(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009436
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20250110BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1334
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112442
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 天風
【テーマコード(参考)】
2H189
2H391
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189LA01
2H189LA03
2H189LA05
2H189LA06
2H189LA07
2H189LA10
2H189LA15
2H189LA20
2H189LA22
2H391AA15
2H391AB05
2H391AD08
2H391AD46
2H391AD55
(57)【要約】
【課題】 画像の輝度が均一、かつ、モアレの発生を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、第1基板と、第2基板と、高分子分散液晶を有する液晶層と、を備える、表示パネルと、複数の発光素子と、導光素子と、を備え、前記導光素子は、第3基材と、前記第3基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、前記透明層と重畳して設けられる、透明接着層と、を備え、前記複数の発光素子は、前記第3基材の第1側面に隣接して配置され、前記透明層の第1厚さは、前記第1側面から前記第1側面の反対側の第2側面に向かって減少し、前記透明接着層の第2厚さは、前記第1側面から前記第2側面に向かって増大する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板と、高分子分散液晶を有する液晶層と、を備える、表示パネルと、
複数の発光素子と、
導光素子と、
を備え、
前記導光素子は、
第3基材と、
前記第3基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、
前記透明層と重畳して設けられる、透明接着層と、
を備え、
前記複数の発光素子は、前記第3基材の第1側面に隣接して配置され、
前記透明層の第1厚さは、前記第1側面から前記第1側面の反対側の第2側面に向かって減少し、
前記透明接着層の第2厚さは、前記第1側面から前記第2側面に向かって増大する、表示装置。
【請求項2】
前記第1厚さ及び前記第2厚さの和は、前記第1側面から前記第2側面に亘って一定である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1厚さは、前記第1側面から前記第2側面に向かって、段階的に減少する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記透明層は、シロキサン系樹脂又はフッ素系樹脂である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第3基材の屈折率は1.5であり、前記透明層の屈折率は1.0乃至1.4である、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子分散液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いて入射光を散乱する散乱状態と入射光を透過する透過状態とを切り替え可能な表示装置が提案されている。PDLCを使用した透明な表示装置には、導光板の端部に光源を配置するエッジライト方式が採用されている。しかし、エッジライト方式をPDLC表示装置に用いると、光源から離れるにつれて表示面の輝度が低下するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、二等辺三角形形状に設けられた低屈折率の透明層を有する導光素子を、液晶パネル上に設ける表示装置が開発されている(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献3及び特許文献4に示される表示装置では、当該二等辺三角形形状の透明層及び画素の間でモアレを起こしてしまうという、新たな問題が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-032411号公報
【特許文献2】特開2020-016724号公報
【特許文献3】特開2022-174556号公報
【特許文献4】国際公開第2022/158477号
【特許文献5】国際公開第2022/158478号
【特許文献6】国際公開第2020/022112号
【特許文献7】特開2020-148955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、画像の輝度が均一、かつ、モアレの発生を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、
第1基板と、第2基板と、高分子分散液晶を有する液晶層と、を備える、表示パネルと、
複数の発光素子と、
導光素子と、
を備え、
前記導光素子は、
第3基材と、
前記第3基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、
前記透明層と重畳して設けられる、透明接着層と、
を備え、
前記複数の発光素子は、前記第3基材の第1側面に隣接して配置され、
前記透明層の第1厚さは、前記第1側面から前記第1側面の反対側の第2側面に向かって減少し、
前記透明接着層の第2厚さは、前記第1側面から前記第2側面に向かって増大する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した表示パネルの概略的な構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、表示装置の主要部を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、低屈折率の材料層における、厚さ及び反射率の関係を示すシミュレーション結果である。
【
図7】
図7は、
図6に示されるシミュレーション結果において、厚さ300nm、600nm、800nm、及び1000nmのときの反射率との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、光の波長(Wavelength(λ)[nm])、光の入射角(Incident Angle[°])、及び透過率(Transmittance)の関係を示す図である。
【
図9】
図9は、透明層の厚さ及び透過率の関係を示す図である。
【
図10】
図10は、
図9に基づいて得られた、透明層の厚さ及び透過率の関係を示す図である。
【
図11】
図11は、透明層の概略的な構成例の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0012】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0013】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成を示す平面図である。
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、ICチップICPと、配線基板FPC1と、を備えている。
【0015】
表示パネルPNLは、基板SUB1と、基板SUB2と、液晶層LCと、シールSALと、を備えている。基板SUB1及び基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。基板SUB1及び基板SUB2は、平面視で、重畳している。基板SUB1及び基板SUB2は、シールSALによって接着されている。液晶層LCは、基板SUB1と基板SUB2との間に保持され、シールSALによって封止されている。
【0016】
図1において拡大して模式的に示すように、液晶層LCは、ポリマーPLMと、液晶分子LCMと、を含む高分子分散型液晶を備えている。一例では、ポリマーPLMは、液晶性ポリマーである。ポリマーPLMは、第1方向Xに沿って延出した筋状に形成されている。液晶分子LCMは、ポリマーPLMの隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれは、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマーPLMの電界に対する応答性は、液晶分子LCMの電界に対する応答性より低い。
【0017】
一例では、ポリマーPLMの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子LCMの配向方向は、液晶層LCにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶層LCに電圧が印加された状態では、ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される(散乱状態)。
【0018】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAと、を備えている。シールSALは、非表示領域NDAに位置している。表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
【0019】
図1において拡大して示すように、画素PXのそれぞれは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線GL及び信号線SLと電気的に接続されている。
【0020】
図示はしないが、複数の走査線GLは、第1方向Xに沿って延伸し、第2方向Yに沿って並んで配列されている。
図1に示すように、1つの走査線GLは、第1方向Xに並んだ画素PXのそれぞれにおけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0021】
図示はしないが、複数の信号線SLは、第2方向Yに平行な方向に沿って延伸し、第1方向Xに沿って並んで配列されている。
図1に示すように、1つの信号線SLは、第2方向Yに並んだ画素PXのそれぞれにおけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線SLは、走査線GLと交差している。
【0022】
複数の画素PXのそれぞれは、隣り合う2つの信号線SL及び隣り合う2つの走査線GLで区画された領域を占めている。つまり、複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yそれぞれに沿って、所定のピッチで配列されている。第1方向Xに沿う画素PXのピッチは、信号線SLのピッチに等しい。第2方向Yに沿う画素PXのピッチは、走査線GLのピッチに等しい。
【0023】
画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEのそれぞれは、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LC(特に、液晶分子LCM)を駆動している。
【0024】
走査線GL、信号線SL、スイッチング素子SW、画素電極PEは、基板SUB1に備えられている。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0025】
基板SUB1は、第1方向Xに沿って延伸する端部E11及び端部E14、第2方向Yに沿って延伸する端部E12及び端部E13を有している。基板SUB2は、第1方向Xに沿って延伸する端部E21及び端部E24、第2方向Yに沿って延伸する端部E22及び端部E23を有している。
【0026】
図1に示した例では、平面視で、端部E12及び端部E22、端部E13及び端部E23、並びに、端部E14及び端部E24は、それぞれ重畳しているが、重畳していなくてもよい。端部E21は、平面視で、端部E11及び表示領域DAの間に位置している。基板SUB1は、端部E11及び端部E21の間に延伸領域Exを有している。
【0027】
ICチップICP及び配線基板FPC1は、それぞれ延伸領域Exに接続されている。ICチップICPは、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板FPC1は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。なお、ICチップICPは、配線基板FPC1に接続されていてもよい。ICチップICP及び配線基板FPC1は、表示パネルPNLからの信号を読み出す場合もあるが、主として表示パネルPNLに信号を供給する信号源として機能する。
【0028】
図2は、
図1に示した表示パネルの概略的な構成を示す断面図である。
基板SUB1は、基材BA1と、絶縁層INS1と、絶縁層INS2と、容量電極CSEと、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、配向膜AL1と、を備えている。基板SUB1は、さらに、
図1に示した走査線GL及び信号線SLを備えている。
【0029】
基材BA1は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA1は、主面(下面)B1Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)B1Bと、を備えている。スイッチング素子SWは、主面B1Bに配置されている。
【0030】
絶縁層INS1は、スイッチング素子SWを覆っている。容量電極CSEは、絶縁層INS1及び絶縁層INS2の間に位置している。画素電極PEは、絶縁層INS2の上において、画素PX毎に配置されている。画素電極PEは、容量電極CSEの開口部OPを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、絶縁層INS2を挟んで、容量電極CSEと重畳し、画素PXの容量CSを形成している。配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。
【0031】
基板SUB2は、基材BA2と、遮光層BMと、共通電極CEと、配向膜AL2と、を備えている。
【0032】
基材BA2は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA2は、主面(下面)B2Aと、主面B2Aの反対側の主面(上面)B2Bと、を備えている。基材BA2の主面B2Aは、基材BA1の主面B2Bと向かい合っている。遮光層BM及び共通電極CEは、主面B2Aに配置されている。遮光層BMは、例えば、スイッチング素子SWの直上、及び、図示しない走査線GL及び信号線SLの直上にそれぞれ位置している。
【0033】
共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、遮光層BMを直接覆っている。共通電極CEは、画素電極PEと対向している。共通電極CEは、容量電極CSEと電気的に接続されており、容量電極CSEとは同電位である。配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。液晶層LCは、主面B1Bと主面B2Aとの間に位置し、配向膜AL1及び配向膜AL2に接している。
【0034】
基材BA1及び基材BA2は、ガラスやプラスチックなどの絶縁基材である。主面B1A、主面B1B、主面B2A、及び主面B2Bは、X-Y平面とほぼ平行な面である。
【0035】
絶縁層INS1は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、アクリル樹脂などの透明な絶縁材料によって形成されている。一例では、絶縁層INS1は、無機絶縁層及び有機絶縁
層を含んでいる。絶縁層INS2は、シリコン窒化物などの無機絶縁層である。
【0036】
容量電極CSE、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。
【0037】
遮光層BMは、例えば、共通電極CEよりも低抵抗な導電層である。一例では、遮光層BMは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、銀(Ag)などの不透明な金属材料によって形成されている。
【0038】
配向膜AL1及び配向膜AL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及び配向膜AL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0039】
図3は、表示装置の主要部を示す分解斜視図である。
表示装置DSPは、表示パネルPNLの他に、複数の発光素子LDと、導光素子LGと、を備えている。基板SUB1、基板SUB2、及び、導光素子LGは、この順に第3方向Zに沿って並んでいる。
【0040】
複数の発光素子LDは、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。複数の発光素子LDは、配線基板FPC2に接続されている。発光素子LDは、例えば、発光ダイオードである。発光素子LDは、詳述しないが、赤発光素子、緑発光素子、及び、青発光素子を備えている。発光素子LDから出射される光は、第2方向Yを示す矢印の向きに沿って進行する。
【0041】
導光素子LGは、基材BA3と、透明層LRIと、を備えている。
基材BA3は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA3は、ガラスやプラスチックなどの絶縁基材であり、屈折率n1を有している。一例では、基材BA3は、複数の基材を貼り合わせたものではなく、単一基材である。
【0042】
基材BA3は、主面(下面)B3Aと、主面B3Aの反対側の主面(上面)B3Bと、第1側面SS1と、第2側面SS2と、第3側面SS3と、第4側面SS4と、を備えている。主面B3A及び主面B3Bは、X-Y平面とほぼ平行な面である。主面B3Aは、基材BA2の主面B2Bと対向している。
【0043】
第1側面SS1は、複数の発光素子LDと対向している。第1側面SS1及び第4側面SS4は、第1方向Xに延出している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、第2方向Yに延出している。第1側面SS1及び第4側面SS4は、互いに対向している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、互いに対向している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、第1側面SS1と交差している。
【0044】
基材BA3は、後述するように、透明層LRIを挟んで基材BA2に接着される。なお、
図3に示す例では、第1側面SS1は、基板SUB2の端部E21の直上に位置しているが、延伸領域Exの直上に位置していてもよいし、端部E11よりもさらに外側に位置していてもよい。
【0045】
透明層LRIは、主面B3Aに亘って配置されている。透明層LRIは、いわゆるベタ膜である。しかしながら、透明層LRIの厚さは、第1側面SS1から第4側面SS4に向かって変化している。透明層LRIの膜厚の詳細については後述する。
【0046】
基材BA3は、例えば、ガラスや、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの有機材料によって形成されている。透明層LRIは、例えば、シロキサン系樹脂や、フッ素系樹脂などの有機材料によって形成されている。透明層LRIは、基材BA3の屈折率n1より低い屈折率n2を有している。基材BA3の屈折率n1は約1.5程度であり、透明層LRIの屈折率n2は1.0乃至1.4程度である。
【0047】
図4は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図4の表示装置DSPにおいては、説明に必要な構成要素のみを示している。
【0048】
基材BA2及び基材BA3の間に、透明層LRI及び透明接着層TMSの積層体が設けられている。透明層LRIの厚さを、厚さtcとする。厚さtcは、第1側面SS1から第4側面SS4に向かって、大きくなる。第1側面SS1及び第4側面SS4における厚さtcを、それぞれ、厚さtc1及び厚さtc2とする。厚さtc2は、厚さtc1より大きい(tc2>tc1)。
【0049】
透明接着層TMSの厚さを、厚さtkとする、厚さtkは、第1側面SS1から第4側面SS4に向かって、小さくなる。第1側面SS1及び第4側面SS4における厚さtkを、それぞれ、厚さtk1及び厚さtk2とする。厚さtk2は、厚さtk1より小さい(tc2<tc1)。
【0050】
透明層LRIの厚さtc及び透明接着層TMSの厚さtkの和は、第1側面SS1及び第4側面SS4に亘って一定である。すなわち、表示パネルPNL及び基材BA3の間隔は一定である。
【0051】
ここで、透明層LRIの機能について説明する。透明層LRIは、発光素子LDから出射され、第1側面SS1に入射した光を、第4側面SS4側に導光させる機能を有している。
【0052】
図5は、表示装置の概略的な構成の一例の断面構成を示す図である。
図5に示す表示装置DSPでは、透明層LRIは、発光素子LDからの距離に応じて、密度が変化する。以下詳細に説明する。
【0053】
発光素子LDから出射した光LTは、基材BA3の第1側面SS1に入射する。第1側面SS1に入射した光LTは、主面B3B及び透明層LRIで反射しながら、基材BA3内部を導光する。主面B3Bは、基材BA3及び空気層との界面である。
【0054】
上述の通り、光LTは、主面B3B及び透明層LRIで反射する。しかし、主面B3Aのうち、透明層LRIが設けられていない領域NLRを通る場合は、領域NLRを通って表示パネルPNLに入射する。なお光LTは、透明層LRIを通って表示パネルPNLに入射することもある。
【0055】
透明層LRIで反射することにより、光LTを、入射面である第1側面SS1から、第1側面SS1に対向する第4側面SS4まで導光させることができる。領域NLRで表示パネルPNLに入射した光LTは、表示パネルPNLの液晶層LCで拡散又は透過する。これにより、表示装置DSPに画像が表示される。
【0056】
発光素子LDからの距離に応じて、透明層LRIの密度を変化させる。具体的には、発光素子LDに近ければ近いほど、透明層LRIの面積を大きくする。これにより、発光素子LDに近い領域では、透明層LRIで反射する光LTの量が、表示パネルPNLに入射する光LTの量より大きくなる。
【0057】
一方、上述の通り、発光素子LDから遠い領域では、透明層LRIの面積が小さくなる。これにより、発光素子LDから遠い領域では、表示パネルPNLに入射する光LTの量の方が、透明層LRIにより反射する光LTの量より大きくなる。
【0058】
透明層LRIの面積を変えるためには、透明層LRIを、例えば、三角形状の帯部として設けることが好適である。発光素子LDに近い領域に、当該三角形の底辺を配置する。発光素子LDに遠い領域に、当該三角形の頂点を配置する。
【0059】
上記の構成により、発光素子LDに遠い領域にまで、光LTを導光することができ、表示装置DSPに表示される画像の輝度を均一にすることができる。
【0060】
しかしながら、上述の通り、透明層LRI及び画素PXの間でモアレが発生するという、新たな問題が生じている。
【0061】
そこで、本実施形態では、
図4に示すように、透明層LRIをいわゆるベタ膜として形成し、かつ、発光素子LDから遠くなるにつれ、透明層LRIの厚さtcを小さくする。これにより、透明層LRIの面積を変化させる効果と同じ効果を得ることができる。さらに、透明層LRIは、ベタ膜であるので、モアレは発生しない。以上から、本実施形態の表示装置DSPは、表示される画像の輝度を均一にすることができるだけでなく、モアレの発生を抑制することが可能である。
【0062】
上述のように、透明層LRIの屈折率は、基材BA3の屈折率より低い。このように屈折率の差がある材料間で電磁波が全反射するとき、高屈折率の材料から低屈折率の材料に、電磁波が染み出す現象が発生する。当該染み出す電磁波を、エバネッセント波と呼ぶ。当該電磁波が光である場合は、エバネッセント光と呼ぶ。
【0063】
図6は、低屈折率の材料層における、厚さ及び反射率の関係を示すシミュレーション結果である。
図6において、横軸は、低屈折率の材料層の厚さtc(Thickness[nm])であり、縦軸は、規格化された反射率(Reflectance)である。当該シミュレーションに用いられた光は、波長λが550nmであり、低屈折率の材料層に視角70°で入射するのものとする。
【0064】
図7は、
図6に示されるシミュレーション結果において、厚さ300nm、600nm、800nm、及び1000nmのときの反射率との関係を示す図である。
【0065】
図7では、例えば、透明層LRI厚さtc300nm及び視角70°付近の透過率は、48%である。他の視角成分を考慮すると、透過率が高いところと低いところが存在するが、透明層LRI全体に亘り、視角70°とする。このときの透過率を、透明層LRI全体の透過率とする。
【0066】
図6及び
図7に示されるように、低屈折率の材料層、すなわち、透明層LRIの厚さが大きくなると、反射率が上がる。換言すると、透明層LRIの厚さが小さくなると、反射率が下がる。透明層LRIの厚さが小さいと、透明層LRIに入射した光が、エバネッセント光として染み出てしまうので、反射率が下がってしまうからである。
【0067】
しかしながら、このようなエバネッセント光の染み出し効果を利用することにより、発光素子LDに遠い領域、すなわち第4側面SS4に近い領域で光を染み出させ、透過率を向上させることができる。一方、発光素子LDに近い領域、すなわち第1側面SS1に近い領域では、光を全反射させる。これにより、透明層LRIにより、表示パネルPNLの液晶層LCに届く光の光量を調整することができる。
【0068】
図8は、光の波長(Wavelength(λ)[nm])、光の入射角(Incident Angle[°])、及び透過率(Transmittance)の関係を示す図である。
図8の透過率は規格化された透過率であり、1から規格化された反射率を引いたものである(透過率=1-反射率)。
【0069】
図8では、入射角70°付近で、透過率0.7(70%)であることが示されている。すなわち、透明層LRIに入射角70°で光が入射すると、反射する光の割合は0.3(30%)であり、割合0.7(70%)の光は透過する。
【0070】
図9は、透明層の厚さ及び透過率の関係を示す図である。
図10は、
図9に基づいて得られた、透明層の厚さ及び透過率の関係を示す図である。
図9及び
図10からも、透明層LRIの厚さtcが大きくなると、透過率が小さくなり、透明層LRIの厚さが小さくなると、透過率が大きくなることが分かる。
【0071】
図6乃至
図10において上述したように、透明層LRIの厚さtcが大きくなると、反射率が高くなる。すなわち、透明層LRIの厚さtcが大きくなると、透過率が小さくなる。一方、透明層LRIの厚さが小さくなると、反射率が小さくなる。すなわち、透明層LRIの厚さが小さくなると、透過率が大きくなる。
【0072】
したがって、
図4に示す表示装置DSPのように、発光素子LDに近い領域で透明層LRIの厚さtcが大きければ、透明層LRIは透過率より反射率の方が高いので、発光素子LDに近い領域では、透明層LRIで反射される光の量が多くなる。発光素子LDに近い領域では、透明層LRIの透過率が小さいので、表示パネルPNLの液晶層LCに届く光の量は小さくなる。
【0073】
一方、発光素子LDに遠い領域まで透明層LRIの厚さtcが小さければ、透明層LRIは反射率より透過率の方が高いので、発光素子LDに遠い領域では、透明層LRIを透過する光の量が多くなる。したがって、発光素子LDに遠い領域では、表示パネルPNLの液晶層LCに届く光の量が大きくなる。
【0074】
以上のように、
図4に示す構成では、透明層LRIの厚さtcを変えることにより、表示パネルPNLに入射する光を調整することができる。
【0075】
透明層LRIの厚さtcの変化に伴い、厚さを補償するため、透明接着層TMSを設ける。これにより、表示パネルPNL及び基材BA3の間隔を一定に保つことができる。
【0076】
透明層LRIの厚さtcは、
図4に示すように、連続的に変化することが好適である。しかしながら、製造上の理由で、厚さtcを連続的に変化させることは難しい場合がある。その場合は、厚さtcを段階的に変化させることが考えられる。
【0077】
図11は、透明層の概略的な構成例の一例を示す断面図である。
図11に示す透明層LRIは、第1側面SS1から第4側面SS4に向かって、段階的に厚さが小さくなっている。
図11では、第1側面SS1から第4側面SS4まで、透明層LRIの厚さを11段階で変化させている。
【0078】
第1側面SS1での透明層LRIの厚さtcを、上述のように厚さtc1とする。第2方向Yに平行な方向に沿う、厚さtc1の透明層LRIの領域R011の長さを、長さlc011とする。
【0079】
第4側面SS4での透明層LRIの厚さtcを、上述のように厚さtc2とする。第2方向Yに平行な方向に沿う、厚さtc2の透明層LRIの領域R021の長さを、長さlc021とする。
【0080】
領域R011から領域R021まで、厚さtc及び長さlcが異なる、領域R012、領域R013、領域R014、領域R015、領域R016、領域R017、領域R018、領域R019、及び領域R020を設ける。
【0081】
領域R012、領域R013、領域R014、領域R015、領域R016、領域R017、領域R018、領域R019、及び領域R020それぞれの厚さtcを、厚さtc012、厚さtc013、厚さtc014、厚さtc015、厚さtc016、厚さtc017、厚さtc018、厚さtc019、及び厚さtc020とする。
【0082】
領域R012、領域R013、領域R014、領域R015、領域R016、領域R017、領域R018、領域R019、及び領域R020それぞれの長さlcを、長さlc012、長さlc013、長さlc014、長さlc015、長さlc016、長さlc017、長さlc018、長さlc019、及び長さlc020とする。
【0083】
厚さtc011、厚さtc012、厚さtc013、厚さtc014、厚さtc015、厚さtc016、厚さtc017、厚さtc018、厚さtc019、厚さtc020、及び厚さtc021の全体に対する割合を、それぞれ、例えば、5%、10%、10%、10%、10%、10%、10%、10%、10%、10%、5%とする。より具体的な例として、厚さtc011、厚さtc012、厚さtc013、厚さtc014、厚さtc015、厚さtc016、厚さtc017、厚さtc018、厚さtc019、厚さtc020、及び厚さtc021を、それぞれ、1000nm、725nm、524nm、443nm、362nm、287nm、229nm、172nm、115nm、57nm、及び0nmとしてもよい。
【0084】
図10及び
図11に示されるように、厚さtc011乃至厚さtc021が、それぞれ、1000nm、725nm、524nm、443nm、362nm、287nm、229nm、172nm、115nm、57nm、0nmの場合、領域R011、領域R012、領域R013、領域R014、領域R015、領域R016、領域R017、領域R018、領域R019、領域R020、及び領域R021の透過率は、それぞれ、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1.0となる。
【0085】
長さlc011、長さlc012、長さlc013、長さlc014、長さlc015、長さlc016、長さlc017、長さlc018、長さlc019、長さlc020、及び長さlc021の比率は、厚さlcの比率と同様に決定すればよい。
【0086】
上述した長さlc及び厚さtcの値や割合は、例示であって、適宜変更可能である。表示装置DSPの大きさ、透明層LRIの材料等に基づいて、適宜変えればよい。
【0087】
透明接着層TMSについても、透明層LRIと同様に、段階的に厚さtkを変化させる。ただし、上述のように、透明層LRI及び透明接着層TMSの厚さの和が一定となるように、透明接着層TMSの厚さtkを決定すればよい。
【0088】
本実施形態の表示装置DSPでは、発光素子LDからの距離が遠くなるにしたがい、透明層LRIの厚さを小さくする。発光素子LDに近い領域では、透明層LRIにより光を反射する。発光素子LDに遠い領域では、エバネッセント光の染み出し効果により、透過する光の量が増大する。これにより、表示装置DSPに表示される画像の輝度を均一にすることができる。
【0089】
透明層LRIは、いわゆるベタ膜であるので、画素PX、特に信号線SLとの間にモアレが生じない。よって、本実施形態の表示装置DSPでは、画像の輝度を均一にするだけでなく、モアレの発生を抑制することが可能である。
【0090】
本開示では、第1側面SS1及び第4側面SS4を、それぞれ、第1側面及び第2側面ともいう。透明層LRIの厚さtc及び透明接着層TMSの厚さtkを、それぞれ、第1厚さ及び第2厚さともいう。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
BA3…基材、DSP…表示装置、LD…発光素子、LG…導光素子、LRI…透明層、LT…光、PNL…表示パネル、SS1…第1側面、SS2…第2側面、SS3…第3側面、SS4…第4側面、TMS…透明接着層。