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特開2025-94313共重合アラミド繊維およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025094313
(43)【公開日】2025-06-25
(54)【発明の名称】共重合アラミド繊維およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/60 20060101AFI20250618BHJP
【FI】
D01F6/60 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209745
(22)【出願日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠介
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA04
4L035BB03
4L035BB11
4L035BB72
4L035EE08
4L035FF10
4L035GG01
4L035MG05
(57)【要約】
【課題】、低分子量成分が少なく、分子量分散度が小さいメタアラミドポリマーからなる共重合アラミド繊維を提供する。
【解決手段】特定のモノマーを特定の比率で共重合することにより、得られるポリマーの低分子量成分が少なく、分子量分散度が小さくなり、さらに該ポリマーを用いることで高強度のメタアラミド繊維が得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含むアラミド共重合体からなる繊維であって、該アラミド共重合体の重量平均分子量が40万~100万、且つ分子量分散度が2.0~5.0であり、該繊維の破断強度が4.5~7.0cN/dtex、破断伸度が30~60%であることを特徴とする共重合アラミド繊維。
【請求項2】
アラミド共重合体が、メタフェニレンジアミン、イソフタロイル、およびテレフタロイルからなる構造単位を含み、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイル単位と、テレフタロイル単位とのモル比率が70:30~99:1である請求項1に記載の共重合アラミド繊維。
【請求項3】
共重合アラミド繊維の製造方法であって、
メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含み、その重量平均分子量が40万~100万、且つ分子量分散度が2.0~5.0であるアラミド共重合体を用いて、下記(1)~(5)に記載の工程を逐次的に実施することを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド繊維の製造方法。
(1)前記アラミド共重合体をアミド系溶媒に10~30質量%の範囲で溶解させて紡糸用ドープとし、該ドープを紡糸口金から吐出させ、
(2)アミド系溶媒を1~20質量%含む水性凝固浴中に紡出して凝固させ、
(3)水性洗浄浴で水洗し、引き続き沸水延伸浴中で1.1~5.0倍の範囲で延伸し、
(4)100~250℃の範囲で乾熱処理を行い、
(5)290~380℃の範囲で熱処理を加えながら、延伸倍率1.5~5.0倍の範囲で熱延伸する。
【請求項4】
アラミド共重合体が、メタフェニレンジアミン、イソフタロイル、テレフタロイルからなる構造単位を含み、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイル単位と、テレフタロイル単位とのモル比率が70:30~99:1である請求項3に記載の共重合アラミド繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共重合アラミド繊維およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、低分子量成分が少なく、分子量分散度が小さい共重合アラミドから形成されることにより、破断強度に優れていることを特徴とする共重合アラミド繊維およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドとから製造される全芳香族ポリアミドが耐熱性および難燃性に優れていることは周知であり、かかる全芳香族ポリアミドのうち、ポリメタフェニレンイソフタルアミドで代表されるメタ型全芳香族ポリアミド(以下メタアラミドと称する場合がある)の繊維は、耐熱・難燃性繊維として特に有用なものである。これらの特性を発揮して、例えば防護衣等の防災安全衣料用途やフィルター、電子部品等の産業用途に用いられている。
【0003】
そして、近年では社会の高度化により、上記各用途においても、軽量化、高強力化のニーズが高まってきており、紡績糸としては繊維の破断強度が4.5cN/dtexを超える高強力メタアラミド繊維からなるものが、好適に用いられている。
【0004】
さらに、上記各用途においては、さらなる加工性や耐疲労性向上に対する要求が高まって来ており、それを満足させるためには、繊維の破断強度を確保しつつ伸度を高めに維持する、即ち、高タフネス化させることが必要となって来ている。
【0005】
特に、衣料用途において繊維の伸度は重要な要素の一つであり、高伸度繊維からなる衣料は、柔軟性が発揮され、風合いや快適性の向上に繋がる。そのため、破断強度を満足しつつ、十分な伸度を有するメタアラミド繊維が得られれば、その工業的価値は極めて高い。
【0006】
ここで、メタアラミドの紡糸方法としては以下のようなものがある。従来公知の乾式紡糸(例えば、特公昭35-14399号公報)は、紡糸口金より紡出された繊維状のポリマー溶液において、形成された繊維状物の表面付近から溶媒を揮発・乾燥させ、繊維とする。一方、湿式紡糸においては例えば、
(a)実質的に塩類を含まないメタアラミド重合体溶液をアミド系溶媒と水からなる凝固浴中に吐出し凝固させて繊維状物(糸条体)とし、続いて、アミド系溶媒と水からなる可塑延伸浴中にて延伸した後に水洗、熱処理する方法(特開2001-303365号公報、特開2003-301326号公報、特開2003-342832号公報など)、
(b)メタアラミドと塩類を含むアミド系溶媒からなる重合体溶液をアミド系溶媒と水からなり、塩類を実質的に含まない凝固浴中に吐出して多孔質の線状体として凝固せしめ、続いてアミド系溶媒の水性溶液からなる可塑延伸浴中にて延伸し、これを水洗後熱処理する方法(特開2005-232598号公報)、
(c)アミド系溶媒中で溶液重合し、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどで中和して生成した塩化カルシウムと水とを含むメタアラミド重合体溶液を、実質的に無機塩を含まずアミド系溶媒の濃度が45~60質量%の水性凝固浴中に紡出させて繊維状物に成形する方法(国際公開第2007/089008号、国際公開第2011/118022号)、
(d)メタアラミド重合体粉末をアミド系溶媒に再溶解した後、15~25質量%のメタ型全芳香族ポリアミド溶液を35~45質量%の高濃度無機塩を含む水性凝固浴中に紡出して凝固せしめる湿式紡糸法(特公昭48-17551号公報)、
などがある。
【0007】
上記の方法では、最終的に得られる繊維強度は4.5cN/dtexを超えるものもあるが、得られた繊維の破断伸度は30%程度である場合が多く、高強度高伸度を持った汎用的なメタアラミド繊維の製造方法例は報告されていない。
【0008】
また、特開平2-263829公報ではN,N′-ビス(4-アミノフェニル)イソフタルアミドとパラフェニレンジアミンを任意の比率で共重合したコポリマーを紡糸することで強度6cN/dtexを超えるアラミド繊維の製造方法を報告している。しかし、得られる伸度は10%以下と低いものであった。
【0009】
一方で、上記のような様々な紡糸方法に対して安定的に高強度高伸度を発揮できる方法としてポリマーの分子量制御がある。メタアラミドは前述のように芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドの重縮合反応により得られるポリマーであり、非常に厳密なモノマー組成および副生成物の管理が必要である。また重合の特性上、分子量が低いオリゴマーの生成が起こりやすく低分子量成分が増えるだけでなく分子量分散度が広くなってしまう。
【0010】
このような原料ポリマー中の過剰な低分子量成分や広い分子量分散は繊維化する際の構造欠陥や破断要因になりうるため、高強度高伸度を発揮する上で留意すべき問題である。このような問題に対し、特開2007-154356公報では重合終期でアミン末端を封止することにより分子量分散度が5未満となり、毛羽が少なく湿式紡糸性に優れるメタアラミド繊維の製造方法を報告している。しかし、ポリマーの分子量分布を制御することで繊維の機械物性を改善した報告例はこれまでにない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭35-14399号公報
【特許文献2】特開2001-303365号公報
【特許文献3】特開2003-301326号公報
【特許文献4】特開2003-342832号公報
【特許文献5】特開2005-232598号公報
【特許文献6】国際公開第2007/089008号
【特許文献7】国際公開第2011/118022号
【特許文献8】特公昭48-17551号公報
【特許文献9】特開平2-263829公報
【特許文献10】特開2007-154356公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述した背景の通り、低分子量成分が少なく、分子量分散度が小さいメタアラミドポリマーを主成分とする、高強度、高伸度の共重合アラミド繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、特定のモノマーを特定の比率で共重合させることにより、得られるポリマーの低分子量成分が少なく、分子量分散度が小さくなり、さらに本ポリマーを用いることで高強度、高伸度の共重合アラミド繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明によれば、
1.メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含むアラミド共重合体からなる繊維であって、該アラミド共重合体の重量平均分子量が40万~100万、且つ分子量分散度が2.0~5.0であり、該繊維の破断強度が4.5~7.0cN/dtex、破断伸度が30~60%であることを特徴とする共重合アラミド繊維、
2.アラミド共重合体が、メタフェニレンジアミン、イソフタロイル、およびテレフタロイルからなる構造単位を含み、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイル単位と、テレフタロイル単位とのモル比率が70:30~99:1である上記1に記載の共重合アラミド繊維、
3.共重合アラミド繊維の製造方法であって、
メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含み、その重量平均分子量が40万~100万、且つ分子量分散度が2.0~5.0であるアラミド共重合体を用いて、下記(1)~(5)に記載の工程を逐次的に実施することを特徴とする上記1に記載の共重合アラミド繊維の製造方法。
(1)前記アラミド共重合体をアミド系溶媒に10~30質量%の範囲で溶解させて紡糸用ドープとし、該ドープを紡糸口金から吐出させ、
(2)アミド系溶媒を1~20質量%含む水性凝固浴中に紡出して凝固させ、
(3)水性洗浄浴で水洗し、引き続き沸水延伸浴中で1.1~5.0倍の範囲で延伸し、
(4)100~250℃の範囲で乾熱処理を行い、
(5)290~380℃の範囲で熱処理を加えながら、延伸倍率1.5~5.0倍の範囲で熱延伸する、
及び、
4.アラミド共重合体が、メタフェニレンジアミン、イソフタロイル、テレフタロイルからなる構造単位を含み、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイル単位と、テレフタロイル単位とのモル比率が70:30~99:1である請求項3に記載の共重合アラミド繊維の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明で得られる共重合アラミド繊維は、250℃以上の使用環境に耐えうる耐熱性を有し、破断強度が4.5~7.0cN/dtex、破断伸度が30~60%であり、物性のバランスが優れているため、防護衣料用途、ゴム補強用途などにおいて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の共重合アラミド繊維は、破断強度が4.5~7.0cN/dtex、破断伸度が30~60%であることを特徴とする。かかる共重合アラミド繊維を構成するポリマーとして、全芳香族ポリアミド(以下、アラミドと称する場合がある)が挙げられ、具体的にはメタ型芳香族ジアミン成分と、メタ型芳香族ジカルボン酸成分およびパラ型芳香族ジカルボン酸成分とから構成されるものであり、共重合により合成されるものである。
【0017】
本発明において特に好ましく使用されるのは、力学特性、耐熱性、難燃性の観点から、メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含む構造から構成される共重合アラミド重合体からなる全芳香族ポリアミドである。
【0018】
本発明の共重合アラミド繊維において、上記共重合アラミド重合体からなる全芳香族ポリアミドはランダム共重合されており、その原料となる芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン等、およびこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルキル基等の置換基を有する誘導体を例示することができる。
【0019】
本発明の全芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジカルボン酸成分の原料としては、例えば、芳香族ジカルボン酸ハライドを挙げることができる。メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド等、およびこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体を例示することができる。
【0020】
同様に、パラ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、テレフタル酸クロライド、テレフタル酸ブロマイド等のテレフタル酸ハライド、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体を例示することができる。
【0021】
本発明においては、上記芳香族ジアミン成分及び芳香族ジカルボン酸成分を用いて、
メタフェニレンイソフタルアミド単位と、メタフェニレンテレフタルアミド単位とを含む共重合アラミド重合体を得る。
【0022】
また、本発明においては、上記芳香族ジアミン成分としてメタフェニレンジアミン、芳香族ジカルボン酸成分として、イソフタロイル、テレフタロイルからなる構造単位を含み、好ましくは、上記メタフェニレンジアミンおよび/またはイソフタロイル構造単位のモル%が全体の70~99%、テレフタロイル構造単位のモル%が全体の1~30%であることが好ましい。
【0023】
メタフェニレンジアミンおよび/またはイソフタロイル構造単位のモル%が70%未満である場合、目的の伸度を達成することができない場合がある。また、メタフェニレンジアミンおよび/またはイソフタロイル構造単位のモル%が99%より大きかった場合、目的の強度を達成することができない場合がある。
【0024】
本発明の全芳香族ポリアミドの重合方法としては、メタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライドとを含む生成ポリアミドの良溶媒ではない有機溶媒系(例えばテトラヒドロフラン)と無機の酸受容剤ならびに可溶性中性塩を含む水溶液系とを接触させることによって、ポリメタフェニレンイソフタルアミド重合体の粉末を単離する方法(界面重合、特公昭47-10863号公報)、またはアミド系溶媒で上記ジアミンと酸クロライドを溶液重合し次いで水酸化カルシウム、酸化カルシウム等で中和する方法(溶液重合、特開平8-074121号公報、特開平10-88421号公報)などに記載の方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
なお、本発明に用いられる全芳香族ポリアミド共重合体(アラミド共重合体ともいう)の重量平均分子量は、実用に耐え得る破断強伸度を持つ繊維を形成し得る観点から、後述する分析方法に従い40万~100万であることが必要である。さらに50万~90万が好ましく、55万~80万がより好ましい。なお、重量平均分子量40万に満たない場合、破断強度が著しく減少するだけでなく、安定な紡糸を行うことができなくなる。また、分子量が100万を超える場合、後述する全芳香族ポリアミド溶液を作製し紡出する際、粘度が高すぎるため取扱が難しく、専用の設備が必要となってしまう。
【0026】
本発明で規定する分子量範囲のポリマーは、低分子量ポリマーと高分子量ポリマーの混合物を使用することができ、混合比の調整により全体分子量が規定する分子量範囲の値であればよい。例えば、重量平均分子量が20万のポリマーと80万のポリマーを混合し、この混合されたポリマーの重量平均分子量が60万であった場合、本発明で規定する分子量範囲のため、利用は何ら問題ない。
【0027】
本発明に用いられるアラミド重合体の分子量分散度は、実用に耐え得る破断強伸度を持つ繊維を形成し得る観点から、後述する分析方法に従い2.0~5.0であることが必要である。さらに、2.5~4.8が好ましく、2.5~4.5がより好ましい。重縮合反応により形成されるポリマーであることから2.0未満になることは特殊な重合方法を用いない限り達成しえないため実用上好ましくない。また、5.0より大きい場合、目的の強伸度を達成することが困難となる。
【0028】
本発明の全芳香族ポリアミド繊維は、上記の製造方法によって得られた全芳香族ポリアミドを用いて、以下に説明する紡糸液調製工程、紡糸・凝固工程、洗浄工程、沸水延伸工程、乾熱処理工程、熱延伸工程を経て製造される。
【0029】
[紡糸液調製工程]
紡糸液調製工程においては、本発明の全芳香族ポリアミドを溶媒に溶解して、紡糸液(ドープ)を調製する。紡糸液の調製にあたっては、通常アミド系溶媒を用い、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を例示することができる。これらの中では溶解性と取扱い安全性の観点から、NMP、またはDMAcを用いることが好ましい。
【0030】
溶液濃度としては、次工程である紡糸・凝固工程での凝固速度および重合体の溶解性の観点から、適当な濃度を適宜選択すればよく、通常は10~30質量%の範囲とすることが必要である。安定な紡糸を達成するためには15~25質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0031】
本発明ではドープ中に無機塩を導入してもよく、ドープに対して0~20質量%の無機塩を含むことが好ましく、安定した紡糸性を得るためには0~10質量%の無機塩がより好ましい。
【0032】
ここで、20質量%を超えた無機塩を含むと凝固速度が速くなりすぎてしまい、繊維中に多数のボイドを形成することから目的の物性を持った繊維を得ることができない。なお、無機塩としては塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムなどの塩化物塩を使用することが好ましい。
【0033】
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、上記で得られたドープを凝固液中に紡出して凝固させる。紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、紡糸孔径、配列状態等は特に制限する必要はなく、例えば、紡糸孔数が10~30000個、紡糸孔径が0.03~0.2mmのステープルファイバー用の多ホール紡糸口金等を用いることができる。
【0034】
また、紡糸口金から紡出する際のドープの温度は、20~90℃の範囲が好ましく、70~90℃がより好ましい。
【0035】
本発明の繊維を得るために用いる凝固浴としては、アミド系溶媒を1~20質量%を含む水溶液であり、好ましくは3~15質量%含む水溶液である。この水溶液の温度は50~90℃の範囲が好ましい。
【0036】
また、凝固浴中に、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウム等の無機塩を、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35~45質量%含むことができる。
前記のように、ドープを紡糸口金から凝固液中に紡出して凝固浴を通過させて凝固糸を得る。
【0037】
[洗浄工程、沸水延伸工程]
かくして得られた凝固糸は、水性洗浄浴にて十分水洗され、沸水延伸工程に送られる。
沸水延伸浴中の延伸倍率は1.1~5.0倍の範囲が必要であり、1.1~3.0倍の範囲がより好ましい。尚、ここで「沸水」とは、温度が90℃以上の「加熱水」をも含む概念である。
延伸を当該倍率の範囲で行い、分子鎖配向を上げることにより、最終的に得られる繊維の強度を確保することができる。
【0038】
[乾熱処理工程]
上記の洗浄・延伸工程を経た繊維に対して、好ましくは、乾熱処理工程を実施する。乾熱処理工程においては、上記の洗浄工程により洗浄が実施された繊維を、100~250℃の範囲で乾熱処理をする。好ましくは100~200℃の範囲で乾熱処理をする。また、乾熱処理は定長下で行うのが好ましい。なお、上記の乾熱処理の温度は、熱板、加熱ローラーなどの繊維加熱手段の設定温度をいう。
【0039】
[熱延伸工程]
本発明においては、上記乾熱処理工程を経た繊維に対して、熱延伸工程を施す。熱延伸工程においては、290~380℃の範囲で熱処理を加えながら延伸を実施する。処理温度は、好ましく290~350℃の範囲である。290℃に満たない場合、高倍率延伸ができないため不適であり、380℃を超えると繊維の変色や断糸が起きる可能性がある。熱延伸工程において、延伸倍率は、1.5~5.0倍の範囲が必要であり、好ましくは1.8~3.0倍の範囲である。なお、熱延伸処理の温度は、熱板、加熱ローラーなどの繊維加熱手段の設定温度をいう。
【0040】
そして、本発明における前記の沸水延伸倍率および熱延伸倍率の合計延伸倍率は、7倍以上であることが必要である。前記の合計延伸倍率が7倍に満たないと、目標の強度を発現することができない。そのため、沸水延伸倍率および熱延伸倍率は工程の調子を鑑みて適宜調整する必要がある。
以上の方法により得られる共重合アラミド繊維の破断強度は、4.5~7.0cN/dtexである。
【0041】
破断強度が4.5cN/dtexに満たない場合、本発明が目的とする共重合アラミド繊維としての強度としては不十分である。また、破断伸度は30%~60%が必要であり、35%~55%以上が好ましい。破断伸度が30%未満である場合、伸度が十分ではないことから柔軟性の発揮が不十分である。破断伸度が60%を超えると、充分な強度を得ることが困難となる。
【実施例0042】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。尚、実施例および比較例における各物性値は、下記の方法で測定した。
【0043】
[重量平均分子量Mwおよび分子量分散度]
JIS-K-7252に準じ、サイズ排除クロマトグラフィー用カラムを装着した高速液体クロマトグラフィー装置にて分析をおこない、展開溶媒にはジメチルホルムアミド(塩化リチウムを0.01モル%含有)を用いて測定した。なお、標準分子量サンプルとしてはシグマアルドリッチ製ポリスチレンセット(ピークトップ分子量Mp=400~2000000)を用いた。分子量分散度は重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnにより計算した。
【0044】
[単繊維繊度]
JIS-L-1015に準じ、正量繊度のA法に準拠した測定を実施し、見掛け繊度にて表記した。
【0045】
[破断強度、破断伸度]
引張試験機(インストロン社製、型式:5565)を用いて、JIS-L-1015に準じ、以下の条件で測定した。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g/dtex)
引張速度 :20mm/分
【0046】
[乾熱寸法変化率]
JIS-L-1013に準じ、B法に準拠した測定を実施し、250℃における寸法変化率を求めた。
【0047】
[繊維の融点]
繊維の融点はJIS-K-7197に準じ、熱機械分析により求めた。得られたサンプルのピークのうち、高温側に検出されたピークの頂点温度または、繊維の溶解によりピーク検出が不可能となった温度を融点とした。
【0048】
[実施例1]
特公昭47-10863号公報に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の90モル%、テレフタロイルモノマー単位が10モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が4:1となるようにした。重量平均分子量は71万であり分子量分散度は4.1であった。
【0049】
この重合体粉末を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対して、共重合アラミド重合体の質量濃度が20%になるよう調整した。
【0050】
このポリマー溶液を85℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から85℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが43質量%、NMPが3質量%、残りの水が54質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0051】
この凝固糸条を第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度はそれぞれ20℃、30℃の水を用いた。この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.4倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0052】
次に、表面温度が170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度が325℃の熱板にて1.8倍に延伸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.1dtex、破断強度5.5cN/dtex、破断伸度42%であった。
【0053】
[実施例2]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の80モル%、テレフタロイルモノマー単位が20モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が3:2となるようにした。重量平均分子量は65万であり分子量分散度は3.8であった。
【0054】
この重合体粉末を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対して、共重合アラミド重合体の質量濃度が22%になるよう調整した。
【0055】
このポリマー溶液を85℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から85℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが43質量%、NMPが3質量%、残りの水が54質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0056】
この凝固糸条を第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度はそれぞれ20℃、30℃の水を用いた。この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.2倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0057】
次に、表面温度が170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度が325℃の熱板にて1.9倍に延伸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.1dtex、破断強度6.0cN/dtex、破断伸度39%であった。
【0058】
[実施例3]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の70モル%、テレフタロイルモノマー単位が30モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が2:3となるようにした。重量平均分子量は75万であり分子量分散度は3.2であった。
【0059】
この重合体粉末を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対して、共重合アラミド重合体の質量濃度が21%になるよう調整した。
【0060】
このポリマー溶液を85℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から90℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが41質量%、NMPが1質量%、残りの水が58質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0061】
この凝固糸条を第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度はそれぞれ20℃、30℃の水を用いた。この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.5倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0062】
次に、表面温度が170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度が325℃の熱板にて1.8倍に延伸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.0dtex、破断強度6.5cN/dtex、破断伸度35%であった。
【0063】
[実施例4]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の95モル%、テレフタロイルモノマー単位が5モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が9:1となるようにした。重量平均分子量は69万であり分子量分散度は4.8であった。
【0064】
この重合体粉末を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対して、共重合アラミド重合体の質量濃度が22%になるよう調整した。
【0065】
このポリマー溶液を85℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から87℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが41質量%、NMPが1質量%、残りの水が58質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0066】
この凝固糸条を第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度はそれぞれ20℃、30℃の水を用いた。この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.4倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0067】
次に、表面温度が170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度が325℃の熱板にて1.8倍に延伸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.3dtex、破断強度5.2cN/dtex、破断伸度49%であった。
【0068】
[実施例5]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の98モル%、テレフタロイルモノマー単位が2モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が24:1となるようにした。重量平均分子量は73万であり分子量分散度は4.9であった。
【0069】
この重合体粉末を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対して、共重合アラミド重合体の質量濃度が21%になるよう調整した。
【0070】
このポリマー溶液を87℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から87℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが41質量%、NMPが1質量%、残りの水が58質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0071】
この凝固糸条を第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度はそれぞれ20℃、30℃の水を用いた。この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.4倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0072】
次に、表面温度が170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度が335℃の熱板にて1.8倍に延伸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.1dtex、破断強度4.8cN/dtex、破断伸度48%であった。
【0073】
[比較例1]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位のみからなるアラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドを使用し、アミンモノマーはメタフェニレンジアミンを使用した。重量平均分子量は70万であり分子量分散度は6.0であった。
【0074】
この重合体粉末を、NMPに溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対してアラミド重合体の質量濃度が20%になるよう調整した。
このポリマー溶液を実施例1と同様の条件で紡糸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.2dtex、破断強度4.3cN/dtex、破断伸度45%であった。
【0075】
[比較例2]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の99.5モル%、テレフタロイルモノマー単位が0.5モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が49.5:0.5となるようにした。重量平均分子量は66万であり分子量分散度は5.9であった。
【0076】
この重合体粉末を、NMPに溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対してアラミド重合体の質量濃度が20%になるよう調整した。
このポリマー溶液を実施例1と同様の条件で紡糸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.2dtex、破断強度4.4cN/dtex、破断伸度45%であった。
【0077】
[比較例3]
実施例1に準じた界面重合により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の65モル%、テレフタロイルモノマー単位が35モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマーはイソフタル酸クロライドおよびテレフタル酸クロライドの双方を使用し、重量比が3:7となるようにした。重量平均分子量は72万であり分子量分散度は3.0であった。
【0078】
この重合体粉末を、NMPに溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対してアラミド重合体の質量濃度が18%になるよう調整した。
このポリマー溶液を実施例1と同様の条件で紡糸し、全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた繊維は、繊度2.2dtex、破断強度6.2cN/dtex、破断伸度21%であった。
【0079】
[比較例4]
特開2022-128968公報に準じた方法により、メタフェニレンジアミンおよびイソフタロイルモノマー単位が全体の83モル%、パラフェニレンジアミンおよびテレフタロイルモノマー単位が17モル%である共重合アラミド重合体粉末を合成した。重量平均分子量は57万であり、分子量分散度は3.7であった。
【0080】
この重合体粉末および塩化カルシウムを、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対してアラミド重合体の質量濃度が22%、塩化カルシウムの質量濃度が2.5%になるよう調整した。
【0081】
このポリマー溶液を90℃に加温し紡糸原液として、孔径0.1mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から85℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが38質量%、NMPが5質量%、残りの水が57質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmとし、糸速は4.0m/分に変更して通過させた後、いったん空気中に引き出した。
【0082】
この凝固糸条を、第1~第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は200秒とした。なお、第1~第2水性洗浄浴温度は、それぞれ20℃、30℃の水を用い、この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.5倍に延伸し、引続き90℃の温水中に40秒浸漬し、洗浄した。
【0083】
次に表面温度170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度320℃の熱板にて7.0倍に延伸することでアラミド繊維を得た。
得られた繊維は繊度0.9dtex、強度4.6cN/dtex、伸度25%であった。
前記の実施例及び比較例で得られた繊維の物性を表1に示す。
【0084】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明で得られる共重合アラミド繊維は、強度、伸度および耐熱性の物性のバランスが優れていることから、耐熱性を犠牲にして汎用繊維が使用されていた用途や、複数の繊維の組み合わせにより機械物性を補っていた用途に好適に使用できる。また、特に防護衣料用途において適度な強度と柔軟性を兼ねそろえた高性能布帛に適用できる。