(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009414
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】スリッタ装置の制御装置及び制御方法並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B26D 1/22 20060101AFI20250110BHJP
B26D 5/02 20060101ALI20250110BHJP
B26D 7/12 20060101ALI20250110BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20250110BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20250110BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B26D1/22
B26D5/02 A
B26D7/12
B26D7/26
B26D5/00 Z
B26D7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112411
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博之
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 慎一郎
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021DA02
3C021DA06
3C021DA13
3C021JA03
3C021JA09
3C027TT01
3C027TT04
3C027TT10
3C027TT11
3C027TT12
(57)【要約】
【課題】スリッタナイフの交換の作業性を向上させることができるスリッタ装置の制御装置及び方法を提供する。
【解決手段】スリッタナイフ15を有するスリッタヘッド13とスリッタヘッド13を軸上で移動させる移動装置24とを複数備え、複数のスリッタヘッド13の一部または全部を使用して走行ライン上を走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置の制御装置であって、複数のスリッタヘッド13の各スリッタナイフ15の摩耗状態を推定する摩耗状態推定装置52と、新規オーダーが複数のスリッタヘッドの一部を使用して段ボールウェブWを断裁する一部使用オーダーの場合に、推定されたスリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が少ないスリッタヘッド13を自動で選択し断裁位置に自動で移動させる移動制御装置53と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御装置であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定装置と、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御装置と、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御装置。
【請求項2】
前記移動制御装置は、前記新規オーダーが前記一部使用オーダーの場合に、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し前記断裁位置に自動で移動させ前記複数のスリッタヘッドの摩耗状態を均等化させる摩耗状態均等化モードと、前記複数のスリッタヘッドのうちの前記断裁位置に最も近いスリッタヘッドを自動で選択して前記断裁位置に自動で移動させる移動距離優先モードと、を実施可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項3】
前記摩耗状態均等化モードと前記移動距離優先モードとを選択できる選択スイッチを備え、
前記移動制御装置は、前記選択スイッチの選択状態に応じて、前記摩耗状態均等化モード又は前記移動距離優先モードを実施する
ことを特徴とする、請求項2に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項4】
前記移動制御装置には、前記スリッタナイフの摩耗状態が予め設定された所定摩耗状態に達するまでは、前記選択スイッチによる前記摩耗状態均等化モードと前記移動距離優先モードとの選択を許容し、前記摩耗状態が前記所定摩耗状態に達した後は、前記選択スイッチによる前記移動距離優先モードの選択を規制する操作規制部が設けられている
ことを特徴とする、請求項3に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項5】
前記移動制御装置は、前記複数のスリッタヘッドの一部を使用する場合に、使用するスリッタヘッドを自動で選択する自動選択モードと、前記使用するスリッタヘッドをオペレータが手動で選択する手動選択モードとのいずれかを設定する自動手動選択スイッチを備えている
ことを特徴とする、請求項1に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項6】
前記手動選択モードが選択されているときに、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを選択して使用するようにオペレータに向けて案内する案内装置を備えている
ことを特徴とする、請求項5に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項7】
前記スリッタナイフの摩耗状態を表示する表示装置を備えている
ことを特徴とする、請求項1又は6に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項8】
前記摩耗状態推定装置は、前記スリッタナイフの使用履歴に基づいて、前記スリッタナイフの前記摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、請求項1又は6に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項9】
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの研磨回数を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記研磨回数が多いほど、前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、請求項8に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項10】
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの使用距離を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記使用距離が長いほど前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、請求項8に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項11】
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの使用距離及び前記スリッタナイフの研磨回数を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記使用距離が長いほど、及び、前記研磨回数が多いほど、前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、請求項8に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項12】
前記摩耗状態推定装置は、前記スリッタナイフを前記摩耗状態に応じた所定の昇降位置に調整した際の前記スリッタナイフの昇降位置に基づいて、前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、請求項1又は6に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項13】
前記スリッタナイフの回転中心から刃先までの距離であるナイフ半径を実測するナイフ半径測定装置を備え、
前記摩耗状態推定装置は、ナイフ半径測定装置で測定されたナイフ半径に基づいて前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、請求項1又は6に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項14】
前記ナイフ半径測定装置は、前記スリッタナイフの回転軸と平行にレーザ光線を照射する照射部と、前記照射部から照射された前記レーザ光線を受信する受信部とを備え、前記スリッタナイフの回転中心の移動に伴う前記受信部による前記レーザ光線の受信状態から前記ナイフ半径を実測する
ことを特徴とする、請求項13に記載のスリッタ装置の制御装置。
【請求項15】
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御方法であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御方法。
【請求項16】
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御する制御装置のコンピュータプログラムであって、
前記制御装置に、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を実行させる
ことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートを製造するコルゲートマシンに装備され、段ボールウェブに罫入加工を行なうスリッタ装置の制御装置及び制御方法並びにコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートを製造するコルゲートマシンにおいて、製造ラインで連続的に製造される段ボールウェブは、製造ラインの最終工程付近で、スリッタ装置により、段ボールウェブの走行方向に沿って断裁(スリッティング)されて複数の丁取りがなされ、必要があれば、スコアラ装置により該走行方向に沿って罫入加工(スコアリング)が行なわれる。通常は、スリッタ装置とスコアラ装置とが組み合わされてなるスリッタスコアラ装置によって、スリッティング及びスコアリングが行われる。
【0003】
図10は、一般的なコルゲートマシンのスリッタスコアラ装置の構成を示す平面図である。図示しないシングルフェーサ及びダブルフェーサで、段繰りされた中芯の両面に表ライナ及び裏ライナが貼り合わされて形成された帯状の段ボールウェブWは、ダブルフェーサの下流側に配置されたスコアラ装置3において、段ボールウェブ走行方向Aに罫線が設けられ、続いてスリッタ装置1において、走行方向Aに沿って断裁される。その後、下流側の図示しないカッタ装置で、所定の製品長さ単位毎(通常は段ボールシート1個分に相当)に断裁されて段ボールシートとなり、図示しない積上装置に載置される。なお、ここで示すスコアラ装置3には、複数のスコアラ3aが幅方向に並んだものが2列設けられている。
【0004】
また、スリッタ装置1は、スリッタナイフ15を有する複数(この例では、5個)のスリッタヘッド13a~13e(各スリッタヘッドを区別しない場合は、スリッタヘッド13とする)を備えている。このスリッタ装置1では、全ての或いは一部のスリッタヘッド13により段ボールウェブWが走行方向Aに沿った所定の位置で断裁される。スリッタ装置1の構成を
図11,12に基づいて説明する。
図11は
図10のX-X矢視断面図であり、
図12は
図11のY部拡大図である。
図11に示すように、スリッタスコアラ装置の両側にフレーム10が立設されている。両フレーム10間には、段ボールウェブWの下面側に、段ボールウェブWの幅方向(段ボールウェブWの走行方向Aに対して直角方向)に向けて梁11aが架設されている。また、段ボールウェブWの上面側には、梁11aと平行して梁11bが設けられている。
【0005】
スリッタ装置1は、下面側の梁11aと、梁11aに取り付けられたガイドレール12aと、このガイドレール12aに、移動装置24によって機械幅方向に移動可能に取り付けられた複数個(
図10,11では5個)のスリッタヘッド13とを備えている。各スリッタヘッド13には、薄い円板状の回転式ナイフであるスリッタナイフ15が回転可能に取り付けられている。
【0006】
スリッタ装置1は、さらに、上面側の梁11bと、梁11bに取り付けられたガイドレール12bと、このガイドレール12bに、移動装置14により機械幅方向に移動可能に取り付けられたスリッタヘッド13と同数の受けロール16とを備えている。
【0007】
下方のスリッタナイフ15と上方の受けロール16とから各ウェブ切断装置が構成されている。スリッタナイフ15と受けロール16とは、夫々ウェブ幅方向の所定の位置に移動可能であり、互いに対をなして配置される。各ウェブ切断装置のスリッタナイフ15と受けロール16との間に、段ボールウェブWを挟入することにより、段ボールウェブWを所望のウェブ幅方向位置で断裁できる。
【0008】
図12に示すように、スリッタヘッド13の上方には、段ボールウェブWの進行方向に延びて下方から段ボールウェブWを支持して段ボールウェブWの走行を案内する受台17が設けられている。スリッタナイフ15は受台17の下方に配置され、スリッタナイフ15の刃先は受台17の貫通孔を貫通して上方に突出している。
【0009】
なお、スリッタナイフ15の回転速度は、良好な断裁を行なうために段ボールウェブWの走行速度よりも十分に大きい速度に設定される。また、受けロール16の回転速度は、段ボールウェブWの走行速度を低下させないため、段ボールウェブWの走行速度と略同等でかつ若干大きい速度に設定される。
【0010】
段ボールウェブWは、回転駆動されるスリッタナイフ15によって下方から断裁される。このとき、スリッタナイフ15の刃先は、段ボールウェブWとの接触部において段ボールウェブWの走行速度よりも十分大きい周速度で回転駆動される。
【0011】
また、
図12に示すように、受けロール16の外周には、円周方向に溝16aが設けられており、受けロール16の外周とスリッタナイフ15の刃先とが干渉しないように、適度なクリアランスが確保される。これによって、スリッタナイフ15による受けロール16の干渉による摩耗等を防止できる。ただし、スリッタナイフ15の刃先は、運転時にウェブを切断することや、研磨等によって経時的に摩耗していく。
【0012】
こうしたスリッタナイフの刃先の摩耗に着目した技術が、特許文献1,2に開示されている。
特許文献1の技術は、スリッタナイフが摩耗して、その径が小さくなることによって、横並びの複数のスリッタナイフに周速度の違いが発生し、これにより断裁対象のウェブに蛇行が発生することを防ごうとするものである。この技術では、研磨回数に基づいてスリッタナイフの径を演算し、演算した径に基づいて複数のスリッタナイフの周速度が互いに一致するようにスリッタナイフの回転速度を制御する。
【0013】
また、特許文献2の技術は、スリッタナイフの刃先が摩耗すると、受けロールとスリッタナイフとの噛合い点が変動してしまうという課題に着目し、レーザ光線を用いてスリッタナイフの刃先の位置を把握してかかる噛合い点を最適な位置へ調整できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第6429734号公報
【特許文献2】特許第5202060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、スリッタナイフ15の刃先は、摩耗すると切れ味が悪くなるため、研磨する必要がある。さらに、スリッタナイフ15の刃先の摩耗が大きくなると、研磨によりスリッタナイフ15の径が小さくなるため、スリッタナイフ15を交換する必要がある。
また、スリッタ装置には、同軸上に複数のスリッタヘッド13が装備されているが、オーダーによって上流側から送られてくる段ボールウェブWを何本のウェブに切断するかという、いわゆる丁取りの数が変更され、丁取りの数によっては、使用しないスリッタヘッド13が発生する。
【0016】
例えば、
図10、11に示すスリッタ装置1には、5つのスリッタヘッド13が装備されており、これらのスリッタヘッド13を、図示左側から符号13a,13b,13c,13d,13eを付して区別して説明する。例えば4本のウェブに切断する4丁取りの場合、両サイドのスリッタヘッド13a,13eはトリム処理に用いられ、残る3つのスリッタヘッド13b,13c,13dを用いて段ボールウェブWを4本のウェブに切断する。したがって、この場合全てのスリッタヘッド13を用いる。
【0017】
これに対して、2丁取りや3丁取りの場合、3つまたは4つのスリッタヘッド13を使えばよく、2つまたは1つのスリッタヘッド13は使用しないことになる。このように、複数のスリッタヘッドを選択的に使用する場合、多くの場合、オーダーチェンジの時間を最短にするため等により、切断するウェブ幅方向位置に近いスリッタヘッドを使用する。例えば、2丁取りの場合、
図10に示すように、両サイドのスリッタヘッド13a,13eをトリム処理に用い、真ん中のスリッタヘッド13cを用いて段ボールウェブWを2本のウェブに切断する。したがって、2つのスリッタヘッド13b,13dは使用しないことになる。
【0018】
この結果、スリッタヘッド13a,13c,13eのスリッタナイフ15の刃先の摩耗は、スリッタヘッド13b,13dのスリッタナイフ15の刃先の摩耗よりも進行しやすくなる。つまり、丁取りが少ないオーダーに大きく偏ると、スリッタナイフ15の刃先の摩耗にばらつきが生じることになる。
上述のように、スリッタナイフ15の刃先が摩耗すると、刃先を研磨する必要がある。スリッタナイフ15の使用による刃先の摩耗でもスリッタナイフ15の径は小さくなるが、研磨によってスリッタナイフ15の径はより小さくなる。スリッタナイフ15の径の縮小が進むと、スリッタナイフ15を交換する必要がある。スリッタナイフ15の刃先の摩耗にばらつきがあると、スリッタナイフ15の交換タイミングにずれが生じて、各スリッタナイフ15の交換タイミングになるとその都度、スリッタナイフ15を交換することになり、作業性が低下してしまう。また、スリッタナイフ15を交換するにあたって、コルゲートマシンを停止しなければならないため、生産性が低下してしまう。
【0019】
本件は、このような課題に着目して創案されたもので、複数のスリッタヘッドの各スリッタナイフの刃先の摩耗のばらつきを抑制できるようにして、スリッタナイフの交換作業性を向上させることができるようにしたスリッタ装置の制御装置及び制御方法並びにコンピュータプログラムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本件のスリッタ装置の制御装置は、円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御装置であって、前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定装置と、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御装置と、を備えていることを特徴としている。
【0021】
本件のスリッタ装置の制御方法は、円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御方法であって、前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0022】
本件のコンピュータプログラムは、円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御する制御装置のコンピュータプログラムであって、前記制御装置に、前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本件によれば、複数のスリッタヘッドの各スリッタナイフの刃先の摩耗のばらつきが抑制できるようになり、スリッタナイフの交換作業性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態にかかるスリッタ装置の制御構成部分を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すスリッタ装置の表示部の表示例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るスリッタ装置のスリッタヘッドを装置長手方向(段ボールウェブの進行方向)から見た正面図であり、(a)はその全体図、(b)はその要部拡大図(
図3(a)のZ部拡大図)である。
【
図4】
図3に示すスリッタヘッドを装置側方から見た側面図であり、(a)はその全体図、(b)はその動作を説明する要部抜粋図である。
【
図5】実施形態にかかるスリッタ装置のスリッタヘッド等の移動態様を説明する斜視図である。
【
図6】実施形態にかかるスリッタ装置においてスリッタヘッド等の一部を使用する場合の使用するスリッタヘッドの第1選択例を示す模式的平面図である。
【
図7】実施形態にかかるスリッタ装置においてスリッタヘッド等の一部を使用する場合の使用するスリッタ等の第2選択例を示す模式的平面図である。
【
図8】実施形態にかかるスリッタ装置においてスリッタヘッド等の一部を使用する場合の使用するスリッタ等の第3選択例を示す模式的平面図である。
【
図9】実施形態にかかるスリッタ装置においてスリッタヘッド等の一部を使用する場合の使用するスリッタ等の第4選択例を示す模式的平面図である。
【
図10】背景技術及び実施形態にかかるスリッタ装置を有するスリッタスコアラ装置の要部模式的平面図である。
【
図11】
図10に示すスリッタ装置を装置長手方向(段ボールウェブの進行方向)から見た正面図(
図10のX-X矢視断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、実施形態としてのスリッタ装置及びスリッタ装置の制御装置と、並びに、スリッタ装置の制御方法について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0026】
[1.構成]
[1.1.機械装置の構成]
以下、
図3~
図5を参照して、本発明の一実施形態にかかるスリッタ装置の機械装置の構成について説明する。なお、本実施形態にかかるスリッタ装置1の機械装置の構成は、背景技術の欄で
図10~12を参照して説明したものと同様であり、コルゲートマシンに設けられて段ボールウェブWに罫線加工及び断裁を行うスリッタスコアラ装置に備えられている。そこで、背景技術と同様の構成については
図10~12を流用して説明するとともに説明を簡略化する。また、
図3~
図5において背景技術で説明したものと同様の部材等は、同一の符号を付している。
【0027】
なお、スリッタスコアラ装置には、No1ユニットとNo2ユニットとの2台が用意されており、一方のユニットが使用されているときに、他方のユニットの準備作業やスリッタナイフの研磨をすることができる。
【0028】
図10~12に示すように、スリッタスコアラ装置の両側にフレーム10が立設されている。両フレーム10間には、段ボールウェブWの下面側に、段ボールウェブWの幅方向(段ボールウェブWの走行方向Aに対して直角方向)に向けて梁11aが架設されている。また、段ボールウェブWの上面側には、梁11aと平行して梁11bが設けられている。
【0029】
スリッタ装置1は、下面側の梁11aと、梁11aに取り付けられたガイドレール12aと、このガイドレール12aに、移動装置24によって機械幅方向に移動可能に取り付けられた複数個(
図10,11では5個)のスリッタヘッド13とを備えている。各スリッタヘッド13には、薄い円板状の回転式ナイフであるスリッタナイフ15が回転可能に取り付けられている。
【0030】
スリッタ装置1は、さらに、上面側の梁11bと、梁11bに取り付けられたガイドレール12bと、このガイドレール12bに、移動装置14により機械幅方向に移動可能に取り付けられたスリッタヘッド13と同数の受けロール16とを備えている。下方のスリッタナイフ15と上方の受けロール16とから各ウェブ切断装置が構成されている。
【0031】
スリッタナイフ15と受けロール16とは、夫々ウェブ幅方向の所定の位置に移動可能であり、互いに対をなして配置される。各ウェブ切断装置のスリッタナイフ15と受けロール16との間に、段ボールウェブWを挟入することにより、段ボールウェブWを所望のウェブ幅方向位置で断裁できる。
【0032】
スリッタヘッド13の上方には、段ボールウェブWの進行方向に延びて下方から段ボールウェブWを支持して段ボールウェブWの走行を案内する受台17が設けられている。
また、受けロール16の外周には、円周方向に溝16aが設けられており、受けロール16の外周とスリッタナイフ15の刃先とが干渉しないように、適度なクリアランスが確保される。
【0033】
スリッタナイフ15の回転速度は、良好な断裁を行なうために段ボールウェブWの走行速度よりも十分に大きい速度に設定される。また、受けロール16の回転速度は、段ボールウェブWの走行速度を低下させないため、段ボールウェブWの走行速度と略同等でかつ若干大きい速度に設定される。
【0034】
また、段ボールウェブWは、回転駆動されるスリッタナイフ15によって下方から断裁される。このとき、スリッタナイフ15の刃先は、段ボールウェブWとの接触部において段ボールウェブWの走行速度よりも十分大きい周速度で回転駆動される。
【0035】
以下、
図3~
図5を参照して、本実施形態にかかるスリッタ装置1の機械装置の構成についてさらに説明する。なお、
図3では、受けロール16は省略されている。
図3及び
図4に示すように、スリッタ装置1では、段ボールウェブWの幅方向の所定の位置で、段ボールウェブWの走行方向Aに沿って段ボールウェブWを断裁する。このため、スリッタ装置1は、装置の両側に立設するフレーム10間で、段ボールウェブWの走行ラインPLの下方に、段ボールウェブWの幅方向にナイフ駆動軸22及び移動装置位置決め軸23が架設されている。
【0036】
ナイフ駆動軸22及び移動装置位置決め軸23には、複数個(図示では5個)のスリッタヘッド13及び移動装置24が機械幅方向に移動可能に取り付けられている。これにより、各スリッタヘッド13はそれぞれ個別に機械幅方向に移動可能であり、各スリッタヘッド13に対応する受けロール16も移動装置14によってそれぞれ個別に機械幅方向に移動可能である(
図5参照)。
【0037】
また、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、各スリッタヘッド13は、ナイフ駆動軸22に回動可能に取り付けられていると共に、連結桿28を介して雌ねじ部29に連結されている。
移動装置24の外面にはサーボモータ31が取り付けられ、サーボモータ31のピストンロッド32の先端部には雄ねじ部33が取り付けられている。雄ねじ部33は雌ねじ部29と螺合しており、サーボモータ31の作動により、雄ねじ部33と雌ねじ部29とが相対移動する。これによって、雌ねじ部29が上下方向に移動することによってスリッタナイフ15がナイフ駆動軸22を中心として、受けロール16に対して接近又は離隔可能に構成されている。
【0038】
このように、スリッタヘッド13は、ナイフ駆動軸22に回動可能である。このため、例えばスリッタナイフ15の刃先を研磨する場合は、スリッタナイフ15がナイフ駆動軸22を中心として受けロール16に対して離隔する方向にスリッタヘッド13を移動させ研磨位置にセットして、スリッタヘッド13に固定された研磨装置30によって研磨を行うことができるようになっている。なお、
図3(a)では、便宜上、1つ(図中で左端)のスリッタヘッド13の研磨装置30のみ記載するが、各スリッタヘッド13に研磨装置30は装備されている。
【0039】
ここで、研磨装置30について説明する。
図3(a),(b)及び
図4(a),(b)に示すように、研磨装置30は、スリッタヘッド13に固定された基部30aと、基部30aにエアシリンダ30bを介して昇降可能に取り付けられた砥石ローラ支持部30cと、砥石ローラ支持部30cに回転自在に支持された砥石ローラ30d,30eとを備えている。砥石ローラ30d,30eは、円板状に形成され、スリッタナイフ15の回転方向(
図4(a)中の矢印R参照)に位相をずらして配置されている。
【0040】
この例では、スリッタナイフ15の回転方向下流側(
図4中左側)の砥石ローラ30dは、スリッタナイフ15の刃先の一面側(
図4中で紙面裏側、
図3(b)中で左側)を研磨すべく刃先の角度に合わせて砥面30fが傾斜している(
図3(b)参照)。また、スリッタナイフ15の回転方向上流側(
図4中右側)の砥石ローラ30eは、スリッタナイフ15の刃先の他面側(
図4中で紙面表側、
図3(b)中で右側)を研磨すべく刃先の角度に合わせて砥面30gが傾斜している(
図3(b)参照)。
研磨装置30による研磨作業を行わないときには、
図3(a),
図4(a)に示すように、エアシリンダ30bが収縮制御されて、砥石ローラ支持部30c及び砥石ローラ30d,30eは下方に退避している。
【0041】
研磨装置30による研磨作業を行うときには、エアシリンダ30bが伸長制御されると共に、スリッタナイフ15が断裁位置よりも下方の研磨位置まで降下される。これにより、砥石ローラ30dの砥面30f及び砥石ローラ30eの砥面30gが、スリッタナイフ15の刃先を挟み込むように配置され(
図3(b)参照)、それぞれ対応するスリッタナイフ15の刃先面に当接する。この状態で、スリッタナイフ15を回転させることで、各砥石ローラ30d,30eはスリッタナイフ15に連れ回りつつ(ただし、接触面ではスリッタナイフ15よりも低速となる)、スリッタナイフ15の刃先面を研磨する。
なお、スリッタナイフ15の刃先の研磨タイミングについては後述する。
【0042】
また、
図3(a)に示すように、段ボールウェブWの走行ラインPLを挟んで、一側のフレーム10にレーザ照射装置(照射部)41が配置され、該走行ラインPLの他側フレーム10に受光装置(受光部)42が配置されている。なお、受光装置42の代わりに、反射鏡を設け、照射装置41で照射したレーザ光線Lを反射鏡で反射し、その反射波を照射装置41に内蔵した受光部で受光するようにしてもよい。
【0043】
本実施形態では、受けロール16とスリッタナイフ15との噛合い位置を、レーザ光線Lを用いて位置決めできるようになっており、これについて説明する。なお、
図4(a)に示す点aは、段ボールウェブWに対する受けロール16の外周面の接点位置であって、この点aでスリッタナイフ15と受けロール16とを噛み合わせることが断裁品質を確保する上で最適である。以下、この点aを噛み合い点aと呼ぶ。また、レーザ光線Lは噛み合い点aを通るように照射されている。
【0044】
なお、コルゲートマシンの運転中は、点aを段ボールウェブWが走行しているので、かかる位置決め作業は、運転開始前後の段ボールウェブWが走行してない時に行なう。また、この位置決め作業時に、受けロール16がレーザ光線Lを遮らないように、受けロール16を2点鎖線の位置から矢印c方向上方に移動させ、符号16´の位置に上昇させておく。なお、
図4には受けロール16の回転中心をO
2で示している。
【0045】
次に、サーボモータ31を作動させて、スリッタヘッド13を上昇させる。そして、スリッタナイフ15の円弧状外端縁15aがレーザ光線位置に達し、レーザ光線Lを遮った時に、それを受光装置42で検出し、その位置でスリッタナイフ15を固定する。その位置が最適の噛合い点となるので、スリッタナイフ15の該固定位置を図示しない記憶装置に記憶させておく。
【0046】
複数個のスリッタナイフ15の高さ位置(昇降位置)の調整を行なう場合には、位置決め済みのスリッタナイフ15がレーザ光線Lを遮るので、位置決め済みのスリッタナイフ15を支持するスリッタヘッド13を一旦下降させる。そして、別のスリッタヘッド13を上昇させ、該スリッタヘッド13に装着されたスリッタナイフ15の高さ調整を行なう。
【0047】
スリッタナイフ15の回転中心O1の位置は、スリッタヘッド13の昇降位置に相関するので、スリッタヘッド13の昇降位置からスリッタナイフ15の回転中心O1の位置を把握できる。したがって、受けロール16とスリッタナイフ15との噛合い点を位置決めした時のスリッタヘッド13(スリッタナイフ15)の昇降位置からその時のスリッタナイフ15の回転中心O1の位置を求めることができる。
【0048】
したがって、この時のスリッタナイフ15の回転中心の位置O1と、噛合い点aとの距離も求めることができる。こうして、レーザ光線Lの受光状態から、スリッタナイフ15の刃先のスリッタナイフ15の回転中心からの距離(ナイフ半径)を実測することができ、ナイフ半径からスリッタナイフ15の刃先の摩耗状態を把握することができる。なお、この場合、摩耗する前のスリッタナイフ15の半径は、予め設定されている。
【0049】
また、スリッタナイフ15のナイフ半径は、後述のサーボモータ31によるスリッタヘッド13の移動量(サーボモータ31の回転量)に対応する。したがって、レーザ照射装置41及び受光装置42と、噛合い点を位置決めした時のスリッタヘッド13(スリッタナイフ15)の昇降位置を把握する手段(例えば、後述のサーボモータ31の回転量出力部)とから、ナイフ半径測定装置90が構成される。
【0050】
ところで、スリッタナイフ15の刃先は、運転時にウェブを切断することや、研磨等によって経時的に摩耗していき、摩耗すると、研磨する必要や、さらに、スリッタナイフ15の刃先の摩耗が大きくなると、スリッタナイフ15を交換する必要がある。
特に、スリッタ装置には、いわゆる丁取りの数によって、使用しないスリッタヘッド13が発生する。複数のスリッタヘッド13の一部を使用し、残りを使用しない場合、スリッタナイフ15の刃先の摩耗にばらつきが生じる。
本スリッタ装置では、スリッタナイフ15の刃先の摩耗のばらつきを抑制するために、スリッタ装置の制御装置100が設けられている。
【0051】
[1.2.制御装置の構成]
図1は本実施形態にかかるスリッタ装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本制御装置は、タッチパネルディスプレイ(表示部)51を備えたパネルコンピュータ50と、パネルコンピュータ50からの制御信号で作動しスリッタヘッド13等を制御する機械制御PLC(PLC;Programmable Logic Controller)60とを備えている。
【0052】
また、各スリッタヘッド13の制御対象には、スリッタナイフ15の軸を回転駆動するインバータモータ71と、スリッタナイフ15を軸方向に移動させる移動装置24を構成するサーボモータ72とが含まれる。インバータモータ71にはインバータモータ71の回転を検知するエンコーダ71aが付設され、インバータアンプ73を通じて作動を制御される。サーボモータ72にはサーボモータ72の回転を検知するエンコーダ72aが付設され、サーボアンプ74を通じて作動を制御される。
なお、
図1には、1つのスリッタヘッド13について詳細に記載しているが、複数のスリッタヘッド13のそれぞれが同様に構成されている。
【0053】
パネルコンピュータ50は、生産管理装置80と接続されており、生産管理装置80から、丁取り数や、断裁すべきウェブ幅等のオーダー情報を受信し、受信したオーダー情報を、スリッタスコアラの機械位置決めデータ(スリッタヘッド13やスコアラのヘッドのウェブ幅方向位置に関するデータ)に変換して、機械位置決めデータを機械制御PLC60へ送信する。また、機械制御PLC60より機械動作情報である表示用データを受信して、この表示用データをタッチパネルディスプレイ51に表示する。
このパネルコンピュータ50の詳細は後述する。
【0054】
機械制御PLC60は、パネルコンピュータ50からスリッタスコアラ運転位置データ等を受信し、オーダーチェンジ信号に応じてNo1ユニットとNo2ユニットとの運転切替を行う処理や、スリッタスコアラ13の運転及び運転停止の制御や、運転位置決め制御や、スリッタスコアラ13の軸駆動を制御する。また、機械制御PLC60には、シート有センサ信号、運転速度信号、スリッタ運転位置情報等の運転情報が入力される。これらの運転情報はパネルコンピュータ50に出力され、運転情報のうちの機械動作情報は表示用データとしてパネルコンピュータ50で使用される。
【0055】
スリッタスコアラ13の軸駆動については、インバータアンプ73を通じてインバータモータ71の回転を制御して行う。インバータモータ71の回転制御によって、スリッタナイフ15の回転速度が制御されるが、スリッタナイフ15の断裁運転時には、断裁運転に適した回転数に制御し、スリッタナイフ15の刃先の研磨時には、刃先の研磨に適した回転数に制御する。
【0056】
ここで、パネルコンピュータ50をさらに説明する。
パネルコンピュータ50には、複数のスリッタヘッド13のそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する摩耗状態推定部(摩耗状態推定装置)52と、新規オーダーが複数のスリッタヘッド13の一部を使用して段ボールウェブWを断裁する場合(このようなオーダーを「一部使用オーダー」とよぶ)に、複数のスリッタヘッド13のうちの特定のスリッタヘッド13を使用対象に選択し、選択したスリッタヘッド13を断裁位置に移動させることができる移動制御部(移動制御装置)53と、上記の特定のスリッタヘッド13をタッチパネルディスプレイ51に表示して、後述する手動選択モードのときに、このスリッタヘッドを選択して使用するように、オペレータに向けて案内する案内部(案内装置)54と、を備えている。
【0057】
なお、本実施形態では、パネルコンピュータ50内に、摩耗状態推定装置としての摩耗状態推定部52と、移動制御装置としての移動制御部53と、案内装置としての案内部54を設けているが、摩耗状態推定装置、移動制御装置、及び案内装置は、それぞれ個別の装置(ハードウェア)として備えてもよい。
【0058】
移動制御部53は、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、摩耗状態推定部52で推定されたスリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちのスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択し、移動装置24を制御して新規オーダーに応じた所定の断裁位置に自動で移動させることができるようになっている。
【0059】
本実施形態の移動制御部53は、複数のスリッタヘッド13の一部を使用する場合に、使用するスリッタヘッド13を自動で選択する自動選択モードと、使用するスリッタヘッド13をオペレータが手動で選択する手動選択モードとのいずれかを設定する自動手動選択スイッチ55と、自動選択モード選択時に複数の自動選択モードのいずれかを設定する自動種別選択スイッチ56と、を備えている。なお、本実施形態では、パネルコンピュータ50のタッチパネルディスプレイ51に自動手動選択スイッチ55及び自動種別選択スイッチ56を表示しており、オペレータがタッチパネルディスプレイ51を見ながらタッチ操作できるようになっている。
【0060】
複数の自動選択モードとは、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、複数のスリッタヘッド13のうちの相対的に摩耗の少ないスリッタヘッドを自動で選択して所定の断裁位置に自動で移動させ、複数のスリッタヘッド13の摩耗状態を均等化させる摩耗状態均等化モード、及び、複数のスリッタヘッド13のうちの断裁位置に最も近いスリッタヘッド13を自動で選択して所定の断裁位置に自動で移動させる移動距離優先モードである。
【0061】
つまり、自動種別選択スイッチ56により、摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとの何れかが選択されると、移動制御部53は、自動種別選択スイッチ56の選択状態に応じて、摩耗状態均等化モード又は移動距離優先モードを実施する。
なお、本実施形態では、移動制御部53に、スリッタナイフの摩耗状態が予め設定された所定摩耗状態に達するまでは、自動種別選択スイッチ56による摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとを選択を許容し、摩耗状態が所定摩耗状態に達した後は、自動種別選択スイッチ56による移動距離優先モードの選択を規制する操作規制部53aが付設されている。
【0062】
案内部54は、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが複数のスリッタヘッド13の一部を使用して段ボールウェブWを断裁する一部使用オーダーの場合に、摩耗状態推定部52で推定された各スリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を選択して使用するように案内する。この案内の内容については後述する。
【0063】
摩耗状態推定部52は、種々の推定手法でそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定することができる。ここでは、摩耗状態推定部52で実行しうる第1~5の5つの推定手法について説明する。
このうち、第1~3の推定手法では、スリッタナイフ15の使用履歴に基づいてスリッタナイフの摩耗状態を推定する。また、第4,5の推定手法では、スリッタナイフ15のナイフ半径又はこれに対応するパラメータの量を実測し、これに基づいてスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
【0064】
なお、パネルコンピュータ50には、各スリッタヘッド13のスリッタナイフ15の使用履歴を記憶する使用履歴記憶部52aが備えられている。この使用履歴記憶部52aには、各スリッタナイフ15による段ボールウェブWの断裁長さ(使用距離)Lsと、スリッタナイフ15の刃先の研磨回数Npと、が記憶される。
【0065】
まず、第1の推定手法を説明する。
第1の推定手法では、使用履歴記憶部52aに記憶されている各スリッタナイフ15の研磨回数Npから各スリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
スリッタナイフ15の刃先は、研磨によって後退するため、スリッタナイフ15のナイフ半径は研磨回数Npに応じて減少すると考えられる。
そこで、第1の推定手法を用いる場合、摩耗状態推定部52では、スリッタナイフ15の摩耗状態を数値化したパラメータである摩耗量Gwを、研磨回数Npが多いほど高い値に設定する。この場合、スリッタナイフ15の摩耗量Gwは、予め設定した係数kを用いて例えば以下のように数値化することができる。
Gw=k×Np・・・(1)
【0066】
次に、第2の推定手法を説明する。
第2の推定手法とでは、使用履歴記憶部52aに記憶されている各スリッタナイフ15の使用距離Lsから各スリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
スリッタナイフ15の刃先は、使用することによって摩耗するため、スリッタナイフ15のナイフ半径は使用距離Lsに応じて減少すると考えられる。
そこで、第2の推定手法を用いる場合、摩耗状態推定部52では、スリッタナイフ15の摩耗量Gwを、使用距離Lsが長いほど高い値に設定する。この場合、スリッタナイフ15の摩耗量Gwは、予め設定した係数kkを用いて例えば以下のように数値化することができる。
Gw=kk×Ls・・・(2)
【0067】
次に、第3の推定手法を説明する。
第3の推定手法では、使用履歴記憶部52aに記憶されている各スリッタナイフ15の研磨回数Npと使用距離Lsとの組み合わせからスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
上述のように、スリッタナイフ15の刃先は、研磨によって後退するため、スリッタナイフ15のナイフ半径は研磨回数Npに応じて減少すると共に、使用することによって摩耗するため、スリッタナイフ15のナイフ半径は使用距離Lsに応じて減少すると考えられる。
【0068】
この場合、スリッタナイフ15の摩耗量Gwは、以下のように数値化することができる。なお、ここでは、使用距離Ls(例えば20000mを1単位とする)に予め設定された係数k1を乗算し、研磨回数Npに予め設定された係数k2を乗算し、これらを加算した値から、スリッタナイフ15の摩耗量Gwを以下のように数値化している。
Gw=k1×Ls/20000+k2×Np・・・(3)
例えば、上記の摩耗量Gwの使用距離Ls及び研磨回数Npへの依存割合(使用距離Lsが2割、研磨回数Npが8割)に基づき、使用距離(累積値)Lsを65000m、研磨回数Npを3とすると、摩耗量Gwは下記のように算出される。
Gw=0.2×65000/20000+0.8×3=3.05
【0069】
また、第4の推定手法では、スリッタヘッド13(スリッタナイフ15)の昇降位置からスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
スリッタナイフ15を使用する際には、前述のように、噛み合い点の調整をする。スリッタナイフが摩耗して半径が小さくなればなるほど、噛み合い点(スリッタナイフ運転位置)に達するまで、スリッタナイフ15を上昇移動させる量が大きくなる。したがって、運転中のスリッタナイフ15の昇降方向の位置(昇降位置)と、スリッタナイフ15の半径とは相関することになる。また、この運転中のスリッタナイフ15の昇降位置は、サーボモータ31がスリッタナイフ15をどれだけ移動させたか、即ち、サーボモータ31の回転量に相関する。そこで、つまり、サーボモータ31の回転量から、運転中のスリッタナイフ15の昇降位置(昇降現在位置)を算出し、このスリッタナイフ15の昇降位置からスリッタナイフ15の摩耗状態を推定することができる。
【0070】
第5の推定手法では、スリッタナイフ15の径(ナイフ半径)からスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する。
つまり、第5の推定手法では、前述した照射部41と受信部42とからなるレーザ光線Lの送受信装置を用いて、スリッタナイフ13の回転中心の移動に伴うレーザ光線Lの受信状態からナイフ半径を実測する。
【0071】
前述のように、受けロール16とスリッタナイフ15との噛合い位置を、スリッタヘッド13を上昇させながら、レーザ光線Lを利用して適切な噛み合い点aに位置決めする。この位置決めにより、スリッタナイフ15の刃先が噛み合い点aに達するため、この時のスリッタナイフ15の回転中心の位置と噛合い点aとの距離を求めることができ、さらに、スリッタナイフ15の刃先のスリッタナイフ15の回転中心からの距離(ナイフ半径)を求めることができる。
【0072】
本実施形態では、上記の推定手法のうちの第3の推定手法と第5の推定手法との2つの推定手法でそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定し、2つの推定手法で得られた摩耗状態を均等化して、スリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を選択する。ただし、推定手法の使用は、これに限定されるものではなく、いずれか1つの推定手法のみを用いてもよく、複数の推定手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0073】
したがって、パネルコンピュータ50では、予め記憶されたコンピュータプログラムによって、摩耗状態推定部52を通じて、各スリッタヘッド13のそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定し(摩耗状態推定ステップ)、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、移動制御部53を通じて、推定されたスリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択し、選択したスリッタヘッド13を、新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる(移動制御ステップ)。
【0074】
ここで、案内部54について説明する。案内部54は、タッチパネルディスプレイ51に選択を推奨するスリッタヘッド13を表示して選択を案内する。具体的には、
図2に示すように、各スリッタヘッド13a~13eのスリッタナイフ15の研磨回数、各スリッタナイフ15による段ボールウェブWの断裁長さ(使用距離)Ls、スリッタ昇降現在位置、ナイフ半径、及び各スリッタヘッド13a~13eの使用推奨順位を表示する。各スリッタヘッド13a~13eの使用推奨順位は、スリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、摩耗の少ないものから1,2,3,4,5と順位付けし、これを表示する。なお、
図2において、各スリッタナイフ15の研磨回数、使用距離、ナイフ半径については具体的数値の一例を示すが、スリッタ昇降現在位置については、スリッタ装置の製品によって基準となる位置が異なり数値もこれにより変わるため、ここでは具体的な数値例は省略している。
【0075】
したがって、パネルコンピュータ50では、予め記憶されたコンピュータプログラムによって、摩耗状態推定部52を通じて、各スリッタヘッド13のそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定し(摩耗状態推定ステップ)、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、案内部54を通じて、推定されたスリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択するように案内する(案内ステップ)。
【0076】
[2.作用及び効果]
本実施形態に係るスリッタ装置の制御装置は、上述のように構成されるため、以下のような制御方法を実施することができ、以下のような作用及び効果を得ることができる。
【0077】
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、スリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、移動装置24を制御して新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させることができる移動制御装置を備えているので、例えば以下のようなスリッタ装置の制御方法を実施することができる。
【0078】
まず、摩耗状態推定部52を用いて、複数のスリッタヘッド13のそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップを実施する。
次に、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、摩耗状態推定ステップで推定されたスリッタナイフの摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、移動装置24を制御して新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップを実施する。
【0079】
本実施形態のスリッタ装置の制御装置のように、スリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択し、移動装置24を制御して新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させることができる移動制御部53を備えることで、上記の制御を実施することができる。これにより、複数のスリッタヘッド13の各スリッタナイフ15の刃先の摩耗のばらつきが抑制できるため、複数のスリッタヘッド13に対して各スリッタナイフ15の交換を同時タイミングで行うことができ、スリッタナイフ15の交換作業性を向上させることができる。
また、ナイフ摩耗状態が均等化されると、シート生産運転の安定化やシート蛇行の抑制効果等も期待することができる。
【0080】
移動制御装置53は、一部使用オーダーの場合に、スリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択し断裁位置に自動で移動させ複数のスリッタヘッドの摩耗状態を均等化させる摩耗状態均等化モードと、断裁位置に最も近いスリッタヘッド13を自動で選択して断裁位置に自動で移動させる移動距離優先モードと、を実施可能に構成されており、摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとを選択できる自動種別選択スイッチ56を備えているので、オペレータが好みのモードを選択することができる。
【0081】
例えば、速やかにセットしたければ移動距離優先モードを選択し、そうでなければ摩耗状態均等化モードを選択し、オーダーチェンジ作業の効率化と、各スリッタナイフ15の刃先の摩耗のばらつきの抑制によるスリッタナイフ15の交換作業性を向上とを、両立させることができる。
【0082】
図6は二丁取りの場合の移動距離優先モードを選択した場合のスリッタヘッド13等(受けロール16も含む)の選択例(第1選択例)を示す模式的平面図である。この例では、両サイドのエッジの断裁には両サイドのスリッタヘッド13a,13eを用い、2つのウェブに二分割するための断裁には、断裁位置に最も近い中央のスリッタヘッド13cを用いている。
【0083】
図7,8は二丁取りの場合の摩耗状態均等化モードを選択した場合のスリッタヘッド13等(受けロール16も含む)の選択例(第2選択例,第3選択例)を示す模式的平面図である。この例では、両サイドのエッジの断裁には両サイドのスリッタヘッド13a,13eを用い、2つのウェブに二分割するための断裁には、摩耗が少ないスリッタヘッド13b,またはスリッタヘッド13dを用いている。
【0084】
図9は二丁取りの場合の摩耗状態均等化モードを選択した場合のスリッタヘッド13等(受けロール16も含む)の選択例(第4選択例)を示す模式的平面図である。この例では、両サイドのエッジの断裁には摩耗が多い両サイドのスリッタヘッド13a,13eを避けて摩耗が少ないスリッタヘッド13b,13dを用いている。ただし、このように、両サイドのスリッタヘッド13a,13eの使用を避けることができるのは、スリッタ装置の構造や、処理する段ボールウェブWのウェブ幅等の条件が適さないと可能ではない。
【0085】
移動制御部53に、スリッタナイフの摩耗状態が予め設定された所定摩耗状態に達するまでは、摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとを選択を許容し、摩耗状態が所定摩耗状態に達した後は、移動距離優先モードの選択を規制する操作規制部53aが付設されていれば、オーダーチェンジ作業の一定の効率化を図りながら、各スリッタナイフ15の刃先の摩耗のばらつきを抑制し、スリッタナイフ15の交換作業性を向上できる。
【0086】
また、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、スリッタナイフ15の摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを選択して使用するように案内する案内部54が設けられているので、例えば以下のようなスリッタ装置の制御方法を実施することができる。
【0087】
まず、摩耗状態推定部52を用いて、複数のスリッタヘッド13のそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップを実施する。
次に、オーダーチェンジの際に、新規オーダーが一部使用オーダーの場合に、摩耗状態推定ステップで推定されたスリッタナイフの摩耗状態に基づいて、複数のスリッタヘッド13のうちスリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を選択して使用するように案内する案内ステップを実施する。
【0088】
案内ステップでは、具体的には、
図2に示すように、各スリッタヘッド13a~13eの使用推奨順位を表示する。これにより、オペレータが自動手動選択スイッチ55で手動選択モードを選択した場合、オペレータはこの案内情報を参照して各スリッタヘッド13a~13eから使用するスリッタヘッド13を選択することができる。
これにより、複数のスリッタヘッド13の各スリッタナイフ15の刃先の摩耗のばらつきが抑制できるため、複数のスリッタヘッド13に対して各スリッタナイフ15の交換を同時タイミングで行うことができ、スリッタナイフ15の交換作業性を向上させることができる。
【0089】
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0090】
例えば、上記実施形態では、スリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を自動で選択し断裁位置に自動で移動させ複数のスリッタヘッドの摩耗状態を均等化させる摩耗状態均等化モードと、断裁位置に最も近いスリッタヘッド13を自動で選択して断裁位置に自動で移動させる移動距離優先モードとを設け、これらを選択するように構成したが、これに加えて、或いは、これに替えて、以下のような制御態様に構成してもよい。
【0091】
例えば、摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとを折衷させた自動選択制御が考えられる。この自動選択制御では、複数のスリッタヘッド13をスリッタナイフ15の摩耗状態に応じてグループ分けする。そして、新規オーダーが一部使用オーダーであって、新規オーダーの断裁位置で使用可能な複数のスリッタヘッド13のうち、スリッタナイフ15の摩耗が最も少ないグループに含まれるスリッタヘッド13が複数存在する場合を想定する。
【0092】
この場合、本自動選択制御では、摩耗が最も少ないグループに含まれるスリッタヘッド13のうち、新規オーダーの断裁位置に最も近いスリッタヘッド13を自動で選択し、断裁位置に自動で移動させる。このような自動選択制御では、摩耗状態均等化モードや移動距離優先モードとは異なるスリッタヘッド13を選択する場合がある。
かかる自動選択制御によれば、新規オーダーに応じたスリッタヘッド13の移動量を抑えながら、すなわち、オーダー替えに要する時間を短縮させながら、スリッタナイフ15の摩耗の均等化を図ることができる。
【0093】
また、摩耗状態均等化モードと移動距離優先モードとを折衷させた自動選択制御として以下の構成も考えられる。この制御は、製造する段ボールシートの枚数が少ないオーダー(いわゆる、短オーダー)が連続する場合を想定したものである。
短オーダーが連続する場合、オーダー替え準備時間が短くなるため、使用するスリッタヘッド13によっては、スリッタヘッド13の移動がオーダーチェンジ時間に間に合わない可能性がある。そこで、本自動選択制御では、スリッタヘッド13の移動がオーダーチェンジ時間に間に合うようにしたうえで、スリッタナイフ15の摩耗がより少ないスリッタヘッド13を選択する。
【0094】
なお、スリッタスコアラが2台あるコルゲートマシンの場合、例えば、連続する3つのオーダーを、順番に旧オーダー、現オーダー、新規オーダーとして区別すると、1台目で現オーダーの製造を行っているときに、2台目は新規オーダーの準備を行う。この場合、現オーダーの製造時間が新規オーダーのためのオーダー替え準備時間となる。また、各スリッタヘッド13の現在位置と新規オーダーの断裁位置との距離に応じて、各スリッタヘッド13の新規オーダーの断裁位置への移動に要する移動必要時間を算出できる。
【0095】
本自動選択制御では、現オーダーの製造時間から新規オーダーのオーダー替え準備時間を求める。この一方で、現オーダーにおける各スリッタヘッド13の位置と新規オーダーの断裁位置とから、新規オーダーの各断裁位置に対して使用するスリッタヘッド13の候補を選出する。新規オーダーが一部使用オーダーの場合、新規オーダーのある断裁位置に対して、使用可能な複数のスリッタヘッド13が存在し、これらを当該断裁位置で使用するスリッタヘッド13の候補に選出する。
【0096】
さらに、選出した各スリッタヘッド13の現オーダーにおける位置と当該断裁位置との距離に基づいて、各スリッタヘッド13の新規オーダーの断裁位置への移動に要する移動必要時間を算出する。そして、各スリッタヘッド13の移動必要時間と新規オーダーのオーダー替え準備時間とを比較し、移動必要時間が新規オーダーのオーダー替え準備時間以内であるスリッタヘッド13を選出する。
【0097】
この結果、移動必要時間が新規オーダーのオーダー替え準備時間以内であるスリッタヘッド13が複数ある場合は、この中で、スリッタナイフ15の摩耗が最も少ないスリッタヘッド13、あるいは、スリッタナイフ15の摩耗が比較的少ないスリッタヘッド13を自動で選択し、断裁位置に自動で移動させる。本自動選択制御でも、当然ながら、摩耗状態均等化モードや移動距離優先モードとは異なるスリッタヘッド13を選択する場合がある。
【0098】
このようにして、本自動選択制御によれば、オーダー替えに際して製造が停滞することなく、また、損紙の発生を抑えながら、スリッタナイフ15の摩耗が比較的少ないスリッタヘッド13を使用するので、スリッタナイフ15の摩耗の均等化を図ることができる。
なお、移動必要時間が新規オーダーのオーダー替え準備時間以内であるスリッタヘッド13が一つもない場合には、移動必要時間が最も短いスリッタヘッド13を自動で選択し断裁位置に自動で移動させる。これにより、製造効率の低下及び損紙の発生を抑えることができる。
【0099】
また、例えば、上記の実施形態中には、スリッタナイフ15の摩耗状態を推定する推定手法として、第1~5の推定手法を説明したが、推定手法はこれに限定されない。
例えば、スリッタナイフ15の使用時間からスリッタナイフ15の摩耗状態を推定することもできる(第6の推定手法)。この第6の推定手法は、スリッタナイフ15の使用時間が長いほどスリッタナイフ15の摩耗が進む点に着目したもので、スリッタナイフ15の使用時間から、厳密ではないものの、そのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定することができる。
【0100】
また、例えば、上記実施形態では、自動手動選択スイッチ55を備え、複数のスリッタヘッド13の一部を使用する場合に、使用するスリッタヘッド13を自動で選択する自動選択モードと、使用するスリッタヘッド13を手動で選択する手動選択モードとのいずれかを設定できるようになっているが、このスイッチ55を省略し、自動選択と手動選択との一方のみを実施するようにしてもよい。手動選択のみを実施する場合は、当然ながら自動種別選択スイッチ56も省略される。
【0101】
また、上記実施形態では、2つの推定手法でそれぞれのスリッタナイフ15の摩耗状態を推定し、2つの推定手法で得られた摩耗状態を均等化して、スリッタナイフ15の摩耗が相対的に少ないスリッタヘッド13を選択しているが、上述の6つの手法のいずれかを単独で用いてスリッタナイフ15の摩耗状態を推定してもよく、これらを適宜組み合わせてスリッタナイフ15の摩耗状態を推定してもよい。
【0102】
第1~3の手法を用いてスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する場合も、具体的な摩耗量の設定は上記実施形態のものに限定されない。
第5の手法を用いてスリッタナイフ15の摩耗状態を推定する場合も、ナイフ半径を実測手法は上記実施形態のものに限定されない。
【0103】
また、上記実施形態では、案内部54によりタッチパネルディスプレイ51に選択を推奨するスリッタヘッド13を表示して選択を案内したが、これに限定されない。例えば、音声により選択を案内してもよい。
【0104】
[4.付記]
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0105】
(付記1)
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御装置であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定装置と、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御装置と、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御装置。
【0106】
(付記2)
前記移動制御装置は、前記新規オーダーが前記一部使用オーダーの場合に、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し前記断裁位置に自動で移動させ前記複数のスリッタヘッドの摩耗状態を均等化させる摩耗状態均等化モードと、前記複数のスリッタヘッドのうちの前記断裁位置に最も近いスリッタヘッドを自動で選択して前記断裁位置に自動で移動させる移動距離優先モードと、を実施可能に構成されている
ことを特徴とする、付記1に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0107】
(付記3)
前記摩耗状態均等化モードと前記移動距離優先モードとを選択できる選択スイッチを備え、
前記移動制御装置は、前記選択スイッチの選択状態に応じて、前記摩耗状態均等化モード又は前記移動距離優先モードを実施する
ことを特徴とする、付記2に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0108】
(付記4)
前記移動制御装置には、前記スリッタナイフの摩耗状態が予め設定された所定摩耗状態に達するまでは、前記選択スイッチによる前記摩耗状態均等化モードと前記移動距離優先モードとの選択を許容し、前記摩耗状態が前記所定摩耗状態に達した後は、前記選択スイッチによる前記移動距離優先モードの選択を規制する操作規制部が設けられている
ことを特徴とする、付記3に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0109】
(付記5)
前記移動制御装置は、前記複数のスリッタヘッドの一部を使用する場合に、使用するスリッタヘッドを自動で選択する自動選択モードと、前記使用するスリッタヘッドをオペレータが手動で選択する手動選択モードとのいずれかを設定する自動手動選択スイッチを備えている
ことを特徴とする、付記1~4のいずれか1項に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0110】
(付記6)
前記手動選択モードが選択されているときに、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを選択して使用するようにオペレータに向けて案内する案内装置を備えている
ことを特徴とする、付記5に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0111】
(付記7)
円形のスリッタナイフを有し、同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御装置であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定装置と、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定装置で推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを選択して使用するように、オペレータに向けて案内する案内装置と、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御装置。
【0112】
(付記8)
前記スリッタナイフの摩耗状態を表示する表示装置を備えている
ことを特徴とする、付記1~7のいずれか1項に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0113】
(付記9)
前記摩耗状態推定装置は、前記スリッタナイフの使用履歴に基づいて、前記スリッタナイフの前記摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、付記1~8のいずれか1項に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0114】
(付記10)
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの研磨回数を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記研磨回数が多いほど、前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、付記9に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0115】
(付記11)
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの使用距離を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記使用距離が長いほど前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、付記9に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0116】
(付記12)
前記スリッタナイフの前記使用履歴には、前記スリッタナイフの使用距離及び前記スリッタナイフの研磨回数を含み、
前記摩耗状態推定装置は、前記使用距離が長いほど、及び、前記研磨回数が多いほど、前記スリッタナイフの摩耗量を高い値とする
ことを特徴とする、付記9に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0117】
(付記13)
前記摩耗状態推定装置は、前記スリッタナイフを前記摩耗状態に応じた所定の昇降位置に調整した際の前記スリッタナイフの昇降位置に基づいて、前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、付記1~8のいずれか1項に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0118】
(付記14)
前記スリッタナイフの回転中心から刃先までの距離であるナイフ半径を実測するナイフ半径測定装置を備え、
前記摩耗状態推定装置は、ナイフ半径測定装置で測定されたナイフ半径に基づいて前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する
ことを特徴とする、付記1~8のいずれか1項に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0119】
(付記15)
前記ナイフ半径測定装置は、前記スリッタナイフの回転軸と平行にレーザ光線を照射する照射部と、前記照射部から照射された前記レーザ光線を受信する受信部とを備え、前記スリッタナイフの回転中心の移動に伴う前記受信部による前記レーザ光線の受信状態から前記ナイフ半径を実測する
ことを特徴とする、付記14に記載のスリッタ装置の制御装置。
【0120】
(付記16)
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御方法であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御方法。
【0121】
(付記17)
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御するスリッタ装置の制御方法であって、
前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを選択して使用するように案内する案内ステップと、を備えている
ことを特徴とする、スリッタ装置の制御方法。
【0122】
(付記18)
円形のスリッタナイフを有し同一の軸上で移動可能なスリッタヘッドと前記スリッタヘッドを前記軸上で移動させる移動装置とを複数備え、前記複数のスリッタヘッドの一部または全部を使用して走行ライン上を連続的に走行する段ボールウェブを走行方向に沿って断裁するスリッタ装置を制御する制御装置のコンピュータプログラムであって、
前記制御装置に、前記複数のスリッタヘッドのそれぞれの前記スリッタナイフの摩耗状態を推定する摩耗状態推定ステップと、
オーダーチェンジの際に、新規オーダーが前記複数のスリッタヘッドの一部を使用して前記段ボールウェブを断裁する一部使用オーダーの場合に、前記摩耗状態推定ステップで推定された前記スリッタナイフの摩耗状態に基づいて、前記複数のスリッタヘッドのうち前記スリッタナイフの摩耗が相対的に少ないスリッタヘッドを自動で選択し、前記移動装置を制御して前記新規オーダーに応じた断裁位置に自動で移動させる移動制御ステップと、を実行させる
ことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0123】
1 スリッタ装置
3 スコアラ装置
10 フレーム
11a,11b 梁
12a,12b ガイドレール
13,13a,13b,13c,13d,13e スリッタヘッド
14,24 移動装置
15 スリッタナイフ
16 受けロール
16a 溝
17 受台
22 ナイフ駆動軸
23 移動装置位置決め軸
28 連結桿
29 雌ねじ部
30 研磨装置
30a 基部
30b エアシリンダ
30c 砥石ローラ支持部
30d,30e 砥石ローラ
30f,30g 砥面
31 サーボモータ
32 ピストンロッド
33 雄ねじ部
41 レーザ照射装置(照射部)
42 受光装置(受光部)
50 パネルコンピュータ
51 タッチパネルディスプレイ(表示部)
52 摩耗状態推定部(摩耗状態推定装置)
53 移動制御部(移動制御装置)
54 案内部(案内装置)
60 機械制御PLC
71 インバータモータ
71a エンコーダ
72 サーボモータ
72a エンコーダ
73 インバータアンプ
74 サーボアンプ
80 生産管理装置
90 ナイフ半径測定装置
100 スリッタ装置の制御装置
A 段ボールウェブ走行方向
O1 スリッタ刃ナイフ中心
O2 受けロール中心
PL 走行ライン
W 段ボールウェブ