(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025094522
(43)【公開日】2025-06-25
(54)【発明の名称】コネクタ及びコンタクトモジュール
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20250618BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20250618BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210123
(22)【出願日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB20
5E223AB21
5E223AB26
5E223AB41
5E223AB60
5E223AB64
5E223AB67
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB07
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB25
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】より簡易な構造及びより高い接続信頼性を有するコンタクトモジュールを提供すること。
【解決手段】コンタクトモジュール14は、グランド部材30と絶縁部40と導電部50とを備えている。グランド部材30は、グランド端子33と端子基部37とを有している。グランド端子33及び端子基部37の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有している。グランド端子33は、第1対象物に接続されるグランド接点34と、第2対象物に接続されるグランド接続部35とを有している。グランド接点34は、上下方向に移動可能である。端子基部37には、絶縁部40が形成されている。絶縁部40には、導電部50が形成されている。端子基部37と絶縁部40と導電部50とは、信号端子60を形成している。導電部50は、第1対象物に接続される信号接点54と、第2対象物に接続される信号接続部とを有している。信号接点54は、上下方向に移動可能である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物と第2対象物とを互いに接続するコネクタであって、
前記コネクタは、コンタクトモジュールを備えており、
前記コンタクトモジュールは、金属からなるグランド部材と、絶縁部と、導電部とを備えており、
前記グランド部材は、グランド端子と、端子基部とを有しており、
前記グランド端子及び前記端子基部の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有しており、
前記グランド端子は、前記第1対象物に接続されるグランド接点と、前記第2対象物に接続されるグランド接続部とを有しており、
前記グランド接点は、所定方向に移動可能であり、
前記端子基部の上には、前記絶縁部が形成されており、
前記絶縁部の上には、前記導電部が形成されており、
前記端子基部と前記絶縁部と前記導電部とは、信号端子を形成しており、
前記導電部は、前記第1対象物に接続される信号接点と、前記第2対象物に接続される信号接続部とを有しており、
前記信号接点は、前記所定方向に移動可能である
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記グランド接点と前記信号接点とは、前記所定方向において互いに同じ位置にある
コネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタであって、
前記グランド端子は、張出部を有しており、
前記張出部は、前記所定方向に張り出しており、部分的に前記グランド接点として機能する
コネクタ。
【請求項4】
請求項1記載のコネクタであって、
前記グランド端子と前記信号端子とは、ピッチ方向に並んでおり、
前記グランド部材は、帯状部と、第1ばね部と、第2ばね部とを有しており、
前記帯状部は、前記ピッチ方向に延びており、
前記第1ばね部及び前記第2ばね部の夫々は、前記帯状部から前記ピッチ方向と直交する直交方向に延びており、
前記第1ばね部は、前記グランド端子を少なくとも部分的に形成しており、
前記グランド接点は、前記第1ばね部に設けられており、
前記第2ばね部は、前記端子基部を少なくとも部分的に形成しており、
前記信号接点は、前記絶縁部を介して、前記第2ばね部に支持されており、
前記グランド接点と前記信号接点とは、前記ピッチ方向及び前記直交方向の双方と直交する方向において互いに同じ位置にある
コネクタ。
【請求項5】
請求項1記載のコネクタであって、
前記コネクタは、保持部材を備えており、
前記保持部材は、保持部を有しており、
前記コンタクトモジュールは、被保持部を有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されている
コネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタであって、
前記所定方向は、上下方向であり、
前記グランド接点及び前記信号接点の夫々は、上下に移動可能であり、
前記コネクタが前記第1対象物と前記第2対象物とによって上下に挟まれた状態において、前記グランド接点及び前記信号接点は、前記第1対象物に押し付けられて接続され、前記グランド接続部及び前記信号接続部は、前記第2対象物に押し付けられて接続される
コネクタ。
【請求項7】
第1対象物及び第2対象物に接続されるコンタクトモジュールであって、
前記コンタクトモジュールは、金属からなるグランド部材と、絶縁部と、導電部とを備えており、
前記グランド部材は、グランド端子と、端子基部とを有しており、
前記グランド端子及び前記端子基部の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有しており、
前記グランド端子は、前記第1対象物に接続されるグランド接点と、前記第2対象物に接続されるグランド接続部とを有しており、
前記グランド接点は、所定方向に移動可能であり、
前記端子基部の上には、前記絶縁部が形成されており、
前記絶縁部の上には、前記導電部が形成されており、
前記端子基部と前記絶縁部と前記導電部とは、信号端子を形成しており、
前記導電部は、前記第1対象物に接続される信号接点と、前記第2対象物に接続される信号接続部とを有しており、
前記信号接点は、前記所定方向に移動可能である
コンタクトモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1対象物と第2対象物とを互いに接続するコネクタにおけるコンタクトモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプのコンタクトモジュールが開示されている。
【0003】
特許文献1のコネクタ(図示せず)は、第1対象物である基板(図示せず)と第2対象物であるFPC(flexible printed circuits)アセンブリ(図示せず)とを互いに接続する。
【0004】
図17を参照すると、特許文献1のコネクタは、複数のコンタクト90を含むコンタクトモジュールを備えている。コンタクト90の夫々は、主部92と、第1対象物に接続される3つの伸延部(第1端子)93と、第2対象物に接続される3つの伸延部(第2端子)94とを有している。また、コンタクト90の夫々には、金属板からなる基部96及び絶縁体からなる絶縁層97の2層が形成されている。更に、第1端子93のうちの2つの絶縁層97の上には3つ目の層であるグランド線(グランド層)98が形成されており、第1端子93のうちの1つの絶縁層97の上には3つ目の層であるシグナル線(シグナル層)99が形成されている。グランド層98の夫々は、部分的に絶縁層97を通過して基部96に接続されている。上述の構造により、コンタクト90に、マイクロストリップライン及びコプレーナラインを形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコンタクトモジュールは、上述した3層構造を有している。また、最下層に位置する基部と最上層に位置するグランド層とは、中間層である絶縁層を通って互いに接続されている。このような複雑な構造は、製造が難しく製造コストが増加し易い。加えて、グランド層と基部との間の接触不良といった問題によって接続信頼性が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、より簡易な構造及びより高い接続信頼性を有するコンタクトモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタとして、
第1対象物と第2対象物とを互いに接続するコネクタであって、
前記コネクタは、コンタクトモジュールを備えており、
前記コンタクトモジュールは、金属からなるグランド部材と、絶縁部と、導電部とを備えており、
前記グランド部材は、グランド端子と、端子基部とを有しており、
前記グランド端子及び前記端子基部の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有しており、
前記グランド端子は、前記第1対象物に接続されるグランド接点と、前記第2対象物に接続されるグランド接続部とを有しており、
前記グランド接点は、所定方向に移動可能であり、
前記端子基部の上には、前記絶縁部が形成されており、
前記絶縁部の上には、前記導電部が形成されており、
前記端子基部と前記絶縁部と前記導電部とは、信号端子を形成しており、
前記導電部は、前記第1対象物に接続される信号接点と、前記第2対象物に接続される信号接続部とを有しており、
前記信号接点は、前記所定方向に移動可能である
コネクタを提供する。
【0009】
本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記グランド接点と前記信号接点とは、前記所定方向において互いに同じ位置にある
コネクタを提供する。
【0010】
本発明は、第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記グランド端子は、張出部を有しており、
前記張出部は、前記所定方向に張り出しており、部分的に前記グランド接点として機能する
コネクタを提供する。
【0011】
本発明は、第4のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記グランド端子と前記信号端子とは、ピッチ方向に並んでおり、
前記グランド部材は、帯状部と、第1ばね部と、第2ばね部とを有しており、
前記帯状部は、前記ピッチ方向に延びており、
前記第1ばね部及び前記第2ばね部の夫々は、前記帯状部から前記ピッチ方向と直交する直交方向に延びており、
前記第1ばね部は、前記グランド端子を少なくとも部分的に形成しており、
前記グランド接点は、前記第1ばね部に設けられており、
前記第2ばね部は、前記端子基部を少なくとも部分的に形成しており、
前記信号接点は、前記絶縁部を介して、前記第2ばね部に支持されており、
前記グランド接点と前記信号接点とは、前記ピッチ方向及び前記直交方向の双方と直交する方向において互いに同じ位置にある
コネクタを提供する。
【0012】
本発明は、第5のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記コネクタは、保持部材を備えており、
前記保持部材は、保持部を有しており、
前記コンタクトモジュールは、被保持部を有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されている
コネクタを提供する。
【0013】
本発明は、第6のコネクタとして、第5のコネクタであって、
前記所定方向は、上下方向であり、
前記グランド接点及び前記信号接点の夫々は、上下に移動可能であり、
前記コネクタが前記第1対象物と前記第2対象物とによって上下に挟まれた状態において、前記グランド接点及び前記信号接点は、前記第1対象物に押し付けられて接続され、前記グランド接続部及び前記信号接続部は、前記第2対象物に押し付けられて接続される
コネクタを提供する。
【0014】
本発明は、第1のコンタクトモジュールとして、
第1対象物及び第2対象物に接続されるコンタクトモジュールであって、
前記コンタクトモジュールは、金属からなるグランド部材と、絶縁部と、導電部とを備えており、
前記グランド部材は、グランド端子と、端子基部とを有しており、
前記グランド端子及び前記端子基部の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有しており、
前記グランド端子は、前記第1対象物に接続されるグランド接点と、前記第2対象物に接続されるグランド接続部とを有しており、
前記グランド接点は、所定方向に移動可能であり、
前記端子基部の上には、前記絶縁部が形成されており、
前記絶縁部の上には、前記導電部が形成されており、
前記端子基部と前記絶縁部と前記導電部とは、信号端子を形成しており、
前記導電部は、前記第1対象物に接続される信号接点と、前記第2対象物に接続される信号接続部とを有しており、
前記信号接点は、前記所定方向に移動可能である
コンタクトモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンタクトモジュールによれば、金属製のグランド部材の一部を、第1対象物のグランド線及び第2対象物のグランド線に接続されるグランド端子として使用できる。即ち、本発明によれば、単層構造のグランド端子を形成できる。このため、コンタクトモジュールを比較的簡単に製造できる。加えて、グランド端子の接触不良といった問題を防止しつつ、グランド端子を、第1対象物のグランド線及び第2対象物のグランド線に確実に接続できる。また、本発明の信号端子は、金属製のグランド部材のばね力を利用して弾性変形可能である。この構造によれば、信号端子を、第1対象物の信号線及び第2対象物の信号線に確実に接続できる。即ち、本発明によれば、より簡易な構造及びより高い接続信頼性を有するコンタクトモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図2】
図1のコネクタを示す前面図である。コネクタの隠れた通過孔の輪郭を破線で描画している。
【
図3】
図2のコネクタをIII-III線に沿って示す断面図である。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図4】
図2のコネクタをIV-IV線に沿って示す断面図である。コネクタを第1対象物及び第2対象物に接続する過程における第1対象物の下面の輪郭及び第2対象物の上面の輪郭を破線で描画している。コネクタが第1対象物及び第2対象物に接続したときの信号端子の輪郭を破線で描画している。
【
図6】
図1のコネクタを第1対象物及び第2対象物とともに示す前面図である。コネクタは、第1対象物及び第2対象物に接続されている。隠れた通過孔の輪郭を破線で描画している。
【
図7】
図6のコネクタ、第1対象物及び第2対象物をVII-VII線に沿って示す断面図である。
【
図8】
図1のコネクタのコンタクトモジュールを示す斜視図である。
【
図9】
図8のコンタクトモジュールを示す別の斜視図である。
【
図10】
図8のコンタクトモジュールを示す前面図である。帯状部の境界を破線で描画している。
【
図11】
図10のコンタクトモジュールをXI-XI線に沿って示す断面図である。
【
図12】
図10のコンタクトモジュールをXII-XII線に沿って示す断面図である。コンタクトモジュールの2つの部位(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図13】
図8のコンタクトモジュールを示す上面図である。
【
図14】
図13のコンタクトモジュールをXIV-XIV線に沿って示す断面図である。信号端子の2つの部位(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図15】
図8のコンタクトモジュールを形成するための基部材の一例を示す図である。
【
図16】
図15の基部材を切り抜いて作製した中間部材を示す図である。
【
図17】特許文献1のコンタクトモジュールの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を
図6と併せて参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、第1対象物82と第2対象物86とを互いに接続するものである。本実施の形態の第1対象物82と第2対象物86とは、上下方向においてコネクタ10を間に挟み込むようにしてコネクタ10に取り付けられ接続される。
【0018】
本実施の形態の上下方向は、Z方向である。本実施の形態において、上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。上下方向等の位置に関する用語は、地面に対する絶対的な位置関係を示すものではなく、図面における相対的な位置関係を示すものにすぎない。例えば、本発明の説明においては、互いに接続されたコネクタ10、第1対象物82及び第2対象物86が並ぶ方向を上下方向と規定している。
【0019】
図4及び
図7を参照すると、本実施の形態の第1対象物82及び第2対象物86の夫々は、様々な導電パターンが形成された回路基板であり、上下方向と直交する水平面(XY平面)に沿って延びている。本実施の形態のコネクタ10は、所謂コンプレッションコネクタである。互いに平行に延びる2つの回路基板(第1対象物82及び第2対象物86)は、コネクタ10に押し付けるだけでコネクタ10に電気的に接続できる。
【0020】
例えば、第1対象物82の下面には、導電体からなる複数のグランド線83と、導電体からなる複数の信号線84とが形成されており、第2対象物86の上面には、導電体からなる複数のグランド線87と、導電体からなる複数の信号線88とが形成されている。コネクタ10が第1対象物82及び第2対象物86に接続された接続状態(
図7の状態)において、グランド線83は、グランド線87と電気的に夫々接続し、信号線84は、信号線88と電気的に夫々接続する。
【0021】
図6を参照すると、本実施の形態の第1対象物82及び第2対象物86の夫々は、上述の構造を有している。但し、本発明における第1対象物82及び第2対象物86の夫々の構造は、様々に変形可能である。
【0022】
例えば、第2対象物86は、上下方向と平行な垂直面(YZ平面)に沿って延びていてもよい。この場合、コネクタ10は、第2対象物86に半田付け等によって固定されていてもよく、第1対象物82は、コネクタ10に押し付けるだけでコネクタ10に電気的に接続可能であってもよい。
【0023】
例えば、コネクタ10は、所謂エッジコネクタであってもよい。この場合、第1対象物82は、YZ平面に沿って延びていてもよく、第1対象物82の下端には、複数の端子が設けられていてもよい。コネクタ10は、第1対象物82の下端の端子をXY平面において挟み込むようにして第1対象物82に取り付けられてもよい。この場合、第2対象物86は、XY平面に沿って延びていてもよいし、XY平面と交差する平面に沿って延びていてもよい。
【0024】
図1を
図8と併せて参照すると、本実施の形態のコネクタ10は、絶縁体からなる保持部材12と、複数のコンタクトモジュール14とを備えている。コンタクトモジュール14の夫々は、保持部材12に保持されている。
図4及び
図7を参照すると、接続状態において、第1対象物82のグランド線83及び信号線84は、コンタクトモジュール14を介して、第2対象物86のグランド線87及び信号線88と電気的に夫々接続される。即ち、コンタクトモジュール14の夫々は、第1対象物82及び第2対象物86に接続されるものである。
【0025】
図1を参照すると、本実施の形態のコンタクトモジュール14の数は10である。10個のコンタクトモジュール14は、上下方向と直交するピッチ方向において、2つのグループに分かれている。各グループの5つのコンタクトモジュール14は、上下方向及びピッチ方向の双方と直交する前後方向において一列に並んでいる。本実施の形態のピッチ方向は、横方向でありY方向である。本実施の形態の前後方向は、X方向である。本実施の形態において、前方は、+X方向であり、後方は、-X方向である。
【0026】
本実施の形態のコネクタ10は、保持部材12及びコンタクトモジュール14のみを備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10は、保持部材12及びコンタクトモジュール14に加えて、別の部材を更に備えていてもよい。一方、保持部材12は、必要に応じて設ければよい。換言すれば、コネクタ10は、コンタクトモジュール14のみを備えていてもよい。この場合、コンタクトモジュール14のみがコネクタ10として機能してもよい。コネクタ10が保持部材12を備えているか否かに拘らず、コンタクトモジュール14の数は、1であってもよいし、2以上であってもよい。
【0027】
以下、本実施の形態のコンタクトモジュール14のうちの1つについて説明する。以下の説明は、コンタクトモジュール14の夫々に適用可能である。
【0028】
図8を
図1と併せて参照すると、本実施の形態のコンタクトモジュール14は、コネクタ10のコンタクトモジュールとして使用可能なコンタクトモジュールであり、金属からなるグランド部材30と、絶縁体からなる複数の絶縁部40と、導電体からなる複数の導電部50とを備えている。
【0029】
図10を参照すると、本実施の形態のグランド部材30は、銅合金板やステンレス板等のばねを形成するのに適した金属板から形成されており、帯状部31と、複数の第1ばね部32と、複数の第2ばね部36と、2つの被保持部38とを有している。本実施の形態において、第1ばね部32の数は10であり、第2ばね部36の数は10である。2つの被保持部38は、ピッチ方向(Y方向)におけるグランド部材30の両端に夫々位置している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1ばね部32の数は1であってもよく、第2ばね部36の数は1であってもよい。被保持部38は、必要に応じて設ければよい。
【0030】
本実施の形態の帯状部31は、上下方向において一定のサイズを有するベルト状の部位であり、前後方向と直交する平板形状を有している。帯状部31は、ピッチ方向に延びている。詳しくは、帯状部31は、上下方向におけるグランド部材30の中間部に位置しており、ピッチ方向におけるグランド部材30の両端の間をピッチ方向に沿って真っ直ぐ延びている。
【0031】
第1ばね部32の夫々は、弾性変形可能な第1上側ばね部322と、弾性変形可能な第1下側ばね部324とを含んでいる。第1上側ばね部322の夫々は、帯状部31の上縁から上方に延びており、第1下側ばね部324の夫々は、帯状部31の下縁から下方に延びている。第1ばね部32の夫々において、第1上側ばね部322及び第1下側ばね部324は、ピッチ方向(Y方向)において互いに同じ位置にあり、ピッチ方向において互いに同じサイズを有している。
【0032】
本実施の形態によれば、第1ばね部32の夫々において、第1上側ばね部322及び第1下側ばね部324は、XY平面について鏡対称な形状を有しており、互いに同じばね性を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1上側ばね部322及び第1下側ばね部324は、XY平面について非対称な形状を有していてもよい。
【0033】
第2ばね部36の夫々は、弾性変形可能な第2上側ばね部362と、弾性変形可能な第2下側ばね部364とを含んでいる。第2上側ばね部362の夫々は、帯状部31の上縁から上方に延びており、第2下側ばね部364の夫々は、帯状部31の下縁から下方に延びている。第2ばね部36の夫々において、第2上側ばね部362及び第2下側ばね部364は、ピッチ方向(Y方向)において互いに同じ位置にあり、ピッチ方向において互いに同じサイズを有している。
【0034】
本実施の形態によれば、第2ばね部36の夫々において、第2上側ばね部362及び第2下側ばね部364は、XY平面について鏡対称な形状を有しており、互いに同じばね性を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第2上側ばね部362及び第2下側ばね部364は、XY平面について非対称な形状を有していてもよい。
【0035】
本実施の形態の第1ばね部32及び第2ばね部36の夫々は、上述のように、互いに独立に弾性変形可能な2つのばねから形成されており、帯状部31からピッチ方向(Y方向)と直交する直交方向に延びている。本実施の形態の直交方向は、上下方向であり、Z方向である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、直交方向は、上下方向と交差していてもよい。
【0036】
本実施の形態の第1ばね部32及び第2ばね部36は、ピッチ方向(Y方向)において等間隔で一列に並んでいる。また、本実施の形態の第1ばね部32及び第2ばね部36は、5つのセットに分かれている。各セットは、2つの第1ばね部32と、2つの第2ばね部36とからなる。各セットにおいて、2つの第2ばね部36は、ピッチ方向において互いに隣り合っており、2つの第1ばね部32は、ピッチ方向における2つの第2ばね部36の両側に夫々位置している。本実施の形態の第1ばね部32及び第2ばね部36は、上述のように配置されている。但し、本発明は、これに限られない。第1ばね部32及び第2ばね部36の配置は、必要に応じて変形可能である。
【0037】
図8を参照すると、本実施の形態の被保持部38の夫々は、前後方向と斜交する金属片である。被保持部38の夫々は、帯状部31の下縁から前方に傾斜しつつ下方に延びている。被保持部38の夫々は、上述の初期形状を有しており、前後方向と直交する形状に弾性変形可能である。弾性変形した被保持部38の夫々には、初期形状に戻ろうとする力が生じる。本実施の形態の被保持部38の夫々は、上述の構造を有している。但し、被保持部38の夫々の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0038】
本実施の形態のグランド部材30の構造について別の観点から説明すると、グランド部材30は、複数のグランド端子33と、複数の端子基部37とを有している。本実施の形態のグランド端子33の夫々は、第1ばね部32と、帯状部31のうちの第1上側ばね部322と第1下側ばね部324との間に位置する部位とからなる。即ち、第1ばね部32の夫々は、グランド端子33を少なくとも部分的に形成している。本実施の形態の端子基部37の夫々は、第2ばね部36と、帯状部31のうちの第2上側ばね部362と第2下側ばね部364との間に位置する部位とからなる。即ち、第2ばね部36の夫々は、端子基部37を少なくとも部分的に形成している。上述のように形成されたグランド端子33及び端子基部37の夫々は、少なくとも部分的に弾性を有している。
【0039】
図9を
図8と併せて参照すると、端子基部37の上には、絶縁部40が夫々形成されている。即ち、絶縁部40の数は、端子基部37の数と等しく、絶縁部40は、端子基部37と夫々対応している。また、絶縁部40の上には、導電部50が夫々形成されている。即ち、導電部50の数は、絶縁部40の数と等しく、導電部50は、絶縁部40と夫々対応している。端子基部37の夫々は、対応する絶縁部40及び対応する導電部50とともに、1つの信号端子60を形成している。換言すれば、端子基部37の夫々と、絶縁部40と、導電部50とは、信号端子60を形成している。信号端子60の夫々は、端子基部37と絶縁部40と導電部50とからなる3層構造を有している。
【0040】
本実施の形態によれば、信号端子60の夫々において、絶縁部40は、端子基部37を完全に覆っている。一方、信号端子60の夫々において、導電部50は、信号端子60が延びる方向において絶縁部40を完全に覆いつつ、ピッチ方向において絶縁部40の中間部のみを覆っている。この構造によれば、導電部50と端子基部37との間を確実に絶縁しつつ、端子基部37によるばね力を有する信号端子60が得られる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、絶縁部40は、導電部50と端子基部37との間にだけ形成されていてもよい。
【0041】
図7を
図4と併せて参照すると、コネクタ10が第1対象物82及び第2対象物86に接続された接続状態(
図7の状態)において、グランド端子33の夫々は、グランド線83及びグランド線87に接続されてグランド電位を有し、信号端子60の夫々は、信号線84及び信号線88に接続され、第1対象物82と第2対象物86との間で信号を伝送する。
【0042】
図8を参照すると、グランド端子33と信号端子60とは、櫛歯状に形成されており、ピッチ方向(Y方向)に並んでいる。詳しくは、グランド端子33及び信号端子60は、ピッチ方向において等間隔で一列に並んでおり、1つの端子列を形成している。
【0043】
本実施の形態のグランド端子33及び信号端子60は、5つのセットに分かれている。各セットは、2つのグランド端子33と、2つの信号端子60とからなる。各セットにおいて、2つの信号端子60は、ピッチ方向において互いに隣り合っており、2つのグランド端子33は、ピッチ方向における2つの信号端子60の両側に夫々位置している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、グランド端子33及び信号端子60の配置は、第1対象物82(
図7参照)及び第2対象物86(
図7参照)に応じて変形可能であり、且つ、インピーダンス整合を考慮して変形可能である。また、グランド端子33の数は1であってもよく、信号端子60の数は1であってもよい。
【0044】
図9を参照すると、本実施の形態のコンタクトモジュール14は、絶縁体からなる帯状絶縁部42を備えている。帯状絶縁部42は、グランド部材30の帯状部31の上に形成されており、ピッチ方向(Y方向)における帯状部31の両端の間をピッチ方向に沿って真っ直ぐ延びている。即ち、帯状絶縁部42は、全ての絶縁部40のうちの上下方向における中間部を含んでいる。本実施の形態のコンタクトモジュール14には、上述の帯状絶縁部42が設けられている。但し、本発明は、これに限られない。コンタクトモジュール14が絶縁部40を備えている限り、帯状絶縁部42は、必要に応じて設ければよい。
【0045】
以下、本実施の形態の保持部材12(
図1参照)について説明する。
【0046】
図1、
図2及び
図5に示されるように、本実施の形態の保持部材12は、XY平面と平行な矩形平板形状を有している。即ち、保持部材12は、XY平面と平行に延びる上面及び下面を有している。保持部材12は、6つの位置決め突起22を有している。位置決め突起22のうちの3つは、保持部材12の上面から上方に延びている。位置決め突起22のうちの他の3つは、保持部材12の下面から下方に延びている。また、保持部材12には、3つの通過孔24が形成されている。通過孔24の夫々は、保持部材12を上下方向に貫通しており、上面及び下面に開口している。
【0047】
図2を
図6と併せて参照すると、本実施の形態の第1対象物82は、上側の3つの位置決め突起22によって、XY平面においてコネクタ10に位置決めされてコネクタ10に取り付けられる。本実施の形態の第2対象物86は、下側の3つの位置決め突起22によって、XY平面においてコネクタ10に位置決めされてコネクタ10に取り付けられる。
図1を
図6と併せて参照すると、コネクタ10に取り付けられた第1対象物82及び第2対象物86は、通過孔24を介して第1対象物82及び第2対象物86のねじ穴(図示せず)にねじ込まれたねじによって、コネクタ10に固定される。
【0048】
本実施の形態の保持部材12には、上述のように機能する位置決め突起22及び通過孔24が形成されている。但し、保持部材12の構造は、第1対象物82及び第2対象物86に合わせて様々に変形可能である。例えば、位置決め突起22及び通過孔24は、必要に応じて形成すればよい。
【0049】
図1を参照すると、本実施の形態の保持部材12には、10個のコンタクトモジュール14に夫々対応する10個の保持領域25が設けられている。コンタクトモジュール14の夫々は、対応する保持領域25に収容され保持されている。保持領域25の数は、コンタクトモジュール14の数と一致していればよい。例えば、コネクタ10が1つのコンタクトモジュール14のみを備えている場合、保持領域25は、1つのみ設ければよい。
【0050】
以下、本実施の形態の保持領域25のうちの1つについて説明する。以下の説明は、保持領域25の夫々に適用可能である。
【0051】
図1を
図3及び
図4と併せて参照すると、保持領域25には、複数の収容部26と、溝部27と、2つの保持孔28とが形成されている。収容部26、溝部27及び保持孔28の夫々は、保持部材12の内部に形成された空間である。
【0052】
収容部26は、コンタクトモジュール14のグランド端子33及び信号端子60に夫々対応して設けられており、ピッチ方向(Y方向)において一列に並んで収容列を形成している。収容部26の夫々は、上方及び下方に開口している。保持孔28は、コンタクトモジュール14の被保持部38に夫々対応して設けられており、ピッチ方向における収容列の両側に夫々位置している。保持孔28の夫々は、上方に開口している。溝部27は、コンタクトモジュール14の帯状部31に対応して設けられており、2つの保持孔28の間をピッチ方向に沿って延びている。溝部27は、下方にのみ開口している。
【0053】
図3を参照すると、保持孔28の夫々は、保持部29を有している。即ち、保持部材12は、保持部29を有している。保持部29の夫々は、保持孔28の前側部であり、保持孔28の後側部から前方に凹んでいる。保持部29の夫々は、底のある空間である。換言すれば、保持部29の夫々は、上方にのみ開口している。保持孔28の後側部は、上下方向において溝部27と連通しており、溝部27を介して下方に開口している。
【0054】
本実施の形態の保持領域25(
図1参照)は、上述の構造を有している。但し、保持領域25がコンタクトモジュール14を保持できる限り、保持領域25の構造は、特に限定されない。
【0055】
図8を
図3及び
図4と併せて参照すると、本実施の形態のコンタクトモジュール14は、以下に説明するように保持部材12に取り付けられて保持されている。
【0056】
まず、コンタクトモジュール14の帯状部31を、保持部材12の溝部27に下方から挿入する。このとき、コンタクトモジュール14のグランド端子33及び信号端子60の上部は、収容部26に夫々受容される。また、コンタクトモジュール14の被保持部38は、YZ平面に沿って延びるようにして弾性変形しつつ、溝部27に受容される。コンタクトモジュール14を上方に移動し続けると、被保持部38は、溝部27を通過して保持孔28の内部に位置する。このとき、被保持部38は、初期形状に戻り、被保持部38の下端は、保持部29の底の真上に位置する。このとき、コンタクトモジュール14は、保持部材12に取り付けられている。
【0057】
コンタクトモジュール14が保持部材12に取り付けられたとき、被保持部38は、保持部29に保持されている。より具体的には、コンタクトモジュール14を下方に移動しようとすると、被保持部38が保持部29の底に突き当たる。コンタクトモジュール14を上方に更に移動しようとすると、帯状部31が溝部27の天井に突き当たる。
【0058】
以上に説明したように、本実施の形態の被保持部38は、コンタクトモジュール14の抜去を防止するランスとして機能する。本実施の形態によれば、2つの被保持部38がコンタクトモジュール14のピッチ方向(Y方向)における両端に夫々設けられているため、保持部材12は、コンタクトモジュール14を、より確実に保持できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、被保持部38の数は1であってもよい。被保持部38は、ランスに限られない。例えば、被保持部38は、圧入部であってもよい。後述するように、コンタクトモジュール14は、第2対象物86(
図6参照)に半田付けされていてもよい。この場合、保持部29及び被保持部38を設ける必要はない。
【0059】
図4を
図7と併せて参照すると、コンタクトモジュール14が保持部材12に保持されたとき、グランド端子33及び信号端子60の夫々は、対応する収容部26の内部に位置する。グランド端子33及び信号端子60の夫々において、上端は、収容部26から上方に突出し、下端は、収容部26から下方に突出する。収容部26の夫々は、対応するグランド端子33又は対応する信号端子60の弾性変形を許容するサイズを有している。より具体的には、グランド端子33の第1ばね部32及び信号端子60の第2ばね部36の夫々は、収容部26の内壁面に接触することなく、収容部26の内部において弾性変形可能である。
【0060】
以下、本実施の形態のグランド端子33のうちの1つ及び信号端子60のうちの1つについて更に詳しく説明する。以下の説明は、グランド端子33の夫々及び信号端子60の夫々に適用可能である。
【0061】
図11を
図7と併せて参照すると、本実施の形態のグランド端子33は、1枚の金属片のみから形成されている。グランド端子33は、第1対象物82に接続されるグランド接点34と、第2対象物86に接続されるグランド接続部35とを有している。グランド接点34及びグランド接続部35の夫々には、例えば、金メッキが施されている。グランド接点34及びグランド接続部35の夫々は、所定方向に移動可能である。本実施の形態の所定方向は、上下方向であり、Z方向である。但し、後述するように、本発明は、これに限られない。
【0062】
図11に示されるように、本実施の形態のグランド接点34及びグランド接続部35の夫々は、第1ばね部32に設けられている。詳しくは、グランド接点34は、第1上側ばね部322に設けられており、グランド接続部35は、第1下側ばね部324に設けられている。グランド接点34は、グランド端子33の上端に位置しており、第1上側ばね部322の弾性変更に伴って上下に移動可能である。グランド接続部35は、グランド端子33の下端に位置しており、第1下側ばね部324の弾性変更に伴って上下に移動可能である。グランド接点34及びグランド接続部35は、互いに独立に移動可能である。
【0063】
本実施の形態によれば、グランド接点34は、第1上側ばね部322の上端部を上方に張り出す弧形状に曲げて形成されており、グランド接続部35は、第1下側ばね部324の下端部を下方に張り出す弧形状に曲げて形成されている。但し、本発明のグランド接点34及びグランド接続部35の形成方法は、特に限定されない。
【0064】
図12を
図4と併せて参照すると、本実施の形態の信号端子60は、第2ばね部36及び帯状部31の一部を含む1枚の金属片からなる第1層と、絶縁部40からなる第2層と、導電部50からなる第3層の3層を有している。導電部50は、第1対象物82に接続される信号接点54と、第2対象物86に接続される信号接続部55とを有している。信号接点54及び信号接続部55の夫々には、例えば、金メッキが施されている。信号接点54及び信号接続部55の夫々は、所定方向(Z方向)に移動可能である。
【0065】
図12に示されるように、本実施の形態の信号接点54及び信号接続部55の夫々は、絶縁部40を介して、第2ばね部36に支持されている。詳しくは、信号接点54は、絶縁部40を介して、第2上側ばね部362に支持されており、信号接続部55は、絶縁部40を介して、第2下側ばね部364に支持されている。信号接点54は、信号端子60の上端に位置しており、第2上側ばね部362の弾性変更に伴って上下に移動可能である。信号接続部55は、信号端子60の下端に位置しており、第2下側ばね部364の弾性変更に伴って上下に移動可能である。信号接点54及び信号接続部55は、互いに独立に移動可能である。
【0066】
本実施の形態によれば、信号接点54は、第2上側ばね部362の上端部を上方に張り出す弧形状に曲げることで形成されており、信号接続部55は、第2下側ばね部364の下端部を下方に張り出す弧形状に曲げることで形成されている。但し、本発明の信号接点54及び信号接続部55の形成方法は、特に限定されない。
【0067】
図8を
図4及び
図7と併せて参照すると、コネクタ10が第1対象物82及び第2対象物86に接続された接続状態(
図7の状態)において、グランド端子33のグランド接点34及びグランド接続部35は、第1対象物82のグランド線83及び第2対象物86のグランド線87に夫々押し付けられて接触し、信号端子60の信号接点54及び信号接続部55は、第1対象物82の信号線84及び第2対象物86の信号線88に夫々押し付けられて接触する。
【0068】
以上に説明したように、本実施の形態のコンタクトモジュール14によれば、金属製のグランド部材30の一部を、第1対象物82のグランド線83及び第2対象物86のグランド線87に接続されるグランド端子33として使用できる。即ち、本実施の形態によれば、単層構造のグランド端子33を形成できる。このため、コンタクトモジュール14を比較的簡単に製造できる。また、本実施の形態によれば、絶縁層を通過させてグランド層を金属製の基部に接続するといった従来の複雑な構造が不要である。このため、グランド端子33の接触不良といった問題を防止しつつ、グランド端子33を、第1対象物82のグランド線83及び第2対象物86のグランド線87に、十分な接触力で確実に接続できる。
【0069】
また、本実施の形態の信号端子60は、金属製のグランド部材30のばね力を利用して弾性変形可能である。この構造によれば、信号端子60を、第1対象物82の信号線84及び第2対象物86の信号線88に十分な接触力で確実に接続できる。即ち、本実施の形態によれば、より簡易な構造及びより高い接続信頼性を有するコンタクトモジュール14を提供できる。
【0070】
本実施の形態によれば、グランド端子33のうち保持部材12の上面を超えて突出する部位のサイズを変えることで、第1対象物82のグランド線83に対する接触力を調整でき、グランド端子33のうち保持部材12の下面を超えて突出する部位のサイズを変えることで、第2対象物86のグランド線87に対する接触力を調整できる。同様に、信号端子60のうち保持部材12の上面を超えて突出する部位のサイズを変えることで、第1対象物82の信号線84に対する接触力を調整でき、信号端子60のうち保持部材12の下面を超えて突出する部位のサイズを変えることで、第2対象物86の信号線88に対する接触力を調整できる。
【0071】
本実施の形態によれば、接続状態におけるグランド部材30は、グランド電位を有し、これにより、信号端子60は、マイクロストリップラインを形成する。本実施の形態によれば、信号端子60の導電部50は、XZ平面(直交平面)において、信号接点54及び信号接続部55を除いて、グランド端子33と異なる位置にある。しかしながら、グランド電位を有するグランド端子33と信号が流れる信号端子60とは、互いに隣り合っており、且つ、互いに平行に延びている。これらの構造によれば、コンタクトモジュール14の信号伝送特性を向上できる。
【0072】
図8を
図13と併せて参照すると、本実施の形態によれば、グランド接点34と信号接点54とは、ピッチ方向(Y方向)及び直交方向(Z方向)の双方と直交する前後方向において互いに同じ位置にあり、グランド接続部35と信号接続部55とは、前後方向において互いに同じ位置にある。この配置によれば、接続状態におけるグランド端子33と信号端子60とを互いに平行に配置し易い。但し、グランド接点34、信号接点54、グランド接続部35及び信号接続部55の配置は、必要に応じて変形可能である。
【0073】
図4及び
図7を参照すると、本実施の形態におけるグランド接点34、信号接点54、グランド接続部35及び信号接続部55の夫々が移動する所定方向は、上下方向である。即ち、グランド接点34及び信号接点54の夫々は、上下に移動可能である。同様に、グランド接続部35及び信号接続部55の夫々は、上下に移動可能である。コネクタ10が第1対象物82と第2対象物86とによって上下に挟まれた状態において、グランド接点34及び信号接点54は、第1対象物82に押し付けられて接続され、グランド接続部35及び信号接続部55は、第2対象物86に押し付けられて接続される。このとき、第1ばね部32及び第2ばね部36は弾性変形し、これにより、グランド端子33及び信号端子60の夫々は、対応する収容部26の内部に完全に受容される。
【0074】
即ち、本実施の形態のコンタクトモジュール14は、半田付けすることなく、第1対象物82及び第2対象物86に電気的に接続可能である。但し、本発明は、これに限られない。コンタクトモジュール14を第1対象物82及び第2対象物86に接続する方法は、以下に説明するように、様々に変形可能である。
【0075】
例えば、グランド接続部35及び信号接続部55の夫々を、第2対象物86のグランド線87及び信号線88に夫々半田付けしてもよい。この場合、第2対象物86に半田付され固定されたコンタクトモジュール14に対して、第1対象物82を下方に向かって押し付けてもよい。また、コネクタ10がエッジコネクタである場合、グランド接点34及び信号接点54の夫々は、前後方向に移動可能であってもよい。即ち、所定方向は、上下方向と直交する前後方向であってもよい。この場合、グランド接点34及び信号接点54の夫々は、YZ平面に沿って延びる第1対象物82に対して前後方向に沿って押し付けられて接続してもよい。
【0076】
図14を
図4及び
図7と併せて参照すると、本実施の形態のグランド接点34と信号接点54とは、所定方向(Z方向)において互いに同じ位置にある。この配置によれば、コネクタ10を第1対象物82と接続する際、グランド接点34の移動量を信号接点54の移動量と一致させることができ、グランド接点34及び信号接点54を互いに同様な接触力で第1対象物82に接続できる。同様に、本実施の形態のグランド接続部35と信号接続部55とは、所定方向(Z方向)において互いに同じ位置にある。この配置によれば、グランド接続部35及び信号接続部55を互いに同様な接触力で第2対象物86に接続できる。
【0077】
但し、グランド接点34、信号接点54、グランド接続部35及び信号接続部55の配置は、第1対象物82及び第2対象物86に合わせて様々に変形可能である。例えば、グランド接点34及び信号接点54の夫々を第1対象物82に対して前後方向に沿って押し付ける場合、グランド接点34と信号接点54とを、所定方向(X方向)において互いに同じ位置に配置すればよい。
【0078】
本実施の形態のグランド端子33は、張出部332を有している。張出部332は、所定方向(Z方向)に張り出しており、部分的にグランド接点34として機能する。詳しくは、張出部332は、所定方向において、信号端子60の絶縁部40及び導電部50の合計厚さTHと同じサイズを有している。
【0079】
本実施の形態によれば、張出部332を形成することで、第1上側ばね部322の上部を第2上側ばね部362の上部と同様に曲げつつ、グランド接点34と信号接点54とを所定方向において互いに同じ位置に配置できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1上側ばね部322の上部を、第2上側ばね部362の上部と異なるように曲げることで、グランド接点34と信号接点54とを所定方向において互いに同じ位置に配置してもよい。この場合、張出部332は、形成する必要がない。
【0080】
本実施の形態のグランド端子33は、張出部332に加えて、張出部334を有している。張出部334は、所定方向(Z方向)に張り出しており、部分的にグランド接続部35として機能する。詳しくは、張出部334は、張出部332と同様に、所定方向において、信号端子60の絶縁部40及び導電部50の合計厚さTHと同じサイズを有している。但し、本発明は、これに限られない。グランド接続部35の形成方法は、グランド接点34と同様に変形可能である。
【0081】
本実施の形態のコンタクトモジュール14は、以下のように製造できる。
【0082】
図15を参照すると、まず、基部材70を作製する。詳しくは、まず、矩形形状の金属板72を作製する。次に、金属板72の上に絶縁部材74を形成する。次に、絶縁部材74の上に導電部材76を形成する。
図15及び
図16を参照すると、次に、基部材70を切り抜いて中間部材71を作製する。中間部材71には、グランド部材30と、複数の絶縁部40と、帯状絶縁部42と、複数の導電部50とが形成されている。
図16を
図8と併せて参照すると、次に、中間部材71に対して曲げ等の加工を施してコンタクトモジュール14を作製する。上述した製造方法によれば、コンタクトモジュール14の多数のグランド端子33及び多数の信号端子60を、纏めて簡単に作製できる。但し、上述した製造方法は一例に過ぎず、コンタクトモジュール14の製造方法は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0083】
10 コネクタ
12 保持部材
14 コンタクトモジュール
22 位置決め突起
24 通過孔
25 保持領域
26 収容部
27 溝部
28 保持孔
29 保持部
30 グランド部材
31 帯状部
32 第1ばね部
322 第1上側ばね部
324 第1下側ばね部
33 グランド端子
332,334 張出部
34 グランド接点
35 グランド接続部
36 第2ばね部
362 第2上側ばね部
364 第2下側ばね部
37 端子基部
38 被保持部
40 絶縁部
42 帯状絶縁部
50 導電部
54 信号接点
55 信号接続部
60 信号端子
70 基部材
71 中間部材
72 金属板
74 絶縁部材
76 導電部材
82 第1対象物
83 グランド線
84 信号線
86 第2対象物
87 グランド線
88 信号線