(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009606
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ブッククロス
(51)【国際特許分類】
B42D 3/02 20060101AFI20250110BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20250110BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20250110BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250110BHJP
C08L 23/02 20250101ALI20250110BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20250110BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250110BHJP
【FI】
B42D3/02 B
B32B27/32
B32B27/20 A
B32B27/00 E
C08L23/02
C08L53/02
C08K3/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023121133
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000109037
【氏名又は名称】ダイニック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石橋 めぐみ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AK03
4F100AK03B
4F100AK07
4F100AK07B
4F100AK62
4F100AK62B
4F100AK73
4F100AK73B
4F100AL09
4F100AL09B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13B
4F100DG10
4F100GB90
4F100JA06
4F100JA13
4F100JB16
4F100JB16B
4F100JK04
4F100JK06
4J002BB05X
4J002BB16Y
4J002BP01W
4J002FD096
4J002GF00
4J002GH00
(57)【要約】
【課題】環境適合型材料を用いたブッククロスであって、同時に表面強度、非白化性、耐カール性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、剛軟度などに優れた品質を保持するブッククロスを提供する。
【解決手段】基材上に少なくともバイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと着色剤とを含む着色層が積層された積層体であって、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部の配合であることを特徴とするブッククロスに係る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に少なくともバイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと着色剤とを含む着色層が積層された積層体であって、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部の配合であることを特徴とするブッククロス。
【請求項2】
着色層にα-オレフィンコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のブッククロス。
【請求項3】
着色層が、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部、α-オレフィンコポリマーが1から40重量部の配合であることを特徴とする請求項2に記載のブッククロス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍、ファイル、バインダー、ダイアリー、ノート等の装丁、文具ケース、化粧品や貴金属等の宝飾ケース等の表貼りに用いられるブッククロスに関する。
【技術分野】
【0002】
従来から、書籍、ファイル、バインダー、ダイアリー、ノート等の装丁、文具ケース、化粧品や貴金属等の宝飾ケース等の表貼りに用いられるブッククロスとして、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂と紙とを貼り合わせたビニルペーパーと呼ばれるものが広く用いられている。
【0003】
また、燃焼時に発生する有毒ガスによる環境汚染の問題があるポリ塩化ビニルを使用しないブッククロスとして、主にポリプロピレン(PP)系樹脂を主体としたフィルムを紙に貼り合わせたオレフィンペーパーと呼ばれるものが用いられている。
【0004】
製本やケース貼り合わせ等に要求されるブッククロスの品質には、表面強度、非白化性、耐カール性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、剛軟度などがある。表面強度、非白化性、耐カール性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、剛軟度などに優れた品質を保持するブッククロスの技術として、例えば特許文献1には基材上に少なくともポリプロピレン樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと着色剤とを含む着色層が積層された積層体を使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブッククロスにおいて、その樹脂は、主に石油由来のプラスチック樹脂が使用されている。
【0007】
しかしながら、近年急速に浮上してきた環境意識の高まりから、石油由来のプラスチック樹脂を、植物由来の材料によって置き換えてゆく試みもなされている。このうち植物由来のプラスチックは、バイオマスプラスチックとして環境適合型プラスチック材料として注目を集めており、用途が広がりつつある。
【0008】
従って、本発明の主な目的は、環境適合型材料を用いたブッククロスであって、同時に表面強度、非白化性、耐カール性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、剛軟度などに優れた品質を保持するブッククロスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の部材からなるブッククロスを採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記のブッククロスに係る。
1.基材上に少なくともバイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと着色剤とを含む着色層が積層された積層体であって、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部の配合であることを特徴とするブッククロス。
2.着色層にα-オレフィンコポリマーを含むことを特徴とする前記項1に記載のブッククロス。
3.着色層が、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部、α-オレフィンコポリマーが1から40重量部の配合であることを特徴とする前記項2に記載のブッククロス。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るブッククロスにおいて、環境適合型材料を用いたブッククロスの提供と同時に表面強度、非白化性、耐カール性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、剛軟度などに優れた品質を保持するブッククロスを提供することが可能となった。特に、着色層とポリプロピレンフィルムとの間でヒートシール加工を行い、着色層表面にポケット部を設けようとする場合には、優れたヒートシール性を保持するために必須の原料であった石油由来のポリプロピレン樹脂が用いられていた従来のブッククロスと比べて同等以上の高いヒートシール性を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のブッククロスは、基材上に少なくともバイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと着色剤とを含む着色層が積層された積層体であることを特徴とする。
【0013】
バイオマスポリオレフィン系樹脂は、たとえば燃焼した際には石油由来のポリオレフィン系樹脂に比べて大気中のCO2濃度を増加も減少もさせない、所謂カーボンニュートラルな材料であるため環境適合型材料であり、より環境適合度合いの高いブッククロスを実現することができる。
【0014】
バイオマスポリオレフィン系樹脂のMFRは適宜選択することが可能であるが、1.0から8.0g/10minであることが望ましい。MFRが1.0g/10minより小さくなると加工性に不都合を生じる。
【0015】
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、表面強度や白化防止やカール防止や加工性の向上を保持するために必須であり、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが使用されていないと表面強度の低下などの問題や、カールや加工性に不都合を生じ、ブッククロスとして十分な品質を保持することができない。
【0016】
α-オレフィンコポリマーは、ヒートシール性を保持するために適宜配合して使用することができる。
【0017】
α-オレフィンコポリマーの融点は適宜選択することが可能であるが、45から160℃であることが望ましい。好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上であることが望ましい。融点が45℃より低くなると耐ブロッキング性に問題を発生し、融点が160℃より高くなるとヒートシール性に問題を発生する。
【0018】
着色剤としては、(ポリ)アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系、キナクリドン系、ジオキサジン系などの各種有機顔料、酸化チタンなどの酸化物系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの各種無機顔料など、一般的な有機及び無機顔料を適宜使用することができ、着色層の外観品位を保持するために重要である。
【0019】
バイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとα-オレフィンコポリマーとの配合比率は、耐カール性とヒートシール性と耐ブロッキング性を保持するために適宜選択することが可能であるが、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部、α-オレフィンコポリマーが0から40重量部であることが望ましい。配合比率としてバイオマスポリオレフィン系樹脂の配合比率が50重量部より多くなると、カールの問題が発生し、加工性に不都合を生じ、配合比率として水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの配合比率が70重量部より多くなると、ヒートシール性に問題を発生する。
【0020】
着色層には、アクリル-シリコーン共重合樹脂を加えることが好ましい。アクリル-シリコーン共重合樹脂は、着色層表面の表面強度向上に優れた効果を発現し、配合比率としては、適宜選択することも可能であるが、バイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとα-オレフィンコポリマーの合計重量に対して1-5PHRの範囲であることが望ましい。1PHRより少ないと十分な表面強度向上の効果が得られず、5PHRより多いとヒートシール性や表面への印刷性に問題を生じる。
【0021】
着色層には、その物性を損なわない範囲内で、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、カーボンファイバーなどの充填剤やフェノール系、リン系、アミン系、硫黄系などの酸化防止剤やラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、リン系などの滑剤や安定剤などの添加剤を適宜配合して使用することができる。
【0022】
帯電防止剤としては、ポリエチレングリコールエステル、アミノ誘導体、たとえばテトラアルキルアンモニウム・エチル・サルフェートなどから適宜選択して配合することができ、配合比率としては、樹脂に対して0.3%程度が望ましい。過剰に入れると、表面への印刷やポケットフィルムのヒートシールを阻害し、使用しないと、静電気により塵や埃を吸い寄せて外観上問題となる。
【0023】
着色層の表面には各種柄による、エンボス加工を施すことができ、この加工を行うことにより意匠性に優れた外観が得られる。さらに着色層表面にコロナ処理を行うことにより、表面への印刷適性の向上やくるんだ時に表面と見返し紙との接着性を得る効果があり、JIS-K6768によるぬれ張力が30以上であるとより好ましい。
【0024】
着色層を積層する基材としては、布や不織布や紙などを適宜選択して使用することができるが、価格や加工性などの点において紙を使用するのが好ましい。使用する紙としてはパルプ繊維単体またはパルプ繊維とビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維および綿繊維等の各種繊維とからなる混抄紙などを選択して使用することができる。基材の厚みには特に指定はないが、くるんだ時に跳ね返りが発生しないようにするために坪量120g/m2以下であることが好ましい。
【0025】
着色層を作製し基材と積層する方法としては、公知の加工方法、たとえばTダイ押出加工法やカレンダー加工法やインフレーション加工法などの方法を用いることができるが、生産性や小ロット対応性などによりカレンダー加工法を行うのが好ましい。
【0026】
着色層と基材との積層は、カレンダートッピングにより行うが、着色層と基材との長期間にわたる密着性を保持させ、着色層と基材との接着力を強固なものとするために、着色層と基材との間に接着層を設けてもよい。その場合、接着層にはウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などを使用する。
【0027】
着色層の厚みとしては、50-200μmが優れ、50μmより小さくなると表面強度やヒートシール性や折り曲げ部の白化性やエンボス適性などに問題が生じ、200μmより大きくなると硬くなりすぎ製本やケース貼り合わせ等の二次加工が難しい上、コストがかかるなどの問題を生じる。
【0028】
ブッククロスとして使用するためには、カールしないことが重要であり、測定したカール高さが15mm以下であることが重要である。カール高さが15mmより大きくなると製本やケース貼り合わせ等の二次加工が難しくなるなどの問題を生じる。
【0029】
ブッククロスは、折り曲げ部や、くるみ角部などで白化しないようにする必要があり、そのため、JIS-A6909に準拠して折り曲げたとき着色層が白化しないことが望ましい。着色層表面に白化が見られると、外観不良となると同時にその部分からのわれが発生しやすくなる。
【0030】
ブッククロスは長期にわたって使用され、表紙の表面やくるんだ角の部分が書棚や他の表紙との摩擦を繰り返し受ける事が予想される。着色層の表面強度は、JIS-L0849の学振形摩擦試験機により染色堅牢度が、乾布と着色層を摩擦しても、乾布及び着色層表面にほとんど色落ちが見られない4級以上あることが好ましい。
【0031】
JIS-L1096に準拠したガーレ剛軟度は、0.5-10.0mNの範囲であることが好ましい。剛軟度が0.5mNより小さくなると、腰が弱いため製本機での走行不良を発生し、剛軟度が10.0mNより大きくなると積層体の反発が大きく製本機での加工ができずブッククロスとしては致命的な問題を生じる。
【0032】
着色層とポリプロピレンフィルムとの間でヒートシール加工を行ったときに、着色層とポリプロピレンフィルムとの間で十分なヒートシール性を保持していることが重要である。ヒートシール性が弱いと、着色層表面にヒートシールによりポケット部を設けようとした場合、ヒートシール性不足により剥がれを生じてしまうためである。
【実施例0033】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0034】
実施例1
表1に示す組成となるように、バイオマスポリオレフィン系樹脂、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー、α-オレフィンコポリマーとを重量部での配合比率が、50/40/10となるように配合し、さらにアクリル-シリコーン共重合樹脂3重量部、帯電防止剤0.36重量部、酸化防止剤0.1重量部、カーボンブラック顔料0.8重量部をミキシングロールで混錬し、厚み110μmの着色層とし、坪量80g/m2の特殊紙に積層した。着色層表面に皮革柄のエンボス加工を行いさらにコロナ処理を行ってブッククロスとした。
【0035】
実施例2~7
表1に示す組成に変更したほかは、実施例1と同様にしてブッククロスとした。
【0036】
比較例1~2
表1に示す組成に変更したほかは、実施例1と同様にしてブッククロスとした。
【0037】
参考例1
表1に示す組成となるように、ポリプロピレン樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとを重量部での配合比率が、50/50となるように配合を変更したほかは、実施例1と同様にしてブッククロスとした。
【0038】
【0039】
なお、各着色層の各成分は、以下の製品により得られたものを使用した。
(1)バイオマスポリオレフィン系樹脂:エチレン・ブテンコポリマー MFR=1.0g/10min、190℃ 密度0.916g/cm3 バイオマス度87%
(2)水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー:スチレン・ブタジエンコポリマーの水素添加物 MFR=5g/10min、230℃ 密度1.0g/cm3
(3)α-オレフィンコポリマー:プロピレン・α-オレフィンコポリマー MFR=3.0g/10min、190℃ 融点75℃ 密度0.85-0.92g/cm3
(4)ポリプロピレン樹脂(石油由来):プロピレン・エチレンコポリマー MFR=9.3g/10min、230℃ 密度0.9g/cm3
【0040】
各実施例及び比較例で得られたブッククロスについて、カール高さ、折り曲げ非白化性、表面強度、ガーレ剛軟度、耐ブロッキング性及びヒートシール性を調べた。その結果を表1に示す。なお、各物性は、以下のようにして測定した。
【0041】
(カール高さ)
着色層が上面となるようにして縦方向20cm×横方向20cm角の積層体サンプルを用意し、このサンプルのほぼ中心にクロスカットの交点がくるようにして、縦横それぞれの方向から45度の角度で一辺の長さ15cmにわたってクロスカットを行う。このときクロスカットの交点は長さ15cmの中央である7.5cmとなるようにし、クロスカット角度は90度とする。このサンプルを23℃50RH%の雰囲気で24時間放置し、放置後に放置した台面から着色層を内側にしてカールした最大高さまでの長さを測定し、これをカール高さとし、耐カール性の尺度とした。
○・・・カール高さが15mm以下
×・・・カール高さが15mmより大きい
【0042】
(折り曲げ非白化性)
厚さ2mmの厚紙に積層体の基材面を接着剤で貼り合せ、着色層を外側にして、JIS-A6909に準拠した方法で直径10mmの剛棒を厚紙面に当てて90度折り曲げを行い、折り曲げ後の表面層のひび割れや白化の状態を目視で評価する。
○・・・白化やひび割れがまったくみられない
×・・・白化やひび割れがみられる
【0043】
(表面強度(染色堅牢度))
JIS-L0849に準拠した学振形摩擦試験機において、摩耗布として乾燥した白綿布を使用し、試験片として本発明の積層体を使用し、着色層を、荷重200gで100往復摩擦して摩耗布及び試験片表面の外観状態をグレースケールを用いて目視にて確認した。
【0044】
(ガーレ剛軟度)
JIS-L1096に準拠したガーレ剛軟度(曲げ反発性A法)により、ガーレ剛軟度を測定した。
【0045】
(耐ブロッキング性)
5cm×5cm角の積層体の着色層同士を密着させ、同一寸法のガラス板ではさみ、3kg荷重をかけた状態で60℃24時間放置し、室温にもどした後の着色層面のブロッキング状態を目視で判定する。
○・・・着色層同士でのブロッキングもなく簡単に剥がれる
×・・・着色層同士でブロッキングがあり、剥がれない
【0046】
(ヒートシール性)
積層体の着色層面をポリプロピレンフィルム(ランダムコポリマー 融点130から170℃ 厚さ140μm)と重ねあわせ、平面型ヒートシーラーでヒートシール圧力は0.2MPa、時間は2秒で、ヒートシールを行う。ヒートシール後のヒートシール面同士の溶着接着状態を観察する。
◎・・・手で積層体とポリプロピレンフィルムとを剥がそうとしてもヒートシール 部分での剥がれはなく、無理に剥がすと基材部分で破壊する
○・・・手で積層体とポリプロピレンフィルムとを剥がすと強く引っ張ればヒート シールを行った界面で破壊する
×・・・手で積層体とポリプロピレンフィルムとを剥がすと簡単にヒートシールを 行った界面で破壊する
【0047】
(総合評価)
本発明の評価において優れた評価結果を得られたものについて総合評価を行った。
○・・・すべての評価結果について優れた品質を保持しているもの
×・・・いずれかの評価項目において不十分な内容があるもの
【0048】
表1に示すように、バイオマスポリオレフィン系樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合比率は、ブッククロスとしての重要品質に大きく影響し、バイオマスポリオレフィン系樹脂が1から50重量部、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30から70重量部であるとブッククロスとしてバランスのとれた優れた品質を得られることが確認された。