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  • 特開-制御装置および無人運転方法 図1A
  • 特開-制御装置および無人運転方法 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009673
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】制御装置および無人運転方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/085 20120101AFI20250109BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20250109BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20250109BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250109BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250109BHJP
【FI】
B60W30/085
B60W60/00
B60W30/09
G08G1/09 V
G05D1/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182654
(22)【出願日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2023107093
(32)【優先日】2023-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D241BA33
3D241BB31
3D241CA06
3D241CA08
3D241CA12
3D241CA19
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD12
3D241CD29
3D241CE02
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB46B
3D241DB46Z
3D241DC44Z
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF07
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301LL03
5H301LL04
5H301LL12
5H301LL16
(57)【要約】
【課題】複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合に、適切な順序で複数の移動体が交差点を通過可能にする。
【解決手段】制御装置は、無人運転により移動可能な複数の移動体の、障害物との衝突を回避する回避性能と障害物との衝突時の衝撃を軽減する軽減性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する情報取得部と、複数の移動体の少なくとも1つの移動体の無人運転を制御する制御部であって、複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、性能情報を用いて少なくとも一方の性能が高い順で決定した優先順位で複数の移動体が交差点を通過するように、少なくとも1つの移動体を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
無人運転により移動可能な複数の移動体の、障害物との衝突を回避する回避性能と前記障害物との衝突時の衝撃を軽減する軽減性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する情報取得部と、
前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体の無人運転を制御する制御部であって、前記複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、前記性能情報を用いて前記少なくとも一方の性能が高い順で決定した優先順位で前記複数の移動体が前記交差点を通過するように、前記少なくとも1つの移動体を制御する制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記回避性能が高いほど前記優先順位を高くし、前記回避性能が同じである場合には、前記軽減性能が高いほど前記優先順位を高くする、制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記性能情報には、前記障害物との衝突を自動で回避する機能である自動回避機能を前記移動体が備えているか否かを示す情報が含まれており、
前記制御部は、前記自動回避機能を備えている前記移動体の優先順位を、前記自動回避機能を備えていない前記移動体の優先順位よりも高くする、制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記複数の移動体は、前記複数の移動体を製造する工場において無人運転により移動し、
前記性能情報には、前記工場における前記移動体の再検査回数を示す情報が含まれており、
前記制御部は、前記再検査回数が少ないほど、前記優先順位を高くする、制御装置。
【請求項5】
無人運転方法であって、
無人運転により移動可能な複数の移動体の、障害物との衝突を回避する回避性能と前記障害物との衝突時の衝撃を軽減する軽減性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する情報取得工程と、
前記複数の移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、前記複数の移動体に、前記性能情報を用いて前記少なくとも一方の性能が高い順で決定した優先順位で前記交差点を通過させる無人運転工程と、
を備える、無人運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置および無人運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の製造工程において、無人運転により車両を走行させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-538619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献では、複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合に、どの移動体から順に交差点を通過させるかについて考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、制御装置が提供される。この制御装置は、無人運転により移動可能な複数の移動体の、障害物との衝突を回避する回避性能と前記障害物との衝突時の衝撃を軽減する軽減性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する情報取得部と、前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体の無人運転を制御する制御部であって、前記複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、前記性能情報を用いて前記少なくとも一方の性能が高い順で決定した優先順位で前記複数の移動体が前記交差点を通過するように、前記少なくとも1つの移動体を制御する制御部と、を備える。
この形態の制御装置によれば、先行する移動体が交差点で障害物に衝突して後続の移動体の進路が塞がれる可能性を低くすることができ、仮に、先行する移動体が交差点で障害物に衝突したとしても衝突による衝撃を小さくすることができるため、先行する移動体が障害物に衝突することにより後続の移動体の進路が塞がれたとしても、早期に復旧することができる。
(2)上記形態の制御装置において、前記制御部は、前記回避性能が高いほど前記優先順位を高くし、前記回避性能が同じである場合には、前記軽減性能が高いほど前記優先順位を高くしてもよい。
この形態の制御装置によれば、回避性能が高い移動体と回避性能が低い移動体とでは、回避性能が高い移動体を先行させるため、先行する移動体が障害物に衝突する可能性を低くすることができる。
(3)上記形態の制御装置において、前記性能情報には、前記障害物との衝突を自動で回避する機能である自動回避機能を前記移動体が備えているか否かを示す情報が含まれており、前記制御部は、前記自動回避機能を備えている前記移動体の優先順位を、前記自動回避機能を備えていない前記移動体の優先順位よりも高くしてもよい。
この形態の制御装置によれば、自動回避機能を備えている移動体と自動回避機能を備えていない移動体とでは、自動回避機能を備えている移動体を先行させるため、先行する移動体が障害物に衝突する可能性を低くすることができる。
(4)上記形態の制御装置において、前記複数の移動体は、前記複数の移動体を製造する工場において無人運転により移動し、前記性能情報には、前記工場における前記移動体の再検査回数を示す情報が含まれており、前記制御部は、前記再検査回数が少ないほど、前記優先順位を高くしてもよい。
この形態の制御装置によれば、再検査回数が少ないほど移動体に不具合が生じている可能性が低いため、先行する移動体が障害物に衝突する可能性を低くすることができる。
(5)本開示の第2の形態によれば、無人運転方法が提供される。この無人運転方法は、無人運転により移動可能な複数の移動体の、障害物との衝突を回避する回避性能と前記障害物との衝突時の衝撃を軽減する軽減性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する情報取得工程と、前記複数の移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記複数の移動体が同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、前記複数の移動体に、前記性能情報を用いて前記少なくとも一方の性能が高い順で決定した優先順位で前記交差点を通過させる無人運転工程と、を備える。
この形態の無人運転方法によれば、先行する移動体が交差点で障害物に衝突して後続の移動体の進路が塞がれる可能性を低くすることができ、仮に、先行する移動体が交差点で障害物に衝突したとしても衝突による衝撃を小さくすることができるため、先行する移動体が障害物に衝突することにより後続の移動体の進路が塞がれたとしても、早期に復旧することができる。
本開示は、制御装置および無人運転方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無人運転システム、遠隔制御システム、移動体の製造方法、車両の製造方法、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記録された記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】無人運転システムの構成を示す説明図。
図1B】第1実施形態の車両制御装置の構成を示す説明図。
図2A】工場において車両が遠隔制御により移動する様子を示す説明図。
図2B】第1実施形態の車両の走行制御の手順を示すフローチャート。
図3】優先順位決定処理の内容を示すフローチャート。
図4】複数の車両が交差点を通過する様子を示す説明図。
図5】第2実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
図6】第2実施形態の車両制御装置の構成を示す説明図。
図7】第2実施形態の車両の走行制御の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1Aは、第1実施形態における無人運転システム10の構成を示す説明図である。無人運転システム10は、移動体を製造する工場において、無人運転により移動体を移動させるために用いられる。
【0009】
本開示において、「移動体」は、移動し得る物体を意味し、例えば、車両や電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)である。車両は、車輪によって走行する車両であっても無限軌道によって走行する車両であってもよく、例えば、乗用車、トラック、バス、二輪車、四輪車、戦車、工事用車両などである。車両は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車、ならびに燃料電池自動車を含む。移動体が車両以外である場合には、本開示における「車両」「車」との表現を、適宜に「移動体」に置き換えることができ、「走行」との表現を、適宜に「移動」に置き換えることができる。
【0010】
「無人運転」とは、搭乗者の走行操作によらない運転を意味する。走行操作とは、車両100の「走る」、「曲がる」、「止まる」の少なくともいずれかに関する操作を意味する。無人運転は、車両100の外部に位置する装置を用いた自動または手動の遠隔制御によって、あるいは、車両100の自律制御によって実現される。無人運転によって走行している車両100には、走行操作を行わない搭乗者が搭乗していてもよい。走行操作を行わない搭乗者には、例えば、単に車両100の座席に着座している人や、組み付け、検査、スイッチ類の操作といった走行操作とは異なる作業を車両100に乗りながら行っている人が含まれる。なお、搭乗者の走行操作による運転は、「有人運転」と呼ばれることがある。
【0011】
本明細書において、「遠隔制御」は、車両100の外部から車両100の動作の全てが完全に決定される「完全遠隔制御」と、車両100の外部から車両100の動作の一部が決定される「部分遠隔制御」とを含む。また、「自律制御」は、車両100の外部の装置から一切の情報を受信することなく車両100が自身の動作を自律的に制御する「完全自律制御」と、車両100の外部の装置から受信した情報を用いて車両100が自身の動作を自律的に制御する「部分自律制御」とを含む。
【0012】
本実施形態では、無人運転システム10は、移動体である車両100と、遠隔制御装置200と、工場に設置されている外部センサ群300と、工場における車両100の製造工程を管理するための工程管理装置400とを備えている。なお、遠隔制御装置200のことを単に制御装置と呼ぶことがある。無人運転システム10のことを遠隔制御システムと呼ぶことがある。
【0013】
本実施形態では、車両100は、遠隔制御により走行可能に構成されている。車両100は、電気自動車として構成されている。車両100は、車両100を加速させるための駆動装置110と、車両100の進行方向を変更するための操舵装置120と、車両100を減速させるための制動装置130と、無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置140と、車両100の各部を制御するための車両制御装置150とを備えている。本実施形態では、駆動装置110には、バッテリ、バッテリの電力により駆動する走行用モータ、および、走行用モータにより回転する駆動輪が含まれている。
【0014】
図1Bは、車両制御装置150の構成を示す説明図である。車両制御装置150は、プロセッサ151と、メモリ152と、入出力インタフェース153と、内部バス154とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ151、メモリ152、および、入出力インタフェース153は、内部バス154を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース153には、駆動装置110、操舵装置120、制動装置130、通信装置140、および、障害物センサ160が接続されている。プロセッサ151は、メモリ152に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、車両100の走行制御を実行する走行制御部155として機能する。「走行制御」とは、例えば、車両100の加速度、速度、ならびに操舵角の調整などのことを意味する。走行制御部155は、走行制御を実行することにより、換言すれば、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、車両100を走行させる。走行制御部155は、車両100に搭乗者が搭乗している場合には、搭乗者の操作に応じて各種装置110~130を制御することにより、車両100を走行させることができる。本実施形態では、走行制御部155は、車両100に搭乗者が搭乗しているか否かにかかわらず、遠隔制御装置200から受信した制御指令に応じて各種装置110~130を制御することにより、車両100を走行させることができる。なお、走行制御部155のことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0015】
図1Aに示すように、本実施形態では、車両100は、さらに、車両100の周辺の障害物を検出するための障害物センサ160を備えている。障害物センサ160は、例えば、カメラや、LiDAR(Light Detection and Ranging)や、ミリ波レーダである。車両100は、障害物センサ160により検出された障害物と車両100との衝突が予想される場合に、運転者の操作や遠隔制御装置200からの制御指令にかかわらず、操舵装置120や制動装置130により障害物との衝突を回避する自動回避機能を備えている。なお、他の実施形態では、車両100が自動回避機能を備えていなくてもよい。この場合、車両100は、障害物センサ160を備えていなくてもよい。
【0016】
遠隔制御装置200は、車両100を遠隔制御するための制御装置である。遠隔制御装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。本実施形態では、通信装置205は、有線通信あるいは無線通信により、外部センサ群300、および、工程管理装置400と通信することができる。
【0017】
プロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、情報取得部210、および、遠隔制御部220として機能する。情報取得部210は、車両100の障害物との衝突を回避する性能および障害物との衝突時の衝撃を軽減する性能との少なくとも一方の性能に関する性能情報を取得する。以下の説明では、障害物との衝突を回避する性能のことを回避性能と呼び、障害物との衝突時の衝撃を軽減する性能のことを軽減性能と呼ぶ。本実施形態では、情報取得部210は、工程管理装置400から、車両100の回避性能と軽減性能との両方に関する情報が含まれている性能情報を取得する。遠隔制御部220は、車両100を遠隔制御するための制御指令を生成し、制御指令を車両100に送信することにより、車両100を走行させる。本実施形態では、制御指令とは、後述する走行制御信号のことである。なお、遠隔制御装置200のことを単に制御装置と呼び、遠隔制御部220のことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0018】
外部センサ群300は、複数の外部センサにより構成されている。外部センサとは、車両100の外部に設置されているセンサのことである。外部センサは、車両100の位置および向きを検出するために用いられる。本実施形態では、外部センサ群300は、工場に設置されている複数のカメラにより構成されている。各カメラは、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信することができる。
【0019】
工程管理装置400は、工場における車両100の製造工程全般の管理を実行する。工程管理装置400は、少なくとも1台のコンピュータにより構成されている。工程管理装置400は、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信することができる。工程管理装置400は、遠隔制御装置200が車両100の遠隔制御を開始する際に、遠隔制御対象の車両100の識別番号や性能情報を遠隔制御装置200に送信する。
【0020】
図2Aは、工場KJにおいて車両100が遠隔制御により移動する様子を示す説明図である。図2Aには、2台の車両100A,100Bが図示されている。以下の説明では、2台の車両100A,100Bを特に区別せずに説明する場合には、単に車両100と呼ぶ。本実施形態では、工場KJは、第1場所PL1と、第2場所PL2と、第3場所PL3とを備えている。第1場所PL1および第2場所PL2では、車両100の組み立てが実施される。第3場所PL3では、第1場所PL1で組み立てられた車両100、および、第2場所PL2で組み立てられた車両100の検査が実施される。各場所PL1~PL3は、車両100が走行可能な走行路SRにより接続されている。走行路SRには交差点KTが設けられている。以下の説明では、走行路SRのうち、第1場所PL1と交差点KTとの間の部分のことを第1走行路SR1と呼び、第2場所PL2と交差点KTとの間の部分のことを第2走行路SR2と呼び、交差点KTと第3場所PL3との間の部分のことを第3走行路SR3と呼ぶ。各走行路SR1~SR3を特に区別せずに説明する場合には、単に走行路SRと呼ぶ。
【0021】
第1場所PL1において組み立てられた車両100、および、第2場所PL2において組み立てられた車両100には、少なくとも、駆動装置110と操舵装置120と制動装置130と通信装置140と車両制御装置150とが装着されている。第1場所PL1において組み立てられた車両100は、遠隔制御装置200に遠隔制御されることにより、第1場所PL1から交差点KTを通って第3場所PL3まで走行し、第2場所PL2において組み立てられた車両100は、遠隔制御装置200に遠隔制御されることにより、第2場所PL2からから交差点KTを通って第3場所PL3まで走行する。第3場所PL3における検査に合格した車両100は、工場KJから出荷される。検査に合格しなかった車両100は、修理が施された後、再検査を受ける。
【0022】
図2Aを参照しつつ、遠隔制御部220が遠隔制御により車両100を移動させる方法について簡単に説明する。遠隔制御部220は、車両100が走行路SRを通って目的地まで走行するための目標ルートを決定する。本実施形態では、目標ルートとは、後述する参照経路のことである。工場KJには、走行路SRを撮影する複数のカメラ301が設置されており、遠隔制御部220は、各カメラ301により撮影された映像を解析することにより、リアルタイムで、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得することができる。複数のカメラ301は、外部センサ群300に含まれている。遠隔制御部220は、車両100を目標ルートに沿って走行させるための制御指令を生成し、制御指令を車両100に送信する。車両100に搭載されている車両制御装置150は、受信した制御指令に従って駆動装置110と操舵装置120と制動装置130とを制御することにより、車両100を走行させる。したがって、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、車両100を移動させることができる。
【0023】
本実施形態では、遠隔制御部220は、複数の車両100A,100Bを同時並列的に遠隔制御により走行させることができる。例えば、遠隔制御部220は、車両100Aを遠隔制御により第1場所PL1から第3場所PL3に移動させつつ、車両100Bを遠隔制御により第2場所PL2から第3場所PL3に移動させることができる。
【0024】
図2Bは、第1実施形態における車両100の走行制御の手順を示すフローチャートである。図2Bを参照しつつ、遠隔制御装置200の遠隔制御部220が遠隔制御により車両100を走行させる方法についてより詳細に説明する。ステップS1にて、遠隔制御部220は、車両100の外部に位置しているセンサである外部センサから出力される検出結果を用いて、車両100の車両位置情報を取得する。車両位置情報は、走行制御信号を生成する基礎となる位置情報である。本実施形態では、車両位置情報には、工場KJの基準座標系における車両100の位置および向きが含まれている。本実施形態では、工場KJの基準座標系は、グローバル座標系であり、工場KJ内の任意の位置は、グローバル座標系におけるX,Y,Zの座標で表現される。本実施形態では、外部センサは、カメラ301であり、外部センサからは、検出結果として撮像画像が出力される。すなわち、ステップS1にて、遠隔制御部220は、外部センサであるカメラ301から取得した撮像画像を用いて、車両位置情報を取得する。
【0025】
詳細には、ステップS1では、遠隔制御部220は、例えば、撮像画像から車両100の外形を検出し、撮像画像の座標系、すなわち、ローカル座標系における車両100の測位点の座標を算出し、算出された座標をグローバル座標系における座標に変換することによって、車両100の位置を取得する。撮像画像に含まれる車両100の外形は、例えば、人工知能を活用した検出モデルに撮像画像を入力することで検出できる。検出モデルは、例えば、無人運転システム10内や無人運転システム10外で準備され、遠隔制御装置200のメモリ202に予め記憶される。検出モデルとしては、例えば、セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションとのいずれかを実現するように学習された学習済みの機械学習モデルが挙げられる。この機械学習モデルとしては、例えば、学習用データセットを用いた教師あり学習によって学習された畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN)を用いることができる。学習用データセットは、例えば、車両100を含む複数の訓練画像と、訓練画像における各領域が車両100を示す領域と車両100以外を示す領域とのいずれであるかを示すラベルとを有している。CNNの学習時には、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)により、検出モデルによる出力結果とラベルとの誤差を低減するように、CNNのパラメータが更新されることが好ましい。また、プロセッサ201は、例えば、オプティカルフロー法を利用して、撮像画像のフレーム間における車両100の特徴点の位置変化から算出された車両100の移動ベクトルの向きに基づいて推定することによって、車両100の向きを取得できる。
【0026】
ステップS2にて、遠隔制御部220は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。本実施形態では、目標位置は、グローバル座標系におけるX,Y,Zの座標で表される。遠隔制御装置200のメモリ202には、車両100が走行すべき経路である参照経路が予め記憶されている。経路は、出発地を示すノード、通過点を示すノード、目的地を示すノード、および、各ノードを結ぶリンクで表されている。遠隔制御部220は、車両位置情報と参照経路とを用いて、次に車両100が向かうべき目標位置を決定する。遠隔制御部220は、車両100の現在地よりも先の参照経路上に目標位置を決定する。
【0027】
ステップS3にて、遠隔制御部220は、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。本実施形態では、走行制御信号には、車両100の加速度および操舵角がパラメータとして含まれている。他の実施形態では、走行制御信号には、車両100の加速度に代えて、あるいは、車両100の加速度に加えて、車両100の速度がパラメータとして含まれてもよい。遠隔制御部220は、車両100の位置の推移から車両100の走行速度を算出し、算出した走行速度と目標速度とを比較する。遠隔制御部220は、全体として、走行速度が目標速度よりも低い場合には、車両100が加速するように加速度を決定し、走行速度が目標速度よりも高い場合には、車両100が減速するように加速度を決定する。また、遠隔制御部220は、車両100が参照経路上に位置している場合には、車両100が参照経路上から逸脱しないように操舵角および加速度を決定し、車両100が参照経路上に位置していない場合、換言すれば、車両100が参照経路上から逸脱している場合には、車両100が参照経路上に復帰するように操舵角および加速度を決定する。
【0028】
ステップS4にて、遠隔制御部220は、生成した走行制御信号を車両100に対して送信する。遠隔制御部220は、所定の周期で、車両100の位置の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、走行制御信号の送信などを繰り返す。
【0029】
ステップS5にて、車両100に搭載されている車両制御装置150は、遠隔制御装置200から送信される走行制御信号を受信する。ステップS6にて、車両制御装置150は、受信した走行制御信号を用いて駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、走行制御信号に表されている加速度および操舵角で車両100を走行させる。車両制御装置150は、所定の周期で、走行制御信号の受信、および、各種装置110~130の制御を繰り返す。
【0030】
図3は、優先順位決定処理の内容を示すフローチャートである。優先順位決定処理は、車両100の遠隔制御が実行されている期間に、遠隔制御装置200において繰り返し実行される。優先順位決定処理が開始されると、ステップS110にて、情報取得部210は、工程管理装置400から、遠隔制御対象の各車両100の性能情報を取得する。
【0031】
ステップS120にて、遠隔制御部220は、性能得情報を用いて、各車両100の優先順位を決定する。本実施形態では、遠隔制御部220は、車両100の回避性能が高いほど、車両100の優先順位を高くする。回避性能が同じである場合、換言すれば、回避性能の優劣がつかない場合には、遠隔制御部220は、車両100の軽減性能が高いほど、車両100の優先順位を高くする。
【0032】
回避性能に関して、例えば、自動回避機能を備えている車両100と自動回避機能を備えていない車両100とでは、自動回避機能を備えている車両100の方が、回避性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、自動回避機能を備えている車両100の優先順位を、自動回避機能を備えていない車両100の優先順位よりも高くする。さらに、自動回避機能による回避性能が機械学習により高まる場合、学習済みである車両100と学習済みでない車両100とでは、学習済みである車両100の方が、回避性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、自動回避機能を備えている車両100同士の比較では、学習済みである車両100の優先順位を、学習済みでない車両100の優先順位よりも高くする。
【0033】
回避性能に関して、工場KJで車両100を走行させる際には車両100の最高速度や制動力や操舵角などに制限を加え、出荷前に制限を解除する場合がある。制動力や操舵角が制限されている車両100と制動力や操舵角が制限されていない車両100とでは、制動力や操舵角が制限されていない車両100の方が、回避性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、自動回避機能の有無による回避性能の優劣がつかない場合には、制動力や操舵角が制限されていない車両100の優先順位を、制動力や操舵角が制限されている車両100の優先順位よりも高くする。
【0034】
回避性能に関して、操舵装置120や制動装置130や障害物センサ160の再検査回数が少ないほど、操舵装置120や制動装置130や障害物センサ160に不具合が生じている可能性が低いため、回避性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、自動回避機能の有無や制動力等の制限の有無による回避性能の優劣がつかない場合には、操舵装置120や制動装置130や障害物センサ160の再検査回数が少ないほど、車両100の優先順位を高くする。
【0035】
軽減性能に関して、車両100の重量が軽いほど、車両100の運動エネルギが小さいため、軽減性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、車両100の重量が軽いほど、車両100の優先順位を高くする。フロントバンパーを備えている車両100とフロントバンパーを備えていない車両100とでは、フロントバンパーを備えている車両100の方が、軽減性能が高い。そのため、本実施形態では、遠隔制御部220は、フロントバンパーを備えている車両100の優先順位を、フロントバンパーを備えていない車両100の優先順位よりも高くする。重量の異なる2台の車両100の比較において、軽い方の車両100がフロントバンパーを備えておらず、重い方の車両100がフロントバンパーを備えている場合には、遠隔制御部220は、予め定められた一方の優先順位を、他方の優先順位よりも高くする。
【0036】
本実施形態では、回避性能が同じであり、かつ、軽減性能が同じである場合、換言すれば、回避性能および軽減性能の優劣がつかない場合には、遠隔制御部220は、予め定められた方向から交差点に進入しようとする車両100の優先順位を高くする。例えば、遠隔制御部220は、第1走行路SR1から交差点KTに進入しようとする車両100の優先順位を、第2走行路SR2から交差点KTに進入しようとする車両100の優先順位よりも高くする。なお、遠隔制御部220は、回避性能および軽減性能の優劣がつかない場合には、第1走行路SR1から交差点KTに進入しようとする車両100の優先順位を、第2走行路SR2から交差点KTに進入しようとする車両100の優先順位よりも低くしてもよい。その後、遠隔制御部220は、優先順位決定処理を終了する。なお、ステップS110のことを情報取得工程と呼び、ステップS120のことを優先順位決定工程と呼ぶことがある。
【0037】
図4は、2台の車両100A,100Bが優先順位決定処理により決定された優先順位に従って交差点KTを通過する様子を示す説明図である。図4を用いて、本実施形態における車両100A,100Bの遠隔制御方法について説明する。なお、遠隔制御方法のことを無人運転方法と呼ぶことがある。車両100A,100Bを遠隔制御により移動させる工程のことを遠隔制御工程、あるいは、無人運転工程と呼ぶことがある。図4では、車両100Aの優先順位は、車両100Bの優先順位よりも高い。図4の上段に示すように、2台の車両100A,100Bが同時期に異なる方向から交差点KTに進入しようとする場合には、図4の中段に示すように、遠隔制御部220は、2台の車両100A,100Bのうち、優先順位が高い方の車両100Aを交差点KTに進入させ、優先順位が低い方の車両100Bに交差点KTへの進入を待機させる。本実施形態では、遠隔制御部220は、車両100Bを停止させることにより、車両100Bの交差点KTへの進入を待機させる。なお、遠隔制御部220は、車両100Bが停止しない範囲内で車両100Bを減速させることにより、車両100Bの交差点KTへの進入を待機させてもよい。図4の下段に示すように、車両100Aが交差点KTを通過した後、遠隔制御部220は、車両100Bに交差点KTを通過させる。
【0038】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10によれば、遠隔制御部220は、複数の車両100が同時期に異なる方向から交差点KTに進入しようとしている場合には、性能情報を用いて決定した優先順位が高い順で、複数の車両100に交差点KTを通過させる。そのため、複数の車両100が同時期に交差点KTに進入することを抑制できる。特に、本実施形態では、遠隔制御部220は、車両100の回避性能が高いほど車両100の優先順位を高くするため、先行する車両100が交差点KTあるいは第3走行路SR3において障害物に衝突して後続の車両100の進路が塞がれることを抑制できる。さらに、本実施形態では、遠隔制御部220は、回避性能が同じである場合には、車両100の軽減性能が高いほど車両100の優先順位を高くするため、仮に、先行する車両100が交差点KTあるいは第3走行路SR3において障害物に衝突したとしても、車両100や障害物の損傷を抑制することができる。したがって、後続の車両100の進路が塞がれる状況が長期化することを抑制できる。
【0039】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態における無人運転システム10bの構成を示す説明図である。図6は、第2実施形態における車両制御装置150の構成を示す説明図である。図5に示すように、第2実施形態では、無人運転システム10が遠隔制御装置200を備えていないこと、および、車両100が遠隔制御ではなく自律制御により走行することが第1実施形態とは異なる。その他の構成については特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。なお、自律制御により車両100を走行させる方法のことを自律型自動運転方法、あるいは、無人運転方法と呼ぶことがある。
【0040】
本実施形態では、車両100は、自律制御により走行可能に構成されている。車両100は、通信装置140を用いた無線通信により外部センサ群300および工程管理装置400と通信することができる。図6に示すように、本実施形態では、車両制御装置150のプロセッサ151は、メモリ152に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、走行制御部155b、および、情報取得部156として機能する。
【0041】
走行制御部155bは、自ら走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより車両100を走行させる。メモリ152には、参照経路や検出モデルなどが予め記憶されている。なお、車両制御装置150のことを単に制御装置と呼び、走行制御部155bのことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0042】
情報取得部156は、工程管理装置400から自車両の性能情報と他車両の性能情報とを取得する。メモリ152に自車両の性能情報が予め記憶されている場合には、情報取得部156は、メモリ152から自車両の性能情報を取得してもよい。通信装置140を用いた無線通信により自車両と他車両とが通信可能である場合には、情報取得部156は、他車両から他車両の性能情報を取得してもよい。
【0043】
本実施形態では、図3に示した優先順位決定処理は、車両制御装置150により実行される。自車両と他車両とが同時期に異なる方向から交差点に進入しようとする場合には、情報取得部156は、交差点に進入しようとする自車両および他車両の性能情報を取得する。情報取得部156は、例えば、障害物センサ160を用いて、自車両と他車両とが同時期に異なる方向から交差点に進入しようとすることを検知することができる。走行制御部155bは、情報取得部156により取得された性能得情報を用いて自車両と他車両との優先順位を決定する。走行制御部155bは、優先順位決定処理により決定された優先順位で自車両と他車両とが交差点KTを通過するように、自車両を制御する。
【0044】
図7は、第2実施形態における車両100の走行制御の手順を示すフローチャートである。ステップS11にて、車両制御装置150の走行制御部155bは、外部センサであるカメラ301から出力される検出結果を用いて車両位置情報を取得する。ステップS21にて、走行制御部155bは、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。ステップS31にて、走行制御部155bは、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。ステップS41にて、走行制御部155bは、生成した走行制御信号を用いて駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、走行制御信号に表されているパラメータに従って車両100を走行させる。走行制御部155bは、所定の周期で、車両位置情報の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、各種装置110~130の制御を繰り返す。
【0045】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10bによれば、第1実施形態と同様に、複数の車両100が同時期に異なる方向から交差点KTに進入しようとしている場合に、性能情報を用いて決定した優先順位が高い順で、複数の車両100に交差点KTを通過させることができる。したがって、複数の車両100が同時期に交差点KTに進入することを抑制できる。
【0046】
C.他の実施形態:
(C1)上述した各実施形態の無人運転システム10,10bでは、情報取得部210や情報取得部156は、回避性能と軽減性能との両方の性能に関する情報を含む性能情報を取得しており、遠隔制御部220や走行制御部155bは、車両100の回避性能が高いほど車両100の優先順位を高くし、回避性能の優劣がつかない場合には、車両100の軽減性能が高いほど車両100の優先順位を高くしている。これに対して、情報取得部210や情報取得部156は、回避性能と軽減性能とのいずれか一方の性能に関する情報を含む性能情報を取得してもよい。この場合、遠隔制御部220や走行制御部155bは、回避性能と軽減性能とのいずれか一方の性能が高いほど、車両100の優先順位を高くする。
【0047】
(C2)上記各実施形態では、外部センサは、カメラ301である。これに対して、外部センサは、カメラ301でなくてもよく、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。この場合、外部センサから出力される検出結果は、車両100を表す3次元点群データであってもよい。この場合、遠隔制御部220や走行制御部155bは、検出結果としての3次元点群データと、予め準備された参照用点群データとを用いたテンプレートマッチングによって、車両位置情報を取得してもよい。
【0048】
(C3)上記第1実施形態では、遠隔制御装置200により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理が実行される。これに対して、車両100により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理の少なくとも一部が実行されてもよい。例えば、以下の(1)から(3)の形態であってもよい。
【0049】
(1)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、現在地と目的地との間の目標位置までの経路を生成してもよいし、目的地までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、生成した経路を車両100に対して送信してもよい。車両100は、遠隔制御装置200から受信した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。
【0050】
(2)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、取得した車両位置情報を車両100に対して送信してもよい。車両100は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、受信した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。
【0051】
(3)上記(1),(2)の形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。内部センサは、車両100に搭載されたセンサである。内部センサには、例えば、車両100の運動状態を検出するセンサや、車両100の各部の動作状態を検出するセンサや、車両100の周囲の環境を検出するセンサが含まれ得る。具体的には、内部センサには、例えば、カメラ、LiDAR、ミリ波レーダ、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが含まれ得る。例えば、上記(1)の形態において、遠隔制御装置200は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(1)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0052】
(C4)上記第2実施形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。例えば、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0053】
(C5)上記第2実施形態では、車両100は、外部センサであるカメラ301の検出結果を用いて車両位置情報を取得している。これに対して、車両100に内部センサが搭載されており、車両100は、内部センサの検出結果を用いて車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路を走行するための走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。この場合、車両100は、外部センサの検出結果を一切用いずに走行することができる。なお、車両100は、車両100の外部から目標到着時刻や渋滞情報を取得し、経路と走行制御信号の少なくとも一方に目標到着時刻や渋滞情報を反映させてもよい。
【0054】
(C6)上記第1実施形態では、遠隔制御装置200は、車両100に対して送信する走行制御信号を自動で生成している。これに対して、遠隔制御装置200は、車両100の外部に位置している外部オペレータの操作に従って、車両100に対して送信する走行制御信号を生成してもよい。例えば、外部センサであるカメラ301から出力される撮像画像を表示するディスプレイ、車両100を遠隔操作するためのステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、および、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置を備える操縦装置を外部オペレータが操作し、遠隔制御装置200は、操縦装置に加えられた操作に応じた走行制御信号を生成してもよい。この形態において、遠隔制御装置200は、オペレータによる遠隔手動運転が実行されている遠隔手動運転車両と他車両とが同時期に異なる方向から交差点KTに進入しようとする場合に、遠隔手動運転車両が優先であるか否かに関する情報を操縦装置のディスプレイに表示させてもよい。この場合、オペレータは、ディスプレイに表示された情報を参照することにより、遠隔手動運転車両が優先であるか否かを容易に把握することができる。また、この形態において、遠隔制御装置200は、オペレータによる遠隔手動運転が実行されている遠隔手動運転車両と他車両とが同時期に異なる方向から交差点KTに進入しようとする場合に、遠隔手動運転車両を遠隔手動運転から遠隔自動運転に切り替えて、オペレータによる遠隔手動運転が実行されていた車両と他車両とを遠隔自動運転により優先順位に従って交差点を通過させ、その後、オペレータによる遠隔手動運転が実行されていた車両を遠隔自動運転から遠隔手動運転に戻してもよい。
【0055】
(C7)上記各実施形態において、車両100は、無人運転により移動可能な構成を備えていればよく、例えば、以下に述べる構成を備えるプラットフォームの形態であってもよい。具体的には、車両100は、無人運転により「走る」、「曲がる」、「止まる」の3つの機能を発揮するために、少なくとも、駆動装置110、操舵装置120、制動装置130、および、車両制御装置150を備えていればよい。無人運転のために車両100が外部から情報を取得する場合に、車両100は、さらに、通信装置140を備えていればよい。すなわち、無人運転により移動可能な車両100は、運転席やダッシュボードなどの内装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、バンパーやフェンダーなどの外装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、ボディシェルが装着されていなくてもよい。この場合、車両100が工場KJから出荷されるまでの間に、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよいし、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されていない状態で、車両100が工場KJから出荷された後にボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよい。各部品は、車両100の上側、下側、前側、後側、右側あるいは左側といった任意の方向から装着されてよく、それぞれ同じ方向から装着されてもよいし、それぞれ異なる方向から装着されてもよい。なお、プラットフォームの形態に対しても、第1実施形態における車両100と同様にして位置決定がなされ得る。
【0056】
(C8)車両100は、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。モジュールは、車両100の部位や機能に応じて纏められた複数の部品によって構成されるユニットを意味する。例えば、車両100のプラットフォームは、プラットフォームの前部を構成する前方モジュールと、プラットフォームの中央部を構成する中央モジュールと、プラットフォームの後部を構成する後方モジュールとを組み合わせることで製造されてもよい。なお、プラットフォームを構成するモジュールの数は、3つに限られず、2つ以下や4つ以上であってもよい。また、プラットフォームを構成する部品に加えて、あるいは、これに代えて、車両100のうちプラットフォームとは異なる部分を構成する部品がモジュール化されてもよい。また、各種モジュールは、バンパーやグリルといった任意の外装部品や、シートやコンソールといった任意の内装部品を含んでいてもよい。また、車両100に限らず、任意の態様の移動体が、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。こうしたモジュールは、例えば、複数の部品を溶接や固定具等によって接合することで製造されてもよいし、モジュールを構成する部品の少なくとも一部を鋳造によって一の部品として一体的に成型することで製造されてもよい。一の部品、特に比較的大型の部品を一体的に成型する成型手法は、ギガキャストやメガキャストとも呼ばれる。例えば、上記の前方モジュールや中央モジュールや後方モジュールは、ギガキャストを用いて製造されてもよい。
【0057】
(C9)無人運転による車両100の走行を利用して車両100を搬送させることを「自走搬送」とも呼ぶ。また、自走搬送を実現するための構成を、「車両遠隔制御自律走行搬送システム」とも呼ぶ。また、自走搬送を利用して車両100を生産する生産方式のことを「自走生産」とも呼ぶ。自走生産では、例えば、車両100を製造する工場KJにおいて、車両100の搬送の少なくとも一部が、自走搬送によって実現される。
【0058】
(C10)上記各実施形態において、ソフトウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェア的に実現されてもよい。また、ハードウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。上記各実施形態における各種機能を実現するためのハードウェアとしては、例えば、集積回路やディスクリート回路といった各種回路を用いてもよい。
【0059】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10,10b…無人運転システム、100…車両(移動体)、110…駆動装置、120…操舵装置、130…制動装置、140…通信装置、150…車両制御装置、151…プロセッサ、152…メモリ、153…入出力インタフェース、154…内部バス、155,155b…走行制御部、156…情報取得部、160…障害物センサ、200…遠隔制御装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…情報取得部、220…遠隔制御部、300…外部センサ群、301…カメラ、400…工程管理装置
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7