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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009434
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/858 20230101AFI20250110BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 71/50 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 50/80 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/126 20230101ALI20250110BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20250110BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250110BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H10K50/858
H10K59/122
H10K71/50
H10K59/38
H10K50/80
H10K59/80
H10K59/95
H10K59/126
G02B3/00 B
G02B3/00 A
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G09F9/00 342
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112439
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 澤
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC32
3K107DD89
3K107EE22
3K107EE27
3K107EE29
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF06
3K107FF15
3K107GG28
5C094AA01
5C094AA10
5C094BA27
5C094DA07
5C094DA13
5C094EC04
5C094ED01
5C094ED03
5C094ED15
5C094GB10
5G435AA01
5G435AA03
5G435BB05
5G435FF13
5G435GG02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】光取出効率を改善し、外光の反射を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、前記下電極の周縁部を覆うリブと、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記上電極の上方に配置され、前記下電極に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する支持体と、前記下電極の直上において、前記第1面に配置され、凸状に形成された第1レンズと、前記第1レンズを覆うオーバーコート層と、前記リブの直上において、前記第2面に配置され、凸状に形成された第2レンズと、前記第2レンズを覆う遮光層と、を備え、前記第1レンズは、少なくとも、前記第1面に接し第1屈折率を有する第1層と、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有し前記第1層に重畳する第2層と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に配置された下電極と、
前記下電極の周縁部を覆うリブと、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
前記上電極の上方に配置され、前記下電極に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する支持体と、
前記下電極の直上において、前記第1面に配置され、凸状に形成された第1レンズと、
前記第1レンズを覆うオーバーコート層と、
前記リブの直上において、前記第2面に配置され、凸状に形成された第2レンズと、
前記第2レンズを覆う遮光層と、を備え、
前記第1レンズは、少なくとも、前記第1面に接し第1屈折率を有する第1層と、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有し前記第1層に重畳する第2層と、を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記第1レンズは、さらに、前記第2屈折率より高い第3屈折率を有し前記第2層に重畳する第3層を備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1層の外縁、前記第2層の外縁、及び、前記第3層の外縁は、平面視で、同心円状に形成されている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1層、前記第2層、及び、前記第3層は、有機材料で形成されている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2レンズは、有機材料で形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層の上に配置され、無機材料で形成された封止層と、
前記封止層の上に配置され、有機材料で形成された絶縁層と、
前記オーバーコート層は、前記絶縁層に接着されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記支持体は、カラーフィルタである、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
支持体の第1面に第1レンズを形成し、
前記第1レンズをオーバーコート層で覆い、
前記支持体の第2面に第2レンズを形成し、
前記第2レンズを覆う遮光層を形成し、
表示素子の上方に配置された絶縁層に、前記オーバーコート層を接着し、
前記第1レンズを形成する工程は、少なくとも、
前記第1面に、第1屈折率を有する材料で第1層を形成し、
前記第1層の上に、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有する材料で第2層を形成する工程を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2レンズは、前記第1レンズと重畳しない位置に形成する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1レンズは、前記表示素子の直上に配置し、
前記第2レンズは、前記表示素子を囲むリブの直上に配置する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1レンズを形成する工程は、前記第1層及び前記第2層を一括してパターニングする工程を含む、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1レンズを形成する工程は、前記第1層及び前記第2層を加熱するとともに、前記第2層の上方から凹部を有する金型を押し当てる工程を含む、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1レンズを形成する工程は、さらに、
前記第2層の上に、前記第2屈折率より高い第3屈折率を有する材料で第3層を形成し、
前記第1層、前記第2層、及び、前記第3層を一括してパターニングする工程を含む、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1レンズを形成する工程は、さらに、
前記第2層の上に、前記第2屈折率より高い第3屈折率を有する材料で第3層を形成し、
前記第1層、前記第2層、及び、前記第3層を加熱するとともに、前記第3層の上方から凹部を有する金型を押し当てる工程を含む、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1レンズ及び前記第2レンズは、有機材料で形成する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極に対向する上電極と、下電極と上電極との間に位置する発光層を含む有機層と、を備えている。
【0003】
上記のような表示素子において、発光層で発生した光を外部に効率よく取り出す技術が必要とされている。一例では、表示素子と対向する基板の内面に形成された内側取出層と、基板の外面に形成された外側取出層とを適用する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-18785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光取出効率を改善し、外光の反射を抑制することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、前記下電極の周縁部を覆うリブと、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記上電極の上方に配置され、前記下電極に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する支持体と、前記下電極の直上において、前記第1面に配置され、凸状に形成された第1レンズと、前記第1レンズを覆うオーバーコート層と、前記リブの直上において、前記第2面に配置され、凸状に形成された第2レンズと、前記第2レンズを覆う遮光層と、を備え、前記第1レンズは、少なくとも、前記第1面に接し第1屈折率を有する第1層と、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有し前記第1層に重畳する第2層と、を備える。
【0007】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、
支持体の第1面に第1レンズを形成し、前記第1レンズをオーバーコート層で覆い、前記支持体の第2面に第2レンズを形成し、前記第2レンズを覆う遮光層を形成し、表示素子の上方に配置された絶縁層に、前記オーバーコート層を接着し、前記第1レンズを形成する工程は、少なくとも、前記第1面に、第1屈折率を有する材料で第1層を形成し、前記第1層の上に、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有する材料で第2層を形成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1、SP2、SP3の構成例を示す図である。
図3図3は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図4図4は、第1レンズLS1及び第2レンズLS2のレイアウトの一例を示す図である。
図5図5は、図4中のA-B線に沿う表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態の効果を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態の他の効果を説明するための図である。
図8図8は、第1レンズLS1の製造方法を説明するための図である。
図9A図9Aは、第2レンズLS2の製造方法を説明するための図である。
図9B図9Bは、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、第1レンズLS1を形成するための他の方法を説明するための図である。
図11図11は、表示装置DSPの他の構成例を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【0013】
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0015】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0016】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0017】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0018】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0019】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0020】
周辺領域SAには、詳述しないが、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続するための端子が設けられている。
【0021】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3の構成例を示す図である。
【0022】
副画素SP1,SP2、SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201、202、203を備えている。また、図示した例では、副画素SP1は表示素子201に対向するカラーフィルタCF1を備え、副画素SP2は表示素子202に対向するカラーフィルタCF2を備え、副画素SP3は表示素子203に対向するカラーフィルタCF3を備えている。なお、これらのカラーフィルタCF1、CF2、CF3は、省略してもよい。
【0023】
表示素子201は、下電極LE1と、発光層EM1を含む有機層OR1と、上電極UEと、を備えている。有機層OR1は、下電極LE1と上電極UEとの間に配置されている。発光層EM1は、第1色の光を放つ材料で形成されている。カラーフィルタCF1は、第1色に着色されている。
【0024】
表示素子202は、下電極LE2と、発光層EM2を含む有機層OR2と、上電極UEと、を備えている。有機層OR2は、下電極LE2と上電極UEとの間に配置されている。発光層EM2は、第2色の光を放つ材料で形成されている。カラーフィルタCF2は、第2色に着色されている。
【0025】
表示素子203は、下電極LE3と、発光層EM3を含む有機層OR3と、上電極UEと、を備えている。有機層OR3は、下電極LE3と上電極UEとの間に配置されている。発光層EM3は、第3色の光を放つ材料で形成されている。カラーフィルタCF3は、第3色に着色されている。
【0026】
一例では、下電極LE1、LE2、LE3は各表示素子のアノードに相当し、上電極UEは各表示素子のカソードあるいは共通電極に相当する。
【0027】
図示した例では、有機層OR1、OR2、OR3は、共通層CL1及び共通層CL2を含んでいる。
共通層CL1は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを有している。共通層CL1は、下電極LE1と発光層EM1との間、下電極LE2と発光層EM2との間、下電極LE3と発光層EM3との間にそれぞれ配置されている。
共通層CL2は、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを有している。共通層CL2は、発光層EM1と上電極UEとの間、発光層EM2と上電極UEとの間、発光層EM3と上電極UEとの間にそれぞれ配置されている。
【0028】
図3は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【0029】
図示した例では、副画素SP1と副画素SP2とが第1方向Xに並び、副画素SP1と副画素SP3とが第1方向Xに並び、副画素SP2と副画素SP3とが第2方向Yに並んでいる。
【0030】
副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0031】
なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは図3の例に限られない。他のレイアウトの一例として、副画素SP1、SP2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0032】
一点鎖線で示すリブRBは、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開口AP1、AP2、AP3を有している。図示した例では、開口AP1、AP2、AP3のそれぞれの面積は、互いに異なる。すなわち、開口AP2の面積は開口AP1の面積よりも小さく、開口AP3の面積は開口AP2の面積よりも小さい。
【0033】
副画素SP1において、破線で示す下電極LE1及び二点鎖線で示す発光層EM1は、平面視で、いずれも開口AP1に重畳している。下電極LE1は、副画素SP1の画素回路1(図1参照)と電気的に接続されている。下電極LE1及び発光層EM1のそれぞれの周縁部は、リブRBに重畳している。
【0034】
副画素SP2において、下電極LE2及び発光層EM2は、平面視で、いずれも開口AP2に重畳している。下電極LE2は、副画素SP2の画素回路1と電気的に接続されている。下電極LE2及び発光層EM2のそれぞれの周縁部は、リブRBに重畳している。
【0035】
副画素SP3において、下電極LE3及び発光層EM3は、平面視で、いずれも開口AP3に重畳している。下電極LE3は、副画素SP3の画素回路1と電気的に接続されている。下電極LE3及び発光層EM3のそれぞれの周縁部は、リブRBに重畳している。
【0036】
下電極LE1、LE2、LE3は、互いに離間している。また、発光層EM1、EM2、EM3は、互いに離間している。共通層CL1、共通層CL2、及び、上電極UEは、開口AP1、AP2、AP3にそれぞれ重畳し、また、リブRBに重畳している。
【0037】
なお、開口AP1、AP2、AP3、下電極LE1、LE2、LE3、発光層EM1、EM2、EM3のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0038】
図4は、第1レンズLS1及び第2レンズLS2のレイアウトの一例を示す図である。なお、図4では、各副画素の表示素子を構成する下電極、有機層、上電極などの図示を省略している。
【0039】
遮光層BMは、リブRBに重畳し、開口AP1、AP2、AP3をそれぞれ囲む格子状に形成されている。
【0040】
副画素SP1、SP2、SP3の各々において、破線で示す第1レンズLS1は、平面視で、いずれもリブRBで囲まれている。換言すると、副画素SP1においては、第1レンズLS1は、開口AP1に重畳している。また、副画素SP2においては、第1レンズLS1は、開口AP2に重畳している。また、副画素SP3においては、第1レンズLS1は、開口AP3に重畳している。
【0041】
第1レンズLS1の各々は、平面視で円形に形成されている。第1レンズLS1は、少なくとも2層の多層体であり、図示した例では、第1層L1と、第1層L1に重畳する第2層L2と、第2層L2に重畳する第3層L3と、を有している。第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3は、互いに異なる材料で形成されている。第1層L1の外縁、第2層L2の外縁、及び、第3層L3の外縁は、平面視で、同心円状に形成されている。第3層L3の外縁は第1レンズLS1の中央に位置し、第2層L2の外縁は第3層L3の外側に位置し、第1層L1の外縁は第2層L2の外側に位置している。第1方向Xに沿った幅に関して、第2層L2の幅W2は第3層L3の幅W3より大きく、第1層L1の幅W1は第2層L2の幅W2より大きい(W3<W2<W1)。
【0042】
図示した例では、複数の第1レンズLS1は、いずれも同一径を有している。なお、少なくとも1つの第1レンズLS1が他の第1レンズLS1とは異なる径を有していてもよい。
【0043】
実線で示す第2レンズLS2は、平面視で、リブRB及び遮光層BMに重畳している。開口AP1、AP2、AP3の各々は、複数の第2レンズLS2で囲まれている。また、開口AP1と開口AP2との間、開口AP1と開口AP3との間、及び、開口AP2と開口AP3との間には、それぞれ複数の第2レンズLS2が配置されている。
【0044】
第2レンズLS2の各々は、平面視で円形に形成されている。第2レンズLS2は、例えば、単一の材料で形成された単層体である。図示した例では、複数の第2レンズLS2は、いずれも同一径を有している。なお、少なくとも1つの第2レンズLS2が他の第2レンズLS2とは異なる径を有していてもよい。第2レンズLS2の径は、第1レンズLS1の径と同等であってもよいし、第1レンズLS1の径とは異なっていてもよい。
【0045】
図5は、図4中のA-B線に沿う表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。ここでは、主に、副画素SP1の断面構造について説明する。なお、ここに示す例は、カラーフィルタが省略された例に相当する。但し、図示した表示装置DSPの上方に、カラーフィルタが設けられていてもよい。
【0046】
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層を含んでいる。
【0047】
表示素子201の下電極LE1は、絶縁層12の上に配置されている。他の下電極LE2、LE3も同様に、絶縁層12の上に配置されている。下電極LE1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電層と、銀などの金属層とを含む多層体である。
【0048】
リブRBは、絶縁層12の上に配置されている。また、リブRBは、下電極LE1の周縁部を覆っている。リブRBは、絶縁層であり、有機材料または無機材料で形成されている。
【0049】
共通層CL1は、下電極LE1及びリブRBの上に配置されている。発光層EM1は、下電極LE1の直上に位置し、共通層CL1の上に配置されている。共通層CL2は、発光層EM1の上に配置され、また、発光層EM1の外側において共通層CL1の上に配置されている。これらの共通層CL1、発光層EM1、及び、共通層CL2は、図2を参照して説明したように、有機層OR1を構成している。
【0050】
上電極UEは、共通層CL2の上に配置されている。上電極UEは、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0051】
キャップ層13は、上電極UEの上に配置されている。キャップ層13は、透明な多層体である。キャップ層13を構成する各層の屈折率は互いに異なる。このようなキャップ層13は、発光層EM1から放たれる光の光学特性を調整するための光学調整層として機能する。
【0052】
封止層14は、キャップ層13の上に配置されている。封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)などの透明な無機材料で形成されている。
【0053】
絶縁層15は、封止層14の上に配置されている。絶縁層15は、透明な有機材料で形成されている。
【0054】
オーバーコート層OCは、絶縁層15の上に配置されている。一例では、オーバーコート層OCは、絶縁層15に接着されている。このようなオーバーコート層OCは、透明な有機材料で形成されている。
【0055】
支持体30は、下電極LE1を含む表示素子201に対向する第1面(下面)30Aと、第1面30Aの反対側の第2面(上面)30Bと、を有している。
【0056】
第1レンズLS1は、下電極LE1の直上において第1面30Aに配置され、表示素子201に向かって凸状に形成されている。第1レンズLS1は、オーバーコート層OCで覆われている。第1レンズLS1は、図示したように半円形の断面を有し、また、図4に示したような円形の外縁を有しており、半球状に形成されている。
【0057】
第1レンズLS1の第1層L1は、ほぼ一定の厚さを有し、第1面30Aに接し、第1屈折率を有している。第2層L2は、ほぼ一定の厚さを有し、第1層L1に重畳し、第1面30Aから離間し、第1屈折率よりも高い第2屈折率を有している。第3層L3は、ほぼ一定の厚さを有し、第2層L2に重畳し、第1面30Aから離間し、第2屈折率よりも高い第3屈折率を有している。
【0058】
第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3は、透明な有機材料で形成されている。一例では、第1層L1は、約1.42の第1屈折率を有している。第2層L2は、約1.49~1.5の第2屈折率を有している。第3層L3は、約1.56~1.6の第3屈折率を有している。
【0059】
オーバーコート層OCは、第3層L3を覆っており、第1層L1及び第2層L2のそれぞれの周縁部に接している。このようなオーバーコート層OCは、少なくとも第3屈折率より小さい屈折率を有していることが望ましい。
【0060】
なお、第1レンズLS1は、少なくとも第1層L1及び第2層L2で構成することができ、また、4層以上の多層体として構成されてもよい。いずれにしても、第1レンズLS1においては、第1層L1の屈折率が最も小さく、第1層L1から離れた層ほど高い屈折率を有している。
【0061】
第2レンズLS2は、リブRBの直上において第2面30Bに配置され、第1レンズLS1とは反対側に凸状に形成されている。第2レンズLS2は、第1レンズLS1に対してずれた位置に配置されている。このような第2レンズLS2は、透明な有機材料で形成されている。
【0062】
遮光層BMは、リブRBの直上に配置され、第2面30Bに接し、第2レンズLS2を覆っている。このような遮光層BMは、例えば黒色の顔料を含む有機材料で形成され、外光を吸収し、不所望な光の反射を抑制している。
【0063】
このような表示素子201においては、下電極LE1と上電極UEとの間に電位差が形成されると、有機層OR1のうちの発光層EM1が光を放つ。発光層EM1から放たれた光は、キャップ層13、封止層14、絶縁層15、オーバーコート層OCを透過し、第1レンズLS1により適度に収束または発散される。
【0064】
表示素子201の周縁部に遮光層BMが配置された構成によれば、反射防止用の円偏光板が配置された構成と比較して、発光層EM1から放たれた光の透過率が上昇する。このため、低電力で高い輝度を得ることができ、長寿命化が可能となる。
【0065】
図6は、本実施形態の効果を説明するための図である。
第1レンズLS1は、上記の通り、多層体であり、各層の屈折率が互いに異なる。このような第1レンズLS1に外光Exが入射した場合、第1レンズLS1の各層の間の界面で反射された光の干渉作用により、外光Exの反射率を低減することができる。
また、第2レンズLS2に向かう外光Exは、遮光層BMに吸収される。遮光層BMは、凸状の第2レンズLS2の表面を覆っているため、第2レンズLS2が存在しない場合と比較して、遮光層BMの設置面積が増大し、外光Exの反射率をさらに低減することができる。
【0066】
図7は、本実施形態の他の効果を説明するための図である。
【0067】
表示素子201の発光層EM1で放たれた光は、発散性の光であり、その一部は表示装置の内部に閉じ込められてしまう。
【0068】
そこで、本実施形態では、表示素子201に向かって凸状の第1レンズLS1が配置され、しかも、第3層L3の第3屈折率はオーバーコート層OCの屈折率よりも高い。このため、表示素子201から第1レンズLS1に到達した光は、オーバーコート層OCと第3層L3との界面で屈折し、適度に収束される。これにより、表示装置の内部で閉じ込められる光が減少し、光取出効率を改善することができる。
【0069】
また、第3層L3を透過した光は、第2層L2と第3層L3との界面で発散するように屈折し、また、第1層L1と第2層L2との界面で発散するように屈折する。つまり、第1レンズLS1を透過した光は、表示装置の法線に対して大きな角度で発散される。
【0070】
また、第1レンズLS1は、半球状に形成されている。このため、第1レンズLS1は、特定の方位に限らず、X-Y平面の全方位にわたり、光を等方的に発散することができる。
【0071】
したがって、法線に対して大きな角度の視角で表示装置DSPを観察した場合であっても、表示素子201からの光を視認することができる。また、第1レンズLS1によって光取出効率が改善され、且つ、高輝度の光を視認できる視野角を拡大することができる。
【0072】
発明者は、第1レンズLS1が設けられてない比較例での輝度と、第1レンズLS1が設けられた実施例での輝度とを比較するシミュレーションを行った。実施例で得られる輝度は、比較例の輝度よりも高く、特に、表示装置の法線方向における輝度は、比較例の輝度の約1.8倍となることが確認された。
【0073】
次に、上記の表示装置DSPの製造方法について図8図9A図9Bを参照しながら説明する。ここでは特に、第1レンズLS1及び第2レンズLS2の製造方法を説明する。
【0074】
まず、図8に示すように、ステップST1においては、支持体30の第1面30Aを洗浄する。洗浄工程には、例えば、酸素プラズマ処理が適用可能である。また、有機溶剤を用いて第1面30Aを洗浄してもよい。その後、支持体30の第1面30Aに、第1レンズLS1の第1層L1を形成するための材料M1を塗布する。材料M1は、第1屈折率を有する材料であり、例えば、シリコーン樹脂などの有機材料である。シリコーン樹脂の一例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が適用可能である。
【0075】
その後、材料M1の上に、第1レンズLS1の第2層L2を形成するための材料M2を塗布する。材料M2は、第1屈折率より高い第2屈折率を有する材料であり、例えば、アクリル樹脂などの有機材料である。アクリル樹脂の一例としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)が適用可能である。
【0076】
その後、材料M2の上に、第1レンズLS1の第3層L3を形成するための材料M3を塗布する。材料M3は、第2屈折率より高い第3屈折率を有する材料であり、例えば、エポキシ樹脂などの有機材料である。
【0077】
続いて、第1レンズLS1を形成するために、材料M1、M2、M3を一括してパターニングする。
【0078】
ステップST2においては、材料M3の上方にマスクMK1を設置し、紫外線を照射する。マスクMK1は、開口部MA1及び遮蔽部MB1を有している。材料M1、M2、M3がポジ型の感光材料である場合、遮蔽部MB1は、第1レンズLS1を形成する位置に配置されている。なお、材料M1、M2、M3がネガ型の感光材料である場合には、開口部MA1が第1レンズLS1を形成する位置に配置される。
その後、ステップST3においては、材料M1、M2、M3を現像し、紫外線が照射された領域を除去する。
【0079】
続いて、ステップST4においては、パターニングによって残留した材料M1、M2、M3のリフローイングを行う。これにより、半球状の第1レンズLS1が形成される。副画素SP1、SP2、SP3の各々の第1レンズLS1は、上記の工程により同時に形成される。
【0080】
続いて、ステップST5においては、第1レンズLS1を覆うオーバーコート層OCを形成する。
【0081】
次に、図9Aに示すように、ステップST11においては、支持体30の第2面30Bに、第2レンズLS2を形成するための材料M4を塗布する。材料M4は、例えば有機材料である。
【0082】
続いて、ステップST12においては、材料M4の上方にマスクMK2を設置し、紫外線を照射する。マスクMK2は、開口部MA2及び遮蔽部MB2を有している。材料M4がポジ型の感光材料である場合、遮蔽部MB2は、第2レンズLS2を形成する位置に配置されている。なお、材料M4がネガ型の感光材料である場合には、開口部MA2が第2レンズLS2を形成する位置に配置される。
【0083】
続いて、ステップST13においては、材料M4を現像し、紫外線が照射された領域を除去する。
【0084】
続いて、ステップST14においては、残留した材料M4のリフローイングを行う。これにより、第1レンズLS1と重畳しない位置に、半球状の第2レンズLS2が形成される。
【0085】
続いて、ステップST15においては、第2面30B及び第2レンズLS2を覆う遮光層BMを形成する。
続いて、ステップST16においては、遮光層BMをパターニングする。
【0086】
次に、図9Bに示すように、オーバーコート層OCを絶縁層15に接着する。このとき、第1レンズLS1は、表示素子201、202、203のそれぞれの直上に配置する。また、第2レンズLS2は、リブRBの直上に配置する。これにより、図5に示した表示装置DSPが製造される。
【0087】
上記の例では、第1レンズLS1は、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3を一括してパターニングすることで形成したが、この例に限定されない。
【0088】
図10は、第1レンズLS1を形成するための他の方法を説明するための図である。
【0089】
まず、ステップST21においては、第1層L1を形成するための材料M1を塗布し、第2層L2を形成するための材料M2を塗布し、第3層L3を形成するための材料M3を塗布する。なお、図10では、材料M1、M2、M3の積層体は、材料Mと称して示している。
【0090】
続いて、ステップST22においては、金型MDを用意する。金型MDは、第1レンズLS1に対応した凹部MDCを有している。そして、支持体30を加熱板HPの上に配置し、材料Mの上方に金型MDを設置する。このとき、凹部MDCは、材料Mに対向している。
【0091】
続いて、ステップST23においては、加熱板HPにより材料Mを加熱するとともに、材料Mの上方から金型MDを押し当てる。これにより、材料Mが溶融し、凹部MDCに入り込み、凸状の第1レンズLS1が形成される。
【0092】
なお、ここでは、第1レンズLS1を形成する他の方法について説明したが、ここで説明した方法は、第2レンズLS2を形成する他の方法として適用することができる。
【0093】
次に、他の構成例について説明する。
【0094】
図11は、表示装置DSPの他の構成例を示す断面図である。
【0095】
図11に示す構成例は、図5に示した構成例と比較して、支持体30がカラーフィルタCF1、CF2、CF3である点で相違している。例えば、副画素SP1において、カラーフィルタCF1は、表示素子201に対向する第1面CFAと、第1面CFAの反対側の第2面CFBと、を有している。第1レンズLS1は、下電極LE1の直上において第1面CFAに配置され、表示素子201に向かって凸状に形成されている。第2レンズLS2は、リブRBの直上において第2面CFBに配置され、第1レンズLS1とは反対側に凸状に形成されている。遮光層BMは、リブRBの直上に配置され、第2レンズLS2を覆っている。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
なお、カラーフィルタCF1、CF2、CF3とは別に、支持体30が設けられていてもよい。
【0096】
以上説明したように、本実施形態によれば、光取出効率を改善し、外光の反射を抑制することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0098】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0099】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0100】
DSP…表示装置
10…基板 15…絶縁層
RB…リブ AP1,AP2,AP3…開口
SP1、SP2、SP3…副画素
201、202、203…表示素子(有機EL素子)
LE1、LE2、LE3…下電極 UE…上電極
OR1、OR2、OR3…有機層
EM1、EM2、EM3…発光層
SP…支持体
LS1…第1レンズ LS2…第2レンズ
CF1、CF2、CF3…カラーフィルタ BM…遮光層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11