(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096022
(43)【公開日】2025-06-26
(54)【発明の名称】姿勢データ処理装置、姿勢データ処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20250619BHJP
A41H 1/02 20060101ALI20250619BHJP
【FI】
A61B5/107 300
A61B5/107 100
A41H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212469
(22)【出願日】2023-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】597014741
【氏名又は名称】ネムール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA01
4C038VA03
4C038VB01
4C038VB23
4C038VB28
4C038VB35
4C038VB40
4C038VC02
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】異なる姿勢のデータを生成することができる姿勢データ処理装置、姿勢データ処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】姿勢データ処理装置は、寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、
前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と
を備える姿勢データ処理装置。
【請求項2】
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部と
を備える請求項1に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項3】
前記撮像データが示す姿勢は寝姿勢であり、
前記第1姿勢は立位姿勢であり、
前記第1姿勢データは立位姿勢データであり、
前記商品は衣服を含み、
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記立位姿勢データに基づいて、衣服の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部と
を備え、
前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの衣服の情報を前記表示部に出力する
請求項2に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項4】
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢及び前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部を備える
請求項1に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項5】
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部と
を備える請求項4に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項6】
前記撮像データが示す姿勢は寝姿勢であり、
前記第1姿勢は座位姿勢であり、
前記第2姿勢は立位姿勢であり、
前記第2姿勢データは立位姿勢データであり、
前記商品は衣服を含み、
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記立位姿勢データに基づいて、衣服の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部と
を備え、
前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの衣服の情報を前記表示部に出力する
請求項5に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項7】
前記撮像データが示す姿勢は座位姿勢であり、
前記第1姿勢は立位姿勢であり、
前記第1姿勢データは立位姿勢データであり、
前記商品は衣服を含み、
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記立位姿勢データに基づいて、衣服の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部と
を備え、
前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの衣服の情報を前記表示部に出力する
請求項2に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項8】
前記撮像データが示す姿勢は座位姿勢であり、
前記第1姿勢は寝姿勢であり、
前記第2姿勢は立位姿勢であり、
前記第2姿勢データは立位姿勢データであり、
前記商品は衣服を含み、
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記立位姿勢データに基づいて、衣服の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部と
を備え、
前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの衣服の情報を前記表示部に出力する
請求項5に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項9】
寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する
姿勢データ処理方法。
【請求項10】
寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する
処理をコンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、体を撮像した撮像データに基づいて人体の姿勢を示す姿勢データを生成する姿勢データ処理装置、姿勢データ処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
試乗車の着座部に着座したときの乗車姿勢を特定する情報取得装置が提案されている。情報取得装置は、人体を撮影した撮影データを用いて人体の骨格を推定し、推定した骨格及び予め入力された身長等の情報に基づいて、足、腕及び胴等の対象部位の長さを測定し、測定された対象部位の長さに基づいて、乗車姿勢を特定する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報取得装置は着座姿勢のデータのみ生成し、他の姿勢のデータは生成されない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、異なる姿勢のデータを生成することができる姿勢データ処理装置、姿勢データ処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部とを備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理方法は、寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、寝姿勢または座位姿勢における人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、前記撮像データが示す姿勢とは異なる人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置、姿勢データ処理方法及びコンピュータプログラムにあっては、寝姿勢または座位姿勢における人体の撮像データに基づいて、撮像データが示す姿勢とは異なる人体の姿勢を示すデータを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る姿勢データ処理システムのブロック図である。
【
図2】ベッドの横に配置した端末機による撮像を説明する説明図である。
【
図3】ベッドの上に配置した端末機による撮像を説明する説明図である。
【
図4】撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。
【
図5】立位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。
【
図6】立位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。
【
図7】データ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
【
図11】実施の形態2に係るデータ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
【
図12】実施の形態3に係る座位姿勢の人体に対する端末機による撮像を説明する説明図である。
【
図13】データ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
【
図14】実施の形態4に係るデータ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る姿勢データ処理システムを示す図面に基づいて説明する。
図1は、姿勢データ処理システム1のブロック図である。姿勢データ処理システム1は、データ処理装置2と、端末機3と、検索装置4とを備える。データ処理装置2、端末機3及び検索装置4はネットワークを介して通信可能に構成されている。データ処理装置2は、制御部2a、RAM2b、記憶部2c及び通信部2dを備える。制御部2a、RAM2b、記憶部2c及び通信部2dはバスを介して相互に接続されている。記憶部2cは書き換え可能に構成され、例えばEEPROM、フラッシュメモリ又はハードディスクなどを備える。
【0012】
制御部2aは例えばCPUを有する。なおCPUに代えてロジック回路、例えばFPGAを使用してもよい。通信部2dを介して、データ処理装置2と、端末機3及び検索装置4との間で有線又は無線通信が行われる。
【0013】
端末機3は、表示部3aと、操作部3bと、撮像部3cと、通信部3dと、RAM3eと、記憶部3fとを備える。端末機3は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末である。表示部3aは表示画面を有する。操作部3bはキーボード、マウス又はタッチパネル等を有する。通信部3dを介して、端末機3とデータ処理装置2との間で有線又は無線通信が行われる。記憶部3fは書き換え可能に構成され、例えばEEPROM、フラッシュメモリ又はハードディスクなどを備える。記憶部3fにはアプリケーションプログラムが記憶されている。アプリケーションプログラムは記録媒体31、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体31から記憶部3fにインストールされてもよい。またアプリケーションプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部3fにダウンロードされてもよい。アプリケーションプログラムは、データ処理装置2における情報処理と協働して、表示部3aへの情報の表示及び操作部3bにおける操作の受け付けなどを実行する。
【0014】
図2は、ベッド5の横に配置した端末機3による撮像を説明する説明図、
図3は、ベッド5の上に配置した端末機3による撮像を説明する説明図である。端末機3の撮像部3cは、例えばカメラを備える。なお端末機3の撮像部3cに代えて、3Dスキャナを使用してもよい。3Dスキャナを使用する場合、カメラを使用する場合に比べて、体表面の撮像精度を向上させることができる。
【0015】
撮像部3cによって、ユーザ(人体)の少なくとも一部が撮像される。例えば、上半身、胴体、下半身又は全身等が撮像される。撮像部3cは、ユーザの寝姿勢における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する。ユーザの寝姿勢は、仰向き、横向き及びうつ伏せを含む。カメラによる撮像の場合、例えば上側、左側及び右側の少なくとも一つの方向からユーザを撮像する。好ましくは、二つ又は三つの方向からユーザを撮像する。例えば、仰向きの場合、
図2に示すように、左側又は右側からユーザを撮像し、更に
図3に示すように上側からユーザを撮像する。
【0016】
ユーザの撮像を行う前又は後に操作部3bが操作され、撮像する部位を示す部位情報が、端末機3に入力される。例えば、「全体」、「上半身」、「臀部」等が入力される。入力された部位情報は、撮像データに紐づけられ、撮像データと共に記憶部3fに記憶される。記憶部3fに記憶された撮像データ及び部位情報は、データ処理装置2に送信され、記憶部2cに記憶される。
【0017】
部位情報の入力方法は、後述の蓄積データを活用してもよい。ユーザの操作によって部位情報を入力しない場合であっても、端末機3又はデータ処理装置2は、例えば各蓄積データに基づいて部位ごとに距離を演算し、演算した距離と、全体又は一部を撮像した撮像データとに基づいて、部位を決定してもよい。例えば、頭頂部から首の付け根までの距離を「頭部」の長さと定義した場合、各蓄積データにおいて、「頭部」の距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記割合の平均値を適用する。適用して得られた距離に対応する撮像データの部分を「頭部」の撮像データとして記憶する。「上半身」についても同様である。「臀部」については、例えば各蓄積データにおいて、頭頂部から臀部上端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第1平均値)を演算する。また各蓄積データにおいて、足先から臀部下端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第2平均値)を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記第1平均値を適用する。また全体を撮像した撮像データに対して、足先からの距離について、前記第2平均値を適用する。第1平均値を適用して得られた距離と、第2平均値を適用して得られた距離とを、身長全体から減算する。減算して得られた距離に対応する撮像データの部分を「臀部」の撮像データとして記憶する。また人種毎、国毎に取得している体型データ規格、例えばJISL0111、ISO3635、ISO7250などに沿って各部位を推定し、記憶してもよい。なお端末機3又はデータ処理装置2は、全体又は一部を撮像した撮像データから鮮明な部分のみ抽出し、抽出した部分に「頭部」、「上半身」、「臀部」などのいずれの部分が含まれるか判定し、抽出した部分のデータに含まれ、前記部分に該当する撮像データを記憶してもよい。
【0018】
撮像を行う前又は後に操作部3bが操作され、生物学な性別、年齢、身長、体重及びBMIが端末機3に入力される。BMIは体型を示す情報に対応する。入力された性別、年齢、身長、体重及びBMIは撮像データに紐づけられ、撮像データと共にデータ処理装置2に送信され、記憶部2cに記憶される。なお身長、体重及びBMIのいずれか二つが端末機3に入力され、制御部2aは、入力された身長、体重及びBMIのいずれか二つから残り一つを算出し、記憶部2cに記憶してもよい。
【0019】
撮像を行う前又は後に操作部3bが操作され、使用目的に応じた衣服の種類情報を端末機3に入力する。衣服の種類情報は、例えば、普段着、正装及びパジャマなどである。入力された衣服の種類情報はデータ処理装置2に送信され、記憶部2cに記憶される。
【0020】
記憶部2cには、寝姿勢における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、立位姿勢データの生成処理、衣服の設計情報の演算処理、衣服の商品情報の抽出処理等を実行するコンピュータプログラム(プログラム製品)が記憶されている。蓄積データは、寝姿勢における人体の正面、背面、右側面及び左側面の体表面形状を示すデータを含む。各蓄積データに対して、性別、年齢、身長、体重及びBMIが紐づけられ、記憶部2cに記憶されている。記憶部2cには、種々の閾値が記憶されている。制御部2aはプログラムをRAM2bに読み出して立位姿勢データの生成処理、衣服の設計情報の演算処理、衣服の商品情報の抽出処理等の情報処理を実行する。コンピュータプログラムは記録媒体30、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体30から記憶部2cにインストールされてもよい。またコンピュータプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部2cにダウンロードされてもよい。
【0021】
検索装置4には、衣服の商品情報が記憶されている。衣服の商品情報は、例えば、上着(上半身に着る衣服)の肩幅、上着の袖丈、上着の身幅、上着の胸囲、上着の身丈、ズボン(下半身に着る衣服)の胴囲、ズボンの脇丈、ズボンの股下、ズボンのヒップ囲、スカート(下半身に着る衣服)の胴囲、スカートのヒップ囲、スカートの総丈、衣服の製造番号、衣服の画像、衣服の在庫数等を含む。検索装置4はデータ処理装置2からの要求に応じて、商品情報を検索し、データ処理装置2に送信する。データ処理装置2は商品情報を端末機3に送信し、端末機3は商品情報を表示部3aに表示する。
【0022】
立位姿勢データの生成処理について説明する。
図4は、撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。
図4において、ハッチングにて示された部分は蓄積データの上半身部分を示し、撮像データに対応する部分を示す。
【0023】
例えば、
図4に示すように、制御部2aが撮像部3cから人体の上半身を撮像した撮像データを取得した場合、制御部2aは撮像データに紐づけられた部位情報(本実施例では「上半身」)を参照する。なお上半身は一例であり、胴体、下半身、臀部又は全身等を撮像した撮像データを使用してもよい。複数の蓄積データそれぞれにおける上半身部分と、撮像データとを比較し、類似度を演算する。類似度としては、例えば上半身の正面、背面若しくは左右側面の輪郭線の一致割合、又は上半身の正面、背面若しくは左右側面の投影面積の一致割合が挙げられる。制御部2aは、類似度が所定割合(閾値)以上、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の一又は複数の蓄積データを選択する。選択された蓄積データが複数ある場合、最も類似度の高い蓄積データを更に選択する。例えば
図3に示すように、制御部2aは、抽出された三つの蓄積データ101~103から、最も類似度の高い一つの蓄積データ101を更に選択する。上述したように、蓄積データは寝姿勢における人体の体表面形状全体を示す。
【0024】
上半身の正面、背面、左側面及び右側面のうち、いずれか一つについて、類似度を演算してもよいし、二つ以上の撮像方向について、類似度を演算してもよい。例えば、正面又は背面と、左側面又は右側面とについて、類似度を演算してもよいし、正面又は背面と、左側面と、右側面とについて、類似度を演算してもよい。二つ以上の撮像方向について、類似度を演算する場合、いずれかの撮像方向について、一致割合が所定割合以上である一又は複数の蓄積データを選択してもよいし、全ての撮像方向について、一致割合が所定割合以上である一又は複数の蓄積データを選択してもよい。
【0025】
なお蓄積データに紐づけられた体重、身長、BMI及び/又は年齢と、撮像データに紐づけられた体重、身長、BMI及び/又は年齢とを比較し、体重、身長、BMI及び/又は年齢の差が小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。また蓄積データに紐づけられた体重及び身長からBMIを算出し、撮像データの体重及び身長から算出されたBMIと、蓄積データの体重及び身長から算出されたBMIとが小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。また蓄積データに紐づけられた性別と、撮像データに紐づけられた性別が一致する場合に、類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。
【0026】
図5及び
図6は、立位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。
図5は立位姿勢の人体を横から視認した図であり、
図6は立位姿勢の人体を前から視認した図である。制御部2aは最も類似度の高い一つの蓄積データを立位姿勢データに変換する。換言すれば、制御部2aは最も類似度の高い寝姿勢データに基づいて立位姿勢データを生成する。
【0027】
立位姿勢データは、立位姿勢の人体における胸部の前後寸法D1、臀部の前後寸法D2、肩幅D3、腕の長さD4、胸幅D5、上半身の上下寸法(肩と腰の間の寸法)D6、下半身の上下寸法(腰から下の寸法)D7、股下寸法D8、腰の左右寸法D9、腰の前後寸法D10、臀部の左右寸法D11を含む。
【0028】
端末機3を操作して、撮像部3cにて人体の少なくとも一部を撮像し、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報を入力し、情報処理の開始指示をデータ処理装置2に送信する。
【0029】
図7は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。
図7に示すように、データ処理装置2の制御部2aは、端末機3から情報処理の開始指示が入力されたか否か判定する(S1)。開始指示が入力されていない場合(S1:NO)ステップS1に処理を戻す。開始指示が入力された場合(S1:YES)、制御部2aは端末機3から撮像データを取得し(S2)、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報を取得し(S3)、衣服の種類情報を取得する(S4)。制御部2aは記憶部2cから蓄積データを一つ選択する(S5)。
【0030】
制御部2aは、撮像データが示す部位の体表面形状に対応する蓄積データの体表面形状を抽出し(S6)、抽出した蓄積データの体表面形状と撮像データの体表面形状との類似度を演算し、類似度が閾値以上であるか否か判定する(S7)。なお上述したように、体重、身長又はBMIに基づいて類似度を補正してもよい。類似度が閾値以上である場合(S7:YES)、制御部2aは選択した蓄積データを記憶部2cに記憶し(S8)、全ての蓄積データと撮像データとを比較したか否か判定する(S9)。ステップS7において、類似度が閾値以上でない場合(S7:NO)、即ち類似度が閾値未満である場合、制御部2aはステップS9に処理を進める。
【0031】
ステップS9において、全ての蓄積データと撮像データとを比較していない場合(S9:NO)、制御部2aはステップS5に処理を戻し、次の蓄積データを選択する(S5)。制御部2aは複数の蓄積データを順に選択する。ステップS9において、全ての蓄積データと撮像データとを比較した場合(S9:YES)、制御部2aは、類似度が閾値以上の蓄積データから最も類似度の高い蓄積データを選択する(S10)。
【0032】
制御部2aは、選択された蓄積データに基づいて、立位姿勢データを生成する(S11)。例えば制御部2aは、蓄積データの位置情報を立位姿勢の位置情報に変換し、また蓄積データが示す人体の各部位の長さを補正して、立位姿勢データを生成する。例えば、制御部2aは寝姿勢データの全体の位置を、足が下になるように略90度回転させた位置に変換する。制御部2aは、例えば寝姿勢における人体の左右幅は重力によって、立位姿勢における左右幅よりも大きくなっている可能性があるので、寝姿勢データにおける人体の左右幅を若干小さく補正し、立位姿勢における人体の左右幅を生成する。制御部2aは、例えば人体の胸部背面の頂点P1及び臀部背面の頂点P2が同じ線上に存在するように、蓄積データを立位姿勢データに変換する。線は、例えば地面又は床に垂直な線に対応する。
【0033】
制御部2aは、生成された座位姿勢データと、取得した衣服の種類情報(ステップS4参照)とに基づいて、設計情報を演算する(S12)。
【0034】
図8~
図10は設計情報を説明する説明図である。
図8は、上着の寸法を示し、
図9は、ズボンの寸法を示し、
図10は、スカートの寸法を示す。設計情報は、上着、ズボン及びスカートの寸法を含む情報である。例えば、設計情報は、上着の肩幅F1、上着の袖丈F2、上着の身幅F3、上着の胸囲F4、上着の身丈F5、ズボンの胴囲F6、ズボンの脇丈F7、ズボンの股下F8、ズボンのヒップ囲F9、スカートの胴囲F10、スカートのヒップ囲F11、スカートの総丈F11を含む。
【0035】
例えば、上着の肩幅F1は立位姿勢における肩幅D3×係数Aa~Acによって演算される。上着の袖丈F2は、腕の長さD4×係数Ba~Bcによって演算される。上着の身幅F3は、胸幅D5×係数Ca~Ccによって演算される。上着の胸囲F4は、(D1+D5)×係数Da~Dcによって演算される。上着の身丈F5は、上半身の上下寸法D6×係数Ea~Ecによって演算される。ズボンの胴囲F6は、(D9+D10)×係数Fa~Fcによって演算される。ズボンの脇丈F7は、下半身の上下寸法D7×係数Ga~Gcによって演算される。ズボンの股下F8は、股下寸法D8×係数Ha~Hcによって演算される。ズボンのヒップ囲F9は、(D2+D11)×係数Ia~Icによって演算される。スカートの胴囲F10は、(D9+D10)×係数Ja~Jcによって演算される。スカートの総丈F11は、半身の上下寸法D7×係数Ka~Kcによって演算される。スカートのヒップ囲F12は、(D2+D11)×係数La~Lcによって演算される。なお係数Aa~Acは、種類情報の普段着、正装及びパジャマそれぞれに対応した係数であり、記憶部2cに予め記憶されている。係数Ba~Bc、係数Ca~Cc、係数Da~Dc、係数Ea~Ec、係数Fa~Fc、係数Ga~Gc、係数Ha~Hc、係数Ia~Ic、係数Ja~Jc、係数Ka~Kc、係数La~Lcも同様に、種類情報の普段着、正装及びパジャマそれぞれに対応し、記憶部2cに予め記憶されている。
【0036】
制御部2aは、既製の複数の衣服の情報を記憶した検索装置4を使用して、演算された設計情報に近い商品情報、即ち、既製の複数の衣服の情報から、演算された設計情報に近い設計情報を有する衣服の情報を抽出する(S13)。制御部2aは、例えば演算された設計情報を構成する各情報(上着の肩幅F1、上着の袖丈F2、上着の身幅F3、上着の胸囲F4、上着の身丈F5、ズボンの胴囲F6、ズボンの脇丈F7、ズボンの股下F8、ズボンのヒップ囲F9、スカートの胴囲F10、スカートのヒップ囲F11、スカートの総丈F11等)と、既製の衣服における設計情報を構成する各情報との差分を演算した場合、各差分の絶対値の合計が閾値以下であり、且つ、演算された設計情報に対する各差分の絶対値の割合が、演算された設計情報を構成する各情報の20%以内(即ち演算された設計情報に対する誤差が何れの情報おいても20%以内)であること、即ち検索条件を検索装置4に送信する。なお20%は例示であり、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、更に好ましくは3%以内である。検索装置4は、検索条件に合う商品情報を検索し、データ処理装置2に送信する。制御部2aは、受信した商品情報を前記合計に基づいて降順に並べ、1~3番目の商品情報を抽出する。
【0037】
制御部2aは、抽出された1~3番目の商品情報を端末機3に送信し、表示部3aに表示させる(S14)。なお端末機3に送信される商品情報には、商品の画像、商品番号、商品名等も含まれる。制御部2aは、ユーザによって操作部3bが操作され、1~3番目の商品情報の何れかが選択されたことを受け付けたか否か判定する(S15)。商品情報の選択を受け付けていない場合(S15:NO)、制御部2aはステップS15に処理を戻す。商品情報の選択を受け付けた場合(S15:YES)、制御部2aは、ユーザによって操作部3bが操作され、選択された商品情報に係る商品(衣服)の素材が選択されたことを受け付けたか否か判定する(ステップS16)。商品の素材が選択されたことを受け付けていない場合(S16:NO)、制御部2aはステップS16に処理を戻す。
【0038】
付属品又は商品自体の素材が選択されたことを受け付けた場合(S16:YES)、制御部2aは、選択された商品情報及び素材をユーザの購入希望商品に決定し、購入希望商品の情報を端末機3に送信し、表示部3aに購入希望商品の情報を表示させ(S17)、処理を終了する。なおステップS16において、素材以外の要素、例えば商品の色を含めて、選択されたか否か判定してもよい。ステップS16の処理を省略し、選択された商品情報をユーザの購入希望商品に決定してもよい。ステップS4にて種類情報を選択しているが、種類情報を選択しなくてもよい。この場合、ステップS13及びS14において、全ての種類の衣服について、1~3番目の商品情報を抽出し、抽出した商品情報を端末機3に送信し、表示部3aに表示させる。またステップS15において、複数の商品情報を選択してもよく、ステップS16において、複数の素材を選択してもよく、ステップS17において、選択された複数の商品情報及び素材をユーザの購入希望商品に決定してもよい。
【0039】
データ処理装置2は、端末機3から購入決定指令を受信した場合、購入処理を実行してもよい。例えば、制御部2aは在庫データにアクセスし、購入希望商品の在庫がある場合、配送手続処理を実行し、在庫がない場合、端末機3に製造待ち通知を送信する。
【0040】
ステップS10での蓄積データの選択において、複数の蓄積データを選択してもよい。例えば、最も類似度の高い第1蓄積データと、第1蓄積データの次に類似度の高い第2蓄積データと、第2蓄積データの次に類似度の高い第3蓄積データとを選択し、第1~第3蓄積データそれぞれについて、立位姿勢データを生成してもよい。
【0041】
ステップS17において、制御部2aは、選択された商品情報に係る商品(衣服)を、人体を示すアバターに着用させ、アバター及び商品を示す画像を端末機3に表示させてもよい。ユーザは、アバターに適用された異なる複数の商品を示す画像を確認し、いずれか一つ又は複数の商品を選択することができる。即ち、人体に適用された状態を確認して、商品を選択することができる。また制御部2aは、アバターに適用した商品の画像を表示せずに、商品の画像を横に並べて端末機3に表示させてもよい。
【0042】
実施の形態1に係る姿勢データ処理システム1、データ処理装置2及びコンピュータプログラムにあっては、寝姿勢における人体の撮像データに基づいて、撮像データが示す姿勢とは異なる人体の姿勢を示すデータ、例えば立位姿勢のデータを生成することができる。
【0043】
立位姿勢のデータに基づいて、ユーザの体型に適合した衣服の情報を検索し、ユーザに提供することができる。立位姿勢を長時間保つことが難しいユーザ、例えば介護が必要な人であっても、自身の寝姿勢を撮像するだけで、自身の体型に適合した衣服を選択することができる。
【0044】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る姿勢データ処理システムを示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
実施の形態2において、記憶部2cには、寝姿勢における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、座位姿勢データの生成処理、立位姿勢データの生成処理、及び衣服の選択を実行するコンピュータプログラムプログラム(プログラム製品)が記憶されている。各蓄積データに対して、性別、年齢、身長、体重及びBMIが紐づけられ、記憶部2cに記憶されている。記憶部2cには、種々の閾値が記憶されている。制御部2aはプログラムをRAM2bに読み出して座位姿勢データの生成処理、立位姿勢データの生成処理及び衣服の選択処理等を実行する。コンピュータプログラムは記録媒体30、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体30から記憶部2cにインストールされてもよい。またコンピュータプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部2cにダウンロードされてもよい。
【0046】
制御部2aは最も類似度の高い一つの蓄積データを座位姿勢に変換する。換言すれば、制御部2aは最も類似度の高い寝姿勢データに基づいて座位姿勢データを生成する。制御部2aは、生成した座位姿勢データに基づいて、立位姿勢データを生成する。
【0047】
端末機3の操作によって、撮像部3cにてユーザの体の少なくとも一部が撮像され、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報が端末機3に入力され、情報処理の開始指示がデータ処理装置2に送信される。
【0048】
図11は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。
図11に示すステップS21~S30の処理は、ステップS1~S10(
図7参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。またステップS33~S38の処理は、ステップS12~S17(
図7参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。ここではステップS31及びS32について説明する。
【0049】
ステップS30の実行後、制御部2aは、選択された蓄積データに基づいて、座位姿勢データを生成する(S31)。蓄積データは寝姿勢における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データである。例えば、制御部2aは寝姿勢データの下腿及び脚の位置を、膝を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。また胴及び頭部の位置を、腰を中心にして略90度上側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度前側に回転させた位置に変換する。
【0050】
ステップS31の実行後、制御部2aは、生成された座位姿勢データに基づいて、立位姿勢データを生成する(S32)。例えば座位姿勢(後述の
図12参照)における座位姿勢データについて、制御部2aは、座位姿勢データの下腿の位置を、膝を中心にして略90度上側に回転させた位置に変換する。また脚の位置を、腰を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。このようにして、制御部2aは立位姿勢データを生成する。前述したように、立位姿勢データは、立位姿勢の人体における胸部の前後寸法D1、臀部の前後寸法D2、肩幅D3、腕の長さD4、胸幅D5、上半身の上下寸法(肩と腰の間の寸法)D6、下半身の上下寸法(腰から下の寸法)D7、股下寸法D8、腰の左右寸法D9、腰の前後寸法D10、臀部の左右寸法D11を含む。
【0051】
制御部2aは、座位姿勢データに含まれる寸法データを適宜補正してもよい。例えば制御部2aは、立った状態の臀部の横幅は座った状態よりも少し狭まることを考慮して、座位姿勢データにおける臀部の横幅よりも少し大きい値、例えば座位姿勢データにおける臀部の横寸法Dcを略0.9倍した値を、立位姿勢における臀部の左右寸法D11にしてもよい。
【0052】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る姿勢データ処理システムを示す図面に基づいて説明する。実施の形態3の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施の形態3においては、座位姿勢における人体を撮像して、撮像データに基づいて、立位姿勢データを生成する。
【0053】
図12は、座位姿勢の人体に対する端末機3による撮像を説明する説明図である。撮像部3cによって、ユーザ(人体)の少なくとも一部が撮像される。例えば、上半身、胴体、下半身又は全身等が撮像される。撮像部3cは、ユーザの座位姿勢における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する。カメラによる撮像の場合、例えば前側、左側及び右側の少なくとも一つの方向からユーザを撮像する。好ましくは、二つ又は三つの方向からユーザを撮像する。例えば、前側からユーザを撮像し、左側又は右側からユーザを撮像するか、または前側、左側及び右側からユーザを撮像する。
【0054】
実施の形態1で述べたように、ユーザの撮像を行う前又は後に操作部3bが操作され、撮像する部位を示す部位情報、生物学な性別、年齢、身長、体重及びBMI、使用目的に応じた衣服の種類情報などが端末機3に入力される。
【0055】
記憶部2cには、座位姿勢における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、立位姿勢データの生成処理、衣服の設計情報の演算処理、衣服の商品情報の抽出処理等を実行するコンピュータプログラム(プログラム製品)が記憶されている。蓄積データは、座位姿勢における人体の正面、背面、右側面及び左側面の体表面形状を示すデータを含む。各蓄積データに対して、性別、年齢、身長、体重及びBMIが紐づけられ、記憶部2cに記憶されている。記憶部2cには、種々の閾値が記憶されている。制御部2aはプログラムをRAM2bに読み出して立位姿勢データの生成処理、衣服の設計情報の演算処理、衣服の商品情報の抽出処理等の情報処理を実行する。コンピュータプログラムは記録媒体30、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体30から記憶部2cにインストールされてもよい。またコンピュータプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部2cにダウンロードされてもよい。実施の形態1で述べたように、検索装置4には、衣服の商品情報が記憶されている。検索装置4はデータ処理装置2からの要求に応じて、商品情報を検索し、データ処理装置2に送信する。データ処理装置2は商品情報を端末機3に送信し、端末機3は商品情報を表示部3aに表示する。
【0056】
立位姿勢データの生成処理について説明する。実施の形態1で述べたように、例えば人体の上半身を撮像した撮像データを取得した場合、制御部2aは撮像データに紐づけられた部位情報(本実施例では「上半身」)を参照する。複数の蓄積データそれぞれにおける上半身部分と、撮像データとを比較し、類似度を演算し、最も類似度の高い一つの蓄積データ101を選択する(
図4参照)。制御部2aは最も類似度の高い一つの蓄積データを立位姿勢データに変換する。換言すれば、制御部2aは最も類似度の高い寝姿勢データに基づいて立位姿勢データを生成する。
【0057】
図13は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。
図13に示すステップS41~S50の処理は、撮像データが座位姿勢の人体を撮像したデータであり、蓄積データが座位姿勢データであることを除けば、ステップS1~S10(
図7参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。またステップS52~S57の処理は、ステップS12~S17(
図7参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。ここではステップS51について説明する。
【0058】
ステップS50の実行後、制御部2aは、選択された蓄積データ、即ち座位姿勢データに基づいて、立位姿勢データを生成する(S51)。例えば
図11に示す座位姿勢における座位姿勢データについて、制御部2aは、座位姿勢データの下腿の位置を、膝を中心にして略90度上側に回転させた位置に変換する。また脚の位置を、腰を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。このようにして、制御部2aは立位姿勢データを生成する。前述したように、立位姿勢データは、立位姿勢の人体における胸部の前後寸法D1、臀部の前後寸法D2、肩幅D3、腕の長さD4、胸幅D5、上半身の上下寸法(肩と腰の間の寸法)D6、下半身の上下寸法(腰から下の寸法)D7、股下寸法D8、腰の左右寸法D9、腰の前後寸法D10、臀部の左右寸法D11を含む。
【0059】
制御部2aは、座位姿勢データに含まれる寸法データを適宜補正してもよい。例えば制御部2aは、立った状態の臀部の横幅は座った状態よりも少し狭まることを考慮して、座位姿勢データにおける臀部の横幅よりも少し大きい値、例えば座位姿勢データにおける臀部の横寸法Dcを略0.9倍した値を、立位姿勢における臀部の左右寸法D11にしてもよい。
【0060】
実施の形態3に係る姿勢データ処理システム1、データ処理装置2及びコンピュータプログラムにあっては、座位姿勢における人体の撮像データに基づいて、撮像データが示す姿勢とは異なる人体の姿勢を示すデータ、例えば立位姿勢のデータを生成することができる。
【0061】
立位姿勢のデータに基づいて、ユーザの体型に適合した衣服の情報を検索し、ユーザに提供することができる。立位姿勢を長時間保つことが難しいユーザ、例えば介護が必要な人であっても、自身の座位姿勢を撮像するだけで、自身の体型に適合した衣服を選択することができる。
【0062】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る姿勢データ処理システムを示す図面に基づいて説明する。実施の形態4の構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施の形態4においては、座位姿勢における人体を撮像して、撮像データに基づいて、寝姿勢データを生成し、生成した寝姿勢データに基づいて、立位姿勢データを生成する。
【0063】
図14は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。
図14に示すステップS61~S70の処理は、ステップS41~S50(
図13参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。またステップS73~S78の処理は、ステップS52~S57(
図13参照)と同様な処理なので、その詳細な説明を省略する。ここではステップS71及びS72について説明する。
【0064】
制御部2aは、ステップS70の実行後、選択された蓄積データ、即ち座位姿勢データに基づいて、寝姿勢データを生成する(S71)。例えば
図12に示す座位姿勢における座位姿勢データについて、制御部2aは、座位姿勢データの下腿の位置を、膝を中心にして略90度上側に回転させた位置に変換する。また上半身の位置を、腰を中心にして略90度背面側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。このようにして、制御部2aは座位姿勢データを生成する。
【0065】
制御部2aは、生成した寝姿勢データに基づいて、立位姿勢データを生成する(S72)。例えば制御部2aは、寝姿勢データの位置情報を立位姿勢の位置情報に変換し、また寝姿勢データが示す人体の各部位の長さを補正して、立位姿勢データを生成する。例えば、制御部2aは寝姿勢データの全体の位置を、足が下になるように略90度回転させた位置に変換する。制御部2aは、例えば寝姿勢における人体の左右幅は重力によって、立位姿勢における左右幅よりも大きくなっている可能性があるので、寝姿勢データにおける人体の左右幅を若干小さく補正し、立位姿勢における人体の左右幅を生成する。制御部2aは、例えば人体の胸部背面の頂点P1及び臀部背面の頂点P2が同じ線上に存在するように、蓄積データを立位姿勢データに変換する。線は、例えば地面又は床に垂直な線に対応する(
図5参照)。
【0066】
実施の形態4に係る姿勢データ処理システム1、データ処理装置2及びコンピュータプログラムにあっては、座位姿勢における人体の撮像データに基づいて、撮像データが示す姿勢とは異なる人体の姿勢を示すデータ、例えば立位姿勢のデータを生成することができる。
【0067】
立位姿勢のデータに基づいて、ユーザの体型に適合した衣服の情報を検索し、ユーザに提供することができる。立位姿勢を長時間保つことが難しいユーザ、例えば介護が必要な人であっても、自身の寝姿勢を撮像するだけで、自身の体型に適合した衣服を選択することができる。
【0068】
なお上述の実施の形態における姿勢データ処理システム1は、データ処理装置2、端末機3及び検索装置4が相互に通信可能に構成されている場合に限定されない。例えばデータ処理装置2、端末機3及び検索装置4のいずれか二つ又は全てが一つの装置を構成してもよい。
【0069】
またデータ処理装置2は、第1姿勢データを教師データに使用し、撮像データを入力した場合に、第1姿勢データを出力する学習モデルを備えてもよい。この場合、学習モデルは第1姿勢データ生成部を構成する。例えば、撮像データ取得部が取得した寝姿勢の撮像データが入力された場合に、学習モデルは立位姿勢データ又は座位姿勢データを出力する。撮像データ取得部が取得した座位姿勢の撮像データが入力された場合に、学習モデルは立位姿勢データ又は寝姿勢データを出力する。
【0070】
実施の形態1~4において、商品(衣服)が決定された場合、制御部2aは、決定された衣服の設計情報及び素材の情報などを衣服製造装置(図示略)に送信してもよい。衣服製造装置は、受信した情報に基づいて、衣服を製造する。この場合、オーダーメイドの衣服を製造することができる。
【0071】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0072】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 姿勢データ処理システム
2 データ処理装置
2a 制御部
2b RAM
2c 記憶部
2d 通信部
3 端末機
3a 表示部
3b 操作部
3c 撮像部
3d 通信部
3e RAM
3f 記憶部
4 検索装置