(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009557
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】発熱システム、火力発電システム、及び発熱方法
(51)【国際特許分類】
F24V 30/00 20180101AFI20250110BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20250110BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20250110BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F24V30/00 302
F28D20/00 H
F02C3/22
F02C7/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112638
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】512261078
【氏名又は名称】株式会社クリーンプラネット
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 伸
(57)【要約】
【課題】水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができる発熱システム、火力発電システム、及び発熱方法を提供する。
【解決手段】発熱システム1は、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、発熱体を格納する密閉容器と、密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ライン4と、発熱体における水素の吸蔵と放出とにより発熱体における発熱に供した水素を含むガスを導出する導出ライン5とを有する発熱装置11と、密閉容器の外側から発熱体を加熱するガスを供給する、あるいは密閉容器の内側で発熱体を加熱する水素を含むガスを加熱する熱源7とを備えた構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、
前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガスを供給する、あるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱する熱源と
を備える、発熱システム。
【請求項2】
前記多層膜は、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金で形成された厚さ1000nm未満の第1層と、前記第1層とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金又はセラミックスで形成された厚さ1000nm未満の第2層とを備える
請求項1に記載の発熱システム。
【請求項3】
多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、
ガスタービンを有する火力発電装置とを備え、
前記ガスタービンは、前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガス又は前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱するガスを排出する、又は、前記密閉容器の外側からあるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱する水素ボイラーをさらに有する
火力発電システム。
【請求項4】
前記多層膜は、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金で形成された厚さ1000nm未満の第1層と、前記第1層とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金又はセラミックスで形成された厚さ1000nm未満の第2層とを備える
請求項3に記載の火力発電システム。
【請求項5】
前記火力発電装置は蒸気タービンをさらに有する
請求項3に記載の火力発電システム。
【請求項6】
前記火力発電装置は水素燃焼ガスタービンを有する発電装置である
請求項3に記載の火力発電システム。
【請求項7】
前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とによる前記発熱体における発熱により加熱された前記水素を含むガスを前記水素燃焼ガスタービンで燃焼して発電する
請求項6に記載の火力発電システム。
【請求項8】
多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、
前記密閉容器の外側からあるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱するための前記水素を含むガスを加熱する水素ボイラーと、
前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とによる前記発熱体における発熱により加熱された前記水素を含むガスを燃焼する水素燃焼ボイラーと
を備える、火力発電システム。
【請求項9】
前記多層膜は、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金で形成された厚さ1000nm未満の第1層と、前記第1層とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金又はセラミックスで形成された厚さ1000nm未満の第2層とを備える
請求項8に記載の火力発電システム。
【請求項10】
多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体を、密閉容器に収容し、
前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガスを熱源から供給し、あるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを熱源で加熱し、
前記水素を含むガスを前記密閉容器に導入し、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体において発熱させる
発熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱システム、火力発電システム、及び発熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素吸蔵合金は、一定の反応条件の下で多量の水素を繰り返して吸蔵及び放出する特性を有しており、この水素の吸蔵と放出時にかなりの反応熱を伴うことが知られている。この反応熱を利用したヒートポンプシステム、熱輸送システム、冷熱(冷凍)システム等の熱利用システムや水素貯蔵システムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、本出願人等は、水素吸蔵合金等を用いた発熱体を備える発熱装置において、前記発熱体を、支持体とこの支持体に支持された多層膜とで構成することによって、当該発熱体への水素の吸蔵時と当該発熱体からの水素の放出時において熱が発生する知見を得た。そして、本出願人等は、このような知見に基づいて熱利用システム及び発熱装置を先に提案した(特許文献3参照)。
【0004】
具体的には、発熱装置の発熱体が備える支持体は、多孔質体、水素透過膜又はプロトン導電体の少なくとも何れかで構成され、この支持体に支持される多層膜は、例えば、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金で構成された厚さ1000nm未満の第1層と、前記第1層とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金又はセラミックスで構成された厚さ1000nm未満の第2層とを交互に積層することによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56-100276号公報
【特許文献2】特開昭58-022854号公報
【特許文献3】特許第6749035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3において提案された水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いた発熱装置においては、ヒータで水素又は発熱体を加熱して使用することが必要であり、ヒータを用いずに簡略化することが求められている。
【0007】
本発明は、水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができる発熱システム、火力発電システム、及び発熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発熱システムは、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガスを供給する、あるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱する熱源とを備える。
【0009】
本発明に係る火力発電システムは、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、ガスタービンを有する火力発電装置とを備え、前記ガスタービンは、前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガス又は前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱するガスを排出する、又は、前記密閉容器の外側からあるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを加熱する水素ボイラーをさらに有する。
【0010】
本発明に係る火力発電システムは、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体と、前記発熱体を格納する密閉容器と、前記密閉容器に水素を含むガスを導入する導入ラインと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体における発熱に供した前記水素を含むガスを導出する導出ラインとを有する発熱装置と、前記密閉容器の外側からあるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱するための前記水素を含むガスを加熱する水素ボイラーと、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とによる前記発熱体における発熱により加熱された前記水素を含むガスを燃焼する水素燃焼ボイラーとを備える。
【0011】
本発明に係る発熱方法は、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜が形成された発熱体を、密閉容器に収容し、前記密閉容器の外側から前記発熱体を加熱するガスを熱源から供給し、あるいは前記密閉容器の内側で前記発熱体を加熱する前記水素を含むガスを熱源で加熱し、前記水素を含むガスを前記密閉容器に導入し、前記発熱体における前記水素の吸蔵と放出とにより前記発熱体において発熱させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る発熱システムの概略図である。
【
図2B】発熱装置の他の構成を説明するための説明図である。
【
図4】第1層と第2層とを有する積層体の構造を示す断面図である。
【
図5】過剰熱の発生を説明するための説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る火力発電システムの概略図である。
【
図8A】第3実施形態に係る火力発電システムの概略図である。
【
図8B】第3実施形態の他の構成の火力発電システムの概略図である。
【
図9】第1変形例に係る火力発電システムの概略図である。
【
図10】第2変形例に係る火力発電システムの概略図である。
【
図12】第3変形例に係る火力発電システムの概略図である。
【
図13A】第4実施形態に係る火力発電システムの概略図である。
【
図13B】第4実施形態の他の構成の火力発電システムの概略図である。
【
図14】火力発電システムの熱効率の向上を説明する説明図である。
【
図15】第1層と第2層と第3層とを有する第4変形例の発熱体を説明するための説明図である。
【
図16】第1層と第2層と第3層と第4層とを有する第5変形例の発熱体を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る発熱システム1について説明する。
【0015】
(発熱システム1)
図1は本実施形態に係る発熱システム1の概略図である。図示の発熱システム1は、格納容器2に発熱装置11が収容されて構成されている。発熱装置11は、水素を含むガス(以下水素系ガスと称する)を供給する水素タンク3に導入ライン4を介して接続され、水素系ガスが導入される。発熱装置11は、導出ライン5を介してポンプ6に接続され、発熱装置11内で発熱に供した水素系ガスが排出される。格納容器2は、熱源7に配管8を介して接続され、熱源7から発熱装置11の発熱体14(後述する)を加熱するガスが供給される。格納容器2は、配管9を介して発熱システム1の外部に接続されている。発熱装置11、熱源7、ポンプ6等に接続して制御部10が設けられている。
【0016】
図1に示す発熱システム1では、発熱装置11の外側から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスが熱源7から供給される構成を示している。発熱装置11の外側から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスは、例えばガスタービンの燃焼ガスあるいは加熱された水素系ガス等である。発熱装置11の外側から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスによって発熱体14が発熱に適正な温度に加熱される。
【0017】
また、発熱装置11の内側で発熱装置11の発熱体14と接触して発熱装置11の発熱体14を加熱するためのガスが熱源7により加熱されてもよい。発熱装置11の内側で発熱体14を加熱するガスは、例えば発熱体14における発熱に供する前の予め熱源で加熱された水素系ガス等である。発熱装置11の内側で発熱装置11の発熱体14を加熱するガスによって発熱体14が発熱に適正な温度に加熱される。
【0018】
(格納容器2)
格納容器2は、例えば中空の容器であり、内部に発熱装置11を収容する。格納容器2は、例えばステンレス等で形成される。発熱システム1において、熱源7から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスが供給されるように構成されていればよく、格納容器2は空間を区画する容器の形態でなくてもよい。例えば、発熱システム1は、ガスタービンの燃焼ガスを排出する流路等に発熱装置11が設けられた構成であってもよい。
【0019】
(水素タンク3)
水素タンク3は、水素系ガスを貯留する。水素系ガスは、水素の同位体を含むガスである。水素系ガスとしては、重水素ガスと軽水素ガスとの少なくともいずれかが用いられる。軽水素ガスは、天然に存在する軽水素と重水素の混合物、すなわち、軽水素の存在比が99.985%であり、重水素の存在比が0.015%である混合物を含む。
【0020】
(発熱装置11)
図2Aは発熱装置11を説明するための説明図である。図示の発熱装置11は、密閉容器15に発熱体14が格納されて構成されている。発熱体14は、水素の吸蔵と放出とにより、熱(以下、過剰熱と称する)を発生する。発熱体14は、過剰熱を発生することによって、例えば50℃以上1000℃以下の範囲内の温度に加熱される。発熱体14は、この例では表面および裏面を有する板状に形成されている。発熱体14の詳細な構成については別の図面を用いて後述するが、発熱体14が所定の温度になるように発熱体14の表面積が予め調整されている。
【0021】
密閉容器15は、中空の容器であり、内部に発熱体14を収容する。密閉容器15は、例えばステンレス等で形成される。密閉容器15は、この例では、発熱体14の表面または裏面と直交する方向と直交する長手方向を有する形状とされている。発熱体14は、不図示の設置部により密閉容器15の内部に設置されている。
【0022】
密閉容器15は、導入ライン29と接続する導入口23を有する。導入ライン29は
図1の発熱システム1の導入ライン4に接続されている。密閉容器15には、導入口23を介して水素タンク3から水素系ガスが導入される。密閉容器15は、導出ライン30と接続する導出口24を有する。導出ライン30は
図1の発熱システム1の導出ライン5に接続されている。密閉容器15の水素系ガスは、導出口24に接続された導出ライン30を介して密閉容器15から発熱装置11の外部に排出される。
【0023】
密閉容器15は、水素タンク3からの水素系ガスが導入される。このとき、水素系ガスに含まれる水素分子が発熱体14に吸着し、その水素分子が2つの水素原子に解離する。解離した水素原子は、発熱体14の内部へ浸入する。すなわち、発熱体14に水素が吸蔵される。水素が発熱体14に吸蔵された後、密閉容器15は、ポンプ6の駆動による水素系ガスの導出により減圧されて例えば1×10-4[Pa]以下とされ、あるいは真空引きをされる。これにより、発熱体14の内部の水素と密閉容器15の内側であって発熱体14の外部の水素との濃度の差に起因して水素原子は発熱体14の内部を拡散し、発熱体14では水素の吸蔵と放出がなされる。発熱体14は、詳しくは後述するが、水素が拡散する過程で、水素を吸蔵することによって発熱し、また、水素を放出することによっても発熱する。
【0024】
図2Aに示す構成において、発熱体14への水素の供給が少量でも水素の吸蔵と放出によって発熱体14を発熱させることができる。発熱体14の熱は回収して利用することができる。
【0025】
図2Bは
図2Aとは異なる他の構成の発熱装置11を説明するための説明図である。密閉容器15は、中空の容器であり、内部に発熱体14を収容する。密閉容器15は、例えばステンレス等で形成される。密閉容器15は、この例では、発熱体14の表面または裏面と直交する方向と平行な長手方向を有する形状とされている。密閉容器15の内部には、発熱体14を設置するための設置部20が設けられている。
【0026】
密閉容器15は、発熱体14により仕切られた第1室21および第2室22を内部に有する。第1室21は、発熱体14の一方の面である表面と密閉容器15の内面とにより形成されている。第1室21は、導入ライン29と接続する導入口23を有する。導入ライン29は
図1の発熱システム1の導入ライン4に接続されている。第1室21には、導入口23を介して水素タンク3から水素系ガスが導入される。第2室22は、発熱体14の他方の面である裏面と密閉容器15の内面とにより形成されている。第2室22は、導出ライン30と接続する導出口24を有する。導出ライン30は
図1の発熱システム1の導出ライン5に接続されている。第2室22の水素系ガスは、導出口24に接続された導出ライン30を介して第2室22から発熱装置11の外部に排出される。
【0027】
第1室21は、水素タンク3からの水素系ガスの導入により昇圧される。第2室22は、ポンプ6の駆動による水素系ガスの導出により減圧される。これにより、第1室21の水素の圧力は、第2室22の水素の圧力よりも高くされる。第1室21の水素の圧力は、例えば100[kPa]とされる。第2室22の水素の圧力は、例えば1×10-4[Pa]以下とされる。第2室22は真空状態としてもよい。このように、第1室21と第2室22とは、水素の圧力が異なっている。このため、密閉容器15の内部は、発熱体14の両側に圧力差が生じた状態とされている。導入ライン29及び導出ライン30の経路上には、上記のように第1室21及び第2室22の圧力を調整するための圧力調整弁(図示なし)が適宜設けられている。
【0028】
発熱体14の両側に圧力差が生じると、発熱体14のうち高圧側に配された一方の面(表面)では、水素系ガスに含まれる水素分子が吸着し、その水素分子が2つの水素原子に解離する。解離した水素原子は、発熱体14の内部へ浸入する。すなわち、発熱体14に水素が吸蔵される。水素原子は、発熱体14の内部を拡散して通過する。発熱体14のうち低圧側に配された他方の面(裏面)では、発熱体14を通過した水素原子が再結合し、水素分子となって放出される。すなわち、発熱体14から水素が放出される。
【0029】
上記のように、発熱体14では水素の吸蔵と放出がなされる。発熱体14は、詳しくは後述するが、水素が拡散する過程で、水素を吸蔵することによって発熱し、また、水素を放出することによっても発熱する。
【0030】
発熱体14での水素の吸蔵と放出がなされるとき、水素系ガスが十分供給されると、発熱体14は高圧側から低圧側へ水素を透過させる。「透過」とは、発熱体の一方の面に水素が吸蔵され、発熱体の他方の面から水素が放出されることをいう。従って、発熱体14は、水素が透過することにより熱を発生する。なお、以降の説明において、発熱体について「水素が透過する」ことを「水素系ガスが透過する」と記載する場合がある。水素系ガスは、発熱体14を透過するとき、発熱体14の熱によって加熱される。加熱された水素系ガスは、例えばガスタービンの燃料として利用することができる。
【0031】
発熱体14での発熱は、
図2Bに示す構成のような水素が発熱体14を透過する場合に限定されるものではない。
図2Aに示す構成等のように、発熱体14で水素の吸蔵と放出がなされれば発生するものであり、発熱体14への水素系ガスの供給が少量でも水素の吸蔵と放出によって発熱体14を発熱させることができる。この場合、供給される水素系ガスは少量であるので水素系ガスとして利用するのに十分な量ではないが、発熱体14の熱は回収して利用することができる。発熱体14と水素が直接接触しない場合、発熱体14での発熱に供した水素系ガスは回収して再利用するか大気に放出される。
【0032】
図2Aに示す構成では、密閉容器15内部には、密閉容器15の内部の圧力を検出する圧力センサ(図示なし)が設けられている。圧力センサは、制御部10と電気的に接続しており、検出した圧力に対応する信号を制御部10に出力する。
【0033】
図2Bに示す構成では、第1室21の内部には、当該第1室21の内部の圧力を検出する圧力センサ(図示なし)が設けられている。第2室22の内部には、当該第2室22の内部の圧力を検出する圧力センサ(図示なし)が設けられている。第1室21と第2室22に設けられた各圧力センサは、制御部10と電気的に接続しており、検出した圧力に対応する信号を制御部10に出力する。
【0034】
発熱システム1は、発熱装置11の外側から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスが熱源7から供給される。発熱装置11の外側から発熱装置11の発熱体14を加熱するガスは、例えばガスタービン等の燃焼ガスあるいは加熱された水素系ガス等である。これにより、発熱体14の温度が発熱に適正な温度に維持される。
【0035】
また、発熱装置11の内側で発熱装置11の発熱体14と接触して発熱装置11の発熱体14を加熱するためのガスが熱源7で加熱されてもよい。発熱装置11の内側で発熱体14を加熱するためのガスは、例えば発熱体14における発熱に供する前の水素系ガス等である。これにより、発熱体14の温度が発熱に適正な温度に維持される。
【0036】
発熱体14において発熱に適正な温度は、例えば50℃以上1000℃以下の範囲内である。発熱装置11には、温度センサ(図示なし)が設けられている。温度センサは、発熱体14の温度を検出する。温度センサは、例えば熱電対であり、密閉容器15の設置部20等に設けられている。温度センサは、水素系ガスの温度を検出するように構成されてもよい。温度センサは、制御部10と電気的に接続しており、検出した温度に対応する信号を制御部10に出力する。
【0037】
導入ライン29の経路上には、水素系ガスに含まれる不純物を除去するフィルタが必要に応じて設けられている。ここで、発熱体14で水素の吸蔵と放出がなされる量(以下、水素吸蔵放出量という)、あるいは水素が発熱体14を透過する場合には水素が発熱体14を透過する透過量(以下、水素透過量という)は、発熱体14の温度、密閉容器15内に導入された水素系ガスの圧力あるいは発熱体14の両面側の圧力差、および発熱体14の表面状態によって定められる。水素系ガスに不純物が含まれている場合、不純物が発熱体14の表面に付着し、発熱体14の表面状態が悪化することがある。発熱体14の表面に不純物が付着した場合は、発熱体14の表面での水素分子の吸着および解離が阻害され、水素吸蔵放出量あるいは水素透過量が減少する。
【0038】
発熱体14の表面での水素分子の吸着および解離を阻害するものとしては、例えば、水(水蒸気を含む)、炭化水素(メタン、エタン、メタノール、エタノール等)、C、S、および、Siが考えられる。水は、密閉容器15の内壁等から放出、あるいは密閉容器15の内部に設けられた部材に含まれる酸化皮膜が水素により還元されたものと考えられる。炭化水素、C、S、および、Siは、密閉容器15の内部に設けられた各種部材から放出されると考えられる。よって、フィルタは、不純物として、水(水蒸気を含む)、炭化水素、C、S、および、Siを少なくとも除去する。フィルタは、水素系ガスに含まれる不純物を除去することにより、発熱体14における水素吸蔵放出量あるいは水素透過量の減少を抑制する。
【0039】
(制御部10)
発熱装置11の圧力センサ及び温度センサ、ポンプ6、導入ライン4及び導出ライン5の経路上の圧力調整弁(図示なし)、及び熱源7等に、制御部10が接続されており、発熱システム1の各部の動作を制御する。制御部10は、例えば、演算装置(Central Processing Unit)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory)やランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)等の記憶部等を主に備えている。演算装置では、例えば、記憶部に格納されたプログラムやデータ等を用いて各種の演算処理を実行する。
【0040】
制御部10は、発熱装置11での発熱に供する前の水素系ガスを加熱する熱源からのガスの温度及び供給量の調整、及び密閉容器15の圧力の調整等を行い、発熱体14に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、発熱体14から水素を放出させる水素放出工程とを行う。本実施形態では、制御部10は、
図2Aの構成では密閉容器15内への水素系ガスの供給後に密閉容器15内を減圧あるいは真空引きすることによって、水素吸蔵工程と水素放出工程とを行う。なお、制御部10は、水素吸蔵工程と水素放出工程とを交互に繰り返し行ってもよい。すなわち、制御部10は、まず、水素吸蔵工程を行うことによって発熱体14に水素を吸蔵させ、その後、水素放出工程を行うことによって発熱体14に吸蔵されている水素を放出させてもよい。このように水素吸蔵工程と水素放出工程とを交互に繰り返し行うことによっても、発熱体14から過剰熱を発生させることができる。制御部10は、
図2Bの構成では第1室21と第2室22との間で水素の圧力差を発生させることによって、水素吸蔵工程と水素放出工程とを同時に行う。上記の「同時」とは、完全に同時、または、実質的に同時とみなせる程度に僅かな時間以内を意味する。水素吸蔵工程と水素放出工程とが同時に行われることにより、発熱体14での水素の吸蔵と放出が連続的になされるので、発熱体14において過剰熱を効率的に発生させることができる。なお、制御部10は、水素吸蔵工程と水素放出工程とを交互に繰り返し行ってもよい。すなわち、制御部10は、まず、水素吸蔵工程を行うことによって発熱体14に水素を吸蔵させ、その後、水素放出工程を行うことによって発熱体14に吸蔵されている水素を放出させてもよい。このように水素吸蔵工程と水素放出工程とを交互に繰り返し行うことによっても、発熱体14から過剰熱を発生させることができる。
【0041】
発熱装置11において発熱体14での水素の吸蔵と放出がなされると、過剰熱が発生する。
図2Aに示す構成において、発熱体14の過剰熱によって、格納容器2の内部であって発熱装置11の外部を通過するガス、例えば熱源7から供給されたガスが加熱される。この場合には、発熱体14の過剰熱が発熱装置11の外部を通過するガスに熱伝導するように構成されており、発熱体14の表面積が大きいほど発熱体14で発生する過剰熱が大きくなり、その分、発熱装置11の外部を通過するガスの温度が高くなる。そのため、発熱体14は、発熱装置11の外部を通過するガスが所定の温度になるように、後述する発熱体14の表面積が所定の大きさに設定されている。
【0042】
あるいは、
図2Bに示す構成において、発熱体14の過剰熱によって、発熱装置11の内部を通過するガス、例えば水素系ガスが加熱される。この場合、水素系ガスは発熱体14を透過する際に、発熱体14で発生した過剰熱により加熱される。水素系ガスは、発熱体14の厚みが厚く、発熱体14を透過するまでの距離が長いほど、発熱体14で発生する過剰熱により加熱される時間が長くなり、その分、発熱体14を透過して第2室22に排出されたときの温度が高くなる。そのため、発熱体14は、発熱体14を透過した後の水素系ガスが所定の温度になるように、後述する積層体を所定数積層させて発熱体14の厚みが所定の厚さに設定されている。
【0043】
(発熱体14)
次に、発熱体14の詳細な構造について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3に示すように、発熱体14は、支持体61と多層膜62とを有する積層体14aを有する。
【0044】
ここでは、例えば、25℃程度の水素系ガスが発熱体14へ吸蔵され、発熱体14から放出されることにより、当該水素系ガスが発熱体14により加熱され、発熱体14を透過した後には50℃以上1000℃以下、好ましくは600℃以上1000℃以下の水素系ガスとなる。なお、本実施形態では、水素系ガスが導入される方向、あるいは水素系ガスが透過する方向はどのような構成でもよい。
【0045】
支持体61は、水素系ガスが発熱体14へ吸蔵され、発熱体14から放出されることを可能にする構成であればよく、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成される。支持体61は、この例では表面及び裏面を有する板状に形成されている。多孔質体は、例えば水素系ガスの通過を可能とするサイズの孔を有する。多孔質体は、例えば、金属、非金属、セラミックス等により形成される。多孔質体は、水素系ガスと多層膜62との反応(以下、発熱反応という)を阻害しない材料により形成されることが好ましい。水素吸蔵放出膜は水素透過膜であってもよく、例えば、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金により形成される。水素吸蔵金属としては、Ni、Pd、V、Nb、Ta、Ti等が用いられる。水素吸蔵合金としては、LaNi5、CaCu5、MgZn2、ZrNi2、ZrCr2、TiFe、TiCo、Mg2Ni、Mg2Cu等が用いられる。水素吸蔵放出膜は、メッシュ状のシートを有するものを含む。プロトン導電体としては、BaCeO3系(例えばBa(Ce0.95Y0.05)O3-6)、SrCeO3系(例えばSr(Ce0.95Y0.05)O3-6)、CaZrO3系(例えばCaZr0.95Y0.05O3-α)、SrZrO3系(例えばSrZr0.9Y0.1O3-α)、β Al2O3、β Ga2O3等が用いられる。
【0046】
図4に示すように、多層膜62は、支持体61に設けられる。多層膜62は、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金により形成される第1層71と、第1層71とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金又はセラミックスにより形成される第2層72とにより形成される。支持体61と第1層71と第2層72との間には、後述する異種物質界面73が形成される。
図4では、多層膜62は、支持体61の一方の面(例えば表面)に、第1層71と第2層72がこの順で交互に積層されている。第1層71と第2層72とは、それぞれ5層とされている。なお、第1層71と第2層72の各層の層数は適宜変更してもよい。多層膜62は、支持体61の表面に、第2層72と第1層71がこの順で交互に積層されたものでもよい。多層膜62は、第1層71と第2層72をそれぞれ1層以上有し、異種物質界面73が1以上形成されていればよい。
【0047】
第1層71は、例えば、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Co、これらの合金のうち、いずれかにより形成される。第1層71を形成する合金は、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Coのうち2種以上からなる合金であることが好ましい。第1層71を形成する合金として、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Coに添加元素を添加させた合金を用いてもよい。
【0048】
第2層72は、例えば、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Co、これらの合金、SiCのうち、いずれかにより形成される。第2層72を形成する合金は、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Coのうち2種以上からなる合金であることが好ましい。第2層72を形成する合金として、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Coに添加元素を添加させた合金を用いてもよい。
【0049】
第1層71と第2層72との組み合わせとしては、元素の種類を「第1層71-第2層72(第2層72-第1層71)」として表すと、Pd-Ni、Ni-Cu、Ni-Cr、Ni-Fe、Ni-Mg、Ni-Coであることが好ましい。第2層72をセラミックスとした場合は、「第1層71-第2層72」が、Ni-SiCであることが好ましい。
【0050】
異種物質界面73における水素原子の挙動について説明する。
図5に示すように、異種物質界面73は水素原子を透過させることができる。
図5は、面心立法構造の水素吸蔵金属により形成される第1層71及び第2層72において、第1層71の金属格子中の水素原子が、異種物質界面73を透過して第2層72の金属格子中へ移動する様子を示した概略図である。水素は軽く、ある物質Aと物質Bの水素が占めるサイト(オクトヘドラルやテトラヘドラルサイト)をホッピングしながら量子拡散していくことが分かっている。このため、発熱体14に吸蔵された水素は、多層膜62の内部をホッピングしながら量子拡散する。発熱体14では、第1層71、異種物質界面73、第2層72を水素が量子拡散により透過する。
【0051】
第1層71の厚みと第2層72の厚みは、それぞれ1000nm未満であることが好ましい。第1層71と第2層72の各厚みが1000nm以上となると、水素が多層膜62を透過し難くなる。また、第1層71と第2層72の各厚みが1000nm未満であることにより、バルクの特性を示さないナノ構造を維持することができる。第1層71と第2層72の各厚みは、500nm未満であることがより好ましい。第1層71と第2層72の各厚みが500nm未満であることにより、完全にバルクの特性を示さないナノ構造を維持することができる。
【0052】
次に発熱体14の製造方法の一例を説明する。この場合、板状の支持体61を準備し、蒸着装置を用いて、第1層71や第2層72となる水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を気相状態にして、凝集や吸着によって支持体61の表面に、第1層71及び第2層72を交互に成膜する。これにより、支持体61の表面に多層膜62を有した積層体14aが形成される。なお、第1層71及び第2層72は真空状態で連続的に成膜することが好ましい。これにより、第1層71及び第2層72の間には、自然酸化膜が形成されずに、異種物質界面73のみが形成される。蒸着装置としては、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を物理的な方法で蒸着させる物理蒸着装置が用いられる。物理蒸着装置としては、スパッタリング装置、真空蒸着装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置が好ましい。また、電気めっき法により、支持体61の表面に水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を析出させ、第1層71及び第2層72を交互に成膜してもよい。
【0053】
図4では、多層膜62は、支持体61の一方の面(例えば表面)に積層された構成としているが、これに限定されず、多層膜62は、支持体61の他方の面(例えば裏面)に積層された構成としてもよく、また、多層膜62は、支持体61の両方の面(表面及び裏面)に積層された構成としてもよい。
【0054】
(熱源7)
熱源7は、発熱装置11を構成する密閉容器15の外側から発熱体14を加熱するガスを供給する。あるいは熱源7は、密閉容器15の内側で発熱体14を加熱する水素系ガスを加熱する。このような熱源7は、例えば、ガスタービンを有する火力発電装置、ガスタービン及び蒸気タービンを有する火力発電装置、水素燃焼ガスタービンを有する火力発電装置、及び水素ボイラー等である。
【0055】
(発熱システム1の作用)
次に、以上のように構成された発熱システム1の作用について説明する。
図1に示すように、熱源7から発熱装置11を構成する密閉容器15の外側から発熱体14を加熱するガスを供給する、あるいは熱源7で密閉容器15の内側で発熱体14を加熱する水素系ガスを加熱することで、発熱体14の温度が所定の温度に加熱される。多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。具体的には、各発熱体14の多層膜62の表面に水素分子が吸着し、この水素分子が2つの水素原子に解離して発熱体14の内部へ浸入し、水素原子は発熱体14に吸蔵され、発熱体14の内部を拡散し、発熱体14では水素の吸蔵と放出がなされる。このように、水素原子が多層膜62の異種物質界面73(
図5参照)を量子拡散によって透過し、あるいは、水素原子が異種物質界面73を量子拡散によって拡散して、各発熱体14において加熱温度以上の過剰熱を発生させることができる。発熱システム1においては、水素が各発熱体14で連続的に吸蔵放出することによって、過剰熱を効率的に発生させることができる。発熱システム1において、発熱体14の過剰熱によって、発熱装置11の外部を通過するガス、例えば熱源7から供給されたガスが加熱される。熱源7から供給されたガス等で回収された過剰熱は熱エネルギーとして利用される。あるいは、発熱体14の過剰熱によって、発熱装置11の内部を通過するガス、例えば水素系ガスが加熱される。加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービンあるいは水素燃焼ボイラー等の水素燃焼装置で燃焼して利用される。
【0056】
(発熱システム1の効果)
本実施形態の発熱システム1によれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができる。
【0057】
発熱体14は、水素を使用して発熱するので、二酸化炭素等の温室効果ガスが発生せずクリーンな熱エネルギー源といえる。また、使用する水素は、水から生成できるため安価である。さらに、発熱体14の発熱は、核分裂反応とは異なり、連鎖反応が無いので安全とされている。従って、発熱装置11は、このような発熱体14を熱エネルギー源とすることで、安価、クリーン、安全な熱エネルギー源を利用して過剰熱あるいは加熱された水素系ガスを得ることができる。本実施形態で用いられる発熱体14の電熱設計は容易である。
【0058】
上記のようにして得られた過剰熱は熱エネルギーとして利用することができる。あるいは、得られた加熱された水素系ガスを水素燃焼ガスタービンあるいは水素燃焼ボイラー等の水素燃焼装置で利用することができる。
【0059】
(発熱方法)
本実施形態の発熱方法は、多孔質体、水素吸蔵放出膜、及びプロトン導電体のうち少なくともいずれかにより形成された支持体61の表面に、水素の吸蔵と放出とにより熱を発生する多層膜62が形成された発熱体14を、密閉容器15に収容する。次に、密閉容器15の外側から発熱体14を加熱するガスを熱源7から供給し、あるいは密閉容器15の内側で発熱体14を加熱する水素系ガスを熱源7で加熱する。続いて、水素系ガスを密閉容器15に導入し、発熱体14における水素の吸蔵と放出とにより発熱体14において発熱させる。
【0060】
(発熱方法の効果)
本実施形態の発熱方法によれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体14を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができる。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。以下、他の実施形態及び変形例について説明する。他の実施形態及び変形例の図面及び説明では、上記実施形態と同一又は同等の構成要素及び部材に対し同一の符号を付する。上記実施形態と重複する説明を適宜省略し、上記実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0062】
[第2実施形態]
図6は第2実施形態に係る火力発電システム1Aの概略図である。図示の火力発電システム1Aは、ガスタービン34と蒸気タービン37とを有する火力発電装置7Aと、ガスタービン34の燃焼ガス排出配管35の一部35aに設けられた発熱装置42(後述する)とを備える。ガスタービン34は、発熱装置42の発熱体14を加熱するガスを排出する。
【0063】
ガスタービン34は、空気31と天然ガスを燃焼して得た燃焼ガス33の圧力により回転される。ガスタービン34は発電機41に接続されており、ガスタービン34の回転により発電機41で発電される。ガスタービン34には燃焼ガス排出配管35が接続して設けられており、ガスタービン34の回転に供した燃焼ガスは燃焼ガス排出配管35から排出される。燃焼ガス排出配管35には、排熱回収ボイラー36が接続して設けられている。
【0064】
蒸気タービン37は、復水器38、第1配管39、及び第2配管40が接続して設けられている。第1配管39の熱交換部39aは、排熱回収ボイラー36の内部を通過するように設けられている。復水器38、第1配管39、及び第2配管40には、熱媒体として水及び水蒸気が流されている。復水器38に貯留された水は、第1配管39を通過して排熱回収ボイラー36においてガスタービン34からの燃焼ガスと熱交換して水蒸気となる。得られた水蒸気は、第2配管を通過して蒸気タービン37に導入される。蒸気タービン37は、水蒸気の圧力により回転される。蒸気タービン37は発電機41に接続されており、蒸気タービン37の回転により発電機41で発電される。蒸気タービン37は配管を介して復水器38に接続されており、蒸気タービン37の回転に供した水蒸気は復水器38で水となる。ガスタービン34からの燃焼ガスは、排熱回収ボイラー36において熱交換し、配管36aから排出される。
【0065】
燃焼ガス排出配管35は、例えば断面が5m×7m、長さが20mの大きさがあり、本実施形態では、燃焼ガス排出配管35の一部35aに発熱装置42が設けられている。ガスタービン34から発熱装置42に供給される燃焼ガスは、発熱装置42の発熱体14を加熱することができる。
【0066】
図7は発熱装置42を説明するための説明図である。
図7に示すように、燃焼ガス排出配管35の一部35aの流路内に発熱装置42が収容されて構成されている。
図7に示す構成では、3個の発熱装置42が設けられた構成を示しているが、発熱装置42の個数に特に限定はない。発熱装置42は、第1実施形態に記載の発熱装置11と同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。
【0067】
発熱装置42は、水素系ガスを供給する水素タンク43及び水素供給装置44に導入ライン45を介して接続され、水素系ガスが導入される。発熱装置42は、導出ライン46を介してポンプ47に接続され、発熱装置42内が減圧あるいは真空引きされる。
【0068】
燃焼ガス排出配管35はガスタービン34に接続されており、ガスタービン34から燃焼ガス排出配管35へ例えば大気圧の燃焼ガス48が供給される。燃焼ガス48は、発熱装置42の発熱体を加熱することができる。発熱装置42の発熱体14へ少量の水素系ガスが供給され、発熱装置42内が減圧あるいは真空引きされることで発熱体14の内部を水素が拡散し、水素が拡散する過程で、発熱体14での水素の吸蔵と放出によって発熱体14が発熱する。燃焼ガス排出配管35は、排熱回収ボイラー36に接続されている。燃焼ガス48は、発熱装置42の発熱体14を一度所定の温度に加熱した後は、発熱体14で発生する過剰熱が伝導されて、ガスタービン34から排出された直後よりも高温の排出ガス49として排熱回収ボイラー36に供給され、排熱回収ボイラー36において排出ガス49から熱回収がされて蒸気タービン37での発電がなされる。このようにして、発熱装置42の発熱体14で発生した過剰熱は熱エネルギーとして利用される。
【0069】
上記の発熱装置42において、ガスタービン34から燃焼ガス48を供給することで、発熱装置42の発熱体14の温度が所定の温度に加熱される。発熱装置42に水素系ガスを導入し、発熱装置42の内部を減圧あるいは真空引きすると、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱体14で発生した過剰熱は、熱交換により燃焼ガス排出配管35を通過する燃焼ガス48を加熱して、排熱回収ボイラー36に供給される排出ガス49の温度を高めることができる。例えば、ガスタービン34から燃焼ガス排出配管35へ供給される燃焼ガス48の温度が650℃のときに、燃焼ガス排出配管35から排熱回収ボイラー36へ供給される排出ガス49の温度を650℃以上とすることができる。これによって蒸気タービン37での発電効率を高めることができる。
【0070】
本実施形態の火力発電システム1Aによれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体14を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができ、これよって、発電効率を高めることができる。
【0071】
[第3実施形態]
図8Aは第3実施形態に係る火力発電システム1Bの概略図である。図示の火力発電システム1Bは、水素燃焼ガスタービンを有する火力発電装置7B及び発熱装置105aを含む。火力発電装置7Bは、発熱装置105aの発熱体14を加熱するための水素系ガスを加熱するガスを排出する。
【0072】
火力発電装置7Bは、水素燃焼ガスタービン50を有する。水素燃焼ガスタービン50は、圧縮器51、燃焼器52、タービン53、54、及び燃焼ガスの排出口55を含んで構成されている。水素燃焼ガスタービン50へ外気56を吸気しながら燃焼器52に水素系ガスを導入して燃焼して得た燃焼ガス57の圧力により、タービン53、54が回転される。タービン53、54は発電機(図示なし)に接続されており、タービン53、54の回転により発電機で発電される。燃焼ガス57は、タービン53、54を回転させた後に排出口55から排出される。
【0073】
本実施形態では、水素燃焼ガスタービン50への水素系ガスの供給部として発熱装置105aを含む構成が設けられている。火力発電システム1Bは、水素タンク101、配管102、熱交換器103、配管104、発熱装置105a、格納容器105b、及び配管106を有する。発熱装置105aは格納容器105bに格納されている。水素燃焼ガスタービン50、発熱装置105a、格納容器105b、各配管102、104、106の経路上に適宜設けられた圧力調整弁(図示なし)等は、制御部(図示なし)に接続され、制御部により、水素燃焼ガスタービン50の駆動、水素系ガスの供給、格納容器105bの内部であって発熱装置105aの外部を通過する水素系ガスの加熱がそれぞれ制御される。
【0074】
水素タンク101は配管102を介して熱交換器103に接続されている。熱交換器103は燃焼ガス57の排出経路上に配置されている。熱交換器103は水素タンク101から水素系ガスが導入され、導入された水素系ガスと熱交換器103近傍を流れる燃焼ガス57との熱交換を行い、例えば水素系ガスを650℃に加熱する。加熱された水素系ガスは配管104を介して発熱装置105aを格納する格納容器105bに導入される。
【0075】
発熱装置105aは
図2Aに示す構成を有し、水素燃焼ガスタービン50が排出する燃焼ガス57との熱交換により、発熱装置105aに導入される水素系ガスが所定の温度に加熱されるとともに、加熱された水素系ガスによって発熱装置105aの外側から発熱体14の温度が所定の温度に加熱される。発熱装置105aに別途設けられた配管(不図示)によって発熱装置105aの発熱体14へ少量の水素系ガスが供給され、発熱装置105a内が減圧あるいは真空引きされることで発熱体14の内部を水素が拡散し、水素が拡散する過程で、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱体14は、発生した過剰熱によって、格納容器105bの内部であって発熱装置105aの外部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。
【0076】
上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができる。水素燃焼ガスタービン50は、発熱装置105aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0077】
本実施形態の火力発電システム1Bのガスタービン出力をシミュレーションにより算出した。ここでは、熱交換器103での加熱前の水素系ガスの温度を20℃、熱交換器103での加熱後の水素系ガスの温度を650℃、発熱装置105aでさらに加熱された水素系ガスの温度を900℃、燃焼器52での燃焼温度を1600℃と想定した。シミュレーションの結果、本実施形態の火力発電システム1Bでは、発熱装置105aが設けられておらずに水素系ガスを加熱しないで供給する場合と比較して、燃料量が15.7%減少し、これによりガスタービン効率が18.6%上昇する。燃料量の減少により、ガスタービンの作動流体が減少し、ガスタービン出力は2.3%減少する。上記のガスタービン効率の上昇とガスタービン出力の減少を相殺すると、トータルのガスタービン効率は15.9%上昇し、例えばガスタービン効率35%が40.5%に上昇する。
【0078】
水素系ガスと熱交換器103において熱交換した燃焼ガス57は、水素燃焼ガスタービン50の外部に排出される。例えば、第2実施形態に記載された蒸気タービン37及び排熱回収ボイラー36と同様な構成をさらに有する場合には、燃焼ガス57の熱を回収して蒸気タービンを用いた発電を行うことができる。この場合、燃焼ガス57は水素系ガスとの熱交換により温度が低下し、それに応じて、燃焼ガス57を用いた蒸気タービンでの発電の効率は低下する。
【0079】
本実施形態の火力発電システム1Bによれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体14を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができ、これによって、発電効率を高めることができる。
【0080】
図8Bは本実施形態の他の構成の火力発電システム1Baの概略図である。
図8Bの構成では、
図8Aに示す格納容器105bに格納された発熱装置105aの代わりに、格納容器に格納されていない発熱装置105cが設けられている。発熱装置105cは
図2Bに示す構成を有し、水素燃焼ガスタービン50が排出する燃焼ガス57との熱交換により、発熱装置105cに導入される水素系ガスが所定の温度に加熱されるとともに、発熱装置105cの内側で水素系ガスが接触する発熱体14の温度が所定の温度に加熱される。発熱装置105cに加熱された水素系ガスを導入すると、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱体14は、発生した過剰熱によって、発熱装置105cの内部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。このようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができ、発電効率を高めることができる。
【0081】
[第1変形例]
図9は第1変形例に係る火力発電システム1Cの概略図である。図示の火力発電システム1Cは、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービンを有する火力発電装置7C及び発熱装置105aを含む。火力発電装置7Cは、発熱装置105aの発熱体14を加熱するための水素系ガスを加熱するガスを排出する。火力発電装置7Cの構成は、第3実施形態と同様である。また、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービン50への水素系ガスの供給部として発熱装置105aを含む構成が設けられている。
【0082】
本変形例では、水素タンク101から導出された配管102aが、配管102b及び配管102cに分岐している。一方の配管102cは、第3実施形態と同様に、熱交換器103に接続されており、以降は配管104、発熱装置105aを格納する格納容器105b、及び配管106を介して水素燃焼ガスタービン50の燃焼器52に接続されており、発熱装置105aで加熱された水素系ガスが燃焼して用いられる。発熱装置105aは、
図8Aに示す第3実施形態に記載の発熱装置105aと同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。発熱装置105aを格納する格納容器105bに加熱された水素系ガスを導入すると、発熱装置105aの発熱体14が所定の温度に加熱され、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱装置105aの発熱体14は、発生した過剰熱によって、格納容器105bの内部であって発熱装置105aの外部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができる。水素燃焼ガスタービン50は、発熱装置105aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0083】
また、
図9に示す格納容器105bに格納された発熱装置105aの代わりに、格納容器に格納されていない
図2Bに示す構成を有する発熱装置が設けられていてもよい。発熱装置の発熱体14は、発生した過剰熱によって、発熱装置105aの内部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱し、これを水素燃焼ガスタービン50で燃焼することで発電効率を高めることができる。
【0084】
本変形例に係る火力発電システム1Cは、さらに、配管102aから分岐する他方の配管102bに接続して、水素供給装置107、配管108、発熱装置109、配管110、及びポンプ111を有する。発熱装置109は燃焼ガス57の排出経路上に配置されている。発熱装置109は、第1実施形態に記載の発熱装置11と同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。水素燃焼ガスタービン50から発熱装置109の発熱体14を加熱する燃焼ガス57を供給することで、発熱装置109の外側から発熱体14が所定の温度に加熱される。発熱装置109に少量の水素系ガスを導入して発熱装置109の内部を減圧あるいは真空引きすると、発熱体14の内部で水素が拡散する過程で、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱体14で発生した過剰熱は、熱交換により排出口55から排出される燃焼ガス57を加熱することができる。加熱された燃焼ガス57を排熱回収ボイラー36に供給することで、発熱体14で発生した過剰熱を回収することができる。
【0085】
燃焼ガス57は、熱交換器103において水素系ガスとの熱交換による温度低下があるが、発熱装置109で発生した過剰熱による温度上昇があるため、燃焼ガス57を用いた蒸気タービンでの発電効率の低下を抑制することができる。本変形例の火力発電システム1Cのガスタービン出力を、上記の第3実施形態のシミュレーションと同様の温度を想定してシミュレーションにより算出すると、発熱装置105aが設けられておらずに水素系ガスを加熱しないで供給する場合と比較して、ガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル全体の熱効率も同様に15.9%上昇し、例えばガスタービン効率60%が69.5%に上昇する。
【0086】
[第2変形例]
図10は第2変形例に係る火力発電システム1Dの概略図である。図示の火力発電システム1Dは、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービンを有する火力発電装置7D及び発熱装置105aを含む。火力発電装置7Dの構成は、第3実施形態と同様である。また、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービン50への水素系ガスの供給部として発熱装置105aを含む構成が設けられている。火力発電装置7Dは、発熱装置105aの発熱体14を加熱するための水素系ガスを加熱する発熱装置109を有する。
【0087】
図11は火力発電システム1Dを構成する発熱装置109を説明するための説明図である。
図11に示すように、発熱装置109とそれを格納する格納容器109xとが、水素燃焼ガスタービン50からの燃焼ガス122の排出経路121上に配置されて構成されている。発熱装置109は、第1実施形態に記載の発熱装置11と同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。水素タンク101から導出された配管102dは、配管102e及び配管102fに分岐しており、水素タンク101から導出された配管102dから分岐した一方の配管102fは、水素供給装置107を介して発熱装置109に接続されている。発熱装置109は配管110を介してポンプ111に接続されている。水素タンク101から導出された配管102dから分岐した他方の配管102eは、格納容器109xに接続され、配管104a、発熱装置105a、及び配管106を介して水素燃焼ガスタービン50の燃焼器52に接続されている。
【0088】
格納容器109xの内部に発熱装置109が格納されており、発熱装置109の内部の空間と、発熱装置109の外部であって格納容器109xの内部の空間とに、それぞれ水素系ガスが導入可能に設けられている。水素燃焼ガスタービン50から発熱装置109の発熱体14を加熱する燃焼ガス122を導入することで、発熱装置109の外側から発熱体14が所定の温度に加熱される。発熱装置109に少量の水素系ガスを導入して発熱装置109を減圧あるいは真空引きすると、発熱体14の内部で水素が拡散する過程で、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱装置109の発熱体14で発生した過剰熱は、熱交換により、発熱装置109の外部であって格納容器109xの内部の空間を流れる水素系ガスを加熱することができる。例えば、水素タンク101から20℃の水素系ガスが導入され、650℃に加熱された水素系ガスが配管104aから導出される。
【0089】
格納容器109xの内部で熱交換により例えば650℃に加熱された水素系ガスは、配管104aを介して発熱装置105aが格納された格納容器105bに導入される。発熱装置105aは、
図8Aに示す第3実施形態に記載の発熱装置105aと同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。発熱装置105aが格納された格納容器105bに加熱された水素系ガスを導入すると、発熱装置105aの発熱体14が所定の温度に加熱され、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱装置105aの発熱体14は、発生した過剰熱によって、格納容器105bの内部であって発熱装置105aの外部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができる。水素燃焼ガスタービン50は、発熱装置105aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0090】
また、
図10に示す格納容器105bに格納された発熱装置105aの代わりに、格納容器に格納されていない
図2Bに示す構成を有する発熱装置が設けられていてもよい。発熱装置の発熱体14は、発生した過剰熱によって、発熱装置の内部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱し、これを水素燃焼ガスタービンで燃焼することで発電効率を高めることができる。
【0091】
発熱装置109の発熱体14で発生した過剰熱は、熱交換により、格納容器109xの内部であって発熱装置109の外部の空間を流れる水素系ガスを加熱する。第3実施形態のように熱交換器で発熱装置105aに導入される水素系ガスを加熱する場合には燃焼ガス122の温度低下が発生するが、発熱装置109で発生した過剰熱によって発熱装置105aに導入される水素系ガスを加熱するので燃焼ガス122の温度低下はない。例えば650℃の温度で供給された燃焼ガス122は温度低下がなく650℃のままで排出ガス123として排出され、蒸気タービンでの発電効率の低下を抑制することができる。本変形例の火力発電システム1Dのガスタービン出力を、上記の第3実施形態のシミュレーションと同様の温度を想定してシミュレーションにより算出すると、発熱装置105aが設けられておらずに水素系ガスを加熱しないで供給する場合と比較して、ガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル全体の熱効率も同様に15.9%上昇し、例えばガスタービン効率60%が69.5%に上昇する。
【0092】
本変形例の火力発電システム1Dでは、駆動の初期においては発熱装置109の駆動方法を以下のように変更できる。火力発電システムの駆動の初期においては、発熱装置109の温度が高められていないので、水素系ガスを発熱装置109及び格納容器109xに供給せずに、別途設けられた水素系ガスのバイパスラインを用いて水素燃焼ガスタービン50に水素系ガスを供給し、燃焼ガス122を得る。燃焼ガス122を得て、発熱装置109の発熱体14の温度を十分に高めることができるようになった後、水素系ガスを発熱装置109及び格納容器109xに流し、上記のようにして、加熱された水素系ガスが配管104aから導出されるようにすることができる。
【0093】
[第3変形例]
図12は第3変形例に係る火力発電システム1Eの概略図である。図示の火力発電システム1Eは、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービンを有する火力発電装置7E及び発熱装置105aを含む。火力発電装置7Eの構成は、第3実施形態と同様である。また、第3実施形態と同様に、水素燃焼ガスタービン50への水素系ガスの供給部として発熱装置105aを含む構成が設けられて、発熱装置105aで加熱された水素系ガスが燃焼して用いられる。発熱装置105aは、
図8Aに示す第3実施形態に記載の発熱装置105aと同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。発熱装置105aが格納された格納容器105bに例えば650℃に加熱された水素系ガスを導入すると、発熱装置105aの発熱体14が所定の温度に加熱され、発熱体14の内部で水素が拡散する過程で、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱装置105aの発熱体14は、発生した過剰熱によって、格納容器105bの内部であって発熱装置105aの外部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができる。水素燃焼ガスタービン50は、発熱装置105aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0094】
また、
図12に示す格納容器105bに格納された発熱装置105aの代わりに、格納容器に格納されていない
図2Bに示す構成を有する発熱装置が設けられていてもよい。発熱装置の発熱体14は、発生した過剰熱によって、発熱装置の内部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱し、これを水素燃焼ガスタービンで燃焼することで発電効率を高めることができる。
【0095】
本変形例では、水素タンク101から導出された配管102gと、配管102gから分岐された配管102hと、配管102hから供給される水素系ガスを燃焼して配管102gを流れる水素系ガスを加熱する水素ボイラー112とを有する。水素ボイラー112による加熱によって、発熱装置105aが格納された格納容器105bに導入される水素系ガスは、例えば650℃に加熱される。発熱装置105aにより水素系ガスは例えば900℃に加熱される。上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、水素燃焼ガスタービン50で利用することができる。水素燃焼ガスタービン50は、発熱装置105aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0096】
本変形例の火力発電システム1Eのガスタービン出力を上記の第3実施形態のシミュレーションと同様の温度を想定してシミュレーションにより算出すると、本変形例の火力発電システム1Eでは、発熱装置105aが設けられておらずに水素系ガスを加熱しないで供給する場合と比較して、燃料量が3.1%減少し、これによりガスタービン効率が3.2%上昇する。燃料量の減少により、ガスタービンの作動流体が減少し、ガスタービン出力は2.3%減少する。上記のガスタービン効率の上昇とガスタービン出力の減少を相殺すると、ガスタービン効率と、ガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル全体の熱効率とは、共に約1%上昇する。例えばガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル全体の熱効率は50%から50.5%に上昇する。
【0097】
[第4実施形態]
図13Aは第4実施形態に係る火力発電システム1Fの概略図である。図示の火力発電システム1Fは、水素燃焼ボイラーを有する火力発電装置7F及び発熱装置138aを含む。火力発電装置7Fは、水素燃焼部130、復水器131、蒸気タービン132、及び発電機133を有し、さらに水素燃焼部130、蒸気タービン132、及び復水器131を循環する流路が設けられている。
【0098】
水素燃焼部130で水素が燃焼されると、水素燃焼部130、蒸気タービン132、及び復水器131を循環する流路を流れる熱媒体である水が加熱されて水蒸気となる。得られた水蒸気は、蒸気タービン132に供給される。蒸気タービン132は、水蒸気の圧力により回転される。蒸気タービン132は発電機133に接続されており、蒸気タービン132の回転により発電機133で発電される。蒸気タービン132は配管を介して復水器131に接続されており、蒸気タービン132の回転に供した水蒸気は復水器131で水となる。水素燃焼部130には、排出口134が設けられており、水素燃焼部130からの燃焼ガスは、排出口134から排出される。
【0099】
本実施形態では、水素タンク135から導出された配管136aと、配管136aから分岐された配管136bと、配管136bから導入される水素系ガスを燃焼して配管136aを流れる水素系ガスを加熱する水素ボイラー137とを有する。水素ボイラー137による加熱によって、発熱装置138aが格納された格納容器138bに導入される水素系ガスは、例えば650℃に加熱される。発熱装置138aは、
図8Aに示す第3実施形態に記載の発熱装置105aと同様の構成を有し、
図2Aに示す構成を有する。発熱装置138aが格納された格納容器138bに加熱された水素系ガスを導入すると、発熱装置138aの発熱体14が所定の温度に加熱され、発熱体14の内部で水素が拡散する過程で、多層膜62への水素の吸蔵と多層膜62からの水素の放出とにより過剰熱が発生する。発熱装置138aの発熱体14は、発生した過剰熱によって、格納容器138bの内部であって発熱装置138aの外部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱する。上記のようにして得られた加熱された水素系ガスは、燃料として水素燃焼部130に供給され、水素燃焼ボイラーで利用される。水素燃焼ボイラーは、発熱装置138aで加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができる。
【0100】
本実施形態の火力発電システム1Fのタービン出力を上記の第3実施形態のシミュレーションと同様の温度を想定してシミュレーションにより算出すると、本実施形態の火力発電システム1Fでは、発熱装置138aが設けられておらずに水素系ガスを加熱しないで供給する場合と比較して、燃料量が3.1%減少し、これによりボイラーとタービンを組み合わせた全体効率が3.2%上昇し、例えばボイラーとタービンを組み合わせた全体効率が43%から47.5%に上昇する。
【0101】
本実施形態の火力発電システム1Fによれば、水素吸蔵合金等を用いた発熱体14を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱することができ、これによって、発電効率を高めることができる。
【0102】
図13Bは第4実施形態の他の構成の火力発電システム1Faの概略図である。
図13Bの構成では、
図13Aに示す格納容器138bに格納された発熱装置138aの代わりに、格納容器に格納されていない発熱装置138cが設けられている。発熱装置138cは
図2Bに示す構成を有し、発熱装置138cの発熱体14は、発生した過剰熱によって、発熱装置138cの内部を通過する水素系ガスを例えば900℃に加熱し、これを水素燃焼ボイラーで燃焼することで発電効率を高めることができる。
【0103】
図14は上記の本実施形態及び変形例に係る水素燃焼ガスタービンを有する火力発電システムのガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル全体の熱効率(C/C熱効率)の向上を説明する説明図である。
図14に示されるように、タービンの世代とともに、
図14のD、F、G、Jで示す点の順にタービン入口温度が高められ、これに伴ってC/C熱効率も高められている。
【0104】
ここで、上記の実施形態及び変形例に示すように、水素吸蔵合金等を用いた発熱体を用いて発熱する際に、ヒータを用いずに簡略化した構成で発熱し、発熱装置で加熱された水素系ガスを燃焼することで、発電効率を高めることができ、
図14に示すように、D、F、G、Jで示す点から伸びる矢印の分、C/C熱効率が向上できる。
【0105】
[第4変形例]
図15は第1層と第2層と第3層とを有する第4変形例の発熱体を説明するための説明図である。上記の実施形態及び変形例における発熱体14の代わりに
図15に示す発熱体75を備えることができる。
図15に示す発熱体75は、積層体の多層膜62が、第1層71と第2層72に加えて、第3層77をさらに有する。第3層77は、第1層71及び第2層72とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金、又はセラミックスにより形成される。第3層77の厚みは、1000nm未満であることが好ましい。
図15では、第1層71と第2層72と第3層77は、支持体61の表面に、第1層71、第2層72、第1層71、第3層77の順に積層されている。なお、第1層71と第2層72と第3層77は、支持体61の表面に、第1層71、第3層77、第1層71、第2層72の順に積層されてもよい。すなわち、多層膜62は、第2層72と第3層77の間に第1層71を設けた積層構造とされている。多層膜62は、第3層77を1層以上有していればよい。第1層71と第3層77との間に形成される異種物質界面78は、異種物質界面73と同様に、水素原子を透過させる。
【0106】
第3層77は、例えば、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Co、これらの合金、SiC、CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのうちいずれかにより形成される。第3層77を形成する合金は、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Coのうち2種以上からなる合金であることが好ましい。第3層77を形成する合金として、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Coに添加元素を添加させた合金を用いてもよい。
【0107】
特に、第3層77は、CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成されることが好ましい。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第3層77を有する発熱体75は、水素の吸蔵量が増加し、異種物質界面73及び異種物質界面78を透過する水素の量が増加し、過剰熱の高出力化が図れる。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第3層77は、厚みが10nm以下であることが好ましい。これにより、多層膜62は、水素原子を容易に透過させる。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第3層77は、完全な膜状に形成されずに、アイランド状に形成されてもよい。また、第1層71及び第3層77は、真空状態で連続的に成膜することが好ましい。これにより、第1層71及び第3層77の間には、自然酸化膜が形成されずに、異種物質界面78のみが形成される。
【0108】
第1層71と第2層72と第3層77との組み合わせとしては、元素の種類を「第1層71-第3層77-第2層72」として表すと、Pd-CaO-Ni、Pd-Y2O3-Ni、Pd-TiC-Ni、Pd-LaB6-Ni、Ni-CaO-Cu、Ni-Y2O3-Cu、Ni-TiC-Cu、Ni-LaB6-Cu、Ni-Co-Cu、Ni-CaO-Cr、Ni-Y2O3-Cr、Ni-TiC-Cr、Ni-LaB6-Cr、Ni-CaO-Fe、Ni-Y2O3-Fe、Ni-TiC-Fe、Ni-LaB6-Fe、Ni-Cr-Fe、Ni-CaO-Mg、Ni-Y2O3-Mg、Ni-TiC-Mg、Ni-LaB6-Mg、Ni-CaO-Co、Ni-Y2O3-Co、Ni-TiC-Co、Ni-LaB6-Co、Ni-CaO-SiC、Ni-Y2O3-SiC、Ni-TiC-SiC、Ni-LaB6-SiCであることが好ましい。
【0109】
[第5変形例]
図16は第1層と第2層と第3層と第4層とを有する第5変形例の発熱体を説明するための説明図である。上記の実施形態及び変形例における発熱体14の代わりに
図16に示す発熱体80を備えることができる。
図16に示す発熱体80は、積層体の多層膜62が、第1層71と第2層72と第3層77に加えて、第4層82をさらに有する。第4層82は、第1層71、第2層72及び第3層77とは異なる水素吸蔵金属、水素吸蔵合金、又はセラミックスにより形成される。第4層82の厚みは、1000nm未満であることが好ましい。
図16では、第1層71と第2層72と第3層77と第4層82は、支持体61の表面に、第1層71、第2層72、第1層71、第3層77、第1層71、第4層82の順に積層されている。なお、第1層71と第2層72と第3層77と第4層82は、支持体61の表面に、第1層71、第4層82、第1層71、第3層77、第1層71、第2層72の順に積層してもよい。すなわち、多層膜62は、第2層72、第3層77、第4層82を任意の順に積層し、かつ、第2層72、第3層77、第4層82のそれぞれの間に第1層71を設けた積層構造とされている。多層膜62は、第4層82を1層以上有していればよい。第1層71と第4層82との間に形成される異種物質界面83は、異種物質界面73及び異種物質界面78と同様に、水素原子を透過させる。
【0110】
第4層82は、例えば、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Co、これらの合金、SiC、CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのうちいずれかにより形成される。第4層82を形成する合金は、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Coのうち2種以上からなる合金であることが好ましい。第4層82を形成する合金として、Ni、Pd、Cu、Cr、Fe、Mg、Coに添加元素を添加させた合金を用いてもよい。
【0111】
特に、第4層82は、CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成されることが好ましい。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第4層82を有する発熱体80は、水素の吸蔵量が増加し、異種物質界面73、異種物質界面78、及び異種物質界面83を透過する水素の量が増加し、過剰熱の高出力化が図れる。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第4層82は、厚みが10nm以下であることが好ましい。これにより、多層膜62は、水素原子を容易に透過させる。CaO、Y2O3、TiC、LaB6、SrO、BaOのいずれかにより形成される第4層82は、完全な膜状に形成されずに、アイランド状に形成されてもよい。また、第1層71及び第4層82は、真空状態で連続的に成膜することが好ましい。これにより、第1層71及び第4層82の間には、自然酸化膜が形成されずに、異種物質界面83のみが形成される。
【0112】
第1層71と第2層72と第3層77と第4層82との組み合わせとしては、元素の種類を「第1層71-第4層82-第3層77-第2層72」として表すと、Ni-CaO-Cr-Fe、Ni-Y2O3-Cr-Fe、Ni-TiC-Cr-Fe、Ni-LaB6-Cr-Feであることが好ましい。
【0113】
なお、複数の層からなる発熱体としては、
図4に示す発熱体14、
図15に示す発熱体75、及び
図16に示す発熱体80から2種以上を混合して用いてもよい。例えば、内周側の発熱体と外周側の発熱体とで、異なる層構成の発熱体を用いてもよい。複数の層構成の発熱体を、任意の順番で配置した構成としてもよい。また、多層膜62の構成、例えば、各層の厚みの比率、各層の層数、材料は、使用される温度に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 発熱システム
2 格納容器
3 水素タンク
4 導入ライン
5 導出ライン
6 ポンプ
7 熱源
8 配管
9 配管
10 制御部
11 発熱装置