(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096124
(43)【公開日】2025-06-26
(54)【発明の名称】高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/69 20060101AFI20250619BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20250619BHJP
A61N 7/00 20060101ALI20250619BHJP
【FI】
A61K8/69
A61Q19/08
A61N7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134383
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2023211124
(32)【優先日】2023-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 和紀
(72)【発明者】
【氏名】横田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】山地 史哉
(72)【発明者】
【氏名】諸隈 亜佑美
(72)【発明者】
【氏名】永沼 理央
(72)【発明者】
【氏名】楊 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 研志
【テーマコード(参考)】
4C083
4C160
【Fターム(参考)】
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD23
4C083EE12
4C160JJ22
4C160JJ33
4C160MM22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高密度焦点式超音波施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善作用、皮膚支帯改善作用、真皮線維構造改善作用、及び/又は抗老化作用を有する新規な組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)に表される化合物を有効成分として含む、組成物。
[式中、R
1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【化1】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の炎症応答を抑えるためのものである、請求項1に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項3】
前記の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制するため、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善するためのものである、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項4】
前記の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上、副反応抑制作用から選ばれる1又は2以上のためのものである、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項5】
好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制することにより、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善することにより、
リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上、副反応抑制作用から選ばれる1又は2以上のためのものである、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項6】
前記高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術によって熱刺激された皮膚に適用される、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項7】
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の1時間以内の皮膚にも適用される、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項8】
前記有効成分が三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項9】
前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として0.01質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項10】
皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物。
【請求項11】
下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のための剤。
【化2】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項12】
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後に、下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物を高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に塗布することを特徴とする、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法(ただし、医療行為を除く)。
【化3】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療技術の進歩により、美容医療に対する関心が高まっている。
美容医療として、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術、高周波たるみ治療器による施術が、近年注目を集めている。
【0003】
ところで、従来、美容医療施術後の肌に対する、烏梅(Prunus mume)抽出物を有効成分として含有するレーザー施術後のアフターケア用皮膚外用組成物が知られている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術のあるところ、本発明者は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善作用、皮膚支帯改善作用、真皮線維構造改善作用、及び/又は抗老化作用を発揮する、新規な組成物を見いだすべく鋭意研究を行った。
その結果、下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に対する、顕著な顔面形状改善作用、皮膚支帯改善作用、真皮線維構造改善作用、及び/又は抗老化作用を有することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善作用、皮膚支帯改善作用、真皮線維構造改善作用、及び/又は抗老化作用を有する、新規な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記課題を解決する本発明は、下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0008】
【0009】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0010】
本発明によれば、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の肌状態を改善することができる。
【0011】
[2]本発明の好ましい実施の形態は、前記の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の過剰な炎症応答を抑えるためのものである、[1]に記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0012】
[3] 本発明の好ましい実施の形態は、前記の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制するため、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善するためのものである、[1]又は[2]に記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0013】
[4]本発明の好ましい実施の形態は、リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上、副反応抑制作用から選ばれる1又は2以上のためのものである、[1]~[3]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0014】
[5]本発明の好ましい実施の形態は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制することにより、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善することにより、
リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上、副反応抑制作用から選ばれる1又は2以上のためのものである、[1]~[4]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0015】
[6]本発明の好ましい実施の形態は、前記高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術によって熱刺激された皮膚に適用される、[1]~[5]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0016】
[7]本発明の好ましい実施の形態は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の1時間以内の皮膚にも適用される、[1]~[6]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0017】
[8]本発明の好ましい実施の形態は、前記有効成分が三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムである、[1]~[7]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0018】
[9]本発明の好ましい実施の形態は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として0.01質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする、[1]~[8]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0019】
[10]本発明の好ましい実施の形態は、皮膚外用剤であることを特徴とする、[1]~[9]の何れかに記載の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物である。
【0020】
本発明は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のための剤でもある。
【0021】
【0022】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0023】
本発明は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後に、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、皮膚の改善用組成物を高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に塗布することを特徴とする、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法(ただし、医療行為を除く)でもある。
【0024】
【0025】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の肌状態を改善する、新規な組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1の結果を示す3次元立体形状の推移(初期値と比較した1か月後の立体位置変動結果)を示したヒートマップであって、被験者の代表例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1と同じ図面であって、立体位置変動結果を示した図である。
【
図3】実施例2の結果を示す顔面形状の改善度評点の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物>
以下、本発明の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物について、詳細を説明する。
【0029】
(i)有効成分
本発明の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、下記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする。
【0030】
【0031】
[式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0032】
前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、例えば、特開平04-297446号公報に記載の方法により製造することができる。
前記一般式(1)に表される化合物は、その分子構造中に複数の不斉炭素原子を有する光学活性化合物であるため、その異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオマーが存在する。さらに、本発明の前記一般式(1)に表される化合物としては、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、更には、前記異性体が任意の比率で混合した化合物が存在する。
【0033】
本発明の前記一般式(1)に表される化合物について述べれば、式中、R1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
前記R1に関し好ましいものを具体的に例示すれば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルブチル基、プロピルオキシカルボニルメチル基、プロピルオキシカルボニルエチル基、プロピルオキシカルボニルプロピル基、プロピルオキシカルボニルブチル基、ブチルオキシカルボニルメチル基、ブチルオキシカルボニルエチル基、ブチルオキシカルボニルプロピル基、ブチルオキシカルボニルブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、カルボキシメチル基が例示できる。
前記R2及びR3は、それぞれ独立に、好ましいものを具体的に挙げれば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、イソプロピル基が好適に例示できる。
【0034】
前記一般式(1)に表される化合物は、ヒト白血球エラスターゼ阻害活性を有し、脳梗塞をはじめとする脳虚血性疾患に対する治療効果が期待される。また、例えば、国際公開1999/43352号パンフレットに記載の通り、皮膚老化の予防又は治療効果を有する。また、本発明の前記一般式(1)に表される化合物は、真皮乳頭部の弾性線維の新生、表皮直下の真皮部位での微細な膠原線維の新生、表皮厚の増加等の作用を有し、かかる作用によりシワ形成に対する予防又は改善効果を発揮する。
【0035】
前記一般式(1)に表される化合物は、好ましくは下記一般式(2)に表される化合物である。
【0036】
【0037】
本発明の前記一般式(2)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R4は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記R4は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、前記R4に関し好ましいものを具体的に挙げれば、カルボキシメチル基、1-カルボキシエチル基、2-カルボキシエチル基、1-カルボキシプロピル基、2-カルボキシプロピル基、3-カルボキシプロピル基、1-カルボキシブチル基、2-カルボキシブチル基、3-カルボキシブチル基、4-カルボキシブチル基等が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、カルボキシメチル基が好適に例示できる。
【0038】
前記R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、前記R5及びR6に関し好ましいものを具体的に挙げれば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、イソプロピル基が好適に例示できる。さらに、前記一般式(2)に表される化合物としては、3-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-バリル-プロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタン、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-アラニル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-エチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド(3(RS)-N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド)、N-[4-[[(カルボキシエチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシプロピル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミド、N-[4-[[(カルボキシブチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミドを好適に例示できる。
【0039】
前記一般式(2)に表される化合物のうち、3-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-バリル-プロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタンがより好ましく挙げられ、さらに好ましくは下記式(3)に表される3(RS)-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-L-バリル-L-プロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタンである。そして、本発明の組成物に含有させる化合物としては、前記3(RS)-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-L-バリル-L-プロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタンのナトリウム塩(以降、「KSK32」とも記す)が特に好ましい。
なお、KSK32は、別の命名法では、N-[4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルボニル]ベンゾイル]-L-バリル-N-[(RS)-3,3,3-トリフルオロ-1-(1-メチルエチル)-2-オキソプロピル]-L-プロリンアミドとも表記されるが、同一化合物である。
【0040】
【0041】
本発明において、前記一般式(1)に表される化合物は、そのまま組成物に含有させることもできるが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩;マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギニン酸塩等の塩基性アミノ酸塩;などが挙げられる。
また、本発明の組成物には、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩より1種又は2種以上を選択し含有させることができる
【0042】
本発明において、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムであることが好ましい。
【0043】
(ii)用途
前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述の実施例で示す通り、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の肌状態を改善する顕著な作用を奏する。
より具体的には、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後に本件有効成分を適用することで皮膚の肌状態を改善することができる。
【0044】
また、本発明によれば、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後に本件有効成分を適用することで、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術及び/又は高周波たるみ治療器による施術自体の効用をより優れたものとすることができる。
【0045】
後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に対して、優れた抗老化作用を奏する。
また、後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に対して、優れた顔面形状改善作用を奏する。
【0046】
また、後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、好中球浸潤が生じている条件における、皮膚支帯改善作用を奏する。ここで、好中球浸潤の条件は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術によって生じる熱作用により皮膚内部で炎症が惹起され、炎症に付随した好中球浸潤が生じている状態である。
なお、本明細書における、皮膚支帯改善作用には、例えば、皮膚支帯(Retinacula cutis)の分解を抑制することにより、皮膚支帯の状態を改善する作用を含む。
【0047】
前記有効成分は、好中球浸潤が生じている条件における、真皮線維構造改善作用を奏する。ここで、好中球浸潤の条件は、高周波たるみ治療器による施術によって生じる熱作用により皮膚内部で炎症が惹起され、炎症に付随した好中球浸潤が生じている状態である。
なお、本明細書における、真皮線維構造改善作用には、例えば、真皮におけるコラーゲン線維の過剰な分解を抑制し、新生を促進することで、線維構造のリモデリングをする作用を含む。
【0048】
すなわち、本発明は、前記有効成分を含む、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物の形態とすることができる。
【0049】
また、顔面形状改善用途は、より具体的には、皮膚下垂状態の改善用途、真皮及び/又は皮下組織構造の改善用途を含むことが好ましい。
すなわち、本発明は、前記有効成分を含む、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚下垂状態、真皮及び/又は皮下組織構造のための、顔面形状改善用組成物の形態とすることができる。
【0050】
また、後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上にかかる効果を奏する。
すなわち、本発明は、リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上から選ばれる一又は二以上のための、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の、顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物の形態とすることができる。
【0051】
また、前記有効成分は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制する効果を奏する。
また、後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善する効果を奏する。
【0052】
すなわち、本発明は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制するため、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善するための高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物の形態とすることができる。
【0053】
ここで、本発明は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球細胞外トラップの過剰誘導を抑制することにより、及び/又は、皮膚支帯(Retinacula Cutis)を改善することにより、
リフトアップ効果の持続性向上、リフトアップ効果の早期実感作用、タルミ改善、弾力の向上、皮膚の滑らかさの向上、副反応抑制作用から選ばれる1又は2以上のためのものであることが好ましい。
【0054】
ここで、後述の実施例に示す通り、前記有効成分は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の副反応を抑制する作用を奏する。
より具体的には、前記有効成分は、真皮・皮下組織における過剰炎症抑制作用、炎症後の皮膚組織再生作用、瘢痕形成阻害作用、過剰炎症の抑制作用を奏する。
すなわち、本発明は、前記有効成分を含む、真皮・皮下組織における過剰炎症抑制作用、炎症後の皮膚組織再生作用、瘢痕形成阻害作用、過剰炎症の抑制作用から選ばれる一又は二以上のための高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物の形態とすることができる。
【0055】
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の照射には、公知の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術機器を用いることができる。
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術機器としては、例えば、ウルトラフォーマーMPT(CLASSYS社)やウルトラフォーマーIII(CLASSYS社)、ウルトラセルZi(Jeisys社)、ウルトラセルQ+(Jeisys社)、ソフウェイブ(C-edge, Inc.)などを挙げることができる。
【0056】
ここで、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術により、皮膚は、熱作用を受ける。
本発明の有効成分は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術によって熱刺激された皮膚に適用されることが好ましい。
【0057】
また、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術により、皮膚に、瘢痕形成や、過剰な炎症が生じ得る。
前述の通り、前記有効成分は、副反応抑制作用を奏する。してみると、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、より好ましくは8時間以内、より好ましくは4時間以内、より好ましくは1時間以内の皮膚に適用される形態とすることが好ましい。
【0058】
以下、本発明の有効成分の適用対象を高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後の皮膚を対象とした場合における、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術の好ましい条件を詳述する。
【0059】
本願明細書において、高周波たるみ治療器による施術とは、美容目的の高周波たるみ治療器による施術をいう。
【0060】
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術は、真皮下層のSMAS(Superficial Musculo-Aponeurotic System)、真皮深層、真皮中層から浅層に焦点深度をもつ端子(プローブ)を用いて施術を行う形態であること好ましい。
【0061】
ここで、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術は、以下の工程により実施される形態であることが好ましい。
【0062】
ステップ1:所定の焦点深度をもつ端子を用い、所定のピッチ間隔で頬部から顎下にかけて照射する。
ここで、ステップ1に用いる端子は、4mm~5mm、特に好ましくは4.5 mmの焦点深度をもつものであることが好ましい。
また、照射は、0.5J以上、0.7J以下を目安とすることができる。
また、ピッチ間隔は、1.0mm以上1.5 mm以下を目安とすることができる。
【0063】
ステップ2:所定の焦点深度をもつ端子を用い、所定のピッチ間隔で頬部から顎下にかけて照射する。
ここで、ステップ2に用いる端子は、ステップ1に用いる端子よりも、焦点深度が短いものであることが好ましい。より具体的には、ステップ2に用いる端子は、2.5mm~3.5mm、特に好ましくは3mmの焦点深度をもつものであることが好ましい。
また、ステップ2での照射は、ステップ1での照射よりもその熱量が低いことが好ましい。より具体的には、ステップ2での照射は、0.4J以上、0.5J以下を目安とすることができる。
また、ピッチ間隔は、1.0mm以上1.5 mm以下を目安とすることができる。
【0064】
ステップ3:所定の焦点深度をもつ端子を用い、所定のピッチ間隔で頬部と眼瞼・目元周囲~前額部にかけて照射する。
ここで、ステップ3に用いる端子は、ステップ2に用いる端子よりも、焦点深度が短いものであることが好ましい。より具体的には、ステップ3に用いる端子は、1.5mm~2.5、特に好ましくは2mmの焦点深度をもつものであることが好ましい。
また、ステップ3での照射は、ステップ2での照射よりもその熱量が低いことが好ましい。より具体的には、ステップ2での照射は、0.2J以上、0.3J以下を目安とすることができる。
また、ピッチ間隔は、1.0mm以上1.5 mm以下を目安とすることができる。
【0065】
なお、照射出力は施術部の疼痛や発赤程度を確認しながら、調整することができる。
【0066】
ここで、高周波たるみ治療器による施術には、公知の高周波たるみ治療器による施術機器を用いることができる。
高周波たるみ治療器による施術機器としては、例えば、ボルニューマー(CLASSYS社)やサーマクール(Thermage社)、ポテンザ(Jeisys社)、Vivace(Motomitech Inc)などを挙げることができる。
【0067】
以下、本発明の有効成分の適用対象を高周波たるみ治療器による施術後の皮膚を対象とした場合における、高周波たるみ治療器による施術の好ましい条件を詳述する。
【0068】
高周波たるみ治療器による施術とは、皮膚表層からもしくは真皮に刺入した針先から高周波(ラジオ波)を照射し、真皮主体に熱を加えることで、真皮膠原繊維の収縮と再生を促す施術である。
【0069】
ここで、高周波たるみ治療器による施術は、以下の工程により実施される形態であることが好ましい。
【0070】
ステップ1:頬部に、所定面積の端子を用いて、高周波をショットする。
ここで、ステップ1に用いる端子は、2cm2~4cm2、特に好ましくは3 cm2の面積をもつものであることが好ましい。
また、ショットの条件は、6J/cm2以上22J/cm2以下を目安とすることができる。
また、ショットの条件は、6.72Mを用いることが好ましい。
また、ショットの回数は、100-180ショット/半顔(200-360ショット/両頬)を目安とすることができる。
【0071】
ステップ2:額に、端子を用いて、高周波を50ショットする。
ここで、ステップ2に用いる端子は、2cm2~4cm2、特に好ましくは3cm2の面積をもつものであることが好ましい。
また、ショットの条件は、6J/cm2以上22J/cm2以下を目安とすることができる。
また、ショットの条件は、6.72Mを用いることが好ましい。
また、ショットの回数は、25-75ショット/半顔(50-150ショット/両頬)、特に好ましくは50ショット/半顔(100ショット/両頬)を目安とすることができる。
【0072】
ステップ3:眼瞼周囲に、端子を用いて、高周波を100ショット/半顔(200ショット/両側眼瞼周囲
ここで、ステップ3に用いる端子は、0.12cm2~0.38cm2、特に好ましくは0.25cm2の面積をもつものであることが好ましい。
また、ショットの条件は、6J/cm2以上15J/cm2以下を目安とすることができる。
また、ショットの条件は、6.72Mを用いることが好ましい。
また、ショットの回数は、75-125ショット//両側眼瞼周囲(150-250ショット/両側眼瞼周囲)、特に好ましくは100ショット/両側眼瞼周囲(200ショット/両側眼瞼周囲)を目安とすることができる。
【0073】
なお、照射出力は施術部の疼痛や発赤程度を確認しながら、調整することができる。
【0074】
(iii)用法・用量
本発明の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物における、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量は、総量で0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
また、本発明の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物における、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量は、総量で10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0075】
また、本発明の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、好ましくは2週間以上、より好ましくは4週間以上、特に好ましくは12週間以上継続して用いられることが好ましい。
【0076】
ここで、本発明の顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、導入美容液とを、組み合わせて用いる形態であることが好ましい。
前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、導入美容液とを組み合わせることで、より効率よく、顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、及び/又は抗老化作用を発揮させることができる。
【0077】
ここで、導入美容液とは、他の成分の肌への浸透力を高める作用を有する、美容液をいう。
導入美容液としては、上記有効成分の溶解を補助するための水系製剤であれば、その種類に特に制限はない。
ここで、導入美容液には、抗炎症剤を含むことが好ましい。
【0078】
皮膚外用組成物としては、化粧料、医薬部外品、医薬品などが好適に例示できる。
【0079】
本発明にかかる剤は、皮膚外用組成物の形態とすることが好ましい。皮膚外用組成物は、適宜公知の方法及び機器を使用して製造することができる。
【0080】
皮膚外用組成物の好ましい形態として、ローション剤、乳化剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、パック、スプレー、テープ剤、パップ剤等の形態を挙げることができる。
また、具体的には、皮膚外用組成物の好ましい形態として、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、クリーム、保湿オイル、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイルにから選ばれる剤形を好適に例示できる。
【0081】
本発明を皮膚外用組成物の形態とする場合、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善作用、皮膚支帯改善作用、真皮線維構造改善作用、及び/又は抗老化作用を損ねない範囲で、美白成分、しわ改善成分、抗炎症成分、米糠以外の動植物由来の抽出物、有効成分以外に通常化粧料で使用される成分を、任意成分として配合してもよい。
これらの任意成分は、市販されているものを入手して配合してもよく、公知の方法で合成したものを配合してもよい。また、各任意成分は、2以上の効果(例えば、美白効果としわ改善効果)を有していてもよい。
【0082】
また、皮膚外用組成物の形態として提供する場合、その組成も特に限定されず、本発明の効果を損ねない限度において、通常使用される任意成分を含有することもできる。このような任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック(登録商標)型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、2,4-ヘキサンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類などが好ましく例示できる。
【0083】
また、本発明を皮膚外用組成物とする場合、本発明は「高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。
【0084】
前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、皮膚外用組成物等(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
【0085】
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告、価格表もしくは取引書類(電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。
【0086】
経口組成物とする場合、本発明の有効成分を含む食品用組成物とすることもできる。
具体的には、一般食品、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形を有するサプリメントの形態とすることができる。
【0087】
ここで、経口組成物における前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量については、前述の好ましい実施の形態の記載を準用することができる。
【0088】
また、経口組成物とする場合、本発明の効果を損なわない範囲において、任意成分を適宜配合してもよい。
【0089】
<高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のための剤>
また、本発明は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩からなる、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のための剤でもある。
【0090】
なお、本発明の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化のための剤における好ましい実施の形態には、前述した内容を適用することができる。
【0091】
<美容方法>
また、本発明は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を皮膚に適用することを特徴とする、顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法とすることもできる。
本発明によれば、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を皮膚に適用することで、皮膚の肌状態の症状軽減及び/又は再発防止をすることができる。
【0092】
また、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後に、4-アルキルレゾルシノールを有効成分として含む、顔面形状改善用、皮膚支帯改善用、真皮線維構造改善用、及び/又は抗老化用組成物を高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚に塗布することを特徴とする、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の肌状態症状改善のための美容方法をすることができる。
【0093】
本発明にかかる方法は、本発明にかかる皮膚外用組成物の販売者、メイクアップ・アーティスト、美容スタッフ、カウンセラーまたはエステティシャン、一般ユーザー(高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術及び/又は高周波たるみ治療器による施術被験者)等が行うことができる。
【0094】
ここで、本発明の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法は、前記の一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、導入美容液とを、併用する形態であることが好ましい。
【0095】
ここで、本発明の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法のための美容方法は、医療行為を含まない。より具体的には、本発明の顔面形状改善、皮膚支帯改善、真皮線維構造改善、及び/又は抗老化方法のための美容方法は非治療的方法である。
【0096】
なお、本発明の方法における好ましい実施の形態には、前述した内容を適用することができる。
【実施例0097】
以下に実施例を挙げて、本発明について、さらに詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0098】
<1> 特定条件の皮膚に対する、有効成分塗布の効果の検証
<試験条件>
【0099】
(1)試験内容
顔面のたるみを愁訴する被験者23名に対して、下記の(2)の高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術(以降、単にHIFUとも表記)を行った。
【0100】
そして、被験者23名に対して、半顔に下記(3)の試験製剤の塗布を行い、他方の半顔には試験製剤から有効成分のみを除外した製剤(以降、プラセボ製剤と表記)の塗布を行った。
【0101】
(2)HIFU施術の条件
使用機器:ウルトラフォーマーMPT (CLASSYS社)
HIFU施術タイミング:試験開始時点
使用条件:
【0102】
【0103】
(3)試験製剤/試験製剤塗布
(i)試験製剤
三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムを有効成分として含む、製剤を試験製剤とした。
【0104】
(ii)塗布条件
1日2回朝夜、被験者は、試験製剤又はプラセボ製剤0.4~0.5gを、目元から頬部位を含む半顔にそれぞれ十分量塗布した。
【0105】
上記条件での試験を行い、被験者に対して以下の測定/評価を行った。
【0106】
<実施例1> 頬部周囲全体の容貌変化の目視評価
・方法
本実施例では、VECTRA Face (Canfield Scientific)で初期値と施術1か月後の3次元顔画像を取得した。
解析ソフトMirrorにて両画像を重ね合わせ、初期値に対する立体形状の変化を3次元で比較した。顔面全体の容貌変化をヒートマップにて可視化した。
【0107】
・結果
結果の代表例を
図1、
図2に示す。
本実施例の結果、他の被験者についても、
図1に示す結果と同様の傾向が示された。
また、
図2は、
図1と同じ図面であって、立体位置変動結果を示した図である。
【0108】
施術1か月後では、HIFU施術と試験製剤併用群、プラセボ製剤併用群いずれの半顔においてもフェイスライン上部のボリューム増加が確認され、HIFU施術自体と試験製剤のいずれも顔面のリフトアップに有効であることが確認できた。ここで、試験製剤併用群では、フェイスライン下部でのボリューム減少も確認されたことから、HIFU施術と試験製剤を併用することで、フェイスライン下部のたるみ改善効果を奏することが分かった。よって、プラセボ製剤併用群と比較して、HIFU施術と試験製剤(有効成分含有)を併用することが、早期かつ高い改善効果をもたらすことが明らかとなった。継続使用により、さらなる効果が期待できる。また、HIFU施術とともに試験製剤を継続使用することにより、さらなる効果が期待できることもわかった。
【0109】
<実施例2> IGA(Investigator Global Assessment)評価
・方法
本実施例では、VISIA Evolution (Canfield Scientific)で初期値と施術1か月後の顔画像を取得した。顔画像を0週時点の写真と比較して、被験者の試験対象群内訳を知らない医師がIGA (Investigator Global Assessment)により5段階(著名改善、改善、軽微改善、不変、悪化)で顔面形状の改善度合いをスコア化した。
【0110】
・結果
結果を
図3に示す。
施術1か月後では、HIFU施術と試験製剤併用群、プラセボ製剤併用群いずれの半顔においても軽微改善の被験者が出現したことから、HIFU施術自体と試験製剤のいずれも顔面形状改善に有効であることが確認できた。ここで、試験製剤併用群では、軽微改善以上の被験者出現数ならびに軽微改善以上の被験者出現割合が2倍高かった。よって、プラセボ製剤併用群と比較して、HIFU施術と試験製剤(有効成分含有)を併用することが早期かつ高い改善効果をもたらすことが明らかになった。また、HIFU施術とともに試験製剤を継続使用することにより、さらなる効果が期待できることもわかった。
【0111】
<実施例3> 顔面のたるみによる皮膚下垂の評価
・方法
本実施例では、、VECTRA Face (Canfield Scientific)で初期値と施術1か月後の3次元顔画像を取得した。両画像を解析ソフトMirrorにて重ね合わせ、顔面角度を統一した後、それぞれ2次元画像として抽出した。抽出した2次元画像において、顔面のたるみによる皮膚下垂の指標として、鼻柱最下点から口角を通り輪郭に接する点までの直線距離を算出し、各測定回間での変動が生じにくい両目頭間の直線距離にて除して補正値を算出した。初期値に対する1か月後の測定値は、各被験者の初期値での測定値を100%として算出した。
【0112】
・結果
結果を表2に示す。
【0113】
【0114】
施術1か月後では、HIFU施術と試験製剤併用群、プラセボ製剤併用群いずれの半顔においても鼻柱最下点から顔面輪郭までの長さの減少が確認され、HIFU施術自体と試験製剤のいずれも顔面形状の改善に有効であることが確認できた。ここで、試験製剤併用群では鼻柱最下点から顔面輪郭までの長さが有意に低下した。よって、プラセボ製剤併用群と比較して、試験製剤(有効成分)を併用することが早期かつ高い改善効果をもたらすことが明らかになった。また、HIFU施術と試験製剤(有効成分含有)を併用することが早期かつ高い改善効果をもたらすことが明らかになった。また、HIFU施術とともに試験製剤を継続使用することにより、さらなる効果が期待できることもわかった。
【0115】
<実施例4> 皮膚粘弾性の評価
・方法
本実施例では、半顔ごとにCutometer CM580(Courage+Khazaka)で頬部の皮膚粘弾性を計測した。具体的には、Cutometer CM580を用い、陰圧にすることでの皮膚の吸引と解除により、皮膚吸引高の変位を経時的に測定することで粘弾性を評価した。付属のソフトウェアによって算出されるR5(陰圧解除後の瞬時戻りUr/吸引時の瞬時変形Ue)を指標として用いた。
【0116】
・結果
結果を表3に示す。
【0117】
【0118】
初期値では、群間での有意な差異は認められなかった。施術1か月後では、HIFU施術と試験製剤併用群、プラセボ製剤併用群いずれの半顔においても皮膚粘弾性におけるR5値の増加が認められたことから、いずれの介入も顔面形状の改善に有効であることが確認された。また、試験製剤併用群ではR5値が有意に増加した。よって、プラセボ製剤併用群と比較して、試験製剤(有効成分含有)を併用することが早期かつ高い改善効果をもたらすことが明らかになった。また、HIFU施術とともに試験製剤を継続使用することにより、さらなる効果が期待できることもわかった。
【0119】
<実施例5> 皮膚バリア機能の評価
・方法
本実施例では、半顔ごとにCorneometer CM825(Courage+Khazaka)にて頬部の皮膚表面水分量を評価した。
【0120】
・結果
結果を表4に示す。
【0121】
【0122】
初期値では、群間での有意な差異は認められなかった。施術1か月後では、プラセボ製剤併用群では皮膚表面水分量にわずかな減少が見られた一方、試験製剤併用群では皮膚表面水分量の増加が確認された。以上の結果より、HIFU施術と試験製剤を併用することにより、過剰な炎症の抑制により皮膚バリア機能の悪化が抑制されたことが確認された。
よって、プラセボ製剤併用群と比較して、HIFU施術と試験製剤(有効成分含有)を併用することが過剰な炎症の抑制効果をもたらすことが明らかになった。
【0123】
<結論>
本実施例の結果により、上記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用及び/又は抗老化用組成物として、顕著な効果を発揮することが分かった。
また、本実施例の結果により、上記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の顔面形状改善用及び/又は抗老化用組成物として、副作用なく、使用できる成分であることが分かった。
【0124】
<2> 特定条件下での有効成分塗布の皮膚支帯(Retinacula cutis;RC)及び真皮線維構造の分解抑制作用の検証
【0125】
(1)試験条件
凍結皮膚組織から作製した皮膚薄切切片(12μm厚)に、好中球エラスターゼ溶液(50μg/mL)、及び、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム(以降、単に有効成分と表記)を含む溶液を添加した(有効成分添加群)。また、対照群として、有効成分を含まない、有効成分非添加群を用意した。
【0126】
有効成分添加群及び有効成分非添加群を、インキュベーターにて4時間反応させた後、Collagen Hybridizing Peptide(CHP、スリーヘリックス社)にて、皮膚支帯(Retinacula cutis;RC)部位及び真皮線維構造部位の分解コラーゲンを染色した。
染色した皮膚薄切切片について、BZ X800 (キーエンス社)を用いて、明視野像および蛍光像を取得した(
図4 参照)。ImageJにてRC部位におけるCHP陽性領域の輝度値を定量化し、平均値を算出した(
図5 参照)。
【0127】
(2)結果/考察
結果を、
図4、
図5に示す。
図に示す通り、有効成分添加群ではCHPの蛍光は確認されなかった。また、RC部位におけるCHP染色の平均輝度値は有効成分添加群で有意に低かった。一方、有効成分非添加群では分解コラーゲンのマーカーであるCHPの蛍光が皮下組織RC部位及び真皮線維構造部位で顕著に検出された。
【0128】
上記の通り、有効成分は、好中球浸潤が生じている条件における、皮膚支帯改善作用及び真皮線維構造改善作用を奏することがわかった。ここで、好中球浸潤の条件は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術及び/又は高周波たるみ治療器施術によって生じる熱作用により皮膚内部で炎症が惹起され、炎症に付随した好中球浸潤が生じている状態である。
してみると、上記結果から、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器施術後の皮膚内部の炎症に対し、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムは、好中球エラスターゼ阻害作用を奏し、皮下組織RC及び真皮線維構造の分解抑制に有効であることがわかった。
本発明によれば、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)施術後及び/又は高周波たるみ治療器による施術後の皮膚の肌状態を改善できる組成物を提供することができる。