(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009392
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20250110BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20250110BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20250110BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L25/04 C
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112372
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良隆
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 和弘
【テーマコード(参考)】
5F136
5H770
【Fターム(参考)】
5F136FA59
5H770AA21
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA21
5H770QA28
5H770QA38
(57)【要約】
【課題】配線基板が高温になることを抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップ120が第1封止部材150で封止された第1モジュール部10と、半導体チップ120と電気的に接続される配線基板210が第2封止部材230で封止された第2モジュール部20とを備え、第1モジュール部10と第2モジュール部20とは積層して配置されており、半導体チップ120と配線基板100との間には、第1封止部材150および第2封止部材230より熱伝導率の低い空気層600が配置される構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
半導体素子が形成された半導体チップ(120)が第1封止部材(150)で封止された第1モジュール部(10)と、
前記半導体チップと電気的に接続される配線基板(210)が第2封止部材(230)で封止された第2モジュール部(20)と、を備え、
前記第1モジュール部と前記第2モジュール部とは、積層して配置されており、
前記第1モジュール部と前記第2モジュール部との間に配置され、前記半導体チップと接続される端子部(140)と前記配線基板と接続される端子部(220)とを電気的に接続する導電性接合層(510)と、
前記第1モジュール部と前記第2モジュール部との間に配置された絶縁性接合層(520)と、を有し、
前記半導体チップと前記配線基板との間には、前記第1封止部材および前記第2封止部材より熱伝導率の低い空気層(600)が配置されている半導体装置。
【請求項2】
前記導電性接合層は、前記端子部と接続される部分と異なる部分が前記絶縁性接合層で被覆されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1モジュール部および前記第2モジュール部のうちの一方のモジュール部は、前記第1モジュール部と前記第2モジュール部との積層方向において、他方のモジュール部から突き出した突出部分を有し、
前記絶縁性接合層は、前記突出部分にも配置されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1モジュール部のうちの前記第2モジュール部側の面(10a)、および前記第2モジュール部のうちの前記第1モジュール部側の面(20b)の一方の面には、凹部(151、231)が形成されており、
前記空気層は、前記凹部内の空間を含んで構成される空気室(610)内の空間である請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記空気室は、前記第1モジュール部と前記第2モジュール部の積層方向において、前記半導体チップが内部に含まれる大きさとされている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1モジュール部のうちの前記第2モジュール部側の面、および前記第2モジュール部のうちの前記第1モジュール部側の面の他方の面には、前記凹部の開口端部(151a、231a)と対向する位置に窪み部(152、232)が形成され、
前記絶縁性接合層は、前記窪み部内にも配置され、
前記凹部の開口端部は、前記絶縁性接合層から露出している請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記凹部が形成されるモジュール部には、前記凹部の底面に、前記凹部が形成される面よりも凹んだ位置に先端面(233a)を有する平面枠状の凸部(233)が形成され、前記凸部と前記凹部の側面との間で収容部(234)が構成されており、
前記絶縁性接合層は、前記収容部にも配置されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1モジュール部のうちの前記第2モジュール部側の面、および前記第2モジュール部のうちの前記第1モジュール部側の面の一方の面には、前記第1モジュール部と前記第2モジュール部の積層方向において、前記凹部を囲む枠状とされ、前記空気室を封止する突起部(235)が形成されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記凹部の壁面には、前記封止部材よりも前記絶縁性接合層との濡れ性が低い低下部(236)が形成されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記凹部が形成されるモジュール部には、前記凹部と外部空間とを連通する連通路(237)が形成されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1モジュール部と前記第2モジュール部との間には、前記空気層を含有する空気層含有物(620)が配置されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1モジュール部のうちの前記第2モジュール部側の面(10a)、および前記第2モジュール部のうちの前記第1モジュール部側の面(20b)の少なくとも一方の面には、前記空気層を含む多孔質部(631、632)が形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体チップおよび配線基板が封止部材で封止された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体チップおよび配線基板が封止部材で封止された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この半導体装置では、リードフレーム上にトランジスタ等が形成された半導体チップが配置されている。配線基板は、リードフレーム上に半導体チップと離れる状態で配置され、半導体チップと電気的に接続されている。そして、半導体チップおよび配線基板は、モールド樹脂等で構成される封止部材によって一体的に封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような半導体装置では、半導体チップで発生する熱がモールド樹脂を介して配線基板に伝わることにより、配線基板が高温となって配線基板の信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、配線基板が高温になることを抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの観点によれば、半導体装置は、半導体素子が形成された半導体チップ(120)が第1封止部材(150)で封止された第1モジュール部(10)と、半導体チップと電気的に接続される配線基板(210)が第2封止部材(230)で封止された第2モジュール部(20)と、を備え、第1モジュール部と第2モジュール部とは、積層して配置されており、第1モジュールと第2モジュールとの間に配置され、半導体チップと接続される端子部(140)と配線基板と接続される端子部(220)とを電気的に接続する導電性接合層(510)と、第1モジュール部と第2モジュールとの間に配置された絶縁性接合層(520)と、を有し、半導体チップと配線基板との間には、第1封止部材および第2封止部材より熱伝導率の低い空気層(600)が配置されている。
【0007】
これによれば、半導体チップと配線基板との間には、第1封止部材および第2封止部材より熱伝導率が低い空気層が配置されている。このため、空気層によって半導体チップからの熱が配線基板に伝達され難くなり、配線基板が高温になることを抑制できる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図3A】
図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3B】
図3Aに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図5】積層方向における空気室と半導体チップの大きさとの関係を説明するための図である。
【
図6】第3実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図7A】
図6に示す半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図8】第4実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図9】第5実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図10】第6実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図11】第7実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図12】第8実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図13】第9実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図14】第10実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図15】第11実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図17】第12実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図18】第13実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図19】第13実施形態における半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の半導体装置の構成について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するために用いられると好適である。
【0012】
本実施形態の半導体装置は、
図1に示されるように、第1モジュール部10および第2モジュール部20を有し、第1モジュール部10と第2モジュール部20とが積層されて構成されている。
【0013】
第1モジュール部10は、第1支持部材110、半導体チップ120、第2支持部材130、制御端子部140、第1封止部材150等を備えている。
【0014】
第1支持部材110は、例えば、Cu(銅)、Fe(鉄)、またはこれらの合金等で構成されるリードフレーム等で構成されている。そして、本実施形態の第1支持部材110は、表面111aおよび表面111aと反対側の裏面111bを有する第1搭載部111と、第1搭載部111に接続された第1接続端子部112とを有している。なお、第1接続端子部112は、第1搭載部111における表面111aの面方向に沿って延設されており、本実施形態では第1搭載部111と一体化されている。また、本実施形態の第1接続端子部112は、後述する制御端子部140側と反対側に延設されている。
【0015】
半導体チップ120は、一面120aおよび一面120aと反対側の他面120bを有し、MOSFET素子やIGBT素子等のパワー素子(すなわち、半導体素子)が形成されて構成されている。なお、MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略称であり、IGBTは、Insulated Gate Bipolar Transistorの略称である。そして、半導体チップ120は、他面120b側が第1搭載部111と対向する状態で、接合部材401を介して第1搭載部111の表面111a上に配置されている。なお、半導体チップ120の一面120a側には、図示しないゲートパッド等が接続されている。また、半導体チップ120には、詳細は省略するが、温度センス等のセンス素子も適宜形成されている。
【0016】
第2支持部材130は、第1支持部材110と同様のリードフレーム等で構成され、表面131aおよび表面131aと反対側の裏面131bを有する第2搭載部131と、第2搭載部131に接続された第2接続端子部132とを有している。
【0017】
そして、第2支持部材130は、第2搭載部131の表面131aが接合部材402を介して半導体チップ120の一面120a側と接続されている。すなわち、第1支持部材110および第2支持部材130は、半導体チップ120を挟んで対向するように配置されている。なお、第2接続端子部132は、第2搭載部131における表面131aの面方向に沿って延設され、本実施形態では、第1接続端子部112と同じ方向に延設されている。また、第2接続端子部132は、本実施形態では第2搭載部131と一体化されている。
【0018】
制御端子部140は、半導体チップ120の一面120a側に形成される図示しないゲートパッドと接合部材403を介して接続されている。また、本実施形態の制御端子部140は、後述の第1封止部材150における一面150aから露出するように適宜折り曲げられて形状が調整されている。
【0019】
第1封止部材150は、モールド樹脂やポッティング樹脂等で構成され、第1支持部材110、半導体チップ120、第2支持部材130、制御端子部140等を封止するように形成されている。具体的には、第1封止部材150は、一面150a、一面150aと反対側の他面150b、4つの側面150cを有する略直方体形状とされている。そして、第1封止部材150は、他面150bから第1支持部材110における第1搭載部111の裏面111bが露出し、4つの側面150cのうちの1つの側面150cから第1接続端子部112および第2接続端子部132が突出するように形成されている。また、第1封止部材150は、一面150aから制御端子部140が露出するように形成されている。
【0020】
ここで、第1モジュール部10は、第1封止部材150および第1封止部材150から露出する第1支持部材110等にて外形が形作られる。以下、第1モジュール部10において、第1封止部材150における一面150a側の面を一面10aともいい、他面150b側の面を他面10bともいい、側面150c側の面を側面10cともいう。つまり、第1モジュール部10は、一面10aから制御端子部140が露出し、1つの側面10cから第1接続端子部112および第2接続端子部132が突出し、他面10bから第1搭載部111の裏面111bが露出する構成とされている。
【0021】
第2モジュール部20は、配線基板210、配線端子部220、第2封止部材230等を備えている。
【0022】
配線基板210は、一面210aおよび他面210bを有するプリント基板等で構成されている。本実施形態の配線基板210は、特に図示しないが、一面210a側に一面側配線が形成されると共に他面210b側に他面側配線が形成され、一面側配線と他面側配線とを接続するスルーホール配線が適宜形成された構成とされている。そして、配線基板210は、一面210a側にチップコンデンサや抵抗等の電子部品211が接合部材212を介して搭載されていると共に、他面210b側に半導体チップ120を駆動するための駆動ICチップ213が図示しない接合部材を介して搭載されている。なお、配線基板210の一面210a側および他面210b側に配置される各部材の種類や配置箇所は、適宜変更可能である。
【0023】
配線端子部220は、配線基板210の他面210b側に接合部材221を介して配置されている。なお、配線端子部220は、
図1では1本みを示しているが、半導体チップ120の構成に対応した本数とされ、
図1と異なる別断面にも適宜配置される。
【0024】
第2封止部材230は、第1封止部材150と同様に、モールド樹脂やポッティング樹脂等で構成され、配線基板210および配線端子部220等を封止するように形成されている。具体的には、第2封止部材230は、一面230a、一面230aと反対側の他面230b、4つの側面230cを有する略直方体形状とされている。そして、第2封止部材230は、他面230bから配線端子部220が露出するように形成されている。
【0025】
ここで、第2モジュール部20は、第2封止部材230にて外形が形作られる。以下、第2モジュール部20において、第2封止部材230における、一面230a側の面を一面20a、他面230b側の面を他面20b、側面230c側の面を側面20cともいう。
【0026】
そして、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、第1モジュール部10の一面10aと第2モジュール部20の他面20bとが対向する状態で積層され、導電性接合層510および絶縁性接合層520を介して一体化されている。
【0027】
具体的には、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、制御端子部140のうちの第1封止部材150から露出する部分と、配線端子部220のうちの第2封止部材230から露出する部分とが対向するように積層されている。そして、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間には、制御端子部140と配線端子部220とを電気的に接続する導電性接合層510が配置されている。また、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間には、導電性接合層510が配置される部分と異なる部分に絶縁性接合層520が配置されている。
【0028】
なお、導電性接合層510は、例えば、はんだや導電性接着剤等で構成される。絶縁性接合層520は、エポキシ樹脂等で構成される。そして、絶縁性接合層520は、導電性接合層510のうちの制御端子部140および配線端子部220と接続される部分と異なる部分を被覆するように配置されている。
【0029】
また、本実施形態では、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、第1モジュール部10と第2モジュール部20との積層方向(以下では、単に積層方向ともいう)において、次の構成とされている。なお、
図1中では、紙面上下方向が積層方向となる。
【0030】
すなわち、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第1モジュール部10の方が第2モジュール部20よりも大きくされている。言い換えると、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第1モジュール部10内に第2モジュール部20の全体が位置する大きさとされている。さらに、言い換えると、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第1モジュール部10が第2モジュール部20から突出した突出部分を有する形状とされている。そして、絶縁性接合層520は、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間に配置されると共に、第1モジュール部10のうちの第2モジュール部20から突き出した突出部分にもはみ出して配置されている。
【0031】
なお、本実施形態では、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第1モジュール部10のうちの突き出す部分の突出長さがほぼ一定となるように構成されている。本実施形態では、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第1モジュール部10の突出長さが1mm以上となるように、大きさが調整されている。
【0032】
第1モジュール部10の半導体チップ120と第2モジュール部20の配線基板210との間には、空気層600が形成されている。本実施形態では、第2封止部材230の他面230bには、配線基板210と半導体チップ120との間に位置する部分に凹部231が形成されている。そして、この凹部231が閉塞されるように第1モジュール部10と第2モジュール部20とが一体化されることにより、空気層600を有する空気室610が構成される。具体的には、空気室610は、凹部231および絶縁性接合層520で囲まれる空間にて構成されている。なお、本実施形態の空気室610は、大気が密封されることで空気層600が配置されており、空気層600は、第1封止部材150および第2封止部材230よりも熱伝導率の低い物質である。
【0033】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。このような半導体装置は、例えば、インバータ回路を構成するのに用いられ、使用時に半導体チップ120が発熱すると、
図2A中の矢印Aのように配線基板210側に熱が伝わる。しかしながら、本実施形態では、半導体チップ120と配線基板210との間に、第1封止部材150および第2封止部材230よりも熱伝導率の低い空気層600が配置されている。このため、空気層600によって半導体チップ120からの熱が配線基板210に伝達され難くなり、配線基板210が高温になることを抑制できる。
【0034】
次に、上記半導体装置の製造方法について、
図3Aおよび
図3Bを参照しつつ説明する。
【0035】
まず、
図3Aに示されるように、上記構成の第1モジュール部10および第2モジュール部20を用意し、第1モジュール部10および第2モジュール部20を治具等で適宜保持する。そして、第1モジュール部10の制御端子部140と第2モジュール部20の配線端子部220とを導電性接合層510を介して接続しつつ、第1モジュール部10の一面10a上に第2モジュール部20を配置する。なお、この状態では、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間のうちの導電性接合層510が配置される部分と異なる部分は、隙間が構成された状態となっている。
【0036】
続いて、
図3Bに示されるように、硬化されることで絶縁性接合層520を構成する構成部材520aを用意する。そして、第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間を毛細管現象によって構成部材520aが流動するように、構成部材520aを塗布する。本実施形態では、積層方向において第1モジュール部10のうちの第2モジュール部20から突出した突出部分の所定箇所にディスペンサ等を用いて構成部材520aを塗布することにより、構成部材520aを第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間に流動させる。
【0037】
その後は、特に図示しないが、加熱処理等を行い、構成部材520aを硬化させて絶縁性接合層520を構成することにより、
図1に示す半導体装置が製造される。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間には、第1封止部材150および第2封止部材230より熱伝導率が低い空気層600が配置されている。このため、空気層600によって半導体チップ120からの熱が配線基板210に伝達され難くなり、配線基板210が高温になることを抑制できる。したがって、半導体装置の信頼性を向上できる。
【0039】
(1)本実施形態では、第1モジュール部10の半導体チップ120と第2モジュール部20の配線基板210とが導電性接合層510を介して接続されている。また、導電性接合層510は、絶縁性接合層520で被覆されている。このため、第1モジュール部10と第2モジュール部20とを別の封止部材で構成しつつ、積層して配置することができる。
【0040】
(2)本実施形態では、積層方向において、第1モジュール部10が第2モジュール部20から突出した突出部分を有している。このため、絶縁性接合層520を構成する構成部材520aを第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間に容易に配置することができる。
【0041】
(3)本実施形態では、第1モジュール部10と第2モジュール部20とが別の封止部材150、230によって封止され、第1モジュール部10と第2モジュール部20とを積層して配置することで空気層600を構成している。このため、例えば、第1封止部材150と第2封止部材230とが一体化された封止部材である場合と比較して、封止部材を構成する際に空気室を形成する必要がなく、封止部材を形成するための金型が複雑になることを抑制できる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、空気室610の形状を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、
図4および
図5に示されるように、空気室610(すなわち、空気層600)は、積層方向において、半導体チップ120よりも大きくされている。具体的には、空気室610は、積層方向において、半導体チップ120の全体が内部に位置するように、凹部231の大きさが調整されている。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(1)本実施形態では、空気室610(すなわち、空気層600)は、積層方向において、半導体チップ120よりも大きくされている。このため、半導体チップ120からの熱が配線基板210に伝達されることをさらに抑制できる。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第1モジュール部10側に空気室610を形成しものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
本実施形態の半導体装置は、
図6に示されるように、第1モジュール部10は、第1封止部材150の一面150aに凹部151が形成されている。そして、空気室610は、凹部151が閉塞されないように、第1モジュール部10と第2モジュール部20とが導電性接合層510および絶縁性接合層520を介して一体化されることで構成されている。つまり、本実施形態では、空気室610(すなわち、空気層600)は、第1モジュール部10側に配置されている。
【0048】
また、本実施形態では、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第2モジュール部20の方が第1モジュール部10よりも大きくされている。言い換えると、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第2モジュール部20内に第1モジュール部10の全体が位置する大きさとされている。本実施形態では、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、積層方向において、第2モジュール部20の突出長さが1mm以上となるように、大きさが調整されている。
【0049】
次に、このような半導体装置の製造方法について、
図7Aおよび
図7Bを参照しつつ説明する。
【0050】
まず、
図7Aに示されるように、上記構成の第1モジュール部10および第2モジュール部20を用意し、第1モジュール部10および第2モジュール部20を治具等で適宜保持する。そして、第1モジュール部10の制御端子部140と第2モジュール部20の配線端子部220とが導電性接合層510を介して接続されるように、第2モジュール部20の他面20b上に第1モジュール部10を配置する。
【0051】
続いて、
図7Bに示されるように、積層方向において第2モジュール部20のうちの第1モジュール部10から突出した突出部分の所定箇所にディスペンサ等を用いて構成部材520aを塗布する。そして、第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間に構成部材520aを流動させる。
【0052】
その後は、特に図示しないが、加熱処理等を行って構成部材520aを硬化させ、第1モジュール部10と第2モジュール部20との上下を反転させることにより、
図6に示す半導体装置が製造される。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(1)本実施形態では、空気室610(すなわち、空気層600)は、半導体チップ120が配置される第1モジュール部10側に配置される。つまり、空気室610は、発熱する半導体チップ120の近傍に配置される。このため、半導体チップ120から発生する熱の広がりを早期に遮断し易くできる。
【0055】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第1モジュール部10に窪み部を形成しものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
本実施形態の半導体装置は、
図8に示されるように、第1封止部材150の一面150aのうちの凹部231と対向する部分に窪み部152が形成されている。具体的には、窪み部152は、積層方向において、凹部231の全体が窪み部152内に位置する大きさとされた平面矩形状とされている。このため、凹部231の開口端部231aは、全領域が窪み部152の底面と対向した状態となっている。
【0057】
そして、絶縁性接合層520は、窪み部152内にも配置されている。但し、第2封止部材230における凹部231の開口端部231aは、絶縁性接合層520ら露出した状態となっている。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(1)本実施形態では、第2モジュール部20に窪み部152が形成され、空気室610を構成する凹部231の開口端部231aは、絶縁性接合層520から露出している。このため、製品毎に空気層600の断熱効果がばらつくことを抑制できる。
【0060】
すなわち、半導体装置は、上記の
図3Bを参照して説明したように、構成部材520aを第1モジュール部10と第2モジュール部20との間の隙間に流動させて製造される。この場合、構成部材520aが凹部231の開口端部231aに接触すると、構成部材520aが凹部231の側面を這い上がる可能性がある。そして、構成部材520aが凹部231の側面を這い上がると、空気室610内の体積が変動し、空気層600の断熱効果がばらつく。このため、本実施形態では、窪み部152を形成して窪み部152内に構成部材520aが流れるようにすることにより、凹部231の開口端部231aが絶縁性接合層520から露出するようにしている。これにより、本実施形態では、製品毎に空気室610の体積が変動することを抑制し、空気層600の断熱効果がばらつくことを抑制できる。
【0061】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、窪み部152の構成を変更したものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
本実施形態の半導体装置は、
図9に示されるように、窪み部152は、凹部231の開口端部231aと対向する部分に形成された枠状とされている。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
(1)本実施形態のように、窪み部152を凹部231の開口端部231aと対向する部分に形成された枠状としても、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、窪み部152を枠状とすることにより、上記第4実施形態と比較すると、窪み部152内に流れ込む絶縁性接合層520の量を低減できる。
【0065】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせたものであ。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
本実施形態の半導体装置は、
図10に示されるように、第3実施形態と同様に、第1モジュール部10に凹部151が形成されて空気室610が構成されている。そして、第2モジュール部20の第2封止部材230には、他面20bのうちの凹部151と対向する部分に窪み部232が形成されている。具体的には、窪み部232は、積層方向において、凹部151の全体が窪み部232内に位置する大きさとされた平面矩形状とされている。このため、第1封止部材150に形成された凹部151の開口端部151aは、全領域が窪み部232の底面と対向した状態となっている。
【0067】
絶縁性接合層520は、窪み部152内にも配置されている。そして、凹部151の開口端部151aは、絶縁性接合層520から露出した状態となっている。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態のように、第2モジュール部20に窪み部232を形成し、第1モジュール部10に形成された凹部151の開口端部151aが絶縁性接合層520から露出するようにしても、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、凹部231に堰止構造を追加したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
本実施形態の半導体装置は、
図11に示されるように、第2封止部材230に形成された凹部231には、底面の外縁部に、底面の面方向に対する法線方向に突き出した凸部233が形成されている。具体的には、凸部233は、先端面233aが第2封止部材230の他面230bよりも凹んだ位置となるように高さが調整され、凹部231の側面に沿って平面枠状に形成されている。そして、凸部233と凹部231の側面との間には、収容部234が構成され、収容部234に絶縁性接合層520が配置された状態となっている。なお、
図11は、
図1中のXI部分の拡大図に相当する。また、本実施形態では、凸部233が堰止構造に相当する。
【0072】
このような半導体装置は、上記第1実施形態と同様に製造され、構成部材520aが第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間を流動する際、構成部材520aが凹部231の開口端部231aに接触することで凹部231の側面を這い上がる。しかしながら、本実施形態では、収容部234が構成されているため、構成部材520aは、収容部234に流れ込むが、凸部233よりも内縁部側まで侵入することが抑制される。また、凸部233は、先端面233aが第2封止部材230の他面230bよりも凹んだ位置となるように高さが調整されている。このため、凸部233の先端面233aが構成部材520aと接触して構成部材520aが凸部233を這い上がることはない。したがって、本実施形態の半導体装置では、収容部234に絶縁性接合層520が配置された状態となるが、製品毎に空気室610の体積が変動することを抑制できる。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(1)本実施形態では、凹部231に凸部233が構成されている。このため、凸部233よりも内縁部側まで構成部材520aが這い上がることを抑制できる。したがって、製品毎に空気層600の体積が変化することを抑制でき、断熱効果がばらつくことを抑制できる。
【0075】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第2モジュール部20に突起部を追加したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
本実施形態の半導体装置は、
図12に示されるように、第2封止部材230には、他面230bのうちの凹部231の周囲に、凹部231を囲む枠状の突起部235が形成されている。突起部235は、高さが導電性接合層510に対応するように調整されており、第1モジュール部10の一面10aと当接する高さとされている。そして、空気室610は、凹部231、突起部235、第1モジュール部10の一面10aで囲まれる空間にて構成されている。つまり、空気室610は、突起部235によって封止された状態となっている。なお、本実施形態では、突起部235が堰止構造に相当する。
【0077】
絶縁性接合層520は、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間のうちの突起部235より外側に配置されている。つまり、絶縁性接合層520は、空気室610内には配置されていない。
【0078】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
(1)本実施形態では、第2封止部材230の他面20bに突起部235が形成され、突起部235が第1モジュール部10と当接している。このため、絶縁性接合層520が空気室610内に入り込み難くなり、製品毎に空気層600の断熱効果がばらつくことを抑制できる。
【0080】
(第8実施形態の変形例)
上記第8実施形態の変形例について説明する。上記第8実施形態において、突起部235は、第1モジュール部10側に形成されていてもよい。また、上記第8実施形態において、第1モジュール部10に突起部235に対応する凹み部を形成し、突起部235が凹み部に挿入されるようにしてもよい。これによれば、さらに第1モジュール部10と第2モジュール部20との位置合わせを容易にできる。
【0081】
(第9実施形態)
第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、凹部231に低下部を形成したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
本実施形態の半導体装置は、
図13に示されるように、凹部231の壁面には、第2封止部材230よりも絶縁性接合層520との濡れ性が低い低下部236が形成されている。低下部236は、例えば、フッ化水素膜等で構成される。また、低下部236部は、例えば、凹部231の壁面にレーザ照射等を行って粗化した粗化部で形成される。
【0083】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(1)本実施形態では、凹部231の壁面に低下部236が形成されている。このため、絶縁性接合層520を構成する構成部材520aを配置する際、構成部材520aが凹部231の壁面を這い上がり難くなる。したがって、製品毎に空気層600の断熱効果がばらつくことを抑制できる。
【0085】
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。本実施形態は、第9実施形態に対し、第1モジュール部10にも低下部を形成したものである。その他に関しては、第9実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
本実施形態の半導体装置は、
図14に示されるように、第1封止部材150の一面150aのうちの凹部231と対向する部分に、第1封止部材150よりも絶縁性接合層520との濡れ性が低い低下部153が形成されている。第1封止部材150に形成される低下部153は、第2封止部材230に形成される低下部236と同様に、フッ化水素膜や、レーザ照射等を行って粗化した粗化部で形成される。
【0087】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(1)本実施形態では、第1封止部材150の一面150aのうちの凹部231と対向する部分にも低下部153が形成されている。このため、絶縁性接合層520を構成する構成部材520aを配置する際、構成部材520aが凹部231の壁面をさらに這い上がり難くなる。したがって、製品毎に空気層600の断熱効果がばらつくことをさらに抑制できる。
【0089】
(第11実施形態)
第11実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、空気層600の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0090】
本実施形態の半導体装置では、
図15に示されるように、第1モジュール部10と第2モジュール部20との間には、半導体チップ120と配線基板210との間となる部分に、空気層600を有する多孔質部材620が配置されている。
【0091】
多孔質部材620は、例えば、グラスウール等で構成され、空気層600は、多孔質部材620の内部に含有される空気で構成されている。また、本実施形態では、多孔質部材620が空気層含有物に相当する。なお、多孔質部材620は、空気層600と異なる部分が第1封止部材150や第2封止部材230よりも熱伝導率が低い材料で構成されることが好ましい。
【0092】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。次に、上記半導体装置の製造方法について、
図16Aおよび
図16Bを参照しつつ説明する。
【0093】
まず、
図16Aに示されるように、第1モジュール部10の一面10aのうちの半導体チップ120と対向する部分に構成部材520aを介して多孔質部材620を配置する。その後、加熱処理等を行って構成部材520aを硬化させて絶縁性接合層520とすることにより、多孔質部材620を固定する。なお、多孔質部材620は、第2モジュール部20の他面20bと当接するように、厚さが調整されている。
【0094】
続いて、
図16Bに示されるように、第1モジュール部10の制御端子部140と第2モジュール部20の配線端子部220とを導電性接合層510を介して接続しつつ、第1モジュール部10の一面10a上に第2モジュール部20を配置する。この際、多孔質部材620は、第2モジュール部20の他面20bと当接した状態となっている。
【0095】
その後は、特に図示しないが、第1モジュール部10と第2モジュール部20との隙間に構成部材520aを流動させ、構成部材520aを硬化させて絶縁性接合層520を構成することにより、
図15に示す半導体装置が製造される。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(1)本実施形態のように、空気層600は、多孔質部材620で構成されていてもよい。そして、このように多孔質部材620を配置することにより、第2封止部材230に凹部231を形成する必要がなくなる。
【0098】
(第11実施形態の変形例)
第11施形態の変形例について説明する。上記第11実施形態において、空気層含有物は、アクリルやエポキシ樹脂等で構成され、内部に空気層600を有する箱状のケース等で構成されていてもよい。
【0099】
(第12実施形態)
第12実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、空気層600の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0100】
本実施形態の半導体装置は、
図17に示されるように、第1モジュール部10の一面10aには、空気層600を含む多孔質部631が形成されている。同様に、第2モジュール部20の他面20bには、空気層600を含む多孔質部632が形成されている。このような多孔質部631、632は、例えば、レーザ照射等の粗化処理を行って形成される粗化部で構成される。この場合、第1封止部材150および第2封止部材230にフィラー等が混入されている場合には、粗化処理を行うことでフィラー等が除去された隙間等も空気層600となる。
【0101】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(1)本実施形態のように、空気層600は、多孔質部631、632で構成されていてもよい。
【0103】
(第12実施形態の変形例)
第12実施形態の変形例について説明する。多孔質部631、632は、第1モジュール部10および第2モジュール部20の一方に形成されていてもよい。
【0104】
(第13実施形態)
第13実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、連通路を形成したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0105】
本実施形態の半導体装置は、
図18および
図19に示されるように、第2封止部材230には、凹部231と連通する連通路237が形成されている。具体的には、連通路237は、第2封止部材230の側面230cに達するように形成されている。このため、空気室610は、外部空間と連通した状態となっている。なお、
図18は、
図19中のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。
【0106】
以上説明した本実施形態によれば、半導体チップ120と配線基板210との間に空気層600が配置されている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
(1)本実施形態では、空気室610が外部空間と連通路237を介して連通されている。このため、使用環境の温度による空気層600の膨張や圧縮等によって空気室610に余分な応力が印加されることを抑制できる。
【0108】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0109】
例えば、上記各実施形態において、第1支持部材110および第2支持部材130の構成は適宜変更可能であり、AMB(Active Matal Brazingの略)基板等で構成されていてもよい。
【0110】
また、上記各実施形態において、第1モジュール部10および第2モジュール部20は、平面形状が同じ大きさとされていてもよい。
【0111】
上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、空気室610を有する半導体装置とする場合には、適宜上記第2実施形態を組み合わせ、空気室610を大きくするようにしてもよい。また、空気室610を有する半導体装置とする場合には、適宜第4~第6実施形態を組み合わせ、窪み部152、232を形成するようにしてもよい。また、空気室610を有する半導体装置とする場合には、第7~第10実施形態を組み合わせ、堰止構造を形成するようにしてもよい。また、空気室610を有する半導体装置とする場合には、上記第13実施形態を適宜組み合わせ、連通路237を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 第1モジュール部
20 第2モジュール部
120 半導体チップ
150 第1封止部材
210 配線基板
230 第2封止部材
510 導電性接合層
520 絶縁性接合層
600 空気層