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特開2025-9559商品提供方法、商品提供システム、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009559
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】商品提供方法、商品提供システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20250110BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112641
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】513222083
【氏名又は名称】株式会社国際カジノ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】木曽 崇
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB23
5L049BB23
(57)【要約】
【課題】娯楽性が高く、かつ、システム側の利益を確保し得る商品提供方法を提供する。
【解決手段】商品提供方法は、ブロックチェーン3に記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供する、コンピュータ(サーバ1)に実装された商品提供方法である。商品提供方法は、サーバのプロセッサ11が、それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中からそれぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、決定した抽出条件を満たす商品を商品群から無作為抽出する、こと(商品提供処理(S5))を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供する、コンピュータに実装された商品提供方法であって、
前記コンピュータのプロセッサが、
それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中からそれぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、
決定した前記抽出条件を満たす商品を前記商品群から無作為抽出する、ことを備える
商品提供方法。
【請求項2】
前記抽出条件は、抽出する商品の合計額を含み、
前記記憶されている複数の抽出条件は、指定された購入額を超える合計額である抽出条件を含む
請求項1に記載の商品提供方法。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記抽出条件及び対応付ける発生確率を生成する、ことをさらに備える
請求項1に記載の商品提供方法。
【請求項4】
前記抽出条件は、抽出する商品の合計額を含み、
前記抽出条件及び対応付ける発生確率を生成することは、複数の抽出条件それぞれの合計額に対応する発生確率を乗じた提供額の指定された購入額に対する関係が、規定された関係となる前記抽出条件及び対応付ける発生確率を生成する、ことを含む
請求項3に記載の商品提供方法。
【請求項5】
前記抽出条件及び対応付ける発生確率を生成することは、合計額が設定範囲内となる前記抽出条件を生成する、ことを含む
請求項3に記載の商品提供方法。
【請求項6】
前記商品を抽出することは、さらに、予め規定された個数の商品を抽出することを含む
請求項1に記載の商品提供方法。
【請求項7】
前記商品を抽出することは、さらに、予め規定された要件を満たす商品を、予め規定された個数、抽出することを含む
請求項1に記載の商品提供方法。
【請求項8】
ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供するための処理を実行する商品提供システムであって、
それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、
決定した前記抽出条件を満たす商品を前記商品群から無作為抽出する、ように構成されている
商品提供システム。
【請求項9】
コンピュータに、ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供するための処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、
決定した前記抽出条件を満たす商品を前記商品群から無作為抽出する、ことを前記コンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品提供方法、商品提供システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の提供方法として、所定の抽出条件に応じて抽出された商品を提供する方法がある。例えば、特開2018-51219号公報(以下、特許文献1)は、課金イベントにおける課金履歴の課金状況に応じて、ガチャを実行する際に設定されアイテムなどの抽選処理の対象となる抽選対象の追加又は変更を含む設定を実行し、設定した抽選対象の中からプレーヤが獲得する抽選対象であるアイテムを抽選するためのガチャを実行する構成を有しているサーバ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-239707号公報
【発明の概要】
【0004】
所定の抽出条件に応じて抽出された商品を提供する提供方法では、商品の被提供者に、提供される商品に対する期待や、提供された商品に対する驚きを与える。提供される商品に対する期待や、提供された商品に対する驚きが大きいほど娯楽性が高まる。一方で、商品提供者などのシステム側の利益の確保も求められる。そのため、娯楽性が高く、かつ、システム側の利益を確保し得る商品提供方法、商品提供システム、及びコンピュータプログラムが求められる。
【0005】
ある実施の形態に従うと、商品提供方法は、ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供する、コンピュータに実装された商品提供方法である。商品提供方法は、コンピュータのプロセッサが、それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中からそれぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、決定した抽出条件を満たす商品を商品群から無作為抽出する、ことを備える。
【0006】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態に係る商品提供システムの概略構成図である。
図2図2は、商品提供システムにおいて記憶されている複数の抽出条件の一例を表した図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係る商品提供方法の流れの一例を表した図である。
図4図4は、第1の実施の形態に係る商品提供方法に従うサーバでの処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図5図5は、第2の実施の形態に係るサーバ1の概略構成図である。
図6図6は、第2の実施の形態に係る商品提供方法の流れの一例を表した図である。
図7図7は、第2の実施の形態に係るサーバ1での処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1.商品提供方法、演算システム、及びコンピュータプログラムの概要>
(1)実施の形態に係る商品提供方法は、ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供する、コンピュータに実装された商品提供方法である。商品提供方法は、コンピュータのプロセッサが、それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中からそれぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、決定した抽出条件を満たす商品を商品群から無作為抽出する、ことを備える。
【0009】
本実施の形態に係る商品提供方法では、対応付けられた発生確率によって決定された抽出条件を満たす商品が無作為抽出される。この商品提供方法によって抽出された商品をユーザに提供することによって、ユーザに対して提供される商品に対する大きな期待感や驚きを与えるとともに、条件設定によって商品提供者などのシステム側の利益を確保することができる。
【0010】
(2)(1)に記載の商品提供方法であって、好ましくは、抽出条件は、抽出する商品の合計額を含み、記憶されている複数の抽出条件は、指定された購入額を超える合計額である抽出条件を含む。これにより、ユーザの娯楽性をより高めることができる。
【0011】
(3)(1)に記載の商品提供方法であって、好ましくは、商品提供方法は、プロセッサが、抽出条件及び対応付ける発生確率を生成する、ことをさらに備える。これにより、商品の抽出条件をシステム側においてコントロールしやすくなる。その結果、ユーザの娯楽性を高めて商品を提供することができるとともに、条件設定によってシステム側の利益を確保することができる。
【0012】
(4)(3)に記載の商品提供方法であって、好ましくは、抽出条件は抽出する商品の合計額を含む。抽出条件及び対応付ける発生確率を生成することは、複数の抽出条件それぞれの合計額に対応する発生確率を乗じた提供額の、指定された購入額に対する関係が、規定された関係となる抽出条件及び対応付ける発生確率を生成する、ことを含む。これにより、抽出される商品の合計額を指定された購入額に対する関係に基づいてシステム側においてコントロールしやすくなる。
【0013】
(5)(3)又は(4)に記載の商品提供方法であって、好ましくは、抽出条件及び対応付ける発生確率を生成することは、合計額が設定範囲内となる抽出条件を生成する、ことを含む。これにより、抽出される商品の合計額をシステム側でコントロールしやすくなる。
【0014】
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の商品提供方法であって、好ましくは、商品を抽出することは、さらに、予め規定された個数の商品を抽出することを含む。これにより、抽出する商品の数を設定することができ、システム側の利益を確保しつつ公平性やユーザの満足感などを担保することができる。
【0015】
(7)(1)~(6)のいずれかに記載の商品提供方法であって、好ましくは、商品を抽出することは、さらに、予め規定された要件を満たす商品を、予め規定された個数、抽出することを含む。これにより、例えば高額商品などの商業的な特色を用いて商品を抽出することができ、システム側の利益を確保しつつユーザの満足感や娯楽性などを高めることができる。
【0016】
(8)実施の形態に係る商品提供システムは、ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供するための処理を実行する商品提供システムである。商品提供システムは、それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、決定した抽出条件を満たす商品を商品群から無作為抽出する、ように構成されている。本実施の形態に係る商品提供システムによって抽出された商品をユーザに提供することによって、ユーザに対して提供される商品に対する大きな期待感や驚きを与えるとともに、条件設定によって商品提供者などのシステム側の利益を確保することができる。
【0017】
(9)実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、ブロックチェーンに記録されたノンファンジブルトークンに対応付けられた商品を提供するための処理を実行させるコンピュータプログラムである。コンピュータプログラムは、それぞれがノンファンジブルトークンに対応付けられた複数商品からなる商品群から提供する商品を抽出するための抽出条件を、記憶されている複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定し、決定した抽出条件を満たす商品を商品群から無作為抽出する、ことをコンピュータに実行させる。本実施の形態に係るコンピュータプログラムによって、コンピュータに、対応付けられた発生確率によって決定された抽出条件を満たす商品が無作為抽出させることができる。このように抽出された商品をユーザに提供することによって、ユーザに対して提供される商品に対する大きな期待感や驚きを与えるとともに、条件設定によって商品提供者などのシステム側の利益を確保することができる。
【0018】
<2.商品提供方法、演算システム、及びコンピュータプログラムの例>
[システム構成]
図1は、実施の形態に係る商品提供システム100の概略構成図である。商品提供システム100は、NFT(ノンファンジブルトークン:Non-Fungible Token)コンテンツ91A,91B,…91Nのうちの少なくとも1つのNFTコンテンツを商品として、ユーザ6に提供するための処理を行う。
【0019】
NFTコンテンツ91A,91B,…91NはNFT化されたコンテンツを指す。NFT化されることは、コンテンツをNFTに対応付けることを指す。具体的には、NFTコンテンツ91A,91B,…91Nは、それぞれ、NFT31A,31B,…31Nに対応付けられたコンテンツを指す。NFTコンテンツ91A,91B,…91Nを代表させて、NFTコンテンツ91とも称する。NFT31A,31B,…31Nを代表させて、NFT31とも称する。
【0020】
NFTコンテンツ91は、商品としてユーザ6に提供し得るデジタルデータであり、一例として、ユーザ6の利用する端末装置5から出力されるデータである。出力は、例えば、画面表示や音声出力やそれらの組み合わせなどである。NFTコンテンツ91は、例えば、画像データ、テキストデータ、音声データ、又は、それらのデータの2以上の組み合わせ、などである。以降の例では、NFTコンテンツ91は、端末装置5にデジタルカードを表示させるためのデータとする。従って、以降の説明での「枚数」は、商品数を指す。
【0021】
NFT31は、ブロックチェーン3に記録される。ブロックチェーン3は、複数のコンピュータが相互に接続されたネットワークシステムによって構成される。ブロックチェーン3を構成する複数のコンピュータは、NFT31を分散して記憶する。ブロックチェーン3は、インターネットなどのネットワーク7に接続されている。
【0022】
NFT31は、ブロックチェーン3上で発行される代替不可能なデジタルトークンである。そのため、NFT31は固有の識別子(以下、NFT-IDとも称する)を有する。
【0023】
ブロックチェーン3は、NFT31の所有者を記録する。NFT31の所有者を記録することは、一例として、ブロックチェーン3が、所有者であるユーザの識別情報(以下、ユーザIDとも称する)と対応付けてNFT31を記憶することである。NFT31の所有者は、ブロックチェーン3に分散して記録される。図1の例では、ブロックチェーン3は、NFT31A,31B,…31Nを、それぞれ、ユーザID32A,32B,…32Nと対応付けて記憶している。
【0024】
NFT31は取引可能である。NFT31が取引されることは、NFTコンテンツ91が取引されることを指す。NFT31の取引履歴は、ブロックチェーン3に分散して記録される。
【0025】
NFTコンテンツ91はデータベース9に記憶される。すなわち、データベース9は、複数の商品であるNFTコンテンツ91A,91B,…91Nからなる商品群を記憶している。データベース9は、一例として、ブロックチェーン3を構成する複数のコンピュータ以外の、1又は複数のコンピュータによって構成される。データベース9もまた、ネットワーク7に接続されている。NFTコンテンツ91は、例えばコンテンツのクリエイターなどによってNFT化され、取引対象としてデータベース9に格納される。
【0026】
NFT化すること、つまりコンテンツをNFT31に対応付けることは、一例として、データベース9が、NFT31のNFT-IDと対応付けてNFTコンテンツ91を記憶することである。図1の例では、データベース9は、それぞれNFT-ID92A,92B,…92Nと対応付けてNFTコンテンツ91A,91B,…91Nを記憶している。
【0027】
ブロックチェーン3には、スマートコントラクト33が実装されている。スマートコントラクト33は、ブロックチェーン3に実装されたソフトウェア(コンピュータプログラム)であり、所定の条件に従って自動的に実行される。スマートコントラクト33は、ブロックチェーン3にNFT31の所有者を記録したり、所有者を書き換えたり、取引履歴を更新する、などの処理を行う。これにより、NFT31の取引などが実現される。
【0028】
[端末装置]
本実施の形態に係る商品提供システム100は端末装置5を備える。端末装置5は、ユーザ6の入力を受け付ける入力装置の一例であるとともに、NFTコンテンツ91の提供先の一例である。端末装置5は、プロセッサ51とメモリ52とを有するコンピュータ、又は1つのコンピュータ及びその周辺装置で構成されている。端末装置5は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどである。端末装置5は、複数のコンピュータが協働して実現されてもよい。
【0029】
プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリ52は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含む。メモリ52は、プロセッサ51で実行されるプログラム521を記憶している。
【0030】
端末装置5は、タッチパネル53を備える。タッチパネル53は、ユーザ6の入力を受け付ける入力装置の一例であるとともに、NFTコンテンツ91の再生装置の一例である。
【0031】
[第1の実施の形態]
[サーバ]
本実施の形態に係る商品提供システム100はサーバ1を備える。サーバ1は、一例として、ブロックチェーン3を構成する複数のコンピュータ以外のコンピュータ、又は1つのコンピュータ及びその周辺装置で構成されている。サーバ1は、複数のコンピュータが協働して実現されてもよい。サーバ1は、プロセッサ11とメモリ12とを有する。プロセッサ11は、例えばCPUである。メモリ12は、例えばROM、RAMなどを含む。メモリ12は、プロセッサ11で実行されるプログラム121を記憶している。
【0032】
メモリ12は、複数の抽出条件を記憶するための記憶領域である条件記憶部122を有している。条件記憶部122には、複数の抽出条件がそれぞれ発生確率に対応付けて記憶されている。
【0033】
抽出条件は、複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から提供するNFTコンテンツ91を抽出する基準となる指標であればよく、例えば合計額である。発生確率はその抽出条件が発生する確率であって、一例として、所定回数のうちにその抽出条件を用いる回数である。
【0034】
図2は、メモリ12の条件記憶部122に記憶されている複数の抽出条件の一例を表した図である。図2の例では、条件記憶部122は、複数の抽出条件C1~C3を条件テーブル21において記憶している。なお、メモリ12での抽出条件の記憶は、テーブル形式に限定されない。
【0035】
条件テーブル21は、抽出条件C1~C3として、それぞれ合計額211と発生確率212とを記憶している。すなわち、抽出条件C1は合計額о、発生確率x%であり、抽出条件C2は合計額p、発生確率y%であり、抽出条件C3は合計額q、発生確率z%である。好ましくは、合計額が大きい方が小さい発生確率に対応付けられ、合計額が小さい方が大きい発生確率に対応付けられている。これにより、ユーザの娯楽性とシステム側の利益との両立が図られる。
【0036】
メモリ12は、履歴を記憶するための記憶領域である履歴記憶部123を有している。履歴記憶部123には、少なくとも所定期間、又は所定回数の商品の提供において用いられた抽出条件が記憶されている。これにより、後述の決定処理111において、複数の抽出条件の中からそれぞれに対応付けられた発生確率に応じて、NFTコンテンツ91を抽出するための抽出条件を決定することができる。
【0037】
好ましくは、条件記憶部122は、購入額に対応した複数の条件テーブル21を記憶している。購入額は、商品の提供を希望するユーザの支払額を指す。この場合、購入額に対応した条件テーブル21の記憶している複数の抽出条件は、購入額を超える合計額である抽出条件を含む。これにより、発生確率によっては購入額より提供される商品の合計額が高額となる場合がある。そのため、ユーザのお得感が高まり、娯楽性を高めることができる。
【0038】
好ましくは、履歴記憶部123には、商品を提供したユーザの識別情報に対応付けて所定期間、又は所定回数の商品の提供において用いられた抽出条件が記憶されている。これにより、後述の決定処理111において、ユーザごとに、複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて抽出条件を決定することができる。
【0039】
プロセッサ11は、プログラム121を実行することによって決定処理111を実行する。決定処理111は、複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から提供するNFTコンテンツ91を抽出するための抽出条件を、メモリ12に記憶されている複数の抽出条件の中から決定することを含む。決定処理111でプロセッサ11は、抽出条件とする合計額を、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて決定する。
【0040】
対応付けられた発生確率に応じて抽出条件とする合計額を決定することは、一例として、履歴記憶部123に記憶されている所定回数の商品の提供において抽出条件として用いられた合計額を参照して、対応付けられた発生確率に最も近くなる合計額を抽出条件として決定することを含む。例えば、過去の99回の商品の提供それぞれにおいて抽出条件として用いられた合計額、及び今回の抽出条件とする合計額が、合計額оがx回、合計額pがy回、及び合計額qがz回に近くなるように今回の抽出条件とする合計額を決定する。これにより、商品提供システム100で提供する商品を、予め規定した発生確率に従った合計額で抽出されたものとすることができる。
【0041】
条件記憶部122に購入額に対応した複数の条件テーブル21が記憶されている場合、好ましくは、抽出条件を決定することは、複数の条件テーブル21の中からユーザの指定した購入額に応じた条件テーブル21を選択することを含む。この場合、決定処理111でプロセッサ11は、選択された条件テーブル21の複数の抽出条件の中から、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて抽出条件とする合計額を決定する。このとき、好ましくは、条件テーブル21の複数の抽出条件は、ユーザの指定した購入額を超える合計額である抽出条件を含む。これにより、ユーザの娯楽性とシステム側の利益との両立が図られる。
【0042】
プロセッサ11は、プログラム121を実行することによって抽出処理112を実行する。抽出処理112は、複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から、抽出条件に決定された合計額を満たす1又は複数のNFTコンテンツ91を抽出することを含む。この例では、複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から、抽出条件として決定された合計額を満たすNFTコンテンツ91の組み合わせが抽出される。ここでの抽出は、一例として無作為抽出であってよい。他の例として、予め規定された順で抽出してもよい。
【0043】
好ましくは、抽出条件に決定された合計額を満たすNFTコンテンツ91の組み合わせが複数ある場合、抽出処理112は、複数の組み合わせのうちの所定の組み合わせを選択することを含む。所定の組み合わせは、例えば、合計額が最も低い組み合わせであってもよいし、他の例としては、合計額が最も高い組み合わせであってもよい。これにより、1通りのNFTコンテンツ91の組み合わせが抽出される。
【0044】
好ましくは、抽出処理112は、複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から、抽出条件に決定された合計額を満たし、かつ、予め規定された必須条件を満たすNFTコンテンツ91を抽出する。必須条件は、例えば、抽出する商品数nである。この例の場合、抽出するNFTコンテンツ91の総数(デジタルカードの総枚数)nである。抽出する商品数nは、一例として、商品を購入するユーザによって指定されてもよいし、予め規定されていてもよい。これにより、提供する商品の数を設定することができ、システム側の利益を確保しつつ公平性やユーザの満足感などを担保することができる。
【0045】
必須条件は、さらに、抽出する商品数nのうちの、所定の条件mを満たす商品数l(エル)であってもよい。所定の条件mは、例えば価格である。他の例として、新しさや大きさやデータ量などであってもよい。必須条件は、一例として、対応付けられたNFT31の金額が規定額以上の高額のNFTコンテンツ91(要件m)の数(デジタルカードの総枚数)lである。高額商品数lは、抽出する商品数nやユーザが支払う購入額などに応じて規定されていてもよいし、予め規定されていてもよい。図2の例では、高額商品数lは、後述する購入画面(図示せず)によりユーザ6が指定し、端末装置5から送信された商品数n、及び、ユーザが支払う購入額bに応じて規定されている。これにより、高額商品などのいわゆる目玉商品の数を設定することができ、システム側の利益を確保しつつユーザの満足感や娯楽性などを高めることができる。
【0046】
メモリ12の条件記憶部122は、一例として、高額商品数lの条件C4~C7を条件テーブル22において記憶している(図2参照)。条件テーブル22は、条件C4~C7として、それぞれ、購入額221及び総枚数222と対応付けた高額商品数(高額カード枚数)223を記憶している。図2の例では、条件テーブル22は、条件C1として購入額3000円、総枚数5枚のときの高額カード枚数を1枚、条件C2として購入額6000円、総枚数5枚のときの高額カード枚数を2枚、条件C3として購入額5000円、総枚数10枚のときの高額カード枚数を2枚、条件C4として購入額10000円、総枚数10枚のときの高額カード枚数を4枚、を記憶している。この場合、抽出処理112でプロセッサ11は、条件テーブル22を参照して、端末装置5から送信された購入額b及び総枚数(商品数)nから高額商品数lを決定し、必須条件として用いる。
【0047】
[商品提供方法]
図3は、本実施の形態に係る商品提供方法の流れの一例を表した図である。本実施の形態に係る商品提供方法では、一例として、端末装置5が、NFTコンテンツ91の購入を希望するユーザ6から購入操作を受け付ける(ステップS1)。購入操作の際、端末装置5は、一例として、プログラム521を実行した端末装置5のプロセッサ51の制御に従って、タッチパネル53に購入画面(図示せず)を表示させる。
【0048】
購入画面は、例えば、複数の購入タイプの選択肢を選択可能に提示する。購入タイプは、少なくとも購入額bによって規定され、例えば、3000円、6000円、5000円、及び10000円の購入額で規定される。さらに、購入タイプは、商品数nによって規定される。購入タイプは、5枚、10枚、及び10枚の総枚数nの購入額で規定される。一例として、第1の購入タイプが購入額3000円及び商品数5枚(n=5,b=3000)、第2の購入タイプが購入額6000円及び商品数5枚(n=5,b=6000)、第3の購入タイプが購入額5000円及び商品数10枚(n=10,b=5000)、第4の購入タイプが購入額10000円及び商品数10枚(n=10,b=10000)とする。
【0049】
ステップS1において、購入画面でいずれかの購入タイプを選択して購入を指示するユーザ操作を受け付けると、プロセッサ51はプログラム521に従ってサーバ1にリクエストを送信する(ステップS3)。ステップS3のリクエストは、選択された購入タイプを示す情報を含み、少なくとも購入額bと総枚数nとを指定し得る情報を含む。また、リクエストは、購入者であるユーザ6を特定し得る情報を含む。ユーザ6を特定し得る情報は、一例として、ユーザ6のユーザIDである。
【0050】
サーバ1は、ステップS3で端末装置5からリクエストを受けると、リクエストに従って商品を提供するための処理を実行する(ステップS5)。ステップS5のサーバ1での処理については後述する。サーバ1は、提供する商品の抽出に用いた抽出条件をメモリ12の履歴に登録し(ステップS7)、抽出したNFTコンテンツ91をユーザ6に提供する(ステップS9)。
【0051】
ステップS9での提供は、抽出したNFTコンテンツ91の所有者をユーザ6とすることを含む。具体的には、NFTコンテンツ91のコンテンツに対応付けられたNFT31の所有者としてユーザ6のユーザIDをブロックチェーン3に記録させることである。一例として、サーバ1のプロセッサ11は、NFT31の所有者としてユーザ6のユーザIDをブロックチェーン3に記録させることをスマートコントラクト33に対して指示する。これにより、NFT31が所有者としてのユーザ6のユーザID32と対応付けてブロックチェーン3に記録される。また、NFT31のNFT-ID92に対応付けられてデータベース9に記憶されているコンテンツである、提供されたNFTコンテンツ91の所有者がユーザ6となる。
【0052】
また、ステップS9では、NFTコンテンツ91を記録しているデータベース9のアドレスがサーバ1から端末装置5に対して送信されてもよい。これにより、ユーザ6は、端末装置5によってデータベース9にアクセスし、NFTコンテンツ91であるデジタルカードをタッチパネル53に表示させることができる。
【0053】
[サーバでの処理]
図4は、本実施の形態に係る商品提供方法に従うサーバ1での処理の流れの一例を表したフローチャートである。端末装置5からリクエストを受信すると(ステップS101でYES)、サーバ1のプロセッサ11は、端末装置5から送信された情報から商品数(総枚数)nと購入額bとを識別する(ステップS103)。
【0054】
例えば、端末装置5から上記の第3の購入パターンのリクエストが送信されると、ステップS103でサーバ1のプロセッサ11は、リクエストから総枚数nが10枚(n=10)、購入額bが5000円(b=5000)であることを識別する。プロセッサ11は条件テーブル22を参照し、総枚数n及び購入額bに対応付けられた高額商品数lを決定する(ステップS105)。図2の例の場合、ステップS105では条件C6が読み出されて高額カードの枚数lが2枚(l=2枚)と決定される。
【0055】
プロセッサ11は、条件テーブル21に記憶されている複数の合計額のうち、それぞれに対応付けられた発生確率に応じて抽出条件とする合計額を決定する(ステップS109)。ステップS109では、一例として、履歴記憶部123に記憶されている履歴を参照する。そして、プロセッサ11は、過去の所定回数の商品の提供の際に抽出条件とされた合計額と今回の商品の提供の抽出条件とする合計額とを合わせると、記憶されている複数の合計額それぞれに対応付けられた発生確率となるように、今回の商品の提供の抽出条件とする合計額を決定する。
【0056】
プロセッサ11は、データベース9に記憶されている複数のNFTコンテンツ91A,91B,…91Nの中から、抽出条件に決定した合計額を満たし、かつ、高額カードの枚数が決定された枚数lとなるような、総枚数nのNFTコンテンツ91を無作為に抽出する(ステップS111)。
【0057】
[実施の形態の効果]
本実施の形態に係る商品提供システム100では、ユーザが購入を指示すると、対応付けられた発生確率によって決定された合計額を満たすNFTコンテンツが無作為に抽出される。このように抽出された商品がユーザに提供されることで、ユーザに対して大きな期待感や驚きを与えるとともに、商品提供者などのシステム側の利益を確保することができる。その結果、本実施の形態に係る商品提供システム100では、ユーザの娯楽性を高めて商品を提供することができるとともに、システム側の利益を確保することができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
図5は、第2の実施の形態に係るサーバ1の概略構成図である。第2の実施の形態に係るサーバ1は、第1の実施の形態に係るサーバ1の概略構成(図1)に対して、プロセッサ11が、さらに生成処理113を実行することが異なる。なお、商品提供システム100のその他の構成は、図1の構成と同じである。
【0059】
生成処理113は、抽出条件の選択肢として合計金額と対応付ける発生確率との組み合わせを生成する。具体的には、生成処理113は、メモリ12に記憶されている控除率aを用いて合計金額と対応付ける発生確率との組み合わせを生成する。控除率aは予め規定されていてもよいし、商品の提供者によって設定されてもよいし、その他の様々な方法で設定され得る。
【0060】
控除率aは、提供額と購入額bとの関係の一例であって、提供額の購入額bに対する割合を指す。提供額は、合計額に対応付ける発生確率を乗じて得られる値の総和を指す。例えば、複数の抽出条件の選択肢として合計額оの発生確率x%、合計額pの発生確率y%、及び合計額qの発生確率z%の3つの組み合わせがある場合、控除率aは下の式(1)で得られる。
a=1―(оx+py+qz)/b …(1)
【0061】
生成処理113においてプロセッサ11は、設定された控除率aを満たすような合計額と対応付ける発生確率を生成する。つまり、提供額の購入額bに対する関係が、規定された関係となるような合計額と、その合計額に対応付ける発生確率との組み合わせを生成する。合計額と対応付ける発生確率との組み合わせの生成は、一例としてランダム生成である。他の例として、例えば記憶している演算式に従うような、予め規定された手順に基づく生成でもよい。
【0062】
好ましくは、生成処理113においてプロセッサ11は、設定範囲内となるよう合計額と、その合計額に対応付ける発生確率との組み合わせを生成する。合計額の設定範囲は、例えば、最少額と最大額とで規定され、メモリ12に記憶されている。合計額の設定範囲は、具体的には、最大額の最少額に対する割合や、最少額のみ、又は最大額のみで規定され得る。合計額の設定範囲は予め規定されていてもよいし、商品の提供者によって設定されてもよいし、その他の様々な方法で設定され得る。これにより、提供する商品が、合計額が設定範囲内で抽出されるようになる。その結果、提供する商品の合計額をシステム側でコントロールしやすくなる。
【0063】
図6は、第2の実施の形態に係る商品提供方法の流れの一例を表した図である。第2の実施の形態に係る商品提供方法は、第1の実施の形態に係る商品提供方法(図3)に対して、商品提供処理S5に替えて商品提供処理S5-1を含む点が異なる。
【0064】
第2の実施の形態に係る商品提供方法において、サーバ1は、ステップS3で端末装置5からリクエストを受けると、リクエストに従って商品を提供するための処理を実行する(ステップS5―1)。ステップS5―1の処理は、メモリ12から控除率aを読み出し、控除率aを満たす合計額と対応付ける発生確率との組み合わせをランダム生成することを含む。
【0065】
図7は、第2の実施の形態に係るサーバ1での処理の流れの一例を表したフローチャートである。第2の実施の形態に係るサーバ1での処理の流れは、第1の実施の形態に係るサーバ1での処理の流れ(図4)に対して、ステップS106,S107,S108をさらに含む点が異なる。
【0066】
詳しくは、第2の実施の形態に係るサーバ1のプロセッサ11は、端末装置5からリクエストを受信すると、メモリ12から控除率aと合計額の設定範囲とを読み出す(ステップS106,S107)。プロセッサ11は、ステップS103で識別した購入額bを用い、読み出した控除率aを満たし、かつ設定範囲内となる合計額と対応付ける発生確率との組み合わせをランダム生成する(ステップS108)。
【0067】
プロセッサ11は、ステップS108で生成した合計額と対応付ける発生確率との組み合わせを抽出条件の選択肢として用い、以降、第1の実施の形態に係るサーバ1での処理と同様に、抽出条件とする合計額を決定して(ステップS109)、提供するNFTコンテンツ91を無作為に抽出する(ステップS111)。
【0068】
第2の実施の形態に係る商品提供システム100では、ユーザの購入額bを用い、設定された控除率aを満たす合計額と対応付ける発生確率との組み合わせを生成して抽出条件の選択肢として用いる。そのため、提供する商品の合計額をユーザの購入額bとの関係に基づいてシステム側においてコントロールしやすくなる。その結果、ユーザの娯楽性を高めて商品を提供することができるとともに、システム側の利益を確保しやすくなる。
【0069】
[変形例]
以上の説明では、商品提供システム100で提供する商品がNFT化されたコンテンツであるとしているが、商品はNFT化されていることも、コンテンツであることも必須ではない。また、商品は、デジタルデータであることも必須ではない。この場合であっても、第1の実施の形態に係る商品提供システム100、又は、第2の実施の形態に係る商品提供システム100は上記のように商品を提供し得る。
【0070】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1:サーバ、3:ブロックチェーン、5:端末装置、9:データベース、21,22:条件テーブル、91:NFTコンテンツ、100:商品提供システム、121:プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7