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特開2025-940822-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244BB)および水の共沸混合物または共沸混合物様組成物
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  • 特開-2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244BB)および水の共沸混合物または共沸混合物様組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025094082
(43)【公開日】2025-06-24
(54)【発明の名称】2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244BB)および水の共沸混合物または共沸混合物様組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 19/10 20060101AFI20250617BHJP
   C07C 17/386 20060101ALI20250617BHJP
   C07C 17/25 20060101ALI20250617BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20250617BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20250617BHJP
【FI】
C07C19/10
C07C17/386
C07C17/25
C07C21/18
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025043355
(22)【出願日】2025-03-18
(62)【分割の表示】P 2022526077の分割
【原出願日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/931,494
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ,ハルク
(72)【発明者】
【氏名】メルケル,ダニエル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ハン・ティー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共沸混合物または共沸混合物様組成物を含む組成物、ならびにその形成方法を提供する。
【解決手段】2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む不均一共沸混合物または共沸混合物様組成物であって、約0.05wt.%~約92.01wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水を含んでいてよく、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて沸点約-13.5℃~約14.5℃を有する、不均一共沸混合物または共沸混合物様組成物。この共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から、不純物を分離するのに使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.05wt.%~約92.01wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水から本質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物を含む組成物。
【請求項2】
共沸混合物または共沸混合物様組成物が、
約61wt.%~約90wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約10wt.%~約39wt.%の水、
より好ましくは61.39wt.%~約88.29wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約11.71wt.%~約38.61wt.%の水
から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
共沸混合物または共沸混合物様組成物が、圧力約12.5psia~約16.5psia、好ましくは約14.5psiaにおいて、沸点約13.5℃~約14.5℃、好ましくは約13.99℃~約14.02℃を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する方法であって、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を合わせて、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するステップを含む、方法。
【請求項5】
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の他の物質を含む組成物からの2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から、少なくとも1種の他の物質を分離する方法であって、
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の他の物質を含む組成物を用意するステップと、
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップならびに有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物、好ましくは請求項1から3のいずれかに記載の共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件を、組成物に施すステップと、
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から共沸混合物または共沸混合物様組成物を分離するステップと
を含む、方法。
【請求項6】
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップが、
組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を添加するステップ、または
組成物に水を添加するステップ、または
組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の両方を添加するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の他の物質が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくは分離ステップが、相分離、蒸留、および分画のうちの少
なくとも1つを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を生成する方法であって、請求項1から3のいずれかに記載の共沸混合物または共沸混合物様組成物中に存在する2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の少なくとも一部を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップを含む、方法。
【請求項9】
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の少なくとも一部を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップが、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を塩基と反応させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
塩基が苛性塩基、好ましくはアルカリ金属水酸化物、好ましくはKOHまたはNaOHである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップが、水性環境で、好ましくは相間移動触媒、好ましくはハロゲン化アンモニウム、好ましくはトリアルキルアンモニウムハライドまたはテトラアルキルアンモニウムハライド、好ましくはトリアルキルアンモニウムクロリドまたはテトラアルキルアンモニウムクロリド存在下で行われる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップが、温度約0℃~約100℃、好ましくは約20℃~約90℃、好ましくは約50℃~約90℃、好ましくは約60℃~約80℃で行われる、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
共沸混合物または共沸混合物様組成物が、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換する反応に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を移す再循環ライン中に存在する、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、共沸混合物または共沸混合物様組成物、詳細には、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む共沸混合物または共沸混合物様組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含むテトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、有効な冷媒、伝熱媒体、噴射剤、起泡剤、発泡剤、気体誘電体、滅菌剤キャリア、重合媒体、粒子除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、置換乾燥剤および動力サイクル作動流体であることが知られる。ともに地球のオゾン層を損傷させる可能性のあるクロロフルオロカーボン(CFC)およびヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)とは異なり、HFOはオゾン層に脅威を与えない。HFO-1234yfは、毒性の低い、地球温暖化係数の低い化合物であることも示されており、ゆえに、可動式の空調装置における冷媒にとってのますます厳しくなりつつある必要条件を満たしうる。したがって、HFO-1234yfを含有する組成物は、前述の用途のうちの多くにおける使用のために開発が進んでいる材料のうちの1つである。
【0003】
[0003]HFO-1234yfの一製造方法は、出発原料として1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCFC-1230xa)を使用する。この方法は以下の3つのステップを含む:
ステップ(1)固体触媒が装填された気相反応器内での、1230xa+3HF-->2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233xf)+3HCl、
ステップ(2)液体触媒が装填された液相反応器内での、1233xf+HF-->2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(244bb)、および
ステップ(3)液相中または気相反応器内での、244bb-->1234yf+HCl。
上記の方法の間、副生成物が生成される可能性があり、かつ/または不純物が存在する可能性がある。望ましくない副反応を制限するため、可能な限り純度の高い形態で全ての反応体および中間生成物を有することが望ましい。それゆえに、反応体および中間生成物中の不純物を低減させる方法が望まれる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の共沸混合物または共沸混合物様組成物を提供する。
[0005]共沸混合物の形成を予測するのは不可能であることが当技術分野で十分に認識されており、本発明者らは、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水が共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成し、詳細には、不均一共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成することを予期せず発見した。
【0005】
[0006]本開示は、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物を含む組成物を提供し、共沸混合物または共沸混合物様組成物は、好ましくは圧力約12.5psia~約16.5psia、好ましくは約14.5psiaにおいて、沸点約13.5℃~約14.5℃、好ましくは約13.99℃~約14.02℃を有する。
【0006】
[0007]共沸混合物または共沸混合物様組成物は、約0.05wt.%~約92.01wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水から本質的になっていてよい。共沸混合物または共沸混合物様組成物は、約61wt.%~約90wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約10wt.%~約39wt.%の水、または61.39wt.%~約88.29wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約11.71wt.%~約38.61wt.%の水から本質的になっていてよい。共沸混合物または共沸混合物様組成物は、好ましくは圧力約12.5psia~約16.5psia、好ましくは約14.5psiaにおいて、沸点約13.5℃~約14.5℃、好ましくは約13.99℃~約14.02℃を有する。
【0007】
[0008]本開示は、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する方法であって、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を合わせて、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になり、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて、沸点約13.5℃~約14.5℃を有する共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するステップを含む、方法も提供する。
【0008】
[0009]本開示は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の不純物を含む組成物から、不純物を分離する方法であって、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の不純物を含む組成物を用意するステップと、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップならびに有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件を、組成物に施すステップと、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物から共沸混合物または共沸混合物様組成物を分離するステップとを含み、分離ステップが相分離、蒸留、および分画のうちの少なくとも1つを含んでいてよい、方法をさらに提供する。本文脈では、「不純物(impurity)」(および「不純物(impurirties)」)は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から分離されることを意図される物質を包含するが、分離される物質はそれ自体が価値を有しうる。そのような「不純物」の例は、販売されて収益を生み出すことが可能な非常に価値ある市販製品である、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)である。請求項は、この点を強調するため「不純物」の代わりに「他の物質」と呼び、「他の物質」および「不純物」という語は、本開示において、本文脈では互換可能に使用されることが意図される。
【0009】
[0010]上記の方法において、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップは、組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を添加するステップ、組成物に水を添加するステップ、または組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の両方を添加するステップを伴っていてよい。
【0010】
[0011]本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を生成する方法であって、上記で定義された共沸混合物または共沸混合物様組成物中に存在する2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の少なくとも一部を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf
)に変換するステップとを含む、方法も提供する。本方法は、直接変換(HCFC-244bbが、HFO-1234yfに変換される時点で共沸混合物中に存在する場合)および間接変換(例えば、それ以前に共沸混合物または共沸混合物様組成物中に存在したHCFC-244bbが、HFO-1234yfに変換される時点では共沸混合物または共沸混合物様組成物の一部でない場合)の両方を包含する。後者の可能性は、例えば、共沸を妨害する他の物質が存在するため、本開示の共沸混合物/共沸混合物様組成物を含まないが、HCFC-244bbの分子がそれ以前には共沸混合物/共沸混合物様組成物の形態であった反応混合物中で、HCFC-244bbをHFO-1234yfに変換することを含む。方法は、HCFC-244bbを塩基と反応させるステップを伴っていてよく、塩基は苛性塩基、好ましくはアルカリ金属水酸化物、好ましくはKOHまたはNaOHであってよい。反応は、水性環境で、好ましくは相間移動触媒、好ましくはハロゲン化アンモニウム、好ましくはトリアルキルアンモニウムハライドまたはテトラアルキルアンモニウムハライド、好ましくはトリアルキルアンモニウムクロリドまたはテトラアルキルアンモニウムクロリド存在下で実行されてよい。2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップは、好ましくは温度約0℃~約100℃、好ましくは約20℃~約90℃、好ましくは約50℃~約90℃、好ましくは約60℃~約80℃で行われてよい。2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換するステップは、大気圧を超える圧力、大気圧、または大気圧より低い圧力において適切に行われてよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0012]水中の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)のパーセンテージに対する沸点のプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0013]第1のステップ(上記)では、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(「HCO-1230xa」または「1230xa」)および/または1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(「HCC-240db」または「240db」)および/または2,3,3,3-テトラクロロプロパン(HCO-1230xf)などの出発原料が、第1の気相反応器(フッ素化反応器)内で無水フッ化水素(HF)と反応して、少なくともHCFO-1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)およびHClの混合物を生成する。反応は、温度約200℃~約400℃、圧力約0~約200psigで実施されてよい。気相反応器からの流出物流は、未反応のフッ化水素(HF)、重い中間体、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)などのさらなる成分を場合により含みうる。
【0013】
[0014]反応は、気相フッ素化反応に適切な任意の反応器内で実行されてよい。反応器は、フッ化水素、およびHastelloy(登録商標)、Inconel(登録商標)、Monel(登録商標)などの触媒の腐食作用に対して耐性の材料で構築されていてよい。気相法の場合、反応器は気相フッ素化触媒で満たされる。当技術分野で公知の任意のフッ素化触媒が、この方法で使用されてよい。適切な触媒は、以下に限定されないが、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケルおよび鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、いずれかが場合によりハロゲン化されていてよい、それらの無機塩およびそれらの混合物を含む。本発明に適切な触媒の組合せは、Cr、FeCl/C、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlFおよびそれらの混合物を非排他的に含む。酸化クロム
/酸化アルミニウム触媒は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,155,082号に記載されている。結晶性酸化クロムまたはアモルファス酸化クロムなどの酸化クロム(III)が好ましく、アモルファス酸化クロムが最も好ましい。酸化クロム(Cr)は、多様な粒径で購入可能な市販の材料である。純度少なくとも98%を有するフッ素化触媒が好ましい。フッ素化触媒は、過剰量で、しかし少なくとも反応を推進するのに十分な量で存在する。
【0014】
[0015]一実施形態では、ステップ1反応におけるフッ化水素(HF)対式I、IIまたはIIIの化合物のモル比が、一実施形態では約1:1~約50:1、別の実施形態では約10:1~約50:1、さらなる実施形態では約10:1~約20:1の範囲である。一実施形態では、HFとI、IIまたはIIIの化合物との反応が、温度約200℃~約600℃、別の実施形態では約200℃~約400℃、別の実施形態では約200℃~約300℃で実施される。反応圧力は、一実施形態では約0psig~約500psig、別の実施形態では約20psig~約200psig、さらなる実施形態では約50~約100psigの範囲である。
【0015】
[0016]例えば、式Iの化合物が1230xaである場合、反応のステップ1におけるHF対1230xaのモル比は、一実施形態では約1:1~約50:1、別の実施形態では約10:1~約50:1、さらなる実施形態では約10:1~約20:1の範囲である。一実施形態では、HFと1230xaとの反応は、温度約200℃~約600℃、別の実施形態では約200℃~約400℃、別の実施形態では約200℃~約300℃で実施される。反応圧力は、一実施形態では約0psig~約500psig、別の実施形態では約20psig~約200psig、さらなる実施形態では約50~約100psigの範囲である。
【0016】
[0017]同様に、式IIの化合物が2,3,3,3-テトラクロロ1-プロペン(HCC-1230xfまたは1230xf)である場合、反応のステップ1におけるHF対1230xfのモル比は、一実施形態では約1:1~約50:1、別の実施形態では約10:1~約50:1、さらなる実施形態では約10:1~約20:1の範囲である。一実施形態では、HFと1230xfとの反応は、温度約200℃~約600℃、別の実施形態では約200℃~約400℃、別の実施形態では約200℃~約300℃で実施される。反応圧力は、一実施形態では約0psig~約500psig、別の実施形態では約20psig~約200psig、別の実施形態では約50~約100psigの範囲である。
【0017】
[0018]同様に、式IIIの化合物が1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240dbまたは240db)である場合、反応のステップ1におけるHF対240dbのモル比は約1:1~約50:1、別の実施形態では約10:1~約50:1、別の実施形態では約10:1~約20:1の範囲である。HFと240dbとの反応は、一実施形態では温度約200℃~約600℃、別の実施形態では約200℃~約400℃、別の実施形態では約200℃~約300℃で実施される。反応圧力は、一実施形態では約0psig~約500psig、別の実施形態では約20psig~約200psig、さらなる実施形態では約50~約100psigの範囲である。
【0018】
[0019]反応の第1のステップは、必ずしも先に記載されるように気相反応に限定されるわけではなく、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20070197842号で開示されるように、液相反応または液相および気相の組合せを使用して実施されてもよい。反応が回分式で、連続して、またはこれらの組合せで実施されてよいことも意図される。反応が液相反応を含む実施形態では、反応は触媒によるものでも触媒によらないものでもよい。ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化タリウム、ハロゲン化鉄、およびこれらのうちの2種以上の組合せを含む金属ハロゲン化物
触媒などのルイス酸触媒が利用可能である。特定の実施形態では、以下に限定されないが、SbCl、SbCl、SbF、SnCl、TiCl、FeClおよびこれらのうちの2種以上の組合せを含む金属塩化物および金属フッ化物が利用される。
【0019】
[0020]フッ素化反応は、少なくとも1%以上、5%以上、10%以上または約20%以上の単一またはマルチパス変換を達成するように実施されてよい。本発明の特定の好ましい実施形態では、開始試薬が単一パスで1233xfに変換され、反応条件が、変換量75%超、一実施形態では85%超、別の実施形態では95%超、別の実施形態では99%超を実現する。この目的のため、生じる流出物は、少量もしくは微量の未反応の出発原料を含むか、または実質的にそのような化合物不含となりうる。
【0020】
[0021]多段反応器装置内に存在しうる任意の中間流出物を含む、フッ素化反応ステップであるステップ1からの流出物は、望ましい分離度合を実現するように処理される。例えば、反応器流出物が2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)を含む実施形態では、流出物は概して、HCl、未反応のHF、および、もしあるとしても微量の未反応の開始成分(例えば1230xa、1230xfおよび/または240db)も含む。流出物は、過少フッ素化および/または過フッ素化中間体などの、1種または複数の副生成有機物も含みうる。過少フッ素化中間体の非限定的な例は、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体および2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(1232xf)を含み、過フッ素化中間体の非限定的な例は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(244bb)および1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(245cb)およびHFO-1234yfおよびそれらの組合せを含む。さらなる実施形態では、不純物はフッ化水素である。他の副生成有機物は、以下に限定されないが、ジクロロトリフルオロプロパン(243)異性体、およびトリクロロジフルオロプロパン(242)異性体、および開始化合物のうちの1種または複数由来の二量体も含みうる。非限定的な例として、1230xa由来の二量体は、以下に限定されないが、CCl、CCl、CCl、CCl、CCl、CClなどを含む。
【0021】
[0022]HClが蒸留により除去され、HFの一部が相分離により除去された後、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)および水を含む共沸混合物または共沸混合物様混合物を形成するのに有効な量の、ステップ1由来の残りの流出物に水が添加され、次いで本明細書に記載される技法により、その不純物とともに流出物から分離されてよい。次いで2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)が、本明細書に記載されるように水から分離され、次いで、以下で論じられる、ステップ2のフッ化水素化反応器に供給される。
【0022】
[0023]2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エンを形成するための前述の方法のステップ2では、精製された2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)が、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(244bb)に変換される。一実施形態では、このステップは、TFEまたはPFAで内張りされていてよい液相反応器内で液相中で実施されてよい。そのような方法は、温度範囲約70℃~約120℃、約50~約120psigの範囲の圧力で実施されてよい。
【0023】
[0024]任意の液相フッ素化触媒が本発明において使用されてよい。網羅的でないリストは、ルイス酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属酸化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物、またはそれらの組合せを含む。液相フッ素化触媒の非排他的な例は、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化タンタル、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ニオブ、およびハロゲン化モリブデン、ハロゲン化鉄、フッ素化ハロゲン化クロム、フッ素化酸化クロムまたはそれらの組合せである。液相フッ素化触媒の具体的な非
排他的な例は、SbCl、SbCl、SbF、SnCl、TaCl、TiCl、NbCl、MoCl、FeCl、SbClのフッ素化種、SbClのフッ素化種、SnClのフッ素化種、TaClのフッ素化種、TiClのフッ素化種、NbClのフッ素化種、MoClのフッ素化種、FeClのフッ素化種、またはそれらの組合せである。五塩化アンチモンが最も好ましい。
【0024】
[0025]触媒は、不活性化した場合、当技術分野で公知の任意の手段により容易に再生可能である。触媒を再生させる適切な一方法は、塩素の流れを、触媒を通して流すことを伴う。例えば、1時間あたり塩素約0.91g(0.002lb)~約90.7g(0.2lb)が、液相フッ素化触媒453.6g(1ポンド)に対して、液相反応に添加されてよい。これは、例えば、温度約65℃~約100℃で、約1~約2時間、または連続して行われてよい。
【0025】
[0026]244bb生成物が形成される、反応のステップ2は、必ずしも液相反応に限定されるわけではなく、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20070197842号で開示されるように、気相反応または液相および気相の組合せを使用して実施されてもよい。この目的のため、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)を含む供給流れが温度約50℃~約400℃に予熱され、触媒およびフッ素化剤と接触させられる。触媒は、そのような反応に使用される標準的な気相薬剤を含んでいてよく、フッ素化剤は、以下に限定されないがフッ化水素などの、当技術分野で一般的に公知のものを含んでいてよい。
【0026】
[0027]主に244bbおよびHF(さらに少量の未反応の2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、過フッ素化副生成物245cb、HCl、およびCl)からなる、フッ化水素化反応ステップ(ステップ2)からの流出物は、望ましい分離度合および/または他の処理を実現するように処理される。例えば、生成物流れが軽量留分除去カラム(lights removal column)に供給され、そこで、主に245cb、HCl、およびClからなる流れがカラムの上部から出て、分解のため熱酸化機(T-OX)に送られる。一実施形態では、主に244bbおよびHF(さらに少量の未反応の1233xf)からなる軽量留分除去カラムの塔底流に水が添加されて、1233xfおよび水から構成される共沸混合物または共沸混合物様混合物を形成する。一実施形態では、244bbはこの混合物中に存在せず、この場合1233xfが、蒸留などの、本明細書で先に記載される当技術分野で公知の技法により、水から分離される。別の実施形態では、244bbも、1233xfおよび水から構成される共沸混合物または共沸混合物様混合物中に存在する。次いで244bbは、その内容が参照により組み込まれる米国特許第8,252,965号に記載されるものなどの、当技術分野で公知の技法により1233xfから分離される。分離された1233xfは、先に記載されるように、ステップ2のフッ化水素化(hydrofluoronation)反応器に戻って再循環されてよい。
【0027】
[0028]この方法のステップ3は、気相または液相中で実行されてよい。気相中でHFO-1234yfを生成する場合、244bbは第2の気相反応器(脱塩化水素反応器)に供給されて、脱塩化水素され、望ましい生成物2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(1234yf)を作製する。この反応器は場合により、HCFC-244bbを触媒により脱塩化水素してHFO-1234yfを作製することが可能な触媒を含有していてよいが、一実施形態では、反応器は触媒を含有する。
【0028】
[0029]触媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、中性(すなわちゼロ酸化状態)金属もしくは金属合金、またはバルクもしくは支持された形態の活性炭であってよい。金属ハロゲン化物または金属酸化物触媒は、以下に限定されないが、一価、二価、およ
び三価金属ハロゲン化物、酸化物ならびにそれらの混合物/組合せ、より好ましくは一価、および二価金属ハロゲン化物ならびにそれらの混合物/組合せを含んでいてよい。成分金属は、以下に限定されないがCr3+、Fe3+、Mg2+、Ca2+、Ni2+、Zn2+、Pd2+、Li、Na、K、およびCsを含む。成分ハロゲンは、以下に限定されないが、F、Cl、Br、およびIを含む。有用な一価または二価金属ハロゲン化物の例は、以下に限定されないが、LiF、NaF、KF、CsF、MgF、CaF、LiCl、NaCl、KCl、およびCsClを含む。ハロゲン化処理は、先行技術において公知のもの、特にハロゲン化源としてHF、F、HCl、Cl、HBr、Br、HI、およびIを利用するもののいずれかを含んでいてよい。
【0029】
[0030]一態様では、中性金属、すなわち、ゼロ価の金属、金属合金およびそれらの混合物が使用される。有用な金属は、以下に限定されないが、Pd、Pt、Rh、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、および合金または混合物としての上記のものの組合せを含む。触媒は、支持されていても支持されていなくてもよい。有用な金属合金の例は、以下に限定されないが、SS316、Monel(登録商標)400、Incoloy(登録商標)825、Inconel(登録商標)600、およびInconel(登録商標)625を含む。そのような触媒は、個別の支持されたもしくは支持されない要素として、ならびに/または反応器の一部および/もしくは反応器の壁として供給されてよい。
【0030】
[0031]例示的だが非限定的な触媒は、活性炭、ステンレス鋼(例えばSS316)、オーステナイト系のニッケルベース合金(例えばInconel(登録商標)625)、ニッケル、フッ素化10%CsCl/MgO、および10%CsCl/MgFなどを含む。一実施形態において、反応温度は約300~約550℃の範囲であり、反応圧力は約0~約150psigの範囲であってよい。反応器流出物は、HClの副生成物を除去するため苛性スクラバーまたは蒸留カラムに供給されてよく、酸不含の有機生成物を生成して、これが場合により、当技術分野で公知の精製技法の1つまたは任意の組合せを使用して、さらなる精製を受けてよい。
【0031】
[0032]ステップ3は液相中でも実行可能である。2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換することは、例えば、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を脱塩化水素するための塩基を利用することにより実施可能である。塩基は苛性塩基であってよく、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびそれらの組合せからなる群から選択されてよい。好ましい苛性塩基の例は、KOH、NaOH、LiOH、Mg(OH)、Ca(OH)、CaOおよびそれらの組合せである。苛性塩基は、固体形態または溶液として反応に添加されてよい。溶液として供給される場合、溶媒は水またはアルコール、好ましくはMeOHまたはEtOHであることが好ましい。KOHが特に好ましく、好ましくは水溶液、好ましくは約5重量%~約62重量%のKOH、好ましくは5重量%~55重量%を含む水溶液として供給される。液相脱塩化水素は、好ましくは水性環境で実行される。液相ステップ3の状況では、水性環境は、液相反応混合物が5~80wt.%の水、好ましくは10~60wt.%の水、より好ましくは20~40wt.%の水を含む環境である。塩基と2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)との密接な接触を促進することにより反応性を助けると考えられることから、特に水性環境での反応を実行する場合に、相間移動触媒を活用することも好ましい。そのような相間移動触媒は、以下に限定されないが、クラウンエーテル(例えば18-クラウン-6)、オニウム塩(例えばハロゲン化物アニオンを有するホスホニウム塩またはアンモニウム塩)、クリプタンド(例えばN[CHCHOCHCHOCHCHN)、ポリアルキレングリコール(例えばポリ(エチレングリコール))、それらの誘導体、およびそれらの組合せを含んでいてよい。一
実施形態において、相間移動触媒はAliquat336である。オニウム塩、特にアンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩は、好ましくはハロゲン化アンモニウム、好ましくはトリアルキルアンモニウムハライドまたはテトラアルキルアンモニウムハライド、好ましくはトリアルキルアンモニウムクロリドまたはテトラアルキルアンモニウムクロリドである。
【0032】
[0033]ステップ3の液相版は、好ましくは、温度約0℃~約100℃、好ましくは約20℃~約90℃、好ましくは約50℃~約90℃、好ましくは約60℃~約80℃で実行される。2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換することは、大気圧を超える圧力、大気圧、または大気圧より低い圧力において適切に行われてよい。これらの温度および圧力は、先に記載されるように、塩基を有する液相中でステップ3を実行する場合に特に有用である。
【0033】
[0034]WO-2011/139646は、その内容が本明細書に組み込まれ、液相中で2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換することについてのさらなる実験の詳細を開示する。
【0034】
[0035]HFO-1234yfを作製するための代替の方法は、出発原料として1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)を利用し、気相および液相中で実行される。この代替方法では、方法は以下の3つのステップを含む(ステップ(2)および(3)は上記のものと同一である):
ステップ(1):気相(触媒を有するまたは有しない)中での243db→1233xf+HClまたは液相(場合により相間移動触媒、および/または溶媒および/または塩を有する)中での243db+塩基→1233xf+HO。
【0035】
ステップ(2):液体フッ化水素化触媒が装填された液相反応器内での、1233xf+HF→244bb、および
ステップ(3):気相反応器(触媒を有するまたは有しない)または液相中での、244bb→1234yf+HCl。
【0036】
[0036]開始組成物が243dbを含む代替の方法では、243dbが脱ハロゲン化水素されて、1233xfを含有する生成物混合物を生成する。開始組成物が243dbを含む場合、脱ハロゲン化水素反応は脱塩化水素反応である。脱塩化水素反応は反応区画内で実施され、触媒を有する気相中で、または塩基および場合により相間移動触媒、および/もしくは溶媒および/もしくは塩を有する液相中で行われてよい。例えば、WO2012/115934は、炭素触媒による243dbの気相反応について開示する。WO2012/115938は、オキシフッ化クロム触媒による243dbの気相反応について開示する。WO2017/044719は、1233xfを生成するためのフッ素化触媒の存在下での、フッ素化アルカンによる243dbの反応、さらには1234yfを生成するのに有用な他の化合物について開示する。WO2017/044724は、苛性アルカリによる243dbの液相反応について開示する。脱塩化水素反応が気相中で実施される場合はHClが生成され、一方で、脱塩化水素反応が液相中で実行される場合にはHClは生成されない。当業者に公知であるように、式(III)を有する化合物により開始される場合、他の方法が使用されてよい。
【0037】
[0037]1234yfの合成中、水分および不純物不含の条件を維持することが望ましい実施形態では、反応体および中間生成物が精製されてよい。例えば、不純物を2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)から除去することが望
ましい。
【0038】
[0038]2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水が、不均一共沸混合物および共沸混合物様組成物または混合物を形成することが見出され、本開示は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む不均一共沸混合物または共沸混合物様組成物を提供する。共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になっていてよいか、または共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水からなっていてよい。
【0039】
[0039]本発明者らは、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水が、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成することを実験により見出した。
【0040】
[0040]不均一共沸混合物は、全て平衡状態の2つの液相および1つの気相からなる。所与の温度および圧力における不均一共沸混合物では、2つの液相のそれぞれの組成および気相の組成は一定のままである。不均一共沸混合物が形成されると、一定の圧力において、不均一共沸混合物の沸点は、より低い沸点の成分より低い(「最低沸点共沸混合物」)。
【0041】
[0041]「共沸混合物」(または「共沸性」)組成物は、2つ以上の成分の独特の組合せである。共沸混合物は、均一(1つの液相を有する)または不均一(2つの液相を有する)のいずれかでありうる。共沸混合物組成物は、各種方法で特徴付けることができる。例えば、所与の圧力において、共沸混合物組成物は、より高い沸点の成分を超える(最大沸点共沸混合物)かまたはより低い沸点の成分未満(最低沸点共沸混合物)のいずれかである一定の特有の温度で沸騰する。しかし、不均一共沸混合物の場合、共沸混合物の沸点は常に、より低い沸点の成分の沸点未満である。この特有の温度において、均一共沸混合物は、気相および液相の両方で同じ組成を有する。不均一共沸混合物の場合、この特有の温度において、2つの液相のそれぞれおよび気相の組成が、沸騰の際一定のままである。共沸混合物組成物は、沸騰または蒸発の際に分画されない。それゆえに、共沸混合物組成物の成分は、相転移中に分離することができない。
【0042】
[0042]均一共沸混合物組成物は、特有の共沸混合物温度において、液相の沸点圧力が気相の露点圧力と同一であることも特徴とする。共沸混合物組成物の挙動は、沸騰または蒸発中に液体組成がかなりの度合まで変化する非共沸混合物組成物と対照的である。
【0043】
[0043]しかし当業者は、異なる圧力では、共沸混合物組成物の組成および沸点の両方がある程度変動することを理解するものである。それゆえに、温度および/または圧力次第で、共沸混合物組成物は可変の組成を有しうる。それゆえに当業者は、固定された組成ではなく組成範囲が、共沸混合物組成物を規定するのに使用可能であることを理解するものである。さらに、共沸混合物は、特定の圧力での固定された沸点により特徴付けられる、組成物の各成分の正確な重量パーセンテージに関して規定されうる。
【0044】
[0044]「共沸混合物様」組成物は、実質的に共沸混合物組成物として振る舞う、2つ以上の成分の組成物である。ゆえに、本開示の目的において、共沸混合物様組成物は、均一共沸混合物の場合、所与の圧力下で液体形態であれば、実質的に一定の温度で沸騰し、沸騰を受ける液体組成と実質的に同一の気体組成をもたらす、2つ以上の異なる成分の組合せである。不均一共沸混合物の場合、所与の圧力下で気体組成物により覆われる2つの液相が生じる。2つの液相のそれぞれおよび気相が、沸騰に際して実質的に一定のままであ
る。
【0045】
[0045]本開示の目的において、共沸混合物様組成物は、温度範囲約12.0℃~13.6℃で、圧力約12.5psia~約16.5psiaで沸騰する、組成物または組成物の範囲である。
【0046】
[0046]共沸混合物または共沸混合物様組成物は、複数の異なる方法を使用して特定されうる。
[0047]本開示の目的において、共沸混合物または共沸混合物様組成物は、エブリオメーター(Walas、Phase Equilibria in Chemical Engineering、Butterworth-Heinemann、1985、533~544)を使用して実験により特定される。エブリオメーターは、気液平衡の温度を測定することにより、液体の沸点のきわめて正確な測定をもたらすように設計される。
【0047】
[0048]成分単独のそれぞれの沸点が、一定の圧力において測定される。当業者が理解するように、二元共沸混合物または共沸混合物様組成物では、組成物の成分のうちの1つの沸点が最初に測定される。次いで組成物の第2の成分が多様な量で添加され、得られた組成物のそれぞれの沸点が、前記一定の圧力においてエブリオメーターを使用して測定される。三元共沸混合物の場合、最初の組成物は二元混和物を含み、第3の成分が多様な量で添加される。得られた三元組成物のそれぞれの沸点が、前記一定の圧力においてエブリオメーターを使用して測定される。
【0048】
[0049]測定された沸点が、試験された組成物の組成、例えば二元共沸混合物では、組成物に添加された第2の成分の量(重量%またはモル%のいずれかとして表される)に対してプロットされる。共沸混合物組成物の存在は、成分単独のいずれかの沸点を超えるかまたはそれ未満の最大または最低沸点の観察により特定されうる。
【0049】
[0050]当業者が理解するように、共沸混合物または共沸混合物様組成物の特定は、第1の成分の沸点に対して、第1の成分に第2の成分を添加した際の組成物の沸点変化を比較することによりなされる。ゆえに系が、沸点変化を測定するために、特定の成分の報告された沸点に較正される必要はない。
【0050】
[0051]以前に論じられたように、最大または最低沸点において、気相の組成は液相の組成と同一である。それゆえに共沸混合物様組成物は、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて、実質的に一定の最低または最大沸点、すなわち沸点約13.5℃~約14.5℃をもたらす成分の組成物であり、その実質的に一定の沸点において、気相の組成は液相の組成と実質的に同一である。
【0051】
[0052]本開示は、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するための、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む、共沸混合物または共沸混合物様組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「有効量」という語は、他の成分と合わされた場合に共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成をもたらす、各成分の量である。
【0052】
[0053]本共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の組合せから本質的になっていてよく、または2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の組合せからなっていてよい。
【0053】
[0054]本明細書で使用される場合、共沸混合物または共沸混合物様組成物または混合物
の成分に関しての「から本質的になる」という語は、組成物が、示される成分を共沸混合物または共沸混合物様の比で含有し、さらなる成分が新たな共沸混合物または共沸混合物様の系を形成しないという条件でさらなる成分を含有していてよい、ということを意味する。例えば、2種の化合物から本質的になる共沸混合物混合物は、さらなる成分が混合物を非共沸性にせず、化合物のいずれかまたは両方と共沸混合物を形成しない(例えば三元以上の共沸混合物を形成しない)という条件で、1つまたは複数のさらなる成分を場合により含んでいてよい、二元共沸混合物を形成する共沸混合物混合物である。
【0054】
[0055]本開示は、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を混合する、合わせる、または混和することにより、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する方法も提供する。2つ以上の成分を合わせて組成物を形成するための、当技術分野で公知の多様な方法のいずれかが、本方法において使用されてよい。例えば、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水が、回分もしくは連続反応および/もしくはプロセスの一部として、または2つ以上のそのようなステップの組合せによって、手および/または機械により混合され、混和され、または他の方法で合わされてよい。成分は、例えば秤量し、次いで量を合わせることにより、必要な量で供給されてよい。
【0055】
[0056]共沸混合物または共沸混合物様組成物は、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて沸点約13.5℃~約14.5℃を有していてよく、約0.05wt.%~約92.01wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水から本質的になるまたはこれらからなる。
【0056】
[0057]本開示は、共沸混合物または共沸混合物様組成物を含む組成物も提供する。例えば、少なくとも約14wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも約21wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも約25wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも約70wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも約90wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも95wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物、または少なくとも99wt.%の共沸混合物もしくは共沸混合物様組成物を含む組成物が提供される。
【0057】
[0058]本明細書で開示される、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む、これらから本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から不純物を分離するのに使用され得る。
【0058】
[0059]有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む、これらから本質的になるまたはこれらからなる共沸または共沸混合物様組成物の調製は、例えば、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から、不純物を除去するのに使用される、共沸蒸留などの分離技法を可能にする。
【0059】
[0060]特に、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む、これらから本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)、水、および少なくとも1種の不純物を含む組成物から形成されてよい。共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成に続いて、共沸混合物または共沸混合物様組成物は、蒸留、相分離、または分画などの適切な方法により、他の化学化合
物から分離されてよい。
【0060】
[0061]一例では、本開示は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から不純物を分離する方法であって、未精製の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の一次組成物を用意するステップと、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップならびに有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物である二次組成物を形成するのに有効な条件を、一次組成物に施すステップと、例えば相分離、蒸留、または分画などの分離技法により、一次組成物から二次組成物を分離するステップとを含む、方法を提供する。その後二次組成物は、精製された2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を得るためさらなる分離、または精製ステップにかけられてよい。2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップは、組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を添加するステップ、組成物に水を添加するステップ、または組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の両方を添加するステップを伴っていてよい。
【0061】
[0062]有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を含む、これらから本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の生成に使用可能である。例えば、共沸混合物または共沸混合物様組成物は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を形成することを促進するために、塩基および/または相間移動触媒などのさらなる成分と組み合わされてよい。未精製の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)中に存在する残りの2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)は、本開示の共沸混合物または共沸混合物様組成物の形態で水とともに除去されてよく、除去は、例えば蒸留、相分離またはそれらの組合せの形態を取ってよい。未精製の生成物から除去された共沸混合物または共沸混合物様組成物は、特に液相中でステップ3を実行する場合、ステップ3に戻って再循環されてよい。
【0062】
[0063]避けられないものではないが、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を生成する反応において、共沸混合物または共沸混合物様組成物が生じることもありうる。共沸混合物または共沸混合物様組成物の存在は、存在する他の物質により共沸が妨害されるか否かなどの因子次第である。避けられないものではないが、いかにして共沸混合物または共沸混合物様組成物が生じることがありうるかの例は、以下のものを含む:
・ 水が溶媒として反応中に存在する場合、例えば、塩基が水溶液中で使用される場合などの、反応が水性環境で実行される場合。
【0063】
・ 水が反応において発生する場合。例えば、溶媒としての水の存在下または非存在下で水酸化物イオンによりHCFC-244bbを脱塩化水素すると、以下の式に従って水分子が発生する:CFCFClCCHOH→CFCF=CH+Cl+HO。他の種類の塩基、特に苛性塩基が使用される場合に、水分子が発生することがありうることを、当業者は理解するものである。
【0064】
[0064]以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するのに役立つ。
【実施例0065】
実施例1-気液平衡(VLE)研究
[0065]上部にドライアイス冷却凝縮器を有する真空ジャケット付き管からなるエブリオメーターに、水晶温度計をさらに備え付けた。最初に、エブリオメーターに2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)16.21グラムを装填した。次いで水を漸増的に添加し、混合物の沸点温度を記録した。結果が表1に示され、図1に図示される。
【0066】
【表1】
【0067】
[0066]示されるように、混合物の沸点温度は最低値に到達し、次いで横ばいになり、不均一共沸混合物の形成を示した。より具体的には、約61重量%~約99重量%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物は、0.2℃未満の沸点変化を有していた。さらに、約66重量%~約99重量%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物は、0.1℃未満の沸点変化を有していた。測定中の周囲圧力は14.49psiaであった。
【0068】
実施例2-気液液平衡(VLLE)測定
[0067]2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の、重量で50:50の混合物を、23℃でテフロン(登録商標)セルにおいて作製した。セル中で2つの分離した相が観察され、不均一共沸混合物が形成されたことを示した。上相(水豊富)および下相(2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)豊富)を分離して分析した。2つの相の組成が以下の表2に示される。
【0069】
【表2】
【0070】
実施例3-2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の精製
[0068]本実施例では、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)およびHFでありうる不純物を含む組成物が用意される。有効量の水が組成物に添加され、組成物が、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件にかけられる。次いで、共沸混合物または共沸混合物様組成物が、相分離、蒸留、および/または分画などの分離技法により、一次化合物を含む組成物から分離される。
【0071】
実施例4-2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)からのフッ化水素(HF)の分離
[0069]本実施例では、不純物としてのフッ化水素(HF)とともに、一次化合物2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物が用意される。有効量の水が組成物に添加され、組成物が、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件にかけられる。次いで、共沸混合物または共沸混合物様組成物が、相分離、蒸留、および/または分画などの分離技法により、一次化合物を含む組成物から分離される。
【0072】
実施例5-2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)からのフッ化水素(HF)の分離
[0070]本実施例では、不純物としてのフッ化水素(HF)とともに、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)などの一次化合物を含む組成物が用意される。有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)が組成物に添加され、組成物が、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件にかけられる。次いで、共沸混合物または共沸混合物様組成物が、相分離、蒸留、および/または分画などの分離技法により、一次化合物を含む組成物から分離される。
【0073】
実施例6-2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に変換する代表的な手順
[0071]HCFC-244bbの脱塩化水素を、熱電対およびマグネチックスターラーを備える1リットルParr反応器において実施した。Aliquat336(商標)15gを反応器に添加した。次いで反応器を閉めて圧力を試験した。その後有機混合物294gおよび45%KOH270gを反応器に添加した。ガスクロマトグラフィー(GC)を使用しての有機混合物の分析により、8.1GC面積%の1234yf、89.5GC面積%の244bb、および1.8GC面積%の1233xfが示された。次いでスターラーを作動させ、反応器を55℃に加熱した。55℃に到達すると(約2時間後)、反応器
内の圧力が最初の10psigから55psigに増大した。反応器を55℃で4時間保持し、圧力が78psigにさらに増大した。反応後の反応器の有機物含有量のGC分析が完了し、64.2GC面積%の1234yf、33.2GC面積%の244bb、2.2GC面積%の1233xf、および0.4GC面積%の未知物質を示した。
【0074】
先に記載された合成実施例は反応を例示するために含まれ、請求される共沸混合物または共沸混合物様組成物が合成手順中に存在するかどうかについての説明ではない。
実施例7-HCFC-244bbの代表的な精製
[0072]HCFC-244bbおよび水を含む組成物が精製されて、HCFC-244bbの精製された流れをもたらす。
【0075】
[0073]HCFC-244bb 920.1kgおよび水79.9kgを含む混合物1000kgを、リボイラー、Koch-Glitschより入手可能なIMTP(登録商標)パッキングなどのランダムパッキングが詰められた多段精留セクションおよび凝縮器からなる回分蒸留設備のリボイラーに装填する。凝縮器は、凝縮器への入口で約5℃の冷却された流れる水で冷却される。リボイラーは、蒸気のためのハーフパイプジャケットを有する。リボイラー装填材料は、相分離にかけられ水相が上部からデカントで除かれた、HFC-244bbおよび水の混合物の有機相であってよい。
【0076】
[0074]HCFC-244bbおよび水の共沸混合物を実質上含有する塔頂流を蒸留するために回分蒸留設備が使用され、約0.05wt%の水を含有するHCFC-244bbが実質的にリボイラー内に残る(表3を参照のこと)。リボイラー内の材料は、3Aモレキュラーシーブなどの乾燥剤を通すことによりさらに乾燥されてよい。
【0077】
【表3】
【0078】
本実施例は回分蒸留機構での精製を示すが、これが当業者により、精製のための連続蒸留に適合されてもよい。
態様
[0075]態様1は、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物を含む組成物である。
【0079】
[0076]態様2は、共沸混合物または共沸混合物様組成物が、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて沸点約13.5℃~約14.5℃を有する、態様1の組成物である。
【0080】
[0077]態様3は、共沸混合物または共沸混合物様組成物が、約0.05wt.%~約92.01wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水から本質的になる、
態様1または態様2の組成物である。
【0081】
[0078]態様4は、共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する方法であって2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水を合わせて、有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になり、圧力約12.5psia~約16.5psiaにおいて沸点約13.5℃~約14.5℃を有する共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するステップを含む、方法である。
【0082】
[0079]態様5は、合わせるステップが、約0.05wt.%~約99.95wt.%の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および約7.99wt.%~約99.95wt.%の水を合わせるステップを含む、態様4の方法である。
【0083】
[0080]態様6は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の不純物を含む組成物からの2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から、不純物を分離する方法であって、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および少なくとも1種の不純物を含む組成物を用意するステップと、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップならびに有効量の2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水から本質的になるまたはこれらからなる共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに有効な条件を、組成物に施すステップと、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物から共沸混合物または共沸混合物様組成物を分離するステップとを含む、方法である。
【0084】
[0081]態様7は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップが、組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を添加するステップを含む、態様6の方法である。
【0085】
[0082]態様8は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップが、組成物に水を添加するステップを含む、態様6または態様7の方法である。
【0086】
[0083]態様9は、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の相対量を変更するステップが、組成物に2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)および水の両方を添加するステップを含む、態様6~8のいずれかの方法である。
【0087】
[0084]態様10は、分離ステップが、相分離、蒸留、および分画のうちの少なくとも1つを含む、態様6~9のいずれかの方法である。
[0085]本明細書で使用される場合、「上記の値のうちの任意の2つの間と規定される任意の範囲内」という句は、任意の範囲が、そのような句の前に列挙される値のうちの任意の2つから、その値が列挙事項の小さい方であるか列挙事項の大きい方であるかに関係なく、選択されてよいことを文字通りに意味する。例えば、一対の値が、2つの小さい方の値、2つの大きい方の値、または小さい方の値および大きい方の値から選択されてよい。
【0088】
[0086]本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に定めない限り複数形を含む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラ
メーターが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値および下側の好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、これは、任意の上側の範囲限界または好ましい値および任意の下側の範囲限界または好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を、範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、具体的に開示するものと理解されるべきである。数値範囲が本明細書で列挙される場合、別途明記されない限り、範囲は、その端点、ならびに範囲内の全ての整数および小数部を含むことを意図される。本開示の範囲が、範囲を規定する際に列挙される特定の値に限定されることは意図されない。
【0089】
[0087]本明細書で使用される場合、「上記の値のうちの任意の2つの間と規定される任意の範囲内」という句は、任意の範囲が、そのような句の前に列挙される値のうちの任意の2つから、その値が列挙事項の小さい方であるか列挙事項の大きい方であるかに関係なく、選択されてよいことを文字通りに意味する。例えば、一対の値が、2つの小さい方の値、2つの大きい方の値、または小さい方の値および大きい方の値から選択されてよい。
【0090】
[0088]上記の明細書が本開示の例示に過ぎないことが理解されるべきである。各種代替形態および修正形態が、当業者により、本開示から逸脱することなく考案されてよい。したがって、本開示は、添付の請求項の範囲に入る全てのそのような代替形態、修正形態および変更形態を包含することが意図される。
図1
【外国語明細書】