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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009423
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】スロープを備える体重計
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/44 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
G01G19/44 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112424
(22)【出願日】2023-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜野 強太
(57)【要約】
【課題】被計量者が安全に計量台に上がることができる体重計を提供する。
【解決手段】被計量物が載置される計量台と、前記計量台の四隅に配置され、床面に着地される脚と、前記計量台の側面に設けられ、前記床面とは離間して配置される第1スロープと、前記床面に着地して配置され、前記床面と前記第1スロープとの段差を解消する第2スロープと、を備える体重計を提供する。第2スロープにより、第1スロープとの段差が解消され、被計量者は、床面、第2スロープ、第1スロープ、計量台と、順に連続して、段差なく続く進入路を安全に上がることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載置される計量台と、
前記計量台の四隅に配置され、床面に着地される脚と、
前記計量台の側面に設けられ、前記床面とは離間して配置される第1スロープと、
前記床面に着地して配置され、前記床面と前記第1スロープとの段差を解消する第2スロープと、
を備えることを特徴とする体重計。
【請求項2】
前記第2スロープは、前記脚に係合し、前記第1スロープおよび前記計量台とは離間して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の体重計。
【請求項3】
スリットが設けられた被係合部材が、前記脚に固定されており、
前記第2スロープには、前記スリットの形状に対応した係合部が設けられており、
前記第2スロープは、前記スリットに前記係合部が挿通することにより、前記脚に係合する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体重計。
【請求項4】
前記計量台には、前記第2スロープと対向する対向面に、無底の凹部が設けられており、
前記被係合部材が、前記凹部の底部となる位置に、かつ前記凹部から離間して配置され、上面視して前記スリットが前記凹部の内側となるように配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の体重計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は体重計に関し、特にスロープを備える体重計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車椅子体重計や医療用秤などの体重計は、被計量者が足を高く上げることなく計量台に乗り上げることができるように、スロープが設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、回転して計量台に折りたためる導入路(スロープ)が設けられている。スロープが床面に接触すると計量誤差が生じるため、通常状態でスロープが床面に接触しない程度にバネで上方向に付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2-140426号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような体重計では、スロープが床面に接触しないため、スロープと床面との間に段差が生じてしまう。スロープが必要な歩行困難者が、この段差につまずいてしまうことがあり、大変危険である。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、被計量者が安全に計量台に上がることができる体重計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本開示のある態様においては、被計量物が載置される計量台と、前記計量台の四隅に配置され、床面に着地される脚と、前記計量台の側面に設けられ、前記床面とは離間して配置される第1スロープと、前記床面に着地して配置され、前記床面と前記第1スロープとの段差を解消する第2スロープと、を備えるように体重計を構成した。
【0008】
上記態様によれば、二つのスロープにより、床面から計量台まで連続する導入路が設けられる。被計測者は、床面から、第2スロープ、第1スロープ、計量台と、順に上がり、計量台の踏面まで上がることができる。第2スロープにより第1スロープと床面との高さのギャップが埋められ、被計量者はより安全に計量台に上がることができる。
【0009】
また、ある態様によれば、前記第2スロープは、前記脚に係合し、前記第1スロープおよび前記計量台とは離間して配置されるものとした。この態様によれば、第2スロープは脚に係合するため、離脱することがない。第2スロープは、計量台や第1スロープとは離間して配置されるため、計量に悪影響を与えることがない。
【0010】
また、ある態様によれば、スリットが設けられた被係合部材が、前記脚に固定されており、前記第2スロープには、前記スリットの形状に対応した係合部が設けられており、前記第2スロープは、前記スリットに前記係合部が挿通することにより、前記脚に係合するものとした。この態様によれば、スリットに係合部を差し込むことで第2スロープを固定することができ、第2スロープを容易に係合できる。
【0011】
また、ある態様においては、前記計量台には、前記第2スロープと対向する対向面に、無底の凹部が設けられており、前記被係合部材が、前記凹部の底部となる位置に、かつ前記凹部から離間して配置され、上面視して前記スリットが前記凹部の内側となるように配置されるものとした。この態様によれば、被係合部が突出して露出しており、係合が容易で、かつ被係合部となるスリットが凹部内に配置されるため、安全である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、被計量者が安全に計量台に上がることができる体重計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る体重計の斜視図である。
図2】同体重計の正面図である。
図3】同体重計の拡大正面図(図2A部)である。図3(A)が第2スロープを取り外した状態を示す。図3(B)が第2スロープを取り付けた状態を示す。
図4】同体重計の分解斜視図である。カバー部材下面は省略した。
図5図2に示すV-V線に沿った端面図である。
図6】第2スロープの係合を示す説明図である。図6(A)が第2スロープ係合前を示す。図6(B)が第2スロープ係合後を示す。カバー部材は省略した。
図7】第2スロープの取り外しを示す説明図である。カバー部材は省略した。
図8】体重計の拡大正面斜視図である。主としてカバー部材の前面の態様を示す。第2スロープは取り外している。
図9】第2スロープの係合工程を示す説明図である。カバー部材の前面の部分水平断面拡大図である。カバー部材を断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
(体重計1)
本開示の構成に係る好ましい実施形態である体重計1を、図面に従って説明する。図1は、実施形態に係る体重計1の斜視図を示す。図2は、体重計1の正面図を示す。
【0016】
図1および図2に示すように、体重計1は車椅子体重計などの医療用の大型の体重計である。被計量荷重(被計量者)が載加される計量台20と、計量台20の下方の四隅に配置される脚8を有し、床面FLに脚8を着地させて使用される。
【0017】
被計量者が安全に乗り上げるため、計量台20は、踏面となる上面が広く、かつ全体が薄く構成されて、床面FL近くに配置される。歩行が不自由または困難な被計量者が掴まり立ちできるように、計量台20の左右の側縁には手すり4が立設している。計量台20には、表示部5が立設しており、計量台20へ載加された荷重が、測定結果として表示部5に表示される。
【0018】
体重計1には、車椅子に乗った被計量者も、車椅子のまま計量台20に乗りあげることができるように、計量台20の前後の辺にはそれぞれ、外側に向かうほどに低くなる、第1スロープ30および第2スロープ50の、二つの緩勾配のスロープが設けられている。
【0019】
図3は、体重計1の拡大正面図(図2のA部)である。主として第2スロープ50の取り付け状態を示す。図3(A)が第2スロープ50を取り外した状態を示す。図3(B)が第2スロープ50を取り付けた状態を示す。
第1スロープ30は計量台20に直接設けられ、第2スロープ50は、計量台20とは別体として構成され、第1スロープ30の外側に、着脱可能に配置される。
【0020】
第1スロープ30は、計量台20の前後の側面に、計量台20と一体化して設けられており、計量誤差を生じさせぬように、床面FLからは、離間して配置されている。このため、図3(A)に示すように、第1スロープ30と床面FLの間には、段差D1が生じる。
【0021】
第2スロープ50は、床面FLに載置されており、第1スロープ30と床面FLとの段差D1を解消するように設けられている。図3(B)に示すように、第2スロープ50を設けることで、床面FLから第1スロープ30までの段差D1が解消され、床面FLから計量台20まで緩勾配の斜面が連続する。連続して配置される第1スロープ30および第2スロープ50により、床面FLから計量台20の踏面(水平面)まで緩勾配の傾斜面が続き、被計量者は大きく足を上げることなく、計量台20に上がることができる。
【0022】
計量誤差を生じさせぬように、第2スロープ50は、第1スロープ30および計量台20とは離間して配置される。さらに、第2スロープ50は脚8に係合しており、例えば被計量者に蹴られるなどの衝撃により計量台20から脱落してしまうことがない。進入路の傾斜面である第1スロープ30の上面には乗り上がった車椅子が滑らないように、すべり止めが設けられている。また、第2スロープ50の底面にも、第2スロープ50が床面FLを滑らぬように、すべり止めが設けられている。
【0023】
図4は、体重計1の分解斜視図である。なお、カバー部材80は下面を有するが、図4では省略する。図4に示すように、体重計1は、計量台20、計量台20に備えられるカバー部材80、および複数の荷重センサ40を備える。
【0024】
計量台20は、平面視矩形状で、大きさに対して高さが非常に低い扁平形状に構成される。計量台20は、計量台20の左右の側辺を構成するベース梁21,21、およびベース梁21,21の間に配置されて固定されるロードプレート22を有する。第1スロープ30はロードプレート22の一部として構成される。被計量者が足を大きく上げることなく計量台20へ上がることができるように、ロードプレート22はベース梁21の下方に固定される。計量台20の四隅の下方には、荷重センサ40である起歪体が連結される。計量台20は荷重センサ40にのみ支持される。
【0025】
カバー部材80は、ベース梁21およびベース梁21に装着される図示しない演算装置などの内部機構の目隠し部材であり、ベース梁21を覆い、該ベース梁21に取り付けられることで、ベース梁21および内部機構を外部から隠蔽する。カバー部材80には、手すり4および表示部5が立設しており、手すり4および表示部5を含むカバー部材80は、計量台20を介して荷重センサ40に支持される。カバー部材80は、床面FLからは離間して計量台20にのみ接触して該ベース梁21に支持されており、荷重センサ40と干渉することはない。このため、計量台20の上に乗った被計量者が、手すり4に掴まる、もたれ掛かるなどしても、体重計1の計量値に影響はない。
【0026】
荷重センサ40では所定の標準状態から変化値が荷重として計算される。即ち、計量台20には何も置かれていない状態から、計量台20に載加されて重量として作用した負荷が、荷重センサ40で検出され、差分値が重量変換されて、表示部5に表示される。被計量者が車椅子に乗っていた場合、あらかじめ車椅子の重量を記憶させることで、差分値を計算して被計量者の体重を表示させることも可能である。
【0027】
(荷重センサ)
図5図2のV-V線に沿ったA部の垂直端面図である。荷重センサ40である起歪体は、一方向に長い略直方体形状で、長手方向をベース梁21と揃えて、ベース梁21の下方に配置される。荷重センサ40である起歪体の一方の端部が可動端41、もう一方の端部が固定端42であり、固定端42側をベース梁21の端部に向けて配置される。荷重センサ40の側方にはメガネ状の貫通孔が穿設されており、貫通孔の設けられた薄肉部に、図示しない歪みゲージが貼付けされている。固定端42を固定し、可動端41に荷重を付加することによって薄肉部が変形し、この変形が歪みゲージによって電気信号に変換され、重量値に変換される。可動端41の上面には不図示のネジ穴が設けられており、可動端41は平板の中間部材46を挟んでベース梁21の底面にボルトで締結される。
【0028】
ベース梁21は、複数の金属製の平板や中空材を溶接や締結により固定することで形成される。ベース梁21の下方には、荷重センサ40を収めるために収納空間が設けられている。荷重センサ40は収納空間に収まってベース梁21の下面に固定され、ベース梁21を下方から支持する。荷重センサ40とベース梁21の間に中間部材46が介装されており、荷重センサ40がベース梁21に接触することはない。ベース梁21に底面から上方に大きく窪んだ収納空間を設けて、収納空間の上面に荷重センサ40を固定することで、ベース梁21と荷重センサ40との固定面を高くし、相対的にベース梁21に固定されるロードプレート22の配置位置を下げている。ロードプレート22の上面は、被計量者の踏面であり、踏面をより床面FL近くに配置して、安全性を高めている。
【0029】
荷重センサ40の固定端42の底面には、固定プレート48が、不図示の固定部材にて締結されている。固定プレート48の底面には、床面FLに当接する脚8が配置されている。脚8の先端部にはネジ部が設けられており、脚8を回転させることで、固定プレート48からの突出量が変化する。脚8を回転させることで、脚8の突出量を調整して、計量台20が水平となるように調整できる。
【0030】
固定プレート48には、被係合部材60が固定されている。被係合部材60は、第2スロープ50を係合する部材である。被係合部材60は、平板がクランク状に屈曲されてなり、上方水平面61、垂直面62、下方水平面63を有する。上方水平面61が固定プレート48に締結されて固定され、下方水平面63が床面FL近くに配置される。
【0031】
カバー部材80の前後の両端面には、内側に窪むカバー凹部81が設けられており、カバー凹部81の下方領域は、カバー部材80の底面まで連続する開口部82が形成されている。固定プレート48に固定された被係合部材60は、下方水平面63の少なくとも一部が開口部82から露出する。
下方水平面63には、平面視して逆L字状の切り込み(スリット64)が形成されている。このスリット64が係合部54と直接に係合する被係合部である。
【0032】
被係合部材60の下方水平面63の一部は、第2スロープ50と係合するために、カバー部材80の外に突出して露出するが、カバー部材80に設けられたカバー凹部81の中に納まり、下方水平面63の先端はカバー凹部81から突出することがないため、安全性が高い。
【0033】
(第2スロープ)
第2スロープ50の形状、および第2スロープ50の着脱方法について、詳しく説明する。図6は、体重計1の拡大斜視図である。なお、図6では、カバー部材80を省略している。図6(A)は第2スロープ50が計量台20に係合する前の状態を示す。図6(B)は第2スロープ50が計量台20に係合した後の状態を示す。
【0034】
第2スロープ50は、計量台20とは別体として構成され、計量台20から着脱可能である。第2スロープ50は、計量台20の幅(左右方向の長さ)と概ね同じ幅を有し、第1スロープ30の手前(外側)に配置され、第1スロープ30と床面FLとの高さのギャップ(段差D1)を解消する。
【0035】
第2スロープ50は、長手方向の断面形状の外形が直角三角形状であり、長手方向に伸びる三面として、床面FLに着地する底面51、踏面となる傾斜面52、および計量台20との対向面となる鉛直面53を有する。
【0036】
計量台20と対向する鉛直面53の左右の縁部には、被係合部材60に係合する一対の係合部54が突設されている。係合部54は平面視してL字型の屈曲平板で、被係合部であるL字型のスリット64に対応した形状となっている。
【0037】
第2スロープ50を計量台20に係合する際には、第2スロープ50を少し持ち上げ、係合部54を床面FLに載置された計量台20から露出する下方水平面63に合わせ、係合部54をスリット64に上から挿通させる。L字型のスリット64にL字型の係合部54の半ばまで挿通すると、第2スロープ50の底面51が床面FLに着地する。これにより第2スロープ50が係合される。
【0038】
(作用効果)
第2スロープ50により、計量台20に設けられた第1スロープ30と床面FLとのギャップが解消される。第1スロープ30および第2スロープ50により、両スロープを経路として、被計量者は、床面FLから計量台20まで段差なく安全に上がることができる。
【0039】
従来、計量台とは別途に設けられる別体スロープもあったが、計量台に別体スロープだけで登らねばならないため、計量台の高さのスロープで大型となり、持ち運びや取り付けが大変だった。本実施形態においては、第2スロープ50は、第1スロープ30と床面FLとの段差D1を解消するため、段差D1程度の高さスロープでよいため、小型で軽量となり、持ち運びや取り付けが容易である。
【0040】
また従来、計量台とは別体に設けられる別体スロープは、計量台を持ち上げて、脚に係合させることで、計量台に固定されていた。しかし、計量台は重く、計量台を持ち上げて脚に別体スロープ取り付けるのは一苦労で、一人では難しい作業であった。本実施形態によれば、第2スロープ50を計量台20に取り付ける場合に、重い計量台20を持ち上げる必要がなく、計量台20よりも軽く小型の第2スロープ50を上から嵌めるだけでよく、安全にかつ容易に第2スロープを計量台20に係合させることができる。
【0041】
係合部54を含む第2スロープ50は、係合部54がスリット64に係合して、底面51が床面FLに着地すると、露出する被係合部材60の一部にのみ接して、第1スロープ30およびカバー部材80とは僅かに離間して配置されて、計量台20およびこれに取り付けられる部品と接触しない。このため、第2スロープ50が計量台20に接して荷重をかけて、体重計1の計量値に誤差を生じさせることがない。
【0042】
図7は、第2スロープ50の取り外しを示す図である。図6に対応する。図1も参照のこと。体重計1を移動させる場合、第2スロープ50は取り外して持ち運ぶ必要がある。体重計1は、一方の側面に取手3、他方の側面には車輪7が設けられている(図1参照)。体重計1を移動する際には、取手3を把持して車輪7のある側辺を支点として、取手3のある辺を持ち上げて計量台20を傾け、車輪7を接地させて、車輪7で体重計1を移動させる。取手3を把持して計量台20を持ち上げると、係合部54がスリット64を通り、自然に係合が解かれ、床面FLに第2スロープ50が残る。第2スロープ50を取り外す場合とは、体重計1を移動させる場合であるため、移動のために計量台20を持ち上げると、自然に第2スロープ50が取り外される。第2スロープ50を取り外すために計量台20を持ち上げる必要もない。もちろん、第2スロープ50をそのまま持ち上げて、係合部54をスリット64に挿通させて、計量台20から取り外すことも可能である。
【0043】
スリット64が平面視してL字型であるため、第2スロープ50がスリット64に係合すると、左右方向にも前後方向にも動きが抑制される。このため、係合後、第2スロープ50が外れてしまうことがない。スリット64の形状は、逆L字型に限定されず、T字型や、逆J字型、カギ型などでもよい。
【0044】
(カバー部材80)
本実施形態においては、カバー部材80のカバー凹部81は、第2スロープ50の取り付けに好適な形状となっている。これを、図を用いて詳しく説明する。図8は、体重計1の拡大正面斜視図である。第2スロープ50は取り外した状態である。図3の拡大正面図も参照のこと。
【0045】
前述のように、カバー部材80の前後の端面にはカバー凹部81が設けられており、カバー凹部81の下方領域に設けられた開口部82から、被係合部材60の下方水平面63が露出している。
【0046】
カバー凹部81は、内側に二段階に窪んだ形状となっている。図8に示すように、カバー部材80の前端面であるカバー前面88には、後方に向かって窪む第1凹部83が設けられており、第1凹部83の窪み面(後面となる第1立壁84)に、さらに後方へ向かって窪む第2凹部85が設けられている。
【0047】
また、カバー凹部81はカバー前面88の下端まで、カバー部材80の底面まで貫通して、後方に窪んで形成されている。即ち、カバー凹部81は無底であり、第1凹部および第2凹部85の構成面には下面がなく、カバー凹部81の底面となる位置には、開口部82から突出した被係合部材60の下方水平面63が、カバー部材80から離間して配置されている。
【0048】
第1凹部83と第2凹部85の天井面は、共通の天井面87となっている。天井面87により、カバー凹部81の天井面は、カバー前面88から第2凹部85の後面である第2立壁86まで連続した傾斜面となっている。
【0049】
上記のように構成されるカバー部材80は、係合部54がスリット64に係合することを補助する。図9は、係合部54とスリット64の係合、およびカバー部材80の形状を説明するための部分水平断面図である。カバー部材80は断面で示されており、下方水平面63は二点鎖線で示される。図9(A)および図9(B)は、係合工程を示す。
【0050】
第2スロープ50を計量台20に係合させるには、まず、図9(A)に示すように、第2スロープ50を持ち上げ、鉛直面53を計量台20に対向させて配置し、鉛直面53から突出する係合部54をカバー凹部81に差し込む。詳しくは、平面視してL字型の係合部54のうち、鉛直面53に固定される基端面を第1面54a、基端面から屈曲して連続する先端面を第2面54bとすると、カバー凹部81の第2立壁86に、第2面54bが当接するように、カバー凹部81に係合部54に差し込む。
【0051】
このとき、カバー凹部81の天井面87は第2立壁86に向かって緩やかに傾斜しているため、係合部54が天井面87に当接すると、第2立壁86に向かって案内される。また、計量台20との対向面である第2スロープ50の鉛直面53を、カバー部材80のカバー前面88に当接させると、第2面54bも第2立壁86に当接するように設定されている。このように、係合部54の差し込み量を、カバー凹部81を覗きこまずに、作業者が分かるように構成されている。
【0052】
また、第2スロープ50の両端部には、端部を覆うスロープカバー55が設けられている。スロープカバー55は第2凹部85よりも大きく、第2凹部85に入り込まず、第1凹部83にのみ入り込み、スロープカバー55から突出する係合部54だけが第2凹部85に入り込む。
【0053】
上記構成により、カバー凹部81の最も奥まった位置にある第2立壁86に、係合部54の第2面54bを案内することができる。第2立壁86も第2面54bも鉛直平面であり、平面同士で安定して当接する。
【0054】
前述の通り、カバー凹部81の下方領域には被係合部となるL字型のスリット64が形成された下方水平面63が配置されている。図9(A)および図9(B)に示すように、L字型のスリット64のうち、入り口側の直線の切り欠きを第1スリット64a、第1スリット64aと直行する、奥側の直線部分を第2スリット64bとすると、第2スリット64bは、平面視して第2凹部85の手前(外側)となるように、被係合部材60は構成されている。
【0055】
第2立壁86に第2面54bを当接させたまま、第2スロープ50を床面FLに接地させるために下方に移動させると、カバー凹部81の下方に配置された下方水平面63に当接する。そのまま第2スロープ50を少し手前に引くと、スリット64に係合部54が挿通し、自重により、第2スロープ50が床面FLに着地する。係合部54はスリット64に係合し、上下方向の途中までスリット64に挿通した状態で第2スロープ50は床面FLに着地しており、第2スロープ50の水平方向の移動が制限される。
【0056】
平面視して、第2スリット64bは、第2立壁86の鉛直下方ではなく、僅かにカバー凹部81の開口部側に距離D2だけ離れて設けられている。これは、第2スロープ50が、カバー部材80に当接していると、第2スロープ50が計量台20に接して荷重を掛けていることとなり、体重計1の計量に狂いが生じるため、両者を離間させる必要があるからである。カバー部材80は計量台20に含まれるため、スリット64を第2立壁86から水平に距離D2だけ離れて設け、被係合部材60に係合した第2スロープ50が計量台20から距離D2だけ離間して配置されるように構成した。
【0057】
カバー前面88は、計量台20の第2スロープ50との対向面であり、カバー前面88に無底のカバー凹部81が設けられ、カバー凹部81内の底部に、カバー部材80から離間して被係合部となるスリット64が配置されている。被係合部がカバー部材80から突出せず安全である。さらに、カバー凹部81に係合部54を差し入れて、底面に位置するスリット64に上から係合部54を挿通させるだけで容易に係合させることができる。
【0058】
本実施形態においては、荷重センサ40は、起歪体を用いて、計量台20の四隅に配置されたが、これに限られず、従来周知の荷重センサや他の計量機構を用いてよく、また荷重センサの配置や数も上記に限定されない。またカバー凹部81の形態は、二段に窪む態様に限られず、ただの凹部として形成され、凹部内、かつカバー部材80から離間して被係合部材60が配置される態様であればよい。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態や変形例について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 :体重計
8 :脚
20 :計量台
30 :第1スロープ
40 :荷重センサ
50 :第2スロープ
53 :鉛直面
54 :係合部
60 :被係合部材
64 :スリット
80 :カバー部材
81 :カバー凹部(凹部)
88 :カバー前面(対向面)
D1 :段差
FL :床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載置される計量台と、
前記計量台の四隅に配置され、床面に着地される脚と、
前記計量台の側面に設けられ、前記床面とは離間して配置される第1スロープと、
前記床面に着地して配置され、前記床面と前記第1スロープとの段差を解消する第2スロープと、
を備えることを特徴とする体重計。
【請求項2】
前記第2スロープは、前記脚に係合し、前記第1スロープおよび前記計量台とは離間して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の体重計。
【請求項3】
スリットが設けられた被係合部材が、前記脚に固定されており、
前記第2スロープには、前記スリットの形状に対応した係合部が設けられており、
前記第2スロープは、前記スリットに前記係合部が挿通することにより、前記脚に係合する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体重計。
【請求項4】
前記計量台には、前記第2スロープと対向する対向面に、無底の凹部が設けられており、
前記被係合部材が、前記凹部の底部となる位置に、かつ前記凹部から離間して配置され、上面視して前記スリットが前記凹部の内側となるように配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の体重計。
【請求項5】
前記第1スロープおよび前記第2スロープにより、前記床面から前記計量台まで連続する傾斜面の導入路が設けられる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体重計。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載置される計量台と、
前記計量台の四隅に配置され、床面に着地される脚と、
前記計量台の側面に設けられ、前記床面とは離間して配置される第1スロープと、
前記床面に着地して配置され、前記床面と前記第1スロープとの段差を解消する第2スロープと、
を備え
スリットが設けられた被係合部材が、前記脚に固定されており、
前記第2スロープには、前記スリットの形状に対応した係合部が設けられており、
前記第2スロープは、前記スリットに前記係合部が挿通することにより、前記脚に係合する、
ことを特徴とする体重計。
【請求項2】
前記第2スロープは、前記脚に係合し、前記第1スロープおよび前記計量台とは離間して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の体重計。
【請求項3】
前記計量台には、前記第2スロープと対向する対向面に、無底の凹部が設けられており、
前記被係合部材が、前記凹部の底部となる位置に、かつ前記凹部から離間して配置され、上面視して前記スリットが前記凹部の内側となるように配置される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体重計。
【請求項4】
前記第1スロープおよび前記第2スロープにより、前記床面から前記計量台まで連続する傾斜面の導入路が設けられる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体重計。