(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096157
(43)【公開日】2025-06-26
(54)【発明の名称】シート綴じ処理装置、およびシート綴じ処理装置を備える画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20250619BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20250619BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20250619BHJP
【FI】
G03G15/00 432
B65H37/04 D
B65H29/60 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024190841
(22)【出願日】2024-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2023212307
(32)【優先日】2023-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】高野 忠仁
(72)【発明者】
【氏名】永沢 恵一
(72)【発明者】
【氏名】清水 達矢
【テーマコード(参考)】
2H072
3F053
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA16
2H072AA23
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB03
2H072FB04
2H072GA08
2H072JA02
2H072JA04
3F053EA01
3F053EB04
3F053EC02
3F053LA01
3F053LB03
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA43
3F108HA46
(57)【要約】
【課題】後処理を行っている間に、後続する、所定長さよりも長いシートを受け入れても、バッファ動作を可能にするシート綴じ処理装置を提供する。
【解決手段】シート綴じ処理装置は、搬送方向に所定長さよりも長い所定シートの束を連続して前記綴じ処理部で綴じ処理を行う場合、後続するシート束を構成するシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段を含む。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入口から排出口にかけてシートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に設けられ、シートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送されたシートを上方から受け入れる処理トレイと、
前記処理トレイ上のシート束を綴じる綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が行われたシート束を排出する排出ローラ対と、
前記搬送経路から下方に向けて分岐し、前記処理トレイに先行するシート束がある場合、後続するシート束を構成するシートをバッファするバッファ経路と、
前記バッファ経路に設けられ、シートを搬送するバッファ搬送部と、
前記搬送経路から上方に向けて分岐する上方分岐経路と、
前記上方分岐経路に設けられ、シートを搬送する上方分岐搬送部と、
搬送方向に所定長さよりも長い所定シートの束を連続して前記綴じ処理部で綴じ処理を行う場合、後続するシート束を構成するシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするシート綴じ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、後続するシートが搬送方向に所定長さよりも短い所定シートである場合、前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込まずに、前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう制御することを特徴とする請求項1に記載のシート綴じ処理装置。
【請求項3】
前記排出ローラ対で排出されるシートをのせる第1スタックトレイと、
前記第1スタックトレイの上方に設けられた第2スタックトレイと、をさらに備え、
前記搬送経路を搬送されたシートを前記上方分岐経路に搬送し、前記第2スタックトレイへ排出可能であることを特徴とする請求項1に記載のシート綴じ処理装置。
【請求項4】
シートに画像形成を行う画像形成装置と、
請求項1に記載のシート綴じ処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
搬入口から排出口にかけてシートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に設けられ、シートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送されたシートを上方から受け入れる処理トレイと、
前記処理トレイ上のシート束を綴じる綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が行われたシート束を排出する排出ローラ対と、
前記搬送経路から下方に向けて分岐し、前記処理トレイに先行ジョブのシート束がある場合、後続ジョブのシートをバッファするバッファ経路と、
前記バッファ経路に設けられ、シートを搬送するバッファ搬送部と、
前記搬送経路から上方に向けて分岐する上方分岐経路と、
前記上方分岐経路に設けられ、シートを搬送する上方分岐搬送部と、
前記処理トレイに先行ジョブのシート束があり、後続ジョブのシートが搬送方向に所定長さよりも長い所定のシートである場合、後続ジョブのシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするシート綴じ処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、後続するシートが搬送方向に所定長さよりも短い所定シートである場合、前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込まずに、前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう制御することを特徴とする請求項5に記載のシート綴じ処理装置。
【請求項7】
前記排出ローラ対で排出されるシートをのせる第1スタックトレイと、
前記第1スタックトレイの上方に設けられた第2スタックトレイと、をさらに備え、
前記搬送経路を搬送されたシートを前記上方分岐経路に搬送し、前記第2スタックトレイへ排出可能であることを特徴とする請求項5に記載のシート綴じ処理装置。
【請求項8】
シートに画像形成を行う画像形成装置と、
請求項5に記載のシート綴じ処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成されたシートに対して綴じ処理を実行可能なシート綴じ処理装置、およびシート綴じ処理装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート後処理装置は、画像形成装置の排紙口に連結され、画像形成されたシートをトレイ上で一時的に保持して後処理した後に収納スタッカに収納する装置として知られている。この後処理としては、シートを集積して、シート束を綴じる処理が知られている。
【0003】
特許文献1には、積載トレイに積載された複数のシートを整合する際のずれの防止を図ることが可能なシート積載装置が記載されている。特許文献2には、連続して束処理する際の生産性向上のために、先行束の後処理中に後続束のシートが運ばれてきた場合にはシートをスイッチバック搬送してバッファする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-2030891号公報
【特許文献2】特開2018-47964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
束処理を連続して行う時、特許文献2に開示されるようなバッファ動作では、処理トレイ上にシートを出すことができずにバッファできなくなるという問題がある。例えば、処理中あるいは排出中の束を排出ローラがニップしているときなどは、後続する、所定長さよりも長いシートは排出ローラでせき止められてしまいバッファができなくなる。
【0006】
本発明は、後処理を行っている間に、後続する、所定長さよりも長いシートを受け入れても、バッファ動作を可能にするシート綴じ処理装置、およびシート綴じ処理装置を備える画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシート綴じ処理装置は、搬入口から排出口にかけてシートが搬送される搬送経路と、前記搬送経路に設けられ、シートを搬送する搬送部と、前記搬送経路を搬送されたシートを上方から受け入れる処理トレイと、前記処理トレイ上のシート束を綴じる綴じ処理を行う綴じ処理部と、前記綴じ処理部で綴じ処理が行われたシート束を排出する排出ローラ対と、前記搬送経路から下方に向けて分岐し、前記処理トレイに先行するシート束がある場合、後続するシート束を構成するシートをバッファするバッファ経路と、前記バッファ経路に設けられ、シートを搬送するバッファ搬送部と、前記搬送経路から上方に向けて分岐する上方分岐経路と、前記上方分岐経路に設けられ、シートを搬送する上方分岐搬送部と、搬送方向に所定長さよりも長い所定シートの束を連続して前記綴じ処理部で綴じ処理を行う場合、後続するシート束を構成するシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理トレイ上にシートがあるときにも、後続する、所定長さよりも長いシートのバッファを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】搬送ローラのシフト機構を説明するための図である。
【
図7】搬送ローラのシフト機構を説明するための図である。
【
図11】トレイの昇降機構を説明するための図である。
【
図12】シートの搬出機構を説明するための図である。
【
図13】ステープルユニットの構成を示す図である。
【
図30】処理部バッファパスフラッパー周辺の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成システムにおける画像形成装置Aを説明する。図示の画像形成装置Aは静電式印刷機構を示し、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダユニットA3を含んで構成されている。装置ハウジング1には、設置面(例えば床面)に設置する据付脚25が設けられている。また装置ハウジング1内部には、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5が内蔵されている。
【0012】
給紙部2は、画像形成する複数サイズのシートを収納するカセット機構2a~2cを含んで構成され、本体制御部90から指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。このため装置ハウジング1には複数のカセット2a~2cが着脱可能に配置され、各カセットには内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給紙機構とが内蔵されている。給紙経路6には複数のカセット2a~2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラ7が設けられ、経路端部には各シートを先端揃えするレジストローラ対8が設けられている。
【0013】
尚、給紙経路6には、大容量カセット2dと手差しトレイ2eが連結しており、大容量カセット2dは大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットを含んで構成され、手差しトレイ2eは分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能に構成される。
【0014】
画像形成部3は、静電印刷機構の一例として示され、感光体9(ドラム、ベルト)と、この感光体9に光学ビームを発光する発光器10と、現像器11(ディベロッパー)と、クリーナ(不図示)とが回転する感光体の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構を示し、感光ドラム9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。そして、感光体9に画像形成するタイミングに合わせて給紙経路6からシートを画像形成部3に送り、転写チャージャ12でシート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ユニット(ローラ)13で定着する。排紙経路14には、排紙ローラ15と排紙口16とが配置され、後述するシート後処理装置Bにシートを搬送する。
【0015】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン17と、プラテン17に沿って往復移動するキャリッジ18と、キャリッジ18に搭載された光源と、プラテン17上の原稿からの反射光を光電変換部19に案内する縮小光学系20(ミラー、レンズの組み合わせ)とを含んで構成されている。図示21は第2プラテン(走行プラテン)であり、フィーダユニットA3から送られたシートに対して、キャリッジ18と縮小光学系20とにより画像読み取りを行う。光電変換部19は、光電変換した画像データを画像形成部3に転送する。
【0016】
フィーダユニットA3は、給紙トレイ22と、給紙トレイから送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、プラテンで画像読取が行われた原稿を収納する排紙トレイ24とを含んで構成されている。
【0017】
画像形成装置Aは、上記の機構に限られず、オフセット印刷機構、インクジェット印刷機構、インクリボン転写印刷機構(熱転写リボン印刷、昇華型リボン印刷など)の印刷機構が採用可能である。
【0018】
[シート後処理装置]
シート後処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16から排出されたシートを後処理する装置として例えば、(1)画像形成されたシートを積載収容する機能(プリントアウトモード)と、(2)画像形成されたシートを部分け収納する機能(ジョグ仕分モード)と、(3)画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理する機能(綴じ処理モード)と、(4)画像形成されたシートを部揃えして綴じ処理した後に折り処理して製本仕上げする機能(製本処理モード)とを備える。
【0019】
なお、本実施形態にあってシート後処理装置Bは上記の全ての機能を備える必要はなく、装置仕様(設計仕様)に応じて適宜構成される。本実施形態では一例として、画像形成されたシートを部揃えして綴じ処理した後に折り処理して製本仕上げする機能を有することを想定する。
【0020】
図2は、シート後処理装置Bの構成を示し、
図3は、ストレートパス28周辺の構成を示す。シート後処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16に連なるストレートパス入口26から搬入したシートを後処理した後に、収納部(後述の第1スタックトレイ49、第2スタックトレイ61、第3スタックトレイ71)に収納する。図示の装置は、ストレートパス28に送られたシートを、綴じユニット47を含む処理部B1から第1スタックトレイ49(以下「第1トレイ」と云う)と第3スタックトレイ71(以下「第3トレイ」と云う)に移送する。また、ストレートパス28に送られたシートを、サドル部B2から第2スタックトレイ61(以下「第2トレイ」と云う)に移送する。なお、ストレートパス28は、略直線状に形成されているので、厚紙等でも搬送可能である。
【0021】
処理部B1は、ストレートパス28の経路出口(ストレートパス排紙口35)に配置され、順次送られたシートを部揃え集積して綴じ処理した後に第1トレイ49に収納する。サドル部B2は、ストレートパス28から分岐したサドルパス32の経路出口(サドルパス排紙口)に配置され、順次送られるシートを部揃え集積して中綴じ後(中綴じしない場合もある)に折り処理して第2トレイ61に収納する後処理部である。以下、各構成について詳述する。
【0022】
<装置ハウジング>
図2に示すように、シート後処理装置Bは、装置ハウジング27と、この装置ハウジング内部に内蔵され、ストレートパス入口26とストレートパス排紙口35を有するストレートパス28と、ストレートパス28から送られたシートを後処理する処理部B1とサドル部B2と、各後処理部から送られたシートを収納する第1トレイ49、第2トレイ61、第3トレイ71を備えている。図示の装置ハウジング27は、上流側に位置する画像形成装置Aのハウジング1と略同一高さ寸法に配置され、設置面上で画像形成装置Aの排紙口16とシート後処理装置Bのストレートパス入口26とが連結される。
【0023】
シート後処理装置のハウジング27は、装置フレーム70を含んで構成されている。装置フレーム70は、例えば
図6に示すようなボックス型の装置の骨組みを形成し、
図1の状態で正面に位置するフロント側の側枠フレーム70fと、背面に位置するリヤ側の側枠フレーム70rと、両側枠フレーム間を連結するステー部材(連結補強部材)とを含んで構成されている。この左右の側枠フレーム間に、後述するストレートパス28、処理部B1、サドル部B2などが取り付けられる。装置ハウジング27は、図示の形状に制限されることなくデザイン上好適な形態とすることは勿論、装置フレーム70も左右側枠と連結ステー構造に限らず、モノコック構造など種々のフレーム構造が採用可能である。
【0024】
<シート搬入経路>
図3に示すように、ストレートパス28は、装置ハウジング27を略水平方向に横断する略直線状の経路で構成され、画像形成装置Aの排紙口(本体排紙口)16と連なるストレートパス入口26と、この搬入口(ストレートパス入口26)から装置を横断して反対側に位置するストレートパス排紙口35とを備えている。ストレートパス28には、ストレートパス入口26からストレートパス排紙口35に向けてシート搬送が可能で、且つストレートパス排紙口35からストレートパス入口26に向けて搬送が可能な搬送機構として、ストレートパス入口26側から順に入口ローラ29、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、第3搬送ローラ203が配置されている。また、ストレートパス排紙口35には、搬送機構として、排紙ローラ36(ベルトなどのシート搬送機構を含む)が配置されている。また、ストレートパス入口26近傍には、受入れるシートの先後端を検出する入口センサS1と、シートの搬送方向に平行な端面位置(側端)を検出する横レジ検知センサS0(検出部)とが配置されている。また、ストレートパス排紙口35近傍には、シートの先後端を検出する排紙センサS2が配置されている。ストレートパス排紙口35から排出されたシートは、ストレートパス排紙口35に連結されている第1排紙パス31を経由して第1トレイ49へと排出されるか、又は処理部B1へと案内される。また、ストレートパス28には、シートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット100が配置されている。
【0025】
<シート搬入経路のレイアウト>
ストレートパス28には、
図2、
図3に示すようにストレートパス入口26からストレートパス排紙口35に向かって、「サドルパス32」「サドルバッファパスP2」「処理部バッファパスP1」「上搬送パス30」の順に配置され、上記の各パスとの分岐部には搬送されたシートの搬送切替機構(分岐機構)として、サドルパスフラッパー33b、サドルバッファパスフラッパー33a、処理部バッファパスフラッパー200、上搬送パスフラッパー34が配置されている。本実施形態では、サドルバッファパスP2と上搬送パス30は、シートを退避させる退避経路として構成されている。また、
図2に示すように、ストレートパス28を挟んで一方側にサドル部B2が設けられ、その反対側(他方側)にサドルバッファパスP2と上搬送パス30が設けられている。これにより、退避経路に位置するシートのサドル部B2への搬送効率をより向上させることができる。
【0026】
上記の各パスの中で、サドルパス32とサドルバッファパスP2と処理部バッファパスP1は、ストレートパス入口26からストレートパス排紙口35への搬送方向とは逆方向にシートを搬送して上記の各パスへと搬入するスイッチバックパスとして構成される。また、上搬送パス30は、ストレートパス入口26からストレートパス排紙口35への搬送方向と同じ方向にシートを搬送することで搬入されるよう構成されている。
【0027】
<パスの分岐機構>
上記のシートの分岐機構であるサドルパスフラッパー33b、サドルバッファパスフラッパー33a、処理部バッファパスフラッパー200は、ストレートパス入口26から搬入されたシートの搬送経路を切替可能なように可動するフラッパガイドで構成され、電磁ソレノイド、ミニモータなどの駆動機構(不図示)に連結されている。上記のサドルパスフラッパー33bは、ストレートパス入口26から送られたシートをサドルパス32に案内する。サドルバッファフラッパー33aは、ストレートパス入口26から送られたシートをサドルバッファパスP2に案内する。処理部バッファフラッパー200は、ストレートパス入口26から送られたシートを処理部バッファローラ301a、301bを介して処理部バッファパスP1に案内する。上搬送パスフラッパー34は、ストレートパス入口26から送られたシートをストレートパス排紙口35と上搬送パス30のいずれかに搬送するように搬送経路を切り替えるように可動するフラッパガイドを含んで構成され、電磁ソレノイド、ミニモータなどの駆動機構(不図示)に連結されている。
【0028】
<上搬送パス>
ストレートパス28には、ストレートパス排紙口35へ排出するシート以外を搬入する上搬送パス30(プリントアウト排紙パス)が連結され、パス分岐部には、上搬送パス30にシートを案内するための上搬送パスフラッパー34が備えられている。また、上搬送パス30には、シートを第3トレイ71へと案内する上搬送ローラ303(303a、303b)が備えられている。これらにより、上搬送パス30へと案内されたシートは上搬送パス排紙口40より第3トレイ71(オーバフロートレイ)へと排出される。なお、本実施形態では、上搬送パス30は、シートの退避経路としても用いられる。
【0029】
<サドルパス>
ストレートパス28には、サドル部B2に搬入させるためのサドルパス32が連結され、パス分岐部には、サドルパス32にシートを案内するためのサドルパスフラッパー33bが備えられている。サドルパス32からサドルパス排紙口を経由してサドル部B2へと案内されたシートは中綴じ処理、折り処理された後に略水平方向のサドル排出パス68を経由して第2トレイ61へと排出される。
【0030】
<サドルバッファパス>
ストレートパス28には、サドル部B2で中綴じ処理、折り処理を施すシートを一時的に搬入させて待機させるためのサドルバッファパスP2が連結され、このサドルバッファパスP2にシートを案内するためのサドルバッファパスフラッパー33aが構成されている。また、サドルバッファパスP2には、シートを搬入して一時的に待機させる搬送ローラ302(302a、302b)が備えられている。
【0031】
サドルバッファパスP2の下流延長上には第4トレイ排紙口305が設けられており、そのため、サドルバッファパスP2に搬入したシートを第4トレイ310上へ排出して積載することが可能である。この場合、第4トレイ310は、サドルバッファパスP2の鉛直上方に配置される。なお、第4トレイ310は、シート後処理装置Bの天面の外装部品と共有してもよく、装置ハウジングに固定してあってもよいし、駆動機構を備えて略鉛直方向に昇降可能に構成されてもよい。
【0032】
尚、サドルバッファパスP2をパンチユニット100の鉛直上方で重なる位置に配置されることで装置をよりコンパクトにできる。但し、パンチユニット100に滞留したシートを取り除く為にパンチユニット100を上方に跳ね上げるスペースが必要な場合は、サドルバッファパスP2をパンチユニット100の鉛直上方で重ならない位置に配置してもよい。
【0033】
<搬入経路における搬送ローラシフト機構>
ここで、上記の搬送経路上の搬送ローラが備えている搬送シフト機構について
図6、
図7を用いて説明する。第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、第3搬送ローラ203、搬送ローラ302a、302bは、左右の側枠フレーム70f、70rに回転可能に軸受支持された駆動ローラ111と従動ローラ112を含んで構成されている。駆動ローラ軸113には、駆動回転軸が伝動機構116(図示のものは歯車伝動)で連結され、駆動回転軸115には、排紙ローラ36と共通の駆動モータ(不図示)が連結されている。また従動ローラ軸114は、左右の側枠フレーム70f、70rに遊動可能に軸受け支持されている。
【0034】
上記の各搬送ローラは、駆動ローラ軸113と従動ローラ軸114を連結するシフト部材117に回転可能に取り付けられている。シフト部材117により、駆動ローラ軸113と従動ローラ軸114は、軸方向(スラスト方向)に一体的に移動するように連結し、ラジアル方向に独立して回転可能である。そして、駆動ローラ軸113は、左右の側枠フレーム70f、70rに軸受け支持され、駆動ローラ軸113の端部は、側枠フレーム70fのフロント側にある搬送ローラの軸方向移動領域で示される範囲に位置し、他方の端部は側枠フレーム70rのリヤ側に位置し、シフト部材117(例えば合成樹脂のブロック部材)は、駆動ローラ軸113、従動ローラ軸114に支持され、両ローラ軸を一体的に連結している。
【0035】
シフト部材117にはラック117aが一体形成され、側枠フレーム70r(装置フレーム;以下同様)に取り付けたシフトモータM9と伝動ピニオン117bに噛合されている。このような構成で、シフトモータM9(図示のものは正逆転可能なステッピングモータ)の回転でシフト部材117を搬送ローラの軸方向に位置移動(シフト移動)することが可能となる。
【0036】
駆動回転軸115には受動歯車118が一体形成され、受動歯車118に駆動モータの回転が伝達される。また、従動回転軸119は、駆動回転軸115の回転で従動回転するように、搬送ローラ対(駆動ローラと従動ローラ)が圧接されている。
【0037】
本実施形態では、駆動回転軸115と従動回転軸119は、互いに連結されその一方の軸方向移動で他方が従動するように構成されている。この他、駆動ローラ111と従動ローラ112の一方を軸方向にスライド移動(摺動)可能に回転軸に取付け、他方のローラを軸方向に位置移動させ、その移動に連動するように構成しても良い。
【0038】
<搬送シフト動作>
ここで、シート後処理装置B内へ搬入されたシートのシフト動作(ジョグ仕分モード)について説明する。画像形成装置Aから送り込まれたシートは、ストレートパス入口26、入口ローラ29、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、第3搬送ローラ203の順に搬送される。このとき、入口センサS1によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。入口ローラ29により搬入されたシートは、ストレートパス28を通過しながらシートの端部位置を横レジ検知センサS0により検知される。横レジ検知センサS0は、センタ(中央)位置に対してどの程度、シートの横レジ誤差Xが生じているかを検知する。
【0039】
横レジ検知センサS0による横レジ誤差Xが検知されると、第1搬送ローラ201、第2搬送ローラ202、第3搬送ローラ203の各ローラが順に搬送しながら手前と奥との方向に所定量移動することによるシートのシフト動作(「横レジ検知処理」ともいう)が行われる。その後、シートは、分岐機構の上搬送パスフラッパー34によってストレートパス排紙口35か、または上搬送パス30に振り分けられて搬送され、第1トレイ49上か、または第2トレイ71へ排出される。
【0040】
<処理部>
処理部B1は、ストレートパス28の下流側に配置されストレートパス排紙口35から送られたシートを部揃え集積する処理トレイ37と、集積されたシート束を綴じ処理する綴じ処理機構とを含んで構成される後処理部である。
図3に示すように、ストレートパス28のストレートパス排紙口35には、段差を形成してその下方に処理トレイ37が配置され、ストレートパス排紙口35と処理トレイ37との間には排紙口から搬送方向を反転させてシートをトレイ上に案内する第1排紙パス(第1スイッチバックパス)31が形成されている。
【0041】
ストレートパス排紙口35と処理トレイ37との間には、シートを排紙口からトレイ上に搬入するシート搬入機構が配置され、処理トレイ37には、所定の綴位置にシートを位置決めする位置決め機構と、綴じ処理したシート束を下流側の第1トレイ49に排出するシート束搬出機構とが配置されている。各構成については後述する。
【0042】
なお、
図3に示す処理トレイ37は、下流側の第1トレイ49との間でストレートパス排紙口35から送られたシートをブリッジ支持する。つまり、ストレートパス排紙口35から送られたシートが、その先端部を下流側の第1トレイ49の最上部のシートの上に、後端部を処理トレイ37上に、ブリッジして支持されるように構成される。
【0043】
<サドル部>
サドル部B2はストレートパス28から送られたシートを部揃え集積して、中央部を綴じ処理して内折り処理する(以下「マガジン仕上げ」と云う)後処理部である。そして、サドル部B2の下流側には第2トレイ61が配置され、製本処理されたシート束を収納する。尚、シート1枚又は複数枚のシートを部揃え集積して、中綴じ処理をせず中央部を内折り処理のみを施すように構成されても良い。
【0044】
サドル部B2は、シートを束状に集積するガイド部材66と、ガイド部材66上の所定位置にシートを位置決めする先端規制ストッパ67と、先端規制ストッパ67で位置決めされたシートの中央部を綴じ処理するステープル装置63(中綴じステープルユニット)と、綴じ処理後にシート束を中央部で折り合わせる折り処理機構(折りロール対64と折りブレード65)とを含んで構成されている。
【0045】
中綴じステープルユニット63は、一般的に知られている、ヘッドユニットとアンビルユニットでシート束を挟んだ状態でシート中央部(線)に沿って位置移動させて綴じ処理する機構が採用されている。また、折り処理機構は、
図2に示すように、互いに圧接した折りロール対64にシート束の折り目を折りブレード65で挿入してロール対の転動で折り合わせるように構成されている。
【0046】
図示の処理部B1及び、ストレートパス28は略水平方向に配置され、サドル部B2にシートを案内するサドルパス32は鉛直方向に配置され、シートを部揃え集積するガイド部材66は略鉛直方向に配置されている。このように装置ハウジング27を横断する方向にストレートパス28を配置し、サドルパス32、サドル部B2を鉛直方向に配置することによって装置のスリム化が可能となる。
【0047】
サドル部B2の下流側には第2トレイ61が配置され、マガジン状に折り合わされたシート束を収納可能である。第2トレイ61は、第1トレイ49の下方に配置されている。これは、第1トレイ49の使用頻度が第2トレイ61の使用頻度より高いことを想定されているためであり、トレイ上のシートを取り出し易い高さとして第1トレイ49の位置が設定されている。
【0048】
<パンチユニット>
ストレートパス28に配置され、ストレートパス入口26から送られたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット100について
図5を用いて説明する。パンチユニット100は、ストレートパス28のシート搬送方向に対して直交する方向に複数のパンチ部材101a~101eを所定の間隔で配列して、選択された穴数をシートに穿孔する。
【0049】
図4にパンチユニット100の全体構成を示す。パンチユニット100は、ユニットフレーム102と、ユニットフレーム102に上下動可能に配列された複数のパンチ部材101a~101eと、各パンチ部材を上下動(穿孔方向に往復動)する駆動カムと、この駆動カムを駆動する駆動モータM7とを含んで構成されている。
【0050】
図示104は屑ボックスであり、パンチ部材101の下方に配置され穿孔屑紙片を収納する。屑ボックス104は装置フレーム70(ユニットフレームとは異なる)にスライド可能にガイドレール(不図示)に取り付けられている。図示106は回転操作部材であり、パンチ部材101にジャムが発生したとき或いは駆動モータM7に異常が発生したとき駆動カムを強制的に回転させてシートに食い込んだパンチ部材101を引き離す(引き剥がす)。このため、回転操作部材106は、駆動カムの回転軸107に連結された手動回転ツマミで構成してある。
【0051】
図5に示すようにユニットフレーム102は、ストレートパス28のシート搬送方向と直交する方向に所定長さを有する上部フレーム102aと、下部フレーム102bとを含んで構成されている。上部フレーム102aにはシート搬送方向と直交する方向(以下「搬送直交方向」と云う)に所定間隔で複数のパンチ部材101a~101eが穿孔方向に往復動可能(上下動可能)に配置されている。下部フレーム102bには、各パンチ部101に対向する位置に穿孔穴(ダイ)が形成されている。また、ユニットフレーム102には駆動回転軸107が配置され、駆動回転軸107に各パンチ部材101を上下動する駆動カムが取り付けられている。駆動回転軸107には、駆動モータM7が伝動機構を介して連結されている。
【0052】
駆動カムは、駆動回転軸107に軸着され複数のパンチ部材101に対応する円筒カム部材で構成され、このカム部材に各パンチ部材が連結ピンで連結されている。そして、駆動回転軸107の所定角度の回転により、パンチ部材101は穿孔方向に上下動するようになっている。このとき、複数パンチ部材の第1グループ101b、101d(例えば2穴穿孔)は、駆動回転軸107の第1回転角度で穿孔方向に上下動し、異なる第2回転角度で第2グループ101a、101c、101e(例えば3穴穿孔)が穿孔方向に上下動する。
【0053】
従って、後述する綴じ処理制御部95は、モータM7の制御により駆動回転軸107を予め設定された角度範囲で往復回転させると、第1グループのパンチ部材101b、101dを穿孔運動させ、異なる角度範囲で往復動させると第2グループのパンチ部材101a、101c、101eを穿孔運動させることが可能となる。
【0054】
屑ボックス104は、パンチ部材101の下方に配置され、装置フレームに設けたガイドレール(不図示)に支持され、装置フロント側から着脱可能になっている。
【0055】
また、駆動回転軸107には、駆動モータM7が減速機構(歯車伝動機構)を介して連結されていると共に、オペレータが手動で回転することが可能なように、回転部材を側枠フレーム70fに設けられた穴を通し、側枠フレーム70fのフロント側に配置している。そして、装置フロント側には、フロントカバーが開閉可能に配置され、開蓋状態で回転操作部材106を操作可能になっている。なお、カバーが開蓋状態では、駆動モータM7に駆動電源が供給されない(遮断)ように構成されている。
【0056】
[処理部の構成]
次に、処理部B1のシート搬入機構、シート位置決め機構、綴じ処理機構、シート束搬出機構の各構成について説明する。
【0057】
<シート搬入機構>
図3に示すようにストレートパス排紙口35と処理トレイ37との間には、ストレートパス排紙口35からシートを排紙方向と排紙反対方向にスイッチバック搬送する反転搬送機構と、シートをトレイ側に案内するガイド機構(シートガイド部材)44と、シートを後端規制部に案内する掻き込み回転体46とが配置されている。
【0058】
反転搬送機構は、処理トレイ37上に搬入するシートと係合する作動位置と、離間した待機位置との間で上下動する昇降ローラ41と、シートを排紙反対方向に移送するパドル回転体42とを含んで構成され、昇降ローラ41とパドル回転体42は揺動ブラケット43に取り付けられている。
【0059】
装置フレーム27に、回転軸(例えば排紙ローラ軸)を中心として揺動可能に揺動ブラケット43が配置され、揺動ブラケット43に昇降ローラ41とパドル回転体42の回転軸が軸受支持されている。そして、揺動ブラケット43には不図示の昇降モータが連結され、揺動ブラケット43は、マウントされている昇降ローラ41およびパドル回転体42を、シートと係合させる作動位置と、シートから離間した待機位置との間で上下動させる。
【0060】
また、昇降ローラ41とパドル回転体42には不図示の駆動モータが連結され、昇降ローラ41は正逆転方向に回転するように、パドル回転体42は逆転方向(排紙反対方向)に回転するように、駆動が伝達される。また、処理トレイ37には、昇降ローラ41と互いに圧接する従動ローラ48が配置され、単一のシート若しくは束状シートをニップして下流側に排出する。
【0061】
昇降ローラ41と後述する掻き込み回転体46との間には、処理トレイ37上に搬入されたシートの後端をシート端規制部38に向けて案内するガイド機構が配置される。ガイド機構は、
図3の点線状態から実線状態に上下動するシートガイド部材44を含んで構成され、シートガイド部材44は、ストレートパス排紙口35からシートが排出されるときには点線位置に退避し、シート後端がストレートパス排紙口35を通過した後にシート後端を処理トレイ37上に案内する。このため、シートガイド部材44には不図示の駆動機構が連結され、ストレートパス排紙口35から処理トレイ37上にシート後端を案内するタイミングに応じて上下動する。
【0062】
<シート位置決め機構>
処理トレイ37には、所定の綴位置にシートを位置決めする位置決め機構38、39が配置され、図示のものはシート後端を突き当て規制するシート端規制部38と、シート側縁を基準(センタ基準、片側サイド基準)位置に位置決めする側縁整合部39を含んで構成されている。
【0063】
シート端規制部38は、
図3に示すようにシート後端を突き当て規制するストッパ部材で構成されている。また、側縁整合部材39は
図9で後述するが、ストレートパス28からシートがセンタ基準で排紙され、綴じモードの種類に応じて、同一のセンタ基準での位置決めか、片側サイド基準での位置決めが実行される。
【0064】
<側縁整合機構>
図9に示すように、側縁整合板39F、39Rは、処理トレイ37の紙載面37aから上方に突出し、シートの側縁と係合する規制面39xを有し、左右一対で互いに対向するように配置される。そして、この一対の側縁整合部39は、所定ストロークで往復動可能に処理トレイ37に配置される。このストロークは、最大サイズシートと最小サイズシートのサイズ差および整合した後のシート束を左右いずれかの方向に位置移動(オフセット搬送)するオフセット量によって設定される。
【0065】
つまり、左右の側縁整合板39F、39Rの移動ストロークは、異なるサイズシートを整合するための移動量と、整合後のシート束のオフセット量とで設定される。なお、側縁整合板39F、39Rは、コーナ綴じのときにはセンタ基準で搬出されたシートを右コーナ綴じのときには右側に、左コーナ綴じのときには左側に所定量移動される(オフセット移動)。このオフセット移動は、処理トレイ37にシートが搬入された都度(搬入シート毎に)一枚ずつ実行する場合と、シートを束状に整合した後に綴じ処理を行うために束毎移動する場合とのいずれかがある。
【0066】
このため、側縁整合部39は、
図9に示すように、右側縁整合部材39F(装置フロント側)と左側縁整合部材39R(装置リア側)を含んで構成され、両側縁整合部材には、シート側端と係合する規制面39xが互いに接近方向又は離間方向に移動するように処理トレイ37上に支持されている。処理トレイ37には、表裏を貫通するスリット溝(不図示)が設けられ、このスリット溝に対して、シート側縁と係合する規制面39xを有する側縁整合部39が摺動可能に嵌合されている。
【0067】
各側縁整合板39F、39Rは、トレイ背面側で複数のガイドコロ80(レール部材であっても良い)で摺動可能に支持され、ラック81が一体形成されている。左右のラック81にはピニオン82を介して整合モータM1、M2が連結されている。左右の整合モータM1、M2はステッピングモータで構成され、図示しないポジションセンサで左右の側縁整合板39F、39Rの位置を検出し、その検出値を基準に各整合部材を左右いずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。なお、図示のラック-ピニオン機構に限られず、各側縁整合板39F、39Rをタイミングベルトに固定し、タイミングベルトを左右往復動させるモータにプーリで連結するように構成しても良い。
【0068】
上記のような構成で、後述する綴じ処理制御部95は、画像形成装置Aから提供されるシートサイズ情報に基づいて左右の側縁整合部材39F、39Rを所定の待機位置(シートの幅サイズ+α位置)に待機させる。そして「マルチ綴じ」のときには、処理トレイ37上にシートを搬入し、シート端がシート端規制部38に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は、左右の整合モータM1、M2を同一量ずつ反対方向(接近方向)に回転することで行われる。すると、処理トレイ37に搬入されたシートは、シートセンタを基準に位置決めされ、束状に積み重ねられる。このシートの搬入動作と整合動作との繰り返しでシートは、処理トレイ37上に束状に部揃え集積される。このとき異なるサイズのシートは、センタ基準で位置決めされる。また「コーナ綴じ」のときには、処理トレイ37上にシートを搬入し、シート端がシート端規制部38に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は、綴位置側の整合板と、綴位置の反対側の整合板の移動量を異ならせることで行われる。そして、あらかじめ設定された綴位置にシートコーナが位置するように移動量が設定される。
【0069】
<綴じ処理機構>
処理トレイ37には、紙載面37a上に集積したシート束を綴じ処理する綴じ処理機構47が配置されている。処理トレイ37上の紙載面37aは、位置決め機構(シート端規制部38と側縁整合部39)により、所定の綴位置で位置決めされる。綴じ処理機構47は、シート束をステープル針で針綴じする綴じユニット47(「ステープルユニット」以下同様)として構成されている。
【0070】
処理トレイ37には、ストレートパス排紙口35から搬入されたシート後端部を綴じ処理する綴じ処理機構47が配置され、綴じ処理機構47は、
図8に示すように処理トレイ37の紙載面37aの後端部に沿って位置移動可能なステープルユニット47で構成されている。
【0071】
図8、
図9は、処理トレイ37上に配置されたステープルユニット47を示す。
図9では、図面上左側に位置するシートコーナに綴位置Cp1が設定されている。ステープルユニット47は、装置フレーム27bに形成された第1走行レール53と第2走行レール54に沿って所定ストロークSL1で移動する。
【0072】
図9には、処理トレイ37に搬入されたシートと、綴じユニット47の移動ストロークSL1が示されている。処理トレイ37には異なるサイズのシートが最大サイズシートから最小サイズシートまでがセンタ基準で搬入される。このシートを左右一対の側縁整合板39F、39Rがシートの綴じ側縁(図示のものは左側縁)を基準に、異なるサイズのシートが一致するように整合する。このため、左右の側縁整合板39F、39Rはそれぞれ異なる駆動モータM1、M2に連結され、後述する綴じ処理制御部95は、シートサイズに応じて左右の側縁整合板39F、39Rの移動量を設定する。
【0073】
なお、後述する綴じ処理制御部95は、シートコーナを綴じ処理する以外の綴じ処理、例えば後述するマルチ綴じモードのときにはセンタ基準でシートを整合する。この場合には左右の側縁整合板39F、39Rは、待機位置から同一量ずつシートセンタ寄りに位置移動することによってシートを綴位置に位置決めする。
【0074】
図9で説明すると、綴じユニット47は、待機位置Wp1(第1待機位置)と綴位置Cp1の間のストロークSL1を移動する。つまり、綴じユニット47は走行レール53、54(ガイド溝、ガイドロッドなど)に沿って待機位置Wp1と綴位置Cp1との間で往復移動する。第1待機位置Wp1は、処理トレイ37上で綴じ処理する最大サイズシートの外側に設定される。
【0075】
図10には、綴じユニット47の構成を示す。装置フレーム27bには、ステープルユニット47の移動領域(
図9の左右方向)に沿って左右一対のプーリ58a、58bが配置され、両プーリ間にタイミングベルト59(歯付ベルト)が架け渡されており、一方のプーリ58aに駆動モータM3(ステッピングモータ)が連結されている。
【0076】
<ステープルの移動機構>
図8に示すように、装置フレーム70の側枠フレーム70fに設けられた開口部を貫通させて側枠フレーム70f、70rに固定されている装置フレーム(シャーシフレーム)27bに、ステープルユニット47が所定ストロークで移動可能にマウントされている。装置フレーム27bには、第1走行レール53と第2走行レール54が配置されている。第1走行レール53には走行レール面53xが、第2走行レール54には走行カム面54xが形成されている。走行レール面53xと走行カム面54xは互いに協同して、ステープルユニット47(以下この項では「移動ユニット」という)を所定ストロークで往復移動可能に支持し、同時にその角度姿勢を制御している。
【0077】
第1走行レール53と第2走行レール54は、移動ユニットの移動範囲で往復動するようにレール面53xと走行カム面54xが形成されている。
図10に示すように、ステープルユニット47には、駆動モータ(走行モータ)M3に連結されたタイミングベルト59が固定されている。タイミングベルト59は装置フレーム27bに軸支した一対のプーリ58a、58bに巻回され、プーリの一方に駆動モータM3が連結されている。従って、駆動モータM3の正逆転により、ステープルユニット47はストロークSL1で往復動する。
【0078】
ステープルユニット47は、第1、第2走行レール53、54に次のように係合している。
図8に示すように、ステープルユニット47には、走行レール面53xと係合する第1転動コロ83(レール嵌合部材)と、走行カム面54xと係合する第2転動コロ84(カムフォロア部材)が設けられている。また、ステープルユニット47にはフレーム27bのサポート(支持)面と係合するボール形状の滑動コロ47x(図示のものは2箇所)が形成されている。また、ステープルユニット47には底枠部フレームの底面と係合するガイドコロ47yが形成されており、装置フレーム27bからステープルユニット47が浮上するのを防止している。
【0079】
以上の構成により、ステープルユニット47は、装置フレーム27bに滑動コロ47xとガイドコロ47yで移動可能に支持されている。また、第1転動コロ83は走行レール面53xに沿って、第2転動コロ84は走行カム面54xに沿って回転しながらレール面53xとカム面54xに倣って走行移動する。
【0080】
<スタックトレイ昇降機構>
図11に示すように、シート後処理装置Bには、第1トレイ49が備えられている。第1トレイ49は、シートの積載量に応じて上下昇降するように構成されている。このため第1トレイ49の基端部には、上下2個所にガイドコロ85が設けてあり、ガイドコロ85が装置フレーム27に設けられた昇降ガイド86に嵌合支持されている。そして、第1トレイ49の基端部には昇降ギア88が設けられており、昇降ラックギア87に連結されている。また、昇降ギア88には昇降モータM4が連結されている。従って、昇降モータM4を回転制御することによって、第1トレイ49はシートの積載量に応じて上下昇降する。
【0081】
<シート束搬出機構>
処理トレイ37には、綴じ処理されたシート束を下流側の第1トレイ49に向けて搬出するシート束搬出機構が配置されている。シート束を下流側に搬送する構成としては、互いに圧接するローラ対で搬送する方法(搬出ローラ機構)と、トレイ面に沿って上流側から下流側に移動する押出部材でシート後端を押し出すコンベア機構が知られている。図示の装置はその両方を採用している。
【0082】
図12にシート束搬出機構を示す。処理トレイ37に沿って上流側に位置する綴位置(処理位置)から下流側のスタックトレイ(第1トレイ)49に移送する押出突起45と、押出突起を移動するコンベアベルト45vと、駆動モータM6とを含んでコンベア機構が構成されている。処理トレイ37には、その搬出口(紙載面37aと第1トレイ49の境界)に従動ローラ48が配置され、従動ローラ48に圧接する昇降ローラ41が対向配置され、従動ローラ48と昇降ローラ41とで搬出ローラ機構を構成している。
【0083】
従って、処理トレイ37には、シート束を上流側から下流側に押し出すように移送するコンベア機構45、45vと、シート束をニップして搬出する搬出ローラ機構48、41が配置されている。
図12(a)は、シート束が処理トレイ37上の綴位置に位置する状態を示す。このとき、コンベア機構45、45vと搬出ローラ機構48、41は、作動状態に置かれている。同図(b)は、シート束を処理位置から下流側に移送する途中の状態を示し、シート束は、押出突起45の位置移動と、搬出ローラ機構48、41の回転で下流側に送られる。同図(c)は、シート束を下流側の第1トレイ49に搬出する直前の状態を示し、処理トレイ上でシート束は、搬出ローラ機構48、41の回転で下流側に徐々に(低速で)送られる。このとき、押出突起45は、図示位置に待機し、初期位置に復帰(後退移動)する。
【0084】
<ステープルユニットの構成>
上記のステープルユニットについて、その構成を
図13に従って説明する。ステープルユニット47はシート後処理装置Bとは別にユニット構成されている。ボックス形状のユニットフレーム47aと、ユニットフレーム47aに揺動可能に軸支持されたドライブカム47dと、ドライブカム47dを回動する駆動モータM4とがユニットフレーム47aにマウントされている。
【0085】
そして、ドライブカム47dには、ステープルヘッド47bとアンビル部材47cが綴位置に対向配置され、ステープルヘッド47bは、ドライブカム47dに付勢スプリング(不図示)で上方の待機位置から下方のステープル位置(アンビル部材)に付勢されて上下動する。そして、ユニットフレーム47aには針カートリッジ52が着脱可能に装着されている。
【0086】
針カートリッジ52には直線状のブランク針が収納され、針送り機構でステープルヘッド47bに針を供給する。ステープルヘッド部47bには、内部に直線針をコ字状に折り曲げるフォーマ部材と、折り曲げられた針をシート束に圧入するドライバーが内蔵されている。このような構成により、駆動モータM4でドライブカム47dを回転し、付勢スプリングに蓄勢する。そして、回転角度が所定角度に達するとステープルヘッド部47bは勢いよくアンビル部材47c側に下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にドライバーでシート束に刺入する。そして、その先端はアンビル部材47cで折り曲げられてステープル綴じされる。
【0087】
また、針カートリッジ52とステープルヘッド47bとの間には針送り機構が内蔵され、針送り機構には、針なしを検出するセンサ(エンプティセンサ)が配置されている。また、ユニットフレーム47aには、針カートリッジ52が挿入されているか否かを検出するカートリッジセンサ(不図示)が配置されている。
【0088】
針カートリッジ52は、ボックス形状のカートリッジに帯状に連結されたステープル針を積層状に積み重ねて収納する構造と、ロール状に収納する構造が採用されている。また、ユニットフレーム47aには、上記の各センサを制御する回路と駆動モータM4を制御する回路基盤とが設けられ、針カートリッジ52が収納されていないとき、ステープル針がエンプティのときには、警告信号を発するように構成されている。また、ステープル制御回路は、ステープル針信号でステープル動作を実行するように駆動モータM4を制御し、ステープルヘッド部47bが待機位置からステープル位置に移動して、再び待機位置に復帰したときに「動作終了信号」を発信するように構成されている。
【0089】
<制御構成の説明>
図14に従って
図1の画像形成システムにおける制御構成について説明する。
図14に示す画像形成システムは、画像形成装置Aの制御部90(以下「本体制御部」という)とシート後処理装置Bの制御部95(以下「綴じ処理制御部」という)とを備えている。本体制御部90は、印刷制御部91と給紙制御部92と入力部93(コントロールパネル)とを制御する。
【0090】
そして、入力部93(コントロールパネル)を介して受け付けたユーザ操作に基づいて「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードでは例えば、カラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件が設定される。また「後処理モード」では例えば、「プリントアウトモード」「製本処理排紙モード」「ステープル綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」が設定される。
【0091】
また、本体制御部90は、綴じ処理制御部95に、後処理モードであることと、シート枚数、部数情報及び画像形成するシートの紙厚さ情報などをデータ転送する。同時に、本体制御部90は、画像形成を終了する都度、ジョブ終了信号を綴じ処理制御部95に転送する。
【0092】
上記の後処理モードについて説明すると、「プリントアウトモード」は、ストレートパス排紙口35からのシートを、綴じ処理することなく処理トレイ37を介してスタックトレイ49に収容するモードである。この場合には、シートを処理トレイ37に重ね合わせて集積し、本体制御部90からのジョブ終了信号で集積後のシート束をスタックトレイ49に搬出する。
【0093】
「製品処理排紙モード」は、画像形成されたシートを部揃えして綴じ処理した後に折り処理して製本仕上げするモードである。詳細は、
図15で後述する。
【0094】
「ステープル綴じ処理モード」は、ストレートパス排紙口35からのシートを処理トレイ37上に集積して部揃えし、このシート束を綴じ処理した後にスタックトレイ49に収容するモードである。この場合には、画像形成されるシートは原則として同一紙厚さで同一サイズのシートとなるようオペレータにより指定される。このステープル綴じ処理モードでは、「マルチ綴じ」「右コーナ綴じ」「左コーナ綴じ」のいずれかが選択されて指定される。
【0095】
「ジョグ仕分けモード」では、画像形成装置Aで画像形成されたシートをオフセット移動させて集積するグループと、オフセット移動させることなく集積するグループとに区分けられる。スタックトレイには、交互にオフセット移動されたシート束とオフセット移動されないシート束が積み上げられる。
【0096】
<綴じ処理制御部>
綴じ処理制御部95は、画像形成制御部90で設定された後処理モードに応じてシート後処理装置Bを動作させる。綴じ処理制御部95は制御CPUを含んで構成されている。綴じ処理制御部95には、ROM96とRAM97が接続され、ROM96に記憶された制御プログラムとRAM97に記憶された制御データとで本実施形態におけるシート後処理装置Bの動作が実行される。このため、綴じ処理制御部95は、前述したすべての駆動モータの駆動回路を制御し、各モータを起動、停止および正逆転制御する。
【0097】
処理部B1において後処理が行われている間にも画像形成装置Aで画像形成が継続して行われる。そこで、本実施形態では、画像形成装置Aから搬送されたシートをシート処理装置B内に溜めるバッファ動作が行われる。それにより、画像形成装置Aからシートが供給される頻度を低下させずに、即ち、画像形成装置Aの生産性を低下させることなく、後処理を継続して行うことができる。
【0098】
図15~
図30を参照しながら、シート後処理装置B内でのシートバッファ動作の概要を説明する。
図15~
図29は、シート後処理装置Bの側面方向から見た断面図を示している。
図30は、処理部バッファパスフラッパー200周辺の構成を示す図である。以下、綴じユニット47のトレイ37上に、先行するシート束が存在する場合の後続シートのバッファ動作について説明する。例えば、綴じ処理制御部95は、綴じユニット47に設けられたセンサ情報を取得し、先行のシート束有りを検知した場合、以下の処理を行うようにする。
【0099】
図15(a)において、シート束SS1は先行するシート束を表しており、綴じユニット47により綴じ処理が行われる状態である。なお、本例では、綴じユニット47により綴じ処理が行われるシート束の枚数は3枚とする。なお、シート束の枚数は3枚に限られるものではなく、3枚より少なくても良いし、多くても良い。
図15(a)では、上搬送パスフラッパー34は上に開いた状態であり、それにより、ストレートパス28を搬送されるシートは、昇降ローラ41及び従動ローラ48の方向に搬送される。また、このとき、シートサポート401は後述する待機位置にあり、処理部バッファパスフラッパー200は下方向に回動動作が可能である。また、綴じユニット47による綴じ処理中は束のずれ抑制のために昇降ローラ41及び従動ローラ48をニップさせている。
【0100】
ここで、シートサポート401の取り得る位置について説明する。
図30(a)~
図30(c)は、処理部バッファパスフラッパー200とシートサポート401周辺の拡大図である。第2搬送ローラ202と第3搬送ローラ203の間に設けられている処理部バッファパスフラッパー200は、図面下方向に回動可能に構成されている。
【0101】
図30(a)は、処理部バッファパスフラッパー200が上に開いた状態であり、且つ、シートサポート401が第2搬送ローラ202の下側に位置している状態を示している。本実施形態では、このときのシートサポート401の位置を待機位置と呼ぶ。また、
図30(a)の状態であれば、処理部バッファパスフラッパー200は下方向に回動可能である。
【0102】
図30(b)は、処理部バッファパスフラッパー200が上に開いた状態であり、且つ、シートサポート401が処理部バッファパスフラッパー200側に移動した状態を示している。本実施形態では、このときのシートサポート401の位置をサポート位置と呼ぶ。シートサポート401がサポート位置にあることによって、第2搬送ローラ202側から搬送されてきたシートを下側からサポートすることができる。そのような構成により、シートの先端が垂れ下がって、ジャム等の原因となってしまうことを防ぐことができる。
【0103】
図30(c)は、シートサポート401が待機位置にあり、且つ、処理部バッファパスフラッパー200が下方向に回動した状態を示している。処理部バッファパスフラッパー200が下方向に回動した状態にあることによって、第3搬送ローラ203側から搬送されてきたシートを処理部バッファパスP1にガイドすることができる。
【0104】
例えば、シート後処理装置B内では、第2搬送ローラ202側から搬送されてきたシートが第3搬送ローラ203を通過していき、シートの後端が第2搬送ローラ202を通過したタイミングで、処理部バッファパスフラッパー200が下方向に回動し、シートの搬送方向を逆転させて処理部バッファパスP1にガイドして搬送させる(逆転搬送)という動作が行われる。そのような動作を迅速に行うために、処理部バッファパスフラッパー200の腕長が長く構成される。その一方、処理部バッファパスフラッパー200の回動空間が大きくなることで、第2搬送ローラ202と第3搬送ローラ203との間隔が大きくなる。その結果、第2搬送ローラ202側から搬送されてきたシートの先端が垂れ下がることでジャム等を発生させてしまう可能性が大きくなってしまう。本実施形態では、第2搬送ローラ202と第3搬送ローラ203とで構成されるストレートパス28上をシートを搬送させる場合、
図30(b)に示すようにシートサポート401をサポート位置に移動させる。それにより、上記のような事態を防ぐことができる。
【0105】
図15(b)において、上搬送パスフラッパー34は、上に開いた状態から下に開いた状態となる。それにより、ストレートパス28を搬送されるシートは、上搬送パス30に搬送される。また、シートサポート401がサポート位置に移動する。それにより、ストレートパス28を搬送されるシートは、シートサポート401により下方から支持される。
【0106】
上搬送パス30は、バッファ時に昇降ローラ41及び従動ローラ48側にバッファする後続シートを飛び出させないことを目的としている。後続シートが搬送されてくるタイミングは様々なケースがあるが、綴じユニット47のトレイ37上にシートがある場合、昇降ローラ41及び従動ローラ48はニップして停止しているタイミングか、もしくはニップして低速で束排出を行っているタイミングとなる。このようなタイミングでは、束排出速度よりも高速で搬送される後続する、所定長さよりも長いシートは、綴じユニット47の昇降ローラ41及び従動ローラ48のニップ位置でせき止められてしまい、バッファ可能な位置まで搬送することができなくなる。このような理由から、後続する、所定長さよりも長いシートを上搬送パス30に一旦送り込み、昇降ローラ41及び従動ローラ48側に当該後続する、所定長さよりも長いシートを出すことなくバッファ動作を行っている。
【0107】
図16(a)は、シートS1が画像形成装置Aから送られてきた状態を示している。シートS1は、後段の綴じユニット47において処理されるシート束のうちの一枚目に相当する。
図16(a)では、シートS1は、第2搬送ローラ202まで搬送されてきた状態を示している。上述のように、シートサポート401がサポート位置に移動しているため、シートS1の先端が下方に垂れてジャム等になってしまうことを防ぐことができる。
【0108】
図16(b)は、シートS1が上搬送ローラ303aまで搬送されてきた状態を示している。このように、綴じユニット47において先行するシート束SS1の綴じ処理中から束排出直前までのタイミングであるときは、画像形成装置Aから後続して送られてきたシートは、上搬送パス30に退避させることができる。
【0109】
図17(a)は、シートS1が上搬送ローラ303bまで搬送されてきた状態を示している。このとき、先行するシート束SS1に対する綴じユニット47の処理は完了し、先行するシート束SS1の第1トレイ49への排出が開始されている。
【0110】
図17(b)は、シートS1の搬送方向が逆転し、シートS1がパンチユニット100の位置まで搬送された状態を示している。そして、パンチユニット100は、シートS1に対してパンチ穴を穿孔する。このとき、先行するシート束SS1は、第1トレイ49に排出されている。
【0111】
図18(a)は、パンチユニット100によるパンチ穴の穿孔処理の後、シートS1の搬送方向が逆転し、シートS1が再度、上搬送パス30まで搬送された状態を示している。シートS1は、後端が第2搬送ローラ202を通過した位置まで搬送される。そして、シートサポート401は、サポート位置から待機位置まで移動する。これにより、処理部バッファパスフラッパー200は下方向に回動可能となる。
【0112】
図18(b)は、シートS1の搬送方向が逆転し、処理部バッファパスフラッパー200の回動によりシートS1の搬送方向が変化した様子を示している。これにより、シートS1は処理部バッファパスP1に逆転搬送される。
【0113】
図19(a)は、シートS1が処理部バッファローラ301aを通過し、処理部バッファパスP1を搬送されている状態を示している。
【0114】
図19(b)は、処理部バッファローラ301aが停止し、シートS1が処理部バッファパスP1に退避した状態を示している。また、シートS2が画像形成装置Aから送られてきた状態を示している。シートS2は、後段の綴じユニット47においてシートS1とともに処理されるシート束のうちの二枚目に相当する。図示上、シート間を区別するために、シートS2は点線で示している。
【0115】
図20(a)は、シートサポート401がサポート位置に移動した状態を示している。これにより、シートS2の先端が下方に垂れてジャム等になったり、処理部バッファパスP1に退避しているシートS1との予期せぬ接触を防ぐことができる。
【0116】
図20(b)は、シートS1とシートS2とが同期して搬送される状態を示している。本実施形態では、シートS1の先端がシートS2の先端より所定間隔分遅れるように搬送される。ここでのシート間の搬送動作の同期は例えば、シートが画像形成装置Aからストレートパス入口26に供給された検出タイミングに基づいて、パルスカウントによる搬送制御により行われる。これにより、シート束のそれぞれのシートの先端が順にずれた状態となる。そのため、後段で掻き込み回転体46によりシート束を処理トレイ37の紙載面37aの後端部に掻き込む際、後端部に対して順に接していくことになり、シート束のすべてのシートの先端部が整合された状態で後端部に接するように動作させることができる。
【0117】
図21(a)は、シートS1とシートS2とが重なって同期して上搬送パス30を搬送されていく状態を示している。ここでは、シートS2の後端は、パンチユニット100を通過している。そして、シートS1とシートS2とが上搬送パス30上の所定の位置まで搬送されると、シートS1及びシートS2の搬送方向が逆転する。
【0118】
図21(b)は、シートS1及びシートS2の搬送方向が逆転し、シートS2がパンチユニット100まで搬送された状態を示している。ここで、シートS1は、処理部バッファパスP1まで搬送される。ここでの搬送においても、シートS1とシートS2は同期して搬送される。そして、パンチユニット100は、シートS2に対してパンチ穴を穿孔する。
【0119】
図22(a)は、パンチユニット100によるパンチ穴の穿孔が行われた後、パンチユニット100が退避位置に移動した状態を示している。
【0120】
図22(b)は、シートS1及びシートS2の搬送方向が逆転し、シートS1及びシートS2が重なって同期して上搬送パス30上の所定の位置まで搬送された状態を示している。そして、シートサポート401は、サポート位置から待機位置まで移動する。これにより、処理部バッファパスフラッパー200は下方向に回動可能となる。
【0121】
図23(a)は、シートS1及びシートS2の搬送方向が逆転し、処理部バッファパスフラッパー200の回動によりシートの搬送方向が変化した状態を示している。これにより、シートS1及びシートS2は処理部バッファパスP1にガイドされる。ここでの搬送においても、シートS1とシートS2は同期して搬送される。
【0122】
図23(b)は、処理部バッファローラ301aが停止し、シートS1及びシートS2が処理部バッファパスP1に退避した状態を示している。
【0123】
図24(a)は、シートS3が画像形成装置Aから送られてきた状態を示している。シートS3は、後段の綴じユニット47において処理されるシート束のうちの三枚目(最終シート)に相当する。このとき、シートサポート401が待機位置からサポート位置まで移動する。これにより、シートS3の先端が下方に垂れてジャム等になったり、処理部バッファパスP1に退避しているシートS1及びシートS2との予期せぬ接触を防ぐことができる。また、このとき、上搬送パスフラッパー34は、下に開いた状態から上に開いた状態となる。
【0124】
図24(b)は、処理部バッファローラ301aが回転し、さらに、シートS3と、シートS1及びシートS2とが重なって同期して搬送される状態を示している。本実施形態では、シートS2の先端がシートS3の先端より所定間隔分遅れるように搬送される。ここでのシート間の搬送動作の同期は例えば、シートが画像形成装置Aから供給された検出タイミングに基づいて、パルスカウントによる搬送制御により行われる。
【0125】
図25(a)は、シートS3と、シートS1及びシートS2とが重なって同期して搬送される状態を示している。ここでは、上搬送パスフラッパー34が上に開いた状態となっているため、シートS1と、シートS2及びシートS3は、昇降ローラ41及び従動ローラ48の方向に搬送される。
【0126】
図25(b)は、シートS3と、シートS1及びシートS2の搬送方向が逆転し、シートS3がパンチユニット100まで搬送された状態を示している。ここで、シートS3と、シートS1及びシートS2とは、処理部バッファパスP1まで搬送される。ここでの搬送においても、シートS3と、シートS1及びシートS2とは同期して搬送される。そして、パンチユニット100は、シートS3に対してパンチ穴を穿孔する。
【0127】
図26(a)は、パンチユニット100によるパンチ穴の穿孔が行われた後、パンチユニット100が退避位置に移動した状態を示している。
【0128】
図26(b)は、シートS1~シートS3の搬送方向が逆転し、シートS3と、シートS1及びシートS2とが重なって同期して搬送される状態を示している。
【0129】
図27(a)は、シートS1~シートS3の後端が排紙ローラ36を通過した位置まで搬送された状態を示している。そして、昇降ローラ41及び従動ローラ48が逆転することにより、シートS1~シートS3のシート束が綴じユニット47まで搬送される。
【0130】
図27(b)は、掻き込み回転体46によりシートS1~シートS3のシート束を処理トレイ37の紙載面37aの後端部に掻き込む様子を示している。
【0131】
図28(a)は、綴じユニット47がシートS1~シートS3のシート束に対して綴じ処理を行う様子を示している。
図28(b)は、綴じユニット47による綴じ処理の後、昇降ローラ41及び従動ローラ48によりシートS1~シートS3のシート束SS2が第1トレイ49に排出される様子を示している。
図29は、シートS1~シートS3のシート束SS2が第1トレイ49に排出された様子を示している。
【0132】
本実施例のバッファ動作は、綴じユニット47の処理トレイ37上に先行するシート束がある場合で、後続のシートが所定の長さよりも長い、所定サイズシートである場合に有効となる。この所定サイズシートとは、具体的には例えば、A3サイズのように搬送方向長が長く、高生産性が求められるようなシート種を指す。画像形成装置本体の生産性も遅くせざるを得ないような特殊な長尺紙等はバッファする必要が生じ得無い。なお、シートサイズの情報は画像形成装置本体から送信される印刷設定情報に含まれるシート情報を用いている。
【0133】
後続シートが、所定サイズシートに該当するか否かは、シートの後端がバッファパスP1の分岐に位置するときに、後続シートの先端が、処理トレイ37上にどの程度飛び出すかによって決定される。綴じユニット47の綴じ処理中は昇降ローラ41と従動ローラ48がニップされて停止しているため、排紙ローラ36から飛び出てくる後続シートが、昇降ローラ41と従動ローラ48のニップ点に達する場合、せき止められてしまい、バッファすることができない。他方で、排紙ローラ36から飛び出てくる後続シートが、昇降ローラ41と従動ローラ48のニップ点に達しない場合は、上搬送パス30にシートを送らずに、ストレートパス28にとどめた状態からスイッチバック搬送してバッファパスP1に入れてもよい。この場合は第3搬送ローラ203のみでも搬送できるので、駆動させるローラの数を削減できる。
【0134】
また、本実施例では、上述の所定サイズシート、つまり搬送方向長が長いシートの束が連続して綴じ処理される場合について説明したが、異なるジョブの連結時にも有効である。例えば、綴じユニット47の処理トレイ37上にあるシート束がA4サイズのシート束を綴じる先行ジョブで、後続のジョブがA3サイズのシートを少なくとも一枚、第1トレイ49に排出するような場合に用いれば、後続ジョブのA3シートの画像形成を遅らせることなく送りだすことができる。
【0135】
以上のように、本実施形態によれば、画像形成装置Aから連続的に供給されるシートに対して後処理が実行される構成において生産性をより向上させることができる。なお、上記では、先行するシート束SS1が存在する場合の動作について説明した。先行するシート束SS1が存在しない場合には、画像形成装置Aから供給されたシートに対して、上記のようなバッファ動作は行われない。その場合、例えば、画像形成装置Aから供給されたシートは、上述の上搬送パス30へのバッファ動作が行われることなく、ストレートパス28から処理部バッファパスP1への逆転搬送が行われ、その後、画像形成装置Aからストレートパス入口26に新たに供給されたシートとともに同期して昇降ローラ41及び従動ローラ48まで搬送される。そして、昇降ローラ41及び従動ローラ48が逆転することにより、シート束が綴じユニット47まで搬送される。
【0136】
また、上搬送パス30は、第3スタックトレイ71にシートを排出するためのパスと兼用している。第3スタックトレイ71は、第1スタックトレイ49との混載をさける別ジョブのシートを積載する。また、図示しない画像エラー認識ユニットでエラーシートと判定されたシートや、装置ジャム発生時に機内に残留したシートを排出するために用いることもできる。
【0137】
綴じユニット47の綴じ処理は本実施例では針を用いて綴じる綴じ処理を例に説明したが、シートを圧着して綴じる圧着綴じや、複数個所に綴じ処理を施す場合等種々のものが採用可能であり、時間のかかる後処理を行う場合であっても画像形成装置の動作を止めずに稼働させることができる。また、上搬送パス30に後続シートを送り込むことで、昇降ローラ41及び従動ローラ48のニップ点を避けるほかにも、処理トレイ37上のシートとの接触を避け、積載済みシートの整列性を乱さず、処理トレイ37内の他の機構との接触を避けることも可能になる。
【0138】
本実施形態の開示は、以下のシート綴じ処理装置、およびシート綴じ処理装置を備える画像形成システムを含む。
(項目1)
搬入口から排出口にかけてシートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に設けられ、シートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送されたシートを上方から受け入れる処理トレイと、
前記処理トレイ上のシート束を綴じる綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が行われたシート束を排出する排出ローラ対と、
前記搬送経路から下方に向けて分岐し、前記処理トレイに先行するシート束がある場合、後続するシート束を構成するシートをバッファするバッファ経路と、
前記バッファ経路に設けられ、シートを搬送するバッファ搬送部と、
前記搬送経路から上方に向けて分岐する上方分岐経路と、
前記上方分岐経路に設けられ、シートを搬送する上方分岐搬送部と、
搬送方向に所定長さよりも長い所定シートの束を連続して前記綴じ処理部で綴じ処理を行う場合、後続するシート束を構成するシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするシート綴じ処理装置。
(項目2)
前記制御手段は、後続するシートが搬送方向に所定長さよりも短い所定シートである場合、前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込まずに、前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう制御することを特徴とする項目1に記載のシート綴じ処理装置。
(項目3)
前記排出ローラ対で排出されるシートをのせる第1スタックトレイと、
前記第1スタックトレイの上方に設けられた第2スタックトレイと、をさらに備え、
前記搬送経路を搬送されたシートを前記上方分岐経路に搬送し、前記第2スタックトレイへ排出可能であることを特徴とする項目1又は2に記載のシート綴じ処理装置。
(項目4)
シートに画像形成を行う画像形成装置と、
項目1乃至3のいずれか1項に記載のシート綴じ処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
(項目5)
搬入口から排出口にかけてシートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に設けられ、シートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送されたシートを上方から受け入れる処理トレイと、
前記処理トレイ上のシート束を綴じる綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が行われたシート束を排出する排出ローラ対と、
前記搬送経路から下方に向けて分岐し、前記処理トレイに先行ジョブのシート束がある場合、後続ジョブのシートをバッファするバッファ経路と、
前記バッファ経路に設けられ、シートを搬送するバッファ搬送部と、
前記搬送経路から上方に向けて分岐する上方分岐経路と、
前記上方分岐経路に設けられ、シートを搬送する上方分岐搬送部と、
前記処理トレイに先行ジョブのシート束があり、後続ジョブのシートが搬送方向に所定長さよりも長い所定のシートである場合、後続ジョブのシートを前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込んだ後、当該シートを前記上方分岐経路から前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう、前記搬送部と前記バッファ搬送部と前記上方分岐搬送部とを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするシート綴じ処理装置。
(項目6)
前記制御手段は、後続するシートが搬送方向に所定長さよりも短い所定シートである場合、前記搬送経路から前記上方分岐経路に送り込まずに、前記バッファ経路へとスイッチバック方向に搬送してバッファするよう制御することを特徴とする項目5に記載のシート綴じ処理装置。
(項目7)
前記排出ローラ対で排出されるシートをのせる第1スタックトレイと、
前記第1スタックトレイの上方に設けられた第2スタックトレイと、をさらに備え、
前記搬送経路を搬送されたシートを前記上方分岐経路に搬送し、前記第2スタックトレイへ排出可能であることを特徴とする項目5又は6に記載のシート綴じ処理装置。
(項目8)
シートに画像形成を行う画像形成装置と、
項目5乃至7のいずれか1項に記載のシート綴じ処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。