(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096847
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材
(51)【国際特許分類】
B64G 1/22 20060101AFI20250623BHJP
【FI】
B64G1/22 100B
B64G1/22 224
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212789
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】庄司 研
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 潔
(72)【発明者】
【氏名】新井 舞子
(57)【要約】
【課題】一定の質量を必要とする動力源や機械駆動部を有さず、軽量に実現することが可能な加力装置と、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材を提供する。
【解決手段】加力装置3は、被変位体2に対し力を加えて被変位体2を変位させる加力装置3であって、被変位体2に取り付けられた、密閉された袋体31と、袋体31に収容された液体32Lと、を備え、太陽からの放射熱により液体32Lが気化して袋体31が膨張することで、被変位体2を変位せしめる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被変位体に対し力を加えて前記被変位体を変位させる加力装置であって、
前記被変位体に取り付けられた、密閉された袋体と、
前記袋体に収容された液体と、
を備え、
太陽からの放射熱により前記液体が気化して前記袋体が膨張することで、前記被変位体を変位せしめる
ことを特徴とする、加力装置。
【請求項2】
前記液体は、沸点が、月の昼間において前記放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質であり、
前記袋体は、柔軟性を有する樹脂製である
ことを特徴とする、請求項1に記載の加力装置。
【請求項3】
前記袋体は、前記液体が気化して膨張したときに、板状、または棒状となるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の加力装置。
【請求項4】
第1部材と第2部材を備え、及び請求項1から3のいずれか一項に記載の加力装置を、第1の加力装置として備え、
前記第1部材と前記第2部材は、各々に沿って設けられた第1回転軸を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面が対向するように閉じて設けられ、
前記第1の加力装置の前記袋体が、前記第1回転軸を跨いで設けられて、前記第1部材と前記第2部材の各々に接合されている
ことを特徴とする展開可能部材。
【請求項5】
第1部材と第2部材、及び請求項1から3のいずれか一項に記載の加力装置を備え、
前記第1部材は、前記第2部材によってガイドされつつ、前記第2部材に対して離接自在に設けられ、
前記加力装置の前記袋体が膨張する際に、前記袋体が、前記第1部材と前記第2部材の、互いに対向する表面の各々に当接するように設けられている
ことを特徴とする伸長可能部材。
【請求項6】
前記第1部材と前記第2部材は、弾性部材により、互いに接近する方向に付勢されている
ことを特徴とする請求項5に記載の伸長可能部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材に関する。
【背景技術】
【0002】
月面や宇宙において、探査活動等を行うに際し、活動拠点となる基地を設営することが考えられる。基地の設営のためには、例えばフレーム構造を折り畳まれた状態で基地の設営地点まで搬送し、到着後に展開して、基地の骨格を形成することが、想定され得る。また、同様に折り畳まれた状態で搬送された太陽光パネルを展開して、基地の運営のために必要な電力を確保することも、想定され得る。このような、パネル材やフレーム構造等を、展開したり、位置を変えたりして、変位せしめる作業を、人手で行うことは容易ではない。したがって、パネル材やフレーム構造等を被変位体とし、この被変位体を、上記のように変位させるための、何らかのアクチュエータ(以降、加力装置と呼称する)が必要となる。
【0003】
一般に、加力装置としては、例えば特許文献1に記載されたような、空気圧を利用して動作するエアシリンダが挙げられる。あるいは、加力装置として、電動モータの力で動作する電動アクチュエータ等も挙げられ得る。
上記のようなエアシリンダや電動アクチュエータは、例えば空気ボンベやコンプレッサー、バッテリーや電動モータ等の、動力を発生させる動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として必要とする。これらの構成要素は、一定の質量を有するため、加力装置そのものも、相応の質量を有するものとなる。
【0004】
ここで、地球から地球外へと物資を搬送する場合においては、地球の重力に逆らうようにして物資を搬送する必要があるため、物資の質量はできるだけ小さいほうが望ましい。したがって、加力装置においても、その質量を小さくすることが望まれる。
また、地球から地球外へと物資を搬送する場合においては、物資に大きな加速度が作用するため、加力装置が複雑な機械構造を有している場合においては、この加速度の影響により、加力装置が故障する可能性もある。したがって、加力装置が、機械的に駆動される部分を有さないように構成するのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、一定の質量を必要とする動力源や機械駆動部を有さず、軽量に実現することが可能な加力装置と、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の加力装置は、被変位体に対し力を加えて前記被変位体を変位させる加力装置であって、前記被変位体に取り付けられた、密閉された袋体と、前記袋体に収容された液体と、を備え、太陽からの放射熱により前記液体が気化して前記袋体が膨張することで、前記被変位体を変位せしめることを特徴とする。
上記のような構成によれば、加力装置は、密閉された袋体と、袋体に収容された液体と、を備えている。太陽からの放射熱を受けると、液体が気化することで、袋体が膨張する。すると、袋体の膨張により、袋体の体積が増大するため、袋体が取り付けられた被変位体は、この袋体に加力されて変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置を、最低限、袋体と液体のみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置を提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記液体は、沸点が、月の昼間において前記放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質であり、前記袋体は、柔軟性を有する樹脂製である。
このような構成によれば、加力装置を月面で使用する場合において、太陽からの放射熱により液体を効率的に沸点以上に加熱して、液体を気化させることができる。袋体が柔軟性を有する樹脂製であるので、液体が気化した際に、袋体が容易に膨張する。これにより、被変位体を容易に変位せしめることができる。
また、液体が気化していない状態であるときには、袋体の内圧が低減しているため、袋体の表面には張りがなく、袋体の形状を、容易に、変化させることができる状態となっている。このため、袋体を、被変位体が変位される前の位置、形状にあわせた、任意な形状として設けることが可能となる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記袋体は、前記液体が気化して膨張したときに、板状、または棒状となるように形成されている。
このような構成によれば、液体が気化して膨張したときに、袋体が、板状、または棒状となることで、被変位体を、板状、または棒状の袋体に沿わせた状態に変位させることができる。
【0010】
また、本発明の加力装置を用いた展開可能部材は、第1部材と第2部材を備え、及び上記したような加力装置を、第1の加力装置として備え、前記第1部材と前記第2部材は、各々に沿って設けられた第1回転軸を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面が対向するように閉じて設けられ、前記第1の加力装置の前記袋体が、前記第1回転軸を跨いで設けられて、前記第1部材と前記第2部材の各々に接合されていることを特徴とする。
このような構成によれば、第1の加力装置の袋体に収容された液体が、太陽からの放射熱を受けて気化することで、袋体が膨張して、張りが生じた剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体が、第1回転軸を跨いで設けられて、第1部材と第2部材の各々に接合されているので、袋体が剛性を発現しはじめることにより、各々の表面が対向するように閉じて設けられた第1部材と第2部材とが、第1回転軸を中心として回動し、各々の表面が離間して、互いに対向しない状態となるように展開される。このようにして、袋体が取り付けられた第1部材と第2部材とが、袋体の膨張により、折り畳まれた状態から展開された状態に変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置を、最低限、袋体と液体のみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置を備えた展開可能部材を提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明の伸長可能部材は、第1部材と第2部材、及び上記したような加力装置を備え、前記第1部材は、前記第2部材によってガイドされつつ、前記第2部材に対して離接自在に設けられ、前記加力装置の前記袋体が膨張する際に、前記袋体が、前記第1部材と前記第2部材の、互いに対向する表面の各々に当接するように設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、加力装置の袋体に収容された液体が、太陽からの放射熱を受けて気化することで、袋体が膨張する。すると、加力装置の袋体が膨張する際に、袋体が、第1部材と第2部材の、互いに対向する表面の各々に当接するように設けられているため、袋体の膨張により、第1部材が第2部材に対して、離間する方向に加力される。これにより、第1部材が、第2部材によってガイドされつつ、第2部材に対して離間する方向に変位する。その結果、袋体の膨張により、袋体が取り付けられた第1部材と第2部材との全長が、伸長するように変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置を、最低限、袋体と液体のみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置を備えた伸長可能部材を提供することが可能となる。
【0012】
本発明の一態様においては、前記第1部材と前記第2部材は、弾性部材により、互いに接近する方向に付勢されている。
このような構成によれば、太陽からの放射熱により袋体内の液体が気化した後、加力装置に太陽からの放射熱が作用しなくなり、袋体内の温度が、液体の沸点以下に低下すると、袋体内の気体は液化し、袋体の内圧が低減するため、袋体が収縮し、剛性を失う。すると、袋体の膨張による、第1部材への、第2部材に対して離間する方向への加力が解除される。ここで、第1部材と第2部材が、弾性部材により、互いに接近する方向に付勢されているので、袋体の膨張による加力が解除されると、第1部材と第2部材とが、弾性部材による付勢力により、互いに接近する方向に変位せしめられる。このようにして、第1部材と第2部材の全長が縮まる。このようにして、伸長可能部材を、太陽からの放射熱の有無に応じて、袋体内の液体の気化、および液化を繰り返すことで、伸縮させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定の質量を必要とする動力源や機械駆動部を有さず、軽量に実現することが可能な加力装置と、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材の構成を示す図である。
【
図2】
図1の展開可能部材を展開した状態を示す図である。
【
図4】展開可能部材が折り畳まれた状態から展開した状態へと移行する途中の状態を示す断面図である。
【
図5】展開可能部材が展開した状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例における、展開可能部材が折り畳まれた状態を示す断面図である。
【
図7】
図6の展開可能部材が展開した状態を示す断面図である。
【
図8】
図7の展開可能部材が展開した状態から、加力装置の袋体内の温度が低下して気体が液化した状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の第2変形例における展開可能部材を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1実施形態の第3変形例における展開可能部材を示す断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の第4変形例に係る展開可能部材の構成を示す図である。
【
図12】
図11の展開可能部材を1段階展開した状態を示す図である。
【
図13】
図12の展開可能部材をさらに1段階展開した状態を示す図である。
【
図15】
図13の展開可能部材が折り畳まれた状態から1段階展開した状態を示す断面図である。
【
図16】
図14の展開可能部材が、さらにもう1段階展開した状態を示す断面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態の第5変形例に係る展開可能部材が折り畳まれた状態を示す断面図である。
【
図18】
図17の展開可能部材が折り畳まれた状態から1段階展開した状態を示す断面図である。
【
図19】
図18の展開可能部材が、さらにもう1段階展開した状態を示す断面図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係る加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材の構成を示す図である。
【
図22】
図20の展開可能部材を展開した状態を示す図である。
【
図23】
図22の展開可能部材を展開した状態を示す断面図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る伸長可能部材の構成を示す図である。
【
図25】
図24の伸長可能部材を伸長させた状態を示す図である。
【
図26】本実施形態に係る伸長可能部材を備えた機構の一例を示す図である。
【
図27】本実施形態の変形例に係る加力装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明による加力装置と、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材の構成を示す図を
図1に示す。
図2は、
図1の展開可能部材を展開した状態を示す図である。
図3は、
図1のI-I矢視断面図である。
図4は、展開可能部材が折り畳まれた状態から展開した状態へと移行する途中の状態を示す断面図である。
図5は、展開可能部材が展開した状態を示す断面図である。
【0016】
本実施形態の展開可能部材1Aは、例えば、月面に設置される太陽電池ユニットである。なお、展開可能部材1Aの設置場所は、宇宙空間等、月面以外であってもよい。また、展開可能部材1Aは、太陽電池ユニット以外のものであってもよい。
この展開可能部材1Aは、加力装置3と、加力装置3によって変位せしめられる、複数枚の被変位体2と、を有している。
各被変位体2は、本実施形態においては太陽電池パネルである。被変位体2の各々は、所定の厚さを有した板状のパネル本体と、パネル本体の表面に設けられ、太陽光の照射により電気を発生するシリコン半導体からなる発電部と、を含んで構成されている。
本実施形態では、展開可能部材1Aは、複数枚の被変位体2として、第1部材21と、一対の第2部材22と、を備えている。
【0017】
第1部材21は、展開可能部材1Aの中央部に配置されている。第1部材21は、例えば、平面視長方形状である。
一対の第2部材22は、第1部材21を挟んで一方の側と他方の側に配置されている。各第2部材22は、第1部材21の長辺21bに沿って設けられている。各第2部材22は、平面視直角三角形状で、第1部材21の長辺21bに沿う辺22bを有している。各第2部材22と第1部材21は、適宜のヒンジ等により、例えば第2部材22、第1部材21の一方の表面22f、21f側で、辺22b、および長辺21bに沿うように設けられた第1回転軸S1回りに回動自在に連結されている。
なお、第1部材21と第2部材22の形状は、上記のような、長方形状や直角三角形状に限られず、他の形状を有していても構わない。
このようにして、第1部材21と、一対の第2部材22は、各々に沿って設けられた第1回転軸S1を中心として相対的に回転可能に接合されている。
図3に示すように、第1部材21と一対の第2部材22の各々は、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられている。
【0018】
本実施形態の展開可能部材1Aにおいては、後に説明するような加力装置3によって、
図3に示すような、第1部材21の表面21fに対し、一対の第2部材22の各々の表面22fが対向した状態から、
図5に示すような、第1部材21に対し、一対の第2部材22の各々を、第1回転軸S1を中心として回動させ、第1部材21の表面21fと第2部材22の表面22fが、互いに対向せず、同一の方向を向いた状態へと、その状態が変化せしめられる。
ここで、以下の説明において、
図3に示すような状態を、展開可能部材1Aが折り畳まれた状態と称する。また、
図5に示すような状態を、展開可能部材1Aが展開した状態と称する。
本実施形態において、展開可能部材1Aが展開した状態では、第1部材21の側端面21sと第2部材22の側端面22sとが当接し、第1部材21の表面21fと、一対の第2部材22の表面22fとが、同一平面に沿って位置する。
【0019】
なお、展開可能部材が太陽電池ユニットとして使用される本第1実施形態、及び後述の第1実施形態の各変形例において、説明に用いられる、
図3~10、
図14~19に示される各断面図に関しては、各断面図に示される展開可能部材の上方に、太陽が位置するものとする。したがって、例えば本第1実施形態においては、
図5に示されるように展開可能部材1Aが展開した状態で、太陽に面する表面21f、22fに、発電部が設けられている。すなわち、本実施形態においては、
図3に示されるように、展開可能部材1Aが折り畳まれた状態においては、第1部材21と第2部材22の、発電部が設けられた表面21f、22f同士が、互いに対向するように設けられている。
【0020】
加力装置3は、被変位体2に対し力を加えて被変位体2を変位させる。本実施形態では、加力装置3として、第1の加力装置3Aを有している。
図3~
図5に示すように、第1の加力装置3Aは、第1回転軸S1を跨いで、第1部材21の、表面21fとは反対側の他方の表面21gと、第2部材22の、表面22fとは反対側の他方の表面22gと、の各々に対し、接着剤、溶着等により接合されている。第1の加力装置3Aは、第2部材22の各々に対して、第2部材22と第1部材21とを接続するように設けられている。
図3に示すように、第1の加力装置3Aは、袋体31と、袋体31に収容された液体32Lと、を備えている。
【0021】
袋体31は、柔軟性、可撓性、および気密性を有した膜状、フィルム状の材料から形成された、中空の密閉構造である。袋体31は、太陽光の照射による温度上昇に耐えうる耐熱性を有している。後に説明するように、袋体31に収容された液体32Lが太陽からの放射熱により気化することで、袋体31が膨張し、剛性が発現した、一定の形状を形成する状態へと、徐々に変化する。このように袋体31が膨張した後に、袋体31が形状を維持するために、袋体31は、伸縮性を有さないのが好ましい。具体的に、袋体31は、液体32Lが袋体31内で気化した際に、袋体31を形成する膜状、フィルム状の材料が伸びないような膜厚、膜強度を有しているのが好ましい。
【0022】
また、袋体31は、太陽からの放射熱により、袋体31内の液体32Lが効率良く加熱されるよう、太陽光を透過する光透過性を有する、例えば透明な材料で形成するのが好ましい。また、袋体31は、太陽からの放射熱により、袋体31自体が効率良く加熱されるよう、袋体31を、集熱性の高い色、例えば黒色の材料で形成するようにしてもよい。あるいは、袋体31に対し、黒色の塗装等による表面処理を施すようにしてもよい。また、袋体31は、熱伝導率のなるべく高い材料で形成するのが好ましい。袋体31は、熱伝導率が高くない材料で形成されても構わない。この場合においては、袋体31の内部の液体32Lが容易に加熱されるように、例えば、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂により、薄く製造するのが望ましい。
本実施形態において、袋体31は、2枚の膜状、フィルム状のシート部材を重ね合わせて、その全ての周辺が互いに接合された形状として、形成されている。これにより、本実施形態では、袋体31は、液体32Lが気化して気体32Aとなったときに、板状となるように形成されている。このシート部材の双方が、光透過性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、シート部材の双方が、光透過性を有さず、集熱性の高い色を有するように、形成されていてもよい。更には、シート部材の一方が光透過性を有する材料で形成され、他方が集熱性の高い色を有するように、形成されていてもよい。
【0023】
液体32Lは、密封された袋体31内に収容されている。液体32Lは、太陽からの放射熱により気化する。液体32Lは、太陽からの放射熱により、液体32Lの沸点以上に加熱されることで気化する。例えば、展開可能部材1Aを月面上で用いる場合、月は、昼夜の太陽からの放射熱の有無により、温度が-170℃~110℃程度に変動する。したがって、この場合、液体32Lは、太陽からの放射熱により気化するよう、沸点が100℃以下の物質であるのが好ましい。既往の研究においては、月面の温度が128℃であるとするものもあり、この場合には、液体32Lは、沸点が120℃以下の物質であるのが好ましい。いずれの場合であっても、液体32Lは、沸点が、月の昼間において放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質とするのが望ましい。また、加力装置3を、地球で製造した後、地球外へと搬送して、実際に使用するまでの間においては、液体32Lが気化せずに、液体としての状態を維持する必要がある。このために、液体32Lは、沸点が、地球における常温以上、例えば50℃以上の物質であるのが好ましい。このような液体32Lとしては、例えば、水、エタノール等が例示される。
また、太陽からの放射熱により液体32Lが気化することで気体32Aが生成される。液体32Lが気化して気体32Aとなることで、その体積が増大し、袋体31が膨張する。液体32Lは、その全量が気化して気体32Aとなったときに、袋体31を弛みなく完全に膨張させ、袋体31に一定の剛性を発現せしめて、その形状を維持できるような所定量が、袋体31内に収容されている。
なお、袋体31は、液体32Lが袋体31内で気化した際に、袋体31の内外の圧力差が、例えば100Pa以上となるように膨張させるのが好ましい。
【0024】
このような展開可能部材1Aは、
図3に示すように、第1部材21の表面21fに対し、一対の第2部材22の各々の表面22fを対向させた、折り畳まれた状態で、月面Mに搬入される。展開可能部材1Aは、第1部材21において、月面M上に支持される。
図3においては、展開可能部材1Aは月面Mに直に置かれているように図示されているが、展開可能部材1Aは、月面Mに設けられた支柱などの支持部材が、例えば第1部材21が他方の表面22gに接合されることで、当該支持部材によって、月面Mから離間した位置で支持されても構わない。このようにして、折り畳まれた状態の展開可能部材1Aを、第1部材21の、発電部が設けられた表面21fと、第2部材22の表面22gとが、上方を向くように設置する。これにより、袋体31の、第2部材22の表面22gに沿った部分が、太陽に面して位置づけられる。
【0025】
すると、太陽光が展開可能部材1Aに照射され、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分の内部で、袋体31内が加熱される。この太陽の放射熱により、袋体31内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、袋体31が膨張する。ここで、太陽光は、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分に照射される。このため、液体32Lが、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分ではなく、太陽とは反対側の、第1部材21の表面21gに沿った部分にあると、太陽の放射熱によって、液体32Lが加熱されにくい可能性もある。このため、液体32Lが、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分に留まるよう、例えば、袋体31内に仕切壁を設けるのが好ましい。あるいは、これに替えて、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分に、液体32Lを保持可能な多孔質体等を設けてもよい。また、袋体31の、第1部材21の表面21gに沿った部分にも、太陽光を導光するような仕組みを設けてもよい。
【0026】
液体32Lが気化することで袋体31が膨張すると、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図3において第1部材21と第2部材22に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図4に示すように、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられた第1部材21と第2部材22が、第1回転軸S1を中心として相対的に回動する。このとき、展開可能部材1Aは、第1部材21において支持されているため、第1部材21に対し、第2部材22が第1回転軸S1を中心として回動する。これにより、第1部材21と、一対の第2部材22の各々の表面21f、22fが離間するように展開される。このようにして、
図4に示される状態を経て、
図5に示すように、袋体31が取り付けられた第1部材21と第2部材22とが、袋体31の膨張により、折り畳まれた状態から展開して、第1部材21の表面21fと第2部材22の表面22fが互いに対向せず、同一の方向(上方)を向くような状態に変位せしめられる。
【0027】
展開可能部材1Aは、設置場所が夜となり、太陽光の照射がなくなると、袋体31内の温度が液体32Lの沸点以下に低下し、気体32Aが液化して液体32Lとなる。すると、袋体31の内部の圧力(内圧)が低減して、膨張していた袋体31が萎み、加力装置3から被変位体2に作用していた加力が減少する。ここで、本実施形態においては、展開可能部材1Aの一対の第2部材22は、展開可能部材1Aが展開した状態で、第2部材22の側端面22sが、第1部材21の側端面21sに当接し、第2部材22が、第1回転軸S1を中心として、第2部材22が展開する際に回動した方向に、これ以上回動することができない状態となっている。したがって、袋体31の剛性が失われても、第2部材22は、月の重力により更に回動して、下方へと垂れることが抑制される。また、展開可能部材1Aが再び畳まれた状態となるためには、第2部材22を
図5において、表面22fの側、すなわち上方に向けて、回動させる必要がある。しかし、第2部材22には、月の重力が下方へと作用しているため、展開可能部材1Aは自動的には、再び畳まれた状態とはならない。このようにして、第1部材21の表面21fと、一対の第2部材22の表面22fとが、同一平面に沿って位置した状態が、そのまま維持される。
【0028】
なお、本実施形態では、展開可能部材1Aがいったん展開すると、袋体31の全体が被変位体2の下側に位置した状態となるため、太陽光は、第1部材21と第2部材22に遮られて、袋体31には直接照射されなくなる。したがって、展開可能部材1A自体には太陽光が照射し続けているにもかかわらず、袋体31内の温度が液体32Lの沸点以下に低下し、気体32Aが液化して液体32Lとなる可能性がある。しかし、この場合においても、設置場所が夜となった場合として既に説明した場合と同様に、展開可能部材1Aが展開した状態が維持される。
【0029】
上述したような加力装置3は、被変位体2に対し力を加えて被変位体2を変位させる加力装置3であって、被変位体2に取り付けられた、密閉された袋体31と、袋体31に収容された液体32Lと、を備え、太陽からの放射熱により液体32Lが気化して袋体31が膨張することで、被変位体2を変位せしめる。
上記のような構成によれば、加力装置3は、密閉された袋体31と、袋体31に収容された液体32Lと、を備えている。太陽からの放射熱を受けると、液体32Lが気化することで、袋体31が膨張する。すると、袋体31の膨張により、袋体31の体積が増大するため、袋体31が取り付けられた被変位体2は、この袋体31に加力されて変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置3を、最低限、袋体31と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体2を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置3を提供することが可能となる。
【0030】
また、液体32Lは、沸点が、月の昼間において放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質であり、袋体31は、柔軟性を有する樹脂製である。
このような構成によれば、加力装置3を月面で使用する場合において、太陽からの放射熱により液体32Lを効率的に沸点以上に加熱して、液体32Lを気化させることができる。袋体31が柔軟性を有する樹脂製であるので、液体32Lが気化した際に、袋体31が容易に膨張する。これにより、被変位体2を容易に変位せffしめることができる。
また、液体32Lが気化していない状態であるときには、袋体31の内圧が低減しているため、袋体31の表面には張りがなく、袋体31の形状を、容易に、変化させることができる状態となっている。このため、袋体31を、被変位体2が変位される前の位置、形状にあわせた、任意な形状として設けることが可能となる。
【0031】
また、袋体31は、液体32Lが気化して膨張したときに、板状となるように形成されている。
このような構成によれば、液体32Lが気化して膨張したときに、袋体31が、板状となることで、被変位体を、板状の袋体31に沿わせた状態に変位させることができる。
【0032】
また、上述したような加力装置3を用いた展開可能部材1Aは、第1部材21と第2部材22を備え、及び上記したような加力装置3を、第1の加力装置3Aとして備え、第1部材21と第2部材22は、各々に沿って設けられた第1回転軸S1を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられ、第1の加力装置3Aの袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されている。
このような構成によれば、第1の加力装置3Aの袋体31に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて気化することで、袋体31が膨張して、張りが生じた剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているので、袋体31が剛性を発現しはじめることにより、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられた第1部材21と第2部材22とが、第1回転軸S1を中心として回動し、各々の表面21f、22fが離間して、互いに対向しない状態となるように展開される。このようにして、袋体31が取り付けられた第1部材21と第2部材22とが、袋体31の膨張により、折り畳まれた状態から展開された状態に変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置3を、最低限、袋体31と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体2を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置3を備えた展開可能部材1Aを提供することが可能となる。
【0033】
(第1実施形態の第1変形例)
なお、本発明の加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、発電部は、第1部材21と第2部材22の、展開可能部材1Aが畳まれた状態において互いに対向する表面21f、22fに設けられていたが、これに限らない。
図6は、本発明の第1実施形態の第1変形例における、展開可能部材が折り畳まれた状態を示す断面図である。
図7は、
図6の展開可能部材が展開した状態を示す断面図である。
例えば、
図6に示すように、展開可能部材1Aが畳まれた状態において、第1部材21と第2部材22の互いに反対側を向く表面21g、22gに、発電部が設けられるように構成しても構わない。この場合には、第1部材21の、第2部材22に対向する表面21fとは反対側の表面21gに発電部が設けられるため、この反対側の表面21gが上方を向くように、すなわち上記第1実施形態とは上下が逆転するようにして、展開可能部材1Aは設置される。
【0034】
この場合、太陽光が展開可能部材1Aに照射される、袋体31において第1部材21の表面21gに沿った部分の内部で、袋体31内が加熱される。この太陽の放射熱により、袋体31内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、袋体31が膨張する。袋体31が膨張すると、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図6において第1部材21と第2部材22に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図7に示すように、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられた第1部材21と第2部材22が、第1回転軸S1を中心として相対的に回動する。これにより、第1部材21、一対の第2部材22の各々の表面21f、22fが離間するように展開され、第1部材21と第2部材22とが、折り畳まれた状態から展開して、第1部材21の表面21fと第2部材22の表面22fが互いに対向せず、同一の方向(下方)を向くような状態に変位せしめられる。
【0035】
図8は、
図7の展開可能部材が展開した状態から、加力装置の袋体内の温度が低下して気体が液化した状態を示す断面図である。
展開可能部材1Aは、設置場所が夜となり、太陽光の照射がなくなると、袋体31内の温度が液体32Lの沸点以下に低下し、気体32Aが液化して液体32Lとなる。すると、袋体31の内部の圧力(内圧)が低減して、袋体31が萎む。これにより、加力装置3から被変位体2に作用していた加力が減少する。
図8に示すように、展開可能部材1Aの第1部材21を、例えば台6等の上に置いていた場合、一対の第2部材22は、自重の作用により、第1回転軸S1回りに、展開可能部材1Aが展開する場合とは反対の方向に回動し、第1部材21の端部から下方に垂れ下がるように変位する。これにより、展開可能部材1Aにおいて、上方を向く部分の面積が小さくなり、飛来物等により第2部材が損傷するのを抑えることができる。
【0036】
(第1実施形態の第2変形例)
図9は、本発明の第1実施形態の第2変形例における展開可能部材を示す断面図である。
また、例えば、
図9に示すように、折り畳まれた状態において互いに対向するように設けられる、第1部材21の表面21fと、第2部材22の表面22fとの間に、第1回転軸S1を跨ぐように延びるバネやゴム等からなる弾性部材40を設けるようにしても良い。弾性部材40は、第1回転軸S1を挟んで、第1部材21の表面21fと、第2部材22の表面22fとを接近させる方向の付勢力を発揮する。
このような弾性部材40を備えることで、太陽光の照射がなくなり、袋体31が萎んだときに、弾性部材40の付勢力により、第1部材21、第2部材22を第1回転軸S1回りに回動させ、展開可能部材1Aを折り畳まれた状態とすることもできる。
【0037】
(第1実施形態の第3変形例)
図10は、本発明の第1実施形態の第3変形例における展開可能部材を示す断面図である。
上記第1実施形態においては、
図3に示されるように折り畳まれた状態の展開可能部材1Aを設置した場合には、展開可能部材1Aに太陽光が照射された際において、太陽光は、袋体31の、第2部材22の表面22gに沿うように設けられた、限定的な部分にのみ照射され、袋体31の全体に太陽光が照射されるわけではない。このため、この限定的な部分にのみ照射される太陽光の放射熱を、効率的に利用するために、袋体31の、第2部材22の表面22gに沿うように設けられた部分に、太陽の放射熱を集熱する集熱部53を設けるようにしてもよい。
【0038】
集熱部53としては、例えば、集光レンズ、集光ミラー、被変位体2よりも熱伝導率の高い材料からなるプレートやブロック等を用いることができる。このような集熱部53を備えることで、太陽光が照射されたときに、集熱部53で太陽の放射熱を集熱し、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分の内部で、液体32Lを効率良く気化させることができる。
【0039】
(第1実施形態の第4変形例)
上記第1実施形態では、展開可能部材1Aは、第1部材21の両側に一対の第2部材22が設けられ、第1部材21に対して、一対の第2部材22の各々が1段階に展開する構成としたが、これに限られない。展開可能部材1Aは、第1部材21に対して、2段階以上に展開する構成としてもよい。
図11は、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る展開可能部材の構成を示す図である。
図12は、
図11の展開可能部材を1段階展開した状態を示す図である。
図13は、
図12の展開可能部材をさらに1段階展開した状態を示す図である。
図14は、
図11のII-II矢視断面図である。
図15は、
図14の展開可能部材が折り畳まれた状態から1段階展開した状態を示す断面図である。
図16は、
図15の展開可能部材が、さらにもう1段階展開した状態を示す断面図である。
図14においては、後に説明する第2の加力装置3Bの一部が、第1部材21の内部に描かれているが、
図14は展開可能部材1Bを模式的に描いたものであって、実際にはこの部分は、例えば、第1部材21と第2部材22の間の間隙に設けられ得る。
例えば、
図11~
図16に示すように、本変形例における展開可能部材1Bは、複数枚の被変位体2と、加力装置3と、を有している。本変形例では、展開可能部材1Bは、複数枚の被変位体2として、第1部材21と、一対の第2部材22と、一対の第3部材23と、を備えている。
【0040】
第1部材21は、展開可能部材1Bの中央部に配置されている。第1部材21は、例えば、平面視長方形状である。
一対の第2部材22は、第1部材21を挟んで一方の側と他方の側に配置されている。各第2部材22は、第1部材21の長辺21bに、適宜のヒンジ等により、第1回転軸S1回りに回動自在に連結されている。
一対の第3部材23は、
図13、
図16のように展開可能部材1Bを展開した状態において、一対の第2部材22を挟んで一方の側と他方の側に配置されている。第2部材22の、第1部材21の長辺21bに沿った辺22bとは反対側の辺22cに対して、これに沿う辺23cを、各第3部材23は有している。第2部材22と第3部材は、第2部材22の、折り畳まれた状態において第1部材21の表面21fと対向して設けられる表面22fとは反対側の表面22gと、第3部材23の表面23gとが、互いに対向するように設けられている。
図14~
図16に示すように、第3部材23と、第2部材22は、適宜のヒンジ等により、第2部材22、第3部材23の、折り畳まれた状態において互いに対向する表面22g、23g側で、辺23c、および22cに沿った第2回転軸S2回りに回動自在に連結されている。
このようにして、第2部材22と、第3部材23は、各々に沿って設けられた第2回転軸S2を中心として相対的に回転可能に接合されている。第2部材22と第3部材23の各々は、各々の表面22g、23gが対向するように閉じて設けられている。
【0041】
本変形例においては、発電部は、
図16に示されるように展開可能部材1Bが展開した状態で、第1部材21、第2部材22、及び第3部材23の各々の、太陽に面する表面21f、22f、23fに設けられている。すなわち、本変形例においては、
図14に示されるように、展開可能部材1Bが折り畳まれた状態において、第1部材21と第2部材22の、互いに対向する表面21f、22fに、発電部が設けられ、なおかつ第2部材22と第3部材23の、互いに対向する表面22g、23gとは反対側の表面22f、23fに、発電部が設けられている。
【0042】
本変形例では、加力装置3として、上記実施形態で説明した第1の加力装置3Aに加え、第2の加力装置3Bを有している。
第1の加力装置3Aは、上記実施形態と同様に、第1回転軸S1を跨いで、第1部材21の、表面21fとは反対側の他方の表面21gと、第2部材22の、表面22fとは反対側の他方の表面22gと、の各々に対し、接着剤、溶着等により接合されている。第1の加力装置3Aは、第2部材22の各々に対して、第2部材22と第1部材21とを接続するように設けられている。
第2の加力装置3Bは、第2回転軸S2を跨いで、互いに反対側を向くように設けられた、第2部材22の表面22fと第3部材23の表面23fの各々に対し、接着剤、溶着等により接合されている。第2の加力装置3Bは、第3部材23の各々に対して、第3部材23と第2部材22とを接続するように設けられている。
この第2の加力装置3Bも、第1の加力装置3Aと同様、袋体31と、袋体31に収容された液体32Lと、を備えた構成を有している。
【0043】
このような展開可能部材1Bは
図11、
図14に示すように、第1部材21の表面21fに対し、各第2部材22の表面22fを対向させ、各第3部材23の表面23gを第2部材22の表面22gに対向させた、折り畳まれた状態で、月面に搬入される。このように折り畳まれた状態の展開可能部材1Bを、第1部材21の、発電部が設けられた表面21fと、第2部材22の表面22g、及び第3部材23の表面23fが、上方、すなわち太陽を向くように設置する。
このとき、第1の加力装置3Aにおいては、袋体31において第2部材22の表面22gに沿った部分の内部に液体32Lが位置するようにしておく。また、第2の加力装置3Bにおいては、袋体31において第2部材22の表面22fに沿った部分の内部に液体32Lが位置するようにしておく。
【0044】
このような状態において、太陽光が照射されると、太陽の放射熱により、第1の加力装置3Aの袋体31内の液体32Lが気化し、第1の加力装置3Aの袋体31が膨張する。袋体31が膨張すると、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図14において第1部材21と第2部材22に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図15に示すように、一対の第2部材22が、第1部材21に対して第1回転軸S1を中心として回動し、展開した状態に変位する。
【0045】
第2部材22が、第1部材21に対して第1回転軸S1を中心として回動すると、第2部材22の表面22fが上方を向く。これにより、太陽光が展開可能部材1Bに照射されると、第2の加力装置3Bの袋体31において第2部材22の表面22fに沿った部分の内部で、袋体31内が加熱される。この太陽の放射熱により、袋体31内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、第2の加力装置3Bの袋体31が膨張し、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第2回転軸S2を跨いで設けられて、第2部材22と第3部材23の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図15において第2部材22と第3部材23に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図16に示すように、第3部材23が、第2部材22に対して第2回転軸S2を中心として回動する。このようにして、一対の第3部材23が、第2部材22に対して第2回転軸S2を中心として回動し、展開した状態に変位する。
上記のようにして、展開可能部材1Bは、第1部材21に対し、一対の第2部材22、一対の第3部材23が、順次、2段階に展開する構成となっている。
【0046】
上記のような構成においては、展開可能部材1Bは、第1部材21、第2部材22、及び第3部材23を備え、及び上記したような加力装置3を、第1の加力装置3A及び第2の加力装置3Bとして備え、第1部材21と第2部材22は、各々に沿って設けられた第1回転軸S1を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられ、第1の加力装置3Aの袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合され、第2部材22と第3部材23は、各々に沿って設けられた第2回転軸S2を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面22g、23gが対向するように閉じて設けられ、第2の加力装置3Bの袋体31が、第2回転軸S2を跨いで設けられて、第2部材22と第3部材23の各々に接合されている。
このような構成によれば、第1の加力装置3Aの袋体31に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて気化することで、第1の加力装置3Aの袋体31が膨張して、張りが生じた剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているので、袋体31が剛性を発現しはじめることにより、各々の表面21f、22fが対向するように閉じて設けられた第1部材21と第2部材22とが、第1回転軸S1を中心として回動し、各々の表面21f、22fが離間して、互いに対向しない状態となるように展開される。このようにして、第1の加力装置3Aの袋体31が取り付けられた第1部材21と第2部材22とが、袋体31の膨張により、折り畳まれた状態から展開された状態に変位せしめられる。
また第2の加力装置3Bの袋体31に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて気化することで、第2の加力装置3Bの袋体31が膨張して、張りが生じた剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第2回転軸S2を跨いで設けられて、第2部材22と第3部材23の各々に接合されているので、袋体31が剛性を発現しはじめることにより、各々の表面22g、23gが対向するように閉じて設けられた第2部材22と第3部材23とが、第2回転軸S2を中心として回動し、各々の表面22g、23gが離間して、互いに対向しない状態となるように展開される。このようにして、第2の加力装置3Bの袋体31が取り付けられた第2部材22と第3部材23が、袋体31の膨張により、折り畳まれた状態から展開された状態に変位せしめられる。
結果として、第1部材21と第2部材22、及び第3部材23が折り畳まれた状態から、これら全てが展開された状態へと、変位させることができる。
このような構成においては、加力装置3を、最低限、袋体と液体のみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置3を備えた展開可能部材1Bを提供することが可能となる。
【0047】
なお、上記においては、説明を簡単にするため、第1部材21に対して第2部材22が展開し、その後、第2部材22に対して第3部材23が展開するように説明したが、これに限られない。
図14に示されるように、展開可能部材1Bが折り畳まれて設けられた状態において、第1の加力装置3Aと第2の加力装置3Bの双方の袋体31が、太陽光を受け得る状態となっている。したがって、第1の加力装置3Aの袋体31の内部の液体32Lが加熱されて膨張し、第2部材22が第1部材21に対して展開するように動作すると同時に、並行して、第2の加力装置3Bの袋体31の内部の液体32Lが加熱されて膨張し、第3部材23が第2部材22に対して展開するように、動作しても構わない。
もし、第2部材22の第1部材21に対する展開と、第3部材23の第2部材22に対する展開とを、同時にではなく、順次行う必要がある場合には、例えば、第1の加力装置3Aの液体32Lの沸点が、第2の加力装置3Bの液体32Lの沸点よりも低くなるように、第1の加力装置3Aと第2の加力装置3Bの液体32Lとして、異なる物質をそれぞれ袋体31に密閉すればよい。このようにすることで、第1の加力装置3Aと第2の加力装置3Bの双方に対して同時に太陽光が照射された場合であっても、第1の加力装置3Aの液体32Lが第2の加力装置3Bの液体32Lよりも先に気化することで、第1の加力装置3Aが第2の加力装置3Bよりも先に作動するため、第2部材22の第1部材21に対する展開が、第3部材23の第2部材22に対する展開よりも、先に行われる。
【0048】
(第1実施形態の第5変形例)
図17は、本発明の第1実施形態の第5変形例に係る展開可能部材が折り畳まれた状態を示す断面図である。
図18は、
図17の展開可能部材が折り畳まれた状態から1段階展開した状態を示す断面図である。
図19は、
図18の展開可能部材が、さらにもう1段階展開した状態を示す断面図である。
図17においては、第2の加力装置3Bの一部や、後に説明する集熱部52が、第1部材21の内部に描かれているが、
図17は展開可能部材1Cを模式的に描いたものであって、実際にはこの部分は、例えば、第1部材21と第2部材22の間の間隙に設けられ得る。
例えば、
図17~
図19に示すように、本変形例における展開可能部材1Cが、上記第1実施形態の第4変形例に係る展開可能部材1Bに加えて、集熱部51、52を備えるように、構成しても構わない。集熱部51は、第1の加力装置3Aの袋体31において、
図17のように展開可能部材1Cが折り畳まれた状態において太陽光が照射される、第2部材22の表面22gに沿った部分に設けられている。集熱部52は、第2の加力装置3Bの袋体31において、第2部材22の、集熱部52が設けられた表面22gとは反対側の、表面22fに沿った部分に設けられている。
【0049】
太陽光が照射されると、
図17に示すように、太陽の放射熱により、まず、集熱部51が設けられた第1の加力装置3Aの袋体31内の液体32Lが気化し、第1の加力装置3Aの袋体31が膨張する。袋体31が膨張すると、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第1回転軸S1を跨いで設けられて、第1部材21と第2部材22の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図17において第1部材21と第2部材22に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図18に示すように、一対の第2部材22が、第1部材21に対して第1回転軸S1を中心として回動し、展開した状態に変位する。
【0050】
第2部材22が、第1部材21に対して第1回転軸S1を中心として回動すると、集熱部52が上方を向く。これにより、太陽の放射熱により、第2の加力装置3Bの袋体31において、集熱部52が設けられた第2部材22の表面22fに沿った部分の内部で、袋体31内が加熱される。この太陽の放射熱により、袋体31内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、第2の加力装置3Bの袋体31が膨張し、袋体31に張りが生じて、袋体31が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体31が、第2回転軸S2を跨いで設けられて、第2部材22と第3部材23の各々に接合されているため、袋体31が膨張して張りを生じることにより、
図18において第2部材22と第3部材23に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、
図19に示すように、第3部材23が、第2部材22に対して第2回転軸S2を中心として回動し、展開した状態に変位する。
【0051】
(第1実施形態の他の変形例)
例えば、第1変形例として
図7、
図8を用いて説明したように、あるいは
図16に示す状態において、太陽の放射熱が無くなり、袋体31内の気体32Aが液化し、袋体31が収縮した場合、第2部材22や第3部材23が下方に垂れる状態となる。これを抑制したい場合においては、第2部材22や第3部材23がいったん展開した後にはこれらが畳まれる方向へと回動するのを抑制するように、適宜のストッパ機構を備えるようにしてもよい。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る加力装置、当該加力装置を用いた展開可能部材の構成を示す図を、
図20に示す。
図21は、
図20のIII-III矢視断面図である。
図22は、
図20の展開可能部材を展開した状態を示す図である。
図23は、
図21の展開可能部材を展開した状態を示す断面図である。
本実施形態の展開可能部材1Dは、例えば、月面に設置される基地の骨格を形成するフレームである。なお、展開可能部材1Dの設置場所は、宇宙空間等、月面以外であってもよい。また、展開可能部材1Dは、フレーム以外のものであってもよい。
本実施形態の展開可能部材1Dは、加力装置8と、加力装置8によって変位せしめられる、複数枚の被変位体7と、を有している。
本実施形態では、展開可能部材1Dは、複数枚の被変位体7として、第1部材71と、第2部材72と、を備えている。各被変位体7(第1部材71、第2部材72)は、上記のように、各種の構造物を構成するフレームであり、例えば、平行に延びる一対のビーム75と、一対のビーム75の両端部同士を接続する接続部材76と、一対のビーム75、及び一対の接続部材76の内側にX字状に設けられた補強ブレース77と、を有している。なお、被変位体7としてのフレームの形状や構成は、適宜変更可能である。
【0053】
第1部材71と第2部材72は、適宜のヒンジ等により、例えば第1部材71、第2部材72の一方の表面71f、72f側で、第1部材71の一対のビーム75の端面71b、および第2部材72の一対のビーム75の端面72bに沿うように設けられた第1回転軸S11回りに回動自在に連結されている。第1部材71と、第2部材72は、各々に沿って設けられた第1回転軸S11を中心として相対的に回転可能に接合されている。
図21に示すように、第1部材71と第2部材72の各々は、各々の表面71f、72fが対向するように閉じて設けられている。
【0054】
加力装置8は、被変位体7に対し力を加えて被変位体7を変位させる。本実施形態では、加力装置8として、第1の加力装置8Aを有している。第1の加力装置8Aは、一対のビーム75の各々に対応して設けられている。第1の加力装置8Aは、第1回転軸S11を跨いで、第1部材71のビーム75の、第2部材72と対向する表面71fとは反対側の他方の表面71gと、第2部材72のビーム75の、第1部材71と対向する表面72fとは反対側の他方の表面72gと、の各々に対し、接着剤、溶着等により接合されている。
第1の加力装置8Aは、袋体81と、袋体81に収容された液体32Lと、を備えている。
袋体81は、第1実施形態の袋体31と同様、柔軟性、可撓性、および気密性を有した膜状、フィルム状の材料から形成された、中空の密閉構造である。本実施形態では、袋体81は、液体32Lが気化して気体32Aとなったときに、棒状、すなわち一方向に長尺な形状となるように設けられている。
液体32Lは、第1実施形態の液体32Lと同じ物質であって良い。
【0055】
このような展開可能部材1Dは、第1部材71の表面71fに対し、第2部材72の表面72fを対向させた、折り畳まれた状態で月面に搬入される。
このように折り畳まれた状態の展開可能部材1Dを、例えば、第1部材71の表面71gが、上方を向くように設置する。
すると、太陽光が展開可能部材1Dに照射され、袋体81において第1部材71の表面71gに沿った部分の内部で、袋体81内が加熱される。
図22、
図23に示すように、太陽の放射熱により、袋体81内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、袋体81が棒状に膨張する。
液体32Lが気化することで袋体81が膨張すると、袋体81に張りが生じて、袋体81が剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体81が、第1回転軸S11を跨いで設けられて、第1部材71と第2部材72の各々に接合されているため、袋体81が膨張して張りを生じることにより、第1部材71と第2部材72に、互いに反対側へと向かうような力が作用する。これにより、各々の表面71f、72fが対向するように閉じて設けられた第1部材71と第2部材72が、第1回転軸S11を中心として相対的に回動する。これにより、第1部材71、第2部材72の各々の表面71f、72fが離間するように展開される。このようにして、袋体81が取り付けられた第1部材71と第2部材72とが、袋体81の膨張により、折り畳まれた状態から展開した状態に変位せしめられる。
【0056】
展開可能部材1Dは、設置場所が夜となり、太陽光の照射がなくなると、袋体81内の温度が液体32Lの沸点以下に低下し、気体32Aが液化して液体32Lとなる。すると、袋体81の内部の圧力(内圧)が低減して、膨張していた袋体81が萎み、加力装置8から被変位体7に作用していた加力が減少する。このような場合においても、基地の骨格を形成するフレームが折り畳まれずに、展開可能部材1Dの第1部材71と第2部材72が展開した状態を維持するよう、適宜のストッパ機構を備えるのが好ましい。
【0057】
上述したような加力装置8は、被変位体7に対し力を加えて被変位体7を変位させる加力装置8であって、被変位体7に取り付けられた、密閉された袋体81と、袋体81に収容された液体32Lと、を備え、太陽からの放射熱により液体32Lが気化して袋体81が膨張することで、被変位体7を変位せしめる。
上記のような構成によれば、加力装置8は、密閉された袋体81と、袋体81に収容された液体32Lと、を備えている。太陽からの放射熱を受けると、液体32Lは気化することで、袋体81が膨張する。すると、袋体81の膨張により、袋体81の体積が増大するため、袋体81が取り付けられた被変位体7は、この袋体81に押されて変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置8を、最低限、袋体81と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体7を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置8を提供することが可能となる。
【0058】
また、液体32Lは、沸点が、月の昼間において放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質であり、袋体81は、柔軟性を有する樹脂製である。
このような構成によれば、加力装置8を月面で使用する場合において、太陽からの放射熱により液体32Lを効率的に沸点以上に加熱して、液体32Lを気化させることができる。袋体81が柔軟性を有する樹脂製であるので、液体32Lが気化した際に、袋体81が容易に膨張する。これにより、被変位体7を容易に変位せしめることができる。
また、液体32Lが気化していない状態であるときには、袋体81の内圧が低減しているため、袋体81の表面には張りがなく、袋体81の形状を、容易に、変化させることができる状態となっている。このため、袋体81を、被変位体7が変位される前の位置、形状にあわせた、任意な形状として設けることが可能となる。
【0059】
また、袋体81は、液体32Lが気化して膨張したときに、棒状となるように形成されている。
このような構成によれば、液体32Lが気化して膨張したときに、袋体81が、棒状となることで、被変位体7を、棒状の袋体81に沿わせた状態に変位させることができる。
【0060】
また、上述したような加力装置8を用いた展開可能部材1Dは、第1部材71と第2部材72を備え、及び上記したような加力装置8を、第1の加力装置8Aとして備え、第1部材71と第2部材72は、各々に沿って設けられた第1回転軸S11を中心として相対的に回転可能に接合されて、各々の表面71f、72fが対向するように閉じて設けられ、第1の加力装置8Aの袋体81が、第1回転軸S11を跨いで設けられて、第1部材71と第2部材72の各々に接合されている。
このような構成によれば、第1の加力装置8Aの袋体81に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて気化することで、袋体81が膨張して、張りが生じた剛性を有する状態へと、徐々に変化する。すると、袋体81が、第1回転軸S11を跨いで設けられて、第1部材71と第2部材72の各々に接合されているので、袋体81が剛性を発現しはじめることにより、各々の表面71f、72fが対向するように閉じて設けられた第1部材71と第2部材72とが、第1回転軸S11を中心として回動し、各々の表面71f、72fが離間して、互いに対向しない状態となるように展開される。このようにして、袋体81が取り付けられた第1部材71と第2部材72とが、袋体81の膨張により、折り畳まれた状態から展開された状態に変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置8を、最低限、袋体81と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体7を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置8を備えた展開可能部材1Dを提供することが可能となる。
【0061】
(第2実施形態の変形例)
なお、上記第2実施形態に示した展開可能部材1Dでは、第1部材71に対し、第2部材72が1段階に展開する構成としたが、展開可能部材1Dにおいても、上記第1実施形態の第4変形例等と同様、第3部材が第2部材72に対して回動自在に連結された構成としたうえで、第1部材71に対し、第2部材72、第3部材が複数段階に展開するようにしてもよい。
【0062】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る伸長可能部材の構成を示す図を、
図24に示す。
図25は、
図24の伸長可能部材を伸長させた状態を示す図である。
本実施形態の伸長可能部材100は、例えば、月面において使用されるピストンである。なお、伸長可能部材100の設置場所は、宇宙空間等、月面以外であってもよい。
本実施形態の伸長可能部材100は、加力装置9と、加力装置9によって変位せしめられる、複数の被変位体110と、を有している。
【0063】
本実施形態では、伸長可能部材100は、複数の被変位体110として、第1部材111と、第2部材112と、を備えている。第1部材111、第2部材112の各々は、中心軸方向に延びる筒状で、その一端111a、112aが閉塞されている。第1部材111は、第2部材112よりも小径とされ、第2部材112内に挿入されている。第1部材111と第2部材112は、その中心軸方向に沿って相対的に変位可能に構成されている。これにより、第1部材111は、第2部材112によってガイドされつつ、第2部材112に対して離接自在に設けられている。
また、伸長可能部材100は、弾性部材120を備えている。弾性部材120は、バネ等からなり、一端が第1部材111の外側の表面に、他端が第2部材112の外側の表面に、それぞれ接合されている。これにより、弾性部材120は、第1部材111と第2部材112とを、互いに接近する方向に付勢する。
【0064】
加力装置9は、被変位体110(第1部材111、第2部材112)に対し力を加えて被変位体110を変位させる。本実施形態では、加力装置9は、袋体91と、袋体91に収容された液体32Lと、を備えている。本実施形態では、
図24に示すように、加力装置9は、液体32Lが気化していない状態で、例えば第1部材111内に収容されている。
袋体91は、第1実施形態、第2実施形態の袋体31、81と同様、柔軟性、可撓性、および気密性を有した膜状、フィルム状の材料から形成された、中空の密閉構造である。本実施形態では、
図25に示すように、袋体91は、液体32Lが気化して気体32Aとなったときに、棒状、すなわち一方向(
図25における左右方向)に長尺な形状となるように設けられている。本実施形態の袋体91は、
図24に示されるように、液体32Lが気化していない状態では、上記一方向における長さが短くなるよう、例えば畳まれた状態で、あるいは上記一方向に潰された状態で、第1部材111内に収容されている。
【0065】
袋体91内の液体32Lは、太陽の放射熱により気化する。液体32Lは、第1実施形態、第2実施形態の液体32Lと同じ物質であって良い。ここで、袋体91内の液体32Lを太陽の放射熱により効率的に加熱するため、例えば、袋体91が収容されている第1部材111の少なくとも一部を、光透過性を有する材料で形成することで、光透過部を設けるのが好ましい。あるいは、光透過部として、第1部材111に太陽光を透過させる開口を設けてもよい。また、上記のような構成としたうえで、第1部材111に形成した光透過部に、集熱部(図示無し)を設けるようにしてもよい。
【0066】
このような伸長可能部材100では、
図24に示される加力装置9の袋体91に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて加熱される。袋体91内の液体32Lが沸点以上に加熱されると、液体32Lが気化して気体32Aが生成され、袋体91が棒状に膨張し、延伸する。すると、袋体91が、第1部材111と第2部材112の各々の一端111a、112aの内側の、互いに対向する表面111f、112fの各々に当接する。袋体91の膨張、延伸が更に続くことにより、第1部材111が第2部材112に対して、離間する方向に加力される。これにより、
図25に示すように、第1部材111が、第2部材112によってガイドされつつ、第2部材112に対して離間する方向に変位する。その結果、袋体91の膨張により、袋体91が取り付けられた第1部材111と第2部材112との全長が、伸長するように変位せしめられる。
【0067】
また、太陽からの放射熱により袋体91内の液体32Lが気化した後、太陽光の照射がなくなると、袋体91内の温度が、液体32Lの沸点以下に低下し、袋体91内の気体は液化して液体32Lとなる。すると、袋体91の内部の圧力(内圧)が低減して、袋体91が収縮することで、袋体91の膨張による、第1部材111の第2部材112に対して離間する方向への加力が解除される。ここで、第1部材111と第2部材112が、弾性部材120により、互いに接近する方向に付勢されているので、袋体91の膨張による加力が解除されると、第1部材111と第2部材112とが、弾性部材120による付勢力により、互いに接近する方向に変位せしめられる。このようにして、第1部材111と第2部材112の全長が縮まる。
【0068】
図26は、本実施形態に係る伸長可能部材を備えた機構の一例を示す図である。
このような伸長可能部材100は、例えば、
図26に示すように、太陽光パネル、フレーム等を構成する、第1部材201と、第2部材202との相対変位させるために用いることができる。
例えば、第1実施形態として説明したような展開可能部材に対し、伸長可能部材100の一端と他端を、それぞれ第1部材201と第2部材202の側面に対して、回動可能にピン接合させることで、伸長可能部材100の伸長に伴って、展開可能部材が折り畳まれた状態から展開し、なおかつ、伸長可能部材100の収縮に伴って、展開可能部材が展開した状態から折り畳まれるように、構成することができる。
【0069】
上述したような加力装置9は、被変位体110に対し力を加えて被変位体110を変位させる加力装置9であって、被変位体110に取り付けられた、密閉された袋体91と、袋体91に収容された液体32Lと、を備え、太陽からの放射熱により液体32Lが気化して袋体91が膨張することで、被変位体110を変位せしめる。
上記のような構成によれば、加力装置9は、密閉された袋体91と、袋体91に収容された液体32Lと、を備えている。太陽からの放射熱を受けると、液体32Lは気化することで、袋体91が膨張する。すると、袋体91の膨張により、袋体91の体積が増大するため、袋体91が取り付けられた被変位体110は、この袋体91に押されて変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置9を、最低限、袋体91と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体110を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置9を提供することが可能となる。
【0070】
また、液体32Lは、沸点が、月の昼間において放射熱が作用したときに上昇し得る温度以下の物質であり、袋体91は、柔軟性を有する樹脂製である。
このような構成によれば、加力装置9を月面で使用する場合において、太陽からの放射熱により液体32Lを効率的に沸点以上に加熱して、液体32Lを気化させることができる。袋体91が柔軟性を有する樹脂製であるので、液体32Lが気化した際に、袋体91が容易に膨張する。これにより、被変位体110を容易に変位せしめることができる。
また、液体32Lが気化していない状態であるときには、袋体91の内圧が低減しているため、袋体91の表面には張りがなく、袋体91の形状を、容易に、変化させることができる状態となっている。このため、袋体91を、被変位体110が変位される前の位置、形状にあわせた、任意な形状として設けることが可能となる。
【0071】
また、袋体91は、液体32Lが気化して膨張したときに、棒状となるように形成されている。
このような構成によれば、液体32Lが気化して膨張したときに、袋体91が、棒状となることで、被変位体を、棒状の袋体91に沿わせた状態に変位させることができる。
【0072】
また、上述したような加力装置9を用いた伸長可能部材100は、第1部材111と第2部材112、及び加力装置9を備え、第1部材111は、第2部材112によってガイドされつつ、第2部材112に対して離接自在に設けられ、加力装置9の袋体91が膨張する際に、袋体91が、第1部材111と第2部材112の、互いに対向する表面111f、112fの各々に当接するように設けられている。
このような構成によれば、加力装置9の袋体91に収容された液体32Lが、太陽からの放射熱を受けて気化することで、袋体91が膨張する。すると、加力装置9の袋体91が膨張する際に、袋体91が、第1部材111と第2部材112の、互いに対向する表面111f、112fの各々に当接するように設けられているため、袋体91の膨張により、第1部材111が第2部材112に対して、離間する方向に加力される。これにより、第1部材111が、第2部材112によってガイドされつつ、第2部材112に対して離間する方向に変位する。その結果、袋体91の膨張により、袋体91が取り付けられた第1部材111と第2部材112との全長が、伸長するように変位せしめられる。
このような構成においては、加力装置9を、最低限、袋体91と液体32Lのみによって構築することが可能であり、これらの他に、バッテリーや電動モータ等の動力源や、動力源からの動力によって機械的に駆動されて被変位体110を変位せしめる機械駆動部等を、構成要素として特段には必要としない。
したがって、動力源や、当該動力源により機械的に駆動される部分を有さず、軽量に実現することが可能な、加力装置9を備えた伸長可能部材100を提供することが可能となる。
【0073】
また、第1部材111と第2部材112は、弾性部材120により、互いに接近する方向に付勢されている。
このような構成によれば、太陽からの放射熱により袋体91内の液体32Lが気化した後、加力装置9に太陽からの放射熱が作用しなくなり、袋体91内の温度が、液体32Lの沸点以下に低下すると、袋体91内の気体は液化し、袋体91の内圧が低減するため、袋体91が収縮し、剛性を失う。すると、袋体91の膨張による、第1部材111への、第2部材112に対して離間する方向への加力が解除される。ここで、第1部材111と第2部材112が、弾性部材120により、互いに接近する方向に付勢されているので、袋体91の膨張による加力が解除されると、第1部材111と第2部材112とが、弾性部材120による付勢力により、互いに接近する方向に変位せしめられる。このようにして、第1部材111と第2部材112の全長が縮まる。このようにして、伸長可能部材100を、太陽からの放射熱の有無に応じて、袋体91内の液体32Lの気化、および液化を繰り返すことで、伸縮させることが可能となる。
【0074】
(その他の変形例)
なお、本発明の加力装置と、当該加力装置を用いた展開可能部材、及び伸長可能部材は、図面を参照して説明した上記各実施形態、およびその変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、袋体31、81、91内で気化した気体32Aが液化して液体32Lが生成された場合、その後に、太陽の放射熱によって、液体32Lを気化させるには、液体32Lを、袋体31、81、91内で、太陽光が照射される位置に集めるのが好ましい。
このため、袋体31、81、91の一端に、集熱部51~53を備える一方、袋体31、81、91の内側に、集熱部51~53の位置する部分から袋体31の全体にわたって延びるように、気化した液体32Lが再び液化した際に、当該液体32Lを集熱部の位置へと毛細管現象によって回収するウィックを備えるようにしてもよい。
【0075】
すなわち、本変形例においては、加力装置は、袋体31、81、91の一端に設けられた集熱部51~53と、袋体31、81、91の内側に、集熱部51~53の位置する部分から袋体31、81、91の全体にわたって延びるように設けられ、気化した液体32Lが再び液化した際に、液体32Lを集熱部51~53の位置する位置へと回収するウィックと、を備えている。
このような構成によれば、袋体31、81、91の一端に集熱部51~53を設けることで、太陽からの放射熱が集熱部51~53で集められ、袋体31、81、91内の液体32Lの気化が効率良く行われる。袋体31、81、91内の液体32Lが気化することで生成された気体は、膨張し、袋体31、81、91内の全体へと拡がる。その後、加力装置に太陽からの放射熱が作用しなくなり、袋体31、81、91内の温度が、液体32Lの沸点以下に低下すると、袋体31、81、91内の気体は液化し、袋体31、81、91の内圧が低減するため、袋体31、81、91が収縮する。このとき、袋体31、81、91の内側には、ウィックが設けられているので、液化した液体32Lは、ウィックにより、集熱部51~53の位置へと回収される。これにより、その後、再び太陽からの放射熱が集熱部51~53で集められた際に、袋体31、81、91内の液体32Lを気化させることができる。このようにして、太陽からの放射熱の有無により、袋体31、81、91の膨張および収縮を、効率的に、繰り返して行うことができる。
【0076】
なお、例えば加力装置が、袋体がいったん膨張し、収縮した後に、再度の膨張を行わないような構成とする場合においては、液体が気化した後に再び液化したとしても、これが更に再度、気化するように構成する必要はない。したがって、このような場合においては、加力装置が、効率的な集熱を目的として集熱部を備えるように構成しても、ウィックを備えた構成とする必要はない。したがって、この場合においては、加力装置は、ウィックは備えず、集熱部のみを備えた構成となり得る。
【0077】
また、袋体31、81、91は、二重構造を有するようにしてもよい。
図27に示すように、加力装置3、8、9の袋体31、81、91は、第1袋体301と、第1袋体301の外側に位置して第1袋体301を包むように設けられた第2袋体302と、を備えるようにしてもよい。この場合、第1袋体301の内側と、第1袋体301と第2袋体302の間の空間と、の各々に、液体32Lが収容されている。
【0078】
すなわち、本変形例においては、袋体31、81、91は、複数が重ねて設けられ、第1袋体301と、第1袋体301の外側に位置して第1袋体301を包むように設けられた第2袋体302と、を備え、第1袋体301の内側と、第1袋体301と第2袋体302の間の空間と、の各々に、液体32Lが収容されている。
このような構成によれば、太陽からの放射熱を受けると、第1袋体301内に収容された液体32Lと、第1袋体301と第2袋体302の間の空間に収容された液体32Lが、それぞれ気化することで、第1袋体301と第2袋体302が膨張する。これにより、第1袋体301の外側には、第1袋体301と第2袋体302の間の空間に収容された液体32Lが気化することで生じた気体が設けられた状態となる。この、第1袋体301と第2袋体302の間の空間の気体は、第2袋体302の外部と、第1袋体301との間を隔離する断熱層として作用するため、第1袋体301の内部の熱の、第2袋体302の外部への伝導が、抑制される。したがって、第2袋体302の外部の温度が低いときに、第1袋体301の内部の温度が液体32Lの沸点以下に低下して気体が液化するのを遅らせ、第1袋体301が膨張して被変位体が変位した状態の持続時間を長くすることができる。
【0079】
また、複数の加力装置3、8、9を備える場合、複数の袋体31、91、91間で、沸点が異なる複数種の液体32Lを収容するようにしてもよい。これにより、複数の加力装置3、8、9による加力タイミングを異ならせることができる。
【0080】
また、一つの袋体31、81、91内に、沸点が異なる複数種の液体32Lを混在させるようにしてもよい。例えば、初期状態が液体状態である第1の物質(沸点:A℃)と、第1の物質よりも沸点が低い、初期状態が気体状態である第2の物質(沸点:B℃、B<A)と、の2種類の物質を、袋体31、81、91内に入れておく。
これにより、温度が初期状態よりも上昇し、第1の物質の沸点より高くなったときに、第1の物質が気体になる。すると、袋体31、81、91内の圧力が増加し、袋体31、81、91が初期状態の体積から増加する。また、温度が初期状態よりも低下し、第2の物質の沸点より低くなったときに、第2の物質が液体になる。すると、袋体31、81、91内の圧力が減圧され、袋体31、81、91が初期状態の体積から収縮する。
このようにして、加力装置により、初期状態から膨張する方向の力を加えるとともに、初期状態から膨張する方向とは反対側への、収縮する方向の力を加えるように、構成することができる。
【0081】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1A~1D 展開可能部材 23g 表面
2、7、110 被変位体 31、81、91 袋体
3、8、9 加力装置 32L 液体
3A、8A、 第1の加力装置 51~53 集熱部
3B 第2の加力装置 100 伸長可能部材
21、71、111 第1部材 120 弾性部材
21f、71f、111f 表面 301 第1袋体
22、72、112 第2部材 302 第2袋体
22f、22g、72f、112f 表面 S1、S11 第1回転軸
23 第3部材 S2 第2回転軸