(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009586
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】蓄熱式温水床暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24D 3/16 20060101AFI20250109BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20250109BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20250109BHJP
F24D 19/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F24D3/16 A
E04B5/43 Z
E04B1/76 200Z
F24D19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023117883
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】507333225
【氏名又は名称】有限会社アシコー
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 正人
【テーマコード(参考)】
2E001
3L070
3L073
【Fターム(参考)】
2E001DD03
2E001FA11
3L070BD06
3L073DD08
(57)【要約】
【課題】本発明は、特殊混合鉱砂を使用することで遠赤外線放射と蓄熱の効力を大幅な向上を実現、更にマイナスイオンによる室内環境の改善をもたらす、シナジー効果を得ることを目的とした蓄熱式温水床暖房装置として提供する。
【解決手段】建物の下地合板の上面に設置される蓄熱式温水床暖房装置であって、前記下地合板の上面に間隔を隔てて複数敷設された根太と、前記根太の間の前記下地合板の上面に配置され内部に温水が流れる温水パイプと、前記温水パイプに接するように前記根太の間の前記地合板の上面に敷設された粉粒体と、前記根太の上に設置された床板とを備え、前記粉粒体は、蓄熱材として砂と、空気中の水分子をイオン化させる機能を有し加熱されるとその機能が高まるマイナスイオン生成粉末とから少なくとも構成されている、ことを特徴とする蓄熱式温水床暖房装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の下地合板の上面に設置される蓄熱式温水床暖房装置であって、前記下地合板の上面に間隔を隔てて複数敷設された根太と、前記根太の間の前記下地合板の上面に配置され内部に温水が流れる温水パイプと、前記温水パイプに接するように前記根太の間の前記地合板の上面に敷設された粉粒体と、前記根太の上に設置された床板とを備え、前記粉粒体は、蓄熱材として砂と、空気中の水分子をイオン化させる機能を有し加熱されるとその機能が高まるマイナスイオン生成粉末とから少なくとも構成されている、ことを特徴とする蓄熱式温水床暖房装置。
【請求項2】
前記根太の上に前記粉粒体を覆うように調湿シートが設けられ、前記調湿シートの上に前記床板が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式温水床暖房装置。
【請求項3】
前記調湿シートが、水分子の通過を許容する水分子通過シートである、ことを特徴とする請求項2に記載する蓄熱式温水床暖房装置。
【請求項4】
前記調湿シートが透明であり、前記床板を設置する前に上方から前記調湿シートを通じて前記根太が目視可能な状態である、ことを特徴とする請求項2または3に記載の蓄熱式温水床暖房装置。
【請求項5】
前記マイナスイオン生成粉末は、トルマリン、ジルコニア系鉱物、レアアース鉱石およびゼオライト鉱石の少なくとも何れか一つを含有している、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の蓄熱式温水床暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築物の下地合板の上面に敷設される蓄熱式温水床暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来提供されている床暖房装置は下記の様な構造となっている。
1.パネル式、パイプ式マット、電気式などの床暖房。
2.電力の有効利用の技術に、夜間の電力で蓄熱を行い昼間その熱を放熱させて暖房として利用する蓄熱式暖房器がある。
3.床板材直下にコンクリート板を造り、その内部に温水管や電熱線を配し、コンクリート板を温める蓄熱式床暖房装置がある。
従来の技術に述べたものにあって、下記の様な問題点を有する。
4.従来の温水床暖房製品は、ユニット主流の為に軽量と薄さを重視することで温水管を内径3.7mm~8mmの温水管が採用されており熱効率に於いてエネルギーロスが発生している。
5.従来の床暖房製品は、温水管以外の周辺部をポリエチレン素材で設計されていることが多い。ポリエチレン素材は一般的に断熱材に属しており、温水管よりの熱伝達を一部に集中させる役割である。しかし、これは床面全体への熱伝達に於いてロスが多大に発生している。
6.従来の蓄熱式温水床暖房製品は、蓄熱材のコンクリート版・砂利などにより施工層の厚みが100mm程の空間が必要としている為にリフォーム工事には不向きである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-54818号 公報
【特許文献2】特開2007-21126号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
A.パネル式、パイプ式マット、電気式などの床暖房は蓄熱作用が無いものは、温度を確保するには一定のエネルギーを要する。
B.蓄熱材としてコンクリ板や砂利又はレンガ等採用製品は、施工面の難しさや導入時コストが高い。本願は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは上述の問題を解決できるものを提供しようとするものである。
C.本発明品は、代表施工図本製品部分(3)~(7)15mmと(8)捨てベニア部分12mmで構成されており総合の厚み27mmとなる。この厚みが実現される事により、従来難しいとされていた蓄熱式温水床暖房をリフォームにて設計施工が簡易になる。
D.本発明品の温水管はPE管内径10mmを採用しており、従来品の熱伝達力に於いて約4倍の効率を実現させて、更に温水管径が大きい事でボイラー機器の圧送能力の負荷を少なくするこが実現できる。
F.本発明は、特殊混合鉱砂を使用することで遠赤外線放射と蓄熱の効力を大幅な向上を実現、更にマイナスイオンによる室内環境の改善をもたらす、シナジー効果を得ることを目的とした蓄熱式温水床暖房装置として提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は下記のようになるものである。
請求項1記載の発明は、建物の下地合板の上面に設置される蓄熱式温水床暖房装置であって、前記下地合板の上面に間隔を隔てて複数敷設された根太と、前記根太の間の前記下地合板の上面に配置され内部に温水が流れる温水パイプと、前記温水パイプに接するように前記根太の間の前記地合板の上面に敷設された粉粒体と、前記根太の上に設置された床板とを備え、前記粉粒体は、蓄熱材として砂と、空気中の水分子をイオン化させる機能を有し加熱されるとその機能が高まるマイナスイオン生成粉末とから少なくとも構成されている、ことを特徴とする蓄熱式温水床暖房装置。下地用合板に仕切り枠木材として根太を設け根太間に温水パイプとしてPE管を等間隔に施工する。施工後、粉粒体として特殊混合鉱砂を15mm敷詰めそれを温水で温め蓄熱型の床暖房とした事を特長とするものである。
請求項2記載の発明は、前記根太の上に前記粉粒体を覆うように調湿シートが設けられ、前記調湿シートの上に前記床板が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式温水床暖房装置。特殊混合鉱砂の持つ作用として設置上の木材・フローリングを透過する微弱エネルギーをもって空間の空気をイオン化するマイナスイオン発生を促進させ。消臭・抗菌・抗カビ・遠赤外線等の効果を長期持続するものを特殊とするものである。
請求項3記載の発明は、前記調湿シートが、水分子の通過を許容する水分子通過シートである、ことを特徴とする請求項2に記載する蓄熱式温水床暖房装置。請求項3の効力をより促進する為に、空間中の水分子を必要とする。この為に、調湿シートとしてのメンブレン(登録商標)を特殊混合鉱砂の上に設置し、空間中水分子取り込みを促進する効果を特長とするものである為に本発明の全体システムに於いてメンブレンの設置が望ましい。
請求項4記載の発明は、前記調湿シートが透明であり、前記床板を設置する前に上方から前記調湿シートを通じて前記根太が目視可能な状態である、ことを特徴とする請求項2または3に記載の蓄熱式温水床暖房装置。
請求項5記載の発明は、前記マイナスイオン生成粉末は、トルマリン、ジルコニア系鉱物、レアアース鉱石およびゼオライト鉱石の少なくとも何れか一つを含有している、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の蓄熱式温水床暖房装置。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、粉粒体が温水パイプに接しているので、粉粒体のマイナスイオン生成粉末が温水パイプによって加熱され、空気中の水分子をマイナスイオン化させる機能が高まる。よって、この蓄熱式温水床暖房装置を作動させると、床板の上方の室内の空気の水分子が効力よくマイナスイオン化され、室内における暖房空間の質を高めることが出来る。
蓄熱材としての礫や砂利ではなく粉粒体を用いているので、蓄熱材を根太の間の床基盤の上に敷設する作業が礫や砂利の場合と比べて容易であり、施工時間を短縮できる。また、蓄熱材が礫や砂利の場合、温水パイプを傷つける可能性があるが、粉粒体なので温水パイプを傷付ける虞はない。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、根太の上に粉粒体を覆うようにカバーシートが設けられているので、カバーシートの上に(
図2)の捨てベニア合(8)を設置する際、粉粒体が意に反して散らばる事態を回避できる。
【0008】
請求項3記載の発明によれば、カバーシートが水分子の通過を許容する水分子通過シートなので、床板の上方の室内の空気中の水分子がカバーシート(水分子通過シート)を通過して上下に行き来し、(
図2)の捨てベニア合板(8)と(
図2)の床板(9)の上方の室内の空気の水分子を効率よくマイナスイオン化できる。
【0009】
請求項4記載の発明によれば、カバーシートが透明であり、床板を設置する前に上方からカバーシートを通じて根太が目視可能な状態であるので、カバーシートの上部に(
図2)の捨てベニア合板(8)と(
図2)の床(9)を設置する際、作業者は、カバーシートお下法の根太を足で踏んで安定した姿勢で作業ができる。すなわち、作業者がカバーシートの下法の粉粒体を踏んでしまい、カバーシートが破損や皴皺となる事態を回避できる。
【0010】
請求項5記載の発明によれば、マイナスイオン生成粉末がトルマリン、ジルコニア系鉱物、レアアース鉱石およびゼオライト鉱石の少なくとも何れか一つを含有しているので、加熱によって空気中の水分子をマイナスイオン化させる機能が的確に高まる。また、マイナスイオン生成粉末にゼオライト鉱石の粉末が含まれている場合、加熱する事で波長効果による遠赤外線増幅をもたらし、輻射熱による暖房効果の大幅な向上を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】同上に於いて(
図2)上部を展開した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(
図1)は本発明の蓄熱式温水床暖房で、公知の大引(1)上に下地用合板(2)を利用したものに敷設していくものとして説明する。まず、透湿謙防水を確保する為に透湿防水シート(3)を下地合板(2)上部全面に敷設する。次に仕切枠木材(根太)(4)を303mm間隔で設ける。次に、温水パイプとしてのPE管(5A)をボイラーの温水入口側より各室へ通管し根太間を蛇行配設して温水PE管(5B)へ配設していく。
次に、粉粒体としての特殊混合鉱砂(6)を根太(4)の上面15mmを上限に充填する。調湿シートとしてのメンブレン(7)を上面に敷設する。これまでの構造を本発明の形態とする。敷設後の構造として、捨てベニア合板(8)12mm、床板(9)を敷設する。
特殊混合鉱砂(6)は、蓄熱材として砂と空気中の水分子をイオン化させる機能を有し加熱されるとその機能が高まるマイナスイオン生成粉末とから少なくとも構成されている。マイナスイオン生成粉末はトルマリン、ジルコニア系鉱物、レアアース鉱石およびゼオライト鉱石の少なくとも何れか一つを含有している。トルマリン・ラジウム鉱石等のレアアース鉱石を含有したマイナスイオン生成粉末は、加熱されると空気中の水分子をイオン化させる機能があることが知られている。(特許文献2参照)
【0013】
作用は下記の通りである。
1 下地合板と床仕上げ材の間に15mmの本発明の敷設空間を設け、PE管を配し特殊混合鉱砂を充填して部屋の温度に応じて50℃~70℃の水をボイラー機器より圧送する。
2 特殊混合鉱砂にPE管からの熱を蓄熱させる。
3 室外に設置した床暖房用ボイラーで温められた温水が電動弁を通して各室各々のヘッダーより各回路に送られ、特殊混合鉱砂を温めて室外機ボイラーに帰ってくる。
4 床暖房設置の箇所各室温に応じて、50℃~70℃の範囲で温水の温度を調整器で温度設定を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の通り構成され、下記記載の効果を奏する。
1 特殊混合鉱砂による蓄熱式温水床暖房は熱持ちがよく、最小限のエネルギーにての床暖効率の良い床暖房システムを実現させた。ボイラーからの温水供給を止めてからも、平均約6時間床板温度の低下を防ぐ。
昨今のSDGsの観念からも特出するべき製品である。
2 温水からの温熱・特殊混合鉱砂から常時放出される遠赤外線による人体への健康促進効果が見込まれる。
3 室内温度を一定に安定させ、健康的な生活を提供できる。
4 輻射熱暖房により、室内空気乾燥を防ぐ暖房機器である。
5 特殊混合鉱砂は、世に多く知られているマイナスイオン効果をもたらし、住居空間の消臭・抗菌・抗カビ等の空間清浄を継続する効果がある。また、床下への抗カビもマイナスイオン発生の効力にて継続的にカビ被害の低減の効果が見込まれる。
6 特殊混合鉱砂は電気エネルギーを必用とせずにマイナスイオンを常時発生させ、床暖房を使用しない夏季時を含む一年中において、マイナスイオン発生の効力は持続的な効果が見込まれる。
7 蓄熱式温水床暖房として極薄の製品であり、リフォーム等にも設計施工し易い。
8 本発明は既存の温水床暖房システムを技術継承するものである為、故障等の新規リスクは見込まれない。
9 本発明は現地にての施工を常とする為に、従来の温水床暖房ユニット製品に比べて施工範囲の限定等の問題を解決出来る。
10 本発明は部品数が少なく容易な施工を可能としており、普及への妨げの問題を解決出来る。
11 従来の温水床暖房装置は、経年劣化等による床板交換の改修工事に於いて、床板交換の解体時にほぼ床暖装置そのものも解体が余儀なくされており、床暖装置の持続使用が出来なかつた。本発明は、(
図2)の捨てベニア(8)構造により床暖装置の解体をすることなく床板改修工事が可能で、建築業界に於いて新しい提案製品となる。
12 本発明は比較的安価な施工が可能で、ユーザーへの経済的負担が少なく導入してもらう事の出来る製品である。
【符号の説明】
【0015】
(
図1)(
図2)(
図3)特殊混合鉱砂による蓄熱式温水床暖房装置
(1)大引
(2)下地用合板
(3)透湿防水シート 0.15mm
(4)仕切枠木材(根太) 15mm
(5A)温水PE管 13mm(内径10mm)
(5B)温水PE管 13mm(内径10mm)
(6)特殊混合鉱砂 15mm
(7)調湿シート(メンブレン) 0.0508mm
(8)捨てベニア合板 12mm
(9)床板 任意
(3)~(7)蓄熱式温水床暖房 厚み15mm
(8)捨てベニア合板部 厚み12mm
(9)床板部 厚み 任意