(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025095952
(43)【公開日】2025-06-26
(54)【発明の名称】ミトコンドリア活性亢進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/28 20060101AFI20250619BHJP
A61K 36/54 20060101ALI20250619BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20250619BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20250619BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250619BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250619BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250619BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20250619BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250619BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20250619BHJP
【FI】
A61K36/28
A61K36/54
A61P3/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212355
(22)【出願日】2023-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中原 千尋
(72)【発明者】
【氏名】丸山 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 知佳
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE11
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
4C088AB26
4C088AB33
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA01
4C088ZA89
4C088ZA94
4C088ZC21
4C088ZC52
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】ミトコンドリア活性を亢進する、新規な組成物を提供すること。
【解決手段】クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物及び/又はキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物を有効成分とする、ミトコンドリア活性亢進剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物及び/又はキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物を有効成分とする、ミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項2】
前記のクスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物はケイヒ(Cinnamomum cassia)エキスであり、
前記のキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物はゴボウ(Arctium lappa)エキスである、請求項1に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項3】
表皮角化細胞、線維芽細胞、及び腱細胞から選ばれる1又は2以上の細胞におけるミトコンドリア活性を亢進する、請求項1又は2に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項4】
プロテアソーム活性を亢進するための、請求項1又は2に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項5】
ミトコンドリア活性の低下と関連がある症状の改善又は予防のための、請求項1又は2に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項6】
前記のミトコンドリア活性の低下と関連がある症状は、老化、肌状態の悪化、代謝障害、筋肉障害、及び/又は神経変性疾患である、請求項5に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【請求項7】
皮膚外用剤である、請求項1又は2に記載のミトコンドリア活性亢進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミトコンドリア活性亢進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアは細胞内でエネルギー産生(ATP産生)の主要な役割を果たしており、細胞の健全な機能維持に不可欠である。しかし、加齢に伴いミトコンドリアの機能は低下し、細胞のエネルギー供給が減少することが知られている。このようなミトコンドリアの老化は、細胞機能の低下や老化現象の進行に関与していると考えられている。
【0003】
ミトコンドリア活性を亢進する有効成分として、アルスロスピラ属藻類由来の多糖類を含有するアンチエイジング剤が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術があるところ、本発明者は、ミトコンドリア活性亢進効果を有する新規な組成物を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物及び/又はキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物が、ミトコンドリア活性亢進効果を有することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、ミトコンドリア活性を亢進する、新規な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物及び/又はキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物を有効成分とする、ミトコンドリア活性亢進剤である。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記のクスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物はケイヒ(Cinnamomum cassia)エキスであり、前記のキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物はゴボウ(Arctium lappa)エキスである。
【0009】
本発明の好ましい形態では、表皮角化細胞、線維芽細胞、及び腱細胞から選ばれる1又は2以上の細胞におけるミトコンドリア活性を亢進する。
【0010】
本発明の好ましい形態では、本発明は、プロテアソーム活性を亢進するための剤である。
【0011】
本発明の好ましい形態では、本発明は、ミトコンドリア活性の低下と関連がある症状の改善又は予防のための剤である。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記ミトコンドリア活性の低下と関連がある症状は、老化、肌状態の悪化、代謝障害、筋肉障害、及び神経変性疾患である。
【0013】
本発明の好ましい形態では、本発明は、皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミトコンドリア活性を亢進する、新規な組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物による表皮角化細胞のミトコンドリア活性化を示す図である。
【
図2】クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)に属する植物の抽出物による線維芽細胞のミトコンドリア活性化を示す図である。
【
図3】キク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)に属する植物の抽出物による腱細胞のミトコンドリア活性化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<ミトコンドリア活性亢進剤>
本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属(Cinnamomum)(以下、「クスノキ科ニッケイ属」という。)に属する植物の抽出物及び/又はキク科(Asteraceae)ゴボウ属(Arctiumu)(以下、「キク科ゴボウ属」という。)に属する植物の抽出物を有効成分とする、ミトコンドリア活性亢進剤である。
【0017】
本発明における「ミトコンドリア活性」は、細胞内のミトコンドリア自身が有するTCA回路や電子伝達系の活性や、それによって生み出されるミトコンドリア膜電位を含み、さらには細胞内のミトコンドリア含有量も含む。
【0018】
以下、本発明のミトコンドリア活性亢進剤について、詳細を説明する。
【0019】
≪有効成分≫
本発明のミトコンドリア活性亢進剤は、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を有効成分とする。
本発明において、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及びキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物としては、シナニッケイ(Cinnamomum cassia Blume)(以下、「シナニッケイ」という。)を好ましく挙げることができる。
【0021】
本発明にかかるキク科ゴボウ属に属する植物としては、ゴボウ(Arctiumu lappa)(以下、「ゴボウ」という。)を好ましく挙げることができる。
【0022】
本発明にかかる植物の抽出物について、その抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用できるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。抽出溶媒としては、水、アルコール類又は水及びアルコール類の混合物を採用することが好ましい。
【0023】
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられるが、抽出方法はこれに限定されない。
【0024】
以下、本発明にかかる植物の抽出物について、好ましい形態の説明を詳述する。
【0025】
本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物を得る場合、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の樹皮から抽出物を得ることが好ましい。
【0026】
本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物を得る場合、抽出溶媒として、水を用いることが好ましい。
【0027】
本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物は、好ましくは上記抽出部位、上記抽出溶媒により抽出された、ケイヒエキスである。また、本発明にかかるケイヒエキスは、市販のものを用いることができる。
【0028】
本発明にかかるキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を得る場合、キク科ゴボウ属に属する植物の根から抽出物を得ることが好ましい。
【0029】
本発明にかかるキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を得る場合、抽出溶媒として、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液を用いることが好ましい。
【0030】
本発明にかかるキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物は、好ましくは上記抽出部位、上記抽出溶媒により抽出された、ゴボウエキスである。また、本発明にかかるゴボウエキスは、市販のものを用いることができる。
【0031】
≪用途≫
クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物は、ミトコンドリア活性を亢進する用途で用いることができる。
すなわち、本発明は、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を有効成分として含む、ミトコンドリア活性亢進剤の形態とすることができる。
また、本発明は、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物を有効成分として含む、ミトコンドリア活性亢進用組成物の形態とすることもできる。
【0032】
ここで、ミトコンドリア活性が亢進されているか否かを検出するための手法は、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能な手法を用いることができる。後述の実施例においては、ミトコンドリア膜電位検出キットを用いて検出している。
【0033】
本発明において、好ましくは、表皮角化細胞、線維芽細胞、及び腱細胞から選ばれる1又は2以上の細胞におけるミトコンドリア活性を亢進する。
【0034】
本発明において、より好ましくは、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物は、表皮角化細胞及び/又は線維芽細胞におけるミトコンドリア活性を亢進する。
【0035】
本発明において、より好ましくは、キク科ゴボウ属に属する植物の抽出物は、腱細胞におけるミトコンドリア活性を亢進する。
【0036】
ミトコンドリア活性の低下は、老化、肌状態の悪化、代謝障害、筋肉障害、及び神経変性疾患と関係すると考えられている。
したがって、本発明のミトコンドリア活性亢進剤は、ミトコンドリア活性の低下と関連がある症状の改善又は予防のために使用することができる。例えば、本発明は、老化、肌状態の悪化、代謝障害、筋肉障害、及び/又は神経変性疾患の改善又は予防のための成分として使用することができる。
【0037】
ここで、プロテアソームは、ATP濃度依存的に活性化することが知られている(Nature volume 331:192-194,1988)。ミトコンドリア活性を亢進することにより、ATP産生を亢進することができると考えられることから、本発明のミトコンドリア活性亢進剤は、プロテアソーム活性を亢進するために使用することができる。
【0038】
また、細胞内に存在するプロテアソームは、ヒトの細胞の老化に関与していることが確認されている。例えば、プロテアソームは、紫外線や活性酸素により劣化したタンパク質(架橋、糖化又はカルボニル化されたタンパク質)を分解して、この劣化タンパク質が細胞内に蓄積するのを防ぎ、皮膚細胞の機能維持、改善に寄与することが知られている。
そこで、本発明のミトコンドリア活性亢進剤と、プロテアソーム活性を亢進する成分を含むプロテアソーム活性亢進剤と、を併用することで、ヒトの細胞の老化を改善することができると考えられる。
したがって、本発明のミトコンドリア活性亢進剤は、プロテアソーム活性を亢進する成分を含むプロテアソーム活性亢進剤と併用する、プロテアソーム活性亢進剤の補助剤として用いることが好ましい。
【0039】
≪用法・用量≫
本発明では、任意の溶媒で抽出された抽出物(エキス)の原液をそのまま本発明にかかる剤として用いてもよいし、エキス原液を任意の濃度に希釈したものを本発明にかかる剤として用いてもよい。
【0040】
本発明のミトコンドリア活性亢進剤は、ヒトを含む哺乳動物に投与することができる。
【0041】
本発明のミトコンドリア活性亢進剤に対する、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物の合計含有量は、通常0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上である。
【0042】
また、本発明にかかる剤に対し、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物の合計含有量は、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以下である。
【0043】
本発明にかかる剤は、皮膚外用剤の形態とすることが好ましい。皮膚外用剤は、適宜公知の方法及び機器を使用して製造することができる。
【0044】
皮膚外用剤としては、化粧料、医薬部外品、医薬品などが好適に例示でき、日常的に使用できることから、化粧料、医薬部外品がより好ましい。
化粧料としては、ローション剤、乳化剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤等の形態に加工することができる。具体的には、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、パック、ヘアクリーム、スプレー、サンケア品等が挙げられ、特に化粧水、乳液及びクリームが好適に例示できる。
【0045】
皮膚外用剤における、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物の合計含有量は、乾燥質量を基準として、通常0.0001質量%以上であり、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上、さらにより好ましくは0.1質量%以上である。
【0046】
また、皮膚外用剤における、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の抽出物及び/又はキク科ゴボウ属に属する植物の抽出物の合計含有量は、乾燥質量を基準として、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下ある。
【0047】
本発明を皮膚外用剤の形態とする場合、ミトコンドリア活性亢進効果を損ねない範囲で、美白成分、しわ改善成分、抗炎症成分、クスノキ科ニッケイ属に属する植物及びキク科ゴボウ属に属する植物以外の動植物由来の抽出物、有効成分以外に通常化粧料で使用される成分を、任意成分として配合してもよい。
これらの任意成分は、市販されているものを入手して配合してもよく、公知の方法で合成したものを配合してもよい。また、各任意成分は、2以上の効果(例えば、美白効果としわ改善効果)を有していてもよい。
【0048】
また、本発明を皮膚外用剤とする場合、本発明は「ミトコンドリア活性亢進のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。
【0049】
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、皮膚外用剤等(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
【0050】
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表もしくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
【実施例0051】
以下に実施例を挙げて、本発明について、さらに詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0052】
また、実施例において、クスノキ科ニッケイ属に属する植物の植物抽出物、及びキク科ゴボウ属に属する植物の植物抽出物として、各々、ケイヒエキス、及びゴボウエキスを使用した。
【0053】
<試験例>ミトコンドリア活性試験
ヒト表皮角化細胞、ヒト線維芽細胞、及びヒト腱細胞を、それぞれ専用培地で黒色96穴プレートに1.2×104個/ウェル、1.0×104個/ウェル、及び1.0×104個/ウェルとなるように播種し、37℃、5%、CO2環境下で24時間培養した。
播種24時間後、ケイヒエキスを、ヒト表皮角化細胞の専用培地及びヒト線維芽細胞の専用培地に、それぞれ最終濃度0.2%となるように添加、並びに、ゴボウエキスを、ヒト腱細胞の専用培地に、最終濃度0.2%となるように添加し、さらに48時間培養した。
【0054】
その後、ミトコンドリア活性を、ミトコンドリア膜電位検出キット(「JC-1 MitoMP Detection Kit」Dojindo社製)を使用し、製造元のプロトコルに従い、JC-1(Dojindo Molecular Technologies社製)染色により測定した。蛍光は、530nm/590nm及び490nm/530nmのフィルターペアを使用して、蛍光プレートリーダー(ARVO X4、PerkinElmer社製)で測定した。
コントロールは、上記条件のうち、エキスを添加せず、各エキスの溶媒を添加する点以外は同様の条件とした。
【0055】
ミトコンドリアの活性が高い場合には膜電位差が維持され、低分子蛍光色素であるJC-1が凝集して、より波長の長い蛍光が発せられ、活性が低下すると膜電位差も低下し、JC-1が単量体となって、より波長の短い蛍光が発せられる。よって、ミトコンドリアの活性は、530nm/590nmで測定されたより長波長の蛍光と490nm/530nmで測定されたより低波長の蛍光の比率として測定できる。結果を、コントロールに対するエキス処理例の比として表1~表3及び
図1~
図3に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
表1~表3に示すように、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の植物抽出物、及びキク科ゴボウ属に属する植物の植物抽出物は、ミトコンドリア活性亢進効果を有することが確認された。
【0060】
特に、表1及び表2に示すように、本発明にかかるクスノキ科ニッケイ属に属する植物の植物抽出物は、表皮角化細胞及び線維芽細胞のミトコンドリア活性を亢進することが確認された。
また、表3に示すように、本発明にかかるキク科ゴボウ属に属する植物の植物抽出物は、腱細胞のミトコンドリア活性を亢進することが確認された。