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特開2025-9679ポリエステル布帛からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009679
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ポリエステル布帛からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/24 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
C08J11/24 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185197
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2023107707
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2023年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/繊維製品の資源循環のための選別・分離技術の研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 康成
(72)【発明者】
【氏名】渡 一平
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠平
(72)【発明者】
【氏名】牧野 正孝
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AB07
4F401AD20
4F401BA06
4F401CA32
4F401CA54
4F401CA67
4F401CA69
4F401CA75
4F401CB01
4F401CB10
4F401DA14
4F401EA46
4F401EA60
4F401EA80
4F401FA01Z
4F401FA06Z
4F401FA20Z
(57)【要約】
【課題】イオン結合性染料を含むポリエステル布帛から着色成分を十分に除去し、色調に優れるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを効率良く得ることで、廃棄前に染色繊維の原料に用いられていたバージンポリエステル樹脂と同品質の再生ポリエステル樹脂への再生を可能とする技術を提供する。
【解決手段】着色成分としてイオン結合性染料が0.0重量%を超えて10.0重量%以下含む着色ポリエステル布帛から、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法であって、以下の工程からなるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(1)イオン結合性染料を含む着色ポリエステル布帛を195℃以上205℃以下のエチレングリコール蒸気と150℃以上195℃以下のエチレングリコール液体に同時に5分以上150分未満接触させ、着色成分を抽出する工程
(2)前記(1)の工程を実施して得られた抽出後のポリエステル布帛をエチレングリコールにより解重合し、粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する工程
(3)前記(2)の工程を実施して得られた粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを溶媒に溶解させ精製し、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る工程
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン結合性染料が0.0重量%を超えて10.0重量%以下含むポリエステル布帛から、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法であって、以下の工程からなるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(1)イオン結合性染料を含むポリエステル布帛を195℃以上205℃以下のエチレングリコール蒸気と150℃以上195℃以下のエチレングリコール液体に同時に5分以上150分未満接触させ、着色成分を抽出する工程
(2)前記(1)の工程を実施して得られた抽出後のポリエステル布帛をエチレングリコールにより解重合し、粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する工程
(3)前記(2)の工程を実施して得られた粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを溶媒に溶解させて精製し、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る工程
【請求項2】
(3)の工程に用いる溶媒の主成分が水である請求項1に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
【請求項3】
(3)の工程が、以下の(3a)~(3c)のみからなる請求項2に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(3a)(2)の工程を実施して得られた粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを60℃~100℃の熱水に溶解させ、熱時濾過する工程
(3b)前記(3a)の工程を実施し得られた水溶液を60℃~100℃にて活性炭処理およびイオン交換処理の両方を行う工程
(3c)前記(3b)の工程を実施し得られた水溶液を30℃以下まで冷却してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを晶析させ回収する工程
【請求項4】
(3b)の工程において、活性炭処理およびイオン交換処理のそれぞれに用いる吸着体の、以下の式1で表される体積比が0.10以上100.00以下である、請求項3に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(式1)体積比=イオン交換処理に用いる吸着体の体積(mL)/活性炭処理に用いる吸着体の体積(mL)
【請求項5】
(3b)の工程において、活性炭処理およびイオン交換処理がそれぞれの吸着体を充填したカラムを通液する方法であって、その空間速度がそれぞれ2.1hr-1以上300.0hr-1以下である、請求項3に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン結合性染料を含むポリエステル布帛からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の経済社会は大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会システムで維持されてきたが、天然資源の枯渇や資源採取に伴う自然破壊、温室効果ガス排出による温暖化現象や海面上昇等の環境に対する様々な悪影響が確認されてきた。そのため、限りある資源を効率良く利用して持続ある成長を続けていくため、廃棄物の発生を極力抑え、発生した廃棄物は環境に負荷を与えないように再利用や再資源化する循環型社会システムの構築が必要不可欠となってきている。
【0003】
循環型社会システムの実現には、サーマルリサイクルやマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルといったリサイクルシステムの構築が必要であり、中でも、廃プラスチックを原料モノマー単位まで分解・精製し、得られたモノマーから廃棄前と同品質な再生樹脂材料を得るケミカルリサイクル技術に注目が集まっている。
【0004】
安価で衣料品として好適な物性を示すポリエステル繊維についてもケミカルリサイクルによる再生が期待されており、これまで加水分解やグリコール分解によって原料モノマー単位まで再生する技術の適用が検討されてきた。例えば、廃衣料から回収されたポリエステル布帛にエチレングリコール(EG)を加えてグリコール分解によって解重合をすると、エステルモノマーのビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を得ることができる。このBHETをモノマー原料として用いることで、ケミカルリサイクルによって再生されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を製造することができる。
【0005】
しかし、回収されたポリエステル布帛が着色されている場合、そのままケミカルリサイクルプロセスを適用すると、得られるモノマー原料および再生ポリエステル樹脂が着色してしまい、染色繊維の原料に用いられていたバージンポリエステル樹脂と同品質の再生ポリエステル樹脂を得ることはできない。そのため、ケミカルリサイクルプロセスを適用する前の事前処理として、回収布帛から着色成分を除去する抽出工程が必要であり、これまでに種々の方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では繊維状ポリエステルに液体のグリコール系抽出剤を接触させ着色剤を抽出する抽出工程の後、エチレングリコールによる解重合を行い、得られたエステルモノマーのエチレングリコール溶液を精製し、エステルモノマーを得る方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献2ではポリエステル織物に抽出溶媒を用いて染料等を抽出する方法に加え、酸化剤や還元剤を用いて染料の発色性を失わせる脱色操作の後、ポリエステル織物の化学的解重合を行い、得られた解重合物を精製して、BHETを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-255963号公報
【特許文献2】特開2023-41599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1で開示されている抽出工程は、繊維状ポリエステルに液体のエチレングリコールを接触させる方法であり、具体的にはエチレングリコールに布片を浸漬させ150℃で加熱する方法、ソックスレー抽出装置に布片を充填しエチレングリコールを還流させながら布片に液体エチレングリコールを接触させる方法、コンベアを用いた連続向流抽出にて布片に195℃の液体エチレングリコールに接触させる方法等が開示されている。これらの方法は、繊維を構成するポリマー分子と化学結合を形成しない、例えば分散染料のような着色成分に対しては一定の抽出効果が見込まれる。一方、繊維を構成するポリマー分子と分子レベルのイオン結合で強固に結合する、例えばカチオン染料のような着色成分に対しては、抽剤として液体のエチレングリコールを接触させるだけでは、染料分子とポリマー分子の強固な結合を切断することができないため抽出効果が得られず、その後の解重合、精製工程によって得られるエステルモノマーが着色してしまい、染色繊維の原料に用いられていたバージンポリエステル樹脂と同品質の再生ポリエステル樹脂を得ることはできない。
【0010】
また、特許文献2で開示されている脱色操作は、酸化剤や還元剤を用いることで染料分子の種類に関わらず発色性を失わせるため、得られるBHETの着色を抑えることに一定の効果が見込まれる。しかしながら、酸化剤分子や還元剤分子、変性した染料分子がBHET中に残留し、再重合反応の阻害や異物化の可能性があるため、染色繊維の原料に用いられていたバージンポリエステル樹脂と同品質の再生ポリエステル樹脂を得るためには、その後の精製工程で追加の除去操作が必要になり、消費エネルギー・コストの増大につながり、効率的でない。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決してイオン結合性染料を含むポリエステル布帛から着色成分を十分に除去し、色調に優れるBHETを効率良く得ることで、染色繊維の原料に用いられていたバージンポリエステル樹脂と同品質の再生ポリエステル樹脂を得ることを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下[1]~[5]によって解決される。
[1]イオン結合性染料が0.0重量%を超えて10.0重量%以下含むポリエステル布帛から、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法であって、以下の工程からなるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(1)イオン結合性染料を含む着色ポリエステル布帛を195℃以上205℃以下のエチレングリコール蒸気と150℃以上195℃以下のエチレングリコール液体に同時に5分以上150分未満接触させ、着色成分を抽出する工程
(2)前記(1)の工程を実施して得られた抽出後のポリエステル布帛をエチレングリコールにより解重合し、粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する工程
(3)前記(2)の工程を実施して得られた粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを溶媒に溶解させ精製し、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る工程
[2](3)の工程に用いる溶媒の主成分が水である[1]に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
[3](3)の工程が、以下の(3a)~(3c)のみからなる[2]に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(3a)(2)の工程を実施して得られた粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを60℃~100℃の熱水に溶解させ、熱時濾過する工程
(3b)前記(3a)の工程を実施し得られた水溶液を60℃~100℃にて活性炭処理およびイオン交換処理の両方を行う工程
(3c)前記(3b)の工程を実施し得られた水溶液を30℃以下まで冷却してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを晶析させ回収する工程
[4](3b)の工程において、活性炭処理およびイオン交換処理のそれぞれに用いる吸着体の、以下の式1で表される体積比が0.10以上100.00以下である、[3]に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(式1)体積比=イオン交換処理に用いる吸着体の体積(mL)/活性炭処理に用いる吸着体の体積(mL)
[5](3b)の工程において、活性炭処理およびイオン交換処理がそれぞれの吸着体を充填したカラムを通液する方法であって、その空間速度が2.1hr-1以上300.0hr-1以下である、[3]に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、イオン結合性染料を含むポリエステル布帛から着色成分を十分に除去し、色調に優れるBHETを効率良く得ることで、バージンPET樹脂と同品質なPET樹脂への再生が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
なお、本発明におけるポリエステル布帛とは、ケミカルリサイクルに供するための回収ポリエステル布帛であって、衣料形状や布帛状のものに限らず、また裁断したものも含まれる。また、回収とは、使用済みのものだけでなく、製造工程における製造・工程屑等も含まれる。
【0016】
本発明において、ポリエステル布帛には着色成分としてイオン結合性染料が含まれている。ポリエステル布帛に着色成分として含まれるイオン結合性染料は、カチオン染料(塩基性染料)やアニオン染料(酸性染料)と呼ばれ、染料分子と繊維を構成するポリマー分子が分子レベルのイオン結合で強固に結合する形態で染色する染料のことである。ポリエステル繊維を着色しやすい点で、イオン結合性染料はカチオン染料が好ましく用いられている。本発明において、ポリエステル布帛に含まれる着色成分としてイオン結合性染料が含まれることは必須であるが、その他の着色成分を含んでいてもよい。その他の着色成分として特に制限は無いが、例えば、分散染料、直接染料、反応染料、バット染料、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。
【0017】
本発明において、イオン結合性染料の含有量はポリエステル繊維に対して0.0重量%を超えて10.0重量%である。イオン結合性染料を含まない、もしくは含有量が極端に少ない場合、本発明を適用する意義がないため、イオン結合性染料は0.01質量%以上含むことが好ましく、0.05重量%以上含むことがさらに好ましく、0.1重量%以上含むことが特に好ましい。また、より効率的に着色成分の抽出処理を行うことができる点で、イオン結合性染料の含有量は9.0重量%以下が好ましく、8.5重量%以下がさらに好ましく、8.0重量%以下であることが特に好ましい。
【0018】
ポリエステル布帛は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維を主成分とするが、染料を抽出する工程でエチレングリコールを用いるため、ポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。また、ポリエステル繊維を構成するモノマーはジカルボン酸およびジオールであり、ポリエステル繊維は2種類以上のモノマーを共重合した共重合ポリエステル繊維であっても良い。ポリエステル繊維を構成するモノマーとして特に制限は無いが、例えば、ジカルボン酸はテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0019】
また、ポリエステル布帛中にはポリエステル繊維以外の繊維を含んでいても良い。ポリエステル繊維以外の繊維として特に制限は無いが、セルロース繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。その含有量は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。ポリエステル繊維以外の繊維の含有量がこの範囲であれば、本発明に記載の方法で色調に優れるBHETを得ることができる。
【0020】
本発明において、ポリエステル布帛の着色成分の抽出工程((1)の工程)として、ポリエステル布帛を195℃以上205℃以下のエチレングリコール蒸気と150℃以上195℃以下のエチレングリコール液体に同時に5分以上150分未満接触させる工程を実施する必要がある。エチレングリコール蒸気と接触させることでポリエステル布帛のポリマー繊維構造が緩和し、染料分子とポリマー分子が強固に結合するイオン結合性の着色成分であっても抽出が速やかに進行する。エチレングリコール液体の温度が150℃以上、より好ましくは185℃以上の場合、特に着色成分の抽出効率が向上する。一方、エチレングリコール蒸気が205℃以下の場合、ポリエステル布帛を構成するポリエステル繊維の分解を抑制しつつ着色成分の抽出を促進できる。205℃よりも高温のエチレングリコール蒸気、あるいは加圧エチレングリコール溶液と接触させると、ポリエステル布帛を構成するポリエステル繊維の分解も速やかに進行してしまい、ポリエステル布帛の収率が悪化する。抽出工程において用いる溶媒は沸点が低く、ポリエステル繊維の分解を抑制しつつ蒸気を接触させることができる点から、エチレングリコールであることが最も好ましいが、場合によってはそのほかのグリコール系溶媒を用いても良い。例えば、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられるが、エチレングリコールよりも沸点が高いためポリエステル繊維に接触するグリコール系溶媒の温度が高くなり、ポリエステル繊維の分解が速やかに進行してしまい、ポリエステル布帛の収率が悪化する、もしくはグリコール系溶媒の沸点が分解温度よりも高く、常圧でグリコール系溶媒の蒸気を生成することが不可能となる。
【0021】
ポリエステル布帛をエチレングリコールに接触させる時間は5分以上150分未満であることが必須である。エチレングリコールとの接触時間を5分以上とすることで、着色成分が十分に抽出され、色調に優れるBHETを得ることができる。好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。一方、接触時間を150分未満とすれば、ポリエステル布帛を構成するポリエステル繊維の分解が進行せず、ポリエステル布帛の収率が向上する。150分以上長時間とすると、ポリエステル布帛を構成するポリエステル繊維の分解が進行してしまい、ポリエステル布帛の収率が悪化する。好ましくは120分未満、より好ましくは60分未満である。
【0022】
抽出工程におけるポリエステル布帛の収率は60%以上とすることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上であることが最も好ましい。
【0023】
本発明において、抽出後のポリエステル布帛は解重合工程((2)の工程)において、エチレングリコールにより解重合し、粗BHETとして回収される。さらに(2)の工程は、(1)の工程によって得られたポリエステル布帛にエチレングリコールを添加して解重合する工程と、解重合により得られたBHETを含むエチレングリコール溶液から粗BHETを回収する工程に分けられる。
【0024】
解重合時に添加するエチレングリコールの量は、ポリエステル布帛1.0重量部に対して2.0重量部以上が好ましい。ポリエステル布帛1.0重量部に対して2.0重量部未満とすると、得られるBHETの分子量が大きくなるため、この後に実施する精製工程における収率悪化となり、効率が低下する。また、10.0重量部より多くEGを添加しても得られる効果は同等であるため、コスト面から好ましくない。解重合における温度は、190℃以上、210℃以下が好ましい。また、効率的に解重合を行えるという点から、エチレングリコールに対して水酸化ナトリウム、または炭酸ナトリウムをBHETに対して0.5重量%以上、2.0重量%以下の範囲で添加して行うことが好ましい。
【0025】
解重合によって得られたBHETを含むエチレングリコール溶液から粗BHETを回収する工程において、粗BHET中のエチレングリコール含有量は0重量%以上、5重量%以下まで除去されることが特に好ましい。粗BHET中のエチレングリコールが5重量%よりも多いと、この後に実施する熱時濾過工程および晶析工程において収率が悪化するため好ましくない。解重合後のBHETを含むエチレングリコール溶液からエチレングリコールを除去するためには、以下のいずれの方法を用いてもよい。一つ目は、解重合で得られたBHETを含むエチレングリコール溶液を、20℃以下に調整した水に滴下し、白濁溶液を得たのちに、フィルターを用いて不純物を含む粗BHETを回収する再沈殿法である。水温は、収率が高くなるという点で15℃以下が好ましく、10℃以下がさらに好ましい。二つ目は、解重合で得られたBHETを含むエチレングリコール溶液に含まれるエチレングリコールを留出除去させる、高濃度化法であり、具体的には80~150℃に加温した状態で200~1000Paの範囲に減圧することで速やかにEGを流出除去することができる。再沈殿法はBHETを含むエチレングリコール溶液を水に滴下する際に着色成分が水相へ移行し、BHETの純度が向上しやすい点で、エチレングリコールの除去には再沈殿法を採用すること好ましい。
【0026】
抽出後のポリエステル布帛の解重合により回収された粗BHETは、この後に実施する精製工程、特に熱時濾過工程において収率が悪化するため、多分散度が1.20以下であることが好ましく、1.10以下であることがさらに好ましく、1.05以下であることが特に好ましい。前記の粗BHETの多分散度評価は検出器として示差屈折率検出器RI(例えば、感度128xのWaters社製「Waters-2414」など)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、例えば、Waters社製「Waters-e2695」など)を用いて、以下の方法によって測定、算出される値のことを指す。
[1]粗BHETを2.5mg採取し、3mLのヘキサフルオロイソプロパノール(0.01Nトリフルオロ酢酸ナトリウム添加)を加え、0.45μmフィルターにて濾過する。
[2]濾液を、検出器として示差屈折率検出器RI(例えば、感度128xのWaters社製「Waters-2414」など)を用い、GPC(例えば、Waters社製「Waters-e2695」など)を用い、以下の条件で測定する。
・カラム:昭和電工株式会社製 ShodexHFIP806M(2本連結)
・溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.01Nトリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
・流速:1.0mL/分
・カラム温度:30℃
・注入量:0.10mL
・標準試料:標準ポリメタクリル酸メチル、標準BHET(東京化成工業株式会社製)
また、粗BHETはこの後に実施する精製工程において効率的に純度を向上させるため、粗BHET中に含まれる着色成分量として、分光光度計で400nm以上800nm以下の範囲に観測される吸光強度面積が200.0未満であることが好ましい。粗BHET中に含まれる着色成分量が200.0以上だと、精製工程で用いる吸着体の寿命が短くなり効率的でない。効率よく精製を行うことができ、色調に優れるBHETを得られる点で、吸光強度面積は150.0未満であることがより好ましく、125.0未満であることがさらに好ましく、100.0未満であることが特に好ましい。分光光度計を用いた吸光強度評価は、次のようにして行う。評価に用いるサンプル調整は、水とヘキサフルオロイソプロパノールの混合溶媒(1:4)を作成後、この混合溶媒で粗BHETが1重量%となる溶液を作成し、分光光度計、例えば株式会社日立ハイテクサイエンス製分光光度計U3010を用い、波長スキャンモードにて400~800nmの吸光強度の積分値を算出する。
【0027】
本発明において、抽出後のポリエステル布帛の解重合により回収された粗BHETは溶媒に溶解させ精製する工程((3)の工程)により、純度が向上したBHETを得ることができる。精製に用いる溶媒は、BHETが溶解すれば特に制限は無いが、再生PET樹脂を製造する際に異物になりにくい点で、水またはエチレングリコールが主成分であることが好ましい。特に水を用いる場合、晶析工程において収率が向上しやすい点でより好ましい。なお、精製に用いる溶媒の50重量%以上を占める物質を主成分とみなす。
【0028】
粗BHETを溶媒に溶解させ精製しBHETを得る工程は以下の熱時濾過((3a)の工程)、吸着処理((3b)の工程)、晶析((3c)の工程)の他に、液相クロマトグラフィ、遠心分離、分子蒸留等の方法が挙げられるが、エネルギー消費量および二酸化炭素排出量を低減できる点で、(3a)~(3c)の工程のみからなることが好ましい。
(3a)粗ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを60℃~100℃の熱水に溶解させ、熱時濾過する工程
(3b)前記(3a)の工程を実施し得られた水溶液を60℃~100℃にて活性炭処理およびイオン交換処理の両方を行う工程
(3c)前記(3b)の工程を実施し得られた水溶液を30℃以下まで冷却してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを晶析させ回収する工程
(3a)の工程として、解重合の工程で回収した粗BHETを60℃以上100℃以下の熱水に溶解させ、熱時濾過することが好ましい。ポリエステル繊維中に含まれる不純物(酸化チタンに代表される金属化合物やシリカゲルに代表される無機化合物等)の除去を行うため、熱水溶解工程および熱時濾過工程を採用することが特に好ましい。解重合工程で回収した粗BHETを60℃以上の熱水に溶解させ、フィルターを通過させることで、BHETが溶解している透明な高温水溶液を得ることができる。熱水の温度が60℃よりも低くなると濾過中にBHETが析出し収率が低下する。BHETが析出しにくい点で、熱水の温度は70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、85℃以上であることが最も好ましい。熱水の温度は高ければ高いほど良いが、100℃を超えると常圧では沸騰してしまうため100℃以下であることが好ましい。
【0029】
(3b)の工程として、(3a)の工程の熱時濾過後の60℃~100℃のBHET水溶液を活性炭処理およびイオン交換処理を行い、水溶液中の着色成分や不純物を吸着除去することが好ましい。熱水の温度が60℃よりも低くなると活性炭処理およびイオン交換処理中にBHETが析出し収率が低下する。BHETが析出しにくい点で、熱水の温度は70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、85℃以上であることが最も好ましい。熱水の温度は高ければ高いほど良いが、100℃を超えると常圧では沸騰してしまうため100℃以下であることが好ましい。
【0030】
活性炭処理では、着色成分または不純物がイオン性、非イオン性に関わらず除去することができるが、BHETも吸着されるため、過剰量の活性炭にBHETが接触すると収率が悪化する。例えば、活性炭を溶液に直接添加し、30分から90分間吸着処理を行う場合、添加量の下限値は着色成分を十分除去できる点でBHETに対して1重量%以上が好ましく、4重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。添加量の上限値は収率の低下を抑えられる点で100重量%以下が好ましく、84重量%以下がより好ましく、21重量%以下であることがさらに好ましく、16重量%以下であることが特に好ましく、12重量%以下であることが最も好ましい。
【0031】
イオン交換処理では、BHET中のイオン性の着色成分や不純物を、BHETの収率を悪化させること無く効率的に除去することができる。特に、ポリエステル布帛が着色成分としてイオン結合性染料を含む場合、イオン交換処理によってイオン結合性染料を容易に除去することができる。イオン交換処理は、イオン交換樹脂やイオン交換膜を吸着体として用いることができるが、コストの面からイオン交換樹脂を用いることが好ましい。イオン交換樹脂としては、例えば、オルガノ株式会社製アンバーライトTMの、陽イオン交換樹脂としてIR120B、IR124、IRC76、陰イオン交換樹脂としてIRA96SB、IRA402BL、IRA410等を使用することができる。イオン交換樹脂のイオン形に特に制限は無いが、イオン交換能力に優れることから、陽イオン交換樹脂の場合、H型、Na型、陰イオン交換樹脂の場合、Cl型、遊離塩基型等を用いることができる。イオン交換樹脂のイオン交換基に特に制限は無いが、イオン交換能力に優れることから、陽イオン交換樹脂の場合、スルホン酸基、カルボン酸基等、陰イオン交換樹脂の場合、トリメチルアンモニウム基、ジメチルエタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基等を用いることができる。
【0032】
着色成分の大部分がカチオン染料に由来することが明らかである場合は陽イオン交換樹脂を、アニオン染料に由来することが明らかである場合は陰イオン交換樹脂を好適に用いることができるが、着色成分以外にもイオン性不純物除去ができることから、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂の両方を用いることが特に好ましい。イオン交換処理に用いる吸着体量は、粗BHET中に含まれるイオン結合性染料のモル数に対して、吸着体が有するイオン交換基が1当量以上になるように用意する必要がある。イオン交換樹脂のイオン交換基量はどのような方法で算出しても良いが、例えば陽イオン交換樹脂の場合、イオン交換樹脂をカラムに充填し塩酸水溶液を通液してイオン交換基をH型にした後、純水を通液し、その後塩化ナトリウム水溶液を通液し得られた処理液に対して中和滴定を実施することで算出が可能である。陰イオン交換樹脂の場合は前記操作にて、塩酸水溶液を塩化ナトリウム溶液に変更すればよい。粗BHET中のイオン結合性染料のモル数は、どのような方法で算出しても良いが、例えば染料含有量が既知である粗BHETと染料含有量不明の粗BHETを用意し、分光光度計で400nm以上800nm以下の範囲に観測される吸光強度面積を比較することで算出が可能である。含有される染料の分子量が不明である場合、代表値として400g/モルを用いてもよい。1当量未満では、理論的に染料の完全除去が不可能である。処理時間を短くでき、十分に染料が除去できる点から、イオン交換基の量は10当量以上であることが好ましく、51当量以上であることがより好ましく、90当量以上であることが特に好ましく、109等量以上であることが最も好ましい。分光光度計を用いた吸光強度評価は、次のようにして行う。評価に用いるサンプル調整は、水とヘキサフルオロイソプロパノールの混合溶媒(1:4)を作成後、この混合溶媒でBHETが1重量%となる溶液を作成し、分光光度計、例えば株式会社日立ハイテクサイエンス製分光光度計U3010を用い、波長スキャンモードにて400~800nmの吸光強度の積分値を算出する。
【0033】
活性炭処理、イオン交換処理はそれぞれの吸着体が充填されたカラムに通液させるか、あるいは溶液に直接吸着体を添加する方法が好適に用いられる。カラムを用いる際、例えば2.5重量%BHET水溶液を通液させる場合は、着色成分や不純物の除去率を向上させる点から空間速度が0.1hr-1より大きく100.0hr-1未満で通液させることが好ましい。0.1hr-1以下である場合、処理時間が長くなり過ぎ、100.0hr-1以上の場合は通液が速すぎて着色成分や不純物が十分に除去されない。効率的に処理を行えることから通液速度の下限値は2.1h-1以上であることがより好ましく、通液速度の上限値は50.0hr-1以下であることがより好ましく、20.0hr-1以下であることがさらに好ましい。
【0034】
なお、活性炭処理については、空間速度が低いとBHETが吸着され、収率が低下する。そのため、BHETの収率を確保する観点で、さらには、空間速度の下限値は2.1hr-1以上が好ましく、8.0hr-1以上がより好ましく、13.0hr-1以上がさらに好ましく、20.0hr-1以上が特に好ましく、50.0hr-1以上が最も好ましく、一方、空間速度の上限値は300.0hr-1以下で通液させることが好ましい。2.1hr-1未満である場合、著しくBHETの収率が低下するが、300.0hr-1より高い場合はBHETの収率低下が抑えられる。
【0035】
したがって、カラムの通液条件は着色成分や不純物の除去とBHETの収率のバランスを考慮する必要があり、前記内容を総合すると空間速度は2.1hr-1以上300.0hr-1以下が好ましい。2.1hr-1未満である場合、著しくBHETの収率が低下し、300.0hr-1より高い場合は着色成分や不純物が十分に除去されない。また、BHETを収率良く回収でき、かつ着色成分や不純物を十分に除去できる観点から、BHETの空間速度の下限値は、8.0hr-1以上がより好ましく、13.0hr-1以上がさらに好ましく、20.0hr-1以上が特に好ましく、50.0hr-1以上が最も好ましい。また、空間速度の上限値は200.0hr-1以下であることがより好ましく、100.0hr-1以下であることがさらに好ましい。
【0036】
カラムへの吸着体の充填方法は特に限定されず、複数種類の吸着体を混合して1本のカラムへ充填する方法を選択してもよいが、吸着体の種別ごとに通液条件を制御できる点で、1種類の吸着体につき1本のカラムへ充填する方法や、吸着体の種別ごとに層を分割した複層式のカラムへ充填する方法が好ましい。
【0037】
活性炭処理およびイオン交換処理の順序はどちらが先でも良いが、粗BHET中にイオン結合性染料の残存が明らかな場合は、精製を効率的に行うために、先にイオン交換処理を実施し、その後に活性炭処理を行うことが好ましい。
【0038】
また、BHETの収率悪化させないために、活性炭処理およびイオン交換処理のそれぞれに用いる吸着体の、以下の式1で表される体積比は0.10以上100.00以下であることが好ましい。
(式1) 体積比=イオン交換処理に用いる吸着体の体積(mL)/活性炭処理に用いる吸着体の体積(mL)
体積比が0.10未満だと、活性炭処理に用いる吸着体量が過剰もしくはイオン交換に用いる吸着体量が不十分でありBHETの収率が悪化する場合やイオン結合性染料の除去が不十分である場合があり、100.00より大きいと活性炭処理に用いる吸着体量が不十分もしくはイオン交換処理に用いる吸着体量が過剰であり、イオン結合性染料やその他の不純物の除去が不十分な場合やコストの面から不利な場合がある。収率を悪化させずに処理を行えることから、体積比の下限値は0.40以上であることがより好ましく、0.55以上であることがさらに好ましく、0.70以上であることが特に好ましく、0.85以上であることが最も好ましい。吸着処理を実施後、フィルターを通過させることで、不純物と活性炭等の吸着材を除去した透明な高温水溶液を得ることができるが、吸着材の種類や処理方法によっては実施不要である。
【0039】
最後に(3c)の工程として、活性炭処理およびイオン交換処理を実施した60~100℃の水溶液を30℃以下まで冷却してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを晶析させ回収することが好ましい。BHETが高収率で得られる点から、冷却温度は30℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、2~5℃の範囲であることが最も好ましい。晶析後のBHETは濾集あるいは遠心分離等の方法で固液分離し、その後40~90℃で送風乾燥あるいは熱風乾燥させ水分率を低減させることが、その後の再重合が速やかに実施可能となるため好ましい。
【0040】
精製工程((3)の工程)におけるBHETの収率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上であることが最も好ましい。
【0041】
本発明の方法では、ポリエステル布帛をケミカルリサイクルするに際して、上述の精製工程を実施することで、色調に優れる高品位なBHETを得ることができる。得られた高品位なBHETを、公知のPET重合法に従い、重合触媒の存在下、重合することでバージンPETと同等の高品位な再生PETを製造することができる。
【0042】
本発明の方法で得られるBHETの色調L*値は80.0以上100.0以下の範囲を示すことが好ましく、90.0以上100.0以下の範囲を示すことがより好ましく、95.0以上100.0以下の範囲を示すことが特に好ましい。色調a*値は-5.0以上5.0以下の範囲を示すことが好ましく、-2.0以上2.0以下の範囲を示すことがより好ましく、-1.5以上1.5以下を示すことが特に好ましい。色調b*値は-5以上5以下の範囲を示すことが好ましく、-2.0以上2.0以下の範囲を示すことがより好ましく、-1.5以上1.5以下を示すことが特に好ましい。色調L*値、a*値、b*値がこの範囲を示す場合、BHETを重縮合して得た再生ポリエステル樹脂の色調はバージンポリエステル樹脂と同等となる。
【0043】
さらに、BHET中に含まれる着色成分量として、分光光度計で400nm以上800nm以下の範囲に観測される吸光強度面積が20.0未満であることが好ましい。吸光量が少なく、高品位なBHETおよびPET樹脂が得られるという点で、10.0未満がより好ましく、2.0未満がさらに好ましく0.5未満が特に好ましく、0.3未満が最も好ましい。なお、検出下限値は0.1である。分光光度計を用いた吸光強度評価は、次のようにして行う。評価に用いるサンプル調整は、水とヘキサフルオロイソプロパノールの混合溶媒(1:4)を作成後、この混合溶媒でBHETが1重量%となる溶液を作成し、分光光度計、例えば株式会社日立ハイテクサイエンス製分光光度計U3010を用い、波長スキャンモードにて400~800nmの吸光強度の積分値を算出する。
【0044】
また、本発明の方法で得られるBHETは、ポリエステル布帛に含まれていた共重合成分が除去されていることが好ましい。精製後のBHETに残存する共重合成分としては種々の化合物があり、例えば、ジカルボン酸はテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。特に、カチオン染料で染色されるポリエステル繊維によく用いられる、5-スルホイソフタル酸ナトリウムが除去されていることが好ましい。共重合成分を含むと、BHETを重縮合して得た再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶性が低下し、加工性や物性が悪化する。BHETに残存する共重合成分の検出は、例えば次のようにして行うことができる。評価に用いるサンプル調整は、重水素化された重ヘキサフルオロイソプロパノールでBHETが1.5重量%となる溶液を作成し、核磁気共鳴装置、例えば日本電子株式会社製核磁気共鳴装置JNM-ECZ500Rを用いてH-NMR測定を行い、得られたスペクトルにて、BHET以外の共重合成分に由来するピークが観測されるか確認する。BHETのベンゼン環に由来するピークは7.5ppm付近、エチレン基に由来するピークは3.3ppmおよび3.8ppm付近に観測され、ベンゼン環に由来するピークの積分値に対して、エチレン基に由来するピークの積分値の比はおおよそ1:2になる。得られたスペクトルにおいて、前記BHETに由来するピーク以外のピークが観測された場合は共重合成分やその他の不純物が残存していると判断できる。例えば、5-スルホイソフタル酸ナトリウムが残存している場合8.2ppm~8.3ppm付近にピークが観測される。
【0045】
本発明の方法によりポリエステル布帛をケミカルリサイクルすることで得られたBHETを重縮合することで、リサイクル前と同品質なポリエチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
【実施例0046】
<A.抽出工程の収率の算出>
抽出工程における収率を式2にて算出し、以下のように評価した。なお、抽出処理後の布帛は乾燥し抽出溶媒を除去した後、重量を測定した。
【0047】
(式2) 抽出工程の収率(%) = 抽出処理後の布帛の重量/抽出処理前の布帛の重量×100
S:90%以上100%以下
A:80%以上90%未満
B:70%以上80%未満
C:60%以上70%未満
D:0%以上60%未満。
【0048】
<B.粗BHETおよび精製後BHETの吸光強度面積測定>
分光光度計を用いた吸光強度面積は、次のようにして測定した。評価に用いたサンプルは、水とヘキサフルオロイソプロパノールの混合溶媒(1:4)を作成後、この混合溶媒でBHETが1重量%となる溶液を作成した。分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製分光光度計U3010)を用い、波長スキャンモードにて400~800nmの吸光強度の積分値(吸光強度面積)を算出した。
【0049】
<C.粗BHETに含まれるイオン結合性染料のモル数の算出>
粗BHETに対してカチオン染料に分類されるNichilon Black TR200%を4重量%の濃度で混合したサンプルを、染料含有量既知のサンプルとして用意し、前記A項に記載の方法で吸光度面積測定を実施した。染料含有量既知のサンプルと実施例および比較例に記載のサンプルの吸光度面積を比較し、粗BHET2g中に含まれるイオン結合性染料のモル数を算出した。なお、イオン結合性染料の分子量は代表値として400g/モルを用いた。
【0050】
<D.粗BHETの多分散度測定>
粗BHETの多分散度は、以下の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)(Waters-e2695)
検出器:示差屈折率検出器RI(Waters-2414,感度128x)
カラム:昭和電工株式会社製 ShodexHFIP806M(2本連結)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.01Nトリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
注入量:0.10mL
標準試料:標準ポリメタクリル酸メチル、標準BHET(東京化成工業株式会社製)。
【0051】
<E.精製工程の収率の算出>
精製工程における収率を式3にて算出し、以下のように評価した。
【0052】
(式3) 精製工程の収率(%) = 精製後のBHETの重量/粗BHETの重量×100
S:90%以上100%以下
A:80%以上90%未満
B:70%以上80%未満
C:60%以上70%未満
D:0%以上60%未満。
【0053】
<F.全収率の算出>
抽出処理前の布帛から得られた精製後のBHETの全収率として式4にて算出し、以下のように評価した。なお、抽出工程を実施しなかった場合は収率100%として計算した。
【0054】
(式4) 全収率(%) = 抽出工程の収率×精製工程の収率/100
S:80%以上100%以下
A:70%以上80%未満
B:60%以上70%未満
C:50%以上60%未満
D:0%以上50%未満。
【0055】
<G.BHETの色調分析>
布帛およびBHETの色調分析にはミノルタ製分光測色計CM-3700d型を用いた。黒色校正板をバックに試料を設置し、色調L*値およびa*値、b*値を測定した。
【0056】
H.BHETに残存する共重合成分の検出
BHETに残存する共重合成分の検出は、次のようにして実施した。
【0057】
評価に用いるサンプルとして、重水素化された重ヘキサフルオロイソプロパノールでBHETが1.5重量%となる溶液を作成した。この溶液について核磁気共鳴装置、日本電子株式会社製JNM-ECZ500Rを用いてH-NMR測定を行い、得られたスペクトルにて、5-スルホイソフタル酸ナトリウムに由来するピークが観測されるか確認した。ピークが観測されれば共重合成分「有」、観測されなければ「無」と判断した。
【0058】
[実施例1]
イオン結合性染料を含むポリエステル布帛として、カチオン染料に分類されるNichilon Black TR200%を用いて4%owfの濃度で染色(120℃、60分)した黒色のポリエステル布帛を1cm角に裁断したものを用意した。なお、布帛はポリエチレンテレフタレートに5-スルホイソフタル酸ナトリウムを共重合した、ポリエステル布帛であった。
【0059】
(抽出工程)2Lの4口フラスコにエチレングリコールを1000g、水酸化ナトリウムを0.1g入れマントルヒーターに設置後、裁断した黒色のポリエステル布帛15gを直径25mm長さ300mmのガラス管に充填して2Lの4口フラスコと接続した。さらに、接続したガラス管の上部にジムロート冷却管を接続した。マントルヒーターの設定温度を210℃として加熱を開始し、EG還流下に曝すことでEG蒸気および高温EG液に接触させる操作を30分間行い着色成分の抽出を実施した。ガラス管下部を通過する蒸気温度は195~205℃、ジムロート冷却管にて還流される液体EGの温度は185~195℃であった。抽出後の布帛を水洗後乾燥し回収した。抽出工程におけるポリエステル布帛の収率は表1のとおりである。
【0060】
(解重合工程)抽出後の布帛を水洗後に乾燥し、1Lの4口フラスコに10.0g入れ、さらにエチレングリコールを55g、水酸化ナトリウム0.1gを添加し、撹拌を行い、エチレングリコール温度200℃にて、2時間、解重合を実施した。解重合後、加熱を止め、解重合溶液が100℃以下に低下したら、10℃以下に調整した500mLの水に滴下し、白濁溶液を得た。得られた白濁溶液を4μフィルターで濾過して固形分として粗BHETを得た。粗BHETの吸光強度面積、イオン結合性染料のモル数、多分散度は表1のとおりである。
【0061】
(精製工程)得られた粗BHET2.0gを80mLの95℃の熱水に入れて溶解させ、2.5重量%粗BHET水溶液となるように調製し、1.6μフィルターを用いて濾過を実施した。得られた透明な濾液に、オルガノ株式会社製アンバーライトTMの、陽イオン交換樹脂IR120B(H型、見掛け密度:790g/L-R、陽イオン交換基量:≧1.80モル/L-R)を0.30mL添加して95℃に加熱しながら撹拌し、1時間後に1.0μフィルターを用いてイオン交換樹脂を除去した。続けて、得られた透明な濾液に、大阪ガスケミカルズの活性炭(嵩密度0.56g/mL)を粗BHETに対して0.36mL(10重量%)添加して95℃加熱しながら撹拌し、1時間後に1.0μフィルターを用いて活性炭を除去した。得られた透明な濾液を20℃以下に冷却し、BHETを晶析させて固液分離を行い、固形分を50℃で風乾することで精製されたBHETを得た。精製工程の収率、全収率、BHETの色調、吸光度面積、BHET中の共重合成分として5-スルホイソフタル酸の残存有無は表1のとおりである。
【0062】
[実施例2]
イオン結合性染料を含むポリエステル布帛の染色時の染料濃度が10%owfであること以外は実施例1と同様に実施した。
【0063】
[実施例3~6]
抽出工程において、エチレングリコールとの接触時間が表1のとおりである以外は実施例1と同様に実施した。
【0064】
[実施例7]
解重合工程において、水酸化ナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0065】
[実施例8]
精製工程において、熱水の代わりに95℃の熱エチレングリコールを用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0066】
【表1】
【0067】
[実施例9~12]
精製工程において、熱水の温度が表2の通りである以外は実施例1と同様に実施した。
【0068】
[実施例13]
精製工程において、吸着体の添加量と撹拌時間が表2の通りである以外は実施例1と同様に実施した。
【0069】
[実施例14~17]
精製工程において、濾過後の透明な溶液のイオン交換処理および活性炭処理を、2本のガラス製のカラムにイオン交換樹脂と活性炭をそれぞれ充填し、イオン交換樹脂を充填したカラム、活性炭を充填したカラムの順に溶液が通液するように連結し通液した後に晶析したこと以外は実施例1と同様に実施した。なお、各吸着体の充填量、通液速度は表2のとおりである。また、それぞれの例について、溶液がそれぞれのカラムに入ってから出てくるまでの時間(吸着体との接触時間)は、6分、36秒、15秒、7秒であった。
【0070】
【表2】
【0071】
[実施例18~25]
精製工程において用いた活性炭とイオン交換樹脂の添加量を表3のとおり変更した以外は実施例1と同様に実施した。
【0072】
【表3】
【0073】
[実施例26~30]
精製工程において、濾過後の透明な溶液のイオン交換処理および活性炭処理を、2本のガラス製のカラムにイオン交換樹脂と活性炭をそれぞれ充填し、イオン交換樹脂を充填したカラム、活性炭を充填したカラムの順に溶液が通液するように連結し通液した後に晶析したこと以外は実施例1と同様に実施した。なお、各吸着体の充填量、通液速度は表4のとおりである。また、それぞれの例について、溶液がそれぞれのカラムに入ってから出てくるまでの時間(吸着体との接触時間)は、12分19秒、1分32秒、57秒、4秒、3秒であった。
【0074】
【表4】
【0075】
[比較例1]
抽出工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0076】
[比較例2]
抽出工程を実施せず、さらに解重合工程において、得られた解重合溶液は再沈殿を行わず、減圧留去にてエチレングリコールを除去して粗BHETを得た後(高濃度化法)、精製工程において熱水の代わりに95℃熱エチレングリコールを用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0077】
[比較例3]
抽出工程を実施せず、さらに解重合工程において、布帛18重量%、エチレングリコール81重量%、水1重量%の条件で解重合を実施した解重合後の粗BHETを含むエチレングリコール溶液は再沈殿を実施せず、そのまま精製工程に移った。このとき、粗BHETを含むエチレングリコール溶液は粗BHET23重量%、エチレングリコール76重量%、水1重量%であった。特性評価用の粗BHETは解重合後の粗BHETを含むエチレングリコール溶液から一部抜き取り、減圧留去にてエチレングリコールを除去する高濃度化法にて採取した。
【0078】
精製工程において、解重合後の粗BHETを含むエチレングリコール溶液の温度を80℃に保持し、1.6μフィルターを用いて濾過を実施した。得られた溶液は、通液速度250mL/hで活性炭(二村化学株式会社製、太閤SGA)100mLを充填したカラムに通液後(空間速度2.5hr-1)、陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトTM IR120B、H型、見掛け密度:790g/L-R、陽イオン交換基量:≧1.80モル/L-R)25mLおよび陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトTM IRA96SB、遊離塩基型、見掛け密度:670g/L-R、陰イオン交換基量:≧1.25モル/L-R)25mLを充填した複層式カラムに通液(空間速度5.0hr-1)し、その後に晶析を実施した。上記操作以外は実施例1と同様に実施した。
【0079】
比較例1~3は抽出工程を実施しなかったために、精製工程後もイオン結合性染料の除去が不十分であり、粗BHETおよび精製後のBHETの色調、吸光強度測定値が劣るものであった。
【0080】
[比較例4~6]
抽出工程において、エチレングリコールとの接触時間が表5のとおりである以外は実施例1と同様に実施した。なお、比較例4ではイオン交換樹脂の添加は行わず、比較例5では活性炭の添加は行わなかった。
【0081】
比較例4~6は、抽出工程におけるエチレングリコールとの接触時間が長すぎるため、ポリエステル繊維の分解が進行してしまい、抽出工程の収率が著しく劣るものであった。
【0082】
[比較例7]
抽出工程において、回収布帛を充填するガラス管を、還流コンデンサーを付したソックスレー抽出器に変更し、エチレングリコールとの接触時間を90分にしたこと以外は実施例1と同様に実施した。なお、この時エチレングリコール蒸気は充填した布帛に接触せず冷却管へ到達していた。
【0083】
[比較例8]
抽出工程において、裁断後の布帛をガラス管に充填せず2Lの4口フラスコに直接投入してEGに浸漬させ、2Lの4口フラスコにガラス管は接続せず直接ジムロート冷却管を接続し、マントルヒーターの設定温度を150℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
【0084】
[比較例9]
抽出工程においては、特許文献1の実施例1に記載されているように、裁断後の布帛をガラス管に充填せず2Lの4口フラスコに直接投入してエチレングリコールに浸漬させ、2Lの4口フラスコにガラス管は接続せず直接ジムロート冷却管を接続し、マントルヒーターの設定温度を150℃に変更した。30分間エチレングリコールと布帛を接触させた後、4口フラスコ中のエチレングリコールを新しいエチレングリコールと交換し同様の操作を実施した。これを計3回繰り返し、合計接触時間が90分となるように実施した。その後、布帛の温度を室温まで下げてから、プレスロールで圧搾してエチレングリコールを絞り取った。
【0085】
解重合工程において、エチレングリコールを20重量%含んでいる抽出後の布帛12.3gにエチレングリコール52.5g、および水酸化ナトリウム0.025gを加えて解重合を実施した。解重合後の粗BHETを含むエチレングリコール溶液は再沈殿を実施せず、そのまま精製工程に移った。特性評価用の粗BHETは解重合後の粗BHETを含むエチレングリコール溶液から一部抜き取り、減圧留去にてエチレングリコールを除去する高濃度化法にて採取した。
【0086】
精製工程においては、特許文献1の実施例1に記載されているように、エチレングリコール溶液の温度を85℃に保持し、1.6μフィルターを用いて濾過を実施した。得られた溶液は空間速度3.0hr-1で活性炭(三菱化学株式会社製、ダイアホープ006)50mL充填したカラムに通液後、空間速度7hr-1で陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトTM IR120B、H型、見掛け密度:790g/L-R、陽イオン交換基量:≧1.80モル/L-R)20mL充填したカラムに通液して、さらに前記陽イオン交換樹脂6.7mLと陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトTM IRA96SB、遊離塩基型、見掛け密度:670g/L-R、陰イオン交換基量:≧1.25モル/L-R)13.3mL充填したカラムに通液し、その後に晶析を実施した。上記操作以外は実施例1と同様に実施した。
【0087】
[比較例10]
抽出工程においては、特許文献1の実施例5に記載されているように、裁断後の布帛が直列に並ぶようにコンベアに固定し、向流抽出装置により連続的に抽出した。抽出は、抽出器の片側の布地挿入口から60g/hrで布地を挿入し、他方のエチレングリコール注入口からは195℃のエチレングリコールを1,200g/hrで注入し、抽出後のエチレングリコールは布地挿入口近くのエチレングリコール排出口から排出し、着色成分抽出済みの布帛はエチレングリコール注入口近くの布地抜出口から抜出す方法で行い、布地とエチレングリコールとの接触時間は40分であった。その後、布帛の温度を室温まで下げてから、プレスロールで圧搾してエチレングリコールを絞り取った。
上記操作以外は比較例9と同様に実施した。
【0088】
比較例7~10は、抽出工程において布帛と接触するエチレングリコール液体の温度が低く、エチレングリコール蒸気との接触も無いため、精製工程後もイオン結合性染料の除去が不十分であり、精製後のBHETの色調、吸光強度測定値が劣るものであった。
【0089】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、イオン結合性染料を含むポリエステル布帛から着色成分を十分に除去し、色調に優れるBHETを効率良く得ることができ、廃棄前と同品質なPET樹脂への再生が可能となるため、繊維・繊維製品のケミカルリサイクルにおいて有用である。