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特開2025-9461屋外プロジェクタ、及び屋外投射表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009461
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】屋外プロジェクタ、及び屋外投射表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20250110BHJP
   B60Q 1/28 20060101ALI20250110BHJP
   B60Q 1/30 20060101ALI20250110BHJP
   B60Q 1/32 20060101ALI20250110BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20250110BHJP
   B60Q 1/46 20060101ALI20250110BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
B60Q1/28
B60Q1/30
B60Q1/32
B60Q1/44 Z
B60Q1/46
B60Q1/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112481
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 一
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA32
3K339AA33
3K339AA34
3K339AA39
3K339AA43
3K339BA02
3K339BA08
3K339BA10
3K339BA11
3K339BA12
3K339BA22
3K339BA24
3K339BA25
3K339DA05
3K339EA01
3K339EA02
3K339GB01
3K339GB16
3K339GB21
3K339JA22
3K339KA02
3K339KA04
3K339KA09
3K339KA11
3K339MA05
3K339MA06
3K339MC17
3K339MC36
3K339MC92
(57)【要約】
【課題】 屋外プロジェクタを大型化することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制する。
【解決手段】 屋外プロジェクタ10は、光源61と、駆動部50と、制御部44と、を有し、制御部44は、光源61を、第1の駆動電流値により電流駆動させる第1の駆動モードと、光源61を、第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値で電流駆動させると共に、所定のデューティで間欠的に駆動させる第2の駆動モードと、を切り替えることが可能であり、第2の駆動モードでは、画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、第1の期間における光源の駆動によって上昇した光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間と、が繰り返され、第2の期間は、光源の温度が、許容上限温度を超えないように設定される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両外の対象物に対して光の投射により画像を表示する屋外プロジェクタであって、
光源と、
前記光源の駆動電流値を調整することにより、前記光源の出力を変化させることが可能な駆動部と、
前記駆動部を制御して、前記光源の出力を可変に制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記光源を、第1の駆動電流値により電流駆動させる第1の駆動モードと、
前記光源を、前記第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値で電流駆動させると共に、所定のデューティで間欠的に駆動させる第2の駆動モードと、
を切り替えることが可能であり、
前記第2の駆動モードでは、前記所定のデューティに対応して、
前記第2の駆動電流値による駆動によって前記光源の出力を高め、前記画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、
前記光源を非発光として前記第1の期間において上昇した前記光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間と、が繰り返されると共に、
前記第2の期間は、前記光源の温度が、許容上限温度を超えないように設定される、
屋外プロジェクタ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車両の周囲の照度、及び前記照度を推定可能な情報の少なくとも一方を含む照度関連情報に基づく判定によって、第1の明るさ環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、
前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合は、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させる、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づく判定によって、第1の温度環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、
前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合は、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させる、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2の駆動モードにより前記光源の出力を制御している場合において、前記光源の冷却を強化する必要があると判定される場合には、前記第2の駆動電流値を、より電流値が低い第3の駆動電流値に変更する、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像の種類に応じて、前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードを切り替える制御を実施する、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2の駆動モードにおける前記デューティを50%以上として前記画像を点滅させることで、前記画像を、視認者の注意を喚起する注意喚起性が高い画像として表示する、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項7】
前記第2の駆動モードにおける前記光源の間欠駆動の周波数は、60Hz以下である、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項8】
前記第2の駆動モードにおける前記第2の駆動電流値は、
前記光源の温度が、許容上限温度を超えず、かつ前記第2の駆動モードにおける前記デューティが50%以上であることを条件として、
前記第1の駆動モードにおける前記第1の駆動電流値の1.2倍以上に設定される、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項9】
前記光源を冷却する冷却部を有し、
前記制御部は、
前記車両の周囲の照度、及び前記照度を推定可能な情報の少なくとも一方を含む照度関連情報に基づく判定によって第1の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づく判定によって、第1の温度環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、
前記照度関連情報に基づく判定によって、前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記温度関連情報に基づく判定によって、前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合であって、かつ前記冷却部が動作している場合には、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させ、
前記照度関連情報に基づく判定によって、前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記温度関連情報に基づく判定によって、前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合であって、かつ前記冷却部が動作していない場合には、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させる、
請求項1に記載の屋外プロジェクタ。
【請求項10】
車両に搭載される屋外プロジェクタから、前記車両外の対象物に対して光を投射して画像を表示する場合における表示を制御する屋外投射表示制御方法であって、
前記車両の周囲の照度、前記照度を推定可能な情報、光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも1つに基づいて、前記画像の視認性が低下するか否かを判定する第1のステップと、
前記画像の視認性が低下すると判定される場合において、前記画像の視認性が低下しないと判定される場合における前記光源の第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値を設定して、前記光源を所定のデューティで間欠的に駆動し、画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、前記第1の期間における前記光源の駆動によって上昇した前記光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間とを繰り返し、これによって、前記光源を、前記光源の温度が許容上限温度を超えないように間欠駆動する第2のステップと、
を含む、屋外投射表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載され、車両外の対象物に対して光の投射により画像を表示する屋外プロジェクタ、及び屋外投射表示制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(例えば図1図2等)には、各種の情報を、路面や壁面等に投射して表示する車両用の画像投射装置が示されている。
【0003】
特許文献2の段落[0006]には、「プロジェクタは、光源装置と、画像情報の階調レベルに応じて前記光源装置から射出された光束の光透過率または光反射率を変化させることで光変調を実施して光学像を形成する電気光学装置と、電気光学装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、光源装置を間欠点灯制御する光源駆動制御部と、光源装置近傍に配置され光源装置の温度を検出する温度検出部とを備え、光源駆動制御部は、光源装置を所定のデューティ比で間欠点灯させるデューティ比制御を実施するデューティ比制御部と、デューティ比制御部による制御状態を切り替える制御状態切替部とを備え、制御状態切替部は、温度検出部にて検出された検出温度と所定の第1温度閾値とを比較し、検出温度が第1温度閾値を超えた場合に、光源装置を間欠点灯させる際の単位時間当りの点灯時間を短くするデューティ比抑制制御をデューティ比制御部に実施させる」旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7203932号公報
【特許文献2】特開2005-189323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、「車両(四輪車の自動車の他、自動三輪車、自動二輪車等も含む)に搭載され、車両外の対象物(路面や壁の他、自車両のドアや窓の外面等もこの対象物に含まれるものとする)に対して光の投射により画像を表示するプロジェクタ」を「屋外プロジェクタ(言い換えれば、車外プロジェクタ、路面投射プロジェクタ等)」と称する。但し、説明の便宜上、単に「プロジェクタ」と称する場合がある。
【0006】
例えば、車両のドア横の路面に所定の画像を表示する場合、車両の周囲の照度が高い場合(例えば、陽ざしが強く周囲が明るい場合)には、その画像の視認性は低下し、車両の乗員等が画像を視認しづらくなる場合があり、また、画像を正確に認識できない場合等も想定され得る。
【0007】
また、プロジェクタの光源(レーザーダイオード等)の発光強度は、光源の温度が高くなると低下する。車両の周囲温度が高い場合(例えば、夏の晴天の環境下にある場合)、あるいは長時間の車両の運転によってプロジェクタ内の温度が上昇した場合等においては、光源の温度も上昇し、これに伴って光源の発光強度が低下し、その画像の視認性が低下し、車両の乗員が画像をしづらくなる場合があり、また、画像を正確に認識できない場合等も想定され得る。
【0008】
この対策としては、光源の温度上昇を抑制するために、光源を冷却する機能を強化することが考えられるが、この場合は、冷却部が大型化し、これに伴いプロジェクタのサイズも大型化し、車両への搭載が難しくなる場合がある。
【0009】
一方、小型のプロジェクタでは、冷却部の大型化ができず、光源の温度上昇を抑制する能力が弱まり、許容される温度条件に基づいて光源の発熱量が制限され、よって、例えば高い照度の環境下では、表示される画像の輝度が不足して視認性が低下したり、視認が難しくなったりするという課題が生じる。
【0010】
上記の特許文献2は、屋内で使用される一般的なプロジェクタを対象としており、屋外プロジェクタにおける、「周囲照度(周囲の明るさ)等に起因して表示画像の輝度が不足する状態となり、画像の視認性に問題が生じる場合がある」という独自の課題については記載がなく、その対策についても言及がない。
【0011】
また、特許文献2は、「検出温度が温度閾値を超えた場合に、光源の点灯デューティを低下させる技術」を開示するが、この技術では、光源の温度が高い状況下では、光源の発光強度が低下することになり、画像の輝度がますます低下する。よって、特許文献2は、上記の課題に対する対策にはなり得ない。
【0012】
本発明は、屋外プロジェクタを大型化することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0015】
第1の態様において、屋外プロジェクタは、車両に搭載され、前記車両外の対象物に対して光の投射により画像を表示する屋外プロジェクタであって、光源と、前記光源の駆動電流値を調整することにより、前記光源の出力を変化させることが可能な駆動部と、前記駆動部を制御して、前記光源の出力を可変に制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記光源を、第1の駆動電流値により電流駆動させる第1の駆動モードと、前記光源を、前記第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値で電流駆動させると共に、所定のデューティで間欠的に駆動させる第2の駆動モードと、を切り替えることが可能であり、前記第2の駆動モードでは、前記所定のデューティに対応して、前記第2の駆動電流値による駆動によって前記光源の出力を高め、前記画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、前記光源を非発光として前記第1の期間において上昇した前記光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間と、が繰り返されると共に、前記第2の期間は、前記光源の温度が、許容上限温度を超えないように設定される。
【0016】
第1の態様では、アナログ調光を採用すると共に、光源の駆動方法として、第1、第2の各駆動モードを備える新方式の駆動方法を採用する。
第1の駆動モードでは、第1の駆動電流値により光源を駆動し、第2の駆動モードでは、光源を所定のデューティで間欠的に駆動する。
なお、第1の駆動モードでは、光源は所定の駆動電流値(オン電流値)で定常的に駆動(連続駆動)されるのが原則であるが、但し、例えば光量の調整等のために、光源を所定のデューティで間欠的に駆動する場合もあり得る。
【0017】
本態様では、光源の発光強度を高める必要がある場合には、第2の駆動モードが採用される。第2の駆動モードでは、第1の駆動電流値よりも大きい第2の電流値により光源を駆動して画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、光源を非発光として第1の期間において上昇した光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間とが繰り返される。
ここで、第2の期間として適切な長さを設定することで、光源の温度が許容上限温度を超えないようにすることができる。
【0018】
本態様では、第1の期間において光源の発光強度を高めることで、屋外プロジェクタによって表示される画像の輝度を高めて視認性を向上させる。
一方、発光強度を高めたことに伴う温度の急上昇については、第1の期間の直後に、光源を非点灯として光源を冷却する第2の期間を設けることで対策し、これによって、光源の温度が許容上限温度を超えないようにすることができ、よって、光源の高温による特性劣化や故障等を確実に抑制することができる。
【0019】
このように、本態様によれば、光源の発光強度の向上と、光源の温度が許容上限温度を超えないようにすること、を両立させることができる。
よって、屋外プロジェクタを大型化(言い換えれば、冷却部を大型化)することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制することが可能となる。
【0020】
第1の態様に従属する第2の態様において、前記制御部は、前記車両の周囲の照度、及び前記照度を推定可能な情報の少なくとも一方を含む照度関連情報に基づく判定によって、第1の明るさ環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合は、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させてもよい。
【0021】
第2の態様では、照度関連情報に基づいて、車両の周囲の照度が第1の明るさ環境であるか、第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であるかを判定し、第2の明るさ環境であると判定される場合において、第2の駆動モードによる光源の間欠駆動を実施する。
【0022】
例えば、車両のドア横の路面に所定の画像を表示する場合、車両の周囲の照度が高い場合(例えば、陽ざしが強く周囲が明るい場合)には、その画像の視認性は低下し、車両の乗員等が画像を視認しづらくなる場合があり、また、画像を正確に認識できない場合等も想定され得る。
そこで、例えば車両の周囲の照度が照度判定閾値以上となる場合には、第2の駆動モードを採用し、光源が発光している期間(第1の期間)における発光強度を高めることで、画像の視認性を改善することができる。
ここで、車両の周囲の照度は、照度センサにより直接的に測定してもよく、また例えば車内に設けられた外光センサ等によって照度を検出し、その検出値(言い換えれば、車両の周囲の照度を推定可能な情報)に基づいて車両の周囲の照度(明るさ)を推定し、上記の駆動モードの切り替えを実施してもよい。また、直接的に車両の周囲照度を測定した測定値、及び車両の周囲の照度を推定可能な情報の双方を用いてもよい。
【0023】
第1の態様に従属する第3の態様において、前記制御部は、前記光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づく判定によって、第1の温度環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合は、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させてもよい。
【0024】
第3の態様では、温度関連情報に基づいて、車両の周囲の温度が第1の温度環境であるか、第1の温度環境よりも高い温度である第2の温度環境であるかを判定し、第2の温度環境であると判定される場合において、第2の駆動モードによる光源の間欠駆動を実施する。
【0025】
光源の温度が上昇すると発光強度が低下することから、表示画像の輝度不足が生じる場合があり得る。また、光源の温度は、車両の周囲温度とも関係し、車両の周囲温度が上昇すれば、これに伴って光源の温度も上昇する。この点を考慮し、本態様では、光源の温度、及び車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づいて、画像の視認性の低下が生じ得るかを判定し、この判定結果に基づいて、第2の駆動モードを選択的に実施することとした。
【0026】
例えば光源の温度(あるいは車両の周囲の温度)が所定の温度閾値以上となる場合には、第2の駆動モードを採用し、光源が発光している期間(第1の期間)における発光強度を高めることで、画像の視認性を改善することが可能となる。
【0027】
第1乃至第3の何れか1つの態様に従属する第4の態様において、前記制御部は、前記第2の駆動モードにより前記光源の出力を制御している場合において、前記光源の冷却を強化する必要があると判定される場合には、前記第2の駆動電流値を、より電流値が低い第3の駆動電流値に変更してもよい。
【0028】
第4の態様では、第2の駆動モードによる光源の駆動を実施中において、例えば、光源の温度上昇の程度が大きくなり、光源の冷却期間(第2の期間)をより長くする必要が生じる場合等においては、第2の駆動電流値を、より電流値が低い第3の駆動電流値に変更し、光源の温度上昇を抑制する。
これにより、光源の高温による特性劣化や故障等を抑制することができる。
【0029】
第1乃至第4の何れか1つの態様に従属する第5の態様において、前記制御部は、前記画像の種類に応じて、前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替える制御を実施してもよい。
【0030】
第5の態様では、画像の種類に応じて、第1、第2の各駆動モードを使い分けすることができる。表示画像は、表示の緊急度や重要度の観点から、例えば、「広告画像や演出画像(例えばウェルカム演出用の画像)」と、「注意喚起画像」と、に大別することができる。
一例として、広告画像や演出画像(例えばウェルカム演出用の画像)については第1の駆動モードで表示し、注意喚起画像については、人が視認できる可能性を高めるために、第2の駆動モードで表示する場合が想定され得る。
【0031】
第1乃至第5の何れか1つの態様に従属する第6の態様において、前記制御部は、前記第2の駆動モードにおける前記デューティを50%以上として前記画像を点滅させることで、前記画像を、視認者の注意を喚起する注意喚起性が高い画像として表示してもよい。
【0032】
第6の態様では、画像を表示する際、デューティ(言い換えれば、光源の発光/非発光のデューティ、表示デューティ、又は光源のオン/オフデューティ)を50%以上として点滅させることで、人(視認者)に、その画像が、注意喚起性が高い画像であるという心証を与えることで、視認性を向上させる。
【0033】
画像によって人(視認者)に注意喚起を促すとき、画像を点滅させることが行われることがある。但し、注意を喚起するためには、その画像の表示が、人(視認者)に安定的に視認されることが必要である。
ここで、デューティが50%未満となると、表示デューティの1周期当たりにおける非表示期間(光源の消灯期間:第2の期間)の方が、表示期間(光源の点灯期間:第1の期間)よりも長くなる。
言い換えれば、表示期間が短いことから、人(視認者)が、その画像の意味を知ることが難しくなり、また、点滅する表示としては不安定、不自然であることから、人(視認者)は違和感を覚える可能性が高く、注意喚起表示である、という心証は受けづらくなる。
そこで、本態様では、50%以上のデューティを確保して、表示期間が非表示期間よりも長くなるようにし、人(視認者)に安定した視覚を与えて画像の意味を分かりやすくすると共に、その点滅が注意喚起を促すという心証を与えて、人の注意を、その画像に引きつけることで、心理的な要因により、画像の視認性をさらに高めることができる。
【0034】
第1乃至第6の何れか1つの態様に従属する第7の態様において、前記第2の駆動モードにおける前記光源の間欠駆動の周波数は、60Hz以下としてもよい。
【0035】
第7の態様では、第2の駆動モードにおける光源の間欠駆動の周波数は、60Hz以下に設定される。第2の駆動モードにおける間欠駆動は、一例として、自動車のワイパーが振動する場合のように、かなりゆっくりと行われるのが好ましい。
間欠駆動の周波数が60Hzである場合、その周期は約0.02秒であり、デューティを50%とすると、発光期間(第1の期間)として0.01秒を確保することができ、人(視認者)は、画像を視認することができ、また、その意味内容を理解することが可能である。
一方、非表示期間(第2の期間)として0.01秒を確保することができ、この期間において、光源からの放熱によって光源の温度を所望の水準(所望の閾値温度)まで下げることが可能である。
このように、間欠駆動の周波数を60Hz以下とすることで、画像の視認性の確保と、光源の冷却と、を両立させることができる。
【0036】
第1乃至第7の何れか1つの態様に従属する第8の態様において、前記第2の駆動モードにおける前記第2の駆動電流値は、前記光源の温度が、許容上限温度を超えず、かつ前記第2の駆動モードにおける前記デューティが50%以上であることを条件として、前記第1の駆動モードにおける前記第1の駆動電流値の1.2倍以上に設定されてもよい。
【0037】
第8の態様によれば、第2の駆動モードにおける第2の駆動電流値は、第1の駆動モードにおける第1の駆動電流値の1.2倍以上に設定される。
少なくとも駆動電流値を1.2倍に増加することによって、画像の視認性の向上効果が得られる。好ましくは、2倍以上とすることが好ましい。
但し、光源の温度が許容上限温度を超えることがなく、かつ、第6の態様で示したように、安定的な画像の視認には50%以上のデューティが必要と考えられることから、この50%のデューティを下回らないという条件を満たすように、倍率を設定するのが好ましい。
【0038】
第1乃至第8の何れか1つの態様に従属する第9の態様において、前記光源を冷却する冷却部を有し、前記制御部は、前記車両の周囲の照度、及び前記照度を推定可能な情報の少なくとも一方を含む照度関連情報に基づく判定によって第1の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づく判定によって、第1の温度環境であると判定される場合は、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させ、前記照度関連情報に基づく判定によって、前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記温度関連情報に基づく判定によって、前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合であって、かつ前記冷却部が動作している場合には、前記第2の駆動モードで前記光源を駆動させ、前記照度関連情報に基づく判定によって、前記第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合、又は、前記温度関連情報に基づく判定によって、前記第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合であって、かつ前記冷却部が動作していない場合には、前記第1の駆動モードで前記光源を駆動させてもよい。
【0039】
第9の態様では、第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替える条件に、冷却部が動作していることを含める。
また、第9の態様では、冷却部は常時、動作するのではなく、例えば光源の温度が許容上限温度に近づいた場合に動作することを想定する。また、ここでは、連続的に光を投射するような第1の駆動モードによる画像形成が好ましい場合が多いことを想定している。
【0040】
第1の明るさ環境から第2の明るさ環境に移行した際に、第1駆動モードを維持できるのが好ましいが、しかし、冷却部が動作している場合は、つまり光源の温度が許容上限温度に近い状況であることを意味するため、冷却部が動作している状況においては、第2の駆動モードが選択される。
【0041】
このように、第9の態様によれば、原則的に第1の駆動モードを使用して安定的な画像表示を行い、一方、第1の明るさ環境から第2の明るさ環境に移行し、かつ冷却部が動作していて光源の温度が高い場合に第2の駆動モードに移行し、これによって、画像の視認性の低下の抑制と高温による光源の劣化や故障の防止とを両立させることができる。
【0042】
第10の態様において、車両に搭載される屋外プロジェクタから、前記車両外の対象物に対して光を投射して画像を表示する場合における表示を制御する屋外投射表示制御方法であって、前記車両の周囲の照度、前記照度を推定可能な情報、光源の温度、及び前記車両の周囲温度の少なくとも1つに基づいて、前記画像の視認性が低下するか否かを判定する第1のステップと、前記画像の視認性が低下すると判定される場合において、前記画像の視認性が低下しないと判定される場合における前記光源の第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値を設定して、前記光源を所定のデューティで間欠的に駆動し、画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間としての第1の期間と、前記第1の期間における前記光源の駆動によって上昇した前記光源の温度を低下させる冷却期間としての第2の期間とを繰り返し、これによって、前記光源を、前記光源の温度が許容上限温度を超えないように間欠駆動する第2のステップと、を含む。
【0043】
第10の態様によれば、屋外プロジェクタを大型化することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制することができる。
【0044】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、車載される屋外プロジェクタによる表示例を示す図である。
図2図2は、車両の周囲の照度が高い場合において、第2の駆動モードを採用した場合の、第1、第2の各期間における画像表示の例を示す図である。
図3図3(A)は、屋外プロジェクタを含む車載投射システムの構成の一例を示す図、図3(B)は、屋外プロジェクタにおける投射部の構成例を示す図である。
図4図4は、屋外プロジェクタの内部構成例を示す図である。
図5図5は、屋外プロジェクタにおける、光源の駆動部、及び制御部の構成例を示す図である。
図6図6は、第1、第2の各駆動モードにおける、制御電圧、光源の駆動信号のデューティ、光源の光出力、及び光源の温度変化の一例を示す図である。
図7図7は、光源の駆動方法(屋外投射表示制御方法)の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0047】
(第1の実施形態)
図1を参照する。図1は、車載される屋外プロジェクタによる表示例を示す図である。図1では、3つの表示例を示している。各表示例は各々独立であるが、図1では、説明の便宜上、3つをまとめて示している。
【0048】
また、図1において、破線で示される扇形の領域は、車両に搭載される(言い換えれば、車両に一体的に固定された)屋外プロジェクタ(ここでは、路面に画像を投射する路面投射表示装置とする)の各々の表示領域の一例を示す。
【0049】
図1の例では、車両1には、6個の屋外プロジェクタ10a~10fが搭載されている。なお、屋外プロジェクタの数は、この例に限定されるものではない。また、屋外プロジェクタとしては、個別の灯体(灯具)を有するプロジェクタであってもよく、また、例えば前照灯2を光源として利用するようなタイプのプロジェクタであってもよい。図1の例では、6個の屋外プロジェクタ10a~10fは各々、個別の灯体(灯具)を有するプロジェクタである。
【0050】
図1において、車両1の前方の右端部に搭載されている屋外プロジェクタ10aは、人8に対して一時的な停止をうながして、道路4への進入を防止する停止線(例えば白線)の画像12を路面上に表示している。
【0051】
また、車両1の右ドアに装着されている屋外プロジェクタ10bは、車両1が目的に到着した際に到着を歓迎する、いわゆるウェルカム演出用の画像(「Welcome」という文字画像)を路面上に表示している。
【0052】
また、車両1の後方の右端部に搭載されている屋外プロジェクタ10cは、車両1を後進させて道路6に出る際に、後方より走ってくる車両や自転車等の乗員に対して、車両が後進して道路に出ようとしていることを示す矢印の画像16を路面上に表示している。
【0053】
なお、図1の表示例は一例であり、これらに限定されるものではなく、屋外プロジェクタは、種々の画像を、路面や壁(あるいは自車両のドアの外面や窓の外面)等の屋外対象物に表示することができる。
【0054】
図2を参照する。図2は、車両の周囲の照度が高い場合において、第2の駆動モードを採用した場合の、第1、第2の各期間における画像表示の例を示す図である。なお、図2において、図1と共通する部分には、同じ符号を付している。
【0055】
図2のA-1に示されるように、図2の例では、車両1の右ドアの横の路面にウェルカム演出用の画像(「Welcome」という文字画像)を表示することを想定する。
【0056】
図2のA-2に示されるように、陽ざしが強く車両1の周囲が明るい(周囲の照度が高い)ために、「Welcome」という文字画像14’は周囲の明るさの中に埋没して視認性がかなり低下しており、場合によっては、車両1の乗員が、その画像を視認(確認)することが困難となる場合も想定され得る。
【0057】
そこで、図2の例では、図2のA-3~A-6に示すように、光源の駆動電流値を上昇させると共に、光源を間欠的に駆動する新しい光源駆動方法(駆動モード)を採用する。
【0058】
この新しい駆動モードは、「第2の駆動モード」と称される。
本実施形態の屋外プロジェクタ10a~10fの各々に搭載される制御部は、光源を、第1の駆動電流値により電流駆動させる「第1の駆動モード」と、光源を、第1の駆動電流値よりも大きい第2の駆動電流値で電流駆動させると共に、所定のデューティで間欠的に駆動させる第2の駆動モードと、を切り替えることが可能であり、第2の駆動モードでは、所定のデューティに対応して、第2の駆動電流値による駆動によって光源の出力を高め、画像の輝度を向上させる視認性向上表示期間(言い換えれば画像表示期間)としての第1の期間と、光源を非発光として第1の期間において上昇した光源の温度を低下させる冷却期間(非表示期間)としての第2の期間と、が繰り返されると共に、第2の期間は、光源の温度が、許容上限温度を超えないように設定される。
【0059】
光源の駆動周波数は、好ましくは60Hz以下に設定され、表示画像は、かなりゆっくりとした周期で点滅を繰り返す。また、以下の説明では、光源の駆動デューティは50%を想定する。
【0060】
光源の駆動周期の前半が、上記の第1の期間(視認性向上表示期間(言い換えれば画像表示期間)であり、後半が、上記の第2の期間(光源の温度を低下させる冷却期間(言い換えれば非表示期間)である(具体的な動作は図6のA-2参照)。
【0061】
第1の期間(図2のA-3、A-5)においては、光源の駆動電流値(第2の駆動電流値)は、通常の駆動時(図2のA-1)の光源の駆動電流値(第1の駆動電流値)の少なくとも1.2倍以上、好ましくは2倍以上に設定される。但し、光源の温度が許容上限温度を超えず、かつ所定のデューティ(ここでは50%)が維持可能であるという条件の範囲内での駆動となる。
【0062】
なお、屋外プロジェクタの具体的な構成と動作については、図3図6を用いて後述する。
【0063】
図2のA-3では、第2の駆動モードが採用されたことで、光源(例えばレーザーダイオード(LD))の駆動周期の前半である第1の期間において光源の出力(光源の発光強度)が上昇し、よって、ウェルカム演出用の画像(「Welcome」という文字画像)14’’は、図2のA-1における通常時の文字画像14の輝度よりも低いものの、図2のA-2の文字画像14’と比較すると、輝度が向上している。
言い換えれば、視認性が改善されており、車両1の乗員が、その画像14’’を視認(目視)し、確認することは十分に可能である。
【0064】
図2のA-4では、光源の駆動周期の後半である第2の期間において、光源(ここではLD)が非発光状態となる。これに伴い、図2のA-3で表示されていた画像14’’は、図2のA-4では非表示となる。
この第2の期間において、第1の期間における高出力の発光に伴い上昇した光源(LD)の温度を低下させる光源の冷却が実施される。この第2の期間では、例えばペルチエ素子等で構成される冷却部をオンさせて光源を冷却し、光源の温度を効率的に低下させるのが好ましい。
【0065】
次に、図2のA-5では、第1の期間において、光源は再び高出力の発光状態となり、図2のA-3で示した画像14’’が表示される。
【0066】
次に、図2のA-6では、第2の期間において、光源は非発光状態(低出力状態)となり、画像14’’は非表示となる。以下、同様に、光源は所定のデューティで間欠駆動され、これによって、第1の期間における画像の表示と、第2の期間における画像の非表示とが繰り返される。
【0067】
このように、第1の期間(図2のA-3、A-5)において光源の発光強度を高めることで、屋外プロジェクタ10bによって表示される画像(ウェルカム演出用の画像)の輝度を高めて視認性を向上させる。
【0068】
一方、発光強度を高めたことに伴う温度の急上昇については、第1の期間の直後に、光源を非点灯(あるいは低出力)として光源を冷却する第2の期間を設けることで対策し、これによって、光源の温度が許容上限温度を超えないようにすることができ、よって、光源の高温による特性劣化や故障等を確実に抑制することができる。
【0069】
このように、図2のA-3~A-6に示される光源の間欠的な駆動(第2の駆動モードによる駆動)によれば、光源の発光強度の向上と、光源の温度が許容上限温度を超えないようにすること、を両立させることができる。
よって、屋外プロジェクタを大型化(言い換えれば、冷却部を大型化)することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制することが可能となる。
【0070】
また、デューティ(言い換えれば、光源の発光/非発光のデューティ、表示デューティ、又は光源のオン/オフのデューティ)を50%以上として光源を点滅させることで、人(視認者)に、その画像が、注意喚起性が高い画像であるという心証を与えることができ、心理的な側面からも、視認性を向上させることができる(この点の詳細については後述する)。
【0071】
次に、図3を参照する。図3(A)は、屋外プロジェクタを含む車載投射システムの構成の一例を示す図、図3(B)は、屋外プロジェクタにおける投射部の構成例を示す図である。
【0072】
図3(A)において、屋外プロジェクタを含む車載投射システム7は、配光制御ECU20と、情報取得部30と、アンテナANを備える通信部32と、車両制御ECU34と、屋外プロジェクタ10と、センサ部(照度センサ72と、周囲温度センサ74を備える)70と、を有する。
【0073】
配光制御ECU20は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)21と、RAM23と、ROM25と、システムバス26と、配光制御部27と、を有する。
【0074】
情報取得部30は、車両制御ECU34から車両(自車両)1についての各種の情報を取得する。また、情報取得部30は、センサ部70から、照度センサ72、及び周囲温度センサ74の各検出情報(各検出信号)を取得する。
【0075】
配光制御部27は、情報取得部30(及び通信部32)から各種の情報の提供を受け、これに基づいて、車両1に搭載される複数の屋外プロジェクタ10a~10f(図1参照)のうちの何れのプロジェクタを使用して表示を行うかを決定する。この決定の後、配光制御部27は、使用することが決定された屋外プロジェクタ10(10a~10fの何れか)に対して、その旨を通知すると共に、その屋外プロジェクタ10(10a~10fの何れか)の屋外表示制御装置42(の制御部44)に、センサ部70から得た各種のセンサ(照度センサ72、周囲温度センサ74を含む)の検出情報を供給する。
【0076】
屋外プロジェクタ10は、屋外表示制御装置42(制御部44を有する)と、光源を駆動する駆動部50と、光源61と、冷却部63と、光源の温度を検出する光源温度センサ(サーミスタ等)64と、画像の表示光を路面等に投射する投射部(投射光学系を含む)71と、を有する。
【0077】
上記の駆動部50は、APC回路(自動パワー制御回路)52を備える。このAPC回路は、光源61の駆動電流を生成する駆動電流生成部54を備える。
【0078】
また、光源温度センサ64の検出温度情報、及び、冷却部63の動作/非動作(オン/オフ)の情報は、屋外表示制御装置42の制御部44に供給される。
【0079】
ここで、制御部44は、車両1の周囲の照度、及び照度を推定可能な情報の少なくとも一方を含む照度関連情報に基づく判定によって、第1の明るさ環境であると判定される場合は、第1の駆動モードで光源を駆動させ、第1の明るさ環境よりも明るい第2の明るさ環境であると判定される場合は、第2の駆動モードで光源を駆動させてもよい。
【0080】
ここで、車両1の周囲の照度は、照度センサ72により直接的に測定してもよく、また例えば車両1の内部に設けられた外光センサ等(不図示)によって照度を検出し、その検出値(言い換えれば、車両1の周囲の照度を推定可能な情報)に基づいて車両1の周囲の照度(明るさ)を推定し、上記の駆動モードの切り替えを実施してもよい。また、直接的に車両1の周囲照度を測定した測定値、及び車両の周囲の照度を推定可能な情報の双方を用いてもよい。
【0081】
また、制御部44は、光源の温度、及び車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づく判定によって、第1の温度環境であると判定される場合は、第1の駆動モードで光源を駆動させ、第1の温度環境よりも高い温度の第2の温度環境であると判定される場合は、第2の駆動モードで光源を駆動させてもよい。
【0082】
光源の温度が上昇すると発光強度が低下することから、表示画像の輝度不足が生じる場合があり得る。また、光源の温度は、車両の周囲温度とも関係し、車両の周囲温度が上昇すれば、これに伴って光源の温度も上昇する。この点を考慮し、制御部44は、光源の温度、及び車両の周囲温度の少なくとも一方を含む温度関連情報に基づいて、画像の視認性の低下が生じ得るかを判定し、この判定結果に基づいて、第2の駆動モードを選択的に実施してもよい。
【0083】
例えば光源の温度(あるいは車両の周囲の温度)が所定の温度閾値以上となる場合には、第2の駆動モードを採用し、光源が発光している期間(第1の期間)における発光強度を高めることで、画像の視認性を改善することが可能となる。
【0084】
次に、図3を参照する。図3(B)において、投射部71は、集光光学系81と、光変調部82(ここでは、チップ上に多数の微細なミラー(表示素子)が形成されているデジタルマイクロミラーデバイスが使用される)と、画像の表示光88を投射する投射光学系84と、表示素子駆動部86と、を有する。表示素子駆動部86の動作は、制御部44によって制御される。
【0085】
次に、図4を参照する。図4は、屋外プロジェクタの内部構成例を示す図である。図4において、図3と共通する部分には同じ符号を付している。
【0086】
屋外プロジェクタ10は、屋外表示制御装置42(制御部44を含む)と、駆動部50と、投射部71と、を有する。
【0087】
投射部71は、RGBの各色の光を生成するRGB光生成部110と、スペックルノイズを低減するスペックル低減部120(拡散板121を備える)と、集光光学系81と、光路変更部140と、光変調部(ここでは、デジタルマイクロミラーデバイス)82と、デジタルマイクロミラーデバイスを構成する微細なミラー(表示素子)を駆動する表示素子駆動部86と、投射光学系84と、を有する。
【0088】
RGBの各色の光を生成するRGB光生成部110は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した光源61a~61cと、ダイクロイックミラー111~113と、を有する。ここでは、光源61a~61cは、レーザー素子(LD)で構成される。
【0089】
また、集光光学系81は、スペックル低減部120の拡散板121によって拡散されたレーザー光を集光する。この集光光学系81は、コリメータレンズ131と、フライアイレンズ132と、コンデンサレンズ133と、を備える。
【0090】
次に、図5を参照する。図5は、屋外プロジェクタにおける、光源の駆動部、及び制御部の構成例を示す図である。図5において、前掲の図と共通する部分には同じ符号を付している。
【0091】
なお、以下の説明では、光源としてのレーザーダイオードを「LD」と表記する場合がある。また、「光源61」を「LD61」と表記する場合がある。また、「冷却部63」を「ペルチエ素子63」と表記する場合がある。
【0092】
屋外プロジェクタ10は、LDモジュール100を有する。LDモジュール100は、駆動部50と、屋外表示制御装置42と、を有する。
【0093】
駆動部50は、デューティ設定部55と、可変電圧源56と、オペアンプを用いて構成される電圧比較器57と、電圧比較器57の出力電圧によってベースが駆動されて、駆動電流(オン電流)ILをLD61に供給するコレクタ接地のNPNバイポーラトランジスタ(エミッタフォロワ)58と、LD61、ペルチエ素子63、及びサブマウント(あるいはステム)67を備える光源部69と、LD61の電流モニタ用の抵抗(言い換えれば、LD61の負荷抵抗:以下単に「抵抗」という場合がある)Rと、光源温度センサ64と、冷却部としてのペルチエ素子63を駆動するペルチエ素子駆動部(冷却部駆動部)65と、を有する。
【0094】
可変電圧源56は、2つの制御端子(出力電圧制御端子VC、及び出力イネーブル端子EN)を有する、出力電圧を可変に制御可能な電圧源(例えば、出力電圧可変のレギュレータ)である。なお、図中、GNDと記載されている端子は、グランド(接地)端子である。
【0095】
この可変電圧源56は、出力電圧制御端子VC(以下、「VC端子」という場合がある)に印加される制御電圧Vによって、電圧出力端子VO(以下、「VO端子」という場合がある)から出力される出力電圧Voutの電圧レベルが可変に制御される。
【0096】
また、可変電圧源56の出力イネーブル端子EN(以下、「EN端子」という場合がある)にアクティブレベル(例えばHレベル)の電圧が印加されている期間においては、VO端子からの電圧出力が許可され、一方、非アクティブレベル(例えばLレベル)の電圧が印加されている期間においては、VO端子からの電圧出力が禁止される。
【0097】
従って、EN端子に、デューティ設定部55が、所定周期、かつ所定デューティの電圧信号(デューティ設定電圧)VDを印加することにより、可変電圧源56のVO端子から出力される出力電圧Voutのデューティを可変に制御することができる。
【0098】
また、可変電圧源56、電圧比較器57、NPNバイポーラトランジスタ(エミッタフォロワ)58と、光源部69と、抵抗Rとによって負帰還制御系が構成され、この負帰還制御系によって、APC回路(自動パワー制御回路)52(図3(A)参照)が構成される。
【0099】
言い換えれば、負帰還制御によって、可変電圧源56のVO端子から出力される出力電圧Voutと、抵抗Rにおける電圧降下量(抵抗Rの抵抗値とLDの駆動電流ILとの積により定まる)に対応する電圧と、が同じとなるように、駆動電流ILの電流量が自動的に調整される。
【0100】
従って、可変電圧源56のVC端子に印加する電圧(制御電圧)の電圧レベルを調整することによって、VO端子から出力される出力電圧Voutが所定値に設定され、この所定値に対応して、光源であるLD61の駆動電流ILが一義的に定まる。
【0101】
また、デューティ設定部55、可変電圧源56、電圧比較器57、NPNバイポーラトランジスタ(エミッタフォロワ)58、及び抵抗Rによって、駆動電流生成部54(図3(A)参照)が構成される。
【0102】
先に説明したように、駆動部50の駆動モードとしては、第1/第2の駆動モードがあるが、図5の例では、第1の駆動モードにおいては、可変電圧源56のVC端子に印加される制御電圧VはV1に設定され、かつ、そのデューティは100%に設定され、第2の駆動モードにおいては、可変電圧源56のVC端子に印加される制御電圧VはV2(=2V1)に設定され、かつ、そのデューティは50%に設定される。
【0103】
デューティ設定部55が100%のデューティ(図5では、「Duty100%」と表記されている)を設定するときは、所定電圧値(Hレベル)のデューティ設定電圧VD1が可変電圧源56のEN端子に印加される。また、デューティ設定部55が50%のデューティ(図5では、「Duty 50%」と表記されている)を設定するときは、1周期の前半が所定電圧値(Hレベル)であり、後半がLレベル(例えば0V)であるデューティ設定電圧VD2が可変電圧源56のEN端子に印加される。
【0104】
これに対応して、可変電圧源56のVO端子から、Duty100%の出力電圧Vout1、及び、Duty50%の出力電圧Vout2(Hレベルの電圧値は、Vout1の2倍である)が出力される。
【0105】
次に、屋外表示制御装置42における制御部44の構成について説明する。制御部44は、デューティ決定部91と、制御電圧生成部92と、照度判定部93と、光源温度判定部95と、周囲温度判定部96と、冷却部の動作判定部97と、を有する。
【0106】
照度判定部93は、照度センサ72の照度検出信号に基づいて、車両1の周囲の照度(明るさの程度、明るさ環境等)を判定する。また、光源温度判定部95は、光源温度センサ64の光源温度検出信号に基づいて、例えば、光源の温度が、予め設定されている複数の温度区分の内のどの温度区分(温度範囲)にあるかを判定する。また、周囲温度判定部96は、周囲温度センサ74の周囲温度検出信号に基づいて、例えば、車両1の周囲の温度が、予め設定されている複数の温度区分の内のどの温度範囲にあるかを判定する。またた、冷却部の動作判定部97は、ペルチエ素子駆動部(冷却部駆動部)65から供給される動作状態を示す信号に基づいて、冷却部63としてのペルチエ素子が動作中であるか(冷却中であるか)否かを判定する。
【0107】
制御電圧生成部92は、車両1の周囲の照度、車両1の周囲の温度、光源温度の少なくとも1つに基づいて、あるいは、さらに冷却部63が動作しているか否か等を勘案して、可変電圧源56のVC端子に供給する制御電圧Vの電圧レベルを決定し、制御電圧Vを生成、出力する。
【0108】
デューティ決定部91も同様に、車両1の周囲の照度、車両1の周囲の温度、光源温度の少なくとも1つに基づいて、あるいは、さらに冷却部63が動作しているか否か等を勘案して、光源の駆動信号のデューティを決定し、決定したデューティを、デューティ設定部55に通知する。
【0109】
次に、図6を参照する。図6は、第1、第2の各駆動モードにおける、制御電圧、駆動信号のデューティ、光源の光出力、及び光源の温度変化の一例を示す図である。
【0110】
図6のA-1に示されるように、第1の駆動モードでは、発光強度を制御する制御電圧VはVC1に設定され、光源(LD61)の駆動信号のデューティは100%に設定され、光源の光出力(発光強度)はP1である。また、図6のA-1の下側には、光源温度の変化が、特性線Q1により示されている。
【0111】
また、図中、「Ts1」は、第1の温度基準値であり、「Ts2」は、許容温度上限値である第2の温度基準値を示す。光源(LD61)の温度が、第1の温度基準値Ts1付近にあるときは、温度が低いと判定することができ、また、第2の温度基準値(許容温度上限値)Ts2付近にあるときは、温度が高いと判定することができる。
【0112】
特性線Q1が示す温度上昇によれば、光源(LD61)の温度は、時刻t6付近において、第2の温度基準値(許容温度上限値)Ts2に近づくが、例えば時刻t6以降、今までオフしていた冷却部(ペルチエ素子)63をオンして冷却機能を強化することにより、時刻t6以降、光源(LD61)の温度は安定化され、第2の温度基準値(許容温度上限値)Ts2を超えることがない。
【0113】
次に、図6のA-2を参照する。図6のA-2に示されるように、第2の駆動モードでは、発光強度を制御する制御電圧VはVC2に設定され、光源(LD61)の駆動信号のデューティは50%に設定され(但しこれは一例であり、このデューティに限定されない)、光源の光出力(発光強度)はP2に上昇している。
【0114】
図6のA-2において、「TA」は、光源の駆動信号の1周期を示し、「TB1」は第1の期間(視認性向上表示期間)を示し、「TB2」は第2の期間(冷却期間)を示す。
【0115】
第2の駆動モードを採用することで、先に図2のA-3、A-5で示したように、陽射しが強く、明るい環境下であっても、表示画像の視認性を向上でき、車両1の乗員は、その画像を視認(目視)することができる。
【0116】
また、図6のA-2では、光源温度の変化が、特性線Q2により示されている。光出力がP1からP2に変更されたことから、光源温度の変化は、図6のA-1の特性線Q1の場合よりも急峻となる。
【0117】
しかし、デューティが50%に設定されることで、認性向上表示期間としての第1の期間(画像の輝度を高めて視認性を向上させて表示する期間:時刻t1~t2の期間、時刻t3~t4の期間、時刻t5~t6の期間、時刻t7~t8の期間等)に続いて、冷却期間としての第2の期間(光源の非発光期間:時刻t2~t3の期間、時刻t4~t5の期間、時刻t6~t7の期間等)が設定されることから、この第2の期間(冷却期間)において、光源(LD61)の放熱が促進されて光源の温度が効率的に低下する。よって、第2の駆動モードにおいても、光源(LD61)の温度は安定化され、第2の温度基準値(許容温度上限値)Ts2を超えることがない。
【0118】
但し、第2の駆動モードにより光源(LD61)の出力を制御している場合において、光源の冷却を強化する必要があると判定される場合には、光源の駆動電流値(図6のA-2では、第2の駆動電流値で駆動されているものとする)を、より電流値が低い第3の駆動電流値に変更してもよい。
【0119】
言い換えれば、第2の駆動モードによる光源(LD61)の駆動を実施中において、例えば、光源の温度上昇の程度が大きくなり、光源の冷却期間(第2の期間TB1)をより長くする必要が生じる場合等においては、第2の駆動電流値を、より電流値が低い第3の駆動電流値に変更することで、光源の温度上昇を抑制することができる。これにより、光源の高温による特性劣化や故障等を抑制することができる。
【0120】
また、制御部44は、画像の種類に応じて、第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替える制御を実施してもよい。表示画像は、表示の緊急度や重要度の観点から、例えば、「広告画像や演出画像(例えばウェルカム演出用の画像)」と、「注意喚起画像」とに大別することができる。
【0121】
一例として、広告画像や演出画像(例えばウェルカム演出用の画像)については第1の駆動モードで表示し、注意喚起画像については、人が確実に視認できるように第2の駆動モードで表示する場合が想定され得る。
【0122】
また、制御部44は、第2の駆動モードにおけるデューティを50%以上として画像を点滅させることで、画像を、視認者の注意を喚起する注意喚起性が高い画像として表示してもよい。
【0123】
言い換えれば、画像を表示する際、デューティ(言い換えれば、光源の発光/非発光のデューティ、又は表示デューティ)を50%以上として点滅させることで、人(視認者)に、その画像が、注意喚起性が高い画像であるという心証を与えることで、視認性を向上させることができる。
【0124】
画像によって人(視認者)に注意喚起を促すとき、画像を点滅させることが行われることがある。但し、注意を喚起するためには、その画像の表示が、人(視認者)に安定的に視認されることが必要である。
【0125】
ここで、デューティが50%未満となると、表示デューティの1周期当たりにおける非表示期間(光源の消灯期間:第2の期間)の方が、表示期間(光源の点灯期間:第1の期間)よりも長くなる。言い換えれば、表示期間が短いことから、人(視認者)が、その画像の意味を知ることが難しくなり、また、点滅する表示としては不安定、不自然であることから、人(視認者)は違和感を覚える可能性が高く、注意喚起表示である、という心証は受けづらくなる。
【0126】
そこで、本実施形態では、50%以上のデューティを確保して、表示期間が非表示期間よりも長くなるようにし、人(視認者)に安定した視覚を与えて画像の意味を分かりやすくすると共に、その点滅が注意喚起を促すという心証を与えて、人の注意を、その画像に引きつけることで、心理的な側面から、画像の視認性をさらに高めることができる。
【0127】
また、本実施形態では、第2の駆動モードにおける光源(LD61)の間欠駆動の周波数は、60Hz以下とするのが好ましい。第2の駆動モードにおける間欠駆動は、一例として、自動車のワイパーが振動する場合のように、かなりゆっくりと行われるのが好ましい。間欠駆動の周波数が60Hzである場合、その周期は約0.02秒であり、デューティを50%とすると、発光期間(第1の期間)として0.01秒を確保することができ、人(視認者)は、画像を視認することができ、また、その意味内容を理解することができる。
【0128】
一方、非表示期間(第2の期間)として0.01秒を確保することができ、この期間において、光源からの放熱によって光源の温度を所望の水準(所望の閾値温度)まで下げることが可能である。
【0129】
このように、間欠駆動の周波数を60Hz以下とすることで、画像の視認性の確保と、光源の冷却と、を両立させることができる。
【0130】
また、本実施形態では、第2の駆動モードにおける第2の駆動電流値は、光源の温度が、許容上限温度(Ts2)を超えず、かつ第2の駆動モードにおけるデューティが50%以上であることを条件として、第1の駆動モードにおける第1の駆動電流値の1.2倍以上に設定されてもよく、好ましくは2倍以上に設定されるのがよい。
【0131】
少なくとも駆動電流値を1.2倍に増加することによって、画像の視認性の向上効果が得られる。好ましくは、2倍以上とすることが好ましい。但し、光源の温度が許容上限温度を超えることがなく、かつ、上述のとおり、安定的な画像の視認には50%以上のデューティが好ましいと考えられることから、この50%のデューティを下回らないという条件を満たすように倍率を設定するのが好ましい。
【0132】
また、照度情報(照度関連情報)や温度情報(温度関連情報)に基づく判定の結果、第1の駆動モードを第2の起動モードに切り替えた方がよいと判定される場合において、その切り替えの条件に、冷却部(ペルチエ素子等63)が動作していることを含めることができる。
【0133】
ここでは、冷却部は常時、動作するのではなく、例えば光源の温度が許容上限温度に近づいた場合に動作することを想定する。また、連続的に光を投射するような第1の駆動モードによる画像形成が好ましい場合が多いことを想定する。
【0134】
例えば、第1の明るさ環境から第2の明るさ環境に移行した際に、第1駆動モードを維持できるのが好ましいが、しかし、冷却部63が動作している場合は、つまり光源61の温度が許容上限温度Ts2に近い状況であることを意味するため、冷却部63が動作している状況においては、第2の駆動モードが選択される。
【0135】
このように、原則的に第1の駆動モードを使用して安定的な画像表示を行い、一方、第1の明るさ環境から第2の明るさ環境に移行し、かつ冷却部63が動作していて光源61の温度が高い場合等においては、第2の駆動モードに移行する、といった制御を実施してもよい。これによって、画像の視認性の低下の抑制と、高温による光源の劣化や故障の防止とを両立させることができる。
【0136】
(第2の実施形態)
図7を参照する。図7は、光源の駆動方法(屋外投射表示制御方法)の手順例を示すフローチャートである。
【0137】
ステップS1では、例えば、車両の周囲の照度、照度を推定可能な情報、光源の温度、車両の周囲温度の少なくとも1つに基づく判定により、画像の視認性が低下すると判定されるか否かが判定される。
【0138】
ステップS1で、Nのときは、ステップS2に移行して、通常駆動(第1の駆動モード)が採用される。
【0139】
ステップS1で、Yのときは、ステップS3に移行して、視認性向上駆動(第2の駆動モード)が採用される。
【0140】
ステップS4では、光源の発光動作の終了の要否を判定し、Yのときは終了し、NのときはステップS1に戻る。
【0141】
以上説明したように、本発明によれば、屋外プロジェクタを大型化することなく、光源の発光強度を従来よりも高め、周囲照度(周囲の明るさ)等に起因する表示画像の視認性の低下を抑制することができる。
【0142】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0143】
1・・・車両、2…前照灯、4、6・・・道路、7・・・車載投射システム、8・・・人(通行人等)、10(10a~10f)・・・屋外プロジェクタ、12・・・停止線(白線等)の画像、14・・・ウェルカム演出用の画像、16・・・矢印の画像、20・・・配光制御ECU、21・・・MPU(マイクロプロセッシングユニット、プロセッサ)、23・・・RAM、25・・・ROM、26・・・システムバス、27・・・配光制御部、30・・・情報取得部、AN・・・アンテナ、32・・・通信部、34・・・車両制御ECU、42・・・屋外表示制御装置、44・・・制御部、50・・・駆動部、52・・・APC回路(自動パワー制御回路)、54・・・駆動電流生成部、55・・・デューティ設定部、56・・・可変電圧源、57・・・電圧比較器、58・・・コレクタ接地のNPNバイポーラトランジスタ(エミッタフォロワ)、61・・・光源(レーザダイオード(LD)等)、61a~61c・・・R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した光源、63・・・冷却部(ペルチエ素子等)、64・・・光源温度センサ、65・・・ペルチエ素子駆動部(冷却部駆動部)、67・・・サブマウント(あるいはステム)、69・・・光源部、70・・・センサ部、71…投射部、72・・・照度センサ、74・・・周囲温度センサ、81・・・集光光学系、82・・・光変調部(デジタルマイクロミラーデバイス等)、84・・・投射光学系、86・・・表示素子駆動部、88・・・画像の表示光、91・・・デューティ決定部、92・・・制御電圧生成部、93・・・照度判定部、95・・・光源温度判定部、96・・・周囲温度判定部、97・・・冷却部の動作判定部、110・・・RGB光生成部、111~113・・・ダイクロイックミラー、120・・・スペックル低減部、121・・・拡散板、140・・・光路変更部、131・・・コリメータレンズ、132・・・フライアイレンズ、133・・・コンデンサレンズ、R・・・抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7