IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2025-9496基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム
<>
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図1
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図2
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図3
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図4
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図5
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図6
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図7
  • 特開-基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009496
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20250110BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20250110BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20250110BHJP
【FI】
H04B7/06 130
H04W16/28
H04W8/00 110
H04B7/06 950
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112538
(22)【出願日】2023-07-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G研究開発促進事業/次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】通信端末の探索の効率化を図る。
【解決手段】基地局は、通信端末を探索するための探索用電波ビームと、通信端末と通信するための通信用電波ビームとを放射するアンテナと、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナから同時に送信する送信処理と、送信処理によって同時に送信された複数の探索用電波ビームに対応して、通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、通信用電波ビームを用いて、受信処理で受信された電波を送信した通信端末と通信する通信処理と、を実行する制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末の基地局であって、
通信端末を探索するための探索用電波ビームと、通信端末と通信するための通信用電波ビームとを放射するアンテナと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームを前記アンテナから同時に送信する送信処理と、
前記送信処理によって同時に送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して、通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、
通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した前記通信端末と通信する通信処理と、
を実行する、基地局。
【請求項2】
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なる第1の組の探索用電波ビームを含む、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記第1の組の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なり、且つ、互いに隣接する複数の探索用電波ビームを含む、
請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が同一で、且つ、互いに離間する第2の組の探索用電波ビームを含む、
請求項1~3の何れか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記制御部は、前記送信処理において、前記第2の組の探索用電波ビームの向きを変化させながら送信する、
請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記制御部は、前記送信処理において、
前記第2の組の探索用電波ビームの送信を停止し、
周波数が同一で、互いに離間し、且つ、前記第2の組の探索用電波ビームと方向が重複しない第3の組の探索用電波ビームを送信する、
請求項4に記載の基地局。
【請求項7】
前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表すテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
請求項1~3の何れか1項に記載に記載の基地局。
【請求項8】
前記テーブルは、前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかと、前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表わし、
前記制御部は、
前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかの情報を取得する取得処理を実行し、
前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記複数の探索用電波ビームは、それぞれ、互いに異なる周波数と、互いに異なる方向とを有し、
前記受信処理において、前記通信端末によって受信される電波は、前記複数の探索用電波ビームを特定するビーム特定情報を有し、
前記制御部は、前記通信処理において、
前記ビーム特定情報によって特定される探索用電波ビームの周波数及び方向と対応する周波数及び方向の通信用電波ビームを用いて前記通信端末と通信する、
請求項1~3の何れか1項に記載の基地局。
【請求項10】
請求項1に記載の基地局と通信する通信端末であって、
電波を送受信するアンテナと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基地局から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームの何れかを、前記アンテナを介して、受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した探索用電波ビームから前記基地局の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、前記基地局に向けて電波ビームを送信する送信処理と、
前記送信処理で送信された電波ビームを用いて、基地局と通信する通信処理と、
を実行する、通信端末。
【請求項11】
基地局の通信方法であって、
互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナから送信する送信処理と、
前記送信処理によって送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、
通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した通信端末と通信する通信処理と、
を含む、通信方法。
【請求項12】
通信端末の通信方法であって、
請求項1に記載の基地局から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームの何れかを、アンテナを介して、受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した探索用電波ビームから前記基地局の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、前記基地局に向けて電波ビームを送信する送信処理と、
前記送信処理で送信された電波ビームを用いて、基地局と通信する通信処理と、
を含む、通信方法。
【請求項13】
請求項1に記載の制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項10に記載の制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラに関する。
【背景技術】
【0002】
基地局と通信端末間で通信を行う通信システムが知られている。通信システムの一例としては、例えば、特許文献1に記載の無線通信システムが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-121190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無線通信システムにおいて、基地局は端末の方向に向けたビームを形成することで、基地局と端末間での通信が行われる。
【0005】
しかしながら、基地局と通信を行う端末を特定するためには、基地局は、例えば、ビームをスキャンして、端末を探索することが必要となる。このため、端末がビームを受信するまでの待ち時間が発生し、端末の探索に時間を要することになる。
【0006】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その一例示的目的は、通信端末の探索の効率化を図った基地局、通信端末、基地局の通信方法、通信端末の通信方法、基地局の通信プログラム、及び、通信端末の通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例示的側面に係る基地局は、通信端末の基地局であって、通信端末を探索するための探索用電波ビームと、通信端末と通信するための通信用電波ビームとを放射するアンテナと、制御部と、を備え、前記制御部は、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームを前記アンテナから同時に送信する送信処理と、前記送信処理によって同時に送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して、通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した通信端末と通信する通信処理と、を実行する。
【0008】
本開示の一例示的側面に係る基地局の通信方法は、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナから送信する送信処理と、前記送信処理によって送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した通信端末と通信する通信処理と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一例示的側面によれば、通信端末の探索の効率化ができるという一例示的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示に係る通信システムでの通信方法の流れを示すフロー図である。
図3】本開示に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図4】本開示に係る通信システムでの通信方法の流れを示すフロー図である。
図5】本開示に係るビームの配分を示す模式図である。
図6】本開示に係るビームの配分を示す模式図である。
図7】本開示に係るビームの配分を示す模式図である。
図8】本開示に係る基地局又は通信端末の制御部として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を例示する。ただし、本発明は、以下に示す各例示的実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下に示す各例示的実施形態において採用される技術的手段を適宜組み合わせることにより得られる実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。また、以下に示す各例示的実施形態において採用される技術的手段の一部を適宜省略することにより得られる実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。また、以下に示す各例示的実施形態において言及する効果は、その例示的実施形態において期待される効果の一例であり、本発明の外延を規定するものではない。すなわち、以下に示す各例示的実施形態において言及する効果を奏さない実施形態についても、本発明の範疇に含まれ得る。
【0012】
〔第1の例示的実施形態〕
本発明の実施形態の一例である第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する各例示的実施形態の基本となる形態である。なお、本例示的実施形態において採用する各技術的手段の適用範囲は、本例示的実施形態に限定されない。すなわち、本例示的実施形態において採用する各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。また、本例示的実施形態を説明するために参照する図面に示される各技術的手段も、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。
【0013】
(通信システムの構成)
通信システム1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、通信システム1の構成を示すブロック図である。通信システム1は、図1に示すように、基地局10と、少なくとも1つの通信端末20(i)と、を備えている。
【0014】
(基地局の構成)
基地局10は、少なくとも1つの通信端末20(i)の基地局であり、アンテナ11、送受信部12、及び、制御部13を備える。アンテナ11は、送受信部12に駆動されて、探索用電波ビームB1と、通信用電波ビームB2とを放射(送信)し、通信端末20(i)からの電波を受信する。探索用電波ビームB1は、通信端末20(i)を探索するための電波ビームである。通信用電波ビームB2は、通信端末20(i)と通信するための電波ビームである。
【0015】
制御部13は、後述の通信方法S1aに示されるように、送信処理S11aと、受信処理S12aと、通信処理S13aと、を実行する。送信処理S11aは、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1をアンテナ11から同時に送信する処理である。受信処理S12aは、送信処理S11aによって同時に送信された複数の探索用電波ビームB1に対応して、通信端末200(i)から送信された(送信処理S12b)電波を受信する処理である。通信処理S13aは、通信用電波ビームB2を用いて、受信処理S12aで受信された電波を送信した(送信処理S12b)通信端末20(i)と通信する処理である。
【0016】
(通信端末の構成)
通信端末20(i)は、基地局10と通信する通信端末であり、アンテナ21、送受信部22、及び、制御部23を備える。アンテナ21は、送受信部22に駆動されて、探索用電波ビームB1、及び、通信用電波ビームB2を受信し、電波を送信する。通信端末20(i)は、基地局10からの通信用電波ビームB2及び自装置からの電波によって、基地局10と通信できる。制御部23は、後述の通信方法S1bを実行する。
【0017】
(通信システム1での通信方法の流れ)
通信システム1での通信方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、通信方法S1の流れを示すフロー図である。通信方法S1は、図2に示すように、基地局10の通信方法S1aと、通信端末20(i)の通信方法S1bに区分することができる。
【0018】
基地局10の通信方法S1aは、送信処理S11a、受信処理S12a、及び、通信処理S13aを含んでいる。送信処理S11aは、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナから送信する処理である。受信処理S12aは、送信処理S11aによって送信された複数の探索用電波ビームB1に対応して通信端末20(i)から送信された電波を受信する処理である。通信処理S13aは、通信用電波ビームB2を用いて、受信処理S12aで受信された電波を送信した通信端末20(i)と通信する処理である。通信端末20(i)の通信方法S1bは、受信処理S11b、送信処理S12b、及び、通信処理S13bを含んでいる。これら通信方法S1a、S1bは、以下のように実行される。
【0019】
(1)基地局10からの探索用電波ビームB1の送信(送信処理S11a)
基地局10の制御部13は、送受信部12を制御して、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1をアンテナ11から同時に送信する送信処理を実行する。
【0020】
(2)通信端末20(i)による探索用電波ビームB1の受信(受信処理S11b)
通信端末20(i)の制御部23は、基地局10から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1の何れかを、アンテナ21を介して、受信する受信処理を実行する。
【0021】
(3)通信端末20(i)からの電波の送信(送信処理S12b)
通信端末20(i)の制御部23は、基地局10から送信された探索用電波ビームB1に対応して、アンテナ21から電波を送信する送信処理を実行する。
【0022】
(4)基地局10による電波の受信(受信処理S12a)
基地局10の制御部13は、送信処理S11aによって同時に送信された複数の探索用電波ビームB1に対応して、通信端末20(i)から送信された電波を受信する受信処理を実行する。これにより、基地局10の制御部13は、探索用電波ビームB1を通信端末20(i)が受信したとして、通信端末20(i)との通信の開始が可能となる。
【0023】
(5)基地局10と通信端末20(i)の通信(通信処理S13a、S13b)
基地局10の制御部13は、通信用電波ビームB2を用いて、受信処理S12aで受信された電波を送信した通信端末20(i)と通信する通信処理を実行する。一方、通信端末20(i)の制御部23は、送信処理S12bで送信された電波ビームを用いて、基地局10と通信する通信処理を実行する。
【0024】
ここで、通信端末20(i)は、指向性を実質的に有しない電波を用いて、基地局10と通信することができる。一方、通信端末20(i)のアンテナ21が指向性を有する電波ビームを送信できるときは、指向性を有する電波(すなわち、電波ビーム)を用いて、基地局10と通信してもよい。
【0025】
(基地局の効果)
以上のように、基地局10においては、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナ11から同時に送信する送信処理が実行されている。このため、基地局10によれば、1本の探索用電波ビームB1をスキャンする場合と比べて、通信端末20(i)を効率的に探索できる。
【0026】
(基地局の通信方法の効果)
以上のように、通信方法S1aにおいては、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナ11から同時に送信する送信処理の構成が採用されている。このため、基地局の通信方法S1aによれば、1本の探索用電波ビームB1をスキャンする場合と比べて、通信端末20(i)を効率的に探索できる。
【0027】
〔第2の例示的実施形態〕
本発明の実施形態の一例である第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。上述した例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。なお、本例示的実施形態において採用する各技術的手段の適用範囲は、本例示的実施形態に限定されない。すなわち、本例示的実施形態において採用する各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。また、本例示的実施形態を説明するために参照する各図面に示される各技術的手段は、特段の技術的支障が生じない範囲で、本開示に含まれる他の例示的実施形態においても採用可能である。
【0028】
(通信システムの構成)
通信システム2の構成について、図3を参照して説明する。図3は、通信システム2の構成を示すブロック図である。通信システム2は、図1に示すように、基地局100と、少なくとも1つの通信端末200(i)と、を備えている。
【0029】
(基地局の構成)
基地局100は、通信端末200(i)の基地局であり、アンテナ101、送受信部102、制御部103、記憶部104、及び、入出力部105を備える。アンテナ101は、送受信部102に駆動されて、探索用電波ビームB1と、通信用電波ビームB2とを放射する。探索用電波ビームB1は、通信端末200(i)を探索するための電波ビームである。通信用電波ビームB2は、通信端末200(i)と通信するための電波ビームである。制御部103は、後述の通信方法S10aを実行する。記憶部104は、テーブルTaを記憶する。テーブルTaは、複数の探索用電波ビームB1の本数、アンテナ101の種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかと、複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表わすことが好ましい。電波の干渉状態は、探索用電波ビームB1の幅内において、複数の通信端末20(i)から基地局100へ送信される応答電波ビーム間の干渉を意味する。後述のように、複数の通信端末20(i)からの電波の干渉状態に応じて、探索用電波ビームB1の幅や放射する方向を調節することができる。入出力部105は、基地局100の管理者が情報を入出力するための装置、例えば、キーボード、表示装置、タッチディスプレイであり、基地局100の送受信条件の入出力に用いることができる。
【0030】
(通信端末の構成)
通信端末200(i)は、基地局100と通信する通信端末であり、アンテナ201、送受信部202、制御部203、及び、記憶部204を備える。アンテナ201は、送受信部202に駆動されて、電波を送受信する。通信用電波ビームB2は、通信端末200(i)と通信するための電波ビームである。制御部203は、受信処理S111b、抽出処理S112b、送信処理S113b、及び、通信処理S121bを含む後述の通信方法S10bを実行する。受信処理S111bは、基地局100から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1の何れかを、アンテナ201を介して、受信する処理である。抽出処理S112bは、受信処理S111bで受信した探索用電波ビームB1から基地局100の方向を特定する方向特定情報を抽出する処理である。送信処理S113bは、抽出処理S112bで抽出された方向特定情報に基づき、基地局100に向けて電波ビームを送信する処理である。通信処理S121bは、送信処理S113bで送信された電波ビームを用いて、基地局100と通信する処理である。記憶部204は、テーブルTbを記憶する。テーブルTbは、探索用電波ビームB1に含まれる基地局の方向を特定する方向特定情報と基地局100の方向とを対応して表す。
【0031】
(通信システム2での通信方法の流れ)
通信システム1での通信方法S1の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、通信方法S10の流れを示すフロー図である。通信方法S10は、図4に示すように、基地局100での通信方法S10aと、通信端末200(i)での通信方法S10bに区分することができる。通信方法S10aは、取得処理S101a、設定処理102a、送信処理S111a、受信処理S113a、及び、通信処理S121aを含んでいる。通信方法S10bは、受信処理S111b、抽出処理S112b、送信処理S113b、及び、通信処理S121bを含んでいる。これら通信方法S10a、S10bは、以下のように実行される。
【0032】
A.基地局100の送受信条件の取得(取得処理S101a)
基地局100の制御部103は、基地局100の送受信条件を取得する取得処理を実行する。送受信条件は、複数の探索用電波ビームB1の本数、アンテナの種別(性能を含む)、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかの情報を含む。この条件は、制御部103が送受信部102などから取得してもよいし、管理者が入出力部105から入力してもよい。
【0033】
B.基地局100での条件の設定(設定処理S102a)
基地局100の制御部103は、テーブルTaに基づき、送信処理S111aにおいて送信する探索用電波ビームB1のパターンを設定する。
【0034】
基本的に、制御部103は、テーブルTaに基づいて、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向を設定することができる。例えば、テーブルTaは、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向とを対応して表わす。制御部103は、このテーブルTaに基づいて、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向を設定して、送信できる。
【0035】
このとき、制御部103は、取得した送受信条件(複数の探索用電波ビームB1の本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態)に基づいて、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向を設定することができる。例えば、テーブルTaは、送受信条件と、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向とを対応して表わす。制御部103は、テーブルTaに基づいて、複数の探索用電波ビームB1の周波数と送信される方向を設定して送信できる。
【0036】
図5図7は、設定処理S102aにおいて、設定される探索用電波ビームB1のパターンを表す模式図である。図5は、ビームパターンBP11~BP13を表す。図6は、ビームパターンBP21、BP22を表す。図7は、ビームパターンBP31、BP32を表す。
【0037】
ビームパターンBP11~BP13、BP21、BP22、BP31、BP32の中心Cに基地局100のアンテナ101が配置される。図5図7は、アンテナ101の上方から探索用電波ビームB1を見た状態を表す。アンテナ101は、送受信部102によって駆動され、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1を同時に放射することができる。アンテナ101から中心Cを中心とする円周CFに向かって探索用電波ビームB1が放射状に放射される。
【0038】
(1)ビーム態様(1):同時に送信される複数の探索用電波ビームB1は、周波数が互いに異なる第1の組の探索用電波ビームを含むことができる。
【0039】
このとき、第1の組の複数の探索用電波ビームB1は、周波数が互いに異なり、且つ、互いに隣接する複数の探索用電波ビームB1を含んでもよい(ビーム態様(1-1))。
【0040】
ビームパターンBP11~BP13は、ビーム態様(1-1)の例であり、探索用電波ビームB1の本数が16、8、4の場合を表す。なお、ビームパターンBP12、BP13は、探索用電波ビームB1の最大本数が16であることを前提としている。
【0041】
ビームパターンBP11では、中心Cから真北(N)の方向を基準として、右回りの方向に、16本(ビーム識別子P00、P01、…、P15)の探索用電波ビームB1が順に配置される。すなわち、中心Cを囲む円周CFが16個の円弧CAに分割され、16個の円弧CAそれぞれにビーム識別子P00~P15の探索用電波ビームB1が割り当てられる。ビーム識別子P00~P15は、探索用電波ビームB1を互いに識別する識別子(ビームID)である。
【0042】
ここでは、ビーム識別子P00~P15は、探索用電波ビームB1が放射される方向(ビームの方向)と対応付けられ、真北(N)の方向を基準として、昇順に(00~15の順)に設定されている。ビーム識別子P00~P15とビームの放射方向とを対応付けることによって、ビーム識別子からビームの方向を判別することが容易となる。なお、ビーム識別子P00~P15と探索用電波ビームB1が放射される方向とを対応付けないことも可能である。
【0043】
ビーム識別子P00~P15に対応して、チャンネル識別子ch00~ch15が設定される。チャンネル識別子ch00~ch15は、探索用電波ビームB1のチャンネル、すなわち、探索用電波ビームB1の周波数に対応する。チャンネル識別子ch00~ch15の番号(00~15)と、探索用電波ビームB1のチャンネル、すなわち、周波数の大きさとが対応する。ここでは、探索用電波ビームB1の周波数は、真北(N)の方向を基準として、昇順に設定されている。但し、探索用電波ビームB1の周波数は、降順に設定されてもよい。また、この順番は、適宜に変更されてもよい。
【0044】
ここでは、探索用電波ビームB1が放射される方向(ビームの方向)と対応して、探索用電波ビームB1の周波数が順に設定されている。この結果、隣接する探索用電波ビームB1は、チャンネル(周波数)が互いに異なる。このため、隣接する探索用電波ビームB1の境界付近に、通信端末200(i)が配置された場合でも、通信端末200(i)において、隣接する探索用電波ビームB1の混信が生じないようにすることができる。
【0045】
ビームパターンBP11では、ビーム識別子P00~P15の探索用電波ビームB1は、それぞれ、互いにチャンネルが異なる、隣の探索用電波ビームB1と隙間がないように隣接している。すなわち、識別子P00~P15の探索用電波ビームB1は、中心Cから全ての方向に配置される通信端末200(i)を、スキャンすることなく、探索可能である。
【0046】
以上のように、ビーム識別子P00~P15、探索用電波ビームB1の放射方向、及び、チャンネル識別子ch00~ch15(すなわち、探索用電波ビームB1のチャンネル、周波数)は、互いに対応する。すなわち、ビーム識別子は、複数の探索用電波ビームB1を特定するビーム特定情報、探索用電波ビームB1の放射方向を特定する方向特定情報、及び、探索用電波ビームB1のチャンネル(周波数)を特定する周波数特定情報として機能し得る。
【0047】
複数の探索用電波ビームB1は、それぞれ、ビーム識別子及びチャンネル識別子の情報を含むことが好ましい。この場合、通信端末200(i)は、受信した探索用電波ビームB1からビーム特定情報、方向特定情報、及び、周波数特定情報を抽出することが容易となる。
【0048】
テーブルTa、Tbは、ビーム識別子P00~P15と、探索用電波ビームB1の放射方向と、チャンネル識別子ch00~ch15(探索用電波ビームB1のチャンネル、周波数)と、を対応付けて表すことが好ましい。基地局100の制御部103は、テーブルTaを用いることによって、探索用電波ビームB1にビーム識別子の情報(必要であれば、チャンネル識別子の情報も)を付与することが容易となる。通信端末200(i)の制御部203は、テーブルTbを用いることによって、探索用電波ビームB1から抽出したビーム識別子の情報(ビーム特定情報)から探索用電波ビームB1の方向、及び、チャンネル(周波数)を特定することが容易となる。
【0049】
ビームパターンBP12、BP13では、それぞれ、8本、4本の探索用電波ビームB1が用いられる。ビームパターンBP12、BP13では、探索用電波ビームB1の最大本数が16であることを前提として、探索用電波ビームB1各々に、次に示すように、ビームパターンBP11での最小のビーム識別子を付与している。
【0050】
ビームパターンBP12では、円周CFが8個の円弧CAに分割され、8個の円弧CA(8本の探索用電波ビームB1)それぞれに、1つ置きのビーム識別子P00、P02、P04、P06、…、P14の探索用電波ビームB1が割り当てられる。ビームパターンBP13では、円周CFが4個の円弧CAに分割され、4個の円弧CA(4本の探索用電波ビームB1)それぞれに3つ置きのビーム識別子P00、P04、P08、P12の探索用電波ビームB1が割り当てられる。なお、割り当てられなかったビーム識別子は用いられない。
【0051】
このように、探索用電波ビームB1の幅を広くして、1つの探索用電波ビームB1に広い角度範囲の探索を割り当ててもよい。これにより、少ない本数の探索用電波ビームB1によって、通信端末200(i)を探索できる。
【0052】
ビームパターンBP21では、ビーム識別子p00、p02、p04、p08、p10、p12と6つの探索用電波ビームB1を用いている。ビーム識別子p00、p02、p08、p10の探索用電波ビームB1は、ビームパターンBP12の8方向分割の探索用電波ビームB1に対応する。ビーム識別子p04、p12の探索用電波ビームB1は、ビームパターンBP13の4方向分割の探索用電波ビームB1に対応する。このように、幅の異なる探索用電波ビームB1を混在させることも可能である。
【0053】
制御部103は、アンテナ101の種別(性能)、又は、電波の干渉状態に応じて、探索用電波ビームB1の幅を変更してもよい。たとえば、電波の干渉状態が比較的良好な方向では、探索用電波ビームB1の幅を広くして、1本の探索用電波ビームB1に広い角度範囲を割り当てることができる。一方、電波の干渉状態が比較的不良な方向では、探索用電波ビームB1の幅を狭くして、1本の探索用電波ビームB1に狭い角度範囲を割り当てることが好ましい。
【0054】
ビームパターンBP22では、ビーム識別子p00、p02、p04、p06、p10、と5つの探索用電波ビームB1を用いている。これらの探索用電波ビームB1は、ビームパターンBP12の8方向分割の探索用電波ビームB1に対応する。ビーム識別子p06、p10の探索用電波ビームB1は互いに離間する。ビーム識別子p10、p00の探索用電波ビームB1は互いに離間する。すなわちビーム識別子p06、p10の間、ビーム識別子p10、p00の間で、探索用電波ビームB1は、配置されない。このように、同時に放射される複数の探索用電波ビームB1は、その一部(または、全部)が隣接していなくともよい。
【0055】
制御部103は、アンテナ101の種別(性能)、又は、電波の干渉状態に応じて、探索用電波ビームB1を放射しない方向を設定してもよい。たとえば、例えば、アンテナ101の特性上、送受信できない方向がある場合は、制御部103は、その方向を避けるように、探索用電波ビームB1を設定する。また、電波の干渉状態が劣悪で、通信端末200(i)の探索が事実上不可能な方向があれば、制御部103は、その方向を避けるように、探索用電波ビームB1を設定してもよい。
【0056】
探索用電波ビームB1を放射しない方向を一時的に設定した場合、探索用電波ビームB1をスキャンすることによって、全方向への探索用電波ビームB1の放射を可能としてもよい。ビームパターンBP22では、ビーム識別子p06、p10の探索用電波ビームB1の間、ビーム識別子p10、p00の探索用電波ビームB1の間に配置される通信端末200(i)は、基地局100による探索対象から外れる。しかし、例えば、ビーム識別子p06、p10何れかの探索用電波ビームB1をスキャンさせる。これにより、ビーム識別子p06、p10の間に配置される通信端末200(i)を探索できる。同様に、ビーム識別子p10、p00何れかの探索用電波ビームB1をスキャンさせて、ビーム識別子p10、p00の間に配置される通信端末200(i)を探索できる。なお、探索用電波ビームB1のスキャンの詳細は後述する。
【0057】
(2)ビーム態様(2):同時に送信される複数の探索用電波ビームB1は、周波数が同一で、且つ、互いに離間する第2の組の探索用電波ビームを含むことができる。
【0058】
ここでは、チャンネルが同一の複数の探索用電波ビームB1が、離間している場合を考える。チャンネルが同一の複数の探索用電波ビームB1が、隣接している場合(例えば、後述のビームパターンBP32)、通信端末200(i)において混信が生じる可能性がある。この場合、探索用電波ビームB1の境界付近に配置される通信端末200(i)は、これらの探索用電波ビームB1を同時に受信して、探索用電波ビームB1の情報が混ざり合う可能性がある(いわゆる、混信)。チャンネルが同一の複数の探索用電波ビームB1であっても、離間していれば、通信端末200(i)が、これらの探索用電波ビームB1を同時に受信して、混信することを防止できる。
【0059】
この場合、離間する複数の探索用電波ビームB1の間に配置される通信端末200(i)を探索するために、探索用電波ビームB1をスキャンすることができる。このスキャンは、例えば、次の(a)または(b)のようにして、実行できる。
【0060】
(a)制御部103は、送信処理において、第2の組の探索用電波ビームの向きを変化させながら送信することができる。これは、探索用電波ビームの向きを連続的に変化させることを意味する。
【0061】
(b)制御部103は、送信処理において、前記第2の組の探索用電波ビームの送信を停止し、周波数が同一で、互いに離間し、且つ、前記第2の組の探索用電波ビームと方向が重複しない第3の組の探索用電波ビームを送信する。これは、探索用電波ビームの向きを断続的に変化させることを意味する。
【0062】
以上のように、探索用電波ビームB1の向きを時間的に変化させることによって、同一チャンネルの複数の探索用電波ビームB1を用いて、全方向での通信端末200(i)の探索が可能となる。
【0063】
ビームパターンBP31では、ビーム態様(2)の探索用電波ビームB1の2組を組み合わせることによって、探索用電波ビームB1のスキャンを不要としている。ビームパターンBP31では、ビーム識別子p00~p15に対して、チャンネル識別子ch00、ch01が交互に割り振られている。すなわち、隣接する探索用電波ビームB1に2つのチャンネルを交互に割り当てることによって、隣接する探索用電波ビームB1間での混信を防止して、全方向への探索用電波ビームB1の同時送信を可能としている。
【0064】
ここでは、2つのチャンネルch00、ch01が交互に割り振られているが、3つ以上のチャンネル(例えば、チャンネルch00~ch02)が順に割り振られてもよい。また、チャンネルch00~ch02の順番が一定でなくてもよい。隣接する探索用電波ビームB1の間で、チャンネルが同一とならなければ、チャンネルの順番は適宜に変更できる。
【0065】
一方、ビームパターンBP32では、ビーム識別子p00~p15の全てに対して、同一のチャンネル識別子ch00が割り振られている。このビームパターンBP22は、探索用電波ビームB1として用いないことが好ましい。
【0066】
(3)ビーム態様(3)(ビーム態様(1)、(2)の混在):複数の探索用電波ビームB1は、周波数が互いに異なる第1の組の探索用電波ビーム、及び、周波数が同一で、且つ、互いに離間する第2の組の探索用電波ビームを含むことができる。
【0067】
C.基地局100からの探索用電波ビームB1の送信(送信処理S111a)
基地局100の制御部103は、送受信部102を制御して、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1をアンテナ101から同時に送信する送信処理を実行する。
【0068】
既述のように、基地局100の制御部103は、ビーム態様(1)、(2)、(3)を用いて、複数の方向に探索用電波ビームB1を送信する。このとき、制御部103は、探索用電波ビームB1がビーム識別子を含ませることができる。
【0069】
D.通信端末200(i)による探索用電波ビームB1の受信(受信処理S111b)
通信端末200(i)の制御部203は、基地局100から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームB1の何れかを、アンテナ201を介して、受信する受信処理を実行する。
【0070】
E.通信端末200(i)による探索用電波ビームB1からのビーム特定情報の抽出(抽出処理S112b)
通信端末200(i)の制御部203は、探索用電波ビームB1からビーム特定情報を抽出する。この抽出は、探索用電波ビームB1がビーム識別子を含む場合(a)と、含まない場合(b)とに区分される。
【0071】
(a)探索用電波ビームB1がビーム識別子を含む場合
通信端末200(i)の制御部203は、アンテナ201によって受信された探索用電波ビームB1からビーム識別子を抽出する。ビーム識別子は、探索用電波ビームを特定するビーム特定情報として機能する。
【0072】
制御部203は、テーブルTaを用いて、探索用電波ビームB1の周波数(チャンネル)、及び、方向を特定することができる。この手法は、ビーム態様(2)(同時に放射された複数の探索用電波ビームB1が同一チャンネルの探索用電波ビームB1を含む)の場合、ビーム態様(2)でない場合の双方に適用可能である。
【0073】
(b)探索用電波ビームB1がビーム識別子を含まない場合
通信端末200(i)の制御部203は、アンテナ201によって受信された探索用電波ビームB1をFFT(高速フーリエ変換)によって、探索用電波ビームB1の周波数(チャンネル)の情報(周波数特定情報)を抽出する。
【0074】
制御部203は、抽出した周波数特定情報、及び、テーブルTb(周波数特定情報と方向特定情報を対応して表す)を用いて、探索用電波ビームB1の方向を特定することができる。なお、この手法は、ビーム態様(2)(同時に放射された複数の探索用電波ビームB1が同一チャンネルの探索用電波ビームB1を含む)の場合には、適用が困難である。
【0075】
F.通信端末200(i)からの電波の送信(送信処理S113b)
通信端末200(i)の制御部203は、基地局100から送信された探索用電波ビームB1に対応して、アンテナ201から電波を送信する送信処理を実行する。
【0076】
この送信は、通信端末200(i)が、基地局100からの探索用電波ビームB1を受信し、基地局100と通信可能であることを通知するためのものである。この通知によって、基地局100は、通信端末200(i)の探索が終了し、探索された通信端末200(i)と通信可能であると判定できる。
【0077】
通信端末200(i)は受信した探索用電波ビームB1のチャンネルを用いて、通信可能なビーム識別子を基地局100に通知することができる。なお、通信端末200(i)は、電波を、通信用の周波数から変えずに、通知に用いてもよい。
【0078】
ここで、通信端末200(i)は、指向性を実質的に有しない電波を基地局100に送信することができる。一方、通信端末200(i)のアンテナ201が指向性を有する電波ビームを送信できるときは、指向性を有する電波(すなわち、電波ビーム)を用いて、基地局100と通信してもよい。
【0079】
基地局100から送信される探索用電波ビームB1が基地局100の方向を特定する方向特定情報を含んでいるとする。この場合、通信端末20(i)の制御部23は、受信処理S111bで受信した探索用電波ビームB1から基地局100の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理S112bを実行できる。そして、通信端末200(i)の制御部203は、送信処理S113bにおいて、抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、基地局100に向けて電波ビームを送信することができる。そして、この送信処理S113bで送信された電波ビームを用いて、基地局100と通信する通信処理を実行できる。
【0080】
G.基地局100による電波の受信(受信処理S113a)
基地局100の制御部103は、送信処理S111aによって同時に送信された複数の探索用電波ビームB1に対応して、通信端末200(i)から送信された電波を受信する受信処理を実行する。この通知によって、基地局100は、通信端末200(i)の探索が終了し、探索された通信端末200(i)と通信可能であると判定できる。
【0081】
H.基地局100と通信端末200(i)の通信(通信処理S121a、S121b)
基地局100の制御部103は、通信用電波ビームB2を用いて、受信処理S113aで受信された電波を送信した通信端末200(i)と通信する通信処理を実行する。一方、通信端末200(i)の制御部203は、送信処理S113bで送信された電波ビームを用いて、基地局100と通信する通信処理を実行する。
【0082】
例えば、複数の探索用電波ビームB1は、それぞれ、互いに異なる周波数と、互いに異なる方向とを有し、受信処理S111bにおいて、通信端末200(i)によって受信される電波は、複数の探索用電波ビームB1を特定するビーム特定情報を有することがある。この場合、制御部203は、通信処理S121bにおいて、ビーム特定情報によって特定される探索用電波ビームB1の周波数及び方向と対応する周波数及び方向の通信用電波ビームを用いて基地局100と通信してもよい。
【0083】
基地局100は、通信用電波ビームB2を用いて、通信端末200(i)と通信する。このとき、基地局100は、1の通信用電波ビームB2を用いて、複数の通信端末200(i)と通信してもよい。複数の通信端末200(i)と時間的に切り替えて通信することによって、複数の通信端末200(i)と並列して通信することが可能である。
【0084】
以上のように、基地局100においては、互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームを前記アンテナから同時に送信することによって、通信端末200(i)の効率的な探索が可能となる。
【0085】
〔ソフトウェアによる実現例〕
基地局100、通信端末200(以下、「上記各装置」とも記載する)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0086】
後者の場合、上記各装置は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図8に示す。図8は、上記各装置として機能するコンピュータCのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0087】
コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを上記各装置として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、上記各装置の各機能が実現される。
【0088】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0089】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0090】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0091】
〔付記事項1〕
本開示には、以下の各付記に記載の技術が含まれる。ただし、本発明は、以下の各付記に記載の技術に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
(付記1)
通信端末の基地局であって、
通信端末を探索するための探索用電波ビームと、通信端末と通信するための通信用電波ビームとを放射するアンテナと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームを前記アンテナから同時に送信する送信処理と、
前記送信処理によって同時に送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して、通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、
通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した前記通信端末と通信する通信処理と、
を実行する、基地局。
【0092】
(付記2)
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なる第1の組の探索用電波ビームを含む付記1に記載の基地局。
【0093】
(付記3)
前記第1の組の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なり、且つ、互いに隣接する複数の探索用電波ビームを含む、
付記2に記載の基地局。
【0094】
(付記4)
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が同一で、且つ、互いに離間する第2の組の探索用電波ビームを含む、
付記1~3の何れかに記載の基地局。
【0095】
(付記5)
前記制御部は、前記送信処理において、前記第2の組の探索用電波ビームの向きを変化させながら送信する、
付記4に記載の基地局。
【0096】
(付記6)
前記制御部は、前記送信処理において、
前記第2の組の探索用電波ビームの送信を停止し、
周波数が同一で、互いに離間し、且つ、前記第2の組の探索用電波ビームと方向が重複しない第3の組の探索用電波ビームを送信する、
付記4に記載の基地局。
【0097】
(付記7)
前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表すテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
付記1~6の何れかに記載に記載の基地局。
【0098】
(付記8)
前記テーブルは、前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかと、前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表わし、
前記制御部は、
前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかの情報を取得する取得処理を実行し、
前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
付記7に記載の基地局。
【0099】
(付記9)
前記複数の探索用電波ビームは、それぞれ、互いに異なる周波数と、互いに異なる方向とを有し、
前記受信処理において、前記通信端末によって受信される電波は、前記複数の探索用電波ビームを特定するビーム特定情報を有し、
前記制御部は、前記通信処理において、
前記ビーム特定情報によって特定される探索用電波ビームの周波数及び方向と対応する周波数及び方向の通信用電波ビームを用いて前記通信端末と通信する、
付記1~8の何れかに記載の基地局。
【0100】
(付記10)
付記1に記載の基地局と通信する通信端末であって、
電波を送受信するアンテナと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基地局から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームの何れかを、前記アンテナを介して、受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した探索用電波ビームから前記基地局の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、前記基地局に向けて電波ビームを送信する送信処理と、
前記送信処理で送信された電波ビームを用いて、基地局と通信する通信処理と、
を実行する、通信端末。
【0101】
(付記11)
基地局の通信方法であって、
互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームをアンテナから送信する送信処理と、
前記送信処理によって送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、
通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した通信端末と通信する通信処理と、
を含む、通信方法。
【0102】
(付記12)
通信端末の通信方法であって、
付記1に記載の基地局から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームの何れかを、アンテナを介して、受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した探索用電波ビームから前記基地局の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、前記基地局に向けて電波ビームを送信する送信処理と、
前記送信処理で送信された電波ビームを用いて、基地局と通信する通信処理と、
を含む、通信方法。
【0103】
(付記13)
付記1~9の何れかに記載の制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【0104】
(付記14)
付記10に記載の制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【0105】
〔付記事項2〕
本開示には、以下の各付記に記載の技術が含まれる。ただし、本発明は、以下の各付記に記載の技術に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0106】
(付記1)
通信端末の基地局であって、
通信端末を探索するための探索用電波ビームと、通信端末と通信するための通信用電波ビームとを放射するアンテナと、
少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームを前記アンテナから同時に送信する送信処理と、
前記送信処理によって同時に送信された前記複数の探索用電波ビームに対応して、通信端末から送信された電波を受信する受信処理と、
通信用電波ビームを用いて、前記受信処理で受信された電波を送信した前記通信端末と通信する通信処理と、
を実行する、基地局。
【0107】
(付記2)
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なる第1の組の探索用電波ビームを含む付記1に記載の基地局。
【0108】
(付記3)
前記第1の組の探索用電波ビームは、周波数が互いに異なり、且つ、互いに隣接する複数の探索用電波ビームを含む、
付記2に記載の基地局。
【0109】
(付記4)
前記複数の探索用電波ビームは、周波数が同一で、且つ、互いに離間する第2の組の探索用電波ビームを含む、
付記1~3の何れかに記載の基地局。
【0110】
(付記5)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記送信処理において、前記第2の組の探索用電波ビームの向きを変化させながら送信する、
付記4に記載の基地局。
【0111】
(付記6)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記送信処理において、
前記第2の組の探索用電波ビームの送信を停止し、
周波数が同一で、互いに離間し、且つ、前記第2の組の探索用電波ビームと方向が重複しない第3の組の探索用電波ビームを送信する、
付記4に記載の基地局。
【0112】
(付記7)
前記複数の探索用電波ビームは、それぞれ、互いに異なる周波数と、互いに異なる方向とを有し、
前記受信処理において、前記通信端末によって受信される電波は、前記複数の探索用電波ビームを特定するビーム特定情報を有し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記通信処理において、
前記ビーム特定情報によって特定される探索用電波ビームの周波数及び方向と対応する周波数及び方向の通信用電波ビームを用いて前記通信端末と通信する、
付記1~6の何れかに記載の基地局。
【0113】
(付記8)
前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表すテーブルを記憶するメモリを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
付記1~7の何れかに記載に記載の基地局。
【0114】
(付記9)
前記テーブルは、前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかと、前記複数の探索用電波ビームの周波数と送信される方向とを対応して表わし、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記複数の探索用電波ビームの本数、アンテナの種別、及び、電波の干渉状態の少なくとも何れかの情報を取得する取得処理を実行し、
前記送信処理において、前記テーブルに基づく、周波数及び方向で、前記複数の探索用電波ビームを送信する、
付記8に記載の基地局。
【0115】
(付記10)
付記1に記載の基地局と通信する通信端末であって、
電波を送受信するアンテナと、
少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記基地局から送信された互いに異なる方向を向く複数の探索用電波ビームの何れかを、前記アンテナを介して、受信する受信処理と、
前記受信処理で受信した探索用電波ビームから前記基地局の方向を特定する方向特定情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出された方向特定情報に基づき、前記基地局に向けて電波ビームを送信する送信処理と、
前記送信処理で送信された電波ビームを用いて、基地局と通信する通信処理と、
を実行する、通信端末。
【0116】
なお、前記基地局および前記通信端末は、更にメモリを備えていてもよい。また、前記メモリには、前記各処理を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1、2 通信システム
10、100 基地局
20、200 通信端末
11、21、101、201 アンテナ
12、22、102、202 送受信部
13、23、103、203 制御部
104、204 記憶部
105 入出力部
S1、S1a、S1b、S10、S10a、S10b 通信方法
S101a 取得処理
S102a 設定処理
S11a、S12b、S111a、S113b 送信処理
S11b、S12a、S111b、S113a 受信処理
S112b 抽出処理
S13a、S13b、S121a、S121b 通信処理
Ta、Tb テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8