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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025094510
(43)【公開日】2025-06-25
(54)【発明の名称】発光装置および測距装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20250618BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20250618BHJP
【FI】
G01S7/484
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210099
(22)【出願日】2023-12-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和3年度国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「屋外での遠距離、高解像度3Dセンシングを可能とするスマートスキャン ソリッドステートLiDARカメラ開発」委託研究による特許出願)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】竹山 慶
(72)【発明者】
【氏名】井口 大介
(72)【発明者】
【氏名】崎田 智明
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜博
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA06
2F112DA02
2F112DA25
2F112DA26
2F112DA28
2F112EA05
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD02
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA12
(57)【要約】
【課題】距離にかかわらずすべての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制する。
【解決手段】発光装置は、点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、第1の照射範囲および第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、発光部により、基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射する場合に、第1の光源および第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、発光部を駆動する駆動部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、
前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、当該発光部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の光源は、前記第1の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、
前記第2の光源は、前記第2の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、
前記駆動部は、前記第1の光源および前記第2の光源の各々において、互いに隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士が異なるタイミングで発光するように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の光源は、第1の照射区画を照射する第1の発光区画と、当該第1の照射区画に隣接する第3の照射区画を照射する第3の発光区画とを有し、
前記第2の光源は、第2の照射区画を照射する第2の発光区画と、当該第2の照射区画に隣接する第4の照射区画を照射する第4の発光区画とを有し、
前記基準距離において、前記第1の照射区画と前記第2の照射区画とが重畳され、かつ、前記第3の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳され、
前記駆動部は、前記第1の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳される前記第1の距離において、一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかは、前記第1の光源および前記第2の光源の点灯の履歴に基づいて定められることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源のうち、総点灯時間の短い一方が点灯状態となり、総点灯時間の長い他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の光源および前記第2の光源の各々は、前記第1の照射範囲および第2の照射範囲に向けて光を出射する複数の発光区画を有し、少なくとも1つの発光区画を含むグループ毎に異なるタイミングで発光するように駆動され、
前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前のグループの発光に伴い生じた熱が次のグループの発光に及ぼす影響の小さい一方が点灯状態となり、影響の大きい他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記第1の距離にて対象物が検知された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲とは、前記基準距離において重畳し、
前記第1の距離は、前記基準距離よりも近いことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、
前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射するための第1のモードと、当該第1の距離よりも遠い距離の対象物を照射するための第2のモードとを切り替えて、当該発光部を駆動可能であり、当該第1のモードでは、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように当該発光部を駆動し、当該第2のモードでは、当該第1の光源および当該第2の光源の両方が点灯状態となるように当該発光部を駆動する駆動部と、を有する
ことを特徴とする発光装置。
【請求項10】
前記駆動部は、前記第1の距離への対象物の到達が予測される場合に、前記第1のモードにより前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から照射され対象物で反射した光を受光する受光部と、
前記受光部における受光の結果に基づいて前記対象物までの距離を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする測距装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記受光部における受光の結果または前記算出部における算出の結果に基づいて、前記第1の距離にて対象物が検知された場合または当該第1の距離への対象物の到達が予測された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項11に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光領域を2次元に配置してなる光源と、測距領域に存在する測距対象により反射された反射光を受光する受光部と、を備える測距装置において、光源の各発光点を同じ光量で同時発光させて予備発光を行い、予備発光によって領域光量計測部で計測された受光領域毎の受光量に基づき本発光の発光量を制御することが記載されている。
特許文献2には、複数の発光部による検出対象に対する光の照射領域を複数の照射領域に分割して照射する光源装置と、複数の照射領域の各々について複数の照度レベルを切り替える光源駆動部と、複数の照射領域の各々について複数の照度レベルを切り替えて検出した検出対象に関する複数の検出データを積算/合成する制御部と、を有する検出装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-160044号公報
【特許文献2】特開2021-071478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光部による光の出射から対象物で反射された光を受光部にて受光するまでの時間を計測する、いわゆるタイムオブフライト(TOF:Time Of Flight)法により、対象物までの距離を測定(「測距」と呼ぶ場合がある。)する測距装置が存在する。このような測距装置などでは、複数の光源を点灯させた場合に、各光源の照射範囲が並列または重畳してまとまった領域を照射可能であるように、発光部を設計する態様がある。かかる態様において、対象物との距離によっては、各光源の照射範囲のずれが大きくなり、測距に影響するおそれがある。
本発明は、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、当該発光部を駆動する駆動部と、を備えることを特徴とする発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の光源は、前記第1の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、前記第2の光源は、前記第2の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、前記駆動部は、前記第1の光源および前記第2の光源の各々において、互いに隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士が異なるタイミングで発光するように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の光源は、第1の照射区画を照射する第1の発光区画と、当該第1の照射区画に隣接する第3の照射区画を照射する第3の発光区画とを有し、前記第2の光源は、第2の照射区画を照射する第2の発光区画と、当該第2の照射区画に隣接する第4の照射区画を照射する第4の発光区画とを有し、前記基準距離において、前記第1の照射区画と前記第2の照射区画とが重畳され、かつ、前記第3の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳され、前記駆動部は、前記第1の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳される前記第1の距離において、一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項2に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかは、前記第1の光源および前記第2の光源の点灯の履歴に基づいて定められることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源のうち、総点灯時間の短い一方が点灯状態となり、総点灯時間の長い他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項4に記載の発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第1の光源および前記第2の光源の各々は、前記第1の照射範囲および第2の照射範囲に向けて光を出射する複数の発光区画を有し、少なくとも1つの発光区画を含むグループ毎に異なるタイミングで発光するように駆動され、前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前のグループの発光に伴い生じた熱が次のグループの発光に及ぼす影響の小さい一方が点灯状態となり、影響の大きい他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項4に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記駆動部は、前記第1の距離にて対象物が検知された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲とは、前記基準距離において重畳し、前記第1の距離は、前記基準距離よりも近いことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射するための第1のモードと、当該第1の距離よりも遠い距離の対象物を照射するための第2のモードとを切り替えて、当該発光部を駆動可能であり、当該第1のモードでは、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように当該発光部を駆動し、当該第2のモードでは、当該第1の光源および当該第2の光源の両方が点灯状態となるように当該発光部を駆動する駆動部と、を有することを特徴とする発光装置である。
請求項10に記載の発明は、前記駆動部は、前記第1の距離への対象物の到達が予測される場合に、前記第1のモードにより前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項9に記載の発光装置である。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか1項に記載の発光装置と、前記発光装置から照射され対象物で反射した光を受光する受光部と、前記受光部における受光の結果に基づいて前記対象物までの距離を算出する算出部と、を備えることを特徴とする測距装置である。
請求項12に記載の発明は、前記駆動部は、前記受光部における受光の結果または前記算出部における算出の結果に基づいて、前記第1の距離にて対象物が検知された場合または当該第1の距離への対象物の到達が予測された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、請求項11に記載の測距装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、距離に係わらずすべての光源を点灯する場合と比較して、隣接する照射区画への干渉を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、照射範囲同士の重畳により干渉が生じ易い条件でも、隣接する照射区画への干渉を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、各光源の点灯状況に応じた駆動制御が行われる。
請求項5の発明によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、各光源の総点灯時間の偏りが抑制される。
請求項6の発明によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、発光に伴って生じる熱による、発光効率への影響が抑制される。
請求項7の発明によれば、第1の距離に存在する対象物に対する、各光源の照射範囲がずれた状態での照射が抑制される。
請求項8の発明によれば、発光部からの距離が遠い側よりも照射される光量が多くなる発光部からの距離が近い側にて、重畳した部分と重畳していない部分とで照射される光量が不均一になることが抑制され、対象物に照射される光量が過剰となることが抑制される。
請求項9の発明によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響が抑制される。
請求項10の発明によれば、第1の距離に到達した対象物に対する、各光源の照射範囲がずれた状態での照射が抑制される。
請求項11の発明によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制することができる。
請求項12の発明によれば、個別のセンサを設けることなく対象物の検知を行い、制御に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態が適用される測距装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の発光部が有する光源と、光源から出射された光が照射される範囲である照射範囲とを示した図である。
図3】本実施形態の発光部が有する光源と、光源から出射された光が照射される照射面とを示した図である。
図4】(a)~(b)は、光源および光源の一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とした場合の照射面を示した図である。
図5】実施形態2の発光部が有する光源と、光源から出射された光が照射される照射面とを示した図である。
図6】(a)~(b)は、光源により光が照射される範囲である照射範囲を示した図である。
図7】実施形態2が適用される受光部の構成の一例を説明する図であって、受光部の受光面と上述した照射面とを示した図である。
図8】(a)~(b)は、隣接する区画に対して異なるタイミングで光が照射されるように光源を駆動した場合の、照射面の状態の一例を示した図である。
図9】(a)~(b)は、発光部からの+z方向の距離が基準距離よりも近い距離である照射面における光源の照射範囲を説明する図である。
図10】(a)~(b)は、照射面における、光源による照射範囲の重なりを説明する図である。
図11】第3のタイミングにおける発光駆動部による発光部の駆動制御の一例を説明する図である。
図12】(a)~(c)は、実施形態3の発光部が有する光源の構成を説明する図である。
図13】実施形態3の発光部が有する光源と、光源から出射された光が照射される照射面とを示した図である。
図14】実施形態4の発光部が有する光源と、光源から出射された光が照射される範囲である照射範囲とを示した図である。
図15】実施形態4の発光部が有する光源の構成を説明する図である。
図16】(a)~(b)は、照射面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明の技術的範囲は、以下に実施の形態として記載する範囲に限定されるものではない。複数の実施例を組み合わせたものや、これらの実施例に種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0009】
[実施形態1]
(測距装置1)
図1は、本実施形態が適用される測距装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。
測距装置1は、発光部4から光が出射されたタイミングから、対象物で反射した光が受光部5にて受光されるタイミングまでの時間に基づいて、対象物までの距離を測定する。つまり、測距装置1はToF法に基づいて測距を行う装置である。ToF法には、出射された光の位相と受光した光の位相との差から時間を測定する間接ToF(iToF:indirect ToF)法と、光の出射から受光までの時間を直接計測する直接ToF(dToF:direct ToF)法とがあり、どちらにも適用可能であるが、本実施形態では、測距装置1が間接ToF法に基づいて測距を行うものとして説明する。
【0010】
図1に示すように、測距装置1は、光学装置3と、制御部8とを備えている。
光学装置3は、予め定められた範囲に向けて光を照射する発光部4と、発光部4から光が照射された範囲に存在する対象物で反射した光を受光する受光部5と、発光部4を駆動する発光駆動部6と、受光部5を駆動する受光駆動部7とを備えている。発光部4が、発光装置の一例である。発光駆動部6が、駆動部の一例である。
【0011】
(制御部8)
制御部8は、光学装置3の発光部4及び受光部5の動作を制御する。
また、制御部8は、受光部5における受光の結果を取得し、この受光の結果に基づいて、ToF法により、測距装置1から対象物までの距離を測定する。
制御部8は、算出部の一例である。
【0012】
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83により構成されている。
CPU81は、プロセッサの一例であって、ROM82等に記憶された各種プログラムをRAM83にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。RAM83は、CPU81の作業用メモリ等として用いられるメモリである。ROM82は、CPU81が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
【0013】
ここで、CPU81によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供しうる。また、CPU81によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて提供してもよい。
【0014】
また、本実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
また、本実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0015】
(発光部4)
図2は、本実施形態の発光部4が有する光源4A、4Bと、光源4A、4Bから出射された光が照射される範囲である照射範囲100A、100Bとを示した図である。なお、本実施形態では、発光部4が2つの光源を有する例を示すが、発光部4が有する光源の数は3つ以上であってもよい。発光部4が3つ以上の光源を有する態様の一例として、後に実施形態3を示している。
図2では、紙面の表側を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の右方向を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。
【0016】
発光部4は、照射範囲100Aに光を照射する光源4Aと、照射範囲100Aとは異なる照射範囲100Bに光を照射する光源4Bとを有する。発光部4は、光源4Aによる照射範囲100Aおよび光源4Bによる照射範囲100Bを並列または重畳して照射する。この例では、光源4Aが第1の光源の一例であり、光源4Bが第2の光源の一例であり、照射範囲100Aが第1の照射範囲の一例であり、照射範囲100Bが第2の照射範囲の一例である。
本実施形態の発光部4では、光源4A、4Bは、y方向に並列するように配置されている。この例では、光源4Aは、光源4Bに対して、+y方向側に配置されている。
【0017】
ここで、照射範囲100Aとは、発光部4から+z方向におけるある距離において、光源4Aから出射された光が照射される範囲である。同様に、照射範囲100Bとは、発光部4から+z方向におけるある距離において、光源4Bから出射された光が照射される範囲である。
照射範囲100Aと照射範囲100Bとが並列するとは、発光部4から+z方向におけるある距離において、照射範囲100Aと照射範囲100Bとがz方向に交差する方向に並んでいることを意味する。また、照射範囲100Aと照射範囲100Bとが重畳するとは、発光部4から+z方向におけるある距離において、照射範囲100Aの少なくとも一部の領域と照射範囲100Bの少なくとも一部の領域とが、重なり合っていることを意味する。図2では、照射範囲100Aと照射範囲100Bとが重なり合った部分を、ハッチングにより示している。
なお、本実施形態において、発光部4からの+z方向における距離は、より正確には、発光部4における光源4Aの後述する発光面41、および光源4Bの後述する発光面42からの距離を意味する。
【0018】
また、図2には、光源4A、4Bが光を出射する方向(+z方向)におけるある距離において、+z方向に直交し、照射範囲100A、照射範囲100Bの光が照射される照射面210、220を示している。照射面210、220は、+z方向のある距離において、x方向およびy方向に広がっている。また、照射面210、220は、光源4A、4Bから+z方向に順に並んでいる。以下では、光源4A、4Bから照射面210までの+z方向の距離を距離L1と表記し、光源4A、4Bから照射面220までの+z方向の距離を距離L2と表記する。
なお、照射面210、220における照射範囲100Aと照射範囲100Bとの関係については、後段にて詳細に説明する。
【0019】
光源4A、4Bは、垂直共振器型面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が複数配列された発光面を有する。以下では、光源4Aが有する発光面を発光面41(後述する図3参照)と表記し、光源4Bが有する発光面を発光面42(後述する図3参照)と表記する。
光源4A、4Bから出射された光線は、光源4A、4Bが有する不図示の拡散部により、出射方向に垂直な面に広げられて照射される。拡散部としては、光の光路上に設けられ、散乱等により光を拡散する拡散板、入射する光の角度を変更して出射する回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)又は/及びレンズ等の光学部材を用いうる。
【0020】
光源4Aによる照射範囲100Aおよび光源4Bによる照射範囲100Bは、+z方向に向かうに従い、±x方向および±y方向に拡大される。
本実施形態では、図2に示すように、光源4A、4Bからの+z方向の距離が距離L2未満の領域において、照射範囲100Aが照射範囲100Bと比べて+y方向側に位置している。また、本実施形態では、光源4A、4Bからの距離が遠くなるに従い、照射範囲100Aと照射範囲100Bとを合わせた範囲のうち照射範囲100Aと照射範囲100Bとが重なり合った部分の比率が大きくなる。
【0021】
本実施形態の発光部4では、光源4A、4Bは、発光駆動部6(図1参照)により独立に駆動されて、発光動作を行う。付言すると、光源4A、4Bは、発光駆動部6により、光源4A、4Bに含まれるVCSELに電力が供給されることで発光する。
なお、光源4A、4Bに含まれるVCSELは、電力が供給されることによりVCSELに流れる電流値の大きさによって、光量が変化する。すなわち、光源4A、4Bは、供給される電力が大きくなり、VCSELに流れる電流値が大きくなるほど、VCSELから出射される光量が多くなる。なお、以下の説明では、光源4A、4Bを構成するVCSELの電流値を、単に光源4A、4Bの電流値と表記する場合がある。
【0022】
ここで、「独立に駆動」とは、光源4A、4B毎に駆動して発光した状態とすることを指す。発光駆動部6は、制御部8(図1参照)からの制御信号に応じて、それぞれの光源4A、4Bを駆動する。したがって、光源4Aと光源4Bとは、必ずしも同時に発光するものではなく、例えば、光源4Aは発光しているが光源4Bは発光していない、という状態をとりうる。本実施形態では、光源4A、4Bが発光した状態であることを、光源4A、4Bが点灯状態であるといい、光源4A、4Bが発光していない状態であることを、光源4A、4Bが消灯状態であるという場合がある。光源4A、4Bの点灯状態および消灯状態への切り替えについては、後段にて詳細に説明する。
【0023】
図3は、本実施形態の発光部4が有する光源4A、4Bと、光源4A、4Bから出射された光が照射される照射面210、220とを示した図である。図3では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。なお、図3では、発光部4と照射面210、220とを上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、発光部4と照射面210、220とは、対向するように配置される。図3では、紙面の表側方向(-z方向)に発光部4が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に、照射面210と照射面220とが順に位置している。つまり、図3は、光を出射している発光部4を、発光部4が光を出射している側とは反対側から見た様子である。
図3の照射面210、220では、光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとが重なり合った部分を、ハッチングにより示している。
【0024】
図3に示すように、発光部4は、光源4Aの発光面41と光源4Bの発光面42とが、y方向に並列している。この例では、光源4Aの発光面41は、光源4Bの発光面42に対して、+y方向側に並列している。
また、発光面41および発光面42をz方向に見た形状は、x方向およびy方向に延びる辺を有する矩形状となっている。付言すると、本実施形態では、発光面41および発光面42は、+z方向に見た形状、および面積が互いに等しくなっている。
【0025】
本実施形態の発光部4は、上述したように、光源4A、4Bから出射された光線を出射方向に垂直な面に広げて照射する。したがって、照射面210、220の面積は、+z方向に並ぶ照射面210、照射面220の順に大きくなっている。
また、照射面210、220における照射範囲100Aおよび照射範囲100Bの形状は、発光面41および発光面42の形状に対応して、ほぼ矩形状となっている。
【0026】
本実施形態の発光部4は、発光部4からの+z方向の距離が距離L2である照射面220において、光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとの重なりが大きくなるように、光を照射する。距離L2が基準距離の一例である。以下、基準距離L2と表記する場合がある。
この例では、発光部4は、照射面220において、光源4Aによる照射範囲100Aの全体と光源4Bによる照射範囲100Bとのほぼ全体とが重畳するように、光を照射する。言い換えると、光源4Aと光源4Bとの双方を点灯状態とした場合、照射面220は、そのほぼ全域が、光源4Aからの光と光源4Bからの光が重畳して照射される重なり領域225となる。
【0027】
照射面220は、照射範囲100Aの全体と照射範囲100Bの全体とが重畳することで、+z方向に見た形状が、光源4Aの発光面41および光源4Bの発光面42の形状に対応した矩形状に近くなっている。
以下の説明において、照射面220を+z方向に見た形状を、基準形状と表記する場合がある。
【0028】
また、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2よりも近い距離L1である照射面210では、照射面220と比べて光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとの重なりが小さくなる。距離L1が第1の距離の一例である。
付言すると、発光部4は、照射面210において、光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとがz方向に交差する方向にずれて並ぶように、光を照射する。これにより、照射面210は、照射範囲100Aと照射範囲100Bとが重なり合った部分の比率が50%を超えているものの、照射範囲100Aと照射範囲100Bとが重なり合っていない部分の比率も10%以上となっている。そして、照射面210での光量分布は不均一となっている。
【0029】
この例では、発光部4は、照射面210において、照射範囲100Aが照射範囲100Bに対して+y方向にずれて並ぶように、光を照射する。これにより、照射面210では、照射範囲100Aにおける-y方向側の一部の領域と、照射範囲100Bにおける+y方向側の一部の領域とが重なり合っている。言い換えると、照射面210は、光源4Aと光源4Bとの双方を点灯状態とした場合に、光源4Aからの光が照射され光源4Bからの光が照射されない照射領域211と、光源4Bからの光が照射され光源4Aからの光が照射されない照射領域212と、光源4Aからの光と光源4Bからの光とが重畳して照射される重なり領域215とを含む。照射面210では、照射領域211と、重なり領域215と、照射領域212とが-y方向に順に並ぶ。
【0030】
また、照射面210は、照射範囲100Aと照射範囲100Bとがy方向にずれて並ぶことで、+z方向に見た形状が、上述した基準形状と比べて、x方向の長さに対するy方向の長さに比率が大きい矩形状となっている。
【0031】
また、図示は省略するが、発光部4は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2よりも遠い照射面において、光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとの重なり合った部分の割合が、基準距離L2における照射面220よりもわずかに増すように、光を照射する。この例では、発光部4は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2よりも遠い照射面において、照射範囲100Aが照射範囲100Bに対して-y方向にずれて並ぶように、光を照射する。
【0032】
(受光部5)
受光部5は、x方向及びy方向に広がり、受光素子が複数配列された受光面を備える。そして、受光部5は、受光面のそれぞれの受光素子が、発光部4の光源4A、4Bから出射され対象物で反射した光を受光する。そして、受光部5は、受光素子が受光した光に応じた電気信号を、制御部8に出力する。
受光素子としては、フォトダイオードやフォトトランジスタを例示することができる。
【0033】
(発光部4の駆動制御)
続いて、制御部8による制御に基づいて発光駆動部6により行われる発光部4の駆動について説明する。
上述したように、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2とは異なる場合、光源4Aによる照射範囲100Aと光源4Bによる照射範囲100Bとがずれることで、対象物の測距に影響が生じる場合がある。
例えば、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2よりも近い距離L1である照射面210は、光源4Aからの光が照射され光源4Bからの光が照射されない照射領域211と、光源4Bからの光が照射され光源4Aからの光が照射されない照射領域212と、光源4Aからの光と光源4Bからの光が重畳して照射される重なり領域215とを含む。そして、光源4Aと光源4Bとの双方を点灯状態とした場合、照射面210では、照射領域211、212と、重なり領域215とで、発光部4から照射される光量が不均一となる。より具体的には、照射面210では、重なり領域215には、光源4Aおよび光源4Bの双方から光が照射されるため、重なり領域215に照射される光量が、照射領域211、212に照射される光量と比べて多くなる。
【0034】
そして、光源4Aと光源4Bとの双方を点灯状態とした場合に、照射面210の重なり領域215に対象物が存在すると、対象物に照射される光量が過剰となる。この場合、例えば、重なり領域215に存在する対象物で反射した光を受光する受光部5の受光素子において信号の飽和が発生し、対象物の測距を正確に行うことができない場合がある。
【0035】
これに対し、本実施形態の発光駆動部6は、発光部4により基準距離L2とは異なる距離L1の対象物に光を照射する場合に、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動する。
図4(a)~(b)は、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とした場合の照射面210を示した図である。図4(a)は、光源4Aを点灯状態、光源4Bを消灯状態とした場合の照射面210を示しており、図4(b)は、光源4Aを消灯状態、光源4Bを点灯状態とした場合の照射面210を示している。
【0036】
図4(a)~(b)に示すように、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態とすることで、照射面210に、光源4Aからの光と光源4Bからの光が重畳して照射される重なり領域215(図3参照)が形成されなくなる。これにより、照射面210において、照射される光量が不均一になることが抑制され、対象物に照射される光量が過剰となることが抑制される。
【0037】
また、図4(a)に示すように、光源4Aを点灯状態とし光源4Bを消灯状態とした場合、照射面210を+z方向に見た形状は、光源4Aの発光面41(図3参照)の形状に対応した矩形状となっている。すなわち、光源4Aを点灯状態とし光源4Bを消灯状態とした場合、照射面210を+z方向に見た形状は、基準形状とほぼ等しい。
同様に、図4(b)に示すように、光源4Aを消灯状態とし光源4Bを点灯状態とした場合、照射面210を+z方向に見た形状は、光源4Bの発光面42(図3参照)の形状に対応した矩形状となっている。すなわち、光源4Aを消灯状態とし光源4Bを点灯状態とした場合、照射面210を+z方向に見た形状は、基準形状とほぼ等しい。
【0038】
ここで、発光駆動部6は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2である対象物に光を照射する場合には、光源4Aおよび光源4Bの双方が点灯状態となるように、発光部4を駆動してよい。
上述したように、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2である照射面220では、光源4Aと光源4Bとの双方を点灯状態とした場合、光源4Aによる照射範囲100Aの全体と光源4Bによる照射範囲100Bの全体とが重畳する。すなわち、照射面220では、全域が、光源4Aからの光と光源4Bからの光が照射される重なり領域225となっており、発光部4から照射される光量が均一となっている。
この場合、照射面210のように、照射領域211、212と重なり領域215とで発光部4から照射される光量が不均一となることによる影響は生じにくい。
ただし、光量が不均一とならなくても不具合が生じる場合、例えば照射面に鏡や白板等の反射率が高い対象物が存在し受光部5に入射する光が過剰となって不具合が生じる場合等には、基準距離L2に存在する対象物に光を照射する場合でも、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動してもよい。
【0039】
本実施形態の発光駆動部6は、基準距離L2とは異なる距離にて対象物が検知された場合に、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように発光部4を駆動することができる。
対象物の検知は、例えば、受光部5による受光結果に基づいて制御部8が行う。上述したように、基準距離L2とは異なる距離(例えば距離L1)では、照射面210に照射される光量が不均一になることで、対象物に照射される光量が過剰となる場合がある。この場合、対象物で反射した光を受光する受光部5における受光量が多くなる。制御部8は、受光部5における受光量が予め定められた閾値を超えた場合に、基準距離L2とは異なる距離への対象物の進入を検知する。制御部8による対象物の検知に用いる受光量の閾値としては、例えば、受光部5の受光素子において信号の飽和が発生する受光量とすることができる。
また、制御部8は、光学装置3とは別に設けられた検知センサにより、基準距離L2とは異なる距離(例えば距離L1)への対象物の進入を検知してもよい。
【0040】
また、本実施形態の発光駆動部6は、照射面220に存在する対象物に光を照射するために光源4Aおよび光源4Bの双方を点灯状態とする場合と、照射面210に存在する対象物に光を照射するために光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態とし他方を消灯状態とする場合とで、点灯状態にする光源4A、4Bに供給する電力の大きさを変化させないことが好ましい。言い換えると、発光駆動部6は、光源4A、4Bの電流値を固定したまま、光源4A、4Bを点灯状態と消灯状態とに切り替えることが好ましい。
【0041】
ここで、照射面210の重なり領域215において対象物に照射される光量が過剰となることを解消する他の方法としては、例えば、光源4A、4Bの双方を点灯状態としたまま、光源4A、4Bの電流値を低下させる方法が考えられる。この場合、電流値を低下させることで、光源4A、4Bから出射される光量が少なくなり、重なり領域215において対象物に照射される光量が少なくなる。
しかしながら、一般に、光源4A、4Bの電流値を変化させると、光源4A、4Bから光が出射される際の立ち上がり時間や立ち下がり時間等の条件が変化する。このため、光源4A、4Bから出射された光を用いた測距を正確に行うためには、光源4A、4Bを駆動するための制御信号を補正する補正パラメータを、光源4A、4Bの電流値ごとに設定する必要がある。この場合、制御部8からの制御信号に基づいて発光駆動部6が行う光源4A、4Bの駆動制御が複雑になりやすい。
【0042】
これに対し、本実施形態の発光駆動部6は、光源4A、4Bを構成するVCSELの電流値を固定したまま、光源4A、4Bを点灯状態と消灯状態とに切り替えることで、発光駆動部6による光源4A、4Bの駆動が複雑になることが抑制される。
【0043】
本実施形態では、制御部8は、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする場合に、光源4Aおよび光源4Bの何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかを、光源4Aおよび光源4Bの点灯の履歴に基づいて定めることが好ましい。これにより、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする場合に、点灯状態および消灯状態とする光源4A、4Bを固定する場合と比べて、光源4A、4Bの点灯の状況に応じた発光部4の駆動制御を行うことができる。
ここで、点灯の履歴とは、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする制御を行うより前の、光源4Aおよび光源4Bを点灯状態または消灯状態に切り替えた状況を意味する。
【0044】
制御部8は、光源4Aおよび光源4Bの点灯の履歴の一例として、光源4Aおよび光源4Bの総点灯時間に基づいて、光源4Aおよび光源4Bの何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかを定めることができる。より具体的には、制御部8は、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする場合に、光源4Aおよび光源4Bのうち、総点灯時間の短い一方を点灯状態とし、総点灯時間の長い他方が消灯状態となるように、発光駆動部6により発光部4を駆動する。これにより、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする場合に、点灯状態および消灯状態とする光源4A、4Bを固定する場合と比べて、光源4A、4Bの総点灯時間の偏りが抑制される。
【0045】
また、制御部8は、光源4Aおよび光源4Bの点灯の履歴の一例として、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする直前の、光源4Aおよび光源4Bの点灯の状況に基づいて、光源4Aおよび光源4Bの何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかを定めることができる。例えば、制御部8は、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする場合に、光源4Aおよび光源4Bのうち、直前の点灯時間が短い一方を点灯状態とし、直前の点灯時間が長い他方が消灯状態となるように、発光駆動部6により発光部4を駆動する。
ここで、光源4A、4Bでは、点灯状態とした場合、VCSELの発光に伴って熱が生じる場合がある。そして、光源4A、4Bは、点灯状態の継続時間が長いほど、VCSELの発光に伴って生じた熱によって温度が上昇し、発光効率に影響が生じる場合がある。これに対し、光源4Aおよび光源4Bの一方を点灯状態かつ他方を消灯状態とする直前の、光源4Aおよび光源4Bの点灯の状況に基づいて、光源4Aおよび光源4Bの何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかを定めることで、発熱による発光効率への影響が抑制される。
【0046】
なお、本実施形態では、発光部4が2個の光源4A、光源4Bを有する場合を例に挙げて説明したが、発光部4が有する光源の数は、2個に限定されず、発光部4は、基準距離L2において照射範囲が重畳するように設けられた3個以上の光源を有していてもよい。
また、発光部4が3個以上の光源を有する場合、発光駆動部6は、対象物が存在する発光部4からの+z方向の距離に応じて、点灯状態とする光源の数および消灯状態とする光源の数を異ならせてもよい。例えば、発光駆動部6は、対象物が存在する発光部4からの+z方向の距離が近いほど、点灯状態とする光源の数を少なくし、消灯状態とする光源の数を多くしてもよい。
【0047】
(発光部4の駆動制御の他の態様)
続いて、制御部8による制御に基づいて発光駆動部6により行われる発光部4の駆動の他の態様について説明する。
上記では、発光部4により基準距離L2とは異なる距離(例えば距離L1)の対象物を照射する場合に、発光駆動部6が、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動することを説明した。
発光駆動部6は、対象物の発光部4からの実際の距離によらずに、以下の第1のモードと第2のモードとを切り替えて発光部4を駆動してもよい。
【0048】
第1のモードは、基準距離L2とは異なる第1の距離の対象物を照射するモードであって、光源4Aおよび光源4Bの一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように発光部4を駆動するモードである。第1の距離としては、例えば基準距離L2よりも近い距離とすることができ、上述した距離L1を例示することができる。
また、第2のモードは、第1の距離よりも遠い距離の対象物を照射するためのモードであって、光源4Aおよび光源4Bの両方が点灯状態となるように発光部4を駆動するモードである。
【0049】
発光駆動部6は、発光部4の第1のモードと第2のモードとの切り替えを、例えば、受光部5による受光結果に基づいて制御部8が検知した、発光部4から対象物までの距離に基づいて行うことができる。
付言すると、発光駆動部6は、発光部4から対象物の検知結果により、第1の距離(例えば距離L1)への対象物の到達が予測される場合に、第1のモードにより発光部4を駆動することができる。この場合、第1の距離に到達した対象物に対する、発光部4の光源4Aの照射範囲100Aと光源4Bの照射範囲100Bとがずれた状態での照射を抑制することができる。
第1の距離への対象物の到達が予測される場合としては、受光部5による受光結果に基づいて制御部8が検知した対象物の距離が、時間経過に伴って第1の距離よりも遠い距離から第1の距離へ近づいている場合が挙げられる。
【0050】
発光駆動部6による発光部4の第1のモードと第2のモードとの切り替えは、測距装置1を使用するユーザによる操作によって行われてもよい。
また、発光駆動部6により発光部4を第1のモードと第2のモードとに切り替える態様は、後述する実施形態2および実施形態3に適用してもよい。
【0051】
[実施形態2]
続いて、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2の測距装置1は、光学装置3が有する発光部4および受光部5の構成が、実施形態1とは異なっている。実施形態2において、実施形態1と同様の構成については同じ符号を用い、ここでは詳細な説明は省略する。
【0052】
(発光部4)
図5は、実施形態2の発光部4が有する光源4C、4Dと、光源4C、4Dから出射された光が照射される照射面230とを示した図である。図5では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。なお、図5では、発光部4と照射面230とを上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、発光部4と照射面230とは、対向するように配置される。図5では、紙面の表側方向(-z方向)に発光部4が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に照射面230が位置している。つまり、図5は、光を出射している発光部4を、発光部4が光を出射している側とは反対側から見た様子である。
また、ここでは、光源4C、4Dから照射面230までの+z方向の距離は、上述した基準距離L2(図2参照)であるものとする。
【0053】
本実施形態の発光部4は、照射範囲100C(後述する図6参照)に光を照射する光源4Cと、照射範囲100Cとは異なる照射範囲100D(後述する図6参照)に光を照射する光源4Dとを有する。発光部4は、光源4Cによる照射範囲100Cおよび光源4Dによる照射範囲100Dを並列または重畳して光を照射する。この例では、光源4Cが第1の光源の一例であり、光源4Dが第2の光源の一例であり、照射範囲100Cが第1の照射範囲の一例であり、照射範囲100Dが第2の照射範囲の一例である。
本実施形態の発光部4では、光源4Cが、光源4Dに対して、+y方向側に配置されている。
【0054】
本実施形態の光源4C、4Dは、それぞれ、VCSELが複数配列された発光面43、44を有する。この例では、光源4Cの発光面43は、光源4Dの発光面44に対して、+y方向側に並列している。
光源4Cの発光面43、光源4Dの発光面44は、それぞれ、少なくとも1つのVCSELを含む複数の発光区画に分割されている。光源4Cの発光面43は、一例として、x方向に4個、y方向に3個の計12個の発光区画C1~C12に分割されている。この例では、発光区画C1~C12は、発光面43の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。同様に、光源4Dの発光面44は、一例として、x方向に4個、y方向に3個の計12個の発光区画D1~D12に分割されている。この例では、発光区画D1~D12は、発光面44の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。
【0055】
光源4Cの各発光区画C1~C12、光源4Dの各発光区画D1~D12は、発光駆動部6により、独立に駆動されて発光する。発光駆動部6は、制御部8からの制御信号に応じて、光源4C、4Dの各発光区画を駆動する。したがって、光源4Cの各発光区画C1~C12、光源4Dの各発光区画D1~D12は、必ずしも全て同時に発光するものではなく、その一部が発光し、残りが発光していない状態を取り得る。本実施形態では、光源4Cの各発光区画C1~C12、光源4Dの各発光区画D1~D12が発光した状態であることを、その発光区画が点灯状態であるという。また、光源4Cの各発光区画C1~C12、光源4Dの各発光区画D1~D12が発光していない状態であることを、その発光区画が消灯状態であるという。
【0056】
図6(a)~(b)は、光源4C、4Dにより光が照射される範囲である照射範囲100C、100Dを示した図である。図6(a)は、光源4Cによる照射範囲100Cを示しており、図6(b)は、光源4Dによる照射範囲100Dを示している。図6(a)~(b)は、発光部4から+z方向におけるある距離の照射範囲100C、照射範囲100Dを、+z方向に見た図である。
照射範囲100Cは、図6(a)に示すように、光源4Cの発光区画C1~C12から出射された光が照射される照射区画P1~P12を含む。照射区画P1~P12は、照射範囲100Cの左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。そして、照射範囲100Cは、ある照射区画Pi(i=1~12)に対し、同じ番号iが付与された発光区画Ciから出射された光が照射される。
照射範囲100Cの各照射区画P1~P12の形状は、発光面43の各発光区画C1~C12の形状に対応して、矩形状となっている。また、照射範囲100C全体の形状は、発光面43の形状に対応して、矩形状となっている。
【0057】
照射範囲100Dは、図6(b)に示すように、光源4Dの発光区画D1~D12から出射された光が照射される照射区画Q1~Q12を含む。照射区画Q1~Q12は、照射範囲100Dの左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。そして、照射範囲100Dは、ある照射区画Qi(i=1~12)に対し、同じ番号iが付与された発光区画Diから出射された光が照射される。
照射範囲100Dの各照射区画Q1~Q12の形状は、発光面44の各発光区画D1~D12の形状に対応して、矩形状となっている。また、照射範囲100D全体の形状は、発光面44の形状に対応して、矩形状となっている。
【0058】
本実施形態の発光部4は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2である照射面230において、光源4Cによる照射範囲100Cと光源4Dによる照射範囲100Dとの重なりが大きくなるように、光を照射する。
この例では、図5に示すように、発光部4は、照射面230において、光源4Cによる照射範囲100Cの全体と光源4Dによる照射範囲100Dの全体とが重畳するように、光を照射する。この場合、照射面230では、光源4Cによる照射範囲100Cの照射区画P1~P12(図6(a)参照)と、光源4Dによる照射範囲100Dの照射区画Q1~Q12(図6(b)参照)とが、それぞれ重畳する。付言すると、照射面230では、照射範囲100Cの照射区画Piと、同じ番号iが付与された照射範囲100Dの照射区画Qiとが、重畳する。
【0059】
また、本実施形態の照射面230では、照射範囲100Cの照射区画Piと、番号iとは異なる番号jが付与された照射範囲100Dの照射区画Qjとは、重畳しない。
例えば、照射面230では、照射範囲100Cの照射区画P1と照射範囲100Dの照射区画Q1が重畳する。その一方で、照射面230では、照射範囲100Cの照射区画P1と、照射範囲100Dにおいて照射区画Q1に隣接する照射区画Q2、照射区画Q5および照射区画Q6とは、重畳しない。
【0060】
これにより、本実施形態の発光部4では、発光駆動部6により光源4Cと光源4Dとを同時に点灯させる際に、光源4Cの各発光区画C1~C12および光源4Dの各発光区画D1~D12を独立に駆動することで、照射面230を複数の区画に分割して光を照射することが可能となっている。
なお、以下の説明では、照射面230において、光源4C、4Dによって分割して光を照射することが可能な複数の区画を、照射面230の区画R1~R12と表記する。照射面230では、光源4Cの発光区画Ciと光源4Dの発光区画Diとを点灯状態とした場合に、同じ番号iの区画Riに対して、発光区画Ciからの光と発光区画Diからの光とが重畳して照射される。すなわち、照射面230の区画Riでは、光源4Cによる照射範囲100Cの照射区画Piと光源4Dによる照射範囲100Dの照射区画Qiとが重畳する。
【0061】
なお、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2とは異なる照射面(後述する照射面240)における、光源4Cによる照射範囲100Cの照射区画P1~P12と光源4Dによる照射範囲100Dの照射区画Q1~Q12との関係については、後段にて説明する。
【0062】
(受光部5)
図7は、実施形態2が適用される受光部5の構成の一例を説明する図であって、受光部5の受光面50と上述した照射面230とを示した図である。図7では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。なお、図7では、受光部5と照射面230とを上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、受光部5と照射面230とは、対向するように配置される。図7では、紙面の表側方向(-z方向)に受光部5が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に照射面230が位置している。
【0063】
受光部5は、x方向およびy方向に拡がり、受光素子が複数配列された受光面50を備える。
受光面50は、照射面230の区画R1~R12に対応して、複数の受光区画A1~A12に分割される。具体的には、受光面50は、x方向に4個、y方向に3個の計12個の受光区画A1~A12に分割されている。この例では、受光区画A1~A12は、受光面50の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。
それぞれの受光区画A1~A12は、光源4Cの発光区画C1~C12、光源4Dの発光区画D1~D12から出射され、同じ番号の区画Riに存在する対象物で反射した光を受光する。各受光区画A1~A12は、受光駆動部7(図1参照)により独立に駆動されて受光動作を行う。
【0064】
(発光部4の駆動制御)
続いて、制御部8による制御に基づいて発光駆動部6により行われる発光部4の駆動について説明する。
本実施形態の発光駆動部6は、例えば、照射面230において、区画R1~R12のうち互いに隣接する区画R1~R12に対して異なるタイミングで光が照射されるように、光源4Cおよび光源4Dを駆動する。言い換えると、発光駆動部6は、照射面230において、区画R1~R12のうち互いに隣接する区画R1~R12に向けて光を出射する光源4Cの発光区画C1~C12および光源4Dの発光区画D1~D12同士が異なるタイミングで発光するように、光源4Cおよび光源4Dを駆動する。
【0065】
図8(a)~(b)は、隣接する区画R1~R12に対して異なるタイミングで光が照射されるように光源4Cおよび光源4Dを駆動した場合の、照射面230の状態の一例を示した図である。図8(a)~(b)では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。また、図8(a)~(b)では、照射面230の区画R1~R12のうち、光源4C、4Dによって光が照射されている区画R1~R12をハッチングにより示している。
【0066】
発光駆動部6は、例えば、照射面230において千鳥状に並ぶ区画R1、R3、R6、R8、R9、R11からなる組と、区画R2、R4、R5、R7、R10、R12からなる組とに対して異なるタイミングで光が照射されるように、光源4Cおよび4Dを駆動する。
【0067】
具体的には、発光駆動部6は、予め定められた第1のタイミングで、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11を点灯状態とし、光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11を点灯状態とするとともに、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12を消灯状態とし、光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12を消灯状態とする。
これにより、第1のタイミングでは、図8(a)に示すように、照射面230の区画R1、R3、R6、R8、R9、R11のそれぞれに対して、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11および光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11から出射された光が照射される。
【0068】
照射面230のある区画Riでは、上述したように、照射範囲100Cの照射区画Piと、同じ番号iが付与された照射範囲100Dの照射区画Qiとが重畳する。その一方で、区画Giでは、照射範囲100Cの照射区画Piと、番号iとは異なる番号jが付与された照射範囲100Dの照射区画Qjとは重畳せず、照射範囲100Dの照射区画Qiと、番号iとは異なる番号kが付与された照射範囲100Cの照射区画Pkとは重畳しない。
したがって、第1のタイミングでは、照射面230の区画R2、R4、R5、R7、R10、R12に対しては、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11および光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11から出射された光は照射されない。
【0069】
また、発光駆動部6は、第1のタイミングとは異なる第2のタイミングで、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12を点灯状態とし、光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12を点灯状態とするとともに、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11を消灯状態とし、光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11を消灯状態とする。
これにより、第2のタイミングでは、図8(b)に示すように、照射面230の区画R2、R4、R5、R7、R10、R12のそれぞれに対して、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12および光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12から出射された光が照射される。
【0070】
また、第2のタイミングでは、照射面230の区画R1、R3、R6、R8、R9、R11に対しては、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12および光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12から出射された光は照射されない。
なお、第2のタイミングは、例えば、第1のタイミングに引き続くタイミングとすることができる。
【0071】
このように、本実施形態の発光部4によれば、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2である照射面230において、区画R1、R3、R6、R8、R9、R11からなる組と、これに隣接する区画R2、R4、R5、R7、R10、R12からなる組とに対して異なるタイミングで光を照射することができる。
そして、受光部5は、受光区画A1、A3、A6、A8、A9、A11からなる組と、受光区画A2、A4、A5、A7、A10、A12からなる組とで異なるタイミングで、照射面230で反射した光を取得することで、照射面230の区画R1~R12毎に受光結果を取得することができる。これにより、本実施形態の測距装置1では、光源4Cの発光区画C1~C12、光源4Dの発光区画D1~D12を同時に点灯状態として照射面230の区画R1~R12に同時に光を照射する場合と比べて、照射面230に存在する対象物の測距をより精度よく行うことができる。
【0072】
ここで、実施形態2では、実施形態1と同様に、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2とは異なる場合、光源4Cによる照射範囲100Cと光源4Dによる照射範囲100Dとがずれることで、対象物の測距に影響が生じる場合がある。
図9(a)~(b)は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2よりも近い距離L1(図2参照)である照射面240における光源4Cの照射範囲100Cおよび光源4Dの照射範囲100Dを説明する図である。図9(a)~(b)では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。また、図9(a)~(b)では、光源4Cの照射範囲100Cを実線で示し、光源4Dの照射範囲100Dを破線で示している。
【0073】
図9(a)は、照射面240における、照射範囲100Cの照射区画P1、P3、P6、P8、P9、P11と、照射範囲100Dの照射区画Q1、Q3、Q6、Q8、Q9、Q11との関係を示している。付言すると、図9(a)では、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11および光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11を点灯状態とした場合に、照射面240において光が照射される部分をハッチングにより示している。
図9(b)は、照射面240における、照射範囲100Cの照射区画P2、P4、P5、P7、P10、P12と、照射範囲100Dの照射区画Q2、Q4、Q5、Q7、Q10、Q12との関係を示している。付言すると、図9(b)では、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12および光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12を点灯状態とした場合に、照射面240において光が照射される部分をハッチングにより示している。
【0074】
図9(a)~(b)に示すように、本実施形態の発光部4は、照射面240において、光源4Cの照射範囲100Cが、光源4Dの照射範囲100Dに対して+y方向にずれて並ぶように、光を照射する。
この場合、照射面240では、照射範囲100Cの照射区画Piと、同じ番号iが付与された照射範囲100Dの照射区画Qiとが、+y方向にずれて並ぶ。
【0075】
例えば、図9(a)に示すように、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11と、同じ番号が付与された光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11とを同時に点灯状態とすると、照射面240では、照射区画P1、P3、P6、P8、P9、P11と、照射区画Q1、Q3、Q6、Q8、Q9、Q11とがy方向にずれて並ぶ。この場合、照射面240では、照射区画P1、P3、P6、P8、P9、P11と照射区画Q1、Q3、Q6、Q8、Q9、Q11とが、y方向の一部の領域で重畳し、y方向の一部の領域で重畳しない。
【0076】
また、図9(b)に示すように、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12と、同じ番号が付与された光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12とを同時に点灯状態とすると、照射面240では、照射区画P2、P4、P5、P7、P10、P12と、照射区画Q2、Q4、Q5、Q7、Q10、Q12とがy方向にずれて並ぶ。この場合、照射面240では、照射区画P2、P4、P5、P7、P10、P12と、照射区画Q2、Q4、Q5、Q7、Q10、Q12とが、y方向の一部の領域で重畳し、y方向の一部の領域で重畳しない。
【0077】
図10(a)~(b)は、照射面240における、光源4Cによる照射範囲100Cと光源4Dによる照射範囲100Dとの重なりを説明する図である。図10(a)~(b)では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。また、図10(a)~(b)では、光源4Cの照射範囲100Cを実線で示し、光源4Dの照射範囲100Dを破線で示している。
また、図10には、照射面240における照射範囲100Cおよび照射範囲100Dのうち、照射範囲100Cの照射区画P1、P5と、照射範囲100Dの照射区画Q1、Q5とを示している。
【0078】
図10(a)では、光源4Cの発光区画C1および光源4Dの発光区画D1を点灯状態とし、光源4Cの発光区画C5および光源4Dの発光区画D5を消灯状態としている。
また、図10(b)では、光源4Cの発光区画C5および光源4Dの発光区画D5を点灯状態とし、光源4Cの発光区画C1および光源4Dの発光区画D1を消灯状態としている。
そして、図10(a)~(b)では、点灯状態の光源4Cの発光区画C1、C5により光が照射される照射区画P1、P5、および点灯状態の光源4Dの発光区画D1、D5により光が照射される照射区画Q1、Q5をハッチングにより示している。
【0079】
図10(a)~(b)に示すように、本実施形態の発光部4は、照射面240において、照射区画P1が照射区画Q1に対して+y方向にずれて並ぶように光を照射する。これにより、照射面240では、照射区画P1における-y方向側の一部の領域と、照射区画Q1における+y方向側の一部の領域とが重畳している。
同様に、発光部4は、照射面240において、照射区画P5が、照射区画Q5に対して+y方向にずれて並ぶように光を照射する。これにより、照射面240では、照射区画P5における-y方向側の一部の領域と、照射区画Q5における+y方向側の一部の領域とが重畳している。
【0080】
また、照射面240では、照射区画Q1が照射区画P1に対して-y方向にずれて並ぶことで、照射区画Q1における-y方向側の一部の領域と、照射区画P1に対して-y方向側に隣接する照射区画P5の+y方向側の一部の領域とが重畳している。
さらに、照射面240では、照射区画P5が照射区画Q5に対して+y方向にずれて並ぶことで、照射区画P5における+y方向側に一部の領域と、照射区画Q5に対して+y方向側に隣接する照射区画Q1の-y方向側の一部の領域とが重畳している。
【0081】
ここで、実施形態2の発光部4において、予め定められた第3のタイミングで、光源4Cの発光区画C1と光源4Dの発光区画D1とを同時に点灯状態とし、光源4Cの発光区画C5と光源4Dの発光区画D5とを消灯状態とする場合を考える。この場合、図10(a)に示すように、照射面240では、照射区画Q1と照射区画P1とが重畳していることで、光源4Cの発光区画C1、C5によっては光が照射されない照射区画P5に対して、光源4Dの発光区画D1からの光が照射されてしまうことになる。
なお、この例において、光源4Cの発光区画C5が、第1の照射区画である照射区画P5を照射する第1の発光区画の一例であり、光源4Cの発光区画C1が、照射区画P5に隣接する第3の照射区画である照射区画P1を照射する第3の発光区画の一例である。
また、光源4Dの発光区画D5が、第2の照射区画である照射区画Q5を照射する第2の発光区画の一例であり、光源4Dの発光区画D1が、照射区画Q5に隣接する第4の照射区画である照射区画Q1を照射する第4の発光区画の一例である。
【0082】
また、実施形態2の発光部4において、第3のタイミングとは異なる第4のタイミングで、光源4Cの発光区画C5と光源4Dの発光区画D5とを同時に点灯状態とし、光源4Cの発光区画C1と光源4Dの発光区画D1とを消灯状態とする場合を考える。この場合、図10(b)に示すように、照射面240では、光源4Dの発光区画D1、D5によっては光が照射されない照射区画Q1に対して、光源4Cの発光区画C5からの光が照射されてしまうことになる。
【0083】
このように、実施形態2の発光部4では、照射区画Piを照射する光源4Cの発光区画Ciと、同じ番号の照射区画Qiを照射する光源4Dの発光区画Diとを同時に点灯状態とすると、照射区画Piに-y方向に隣接する照射区画Pjを照射する光源4Cの発光区画Cjを消灯状態とした場合であっても、照射区画Pjに光が照射されてしまう。
この場合、照射面240では、上述した基準距離L2の照射面230とは異なり、照射区画Pi、Qiと、これに隣接する照射区画Pj、Qjとに対して異なるタイミングで光を照射することが困難になる。
【0084】
したがって、本実施形態の発光駆動部6は、基準距離L2とは異なる距離L1において、予め定められた第3のタイミングで、照射区画Piを照射する光源4Cの発光区画Ciと、同じ番号の照射区画Qiを照射する光源4Dの発光区画Diとの一方が点灯状態、かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動する。なお、第3のタイミングでは、発光駆動部6は、照射区画Piに隣接する照射区画Pjを照射する光源4Cの発光区画Cjと、照射区画Qjに隣接する照射区画Qjを照射する光源4Dの発光区画Djとは、消灯状態となるように、発光部4を駆動する。
【0085】
また、第3のタイミングとは異なる第4のタイミングで、照射区画Piに隣接する照射区画Pjを照射する光源4Cの発光区画Cjと、照射区画Qiに隣接する照射区画Qjを照射する光源4Dの発光区画Djとの一方が点灯状態、かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動する。なお、第4のタイミングでは、発光駆動部6は、照射区画Piを照射する光源4Cの発光区画Ciと、照射区画Qiを照射する光源4Dの発光区画Diとは、消灯状態となるように、発光部4を駆動する。
【0086】
図11は、上述した第3のタイミングにおける発光駆動部6による発光部4の駆動制御の一例を説明する図である。図11では、照射面240において発光部4により光が照射される部分をハッチングにより示している。
図11では、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11を点灯状態、かつ光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11を消灯状態とするとともに、光源4Cの発光区画C2、C4、C5、C7、C10、C12および光源4Dの発光区画D2、D4、D5、D7、D10、D12を消灯状態としている。
【0087】
図11に示すように、発光駆動部6が、基準距離L2とは異なる距離L1において、光源4Cの発光区画Ciと、同じ番号の光源4Dの発光区画Diとの一方が点灯状態、かつ他方が消灯状態となるように、発光部4を駆動することで、照射区画Pi、Qiと、これに隣接する照射区画Pj、Qjとに対して異なるタイミングで光を照射することが可能となる。
これにより、発光駆動部6が、基準距離L2とは異なる距離L1において、光源4Cの発光区画Ciと、同じ番号の光源4Dの発光区画Diとを同時に点灯状態とする場合と比べて、照射面240に存在する対象物の測距をより精度よく行うことができる。
【0088】
ここで、本実施形態では、実施形態1と同様に、光源4Cの発光区画Ciと、光源4Dの発光区画Diとの何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかを、光源4Cおよび光源4Dの点灯の履歴に基づいて定めることができる。
例えば、上述した例では、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11の総点灯時間の総和と、光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11の総点灯時間の総和とを比較し、総点灯時間の総和が短い一方を点灯状態とし、総点灯時間の長い他方が消灯状態となるように、発光駆動部6により発光部4を駆動すればよい。これにより、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11と光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11との一方を点灯状態、且つ他方を消灯状態とする場合に、点灯状態および消灯状態とする発光区画を固定する場合と比べて、光源4C、4Dの総点灯時間の偏りが抑制される。
なお、総点灯時間は、各光源の点灯の履歴において各光源の発光区画が点灯していた時間の総和そのものを厳密に比較しなくてもよい。例えば、各光源の発光区画が点灯していた時間のうち、光源の寿命に対して影響の少ない出力で点灯しているような時間を省いて総点灯時間を比較してもよい。また、各光源の発光区画が同じような時間間隔でパルス発光をしている場合には、光源の点灯の履歴として、各光源の発光区画の総点灯回数を比較してもよい。
【0089】
[実施形態3]
続いて、本発明の実施形態3について説明する。実施形態3の測距装置1は、光学装置3が有する発光部4および受光部5の構成が、実施形態1、2とは異なっている。実施形態3において、実施形態1、2と同様の構成については同じ符号を用い、ここでは詳細な説明は省略する。
【0090】
(発光部4)
図12(a)~(c)は、実施形態3の発光部4が有する光源4E、4F、4Gの構成を説明する図である。図12(a)~(c)では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。図12(a)~(c)は、それぞれ、光を出射している発光部4の光源4E、4F、4Gを、発光部4が光を出射している側とは反対側から見た様子である。
【0091】
図13は、実施形態3の発光部4が有する光源4E、4F、4Gと、光源4E、4F、4Gから出射された光が照射される照射面250とを示した図である。図13では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。なお、図13では、発光部4と照射面250とを上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、発光部4と照射面250とは、対向するように配置される。図13では、紙面の表側方向(-z方向)に発光部4が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に照射面250が位置している。つまり、図13は、光を出射している発光部4を、発光部4が光を出射している側とは反対側から見た様子である。
ここでは、発光部4の光源4E、4F、4Gから照射面250までの+z方向の距離は、上述した基準距離L2(図2参照)であるものとする。
【0092】
本実施形態の発光部4は、照射範囲100Eに光を照射する光源4Eと、照射範囲100Eとは異なる照射範囲100Fに光を照射する光源4Fと、照射範囲100E、100Fとは異なる照射範囲100Gに光を照射する光源4Gとを有する。発光部4は、光源4Eによる照射範囲100E、光源4Fによる照射範囲100Fおよび光源4Gによる照射範囲100Gを並列または重畳して光を照射する。
本実施形態の発光部4では、光源4E、光源4Fおよび光源4Gが、-y方向にこの順に配置されている。
【0093】
本実施形態の光源4E、4F、4Gは、それぞれ、VCSELが複数配列された発光面45、46、47を有する。この例では、光源4Eの発光面45、光源4Fの発光面46および光源4Gの発光面47は、-y方向にこの順に並列している。
光源4Eの発光面45は、一例として、x方向に6個、y方向に4個の計24個の発光区画Emn(m=1~6の自然数、n=1~4の自然数)に分割されている。mは、発光面45における発光区画Emnのx方向の位置を表し、nは、発光面45における発光区画Emnの-y方向の位置を表す。例えば、発光区画E11は、発光面45において、発光面45の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)からx方向に1番目、-y方向に1番目の位置に配置されている。以下で説明する光源4Fの発光区画Fmn、光源4Gの発光区画Gmnも同様である。
【0094】
光源4Fの発光面46は、一例として、x方向に6個、y方向に4個の計24個の発光区画Fmn(m=1~6の自然数、n=1~4の自然数)に分割されている。
光源4Gの発光面47は、一例として、x方向に6個、y方向に4個の計24個の発光区画Gmn(m=1~6の自然数、n=1~4の自然数)に分割されている。
【0095】
光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnは、発光駆動部6により、独立に駆動されて発光する。発光駆動部6は、制御部8からの制御信号に応じて、光源4E、4F、4Gの各発光区画を駆動する。したがって、光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnは、必ずしも全て同時に発光するものではなく、その一部が発光し、残りが発光していない状態を取り得る。本実施形態では、光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnが発光した状態であることを、その発光区画が点灯状態であるという。また、光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnが発光していない状態であることを、その発光区画が消灯状態であるという。
【0096】
本実施形態の発光駆動部6は、光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnを、3つのグループに分け、グループ毎に異なるタイミングで発光するように駆動する。
この例では、光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、および光源4Gの各発光区画Gmnは、照射面250における区画S1n、S4nに光を照射する第1のグループと、区画S2n、S5nに光を照射する第2のグループと、区画S3n、S6nに光を照射する第3のグループに分けられている。発光駆動部6は、例えば、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループの順で、各グループに属する光源4Eの各発光区画Emn、光源4Fの各発光区画Fmn、光源4Gの各発光区画Gmnを発光させる。
【0097】
具体的には、第1のグループには、光源4Eの発光区画E11、E12、E13、E14、E41、E42、E43、E44、光源4Fの発光区画F11、F12、F13、F14、F41、F42、F43、F44、光源4Gの発光区画G11、G12、G13、G14、G41、G42、G43、G44が含まれる。
また、第2のグループには、光源4Eの発光区画E21、E22、E23、E24、E51、E52、E53、E54、光源4Fの発光区画F21、F22、F23、F24、F51、F52、F53、F54、光源4Gの発光区画G21、G22、G23、G24、G51、G52、G53、G54が含まれる。
また、第3のグループには、光源4Eの発光区画E31、E32、E33、E34、E61、E62、E63、E64、光源4Fの発光区画F31、F32、F33、F34、F61、F62、F63、F64、光源4Gの発光区画G31、G32、G33、G34、G61、G62、G63、G64が含まれる。
【0098】
また、本実施形態の発光部4は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L2である照射面250において、光源4Eによる照射範囲100Eの全体と、光源4Fによる照射範囲100Fの全体と、光源4Gによる照射範囲100Gの全体とが重畳するように、光を照射する。
この場合、照射面250では、同じ番号m、nの光源4Eの発光区画Emnからの光と、光源4Fの発光区画Fmnからの光と、光源4Fの発光区画Gmnからの光とが、照射面250における同じ範囲に照射される。以下では、照射面250において、光源4Eの発光区画Emnからの光と、光源4Fの発光区画Fmnからの光と、光源4Fの発光区画Gmnからの光とが照射される範囲を、区画Smnと表記する。付言すると、照射面250は、x方向に6個、y方向に4個の計24個の区画Smnに分割される。
【0099】
また、図示は省略するが、本実施形態の発光部4は、実施形態1、2と同様に、発光部4からの距離が基準距離L2とは異なる距離(例えば距離L1)の照射面において、光源4Eによる照射範囲100Eと、光源4Fによる照射範囲100Fと、光源4Gによる照射範囲100Gとがz方向に交差する方向(例えばy方向)にずれて並ぶように、光を照射する。
この場合、同じ番号が付与された光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとを同時に点灯状態とすると、実施形態2の場合と同様に、照射面を複数の区画に分割して隣接する区画に異なるタイミングで光を照射することが困難になる。
【0100】
そこで、本実施形態の発光駆動部6は、同じ番号が付与された光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとを同時に点灯状態とするのではなく、同じ番号が付与された光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnのうちの1つを点灯状態とし、残りの2つを消灯状態とする。
【0101】
より具体的には、本実施形態の発光駆動部6は、第1のグループを発光させるタイミングで、第1のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとのうちの1つを点灯状態とし、残りの2つを消灯状態とする。
なお、発光駆動部6は、第1のグループを発光させるタイミングでは、第2のグループおよび第3のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとを消灯状態とする。
【0102】
また、発光駆動部6は、第1のグループを発光させた後、第2のグループを発光させるタイミングで、第2のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとのうちの1つを点灯状態とし、残りの2つを消灯状態とする。
なお、発光駆動部6は、第2のグループを発光させるタイミングでは、第1のグループおよび第3のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとを消灯状態とする。
【0103】
さらに、発光駆動部6は、第1のグループ、第2のグループを発光させた後、第3のグループを発光させるタイミングで、第3のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとのうちの1つを点灯状態とし、残りの2つを消灯状態とする。
なお、発光駆動部6は、第3のグループを発光させるタイミングでは、第1のグループおよび第2のグループに属する光源4Eの発光区画Emnと、光源4Fの発光区画Fmnと、光源4Gの発光区画Gmnとを消灯状態とする。
【0104】
ここで、本実施形態では、発光駆動部6は、各グループを発光させるタイミングで、以下の基準により、各グループに属する光源の発光区画が点灯状態および消灯状態となるように、発光部4を駆動する。
すなわち、発光駆動部6は、前のグループの発光に伴い生じた熱が次のグループの発光に及ぼす影響の小さい光源の発光区画が点灯状態となり、影響の大きい光源の発光区画が消灯状態となるように、発光部4を駆動する。
【0105】
具体的に説明すると、発光駆動部6は、例えば第1のグループを発光させるタイミングで、光源4E、4F、4Gのうち、光源4Eの発光区画E11、E12、E13、E14、E41、E42、E43、E44が点灯状態となり、光源4Fの発光区画F11、F12、F13、F14、F41、F42、F43、F44、および光源4Gの発光区画G11、G12、G13、G14、G41、G42、G43、G44が消灯状態となるように、発光部4を制御する。
この場合、光源4Eでは、点灯状態となる発光区画E11、E12、E13、E14、E41、E42、E43、E44の発光に伴って熱が生じる。
【0106】
次いで、発光駆動部6は、第1のグループを発光させた後、第2のグループを発光させるタイミングで、光源4E、4F、4Gのうち、第1のグループの光源4Eの発光区画E11、E12、E13、E14、E41、E42、E43、E44の発光に伴い生じた熱の影響が少ない光源4Fの発光区画F21、F22、F23、F24、F51、F52、F53、F54、または光源4Gの発光区画G21、G22、G23、G24、G51、G52、G53、G54の何れか一方が点灯状態となるように、発光部4を制御する。
この例では、発光駆動部6は、第2のグループを発光させるタイミングで、光源4Fの発光区画F21、F22、F23、F24、F51、F52、F53、F54が点灯状態となり、光源4Eの発光区画E21、E22、E23、E24、E51、E52、E53、E54、および光源4Gの発光区画G21、G22、G23、G24、G51、G52、G53、G54が消灯状態となるように、発光部4を制御する。
この場合、光源4Fでは、点灯状態となる発光区画F21、F22、F23、F24、F51、F52、F53、F54の発光に伴って熱が生じる。
【0107】
次いで、発光駆動部6は、第1のグループ、第2のグループを発光させた後、第3のグループを発光させるタイミングで、光源4E、4F、4Gのうち、第1のグループの光源4Eの発光区画E11、E12、E13、E14、E41、E42、E43、E44、および第2のグループの光源4Fの発光区画F21、F22、F23、F24、F51、F52、F53、F54の発光に伴い生じた熱の影響が少ない光源4Gの発光区画G31、G32、G33、G34、G61、G62、G63、G64が点灯状態となるように、発光部4を制御する。
付言すると、発光駆動部6は、第3のグループを発光させるタイミングで、光源4Gの発光区画G31、G32、G33、G34、G61、G62、G63、G64が点灯状態となり、光源4Eの発光区画E31、E32、E33、E34、E61、E62、E63、E64、および光源4Fの発光区画F31、F32、F33、F34、F61、F62、F63、F64が消灯状態となるように、発光部4を制御する。
【0108】
実施形態1でも説明したように、光源の発光区画を点灯状態とすると、VCSELの発光に伴って熱が生じる場合がある。そして、VCSELの発光に伴って生じた熱によって、点灯状態とした発光区画や、点灯状態とした発光区画に隣接する発光区画の温度が上昇する。そして、発光区画の温度が上昇すると、この発光区画を点灯状態とする場合に、VCSELの発光効率に影響が生じる場合がある。
本実施形態の発光駆動部6は、前のグループの発光に伴い生じた熱が次のグループの発光に及ぼす影響の小さい光源の発光区画を点灯状態とし、影響の大きい光源の発光区画を消灯状態とすることで、例えば点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比べて、発光に伴って生じる熱による発光効率への影響が抑制される。
【0109】
上述した実施形態1および実施形態2では、照射面において2つの光源による照射範囲のほぼ全体が重畳する距離を基準距離とし、基準距離よりも近い距離に対象物がある場合に、一方の光源を点灯状態かつ他方の光源を消灯状態としている。しかしながら、基準距離はこれに限られず、どの程度の距離を基準距離とするかは求める精度等に応じて設定してもよい。例えば、照射面において複数の光源による照射範囲が重畳する部分の比率が50%未満となるような距離に対象物がある場合であっても、さほど測距精度を求められない場合には、一方の光源を点灯状態かつ他方の光源を消灯状態にさせずに双方を点灯状態としてもよい。また、一方の光源を点灯状態かつ他方の光源を消灯状態とするか、複数光源を同時に点灯状態とするかは、求められる距離だけでなく精度によって切り替えるというようにしてもよい。
【0110】
また、実施形態2のように照射面を複数の区画に分割して光を照射する場合、上述した例では、光源4Cの発光区画Ciと同じ番号の光源4Dの発光区画Diとを同時に点灯状態とさせないこととしたが、これに限られない。
照射面の複数の区画に対して光を分割して照射することが可能であれば、光源4Cの発光区画Ciと同じ番号の光源4Dの発光区画Diとを同時に点灯状態としてもよい。
例えば、図9(a)に示すように、光源4Dの発光区画D1を点灯状態とした場合、発光区画D1からの光が照射される照射区画Q1の一部の領域が、照射区画P5に重畳するものの、照射区画P5には、発光区画D1からの光が照射されない非照射エリアが残っている。このため、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11と、光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11とを同時に点灯状態とした場合であっても、これらの発光区画からの光が照射される照射エリアと、光が照射されない非照射エリアとの分割照射は辛うじて可能である。この場合、分割照射が辛うじて可能となる距離を基準距離として、光源4Cの発光区画Ciと同じ番号の光源4Dの発光区画Diとを同時に点灯状態としてもよい。
その一方で、図9(a)に示した例と比べて同じ番号iの照射区画Piと照射区画Qiとが重畳しない領域が大きくなり、光源4Cの発光区画C1、C3、C6、C8、C9、C11と、光源4Dの発光区画D1、D3、D6、D8、D9、D11とを同時に点灯状態とした場合に照射面240全体に光が照射されてしまう距離では、分割照射を行うことはできない。この場合には、光源4Cの発光区画Ciおよび同じ番号の光源4Dの発光区画Diの一方を消灯状態とすればよい。
【0111】
[実施形態4]
続いて、本発明の実施形態4について説明する。実施形態4の測距装置1は、光学装置3が有する発光部4および受光部5の構成が、実施形態1~3とは異なっている。実施形態4において、実施形態1~3と同様の構成については同じ符号を用い、ここでは詳細な説明は省略する。
【0112】
(発光部4)
図14は、実施形態4の発光部4が有する光源4H、4Iと、光源4H、4Iから出射された光が照射される範囲である照射範囲100H、100Iとを示した図である。
図14では、紙面の表側を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の右方向を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。
【0113】
発光部4は、照射範囲100Hに光を照射する光源4Hと、照射範囲100Hとは異なる照射範囲100Iに光を照射する光源4Iとを有する。発光部4は、光源4H、4Iが光を出射する方向(+z方向)におけるある距離(後述する基準距離L4)において、照射範囲100Hと照射範囲100Iとが並列するように光を照射する。この例では、光源4Hが第1の光源の一例であり、光源4Iが第2の光源の一例であり、照射範囲100Hが第1の照射範囲の一例であり、照射範囲100Iが第2の照射範囲の一例である。
本実施形態の発光部4では、光源4H、4Iは、y方向に並列するように配置されている。この例では、光源4Hは、光源4Iに対して、+y方向側に配置されている。
【0114】
図15は、実施形態4の発光部4が有する光源4H、4Iの構成を説明する図である。図15では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。図15は、光を出射している発光部4の光源4H、4Iを、発光部4が光を出射している側とは反対側から見た様子である。
【0115】
本実施形態の光源4H、4Iは、それぞれ、VCSELが複数配列された発光面48、49を有する。この例では、光源4Hの発光面48は、光源4Iの発光面49に対して、+y方向側に並列している。
光源4Hの発光面48、光源4Iの発光面49は、それぞれ、少なくとも1つのVCSELを含む複数の発光区画に分割されている。光源4Hの発光面48は、一例として、x方向に3個、y方向に2個の合計6個の発光区画H1~H6に分割されている。この例では、発光区画H1~H6は、発光面48の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。同様に、光源4Iの発光面49は、一例として、x方向に3個、y方向に2個の合計6個の発光区画I1~I6に分割されている。この例では、発光区画I1~I6は、発光面49の左上(-x方向側且つ+y方向側の端)から右下(+x方向側且つ-y方向側の端)に順に位置している。
付言すると、本実施形態の発光部4では、光源4Hの発光面48における発光区画H4、H5、H6が、光源4Iの発光面49における発光区画I1、I2、I3とy方向に隣接している。
【0116】
光源4Hの各発光区画H1~H6、光源4Iの各発光区画I1~I6は、発光駆動部6(図1参照)により、独立に駆動されて発光する。発光駆動部6は、制御部8(図1参照)からの制御信号に応じて、光源4H、4Iの各発光区画を駆動する。したがって、光源4Hの各発光区画H1~H6、光源4Iの各発光区画I1~I6は、必ずしも全て同時に発光するものではなく、その一部が発光し、残りが発光していない状態を取り得る。本実施形態では、光源4Hの各発光区画H1~H6、光源4Iの各発光区画I1~I6が発光した状態であることを、その発光区画が点灯状態であるという。また、光源4Hの各発光区画H1~H6、光源4Iの各発光区画I1~I6が発光していない状態であることを、その発光区画が消灯状態であるという。
【0117】
図14には、光源4H、4Iが光を出射する方向(+z方向)におけるある距離において、+z方向に直交し、照射範囲100H、照射範囲100Iの光が照射される照射面260、270を示している、照射面260、270は、+z方向におけるある距離において、x方向およびy方向に広がっている。また、照射面260、270は、光源4H、4Iから+z方向に順に並んでいる。以下では、光源4H、4Iから照射面260までの+z方向の距離を距離L3と表記し、光源4H、4Iから照射面270までの+z方向の距離を距離L4と表記する。
光源4H、4Iから出射された光線は、光源4H、4Iが有する不図示の光学系により屈折され、出射方向に垂直な面に広げられて照射される。
【0118】
本実施形態の発光部4は、+x方向側から見た場合に、+z方向におけるある距離L5において照射範囲100Hと照射範囲100Iが交差するように、光を照射する。
この場合、図14に示すように、光源4H、4Iから+z方向の距離が距離L5未満の領域では、照射範囲100Hが照射範囲100Iと比べて+y方向側に位置している。また、光源4H、4Iから+z方向の距離が距離L5を超える領域では、照射範囲100Hが照射範囲100Iと比べて-y方向側に位置している。
本実施形態の測距装置1では、発光部4からの+z方向の距離が距離L5を超える範囲に存在する対象物に対し、光源4H、4Iからの光が照射される。
【0119】
図16(a)~(b)は、照射面260、270を説明する図である。図16(a)は、発光部4からの+z方向の距離が距離L4である照射面270を示している。また、図16(b)は、発光部4からの+z方向の距離が距離L4よりも近い距離L3である照射面260を示している。図16(a)~(b)では、紙面の右方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側を+z方向として、各々反対方向を-x、-y、-z方向とする。
【0120】
図16(a)~(b)に示すように、照射面260、270において、照射範囲100Hは、光源4Hの発光区画H1~H6から出射された光が照射される照射区画T1~T6を含む。照射区画T1~T6は、照射範囲100Hの右下(+x方向側且つ-y方向側の端)から左上(-x方向側且つ+y方向側の端)に順に位置している。本実施形態では、照射範囲100Hにおける照射区画T1~T6の配置は、光源4Hの発光面48における発光区画H1~H6の配置に対して、x方向およびy方向に反転している。
同様に、照射面260、270において、照射範囲100Iは、光源4Iの発光区画I1~I6から出射された光が照射される照射区画U1~U6を含む。照射区画U1~U6は、照射範囲100Iの右下(+x方向側且つ-y方向側の端)から左上(-x方向側且つ+y方向側の端)に順に位置している。本実施形態では、照射範囲100Iにおける照射区画U1~U6の配置は、光源4Iの発光面49における発光区画I1~I6の配置に対して、x方向およびy方向に反転している。
【0121】
図16(a)に示すように、発光部4からの+z方向の距離が距離L4である照射面270では、光源4Hによる照射範囲100Hと光源4Iによる照射範囲100Iとがy方向に並列している。付言すると、照射面270では、照射範囲100Hと照射範囲100Iとが重なり合っていない。
本実施形態では、照射面270において照射範囲100Hと照射範囲100Iとが並列する距離である距離L4が、基準距離の一例である。以下、基準距離L4と表記する場合がある。
【0122】
また、図16(b)に示すように、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L4よりも近い距離L3である照射面260では、光源4Hによる照射範囲100Hの一部の領域と、光源4Iによる照射範囲100Iの一部の領域とが重なり合っている。付言すると、本実施形態では、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L4よりも近い場合、基準距離L4において並列する照射範囲100Hと照射範囲100Iとの位置関係に対してずれが生じ、照射範囲100Hの一部の領域と照射範囲100Iの一部の領域とが重なり合う。
照射面260では、照射範囲100Hの照射区画T4~T6と、照射区画T4~T6に対して+y方向に隣接する照射範囲100Iの照射区画U1~U3とが、それぞれ重なり合っている。より具体的には、照射面260では、照射範囲100Hの照射区画T4~T6における+y方向側の一部の領域と、照射範囲100Iの照射区画U1~U3における-y方向側の一部の領域とが、それぞれ重なり合っている。
【0123】
(受光部5)
図示は省略するが、実施形態4の受光部5(図1参照)は、受光素子が複数配列された受光面を備える。この受光面は、照射区画T1~T6および照射区画U1~U6に対応して、複数の受光区画に分割されている。具体的には、受光面は、x方向に3個、y方向に4個の計12個の受光区画に分割されている。
それぞれの受光区画は、光源4Hの発光区画H1~H6、光源4Iの発光区画I1~I6から出射され、照射区画T1~T6、照射区画U1~U6に存在する対象物で反射した光を受光する。各受光区画は、受光駆動部7(図1参照)により独立に駆動されて受光動作を行う。
これにより、本実施形態の受光部5は、照射区画T1~T6および照射区画U1~U6毎に受光結果を取得することができる。
【0124】
(発光部4の駆動制御)
続いて、制御部8による制御に基づいて発光駆動部6により行われる発光部4の駆動について説明する。
本実施形態の発光駆動部6は、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L4よりも近い距離L3である照射面260に光を照射する場合、照射範囲100Hと照射範囲100Iとの間で隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士が異なるタイミングで発光するように、発光部4を駆動する。
具体的には、発光駆動部6は、照射区画T4に向けて光を出射する光源4Hの発光区画H4と、照射区画T4に隣接する照射区画U1に向けて光を出射する光源4Iの発光区画I1とを異なるタイミングで発光させる。また、発光駆動部6は、照射区画T5に向けて光を出射する光源4Hの発光区画H5と、照射区画T5に隣接する照射区画U2に向けて光を出射する光源4Iの発光区画I2とを異なるタイミングで発光させる。さらに、発光駆動部6は、照射区画T6に向けて光を出射する光源4Hの発光区画H6と、照射区画T6に隣接する照射区画U3に向けて光を出射する光源4Iの発光区画I3とを異なるタイミングで発光させる。
【0125】
ここで、照射面260に光を照射する際に、光源4Hの発光区画H4と光源4Iの発光区画I1とを同じタイミングで発光させると、照射面260の照射区画T4には、発光区画H4からの光が照射され発光区画I1からの光が照射されない領域と、発光区画H4からの光と発光区画I1からの光が重畳して照射される領域とが含まれる。これにより、照射区画T4に照射される光量が不均一となる。
同様に、光源4Hの発光区画H4と光源4Iの発光区画I1とを同じタイミングで発光させると、照射面260の照射区画U1には、発光区画I1からの光が照射され発光区画H4からの光が照射されない領域と、発光区画H4からの光と発光区画I1からの光が重畳して照射される領域とが含まれる。これにより、照射区画U1に照射される光量が不均一となる。
この場合、照射面260において照射区画T4や照射区画U1に対象物が存在すると、対象物の測距を正確に行うことができない場合がある。
【0126】
なお、詳細な説明は省略するが、光源4Hの発光区画H5、H6と光源4Iの発光区画I2、I3とを同じタイミングで発光させると、照射面260の照射区画T5、T6、U2、U3でも同様に、照射される光量が不均一となる。この場合、対象物の測距を正確に行うことができない場合がある。
【0127】
これに対し、本実施形態では、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L4よりも近い距離L3である照射面260に光を照射する場合に、照射範囲100Hと照射範囲100Iとの間で隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士を異なるタイミングで発光させることで、照射区画において、光源4Hの発光区画からの光と光源4Iの発光区画からの光とが重畳して照射されることが抑制される。これにより、照射区画に照射される光量が不均一となることが抑制される。
【0128】
ここで、発光駆動部6は、発光部4からの+z方向からの距離が基準距離L4である照射面270に光を照射する場合には、照射範囲100Hと照射範囲100Iとの間で隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士が同じタイミングで発光するように、発光部4を駆動してよい。
上述したように、発光部4からの+z方向の距離が基準距離L4である照射面270では、照射範囲100Hと照射範囲100Iとの間で隣接する照射区画同士は重なり合っていない。これにより、照射範囲100Hと照射範囲100Iとの間で隣接するそれぞれの照射区画では、発光部4から照射される光量が均一となっている。
この場合、照射面260のように照射区画に照射される光量が不均一となることによる影響は生じにくい。
【0129】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述した実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0130】
<付記>
(((1)))
点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、
前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、当該発光部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
(((2)))
前記第1の光源は、前記第1の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、
前記第2の光源は、前記第2の照射範囲を分割した複数の照射区画のそれぞれに向けて光を出射する複数の発光区画を含み、
前記駆動部は、前記第1の光源および前記第2の光源の各々において、互いに隣接する照射区画に向けて光を出射する発光区画同士が異なるタイミングで発光するように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、(((1)))に記載の発光装置。
(((3)))
前記第1の光源は、第1の照射区画を照射する第1の発光区画と、当該第1の照射区画に隣接する第3の照射区画を照射する第3の発光区画とを有し、
前記第2の光源は、第2の照射区画を照射する第2の発光区画と、当該第2の照射区画に隣接する第4の照射区画を照射する第4の発光区画とを有し、
前記基準距離において、前記第1の照射区画と前記第2の照射区画とが重畳され、かつ、前記第3の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳され、
前記駆動部は、前記第1の照射区画と前記第4の照射区画とが重畳される前記第1の距離において、一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、(((2)))に記載の発光装置。
(((4)))
何れを点灯状態とし何れを消灯状態とするかは、前記第1の光源および前記第2の光源の点灯の履歴に基づいて定められることを特徴とする、(((1)))~(((3)))の何れかに記載の発光装置。
(((5)))
前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前記第1の光源および前記第2の光源のうち、総点灯時間の短い一方が点灯状態となり、総点灯時間の長い他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、(((4)))に記載の発光装置。
(((6)))
前記第1の光源および前記第2の光源の各々は、前記第1の照射範囲および第2の照射範囲に向けて光を出射する複数の発光区画を有し、少なくとも1つの発光区画を含むグループ毎に異なるタイミングで発光するように駆動され、
前記駆動部は、前記第1の距離の対象物を照射する場合に、前のグループの発光に伴い生じた熱が次のグループの発光に及ぼす影響の小さい一方が点灯状態となり、影響の大きい他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動する
ことを特徴とする、(((4)))に記載の発光装置。
(((7)))
前記駆動部は、前記第1の距離にて対象物が検知された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、(((1)))~(((6)))の何れかに記載の発光装置。
(((8)))
前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲とは、前記基準距離において重畳し、
前記第1の距離は、前記基準距離よりも近いことを特徴とする、(((1)))~(((7)))の何れかに記載の発光装置。
(((9)))
点灯状態において第1の照射範囲を照射する第1の光源および第2の照射範囲を照射する第2の光源を有し、基準距離において、当該第1の照射範囲および当該第2の照射範囲を並列または重畳して照射する発光部と、
前記発光部により、前記基準距離とは異なる第1の距離の対象物を照射するための第1のモードと、当該第1の距離よりも遠い距離の対象物を照射するための第2のモードとを切り替えて、当該発光部を駆動可能であり、当該第1のモードでは、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように当該発光部を駆動し、当該第2のモードでは、当該第1の光源および当該第2の光源の両方が点灯状態となるように当該発光部を駆動する駆動部と、を有する
ことを特徴とする発光装置。
(((10)))
前記駆動部は、前記第1の距離への対象物の到達が予測される場合に、前記第1のモードにより前記発光部を駆動することを特徴とする、(((9)))に記載の発光装置。
(((11)))
(((1)))~(((10)))の何れかに記載の発光装置と、
前記発光装置から照射され対象物で反射した光を受光する受光部と、
前記受光部における受光の結果に基づいて前記対象物までの距離を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする測距装置。
(((12)))
前記駆動部は、前記受光部における受光の結果または前記算出部における算出の結果に基づいて、前記第1の距離にて対象物が検知された場合または当該第1の距離への対象物の到達が予測された場合に、前記第1の光源および前記第2の光源の一方が点灯状態かつ他方が消灯状態となるように、前記発光部を駆動することを特徴とする、(((11)))に記載の測距装置。
【0131】
(((1)))に係る発光装置によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制することができる。
(((2)))に係る発光装置によれば、距離に係わらずすべての光源を点灯する場合と比較して、隣接する照射区画への干渉を抑制することができる。
(((3)))に係る発光装置によれば、照射範囲同士の重畳により干渉が生じ易い条件でも、隣接する照射区画への干渉を抑制することができる。
(((4)))に係る発光装置によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、各光源の点灯状況に応じた駆動制御が行われる。
(((5)))に係る発光装置によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、各光源の総点灯時間の偏りが抑制される。
(((6)))に係る発光装置によれば、点灯状態および消灯状態とする光源を固定する場合と比較して、発光に伴って生じる熱による、発光効率への影響が抑制される。
(((7)))に係る発光装置によれば、第1の距離に存在する対象物に対する、各光源の照射範囲がずれた状態での照射が抑制される。
(((8)))に係る発光装置によれば、発光部からの距離が遠い側よりも照射される光量が多くなる発光部からの距離が近い側にて、重畳した部分と重畳していない部分とで照射される光量が不均一になることが抑制され、対象物に照射される光量が過剰となることが抑制される。
(((9)))に係る発光装置によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響が抑制される。
(((10)))に係る発光装置によれば、第1の距離に到達した対象物に対する、各光源の照射範囲がずれた状態での照射が抑制される。
(((11)))に係る測距装置によれば、距離にかかわらず全ての光源を点灯する場合と比較して、各光源の照射範囲のずれによる影響を抑制することができる。
(((12)))に係る測距装置によれば、個別のセンサを設けることなく対象物の検知を行い、制御に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1…測距装置、3…光学装置、4…発光部、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G…光源、5…受光部、6…発光駆動部、7…受光駆動部、8…制御部、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G…照射範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16