提供する。この際、提供部46は、選択部44によってサムネイル画像が選択されなかった商品については生成部45によって生成された合成画像Icをサムネイル画像として提供する。
【0080】
これにより、提供部46は、ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供することができる。
【0081】
〔3.処理フロー〕
次に、
図11を用いて、実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理手順について説明する。
図11は、実施形態に係る情報処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下に示す処理は、情報処理装置1によって、検索クエリの取得毎に所定の周期で繰り返し実行される。
【0082】
図11に示すように、情報処理装置1は、ユーザから検索クエリを受け付ける(ステップS101)。つづいて、情報処理装置1は、検索クエリに合致する商品を検索する(ステップS102)。
【0083】
つづいて、情報処理装置1は、検索結果に含まれる商品に紐づいた複数の候補画像、検索クエリ、ユーザ属性を分散表現空間に埋め込む(ステップS103)。つづいて、情報処理装置1は、分散表現空間における各特徴ベクトルに基づき、候補画像の中から、サムネイル画像を選択する(ステップS104)。
【0084】
つづいて、情報処理装置1は、候補画像が選択条件を満たさない商品があるか否かを判定し(ステップS105)、選択条件を満たさない商品があった場合(ステップS105:Yes)、当該商品のサムネイル画像を生成する(ステップS106)。
【0085】
また、情報処理装置1は、すべての商品からサムネイル画像が選択できた場合(ステップS105;No)、ステップS107の処理へ移行する。そして、情報処理装置1は、ユーザに対しサムネイル画像を提供し(ステップS107)、処理を終了する。
【0086】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、情報処理装置1が、商品に関するサムネイル画像を提供する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、SNSや動画サイトなどといった各種Webサービスのサムネイル画像を提供する際に、本願発明を適用するようにしてもよい。また、情報処理装置1が、コーディネートサービスにおいて、コーディネートに関するサムネイル画像を提供する際に、本願発明を提供するようにしてもよい。例えば、情報処理装置1は、検索部による検索結果に含まれるコーディネートに紐づいた複数の候補画像(投稿画像)のうち、検索クエリとの関係性が最も高い候補画像をコーディネートそれぞれから選択してサムネイル画像を生成するようにしてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、提供部46は、選択部44によってサムネイル画像が選択されなかった商品については生成部45によって生成された合成画像Icをサムネイル画像として提供すると説明したが、これに限定されるものではない。商品に紐づいた複数の候補画像の中に、ユーザによる検索意図を反映した候補画像がない場合であっても、当該商品が使用されたコーディネートを示す投稿画像がコーディネートサイトに投稿されており、その中に、ユーザによる検索意図を反映した投稿画像がある場合であれば、その投稿画像をサムネイル画像として提供してもよい。具体的には、情報処理装置1は、検索結果に含まれる商品を使用したコーディネートを示す複数の投稿画像、検索クエリ、ユーザ属性を分散表現空間に埋め込む。つづいて、情報処理装置1は、分散表現空間における各特徴ベクトルに基づき、投稿画像の中から、サムネイル画像を選択する。
【0088】
なお、情報処理装置1は、検索結果に含まれる商品を使用したコーディネートを示す全ての投稿画像を分散表現空間に埋め込むのではなく、あらかじめ、コーディネートサイトにおいて、同一の検索クエリで検索し、その検索結果に含まれる投稿画像を分散表現空間に埋め込むようにしてもよい。
【0089】
すなわち、検索部43による検索対象は、電子商店街で取り扱う商品に加え、例えば、コーディネートサービスに投稿されたコーディネート画像まで拡張するようにしてもよい。このように、検索対象を拡張することにより、ユーザの検索意図を反映した検索結果を提供することができる。
【0090】
〔5.効果〕
実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザによって指定された検索クエリに基づいて商品を検索する検索部43と、検索部43による検索結果に含まれる商品のサムネイル画像を検索クエリと画像との関係性に基づいて生成する生成部45と、生成部45によって生成されたサムネイル画像を提供する提供部46とを備える。
【0091】
また、生成部45は、商品に紐づく複数の候補画像がそれぞれ検索クエリと所定の関係性を満たさない商品についてサムネイル画像を生成する。また、生成部45は、分散表現空間に検索クエリおよび候補画像を投影し、分散表現空間において検索クエリと類似する候補画像がない商品のサムネイル画像を生成する。
【0092】
また、生成部45は、分散表現空間にユーザの属性を投影し、分散表現空間において検索クエリとユーザの属性とに類似する候補画像がない商品のサムネイル画像を生成する。また、生成部45は、ユーザによって投稿された投稿画像と、商品の商品画像とに基づいてサムネイル画像を生成する。
【0093】
また、生成部45は、サムネイル画像の生成対象となる商品に紐づく候補画像と、他の商品に紐づく候補画像とに基づいてサムネイル画像を生成する。また、生成部45は、検索クエリおよび他の商品に紐づく候補画像が投影された分散表現空間において検索クエリと類似する他の商品に紐づく候補画像と、生成対象となる商品に紐づく候補画像とに基づいてサムネイル画像を生成する。
【0094】
また、生成部45は、ユーザのログ情報から選択された商品の商品画像を組み合わせたサムネイル画像を生成する。また、生成部45は、投稿画像に、取り扱っていないブランドの商品を含まれる場合、当該商品を含まないサムネイル画像を生成する。
【0095】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、ユーザによる検索意図を反映したサムネイル画像を提供することができる。
【0096】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図12は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0097】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0098】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0099】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図12では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0100】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0101】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0102】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0103】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0104】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0105】
例えば、上述した情報処理装置は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0106】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0107】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 情報処理装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
10 ユーザ端末
31 ユーザ情報記憶部
32 商品情報記憶部
33 モデル記憶部
41 取得部
42 学習部
43 検索部
44 選択部
45 生成部
46 提供部
【手続補正書】
【提出日】2024-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって指定された検索クエリを用いて対応商品を検索する検索部と、
前記検索クエリに応じて、前記対応商品の画像であって当該対応商品にあらかじめ紐づけられた画像とは異なる画像を、当該対応商品のサムネイル画像として生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記サムネイル画像を前記検索クエリに対応する検索結果に含めて提供する提供部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記対応商品の画像であって、前記検索クエリに応じた内容の画像を当該対応商品の前記サムネイル画像として生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検索クエリは、少なくとも前記検索部による対応商品の検索に際して用いられる第1クエリと、少なくとも前記生成部による前記サムネイル画像の生成に際して用いられる第2クエリとで少なくとも構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検索クエリは、商品に関する所定の商品情報を示す第1クエリと、当該所定の商品情報とは異なる商品に関する他の情報を示す第2クエリとで少なくとも構成され、
前記生成部は、
前記対応商品の画像であって、前記第2クエリが示す他の情報に応じた内容の画像を当該対応商品の前記サムネイル画像として生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記他の情報は、商品の利用目的を示す情報である
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記生成部によって生成された画像、若しくは、前記対応商品に対してあらかじめ紐づけられた画像を当該対応商品の前記サムネイル画像として含む検索結果を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記対応商品にあらかじめ紐づけられた画像である候補画像がそれぞれ前記検索クエリと所定の関係性を満たさない場合に、当該対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、
分散表現空間に前記検索クエリと前記候補画像とを投影し、前記分散表現空間において前記検索クエリと類似する当該候補画像がない場合に、前記対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記分散表現空間に前記ユーザのユーザ情報を投影し、前記分散表現空間において前記検索クエリと前記ユーザ情報とに類似する前記候補画像がない場合に、前記対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、
ユーザによって投稿された投稿画像と、前記対応商品の商品画像とに基づいて、当該対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記生成部は、
前記対応商品にあらかじめ紐づけられた画像である当該対応商品の候補画像と、他の商品にあらかじめ紐づけられた画像である当該他の商品の候補画像とに基づいて、当該対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記生成部は、
前記検索クエリと前記他の商品の候補画像とが投影された分散表現空間において前記検索クエリと類似する当該他の商品の候補画像と、前記対応商品の候補画像とに基づいて、当該対応商品の前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記生成部は、
前記ユーザのログ情報から選択された商品の商品画像を組み合わせた前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記生成部は、
前記投稿画像に、電子商店街で取り扱っていないブランドの商品が含まれる場合、当該商品を含まない前記サムネイル画像を生成すること
を特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ユーザによって指定された検索クエリを用いて対応商品を検索する検索工程と、
前記検索クエリに応じて、前記対応商品の画像であって当該対応商品にあらかじめ紐づけられた画像とは異なる画像を、当該対応商品のサムネイル画像として生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された前記サムネイル画像を前記検索クエリに対応する検索結果に含めて提供する提供工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
ユーザによって指定された検索クエリを用いて対応商品を検索する検索手順と、
前記検索クエリに応じて、前記対応商品の画像であって当該対応商品にあらかじめ紐づけられた画像とは異なる画像を、当該対応商品のサムネイル画像として生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された前記サムネイル画像を前記検索クエリに対応する検索結果に含めて提供する提供手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。