IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トッパンTDKレーベルの特許一覧

特開2025-94448セキュリティラベルおよび判定システム
<>
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図1
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図2
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図3
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図4
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図5
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図6
  • 特開-セキュリティラベルおよび判定システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025094448
(43)【公開日】2025-06-25
(54)【発明の名称】セキュリティラベルおよび判定システム
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20250618BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20250618BHJP
【FI】
G09F3/03 Z
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210000
(22)【出願日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】TOPPANインフォメディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】関 圭輔
(57)【要約】
【課題】カッター等で切断された場合も、開封されたことが容易に視認できるセキュリティラベルを提供する。
【解決手段】セキュリティラベル1は、第一面10aと第二面10bとを有し、面方向において第一領域R1と第二領域R2とを有する基材層10と、基材層の第二面側に設けられた粘着層30と、粘着層のうち、第二領域の一部から第一領域と第二領域との境界を超えた範囲まで連続するように形成された糊殺し層40とを備え、第二領域のうち糊殺し層が形成された部位は、第一面側から見た外観と、第二面側から見た外観が著しく異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と第二面とを有し、面方向において第一領域と第二領域とを有する基材層と、
前記基材層の前記第二面側に設けられた粘着層と、
前記粘着層のうち、前記第二領域の一部から前記第一領域と前記第二領域との境界を超えた範囲まで連続するように形成された糊殺し層と、
を備え、
前記第二領域のうち前記糊殺し層が形成された部位は、前記第一面側から見た外観と、前記第二面側から見た外観が著しく異なっている、
セキュリティラベル。
【請求項2】
前記第二領域のうち前記糊殺し層が形成された部位に、前記第二面側からのみ視認可能に設けられた印刷層を備え、
前記印刷層により、前記第一面側から見た外観と、前記第二面側から見た外観とが著しく異なっている、
請求項1に記載のセキュリティラベル。
【請求項3】
前記基材層は、前記第二領域に易屈曲部を有し、前記糊殺し層が設けられた部位が前記糊殺し層が設けられていない部位に対して折れ曲がりやすくなっている、
請求項1に記載のセキュリティラベル。
【請求項4】
前記基材層は、前記第一領域と前記第二領域との境界部に易切断部を有する、
請求項1に記載のセキュリティラベル。
【請求項5】
前記印刷層は、真贋判定用の判定情報を含む、
請求項2に記載のセキュリティラベル。
【請求項6】
請求項5に記載のセキュリティラベルの真贋判定を実行する判定システムであって、
複数の前記セキュリティラベルに形成された前記判定情報を記憶した記憶部と、
判定対象を撮像した画像データを受信し、前記判定対象が前記記憶部に記憶された前記判定情報の一つと一致するか否かを判定する演算部と、
を有し、
前記演算部は、同一の前記判定対象が所定回数以上照会されたときに、判定を中止してエラーメッセージを送信する、
判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティラベルに関する。このセキュリティラベルを用いた判定システムについても言及する。
【背景技術】
【0002】
箱に収納されて店頭に陳列された正規の商品(真正品)に対し、店員等の目を盗んで箱を開封し、偽造品と入れ替えて真正品を持ち去る不正行為が行われている。
【0003】
このような不正行為への対策として、特許文献1には、封緘ラベルつきの不正開封防止紙箱が記載されている。紙箱の基材には、外側表面から表面コート層、および該表面コート層からはく離可能なニス層が順に設けられている。紙箱の開口部を封緘するラベルを剥がすと、封緘ラベルの開封の痕跡が可視化されて残るため、不正行為を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-137097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、一定の抑制効果を有するものの、封緘ラベルを蓋の切れ目に沿ってカッターなどで切断すると、蓋を開けることができる。この際、封緘ラベルが紙箱から剥離されないため、開封の痕跡が可視化されない。また、偽造品と入れ替えた後に蓋を閉めると、箱および封緘ラベルの外観はラベルの切断前と大きく違わないため、よく見ないと開封されていることに気づきにくい。
このため、特許文献1に記載の発明は、このような不正行為に対する抑制効果が十分とは言えず、改善の余地がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、カッター等で切断された場合も、開封されたことが容易に視認できるセキュリティラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、セキュリティラベルである。
このセキュリティラベルは、第一面と第二面とを有し、面方向において第一領域と第二領域とを有する基材層と、基材層の第二面側に設けられた粘着層と、糊殺し層とを備える。
糊殺し層は、粘着層のうち、第二領域の一部から第一領域と第二領域との境界を超えた範囲まで連続するように形成されている。
このセキュリティラベルにおいて、第二領域のうち糊殺し層が形成された部位は、第一面側から見た外観と、第二面側から見た外観が著しく異なっている。
【0008】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係り、かつ真贋判定用の判定情報を含む印刷層が、第二領域のうち糊殺し層が形成された部位に、第二面側からのみ視認可能に設けられたセキュリティラベルの真贋判定を実行する判定システムである。
この判定システムは、複数のセキュリティラベルに形成された判定情報を記憶した記憶部と、判定対象を撮像した画像データを受信し、判定対象が記憶部に記憶された判定情報の一つと一致するか否かを判定する演算部とを有する。
演算部は、同一の前記判定対象が所定回数以上照会されたときに、判定を中止してエラーメッセージを送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カッター等で切断された場合も、開封されたことが容易に視認できるセキュリティラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るセキュリティラベルで封緘された箱を示す斜視図である。
図2】同セキュリティラベルの層構成を示す模式断面図である。
図3】同セキュリティラベルが切断された状態の箱を示す図である。
図4】同セキュリティラベルに係る基材層の変形例を示す模式断面図である。
図5】同セキュリティラベルに係る基材層の変形例を示す模式断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るセキュリティラベルを粘着層側から見た状態を示す図である。
図7】同セキュリティラベルに係る判定システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るセキュリティラベル1により封緘された箱100を示す斜視図である。
【0012】
箱100は、サック貼りされた紙製のブランクを組み立てて直方体状に形成されており、上面が開閉可能な蓋101となっている。蓋101は、側面の一つと接続されており、側面と共有する辺を軸線として蓋101が回動することで開閉される。
【0013】
本実施形態において、セキュリティラベル1は、蓋101と接続されていない側面の一つである側面102と蓋101とにまたがるように貼り付けられている。セキュリティラベル1が貼り付けられていることにより、蓋101は上述の回動ができず、箱100は開けられないように封緘される。
【0014】
図2に、箱に貼り付けられる前のセキュリティラベル1の層構成を示す。セキュリティラベル1は、基材層10と、第一印刷層21および第二印刷層22の二つの印刷層と、粘着層30と、糊殺し層40とを備えている。
基材層10は、印刷が可能であれば材質等に制限はない。材質は典型的には紙であり、他に発泡性のものを含む樹脂製フィルム等も使用できる。
【0015】
第一印刷層21は、基材層10の第一面10aに形成されている。第一印刷層21は、店頭陳列時に消費者が視認可能であり、文字や絵柄、地色等を適宜組み合わせた所望の態様とできる。図2では、第一面10a全体に第一印刷層21が形成されているが、これは一例であり、第一面10aの一部のみに形成されてもよい。
第二印刷層22は、基材層10において、第一面10aと反対側の第二面10bに形成されている。本実施形態において、第二印刷層22は、「開封済」の文字列となっている。第二印刷層22は、第二面10b側からのみ視認可能であり、第一面10a側からは視認できない。
【0016】
粘着層30は、第二印刷層22を含む基材層10の第二面10bの概ね全体を覆っている。粘着層30の材質は、箱100に貼り付け可能な粘着性を有していれば特に制限はなく、公知の各種粘着剤を適宜選択して使用できる。
【0017】
図1および図2に示すように、基材層10には、幅方向に延びるミシン目を有するミシン目部が複数形成されている。第一ミシン目部(易切断部)11は、略平行な3本のミシン目11a、11b、および11cで構成される。第二ミシン目部(易屈曲部)12は、セキュリティラベル1の長手方向における端部の一方に近い位置に設けられた一本のミシン目からなる。
第一ミシン目部11は、セキュリティラベル1を、蓋101に貼り付けられる第一領域R1と、側面102に貼り付けられる第二領域R2とに分けている。第二領域R2のうち、第二ミシン目部12が設けられた部位は、ミシン目が断続的に基材層10を厚さ方向に貫通しているため、他の部位に比べて折れ曲がりやすくなっている。
【0018】
糊殺し層40は、公知の構成であり、粘着層30の一部を覆ってその粘着性を失わせる。本実施形態に係る糊殺し層40は、図2に示すように、第二ミシン目部12の付近から第一ミシン目部11を超える範囲まで設けられており、第二印刷層22を完全に覆っている。
糊殺し層40で覆われた部位を含む粘着層30は、使用時までセパレータSに覆われて保護される。
【0019】
上記のように構成された本実施形態のセキュリティラベル1は、第一印刷層21および第二印刷層22により、第一面10a側から見た際の外観と、第二面10b側から見た際の外観とが、少なくとも第二領域R2のうち糊殺し層40が形成された部位において著しく異なっており、平均的な注意力を有する者であれば、一瞥しただけでその違いを認識することができる。
【0020】
上記のように構成されたセキュリティラベル1の使用時の動作について説明する。
箱100に所定の内容物を収容した後、セキュリティラベル1のセパレータSを剥がして粘着層30を露出させ、蓋101と箱の側面の一つとにまたがるようにセキュリティラベルを箱100に貼り付ける。
より詳細には、第一ミシン目部11が蓋101と側面の一つ(図1では側面102)との境界に位置するように貼り付け位置を調節し、第一領域R1を蓋101に、第二領域R2を側面に、それぞれ貼り付ける。
【0021】
これにより、セキュリティラベル1が箱100を封緘した状態となる。第一ミシン目部11は3本のミシン目を有するため、セキュリティラベル1を機械等で大量に貼り付ける際に貼り付け位置に公差が生じても、ほとんどの場合いずれかのミシン目が蓋101と側面との境界に位置する状態が確保され、効率よく封緘作業を行うことができる。
この封緘状態において、消費者等は、第一印刷層21を視認できる一方、基材層10が不透明であるため、第二印刷層22を視認することはできない。
【0022】
箱100を購入した消費者等が第一ミシン目部11に力を加えると、セキュリティラベル1は、第一ミシン目部11のいずれかのミシン目に沿って第一領域R1と第二領域R2とに容易に切り離される。その結果、封緘状態が解除されて蓋101が回動できるようになり、蓋101を開けることができる。
一方、購入せずに内容物の不正取得を企てる者(以下、「不正者」)も、第一ミシン目部11に沿ってカッター等でセキュリティラベル1を切断することで箱100の内部にアクセスすることが可能となる。
【0023】
セキュリティラベル1は、粘着層30の粘着力により箱100に接合されているが、糊殺し層40により、箱100と接合されている部位は限定されている。具体的には、第一領域R1のうち、第一ミシン目部11から最も離れた一定の範囲と、第二領域R2のうち、第二ミシン目部12よりも第一ミシン目部11から離れた一定の範囲だけが箱100と接合されている。
【0024】
すなわち、箱100の側面に貼り付けられる第二領域R2は、下端部の一定範囲のみが側面と接合されており、それより上方の第二印刷層22を含む範囲は、上端まで側面に沿っているだけであり、箱100と接合されていない。
第二領域R2が第一領域R1とつながっている状態では、第二領域R2が側面に沿って略垂直となった状態が問題なく維持されるが、消費者等による上記操作、および不正者による上記操作のいずれが行われた場合も、第二領域R2は第一領域R1の支持を失う。その結果、基材層10の剛性によっては、略垂直の状態を維持することが困難となり、図3に示すように、側面102と接合されていない部位が、箱100から離間するように倒れて、第二印刷層22が視認可能となる。本実施形態においては、「開封済」の文字が非常に目立つ形で視認可能となり、箱を見たものは、開封されていることを極めて容易に認識することができる。
【0025】
第二領域R2の上記挙動は、正規に箱100を購入した消費者等にとっては何の問題もない一方で、不正者にとっては非常に都合が悪い。すなわち、不正に箱を開封したことが店員や来客等にすぐにわかってしまうし、第二領域R2を再び略垂直状態に戻そうと試みても、第二領域R2を支持するものがないため、すぐに倒れた状態に戻ってしまう。
これにより、セキュリティラベル1で封緘した箱100は、不正者がセキュリティラベル1を切断して不正に内容物を取得することが非常に困難となっている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態に係るセキュリティラベル1は、箱の封緘に用いることで、内容物が不正取得されることを著しく抑制することができる。
さらに、基材層10に易屈曲部としての第二ミシン目部12が設けられているため、基材層10が一定の剛性(コシ)を有する場合も、上述した倒れる挙動を発生しやすくすることができる。これにより、ラベルの貼り付けやすさや封緘状態の保持力等と、倒れる挙動の起きやすさとを簡便に両立させることができる。
本実施形態において、易屈曲部を設ける位置は適宜設定できるが、上述した倒れる動作をより確実に発生させる観点からは、できるだけ易切断部から離れた位置に設けることが好ましい。
【0027】
本実施形態において、基材層に形成される易屈曲部の構成は、上述したミシン目には限定されない。したがって、例えば図4に示す変形例の基材層10Aにおけるような、第二面10b側から形成されたハーフカットHcであってもよい。この場合は、ハーフカットHcが開くことで上述した倒れる挙動が発生し、同様の効果を奏する。
第一ミシン目部11に設けるミシン目の数も、上述した3つには限られず、4つ以上としたり、2つとしたりできる。さらには、上述した公差吸収効果がなくなるものの、1つとすることもできる。
【0028】
また、基材層10は、単層のものには限られない。図5に示す変形例の基材層10Bは、第一層15と第二層16とを有する。第一層15には、第一印刷層21が、第二層16には、第二印刷層22がそれぞれ設けられており、第一層15と第二層16とが接着剤層18で貼り合わされることで基材層10Bが構成されている。
基材層10Bのような構成では、第二印刷層および粘着層を同じ側に設けなくてよい点や、第一層15を有色とすれば第二層16が透明であっても第一印刷層21側から第二印刷層22を視認できなくすることができる点等のいくつかの利点があり、第一印刷層および第二印刷層を設けた基材層を製造しやすい。
【0029】
本発明の第二実施形態について、図6および図7を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
図6は、本実施形態に係るセキュリティラベル51を粘着層側から見た状態を示す図であり、セパレータSを剥がした状態で示している。
セキュリティラベル51の第二印刷層22Aは、二次元コード(判定情報)である。本実施形態において、第二印刷層22Aの内容は、ラベルごとに異なっており、それぞれ箱内に収容された内容物に対応付けられている。
【0031】
セキュリティラベル51の貼り付け動作や切断時の挙動等は、第一実施形態と概ね同様である。本実施形態においては、第二領域R2が倒れることで第二印刷層22Aの二次元コードが非常に目立つ形で視認可能となることで、開封されたことを容易に視認できるため、この点で第一実施形態に係るセキュリティラベル1と同様の効果を奏する。
本実施形態では、これに加えて、第二印刷層22Aを用いた内容物の真贋判定を含む各種判定が可能となっている。以下、その一例を説明する。
【0032】
図7は、セキュリティラベル51を用いた判定システムの全体構成を示す図である。
このシステムは、ネットワーク200に接続された判定サーバー201を有する。判定サーバー201は、個々の内容物に関する各種情報を保存する記憶部202と、第二印刷層22Aに係る画像データを用いて真贋判定を行う演算部203とを有する。内容物の各種情報とは、その内容物に対応付けられた二次元コード等の判定情報を必ず含み、その他にシリアルナンバー、製造地および製造年月日、出荷日などを含む。これらの情報は、内容物の製造者が所有する製造者端末210からネットワーク200を経由して判定サーバー201に送られ、記憶部202に記憶される。
演算部203を有する判定サーバー201としては、コンピュータ等の公知の演算装置を、記憶部202としては、各種の情報記憶媒体を、それぞれ使用できる。記憶部202は、判定サーバー201の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。
【0033】
内容物の購入者は、箱の開封時に表示された第二印刷層22Aを撮影して画像を取得する。
購入者は、取得した画像をパソコンやスマートフォン等の購入者端末211からネットワーク200を経由して判定サーバー201に送信する。
【0034】
画像を受信した判定サーバー201において、演算部203は、受信した画像データか第二印刷層22Aに係る二次元コードを読み取る。ここで、画像データの解像度が不足している等により二次元コードを読み取れない等の場合は、購入者端末に「この画像では判定できません」等のメッセージを送信してもよい。
演算部203は、記憶部202に記憶された二次元コードの中に、読み取った二次元コードと同一のものがあるか検索する。同一の二次元コードが発見された場合、演算部203は、送信元の購入者端末211に、「購入した内容物は真正品である」旨を示す情報を送信する。この情報と併せて対応する他の情報が送信されてもよい。
【0035】
同一の二次元コードが記憶部202に記憶された二次元コードの中に存在しない場合、判定サーバー201は、送信元の購入者端末211に、「購入した内容物は真正品でない」旨を示す情報を送信する。
購入者は、判定サーバー201から受信した情報に基づき、購入した印刷物等が真正品であるか否かを簡便かつ迅速に知ることができる。
【0036】
さらに、判定サーバー201では、各二次元コードが照会された回数を記録する。そして、照会された回数が所定の数(例えば3回)を超えている場合、演算部203は真贋判定を中止して、「所定の照会回数を超えているため、真正品でない可能性があります」等のエラーメッセージを送信する。
【0037】
高級品や医薬品等に係る不正行為には様々なものが知られており、購入した一つの箱および封緘ラベルに基づいて巧妙な模倣パッケージが多数製造され、これに内容物の粗悪な模倣品を収容して大量に流通、販売するという態様も存在する。
セキュリティラベル51がこのような形で偽造されると、当然第二印刷層22Aも複製されるが、大量に偽造された封緘ラベルにおいては、すべての二次元コードが同一となる。したがって、これらの偽造品を購入した者がそれぞれ照会を行うと、判定システムでは照会の回数がすぐに設定した回数を超えてエラーメッセージが送信されることになる。
真正品においては、購入者が何度も繰り返し照会を行う等がなければエラーメッセージの送信は基本的に発生し得ないため、製造者は、判定システムにおけるエラーメッセージの送信の有無を監視することにより、偽造品の流通の可能性を早期に把握することができる。さらに、二次元コードの送信元から聞き取りを行う等により、偽造品の流通ルートを特定する手がかりも得やすくなる。
【0038】
このように、本実施形態においては、第一実施形態で説明した店頭等での不正な内容物入れ替えに加えて、上述したような、模倣パッケージを用いた偽造品の大量流通行為にも対応できるという利点を有する。
【0039】
本実施形態に係る判定情報は、二次元コードには限られない。例えば、流通される内容物の個数が少ない等の場合は、一次元のバーコードや個別に付与された判定用の不規則な文字列等が判定情報として用いられてもよい。
判定情報をシリアルコード等の規則的な文字列とすることもできる。この場合は、文字列とともに照合用サイトを示すURL等を併記し、購入者が照合用サイトに文字列を入力して照合を行う形とすることもできる。
【0040】
本実施形態に係る判定システムは、判定サーバー201を備えるものに限られない。上述の真贋判定方法を実行するプログラムを購入者端末211に実装させることにより、購入者端末を演算部203として機能させてもよい。この場合、記憶部が購入者端末211にダウンロードされることにより購入者端末211内に構築されて随時更新されてもよい。
また、記憶部202が判定サーバーとネットワーク200を介して接続され、ネットワーク200経由で逐次照会されてもよい。
【0041】
本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0042】
例えば、基材層10に、第一ミシン目部や第二ミシン目部以外の多数の切込みが形成され、箱から剥離しようとすると容易に破壊されるように構成されてもよい。このようにすると、上述した模倣パッケージの製造を企むものが、セキュリティラベルを破損せずに箱から剥離することが著しく困難となるため、このような態様の不正行為を抑制することができる。
【0043】
本発明において、易切断部や易屈曲部は必ずしも設けられなくてもよい。例えば、敢えて開封しにくくすることにより高級感を演出する等の場合は、易切断部が設けられなくてもよいし、基材部の剛性が低くて切断時に第二領域が容易に倒れる等の場合は、易屈曲部が省略されてもよい。
【0044】
本発明において、第一印刷層および第二印刷層は必須の構成ではない。本発明に係る技術思想の要点は、セキュリティラベルが上述した態様で貼られかつ開封された際に、ラベルの一部が倒れることにより第一面側と著しく外観の異なる第二面側が露出することにある。したがって、第一印刷層および第二印刷層のいずれも備えない以下のような態様であっても、充分に効果を奏する。
・基材層が、著しく色彩の異なるフィルム2枚を貼り合わせて形成される。
・有色不透明の基材層の第二面側に、これと著しく色彩の異なるコーティング層がスピンコート等により形成される。
・有色不透明の基材層の第二面側に、顔料添加等によりこれと著しく色彩の異なる粘着層が形成され、その上に透明な糊殺し層が形成される。
・有色不透明の基材層の第二面側に、顔料添加等によりこれと著しく色彩の異なる糊殺し層が形成される。
著しく異なる色彩としては、例えば、明度が大きく異なる2つの色、彩度が大きく異なる2つの色、色相環において補色関係あるいはそれに近い位置関係にある2つの色、等を例示できる。
【符号の説明】
【0045】
1、51 セキュリティラベル
10、10A、10B 基材層
10a 第一面
10b 第二面
11 第一ミシン目部(易切断部)
12 第二ミシン目部(易屈曲部)
22、22A 第二印刷層(印刷層)
30 粘着層
40 糊殺し層
202 記憶部
203 演算部
Hc ハーフカット(易屈曲部)
R1 第一領域
R2 第二領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7