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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009602
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ペランパネル固形製剤とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20250109BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K47/32
A61K9/20
A61P25/08
A61K47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023120297
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000169880
【氏名又は名称】高田製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野田 将礼
(72)【発明者】
【氏名】三原 萌依
(72)【発明者】
【氏名】三上 達也
(72)【発明者】
【氏名】小角 政佳
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD27
4C076EE06
4C076GG12
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA06
(57)【要約】
【課題】成形性の課題が改善されたペランパネル固形製剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体とを含有する、ペランパネル固形製剤により解決される。ペランパネル固形製剤は、ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体とを含有する造粒物を含むことが好ましい。ビニルアルコール系重合体は成形性の改善剤として効果を発揮する。さらに流動化剤を造粒物に含有させることにより、崩壊性も改善できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体とを含有する、ペランパネル固形製剤。
【請求項2】
前記ペランパネル無水物と、前記ビニルアルコール系重合体とを含有する造粒物を含む、請求項1に記載のペランパネル固形製剤。
【請求項3】
前記造粒物がさらに流動化剤を含む、請求項2に記載のペランパネル固形製剤。
【請求項4】
錠剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペランパネル固形製剤。
【請求項5】
口腔内崩壊錠である、請求項4に記載のペランパネル固形製剤。
【請求項6】
ペランパネル無水物を含む組成物からペランパネル固形製剤を製造する方法であって、
前記組成物にビニルアルコール系重合体を含有させて前記組成物の成形性を改善する、ペランパネル固形製剤の製造方法。
【請求項7】
前記組成物が造粒物を含み、該造粒物が前記ビニルアルコール系重合体を含有する、請求項6に記載のペランパネル固形製剤の製造方法。
【請求項8】
前記造粒物にさらに流動化剤を含有させて、ペランパネル固形製剤の崩壊性を改善する、請求項7に記載のペランパネル固形製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペランパネル固形製剤とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペランパネル、すなわち3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンは抗てんかん薬として知られ、ペランパネル水和物を含む錠剤や細粒が販売されている。また、ペランパネル無水物を用いた固形製剤についても検討がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-070983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に医薬品には、医薬としての有効性、安全性等が求められることはもちろん、例えば錠剤であれば、比較的小さな打錠圧(錠剤化の際に加えられる圧力)で適切な硬度を有する錠剤を成形できる等、生産面でも問題がないことが求められる。
しかしながら、本発明者が検討を進めたところ、ペランパネル無水物を含む組成物においては、適度な硬度の錠剤を得るために必要とされる打錠圧が大きくなる場合があり、成形性の点で課題があることを見出した。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、成形性の課題が改善されたペランパネル固形製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、医薬品分野では一般に結合剤等として使用されているビニルアルコール系重合体が、ペランパネル無水物を含有する組成物においては成形性を改善する効果を発揮し、これを添加することでペランパネル固形製剤を成形性よく製造できることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
〔1〕ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体とを含有することを特徴とする、ペランパネル固形製剤。
〔2〕前記ペランパネル無水物と、前記ビニルアルコール系重合体とを含有する造粒物を含む、〔1〕に記載のペランパネル固形製剤。
〔3〕前記造粒物がさらに流動化剤を含む、〔2〕に記載のペランパネル固形製剤。
〔4〕錠剤である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のペランパネル固形製剤。
〔5〕口腔内速崩壊錠である、〔4〕に記載のペランパネル固形製剤。
〔6〕ペランパネル無水物を含む組成物からペランパネル固形製剤を製造する方法であって、前記組成物にビニルアルコール系重合体を含有させて前記組成物の成形性を改善する、ペランパネル固形製剤の製造方法。
〔7〕前記組成物が造粒物を含み、該造粒物が前記ビニルアルコール系重合体を含有する、〔6〕に記載のペランパネル固形製剤の製造方法。
〔8〕前記造粒物にさらに流動化剤を含有させて、ペランパネル固形製剤の崩壊性を改善する、〔7〕に記載のペランパネル固形製剤の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形性の課題が改善されたペランパネル固形製剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のペランパネル固形製剤(以下、単に固形製剤という場合もある。)は、ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体を含有する。ビニルアルコール系重合体は、ペランパネル無水物を含有する組成物において成形性を改善する効果を発揮し、これを添加することでペランパネル固形製剤を成形性よく製造できる。
【0010】
ペランパネル無水物としては、医薬品として市場より入手可能なものであればいずれも使用できる。
【0011】
ビニルアルコール系重合体としては、ビニルアルコールからなる構成単位を有する重合体であればよく1種以上を使用できるが、例えばポリビニルアルコール部分けん化物、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール完全けん化物等が好ましく、なかでもポリビニルアルコール部分けん化物、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーが好ましい。
【0012】
ポリビニルアルコール部分けん化物としては、医薬品分野で添加剤として使用可能なものであれば制限はなく、市場より入手可能なものを使用できるが、成形性を改善する効果の点で、けん化度が86.5~89.0mol%の範囲にあるものが好ましく、また、4%水溶液とした場合の20℃における粘度が4.5~6.1mm/sの範囲にあるものが好ましい。このようなポリビニルアルコール部分けん化物としては、三菱ケミカル株式会社より販売されている「ゴーセノール(登録商標)EG-05PW」等を好ましく使用できる。
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーとしては、医薬品分野で添加剤として使用可能なものであれば制限はなく、市場より入手可能なものを使用できるが、成形性を改善する効果の点で、75%がポリビニルアルコール単位(クラフト鎖)、25%がポリエチレングリコール単位で構成されている、BASFジャパン株式会社より販売されている「コリコート(登録商標)IR」等を好ましく使用できる。
【0013】
ビニルアルコール系重合体以外の添加剤としては、医薬品分野で使用可能な賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤、香料等の添加剤をいずれも必要に応じて含有することができるが、特に流動化剤を使用することにより、固形製剤の崩壊性を向上させることができる。
流動化剤としては、軽質無水ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、含水二酸化ケイ素、重質無水ケイ酸、タルク、酸化チタン等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できるが、なかでも軽質無水ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、含水二酸化ケイ素等のケイ素化合物が固形製剤の崩壊性をより改善できる点で好ましい。
【0014】
好適に使用できるケイ素化合物の具体例としては、次のものが挙げられる。
軽質無水ケイ酸としては、例えば「アドソリダー(登録商標)-101」(フロイント産業株式会社)が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとしては、例えば「ノイシリン(登録商標)UFL2」(富士化学工業株式会社)が、ケイ酸カルシウムとしては、例えば「フローライト(登録商標)R」(富田製薬株式会社)が挙げられる。
【0015】
賦形剤としては、D-マンニトール、結晶セルロース、乳糖水和物、無水乳糖、精製白糖、バレイショデンプン、アルファー化デンプン等の1種以上を必要に応じて使用できるが、他の成分との反応性が低い点、成形性に優れる点、崩壊性に優れた固形製剤が得られやすい点等でD-マンニトール、結晶セルロース等が好ましい。
【0016】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルピロリドン、ステアリルアルコール、アンモニオメタクリレート・コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、デキストリン、水アメ等が挙げられ、これらのうちの1種以上を必要に応じて使用できる。
【0017】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、これらのうち1種以上を必要に応じて使用できる。
【0018】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
【0019】
甘味剤としては、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン、スクロース、サッカリン又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、ステビア又はその塩等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
香料としては、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、l-メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
【0020】
その他の添加剤としては、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、フマル酸ステアリルナトリウム,タルク等)、コーティング用の各種材料(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、クエン酸トリエチル、酸化チタン、カルナウバロウ等)が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
【0021】
本発明の固形製剤は、ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体を含有する限り、その態様には制限はなく、顆粒状製剤(顆粒剤、ドライシロップ剤、細粒剤等)、錠剤(即放性錠剤、口腔内崩壊錠等)等が挙げられるが、ビニルアルコール系重合体を添加することで、小さな打錠圧で適切な錠剤硬度の錠剤が得られるようにする効果、すなわち打錠時の成形性を改善する効果が特に得られることから、錠剤が好ましい。
【0022】
より具体的には、ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体とを含有する造粒物を含む錠剤が好ましい。錠剤が造粒物を含有し、造粒物がペランパネル無水物とビニルアルコール系重合体を含むことにより、造粒物と必要に応じて添加される後添加物とを含む組成物を打錠する際に、小さな打錠圧での打錠によって適切な錠剤硬度の錠剤を得ることができる。さらに、造粒物が流動化剤を含有することにより、錠剤硬度を維持したまま、錠剤の崩壊性を高めることが可能となる。
【0023】
本発明の固形製剤中のペランパネル無水物の含有量は適宜設定でき、固形製剤100質量%中、例えば1~20質量%とすることができ、好ましくは1~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
ビニルアルコール系重合体の含有量も適宜設定できるが、成形性を改善する効果の点で、固形製剤100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.2~3質量%である。
造粒物を100質量%とした場合、造粒物中のビニルアルコール系重合体の含有量は例えば0.15~15質量%が好ましく、より好ましくは0.15~7質量%、さらに好ましくは0.3~4質量%である。
【0024】
固形製剤が流動化剤を含有する場合、崩壊性を改善する効果の点で、固形製剤100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.2~3質量%である。
造粒物を100質量%とした場合、造粒物中の流動化剤の含有量は例えば0.15~15質量%が好ましく、より好ましくは0.15~7質量%、さらに好ましくは0.3~4質量%である。
【0025】
ペランパネル無水物とビニルアルコール系重合体の質量比[ペランパネル無水物/ビニルアルコール系重合体]は、1~5が好ましく、2~4がより好ましい。このような範囲内であると、成形性を改善する効果が十分に発揮される。
ペランパネル無水物と流動化剤の質量比[ペランパネル無水物/流動化剤]は、0.1~5が好ましく、1~3がより好ましい。このような範囲内であると、崩壊性を改善する効果が十分に発揮される。
【0026】
本発明のペランパネル固形製剤の製造方法は、ペランパネル無水物を含む組成物からペランパネル固形製剤を製造する方法であって、組成物にビニルアルコール系重合体を含有させて組成物の成形性を改善することを含む。
ここで組成物が造粒物を含み、造粒物がビニルアルコール系重合体を含有することが好ましい。
また、造粒物にさらに流動化剤を含有させることにより、ペランパネル固形製剤の崩壊性を改善させることもできる。
【0027】
具体的な製造方法について、固形製剤が錠剤の場合を例に挙げて説明する。
まず、ペランパネル無水物と、ビニルアルコール系重合体と、必要に応じて加えられる流動化剤および他の添加剤とを混合して造粒用の組成物とし、精製水等の溶媒を造粒液として造粒用の組成物に加え、流動層造粒、転動流動層造粒、攪拌造粒等の公知方法で造粒する。この際、ビニルアルコール系重合体は造粒液である溶媒に溶解してもよい。
ついで、得られた造粒物に対して、必要に応じて添加剤(後添加物)を加えて打錠用の組成物とし、これを打錠機で打錠する。打錠して得られた錠剤の表面には必要に応じてコーティング層を形成してもよい。
【0028】
以上説明したように、本発明においては、ペランパネル無水物を含有する組成物にビニルアルコール系重合体を含有させることにより、ビニルアルコール系重合体が成形性の改善剤として作用する。その結果、例えば固形製剤が錠剤の場合には、小さな打錠圧で適切な錠剤硬度の錠剤が得られるという打錠時の成形性を改善する効果が得られ、成形性の課題を解決できる。
また、固形製剤が造粒物を含み、造粒物に流動化剤を含有させることにより、流動化剤が固形製剤の崩壊性の改善剤として作用し、固形製剤の崩壊性を良好とすることもできる。
【実施例0029】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[例1]
下記の表1の処方に従い、口腔内崩壊錠を製造した。
具体的には、まず表1の造粒物の欄に記載の各成分のうち、ポリビニルアルコール部分けん化物(以下、単にPVAとも記載する。)以外の成分を混合し、これに対し、PVAを水に溶解した液(造粒液)加え、高速撹拌造粒法により造粒物を得た。ついで、得られた造粒物に表1の後添加物の欄に記載の成分を加えて打錠用の組成物とし、これを回転式打錠機(菊水製作所製、VELA5)で打錠して例1の口腔内崩壊錠(質量200mg、直径8.5mm)を得た。
打錠時には、得られる口腔内崩壊錠の錠剤硬度(第十八改正日本薬局方参考情報における錠剤硬度測定法に準拠して測定)が7kgf(≒69N)前後となるように打錠圧を調整した。調整後の打錠圧を表1に示す。なお、打錠圧は、調整後に回転式打錠機を連続運転した際の最小圧力と最大圧力の幅で表している。
【0030】
[例2]
PVAの含有量を表1に示すように変更した以外は例1と同様にして、例2の口腔内崩壊錠(質量200mg、直径8.5mm)を得た。例1と同様に、調整後の打錠圧を表1に示す。
【0031】
[例3、4]
表1に示すように、PVAの代わりに例3ではポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを、例4ではヒドロキシプロピルセルロースを使用した以外は例1と同様にして、例3、4の口腔内崩壊錠(質量200mg、直径8.5mm)を得た。例1と同様に、調整後の打錠圧を表1に示す。
【0032】
【表1】
※1PVA(ゴーセノール(登録商標)EG-05PW:三菱ケミカル株式会社)
※2ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(コリコート(登録商標)IR:BASFジャパン株式会社)
※3ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO(登録商標)HPC-SSL:日本曹達株式会社)
【0033】
表1に示すように、PVAを用いた場合(例1および2)と、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを用いた場合(例3)は、ヒドロキシプロピルセルロースを用いた場合(例4)に比べて、小さな打錠圧で7kgf前後の錠剤硬度の口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0034】
より小さな打錠圧で錠剤を成形できた例1および例2の口腔内崩壊錠について、第十八改正日本薬局方の崩壊試験法に則し、崩壊試験器(NT-400、富山産業社製)を用い、6錠ずつ崩壊時間を測定したが、崩壊時間(6錠の平均値)は、例1は25秒、例2は31秒であり、目標時間である20秒にはやや及ばない結果となった。そこで、以下のとおり、崩壊性を改善するための検討を行った。
【0035】
[例5~7]
下記の表2の処方に従い、例1と同様にして各例の口腔内崩壊錠を製造し、得られた口腔内崩壊錠の崩壊時間を測定した。崩壊時間の測定法は上述のとおりである。結果を表2に示す。
また、例1~4と同様にして調整した後の打錠圧も表2に示す。
【0036】
【表2】
※4軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)-101:フロイント産業株式会社)
※5メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2:富士化学工業株式会社)
※6ケイ酸カルシウム(フローライト(登録商標)R:富田製薬株式会社)
【0037】
表2に示すように、ビニルアルコール系重合体であるPVAを含有する口腔内崩壊錠において、造粒物中に、PVAに加えて軽質無水ケイ酸(例5)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(例6)、ケイ酸カルシウム(例7)を含有させることによって、打錠圧を小さく維持したまま崩壊時間を短縮でき、崩壊性を改善することができた。